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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122460
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20240902BHJP
   A47K 13/30 20060101ALI20240902BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
E03D9/08 B
A47K13/30 B
A61L9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030011
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本並 洋二
(72)【発明者】
【氏名】福田 達則
(72)【発明者】
【氏名】福本 和広
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 周
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
4C180
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AD14
2D037EB03
2D038BB18
2D038BC01
4C180AA02
4C180BB03
4C180BB06
4C180CC03
4C180CC04
4C180CC05
4C180CC12
4C180CC16
4C180DD03
4C180EA14X
4C180EA34Y
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH17
4C180HH19
4C180JJ02
4C180KK04
4C180KK05
4C180LL11
4C180LL12
4C180MM01
(57)【要約】
【課題】光触媒フィルタを含む2種類のフィルタを簡易な構成で切り替えながら使用して、脱臭効率を高めつつフィルタの長寿命化を図る。
【解決手段】脱臭装置は、光触媒を有する第1フィルタが配置された第1流路と、第1フィルタとは種類の異なる第2フィルタが配置され第1流路よりも圧力損失が大きい第2流路とが内部に並列に設けられた流路と、第1フィルタに光を照射するランプと、送風するファンと、貯水の有無により第1流路への空気の流通度合いを切り替える切替槽と、切替槽よりも第1流路の下流側に貯水可能に設けられ、第1フィルタを収容する収容槽とを備える。便座装置は、給水部と、第1流路に空気を流通させて第1フィルタで脱臭する第1脱臭制御と、切替槽に貯水させて第1流路の空気の流通を抑制した状態で第2流路に空気を流通させて第2フィルタで脱臭する第2脱臭制御とを実行する制御部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱臭装置を備える便座装置であって、
前記脱臭装置は、
光触媒を有する第1フィルタと、
前記第1フィルタとは種類の異なる第2フィルタと、
前記第1フィルタに光を照射するランプと、
前記第1フィルタが配置された第1流路と、前記第2フィルタが配置され前記第1流路よりも圧力損失が大きい第2流路とが内部に並列に設けられ、吸気口から吸入された空気が前記第1流路および前記第2流路のいずれかを流通して排気口から排出される流路と、
前記吸気口から前記排気口に向けて空気が流通するように送風するファンと、
貯水の有無により前記第1流路の空気の流通度合いを切り替える切替槽と、
前記切替槽よりも前記第1流路の下流側に貯水可能に設けられ、前記第1フィルタを収容する収容槽と、
を備え、
少なくとも前記切替槽に給水可能な給水部と、
前記第1流路に空気を流通させて前記第1フィルタで脱臭するように前記ランプと前記給水部と前記ファンとを制御する第1脱臭制御と、前記切替槽に貯水させて前記第1流路の空気の流通を抑制した状態で前記第2流路に空気を流通させて前記第2フィルタで脱臭するように前記給水部と前記ファンとを制御する第2脱臭制御と、を実行する制御部と、
を備える便座装置。
【請求項2】
前記切替槽と前記収容槽とは、仕切壁を介して隣接して設けられており、
前記制御部は、前記第2脱臭制御では、前記仕切壁を越えない給水量で前記切替槽に給水するように前記給水部を制御し、前記第1フィルタを洗浄する際に、前記仕切壁を越えた水が前記収容槽に貯水される給水量で前記切替槽に給水するように前記給水部を制御する、
請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記切替槽と前記収容槽とは、離間して設けられており、
前記給水部は、前記切替槽と前記収容槽とに個別に給水可能に構成され、
前記制御部は、前記第2脱臭制御では、前記切替槽に給水するように前記給水部を制御し、前記第1フィルタを洗浄する際に、前記収容槽に給水するように前記給水部を制御する、
請求項1に記載の便座装置。
【請求項4】
前記制御部は、使用者による前記便座装置の使用中に前記第2脱臭制御を実行し、使用者による前記便座装置の使用が終了すると前記第1脱臭制御を実行し、前記第1フィルタの所定の洗浄タイミングになると前記収容槽に貯水させるように前記給水部を制御する、
請求項2または3に記載の便座装置。
【請求項5】
前記切替槽と前記収容槽とは、便器の便鉢内に常時排水するように構成され、
前記制御部は、前記第2脱臭制御を開始する際に前記切替槽の排水量を超える給水量で前記切替槽に給水して前記切替槽に貯水させ、前記第2脱臭制御中は前記切替槽の排水量を補う給水量で前記切替槽に給水し、前記第1フィルタの所定の洗浄タイミングになると前記切替槽と前記収容槽との合計の排水量を超える給水量で前記切替槽に給水して前記切替槽と前記収容槽とに貯水させ、前記第1フィルタの洗浄中は前記切替槽と前記収容槽との合計の排水量を補う給水量で前記切替槽に給水する、
請求項2に記載の便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便座装置としては、臭気成分を吸着して脱臭する脱臭装置を備えるものが提案されている。例えば、特許文献1には、複数の吸着材が配置された脱臭装置を備えるものが記載されている。また、特許文献2には、アレルゲンフィルタと、脱臭剤との二種類のフィルタが流路内に配置された脱臭装置や、空気(臭気)の流通を切り替えるように駆動する切替手段をさらに備えた脱臭装置などを備えるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-81829号公報
【特許文献2】特開2005-336953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、脱臭装置が、洗浄により再生可能な光触媒を有する光触媒フィルタと、再生はできないものの脱臭性能が比較的高い活性炭などを有する脱臭フィルタと備え、必要に応じて2種類のフィルタを使い分けることで脱臭効率を高めつつフィルタの長寿命化を図ることが考えられる。しかし、各フィルタへの空気の流通を切り替えるための切替手段を設けると、構造が複雑になって装置全体の大型化やコストの増加を招いてしまう。
【0005】
本開示は、光触媒フィルタを含む2種類のフィルタを簡易な構成で切り替えながら使用して、脱臭効率を高めつつフィルタの長寿命化を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の便座装置は、
脱臭装置を備える便座装置であって、
前記脱臭装置は、
光触媒を有する第1フィルタと、
前記第1フィルタとは種類の異なる第2フィルタと、
前記第1フィルタに光を照射するランプと、
前記第1フィルタが配置された第1流路と、前記第2フィルタが配置され前記第1流路よりも圧力損失が大きい第2流路とが内部に並列に設けられ、吸気口から吸入された空気が前記第1流路および前記第2流路のいずれかを流通して排気口から排出される流路と、
前記吸気口から前記排気口に向けて空気が流通するように送風するファンと、
貯水の有無により前記第1流路の空気の流通度合いを切り替える切替槽と、
前記切替槽よりも前記第1流路の下流側に貯水可能に設けられ、前記第1フィルタを収容する収容槽と、
を備え、
少なくとも前記切替槽に給水可能な給水部と、
前記第1流路に空気を流通させて前記第1フィルタで脱臭するように前記ランプと前記給水部と前記ファンとを制御する第1脱臭制御と、前記切替槽に貯水させて前記第1流路の空気の流通を抑制した状態で前記第2流路に空気を流通させて前記第2フィルタで脱臭するように前記給水部と前記ファンとを制御する第2脱臭制御と、を実行する制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本開示の便座装置では、切替槽に貯水させる簡易な構成で、空気の流通を第1流路から第2流路に切り替えて、第1フィルタで脱臭する第1脱臭制御と、第2フィルタで脱臭する第2脱臭制御とを実行することができる。また、空気の流通を切り替える際に収容槽に貯水する必要がないから、第1フィルタを必要以上に洗浄水に浸漬させて洗浄と乾燥とが繰り返されるのを防止することができる。これにより、洗浄水中に溶けているカルシウムやシリカなどの無機成分が光触媒表面上に過度に析出することがないので、光触媒の臭気分解性能を長期に亘って維持することが可能となる。したがって、2種類のフィルタを簡易な構成で切り替えながら使用して、脱臭効率を高めつつフィルタの長寿命化を図ることができる。
【0009】
本開示の便座装置において、前記切替槽と前記収容槽とは、仕切壁を介して隣接して設けられており、前記制御部は、前記第2脱臭制御では、前記仕切壁を越えない給水量で前記切替槽に給水するように前記給水部を制御し、前記第1フィルタを洗浄する際に、前記仕切壁を越えた水が前記収容槽に貯水される給水量で前記切替槽に給水するように前記給水部を制御するものとしてもよい。こうすれば、切替槽と収容槽とを隣接させて脱臭装置をコンパクトな構成とすることができる。また、切替槽への給水路と収容槽への給水路とを別々に設ける必要がないから、より簡易な構成とすることができる。
【0010】
本開示の便座装置において、前記切替槽と前記収容槽とは、離間して設けられており、前記給水部は、前記切替槽と前記収容槽とに個別に給水可能に構成され、前記制御部は、前記第2脱臭制御では、前記切替槽に給水するように前記給水部を制御し、前記第1フィルタを洗浄する際に、前記収容槽に給水するように前記給水部を制御するものとしてもよい。こうすれば、レイアウト上の制約があっても切替槽と収容槽とを適切に配設することができる。
【0011】
本開示の便座装置において、前記制御部は、使用者による前記便座装置の使用中に前記第2脱臭制御を実行し、使用者による前記便座装置の使用が終了すると前記第1脱臭制御を実行し、前記第1フィルタの所定の洗浄タイミングになると前記収容槽に貯水させるように前記給水部を制御するものとしてもよい。こうすれば、所定の洗浄タイミングになれば、収容槽に洗浄水を貯水して第1フィルタを洗浄することができる。
【0012】
本開示の便座装置において、前記切替槽と前記収容槽とは、便器の便鉢内に常時排水するように構成され、前記制御部は、前記第2脱臭制御を開始する際に前記切替槽の排水量を超える給水量で前記切替槽に給水して前記切替槽に貯水させ、前記第2脱臭制御中は前記切替槽の排水量を補う給水量で前記切替槽に給水し、前記第1フィルタの所定の洗浄タイミングになると前記切替槽と前記収容槽との合計の排水量を超える給水量で前記切替槽に給水して前記切替槽と前記収容槽とに貯水させ、前記第1フィルタの洗浄中は前記切替槽と前記収容槽との合計の排水量を補う給水量で前記切替槽に給水するものとしてもよい。こうすれば、必要量の水を適切に給水して、第2脱臭制御や第1フィルタの洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】洗浄便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図である。
図2】洗浄便座装置10の構成図である。
図3】脱臭関連処理の一例を示すフローチャートである。
図4】切替槽36および収容槽38の貯水状態とファン48およびLEDランプ46の駆動状態の一例を示す説明図である。
図5】使用時脱臭制御が行われる際の様子を示す説明図である。
図6】非使用時脱臭制御が行われる際の様子を示す説明図である。
図7】フィルタ洗浄制御が行われる際の様子を示す説明図である。
図8】使用時脱臭制御が行われる際の一例を示すタイムチャートである。
図9】フィルタ洗浄制御が行われる際の一例を示すタイムチャートである。
図10】変形例の脱臭ユニット30Bの構成図である。
図11】変形例の脱臭ユニット30Cの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、洗浄便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図である。図2は、洗浄便座装置10の構成図である。便器1は、洋式便器であり、便器1の上面に洗浄便座装置10が設置されている。
【0015】
洗浄便座装置10は、図1に示すように、便器1の後方に設置される便座装置本体11と、便座装置本体11に回動自在に支持された便座12と、便座装置本体11に回動自在に支持された便蓋13と、使用者により操作されるリモコン14とを備える。また、洗浄便座装置10は、便座装置本体11に、使用者の局部洗浄を行うおしり洗浄ノズルやビデ洗浄ノズルなどの洗浄ノズル21を有するノズルユニット20と、臭気を脱臭する脱臭ユニット30と、洗浄便座装置10の全体を制御する制御部50とを備える。
【0016】
ノズルユニット20は、給水源に接続された給水路22の通水の有無を切り替える給水バルブ23と、給水バルブ23を通過した洗浄水を加熱する加熱ヒータ24と、加熱ヒータ24から出力された洗浄水の供給先の切り替えと給水量の調整とが可能な切替バルブ25とを備える。加熱ヒータ24は、例えば洗浄水を瞬間的に加熱するセラミックヒータであり、例えば1500Wの定格出力を有する。切替バルブ25は、おしり洗浄用の洗浄ノズル21へ洗浄水を供給するおしり洗浄用供給路26aと、ビデ洗浄用の洗浄ノズル21へ洗浄水を供給するビデ洗浄用供給路26bと、脱臭ユニット30の後述する切替槽36へ洗浄水を供給する切替槽用供給路26cとのうちいずれかに、洗浄水を選択的に供給するように構成されている。なお、ノズルユニット20は、この他に、各洗浄ノズル21を前後方向に進退移動させるノズル駆動部や、洗浄水の流量を検出する流量センサ、加熱ヒータ24により加熱された洗浄水の温度を検出する温度センサなどを備える。
【0017】
脱臭ユニット30は、吸気口31aから吸入され筒状の流路31を流通して排気口31bから排出される空気(臭気)を脱臭する。本実施形態では、例えば便器1の便鉢内に吸気口31aが開口し、便器1が設置されたトイレ室内に排気口31bが開口するように流路31が形成されている。脱臭ユニット30は、流路31内に、活性炭フィルタ42と、光触媒フィルタ44と、LEDランプ46と、ファン48とを備える。
【0018】
活性炭フィルタ42は、活性炭が基材に担持されたフィルタであり、活性炭によりアンモニアや硫化水素などの臭気成分を吸着除去することが可能となっている。光触媒フィルタ44は、例えば酸化チタンなどの光触媒が基材に担持されたフィルタであり、LEDランプ46から紫外線などの光が照射されることにより臭気成分を分解除去することが可能となっている。活性炭フィルタ42は、光触媒フィルタ44よりも、圧力損失が大きく且つ脱臭性能が高いフィルタであり、例えば圧力損失が光触媒フィルタ44の2倍程度となるように形成されている。特に限定するものではないが、例えば活性炭フィルタ42の圧力損失が80~90Paで、光触媒フィルタ44の圧力損失が40~50Paである。なお、活性炭フィルタ42の圧力損失を、光触媒フィルタ44の2倍以上に大きくしてもよい。また、光触媒フィルタ44に光を照射するランプは、LEDランプ46に限られず、ハロゲンランプや蛍光ランプなどでもよい。ファン48は、吸気口31aから流路31内に空気を吸入し排気口31bから排出するように送風する。
【0019】
また、脱臭ユニット30の流路31には、ファン48よりも上流側の一部に、空気の流通方向(図2の左右方向,軸方向)に沿って延在する隔壁32が設けられている。本実施形態では、流路31内の一部が隔壁32によって上下に区画されており、上側が活性炭フィルタ42が配置された活性炭用流路(活性炭フィルタ流路)33となり、下側が光触媒フィルタ44が配置された光触媒用流路(光触媒フィルタ流路)35となっている。このように、活性炭フィルタ42と光触媒フィルタ44とが流路31内に並列に配置されている。このため、吸気口31aから吸入された空気は、活性炭用流路33の活性炭フィルタ42および光触媒用流路35の光触媒フィルタ44のいずれかを通って排気口31bから排出される。
【0020】
活性炭用流路33は、隔壁32の後端側の上面から上方に延在する絞り壁32aによって、下流側(出口側、ファン48側)の流路面積が絞られている。また、光触媒用流路35には、切替槽36と、仕切壁37a,37b,37c,37dと、収容槽38とが設けられている。仕切壁37aは、隔壁32の前端側の下面から下方に延在し、下端位置が隔壁32から流路31の内壁面までの略中間の位置となっている。なお、光触媒用流路35は、流路31の前端壁31cと仕切壁37aとの間から空気が流入する。仕切壁37bは、仕切壁37aよりも下流側で流路31の内壁面から上方に延在し、上端位置が仕切壁37aの下端位置よりも上方の位置となっている。仕切壁37cは、仕切壁37bよりも下流側で隔壁32の下面から下方に延在し、下端位置が仕切壁37bの上端位置よりも下方の位置となっている。仕切壁37dは、仕切壁37cよりも下流側で流路31の内壁面から上方に延在し、上端位置が仕切壁37cの下端位置よりも上方の位置となっている。
【0021】
切替槽36は、流路31の側壁(内壁)の一部を底壁として、流路31の前端壁31cと仕切壁37bとにより区画され、水(洗浄水)を貯留可能に形成されている。なお、仕切壁37aは、上方から切替槽36内に延在している。切替槽36は、底面に切替槽用供給路26cが接続され、切替槽用供給路26cから供給された洗浄水を貯留する。切替槽36の貯水量が仕切壁37aの下端に到達すると、光触媒用流路35内の空気の流通が遮断される。即ち、切替槽36は、水の貯留の有無により光触媒用流路35の空気の流通可否を切り替えるように構成されている。また、切替槽36は、底面に排水路39aが接続され、槽内の洗浄水を排水路39aを介して便器1の便鉢内に排出する。排水路39aは、切替槽用供給路26cよりも小さな断面積であり、槽内の洗浄水を常時排出する。
【0022】
収容槽38は、流路31の側壁(内壁)の一部を底壁として、仕切壁37bと仕切壁37dとにより区画され、光触媒フィルタ44を収容する。LEDランプ46は、隔壁32の光触媒用流路35側の面(下面)に、光触媒フィルタ44に対向するように取り付けられている。収容槽38は、切替槽36と仕切壁37bを共用して設けられている。即ち、収容槽38は、光触媒用流路35において収容槽38の下流側に、収容槽38と隣接して設けられている。光触媒フィルタ44は、収容槽38内の前方側に収容されている。また、仕切壁37cは、上方から収容槽38内に延在し、その下端位置が光触媒フィルタ44の上面と略同じ位置となっている。このため、光触媒用流路35を流通する空気は、切替槽36、仕切壁37bと隔壁32との間、光触媒フィルタ44、仕切壁37cの下方、仕切壁37dと隔壁32との間を順に流通する。
【0023】
また、切替槽36と収容槽38とが隣接しているため、切替槽36に供給される洗浄水の水量によっては、切替槽36から溢れた洗浄水が仕切壁37bを超えて収容槽38に流入する。収容槽38は、流入(供給)された洗浄水を光触媒フィルタ44を浸漬するように貯留することで光触媒フィルタ44を洗浄する。また、収容槽38は、底面に排水路39bが接続され、槽内の洗浄水を排水路39bを介して便器1の便鉢内に常時排出する。
【0024】
リモコン14には、おしり洗浄を指示するおしり洗浄スイッチやビデ洗浄を指示するビデ洗浄スイッチ、洗浄の停止を指示する停止スイッチ、洗浄水の温度を調整する温度調整スイッチ、脱臭ユニット30による脱臭動作の有無を指示する脱臭スイッチなどが設けられている。
【0025】
制御部50は、CPU52を中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPU52の他にROM54やRAM56,タイマ58,入出力ポートなどを備える。制御部50には、図2に示すように、リモコン14からの操作信号やトイレ室内の人体(使用者)を検知する人体検知センサ15からの検知信号、便座12への使用者の着座を検知する着座検知センサ16からの検知信号などが入力ポートを介して入力される。また、制御部50からは、ノズルユニット20の加熱ヒータ24や切替バルブ25、洗浄ノズル21の駆動部などへの駆動信号や、脱臭ユニット30のLEDランプ46やファン48への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0026】
以下は、こうして構成された洗浄便座装置10の脱臭ユニット30の動作の説明である。図3は、脱臭関連処理の一例を示すフローチャートである。この脱臭関連処理は、脱臭スイッチの操作により脱臭動作の有りが指示されている状態で、制御部50のCPU52により実行される。脱臭関連処理では、CPU52は、光触媒フィルタ44を洗浄中(後述するフィルタ洗浄制御を実行中)であるか否かを判定し(S100)、洗浄中でないと判定すると、人体検知センサ15からの検知信号に基づいて使用者を検知したか否かを判定する(S110)。CPU52は、使用者を検知したと判定すると、使用時脱臭中であるか否かを判定し(S120)、使用時脱臭中でないと判定すると、使用時脱臭制御を実行して(S130)、S160に進む。CPU52は、使用時脱臭中であると判定すると、S130をスキップしてS160に進む。
【0027】
使用時脱臭制御では、CPU52は、図4に示すように、切替槽36を満水(貯水)状態とすると共に収容槽38を空水状態とし、ファン48をオンとすると共にLEDランプ46をオフとする。即ち、CPU52は、洗浄水の供給先を切替槽用供給路26cに切り替えるように切替バルブ25を制御し、切替槽36から洗浄水が溢れない所定の給水量で切替槽36に給水する。これにより、切替槽36に水を貯留させて(満水状態として)、光触媒用流路35に空気(臭気)を流通させないものとなる。また、CPU52は、一定の風量を送風(吸引)するようにファン48を駆動する。このため、図5に示すように、吸気口31aから吸入した空気は活性炭用流路33を流通するから(図5の実線矢印)、活性炭フィルタ42により臭気を迅速に除去することができる。
【0028】
一方、CPU52は、S110で使用者を検知していないと判定すると、非使用時脱臭中であるか否かを判定し(S140)、非使用時脱臭中でないと判定すると、非使用時脱臭制御を実行して(S150)、S160に進む。また、CPU52は、非使用時脱臭中であると判定すると、S150をスキップしてS160に進む。
【0029】
非使用時脱臭制御では、CPU52は、図4に示すように、切替槽36および収容槽38を空水状態とし、ファン48をオンとすると共にLEDランプ46をオンとする。即ち、CPU52は、洗浄水が切替槽36に給水されないように給水バルブ23を制御する。また、CPU52は、一定の風量を送風(吸引)するようにファン48を駆動する。なお、使用時脱臭制御から非使用時脱臭制御に切り替わった場合、切替槽36への給水を停止すると、切替槽36に貯留されていた水が排水路39aから排水されていくから、切替槽36の貯水量が徐々に減少して空水状態となる。また、光触媒フィルタ44が乾いて圧力損失の大小関係が元に戻ると、空気(臭気)は主に光触媒用流路35を流通し(図6の実線矢印)、圧力損失の大きい活性炭用流路33には流通しにくくなる(図6の点線矢印)。このようにして、主に光触媒フィルタ44で脱臭する非使用時脱臭が行われる。
【0030】
次に、CPU52は、光触媒フィルタ44の所定の洗浄タイミング(洗浄開始タイミング)であるか否かを判定する(S160)。所定の洗浄タイミングは、例えば月に1回などの所定期間毎に到来するタイミングに定められている。あるいは、光触媒フィルタ44による脱臭時間(洗浄後の使用時間)をタイマ58で計時しておき、その脱臭時間が所定時間に到達したタイミングを所定の洗浄タイミングとしてもよい。CPU52は、洗浄タイミングであると判定すると、フィルタ洗浄制御を実行し(S170)、洗浄タイミングでないと判定すると、S170をスキップする。S170のフィルタ洗浄制御では、ファン48をオフとするが、オンとする場合もあり、詳細は後述する。
【0031】
続いて、CPU52は、フィルタ洗浄制御の終了タイミング(洗浄終了タイミング)であるか否かを判定する(S180)。終了タイミングは、例えばフィルタ洗浄制御を実行してからの経過時間が所定の洗浄時間に到達したタイミングなどに定められている。また、所定の洗浄時間は、光触媒フィルタ44の洗浄に必要な時間として、光触媒フィルタ44のサイズや種類などに基づいて予め定められている。なお、CPU52は、例えば光触媒フィルタ44の使用時間即ち非使用時脱臭制御の実行時間が長いほど長くなるように所定の洗浄時間を設定してもよい。CPU52は、フィルタ洗浄制御の終了タイミングであると判定すると、フィルタ洗浄制御を終了して(S190)、S100に戻り、終了タイミングでないと判定すると、S190をスキップしてS100に戻る。
【0032】
CPU52は、S100でフィルタ洗浄中であると判定した場合、人体検知センサ15からの検知信号に基づいて使用者を検知したか否かを判定する(S200)。CPU52は、使用者を検知したと判定すると、ファン48をオンとして(S210)、S180に進み、使用者を検知していないと判定すると、S210をスキップしてS180に進む。
【0033】
フィルタ洗浄制御では、CPU52は、図4に示すように、切替槽36および収容槽38を満水状態とし、ファン48をオフ(またはオン)とすると共にLEDランプ46をオフとする。即ち、CPU52は、洗浄水の供給先を切替槽用供給路26cに切り替えるように切替バルブ25を制御し、切替槽36を満水状態とし且つ切替槽36から溢れた洗浄水が収容槽38に流入して収容槽38を満水状態とする給水量で切替槽36に給水する。これにより、図7に示すように、切替槽36と収容槽38とに水を貯留し(満水状態とし)、光触媒用流路35に空気を流通させない状態で、収容槽38内の光触媒フィルタ44を洗浄水に浸漬させることができる。このため、光触媒フィルタ44を洗浄し臭気分解時に生じた生成物を除去して脱臭性能を再生することができる。
【0034】
また、フィルタ洗浄制御では、ファン48をオフとすればよいが、S200で使用者を検知した場合即ちフィルタ洗浄中に洗浄便座装置10が使用される場合には、ファン48をオンとする。このため、図7に示すように、吸気口31aから吸入した空気(臭気)は活性炭用流路33を流通するから(図7の実線矢印)、フィルタ洗浄中でも、使用時脱臭制御と同じ状態として、活性炭フィルタ42により臭気を迅速に除去することができる。なお、図示は省略するが、使用者を検知しなくなれば、ファン48をオフとしてフィルタ洗浄制御を行えばよい。このように、光触媒フィルタ44の洗浄は、洗浄便座装置10の使用時と非使用時のいずれにおいても実行することができる。
【0035】
ここで、図8は、使用時脱臭制御が行われる際の一例を示すタイムチャートである。また、図9は、フィルタ洗浄制御が行われる際の一例を示すタイムチャートである。図8図9では、切替槽36の貯水量と、収容槽38の貯水量と、切替槽36への給水量と、LEDランプ46の点灯有無(オンオフ)との時間推移を示す。また、図8図9では、それぞれ時刻t10,t20までは、LEDランプ46をオンとして非使用時脱臭制御が行われている。
【0036】
図8では、CPU52は、時刻t10で使用者を検知すると、洗浄水の供給先を切替槽用供給路26cに切り替えて切替槽36へ給水すると共にLEDランプ46をオフとする。また、切替槽36を速やかに満水とするように、単位時間当たりに排水路39aの所定の排水量を超える最大(100%)の給水量で給水が行われる。最大の給水量での給水時間(時刻t10から時刻t11までの時間)は、切替槽36の貯水量と、単位時間当たりの最大の給水量とに基づいて、予め定められている。切替槽36が満水状態になると(時刻t11)、光触媒用流路35に空気(臭気)を流通させない状態となる(図5参照)。また、使用時脱臭中は、排水路39aからの排水分を補給することで、切替槽36の貯水量を維持する。
【0037】
また、例えば時刻t12で局部洗浄が指示されると、CPU52は、洗浄水の供給先を局部洗浄用の供給路(おしり洗浄用供給路26aまたはビデ洗浄用供給路26b)に切り替えて切替槽36への給水を終了させる。これにより、切替槽36の貯水量が減少していく(時刻t12~t13)。なお、切替槽36の貯水量が減少しても、直ちに貯水量が値0となるわけではなく、貯水されている洗浄水の水面と仕切壁37aの下端との隙間を空気が流通する。即ち光触媒用流路35は空気が流通しにくいため、空気(臭気)は主に活性炭用流路33を流通して脱臭される。
【0038】
そして、時刻t13で局部洗浄の停止が指示されると、CPU52は、洗浄水の供給先を切替槽用供給路26cに切り替えて切替槽36への給水を再開させる。その際、切替槽36を速やかに満水とするように最大(100%)の給水量で給水させる(時刻t13~t14)。時刻t13~t14の時間は、時刻t12~t13の間の排出水量を補給するのに必要な時間として算出することができる。また、CPU52は、時刻t15で使用者を検知しなくなると、切替槽36への給水を停止してLEDランプ46をオンとすることで、非使用時脱臭制御を開始する。なお、CPU52は、使用者を検知しなくなってから所定時間が経過するのを待って、非使用時脱臭制御を開始してもよい。
【0039】
図9では、CPU52は、時刻t20で所定の洗浄タイミングになったと判定すると、洗浄水の供給先を切替槽用供給路26cに切り替えて切替槽36へ給水させると共にLEDランプ46をオフとする。また、切替槽36を速やかに満水とするように最大(100%)の給水量で給水させ、切替槽36が満水状態(100%)となっても(時刻t21)、収容槽38を速やかに満水とするように最大の給水量で給水が継続させる。なお、最大の給水量は、排水路39a,39bの合計の排水量を超える給水量である。また、最大の給水量での給水時間(時刻t20から時刻t22までの時間)は、切替槽36および収容槽38の合計の貯水量と、単位時間当たりの最大の給水量と、排水路39a,39bの合計の排水量とに基づいて予め定められている。
【0040】
そして、収容槽38が満水状態となった時刻t22以降は、CPU52は、切替槽36および収容槽38の貯水量を維持するように、即ち排水路39a,39bの合計の排水量を補給するための給水量とする(時刻t22~t23)。これにより、収容槽38内の光触媒フィルタ44の浸漬が維持されて、光触媒フィルタ44が洗浄される。そして、時刻t23でフィルタ洗浄制御の終了タイミングになると、CPU52は、切替槽36(収容槽38)への給水を終了させてLEDランプ46をオンとする。即ち、CPU52は、フィルタ洗浄制御を終了して、非使用時脱臭制御を開始する。
【0041】
以上説明した洗浄便座装置10では、光触媒用流路35に空気を流通させて光触媒フィルタ44で脱臭する非使用時脱臭制御(第1脱臭制御)と、切替槽36に貯水させて光触媒用流路35の空気の流通を遮断した状態で活性炭用流路33に空気を流通させて活性炭フィルタ42で脱臭する使用時脱臭制御(第2脱臭制御)とを実行する。これにより、切替槽36に貯水させる簡易な構成で、空気の流通を光触媒用流路35から活性炭用流路33に切り替えて脱臭を行うことができる。また、光触媒用流路35から活性炭用流路33に切り替える際に収容槽38に貯水する必要がないから、光触媒フィルタ44を必要以上に洗浄水に浸漬させて洗浄と乾燥とが繰り返されるのを防止することができる。このため、光触媒フィルタ44の洗浄と乾燥とが頻繁に繰り返されることで洗浄水中のシリカなどが光触媒に付着して、光触媒の表面を覆うように固着することにより、光触媒フィルタ44の臭気の分解速度が低下するのを抑制することができる。したがって、2種類のフィルタを簡易な構成で切り替えながら使用して、脱臭効率を高めつつフィルタの長寿命化を図ることができる。
【0042】
また、切替槽36と収容槽38とは、仕切壁37bを介して隣接して設けられているから、脱臭ユニット30をコンパクトな構成とすることができる。また、切替槽36から仕切壁37bを越えたて収容槽38に給水するため、切替槽36への給水路と収容槽38への給水路とを別々に設ける必要がなく、より簡易な構成とすることができる。
【0043】
また、制御部50は、洗浄便座装置10の使用中(使用者を検知中)に使用時脱臭制御を実行し、洗浄便座装置10の使用が終了すると(使用者を非検知)、非使用時脱臭制御を実行し、光触媒フィルタ44の所定の洗浄タイミングになると収容槽38に貯水されるように給水部を制御するフィルタ洗浄制御を実行する。このため、洗浄タイミングになれば、光触媒フィルタ44を適切に洗浄させて、光触媒フィルタ44の長寿命化を図ることができる。
【0044】
また、使用時脱臭制御を開始する際に切替槽36の排水量を超える給水量で給水し、使用時脱臭中は切替槽36の排水量を補う給水量で給水する。また、フィルタ洗浄制御を開始する際に切替槽36と収容槽38との合計の排水量を超える給水量で切替槽36(収容槽38)に給水し、フィルタ洗浄中は切替槽36と収容槽38との合計の排水量を補う給水量で切替槽36(収容槽38)に給水する。このため、必要な流量の水を適切に給水して、使用時脱臭制御やフィルタ洗浄制御を適切に行うことができる。
【0045】
また、洗浄便座装置10の非使用時には、活性炭フィルタ42の圧力損失と活性炭用流路33の絞り壁34との相乗効果により、活性炭用流路33の圧力損失を光触媒用流路35よりも確実に大きくする。これにより、非使用時には光触媒用流路35への空気の流通を促して、使用時に脱臭しきれずに漂う臭気を光触媒フィルタ44で脱臭することができる。また、非使用時には、活性炭フィルタ42への空気の流通を抑制して使用時間を限定するため、活性炭フィルタ42の長寿命化を図ることができる。また、LEDランプ46の点灯を非使用時脱臭中に限定して不要な点灯を抑制するから、光触媒フィルタ44による脱臭を適切に行うことができる。また、切替バルブ25は、洗浄水の供給先を洗浄ノズル21と切替槽36とに切り替え可能であり、局部洗浄用に給水する構成と切替槽36に給水する構成とを共用できるから、簡易な構成として洗浄便座装置10の大型化を防止することができる。また、加熱ヒータ24で加熱された洗浄水を切替槽36から収容槽38に供給することで光触媒フィルタ44を洗浄する効果を高めることもできる。
【0046】
上述した実施形態では、切替槽36と収容槽38とが仕切壁37bを介して隣接して設けられたが、これに限られず、切替槽36と収容槽38とが離間して設けられていてもよい。図10は、変形例の脱臭ユニット30Bの構成図である。この変形例では、仕切壁37bよりも下流側で流路31の内壁面から上方に延在し、上端位置が仕切壁37bと同じ位置の仕切壁37eと、仕切壁37bの上端と仕切壁37eの上端とを連結するように水平方向(図10の左右方向,軸方向)に延びる連結壁37fが設けられている。なお、連結壁37fは、上面が水平でもよいが、切替槽36から溢れた洗浄水の収容槽38Bへの流入を促すように、切替槽36から収容槽38Bに向けて下方に傾斜していてもよい。
【0047】
このように、変形例では、切替槽36と収容槽38Bとが離間して設けられているから、レイアウト上の制約などにより切替槽36と収容槽38Bとを隣接させることができない場合でも、脱臭ユニット30Bを配置することが可能となる。例えば、仕切壁37bと仕切壁37eと連結壁37fとにより囲まれる脱臭ユニット30B外の空間に、別の部材や配線などを配設してレイアウト上の制約を解消しつつ、切替槽用供給路26cから切替槽36を介して収容槽38Bに洗浄水を供給することができる。
【0048】
また、図11は、変形例の脱臭ユニット30Cの構成図である。脱臭ユニット30Cでは、脱臭ユニット30Bと同様に、切替槽36と収容槽38Cとが離間して設けられている。また、脱臭ユニット30Cでは、収容槽38Cに洗浄水を供給するための専用の収容槽用供給路26dが、収容槽38Cの底面に接続されている。また、切替バルブ25は、おしり洗浄用供給路26aとビデ洗浄用供給路26bと切替槽用供給路26cと収容槽用供給路26dとに、洗浄水を選択的に供給するように構成されている。このように、切替槽36と収容槽38Cとに個別に給水可能に構成されているから、制御部50は、使用時脱臭制御では、切替槽36に給水するように切替バルブ25を切り替え、フィルタ洗浄制御では、収容槽38Cに給水するように切替バルブ25を切り替えればよい。これにより、レイアウト上の制約などにより切替槽36と収容槽38Cとを離間して設けつつ、光触媒フィルタ44を洗浄する際に収容槽38Cに速やかに給水して、フィルタ洗浄を速やかに開始することができる。また、光触媒フィルタ44を洗浄する際に、切替槽36に貯水する必要がないから、洗浄水の使用量を抑えることができる。
【0049】
実施形態では、局部洗浄用に給水する構成と切替槽36に給水する構成とを共用したが、これに限られず、局部洗浄用に給水する構成と切替槽36に給水する構成とを別々に設けてもよい。即ち、脱臭ユニット30が、切替槽36に洗浄水を供給するための専用の給水部を備えてもよい。こうすれば、使用時脱臭制御中に局部洗浄が行われても、切替槽36の満水状態を確実に維持することができる。なお、脱臭ユニット30が、切替槽36や収容槽38に洗浄水を供給する給水部と、使用時脱臭制御と非使用時脱臭制御とフィルタ洗浄制御とを実行する制御部とを備えてもよい。
【0050】
実施形態では、人体検知センサ15からの検知信号に基づいて使用者を検知すると使用時脱臭制御を開始し、使用者を検知しなくなると非使用時脱臭制御を開始したが、これに限られない。例えば、着座検知センサ16により便座12への着座を検知すると使用時脱臭制御を開始してもよいし、便座12からの脱座を検知すると非使用時脱臭制御を開始してもよい。また、実施形態では、洗浄便座装置10の非使用時に非使用時脱臭制御としての第1脱臭制御を実行し、洗浄便座装置10の使用時に使用時脱臭制御としての第2脱臭制御を実行したが、これに限られない。即ち、使用時か否かに拘わらず、第1脱臭制御と第2脱臭制御とを切り替えて実行してもよい。
【0051】
実施形態では、切替槽36や収容槽38は、便鉢内に常時排水するように構成したが、これに限られず、排水の有無を切り替え可能に構成してもよい。ただし、簡易な構成とするために、実施形態のようにするものが好ましい。また、実施形態では、切替槽36に貯水させると光触媒用流路35を空気が流通不能としたが、これに限られず、切替槽36に貯水させると光触媒用流路35の空気の流通度合いが低下することで、主に活性炭用流路33に空気を流通させるようにしてもよい。
【0052】
実施形態では、光触媒フィルタ44(第1フィルタ)とは種類の異なる第2フィルタとして活性炭フィルタ42を備えたが、これに限られない。第2フィルタは、第1フィルタと異なり光触媒を有さないフィルタであればよく、活性炭などで物理的に吸着するフィルタ以外に、例えばイオン交換繊維などで化学的に吸着する化学フィルタでもよいし、化学的な吸着と物理的な吸着とが可能なフィルタでもよい。また、実施形態では、隔壁32に絞り壁32aを設け、活性炭用流路33の下流側の流路面積が絞られているものとしたが、これに限られず、絞り壁32aを設けなくてもよい。
【0053】
実施形態では、ファン48を一定の回転速度で駆動して風量を一定としたが、これに限られず、風量を変化させてもよい。例えば使用時脱臭ではファン48の回転速度を上げて風量を大きくし、非使用時脱臭ではファン48の回転速度を下げて風量を小さくしてもよい。あるいは、使用者からの操作指示に基づいて風量を変化させてもよい。
【0054】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した本開示の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態の脱臭ユニット30が本開示の「脱臭装置」に相当し、光触媒フィルタ44が「第1フィルタ」に相当し、活性炭フィルタ42が「第2フィルタ」に相当し、LEDランプ46が「ランプ」に相当し、光触媒用流路35が「第1流路」に相当し、活性炭用流路33が「第2流路」に相当し、流路31が「流路」に相当し、ファン48が「ファン」に相当し、切替槽36が「切替槽」に相当し、収容槽38が「収容槽」に相当し、給水路22と給水バルブ23と切替バルブ25とが「給水部」に相当し、制御部50が「制御部」に相当する。
【0055】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した本開示の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した本開示を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した本開示の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した本開示についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した本開示の具体的な一例に過ぎないものである。
【0056】
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示は、便座装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 便器、10 洗浄便座装置、11 便座装置本体、12 便座、13 便蓋、14 リモコン、15 人体検知センサ、16 着座検知センサ、20 ノズルユニット、21 洗浄ノズル、22 給水路、23 給水バルブ、24 加熱ヒータ、25 切替バルブ、26a おしり洗浄用供給路、26b ビデ洗浄用供給路、26c 切替槽用供給路、30,30B,30C 脱臭ユニット、31 流路、31a 吸気口、31b 排気口、31c 前端壁、32 隔壁、32a 絞り壁、33 活性炭用流路、35 光触媒用流路、36 切替槽、37a,37b,37c,37d,37e 仕切壁、37f 連結壁、38,38B,38C 収容槽、39a,39b 排水路、42 活性炭フィルタ、44 光触媒フィルタ、46 LEDランプ、48 ファン、50 制御部、52 CPU、54 ROM、56 RAM、58 タイマ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11