(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122469
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、膜厚測定方法、及び温度測定方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240902BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/66 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030028
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 誠
(72)【発明者】
【氏名】今村 翼
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆希
(72)【発明者】
【氏名】古林 愛
【テーマコード(参考)】
4M106
5F004
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA05
4M106BA08
4M106CA48
4M106DH02
4M106DH03
4M106DH13
4M106DH32
4M106DJ02
4M106DJ20
5F004AA09
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB28
5F004CB09
5F004CB12
5F004DB00
(57)【要約】
【課題】基板に関する各種情報を高精度に取得すること。
【解決手段】実施形態の半導体装置の製造方法は、被加工膜と、被加工膜の上方に形成されたマスクパターンと、を有する基板を用意し、マスクパターンから露出する被加工膜をエッチングする、ことを含み、被加工膜のエッチングは、予め基板の裏面に光を照射し、基板の裏面で反射された第1の反射光と、基板を透過して被加工膜の下面で反射された第2の反射光とが干渉して生じた第1の干渉光を観測し、第1の反射光と、基板および被加工膜を透過して被加工膜の上面を透過することなく反射された第3の反射光とが干渉して生じた第2の干渉光を観測し、第1及び第2の干渉光に基づいて、被加工膜の厚さを算出し、第1及び第2の干渉光から算出した被加工膜の厚さに基づくエッチング条件で行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工膜と、
前記被加工膜の上方に形成されたマスクパターンと、を有する基板を用意し、
前記マスクパターンから露出する前記被加工膜をエッチングする、ことを含み、
前記被加工膜のエッチングは、
予め前記基板の裏面に光を照射し、
前記基板の裏面で反射された第1の反射光と、前記基板を透過して前記被加工膜の下面で反射された第2の反射光とが干渉して生じた第1の干渉光を観測し、
前記第1の反射光と、前記基板および前記被加工膜を透過して前記被加工膜の上面を透過することなく反射された第3の反射光とが干渉して生じた第2の干渉光を観測し、
前記第1及び第2の干渉光に基づいて、前記被加工膜の厚さを算出し、
前記第1及び第2の干渉光から算出した前記被加工膜の厚さに基づくエッチング条件で行う、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記マスクパターンは、
前記基板に照射される前記光を遮光する遮光層であり、
前記被加工膜のエッチングは、
前記基板および前記被加工膜を透過して前記遮光層の下面で反射された反射光を前記第3の反射光として前記被加工膜の厚さを算出して行う、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記被加工膜は、
複数の第1の絶縁層と複数の第2の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された膜である、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記被加工膜を形成する前の前記基板の裏面に前記光を照射し、前記基板の裏面で反射された第4の反射光と、前記基板中を透過して前記基板のおもて面を透過することなく反射された第5の反射光とが干渉して生じた第3の干渉光を観測する、ことをさらに含み、
前記被加工膜のエッチングは、
前記第1及び第2の干渉光に加えて、前記第3の干渉光にも基づいて、前記被加工膜の厚さを算出して行う、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
所定の間隔を空けて配され、所定波長の光を遮光する複数の遮光層と、
前記複数の遮光層の上方に位置し、複数の第1の絶縁層と複数の第2の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された被加工膜と、
前記被加工膜の上方に位置し、複数の開口を有するマスクパターンと、を有する基板を用意し、
前記複数の開口から露出する前記被加工膜をエッチングする、ことを含み、
前記被加工膜のエッチングは、
前記被加工膜をエッチングしつつ前記基板の裏面に前記光を照射し、
前記基板の裏面で反射された第1の反射光と、前記基板を透過して前記複数の遮光層の下面で反射された第2の反射光とが干渉して生じた干渉光を観測し、
前記干渉光に基づいて、エッチング処理中の前記基板の温度を算出し、
前記干渉光から算出した前記基板の温度に基づいて、エッチング処理中の前記基板の温度を調整して行う、
半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記複数の遮光層は、
前記基板に照射される前記光の波長未満の間隔で前記基板のおもて面に形成される、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記複数の遮光層における前記光の透過率であって、次式で表される透過率Tは20%未満である、
【数4】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の遮光層は、
カーボン、チタン、及びタングステン、並びにこれらの窒化物の少なくともいずれかを主成分とする層である、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
被加工膜が形成された基板を用意し、
前記基板の裏面に光を照射し、
前記基板の裏面で反射された第1の反射光と、前記基板を透過して前記被加工膜の下面で反射された第2の反射光とが干渉して生じた第1の干渉光を観測し、
前記第1の反射光と、前記基板および前記被加工膜を透過して前記被加工膜の上面を透過することなく反射された第3の反射光とが干渉して生じた第2の干渉光を観測し、
前記第1及び第2の干渉光に基づいて、前記被加工膜の厚さを算出する、
膜厚測定方法。
【請求項10】
おもて面に、所定波長の光を遮光する複数の遮光層が所定の間隔を空けて形成され、複数の第1の絶縁層と複数の第2の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された被加工膜が形成され、さらに、前記被加工膜の上方に複数の開口を有するマスクパターンが形成された基板を用意し、
前記複数の開口から露出する前記被加工膜をエッチングしつつ前記基板の裏面に前記光を照射し、
前記基板の裏面で反射された第1の反射光と、前記基板を透過して前記複数の遮光層の下面で反射された第2の反射光とが干渉して生じた干渉光を観測し、
前記干渉光に基づいて、エッチング処理中の前記基板の温度を算出する、
温度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法、膜厚測定方法、及び温度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、プラズマにより基板の被加工膜をエッチングする処理が行われる場合がある。プラズマを用いたエッチング処理においては、各種エッチング条件を高精度に制御して、所望の加工形状を得ることが望ましい。このため、基板上の被加工膜の膜厚およびエッチング処理中の基板温度等の各種情報を如何に精度よく取得するかが課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-316279号公報
【特許文献2】特開平7-004921号公報
【特許文献3】特開2001-160576号公報
【特許文献4】特表2017-507338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、基板に関する各種情報を高精度に取得することが可能な半導体装置の製造方法、膜厚測定方法、及び温度測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置の製造方法は、被加工膜と、前記被加工膜の上方に形成されたマスクパターンと、を有する基板を用意し、前記マスクパターンから露出する前記被加工膜をエッチングする、ことを含み、前記被加工膜のエッチングは、予め前記基板の裏面に光を照射し、前記基板の裏面で反射された第1の反射光と、前記基板を透過して前記被加工膜の下面で反射された第2の反射光とが干渉して生じた第1の干渉光を観測し、前記第1の反射光と、前記基板および前記被加工膜を透過して前記被加工膜の上面を透過することなく反射された第3の反射光とが干渉して生じた第2の干渉光を観測し、前記第1及び第2の干渉光に基づいて、前記被加工膜の厚さを算出し、前記第1及び第2の干渉光から算出した前記被加工膜の厚さに基づくエッチング条件で行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1にかかるプラズマ処理装置の構成の一例を模式的に示す断面図。
【
図2】実施形態1にかかる干渉計の構成の一例を示す模式図。
【
図3】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図4】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図5】実施形態1にかかる干渉計により得られるデータの説明図。
【
図6】実施形態1にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
【
図7】実施形態1にかかるウェハのプラズマ処理の手順の一例を示すフロー図。
【
図8】実施形態2にかかるプラズマ処理装置の構成の一例を模式的に示す断面図。
【
図9】実施形態2にかかるプラズマ処理装置が備える静電チャックの温度調整機構の一例を示す模式図。
【
図10】実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図11】実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図12】実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図13】実施形態2にかかる遮光層およびその上下の構成を示す模式図。
【
図14】実施形態2にかかるプラズマ処理中のウェハの状態を示す模式図。
【
図15】実施形態2にかかるウェハのプラズマ処理の手順の一例を示すフロー図。
【
図16】実施形態2の変形例にかかる遮光層の候補となり得る材質の光学特性を示すグラフ。
【
図17】実施形態2の変形例にかかる遮光層の透過率を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0009】
(プラズマ処理装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかるプラズマ処理装置1の構成の一例を模式的に示す断面図である。プラズマ処理装置1は、例えばウェハ100上に形成された被加工膜をプラズマによりエッチング処理するプラズマエッチング装置として構成されている。
【0010】
図1に示すように、プラズマ処理装置1は、ウェハ100を処理する処理容器であるチャンバ11を備える。チャンバ11は例えばアルミニウム製であり、気密に封止することが可能である。
【0011】
チャンバ11の上部には、ガス供給口13が設けられている。ガス供給口13には、配管を通じて図示しないガス供給装置が接続され、ウェハ100を処理する際に使用される処理ガスが供給される。
【0012】
ガス供給口13の下方には、上部電極として機能するシャワーヘッド18が設けられている。シャワーヘッド18には、板厚方向にシャワーヘッド18を貫通する複数のガス吐出口18gが設けられている。ガス供給口13から供給された処理ガスは、ガス吐出口18gを介してチャンバ11内に導入される。シャワーヘッド18の下方には、シャワーヘッド18に対向するように静電チャック20が配置されている。
【0013】
静電チャック20は、チャンバ11内で処理対象のウェハ100を静電的に吸着して支持するとともに、ウェハ100の温度を調整可能に構成され、また、下部電極としても機能する。チャンバ11の側面には図示しないウェハ100の搬入出口が設けられており、ウェハ100はこの搬入出口より図示しない搬送アームによってチャンバ11内の静電チャック20に載置される。
【0014】
静電チャック20は、チャンバ11の中央付近の底壁から鉛直上方に筒状に突出する支持部12上に支持されている。支持部12は、シャワーヘッド18から所定の距離を隔てたチャンバ11の中央付近に、シャワーヘッド18と平行に対向するように静電チャック20を支持する。このような構造によって、シャワーヘッド18と静電チャック20とは、1対の平行平板電極を構成している。
【0015】
また、静電チャック20は、ウェハ100を静電吸着するチャック機構を備える。チャック機構は、給電板としてのチャック電極24、給電線45、及び電源46を備える。チャック電極24には、給電線45を介して電源46が接続されている。このような機構によって、電源46からチャック電極24に直流電力が供給されて、静電チャック20上面が静電的に帯電される。
【0016】
静電チャック20には給電線41が接続されている。給電線41には、ブロッキングコンデンサ42、整合器43、及び高周波電源44が接続されている。プラズマ処理の際には、高周波電源44から静電チャック20に所定の周波数の高周波電力が供給される。このような機構によって、静電チャック20が下部電極としても機能する。
【0017】
静電チャック20の外周には、静電チャック20の側面および底面の周縁部を覆うようにインシュレータリング15が配置されている。インシュレータリング15の上方には、静電チャック20の外周を取り囲むように外周リング16が設けられている。外周リング16は、ウェハ100のプラズマ処理時に、電界がウェハ100の周縁部で鉛直方向、つまり、ウェハ100の面に垂直な方向に対して偏向しないように電界を調整する。
【0018】
インシュレータリング15とチャンバ11の側壁との間には、バッフルプレート17が設けられている。バッフルプレート17は、板厚方向にバッフルプレート17を貫通する複数のガス排出孔17eを有する。
【0019】
チャンバ11のバッフルプレート17よりも下部にはガス排気口14が設けられている。ガス排気口14には、チャンバ11内の雰囲気を排気する真空ポンプ14pが接続されている。
【0020】
チャンバ11内の静電チャック20及びバッフルプレート17と、シャワーヘッド18とで仕切られた領域は、プラズマ処理室61となる。シャワーヘッド18で仕切られたチャンバ11内上部の領域はガス供給室62となる。静電チャック20及びバッフルプレート17で仕切られたチャンバ11内下部の領域はガス排気室63となる。
【0021】
プラズマ処理装置1は、電源46、整合器43、高周波電源44、及びガス供給装置等のプラズマ処理装置1の各部を制御する制御部50を備える。制御部50は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成されている。制御部50が、プラズマ処理装置1用途向けの機能を有するASIC(Application Specific Integrated Curcuit)等として構成されていてもよい。
【0022】
ウェハ100のプラズマ処理時には、制御部50の制御にしたがって、静電チャック20上に処理対象であるウェハ100が載置され、チャック機構によって吸着される。また、ガス排気口14に接続される真空ポンプ14pでチャンバ11内が真空引きされる。チャンバ11内が所定の圧力に達すると、図示しないガス供給装置からガス供給室62に処理ガスが供給され、シャワーヘッド18のガス吐出口18gを介してプラズマ処理室61に供給される。
【0023】
また、制御部50の制御にしたがって、上部電極であるシャワーヘッド18を接地した状態で、下部電極である静電チャック20に高周波電圧を印加して、プラズマ処理室61内にプラズマを生成させる。下部電極側には高周波電圧による自己バイアスにより、プラズマとウェハ100との間に電位勾配が生じ、プラズマ中のイオンが静電チャック20へと加速されることになり、異方性エッチング処理が行われる。
【0024】
(干渉計の構成例)
上述の実施形態1のプラズマ処理装置1においては、例えば種々の材質および膜厚を有する被加工膜をエッチングして、所望の形状に加工する処理が行われる。被加工膜は、所定の材質で所定の膜厚をターゲットとして形成される。しかし、被加工膜の膜厚は、個々のウェハ100ごとにばらつく場合がある。
【0025】
そこで、実施形態1の構成においては、以下に示す干渉計3を用いて、被加工膜の膜厚をウェハ100ごとに予め測定し、膜厚の測定結果に基づいて処理時間等のエッチング条件を適正化したうえでエッチング加工を行う。
【0026】
図2は、実施形態1にかかる干渉計3の構成の一例を示す模式図である。実施形態1の干渉計3は、光の干渉に基づいて、測定対象となるウェハ100に形成された被加工膜の膜厚を測定することが可能である。
【0027】
図2に示すように、干渉計3は、光源31、光カプラ32、コリメータレンズ33、載置台34、センサヘッド35、分光器36、光ファイバケーブル37、及び演算装置30を備える。
【0028】
光ファイバケーブル37は、光源31、光カプラ32、コリメータレンズ33、センサヘッド35、及び分光器36のそれぞれの間を接続する。
【0029】
光源31は、低コヒーレントなレーザ光を照射するレーザダイオード(LD:Laser Diode)等である。コヒーレンスは光波の可干渉性の度合いを示す指標であって、低コヒーレンス光は、コヒーレンス長、つまり、干渉縞を生じさせる光路長差が小さい光である。このような光を用いて測定を行うことで、その光のコヒーレンス長に応じた分解能で測定対象物を観測することができる。
【0030】
このような光源31を有することで、実施形態1の干渉計3は、低コヒーレンス光干渉計(LCI:Low Coherence Interferometer)として構成されている。
【0031】
なお、光源31が照射する光は赤外光であって、例えば波長が1200nm以上、より好ましくは、1250nm以上1350nm以下の光を用いることができる。
【0032】
光カプラ32は、光源31からの光を分波および合波する受動光デバイスである。光カプラ32は、光源31からの光をコリメータレンズ33へと出射する。
【0033】
コリメータレンズ33は、平行光が得られるよう収差補正されたレンズである。コリメータレンズ33は、光カプラ32からの光を1点に集中させて出射する。
【0034】
センサヘッド35は、光ファイバケーブル37の先端部に設けられ、ウェハ100を載置可能な載置台34に設けられた貫通孔内に挿入されている。これにより、載置台34に載置されたウェハ100の裏面に、光源31、光カプラ32、及びコリメータレンズ33を経由してきた光を照射する。
【0035】
ウェハ100裏面に照射された光は、ウェハ100自体、あるいは、ウェハ100上方に設けられた被加工膜等で反射される。ウェハ100の各部で反射された複数の反射光は、互いに干渉し合い、複数種類の干渉光としてセンサヘッド35により検出され、コリメータレンズ33、及び光カプラ32を経由して分光器36へと出射される。
【0036】
分光器36は、センサヘッド35により検出された干渉光を波長ごとに分光して得られる干渉スペクトルを測定する。分光器36によって得られる干渉スペクトルは、波長ごとの干渉光の強度を示している。つまり、干渉スペクトルは、横軸を光の波長とし、縦軸を光の強度とするグラフで表される。分光器36は、測定した干渉スペクトルを演算装置30へと出力する。
【0037】
演算装置30は、図示しないCPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成されており、干渉スペクトルに基づき各種演算を実行する。演算装置30は、例えば逆高速フーリエ変換(iFFT:inverse Fast Fourier Transform)により相関信号を得て、相関信号のピークが示すウェハ100各部における光路長から、ウェハ100各部の厚さ等を算出する。
【0038】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図3~
図6を用いて、実施形態1の半導体装置の製造方法の一例について説明する。実施形態1の半導体装置の製造方法は、上述の干渉計3を用いた被加工膜の膜厚測定、及び上述のプラズマ処理装置1を用いた被加工膜のエッチング処理を含む。
【0039】
図3及び
図4は、実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。
図3及び
図4には主に、干渉計3による被加工膜110の膜厚測定およびプラズマ処理装置1によるエッチング処理の様子を示す。
【0040】
図3(a)に示すように、シリコンウェハ等のウェハ100の上方に、被加工膜110及びCVD-カーボン層120をこの順に形成する。ウェハ100と被加工膜110との間には、単層または積層膜を有していてよい。
【0041】
被加工膜110は、例えば複数の異種層が多層に積層された膜である。被加工膜110は、一例として、第1の絶縁層としての窒化シリコン(SiN)層NLと第2の絶縁層としての酸化シリコン(SiO)層OLとが1層ずつ交互に積層された膜である。被加工膜110に含まれる窒化シリコン層NLと酸化シリコン層OLとの層数は、それぞれが50層~400層程度であり得る。
【0042】
CVD-カーボン層120は、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)等によって形成されるカーボンを主体とする有機層である。このようなCVD-カーボン層120の一例として、アプライドマテリアルズ製APF(Advanced Patterning Film)が挙げられる。
【0043】
また、上述の干渉計3を用いて被加工膜110の膜厚測定を行う。すなわち、被加工膜110とCVD-カーボン層120とが形成されたウェハ100を、上述の載置台34上に載置し、センサヘッド35を介して光源31からのレーザ光等をウェハ100裏面に照射する。
【0044】
ウェハ100裏面に照射されたレーザ光の一部は、ウェハ100の裏面で反射され、反射光38sとして干渉計3のセンサヘッド35により検出される。レーザ光の他の一部は、ウェハ100を透過して、被加工膜110の下面、つまり、ウェハ100のおもて面と接する面で反射され、反射光38pとしてセンサヘッド35により検出される。レーザ光のさらに他の一部は、ウェハ100及び被加工膜110を透過して、CVD-カーボン層120の下面、つまり、被加工膜110の上面と接する面で反射され、反射光38cとしてセンサヘッド35により検出される。
【0045】
干渉計3の分光器36は、これらの反射光38s,38p,38cが互いに干渉して得られる干渉波のスペクトルを測定する。干渉計3の演算装置30は、分光器36で測定された干渉スペクトルに基づき種々の演算を行って、被加工膜110の膜厚を算出する。
【0046】
すなわち、ウェハ100裏面での反射光38sと被加工膜110の下面での反射光38pとの干渉光39spからは、ウェハ100の光路長が求まる。光路長は、所定の物質中を光が進む時間と同時間内に真空中を進む距離であり、対象となる物質の屈折率と距離との積で表される。したがって、ウェハ100の光路長はウェハ100の屈折率と厚さとに依存するため、既知の材質から構成されるウェハ100の光路長からは、ウェハ100の厚さを求めることができる。
【0047】
また、ウェハ100裏面での反射光38sとCVD-カーボン層120の下面での反射光38cとの干渉光39scからは、ウェハ100と被加工膜110との合算の光路長が求まる。この合算の光路長から、上述のウェハ100の光路長の影響を差し引けば、被加工膜110単体での光路長が求まり、既知の材質から構成される被加工膜110の光路長から、被加工膜110の膜厚を求めることが可能である。
【0048】
なお、このような膜厚測定は、ウェハ100面内の複数ポイントにおいて行われることが好ましい。1つのウェハ100から複数の測定データを得た場合、これらの測定データの平均値等を被加工膜110の膜厚として用いることができる。
【0049】
図3(b)に示すように、CVD-カーボン層120の上方に、さらに酸窒化シリコン(SiON)層130及びレジストパターン140pをこの順に形成する。酸窒化シリコン層130は、例えばプラズマCVD等により形成される。レジストパターン140pは、レジスト層のスピンコート並びに露光および現像により形成され、後述するプラズマ処理によって被加工膜110に形成したい形状に応じたパターンを有する。
図3(b)の例では、被加工膜110に貫通孔を形成するため、レジストパターン140pは、ホール状の複数の開口を含むパターンを有するものとする。
【0050】
この後、レジストパターン140pをマスクとして酸窒化シリコン層130をエッチング加工し、酸窒化シリコン層130にレジストパターン140pが有するパターンを転写する。また、パターンが転写された酸窒化シリコン層130をマスクとしてCVD-カーボン層120をエッチング加工し、CVD-カーボン層120に酸窒化シリコン層130のパターンを更に転写する。
【0051】
図4(a)に示すように、上記エッチング処理により、CVD-カーボン層120にパターンが転写されたマスクパターン120pが、被加工膜110の上方に形成される。なお、上記エッチング処理により、レジストパターン140p及び酸窒化シリコン層130は順次消失している。
【0052】
図4(b)に示すように、例えば上述のプラズマ処理装置1によって、マスクパターン120pの開口から露出する被加工膜110をエッチングして貫通させる。これにより、被加工膜110に複数の貫通孔111が形成される。貫通孔111の底面からはウェハ100のおもて面が露出する。
【0053】
なお、上述の酸窒化シリコン層130のエッチング、及びCVD-カーボン層120のエッチングもまた、プラズマ処理装置1により行われてもよい。この場合、酸窒化シリコン層130、CVD-カーボン層120、及び被加工膜110のエッチングを連続して一括で行ってもよい。
【0054】
上記のように被加工膜110をエッチングして貫通孔111を形成する際には、干渉計3による膜厚測定結果を用いる。すなわち、被加工膜110をエッチング加工する際には、干渉計3により得られた被加工膜110の膜厚に基づいて、被加工膜110がより確実に貫通し、また、露出したウェハ100のおもて面が不必要にエッチング除去されないよう、エッチング時間等が調整されたエッチング条件が用いられる。
【0055】
ここで、干渉計3により得られるデータのより詳細な例を
図5に示す。
【0056】
図5は、実施形態1にかかる干渉計3により得られるデータの説明図である。
図5(a)は、干渉計3により得られるウェハ100の光路長のスペクトルデータの一例である。
図5(b)~
図5(e)は、
図5(a)の各スペクトルデータを取得した際のウェハ100の状態を示している。
【0057】
より詳細には、
図5(b)はウェハ100単体の断面図である。
図5(c)は、被加工膜110及びCVD-カーボン層120が形成された後のウェハ100の断面図である。
図5(d)はCVD-カーボン層120にパターンが転写されてマスクパターン120pが形成された後のウェハ100の断面図である。
図5(e)は、被加工膜110のエッチング加工が完了して貫通孔111が形成された後のウェハ100の断面図である。
【0058】
すなわち、
図5(c)のウェハ100から得られるスペクトルデータは、上述の実施形態1の半導体装置の製造工程において、被加工膜110の膜厚測定に用いられるデータに相当する。一方、
図5(b)(d)(e)のウェハ100から得られるスペクトルデータは、参考までに
図5(a)中に示している。
【0059】
図5(a)に示すように、干渉計3によって、各状態のウェハ100からは、横軸を光路長とし、縦軸を強度とするスペクトルデータが得られる。干渉計3により得られるスペクトルは、ウェハ100の状態によって大きく異なる。
【0060】
例えばロット投入時のウェハ100単体の状態では、所定の光路長においてピークを1つ有するスペクトルデータが得られる。この光路長のピークは、ウェハ100裏面での反射光と、ウェハ100のおもて面を透過することなく反射された反射光との干渉光から得られる。
【0061】
ウェハ100単体では、ウェハ100上には被加工膜110等は未形成であり、ウェハ100のおもて面は、例えば空気等の干渉計3による測定時の雰囲気と接している。光の反射と透過とは屈折率の異なる物質同士の接触面で起こるため、このように、ウェハ100単体の場合でも、ウェハ100の表裏面で反射された反射光による干渉光が観測される。このように、ウェハ100単体でのスペクトルデータが有するピークは、ウェハ100の光路長を示している。
【0062】
また、被加工膜110とCVD-カーボン層120とが形成済みのウェハ100からは、2つのピークを有するスペクトルデータが得られる。
【0063】
これらのピークのうち1つは、上述の
図3(a)に示したウェハ100裏面での反射光38sと被加工膜110の下面での反射光38pとの干渉光39spから得られる、ウェハ100の光路長を示すピークである。
【0064】
ウェハ100の光路長を示すピークの強度が、単体のウェハ100から得られるピークよりも低下しているのは、ウェハ100上方に形成された被加工膜110が、ウェハ100のおもて面における光の反射を弱めるためであると考えられる。つまり、ウェハ100から被加工膜110へと一部の光が透過することにより、ウェハ100のおもて面での反射光38sが減衰するものと推定される。
【0065】
スペクトルデータが有する2つのピークのうち、もう一方のピークは、ウェハ100裏面での反射光38sとCVD-カーボン層120の下面での反射光38cとの干渉光39scから得られる、ウェハ100と被加工膜110との合算の光路長を示すピークである。
【0066】
なお、CVD-カーボン層120は、波長が1200nm以上の赤外光において、物質中の光の減衰を表す消衰係数、及び光の屈折率が共に大きいという性質を有する。つまり、CVD-カーボン層120は、例えば赤外光の透過率が低く、反射率が高い遮光層として機能しうる。
【0067】
このため、干渉計3の光源31からウェハ100裏面に照射され、ウェハ100と被加工膜110とを透過した光の多くが、被加工膜110とCVD-カーボン層120との界面において、被加工膜110の上面を透過することなく反射される。よって、被加工膜110の下面での反射光38pは、比較的高い強度で検出されると考えられる。
【0068】
また、CVD-カーボン層120に、酸窒化シリコン層130を介してレジストパターン140pが転写されたマスクパターン120p形成後のウェハ100からも、パターン転写前のCVD-カーボン層120を有するウェハ100と略同様のスペクトルデータが得られる。
【0069】
ただし、マスクパターン120pは複数の開口を有する。このため、被加工膜110の上面を透過することなく反射される反射光には、被加工膜110を透過してマスクパターン120pの非開口部分に到達し、被加工膜110と接するCVD-カーボン層120の下面で反射された光と、被加工膜110を透過してマスクパターン120pの開口に到達し、開口から露出した被加工膜110の上面と接する空気等により反射された光とが含まれる。
【0070】
CVD-カーボン層120にパターンが転写される前後でウェハ100から得られるスペクトルデータが完全には一致しないのは、このためであると考えられる。
【0071】
また、マスクパターン120pを介したエッチング加工により被加工膜110に複数の貫通孔111が形成された後のウェハ100からは、ウェハ100の光路長付近にピークを1つ有するスペクトルデータが得られる。
【0072】
ウェハ100のおもて面全体が被加工膜110で覆われていたエッチング加工前と比較して、エッチング加工後には、ウェハ100のおもて面の一部が露出した状態となる。つまり、被加工膜110のエッチング加工後のウェハ100は、
図5(b)に示す状態と
図5(c)に示す状態とが混在した状態である。
【0073】
このため、ウェハ100裏面での反射光38sと被加工膜110の下面での反射光38pとの干渉光39spと、ウェハ100裏面での反射光38sとCVD-カーボン層120の下面での反射光38cとの干渉光39scとが、互いに強め合ったり弱め合ったりしつつ、これらの干渉光39sp,39scに起因する2つのピーク位置が近づく結果、
図5(a)に示すような1つのピークを有するスペクトルデータが得られると考えられる。
【0074】
以上のように、各加工段階のウェハ100において、スペクトルデータは、干渉光39spに基づきウェハ100の光路長を示すピークを有するとともに、一部において干渉光39scに基づきウェハ100及び被加工膜110の合算の光路長を示すピークを有することとなる。
【0075】
上記のように、これらの2つのピーク位置が移動することから、ウェハ100面内、ウェハ100ごと、あるいはロットごとの被加工膜110の膜厚差は、例えばスペクトルデータから得られる被加工膜110の光路長差として検出されうる。
【0076】
ただし、被加工膜110等が形成されたウェハ100からは、各構成における光の反射と減衰とを含めた複雑な要因で、スペクトルのピーク位置および強度等が定まる。また、被加工膜110自体、絶縁層NL,OLの多層構造を有しており、絶縁層NLと絶縁層OLとの多数の界面ごとに反射と透過とが繰り返される。このように1層ごとに透過成分と反射成分とに分岐を繰り返した光は複雑な挙動を示し、それがスペクトルデータのピーク位置および強度等にも反映される。
【0077】
したがって、干渉計3の演算装置30は、被加工膜110の膜厚ごとのスペクトルデータのデータベース等を保有していてもよい。実際に被加工膜110の膜厚を算出するにあたり、演算装置30は、上記のデータベースを参照しつつ、測定対象のウェハ100から得られたスペクトルデータに基づいて、被加工膜110の膜厚を同定することができる。
【0078】
これ以降も、様々な膜の形成、エッチング加工、その他の処理が繰り返されて、実施形態1の半導体装置が製造される。
図6に、実施形態1の半導体装置10の構成例を示す。
【0079】
図6は、実施形態1にかかる半導体装置10の構成の一例を示す断面図である。ただし、
図1においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0080】
図6に示すように、半導体装置10は、紙面下側から順に、電極膜EL、ソース線SL、及び複数のワード線WLを備える。また、半導体装置10は、複数のワード線WLの上方に、半導体基板SBに設けられた周辺回路CBAを備える。なお、以下の説明においては、半導体基板SBが配置される側を半導体装置10の上方側とする。
【0081】
電極膜EL上には、絶縁膜160を介してソース線SLが配置されている。絶縁膜160中には複数のプラグPGが配置され、プラグPGを介してソース線SLと電極膜ELとが電気的な導通を保っている。これにより、半導体装置10の外部から、電極膜EL及びプラグPGを介してソース線SLにソース電位を印加することができる。
【0082】
ソース線SL上には複数のワード線WLが積層されている。半導体装置10において、複数のワード線WLが配置された領域は素子領域ERに相当する。複数のワード線WLの中央部にはメモリ領域MRが配置され、メモリ領域MRの両端部には階段領域SRが配置されている。
【0083】
なお、
図6の例では、半導体装置10が、ワード線WLの積層構造を素子領域ERに1つだけ有することとしているが、半導体装置10が、メモリ領域MR及び階段領域SRがそれぞれ設けられたワード線WLの積層構造を、素子領域ERに複数有していてもよい。
【0084】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体装置10は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0085】
階段領域SRでは、複数のワード線WLが階段状に加工されて終端している。複数のワード線WLによって構成される各段のテラス部分には、各階層のワード線WLに接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。
【0086】
これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WLが個々に引き出される。これらのコンタクトCCからは、複数のワード線WL中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。
【0087】
複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCCは絶縁膜150に覆われている。絶縁膜150は、複数のワード線WLの周囲にも広がっている。絶縁膜150の上方には、半導体基板SBに設けられた周辺回路CBAが配置されている。
【0088】
半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SBの表面にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CBAが配置されている。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。これにより、周辺回路CBAはメモリセルの電気的な動作を制御する。
【0089】
周辺回路CBAは絶縁膜170で覆われており、この絶縁膜170と、複数のワード線WLを覆う絶縁膜150とが接合されることにより、複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCC等の構成と、周辺回路CBAとを備える半導体装置10が構成される。
【0090】
このような半導体装置10を製造するにあたっては、所定の基板上にソース線SLを介して、複数の窒化シリコン層と複数の酸化シリコン層とが1層ずつ交互に積層された積層体を形成する。
【0091】
また、この積層体の一部領域を階段状にエッチング加工して階段領域SRを形成する。また、ピラーPLを形成するためのメモリホールを同じくエッチング加工により積層体に形成し、メモリホール内にメモリ層および半導体層等を充填する。
【0092】
その後、リプレース処理と呼ばれる処理により、積層体の複数の窒化シリコン層を導電層に置き換えてワード線WLを形成する。また、階段領域SRにコンタクトCCを形成し、積層体の上層には上層配線等を形成する。
【0093】
ここで、リプレース処理前の積層体をエッチング加工する際に、例えば上述のプラズマ処理装置1によるプラズマ処理が用いられる。すなわち、リプレース処理前の積層体は上述の被加工膜110に相当し、この被加工膜110の窒化シリコン層NLと酸化シリコン層OLとをプラズマ処理することで、上述の貫通孔111に相当する複数のメモリホールが形成される。
【0094】
また、積層体が形成される基板は上述のウェハ100に相当する。上記のソース線SLは、例えばウェハ100の表面に不純物を拡散することで形成される。なお、ウェハ100と被加工膜110との間にソース線SL等の他の層が介在していても、それが、例えばCVD-カーボン層120のような遮光層でなければ、上述の干渉計3による被加工膜110の膜厚測定が可能である。
【0095】
積層体をリプレース処理し、積層体上方に上層配線等を形成した後、周辺回路CBAを形成済みの半導体基板SBを、積層体等が形成された基板、つまり、ウェハ100に貼り合わせる。その後、ウェハ100は裏面研削等によりソース線SLを残して除去される。さらに、ソース線SL下方に、プラグPGを有する絶縁膜160、及び電極膜EL等を形成する。
【0096】
以上により、実施形態1の半導体装置10が製造される。
【0097】
(プラズマ処理の例)
次に、
図7を用いて、実施形態1のプラズマ処理装置1及び干渉計3を用いたウェハ100の処理例について説明する。
【0098】
図7は、実施形態1にかかるウェハ100のプラズマ処理の手順の一例を示すフロー図である。
図7のフロー図は、ロットの投入から投入されたロットのウェハ100がプラズマ処理装置1による処理を受けるまでを示している。
【0099】
図7に示すように、所定数のウェハ100を含む1ロット分のウェハ100が製造工程に投入される(ステップS101)。なお、半導体装置10の製造工程においては、ロットごとに処理が進められる。
【0100】
1ロット分のウェハ100の上方に、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された被加工膜110がそれぞれ形成される(ステップS102)。また、被加工膜110の上方にCVD-カーボン層120がそれぞれ形成される(ステップS103)。
【0101】
例えばCVD-カーボン層120が形成された状態で、ウェハ100に対して干渉計3を用いた測定が行われ、被加工膜110の膜厚が測定される(ステップS104)。このとき、上述のように、1つのウェハ100に対し、ウェハ100面内の複数個所で膜厚測定を行って、得られた複数データの平均値等をそのウェハ100における被加工膜110の膜厚としてよい。
【0102】
また、被加工膜110の膜厚測定は、1ロット分のウェハ100のうち、少なくとも1つのウェハ100について行われる。あるいは、膜厚測定は、ロットの最初のウェハ100、中央のウェハ100、及び最後のウェハ100というように、複数のウェハ100について行われてよい。またあるいは、膜厚測定が、1ロット分のウェハ100の全数について行われてもよい。
【0103】
被加工膜110の膜厚測定後、CVD-カーボン層120上に酸窒化シリコン層130をそれぞれ形成し(ステップS105)、酸窒化シリコン層130上に更にレジストパターン140pを形成する(ステップS106)。
【0104】
それぞれのウェハ100について、レジストパターン140pをマスクとして酸窒化シリコン層130をエッチング加工し(ステップS107)、レジストパターン140pが転写された酸窒化シリコン層130をマスクとしてCVD-カーボン層120をエッチング加工する(ステップS108)。これにより、CVD-カーボン層120にパターンが転写されたマスクパターン120pがそれぞれのウェハ100に形成される。
【0105】
それぞれのウェハ100について、マスクパターン120pから露出する被加工膜110をエッチング加工する(ステップS109)。このとき、被加工膜110が適切に貫通するよう、干渉計3により測定した被加工膜110の膜厚に基づいて、エッチング時間等のエッチング条件を調整する。
【0106】
1つのウェハ100について膜厚測定を行った場合には、そのウェハ100の被加工膜110の膜厚を代表値として、1ロット分のウェハ100の全体に適用する。
【0107】
複数のウェハ100について膜厚測定を行った場合には、これらのウェハ100から得られた複数の膜厚値の平均値を、1ロット分のウェハ100の全体に適用してよい。または、1ロット分のウェハ100を、膜厚測定を行ったウェハ100の数に応じたグループに分け、例えば前半のウェハ100には、ロットの最初のウェハ100から得られた膜厚を適用し、中央付近のウェハ100には、ロットの中央のウェハ100から得られた膜厚を適用し、後半のウェハ100には、ロットの最後のウェハ100から得られた膜厚を適用する、などとすることができる。
【0108】
1ロット分のウェハ100の全数について膜厚測定を行った場合には、ウェハ100ごとに、対応する膜厚に基づくエッチング条件を適用することができる。
【0109】
エッチング加工中、制御部50は、被加工膜110の膜厚に応じたエッチング条件下で、被加工膜110のエッチング終了時点に到達したか否かを判定する(ステップS110)。
【0110】
被加工膜110のエッチング終了時点に到達するまでは(ステップS110:No)、制御部50はエッチング加工を継続する(ステップS109)。被加工膜110のエッチング終了時点に到達すると(ステップS110:Yes)、制御部50はチャンバ11内への電力供給を停止する。
【0111】
以上により、実施形態1のウェハ100のプラズマ処理が終了する。
【0112】
(概括)
半導体装置の製造工程において、プラズマ処理装置を用いた被加工膜のエッチング加工が行われる場合がある。被加工膜のエッチング加工は、予め適正に定められたエッチング条件を用いて行われる。
【0113】
ただし、各ウェハに被加工膜を形成する際、被加工膜の膜厚は例えば定期の品質管理(Quality Control)等で制御されているものの、被加工膜の膜厚には、ウェハごと、あるいはロットごとにばらつきが生じうる。被加工膜が、複数の異種層が積層された多層構造を有する場合等には、膜厚のロット間でのばらつきは例えば±10%程度である。
【0114】
このような被加工膜に対して、一律で同一条件を用いてエッチング加工を行うと、被加工膜の実際の膜厚がターゲット膜厚より厚かった場合、所望のエッチング深さに到達しないままエッチングが終了してしまう。また、被加工膜の実際の膜厚がターゲット膜厚より薄かった場合、過剰なオーバーエッチングにより、被加工膜の下地膜がエッチング除去されてしまったり、寸法が拡張するなど被加工膜の加工形状が変化してしまったりする。
【0115】
そこで、例えばプラズマ処理中の発光波長の変化をモニタし、リアルタイムでエンドポイントを検出する手法が用いられる場合がある。しかしながら、エッチング条件等によっては、また、マスクパターンから露出するエッチング面積、つまり、マスクパターンの被覆率が小さい場合等には、波長の変化を充分に捉えることができず、エンドポイント検出ができない場合がある。
【0116】
また、例えば被加工膜の形成後、エリプソメータ等の光学式膜厚計で膜厚測定をし、その測定結果に基づいて、エッチング時間等のエッチング条件を調整する手法も考えられる。しかしながら、被加工膜が例えば複数の異種層が積層された多層構造を有し、全体の層数が100層を超えるような場合、光学式膜厚計で正確な膜厚測定を行うことは困難である。
【0117】
実施形態1の半導体装置の製造方法によれば、ウェハ100の裏面に光を照射し、ウェハ100の裏面で反射された反射光38sと、ウェハ100を透過して被加工膜110の下面で反射された反射光38pとが干渉して生じた干渉光39sp、及び上記の反射光38sと、ウェハ100及び被加工膜110を透過してCVD-カーボン層120の下面で反射された反射光38cとが干渉して生じた干渉光39scに基づいて、被加工膜110の厚さを算出する。
【0118】
これにより、被加工膜110の膜厚を高精度に測定することができる。このように、干渉計3を用いた膜厚測定によれば、ウェハ100上方の被加工膜110に関する膜厚情報を高精度に取得することができる。
【0119】
実施形態1の半導体装置の製造方法によれば、干渉光39sp,39scから算出した被加工膜110の厚さに基づくエッチング条件で、マスクパターン120pから露出する被加工膜110が貫通するようにエッチングを行う。
【0120】
これにより、ウェハ100ごと、あるいは、ロットごとに膜厚の異なる被加工膜110に対し、適正なエッチング条件で処理を行うことができる。
【0121】
実施形態1の半導体装置の製造方法によれば、マスクパターン120pを形成するときは、ウェハ100に照射される上記光を遮光するCVD-カーボン層120にパターンを形成してマスクパターン120pとする。これにより、ウェハ100と被加工膜110とを透過して被加工膜110の上面を透過することなく反射される反射光38scの強度を高めることができ、膜厚測定の精度を高めることができる。
【0122】
実施形態1の半導体装置の製造方法によれば、被加工膜110は、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された膜であり、被加工膜110に含まれる複数の絶縁層NLは50層以上である。したがって、被加工膜110に含まれる2種の絶縁層NL,OLの層数は100層以上である。
【0123】
このように、被加工膜110が多層構造を有し、光学式膜厚計での膜厚測定が困難な場合においても、干渉計3を用いることで、被加工膜110の膜厚を高精度に測定することができる。また、例えばプラズマ発光の観測によるエンドポイント検出が困難な場合であっても、干渉計3を用いて被加工膜110の膜厚を測定することで、エッチング時間等のエッチング条件を適正化することができる。
【0124】
なお、上述の実施形態1では、被加工膜110上にCVD-カーボン層120を形成した後、干渉計3による被加工膜110の膜厚測定を行うこととした。しかし、被加工膜110の膜厚測定は、例えば被加工膜110を形成後、CVD-カーボン層120の形成前のタイミングで行ってもよい。
【0125】
光の透過と反射とは、屈折率の異なる物質の界面で起こる。このため、被加工膜110を形成後、被加工膜110の上面が空気等の測定環境における雰囲気と接する状態であっても、干渉計3を用いた被加工膜110の膜厚測定を行うことが可能である。
【0126】
また、被加工膜110の膜厚測定を、CVD-カーボン層120の形成後、酸窒化シリコン層130の形成後、もしくはレジストパターン140pの形成後、または、酸窒化シリコン層130のエッチング加工後、もしくはCVD-カーボン層120のエッチング加工後のいずれかのタイミングで行ってもよい。
【0127】
このように、被加工膜110の膜厚測定は、被加工膜110の形成後、被加工膜110のエッチング加工を開始する前のいずれかのタイミングで実施することが可能である。
【0128】
なお、被加工膜110上に更に他の層を形成した後に膜厚測定を行う場合には、少なくとも被加工膜110の直上には、遮光層として機能する層が形成されていることが好ましい。
【0129】
例えば、CVD-カーボン層120は、上述のように遮光層としての特性を有する。このため、CVD-カーボン層120上に、酸窒化シリコン層130、レジストパターン140p等が形成された場合であっても、これらの層に透過する光の量は極めて少なく、これらの層は、被加工膜110の膜厚測定に殆ど影響を及ぼさないと考えられる。
【0130】
そのほか、遮光層として機能する層としては、上述のCVD-カーボン層120等のカーボン系の層に加え、チタン層もしくはタングステン層、または、カーボン系材料、チタン、もしくはタングステンの窒化層等が挙げられる。
【0131】
また、上述の実施形態1では、被加工膜110等が形成されたウェハ100から、ウェハ100の表裏面の反射光38s,38pの干渉光39spを測定し、被加工膜110から得られる干渉光39scへのウェハ100による影響を見積もることとした。
【0132】
しかし、例えば被加工膜110形成前のウェハ100単体でも干渉計3による測定を行うことで、ウェハ100単体での干渉スペクトルを得ることができる。ウェハ100単体での干渉スペクトルと、被加工膜110等が形成されたウェハ100から得られる干渉スペクトルとの解析結果から、被加工膜110の膜厚測定を行ってもよい。
【0133】
半導体装置の製造に用いられるシリコンウェハ等は、厳密な品質管理が行われ、厚さを含むシリコンウェハの種々の仕様には、殆どばらつきはないと考えられる。ただし、この場合であっても、被加工膜110形成後のウェハ100のみならず、ウェハ100単体での干渉スペクトルをも参照することで、より確実に、また、より高精度に、被加工膜110の膜厚を測定することができると考えられる。
【0134】
ウェハ100単体での測定は、例えばロット投入時に、1つのウェハ100に対して、ウェハ100面内の複数個所で行うことができる。また、そのロット内に含まれる1つ、または複数のウェハ100について行うことができる。ロット内のウェハ100を全数検査してもよい。
【0135】
また、上述の実施形態1では、干渉計3により得られた被加工膜110の膜厚に基づいて、例えばエッチング時間を変更して、所望の加工形状が得られるようエッチング処理を行うこととした。しかし、エッチング条件には、圧力、高周波電力値、処理ガスの種類および流量、ウェハ温度等、エッチングレート及び加工形状を制御可能な種々のパラメータがある。
【0136】
したがって、被加工膜110の膜厚に基づいてエッチング条件を変更する際には、エッチング条件に替えて、あるいは加えて、他のパラメータを変更してもよい。
【0137】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2においては、干渉光を用いてプラズマ処理中のウェハ温度の測定を行う点が、上述の実施形態1とは異なる。以下の図面において、上述の実施形態1と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0138】
(プラズマ処理装置の構成例)
図8は、実施形態2にかかるプラズマ処理装置2の構成の一例を模式的に示す断面図である。実施形態2のプラズマ処理装置2は、上述の実施形態1の干渉計3の各構成に相当する構成を備えている。
【0139】
すなわち、プラズマ処理装置2は、上述の実施形態1の干渉計3に相当する構成として、光源231、光カプラ232、コリメータレンズ233、センサヘッド235、分光器236、及び光ファイバケーブル237を備える。また、プラズマ処理装置2は、上述の実施形態1の静電チャック20及び制御部50に替えて、静電チャック220及び制御部250を備えている。
【0140】
上述の実施形態1の干渉計3と同様、光ファイバケーブル237は、光源231、光カプラ232、コリメータレンズ233、センサヘッド235、及び分光器236の間をそれぞれ接続する。センサヘッド235は、プラズマ処理装置2のチャンバ11内の静電チャック220に設けられた貫通孔に挿入されている。
【0141】
これにより、光源231からの光を、センサヘッド235を介して、静電チャック220に載置されたウェハ200の裏面に照射可能である。また、ウェハ200の各部からの干渉光は、センサヘッド235及びコリメータレンズ233を介して分光器236へと出射され、分光器236は、それらの干渉光を解析して得た干渉スペクトルを制御部250へと出力する。
【0142】
このように得られた干渉スペクトルを用いることで、既知の材質および既知の厚さを有するウェハ200等の物質の温度を算出することができる。
【0143】
プラズマ処理装置2の制御部250は、分光器236からの干渉スペクトルを解析する演算装置としての機能も備えている。よって、制御部250は、分光器236から出力されたウェハ200の干渉スペクトルを解析して、プラズマ処理装置2内でプラズマ処理中のウェハ200の温度を算出する。
【0144】
(静電チャックの構成例)
次に、
図9を用いて静電チャック220の温度調整機構について説明する。
【0145】
図9は、実施形態2にかかるプラズマ処理装置2が備える静電チャック220の温度調整機構の一例を示す模式図である。
図9(a)は静電チャック220の上面図であり、
図9(b)は静電チャック220の断面を含む温度調整機構の模式図である。ただし、
図9において、センサヘッド235が挿入される貫通孔は省略されている。
【0146】
図9に示すように、プラズマ処理装置2の静電チャック220は、本体21、チャック部22、及びセラミック板23を含む。本体21は、静電チャック220の基部となる。チャック部22は、上述のチャック電極24等を備え、本体21上に配置される。セラミック板23は、静電チャック220の最表面に配置され、ウェハ200の載置面となる。
【0147】
また、静電チャック220は、温度調整機構の一部を構成する冷媒流路25及びガス流路28を備えている。冷媒流路25及びガス流路28に加えて、静電チャック220には、温度調整機構として、チラー82、ガス供給管81、流量制御装置(MFC:Mass Flow Controller)83、バルブ84、タンク85、及び温度センサ86,87が設けられている。
【0148】
チラー82は、静電チャック220の本体21に接続され、静電チャック220内に、所定温度に制御した冷媒を循環可能に構成されている。すなわち、冷媒は、チラー82の吐出口から静電チャック220に向けて吐出され、チラー82の流入口へと流入することで、チラー82と静電チャック220との間で循環される。冷媒としては、所望する温度範囲に応じて、例えばエチレングリコール等のフッ化炭化水素、水、その他の液体が用いられる。
【0149】
冷媒流路25は、静電チャック220の本体21内部の所定の深さ位置に、静電チャック220の表面、すなわち、ウェハ200の載置面であるセラミック板23に沿うように設けられている。冷媒流路25は、本体21内部を蛇行し、あるいは、本体21内部で複数に分岐する等、任意のデザインを有していてよい。冷媒流路25が、独立した複数の流路を含んでいてもよい。
【0150】
冷媒流路25の本体21への流入口側には温度センサ87が設けられ、流出口側には温度センサ86が設けられている。チラー82は、これらの温度センサ86,87の検出結果に基づいて冷媒の温度を制御する。
【0151】
ガス流路28は、静電チャック220を貫通して設けられており、セラミック板23の表面に開口する複数の開口部28gを有する。複数の開口部28gは、セラミック板23の全面に分散して設けられている。冷媒流路25を独立した複数の流路とした場合には、ガス流路28もまた、独立した複数の流路を含んでいてよい。
【0152】
ガス流路28の上流端には、ガス供給源CYが上流端に接続されたガス供給管81の下流端が接続されている。ガス供給源CYは、例えばHeガス、Arガス等の熱伝導率の高いガスが貯蔵されている。ガス供給管81には、上流側から順に、MFC83、バルブ84、及びタンク85が設けられている。また、タンク85には、タンク85内の圧力を計測する圧力センサ85pが設けられている。
【0153】
ガス供給管81のバルブ84を開放することで、ガス供給源CYから流出したガスが、MFC83で流量を制御され、一旦、タンク85内に貯蔵され、圧力調整されてセラミック板23の複数の開口部28gから、セラミック板23の表面とウェハ200の裏面との間に拡散する。
【0154】
プラズマ処理装置2の制御部250は、圧力センサ85pの計測結果に基づいて、MFC83によりガス流量を変化させ、タンク85内の圧力を制御する。これにより、タンク85内に一時的に貯蔵されていたガスが、セラミック板23の複数の開口部28gに所定の圧力で供給される。
【0155】
上記のように、熱伝導率の高いガスが流れるガス流路28は、温度制御された冷媒が流れる冷媒流路25の近傍であって、冷媒流路25よりもウェハ200載置面であるセラミック板23に近い側に配置されている。
【0156】
これにより、冷媒流路25を流れる冷媒と、ガス流路28を流れるガスとの間で熱交換が行われ、ガスが所定の温度に制御される。所定温度に制御されたガスが、ウェハ200の裏面に拡散されることで、ウェハ200の温度を調整することができる。
【0157】
上述のように、冷媒流路25及びガス流路28をそれぞれ、独立した複数の流路とした場合には、静電チャック220を複数のゾーンに分割して、ゾーンごとに異なる温度に調整してもよい。
【0158】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図10~
図14を用いて、実施形態2の半導体装置の製造方法の一例について説明する。実施形態2の半導体装置の製造方法は、上述のプラズマ処理装置2におけるウェハ200のプラズマ処理を含む。
【0159】
図10~
図12は、実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。
図10~
図12には主に、ロットの投入からプラズマ処理装置2によるエッチング処理が行われるまでの様子を示す。
【0160】
図10(a)~
図10(b)に示すように、実施形態2の半導体装置の製造方法においては、ロット投入後、ウェハ200のおもて面に複数の遮光層210を形成する。
【0161】
すなわち、
図10(a)に示すように、ウェハ200のおもて面に、複数の凹部201を形成する。複数の凹部201は、後にセンサヘッド235を介して光が照射されることとなる部分のウェハ200裏面と上下で重なる領域に、上面視で互いに略等しい面積を有し、所定の間隔を空けて周期的に配置される。このとき、複数の凹部201間の距離が、後にウェハ200裏面に照射されることとなる光の波長未満となるようにする。
【0162】
図10(b)に示すように、複数の凹部201内にCVD-カーボン層を充填する。これにより、後に光が照射される部分のウェハ200裏面に対応するウェハ200のおもて面の領域に、所定の間隔を空けて周期的に配置される複数の遮光層210が形成される。
【0163】
複数の遮光層210の上面から見た形状は、例えば円形、オーバル形、楕円形、または多角形等とする。このとき、複数の遮光層210間の間隔が光の波長未満となるよう、複数の遮光層210は、例えば六方細密格子のパターンに配置することができる。
【0164】
ただし、上述の複数の凹部201及び複数の遮光層210をウェハ200全面に亘って形成してもよい。
【0165】
図10(c)に示すように、ウェハ200の上方に、複数の絶縁層NL,OL(上述の
図3参照)が一層ずつ交互に積層された被加工膜110を形成する。これにより、ウェハ200のおもて面に形成された複数の遮光層210が被加工膜110で覆われる。上述のように、遮光層210を例えばウェハ200のおもて面全体を覆うように形成せず、所定間隔を空けて配置することで、被加工膜110の膜剥がれ等を抑制することができる。
【0166】
また、被加工膜110の上方に、CVD-カーボン層120、酸窒化シリコン層130、及びレジストパターン140pをこの順に形成する。
【0167】
図11(a)に示すように、酸窒化シリコン層130及びCVD-カーボン層120を順次エッチング加工して、レジストパターン140pが転写されたCVD-カーボン層120のマスクパターン120pを形成する。
【0168】
図11(b)に示すように、プラズマ処理装置2を用いて、被加工膜110のエッチング加工を開始する。すなわち、プラズマ処理装置2のチャンバ11内にウェハ200を搬入し、静電チャック220上に載置する。また、静電チャック220の下方から、センサヘッド235を介して光源231からの光をウェハ200の裏面に照射しつつ、チャンバ11内にプラズマPを生成する。
【0169】
これにより、マスクパターン120pの開口から露出する部分の被加工膜110のエッチング加工が開始される。
【0170】
図12(a)に示すように、プラズマ処理装置2にてプラズマ処理を継続することで、被加工膜110のエッチング深さが増していく。
【0171】
図12(b)に示すように、所定時間経過後、被加工膜110の露出部分が貫通し、複数の貫通孔111が形成される。これらの貫通孔111の底面には、遮光層210またはウェハ200のおもて面が露出する。
【0172】
ここで、被加工膜110のエッチング加工中、ウェハ200は高温のプラズマに曝される。プラズマ処理中は、ウェハ200の温度が一定に保たれるよう、プラズマ処理装置2の静電チャック220によってウェハ200の温度制御が行われるものの、プラズマからの熱によりウェハ200温度は徐々に上昇していく。
【0173】
ウェハ200の裏面に照射された光の一部は、ウェハ200裏面で反射され、反射光238sとしてセンサヘッド235により検出される。また、ウェハ200の裏面に照射された光の他の一部は、ウェハ200を透過して遮光層210の裏面で反射され、反射光238bとしてセンサヘッド235により検出される。
【0174】
上述の分光器236は、これらの反射光38s,38bが互いに干渉して得られる干渉波のスペクトルを測定する。プラズマ処理装置1の制御部250は、分光器236で測定された干渉スペクトルに基づき種々の演算を行って、プラズマ処理中のウェハ200の温度を算出する。
【0175】
すなわち、ウェハ200裏面での反射光38sと遮光層210の下面での反射光38bとの干渉光39sbからはウェハ200の光路長が求まる。上述のように、光路長は、対象となる物質の屈折率と、物質中を光が進む距離、つまり、物質の厚さとの積で表される。また、物質の屈折率と厚さとは、いずれもその時の物質の温度に依存して変化する。
【0176】
したがって、プラズマ処理中にウェハ200の温度が変化すると、ウェハ200の光路長もまた変化する。よって、半導体装置の製造に用いられるウェハ200のように、各温度での屈折率および厚さが既知である場合には、ウェハ200の光路長から、その時のウェハ200の温度を求めることができる。
【0177】
このような干渉光を用いた温度測定においては、複数の遮光層210間の間隔が、上述のように、ウェハ200裏面に照射される光の波長未満となっていることが好ましい。これにより、マスクパターン120pのパターンが形成され、被加工膜110がエッチング加工される領域では、光は複数の遮光層210間を通り抜けて被加工膜110へと透過することなく、これらの遮光層210のいずれかに遮蔽され、反射光238bとなってセンサヘッド235により検出される。
【0178】
仮に、マスクパターン120pのパターンが形成され、被加工膜110がエッチング加工される領域で、被加工膜110側へと一部の光が透過した場合、その光の更に一部は、被加工膜110のエッチング加工端で反射され、反射光238pとなってセンサヘッド235により検出されうる。
【0179】
図11(b)~
図12(b)に示すように、被加工膜110中におけるエッチング加工端の到達深さは経時的に変化していく。このため、エッチング加工端での反射光238p、及び反射光238pと、ウェハ200各部での反射光238s,238b等の他の反射光との干渉光もまた、経時的に変化していき、ウェハ200の温度を算出するうえでの攪乱要因となり得る。
【0180】
複数の遮光層210を光の波長未満の間隔で配置することで、このような攪乱要因を予め取り除くことができる。
【0181】
なお、上述の
図10(a)(b)の処理において、複数の遮光層210を形成する際、マスクパターン120pのパターンが形成され、被加工膜110がエッチング加工されることとなる領域では、複数の貫通孔111と上下に重なる位置に、上面視で、貫通孔111のサイズよりも若干大きな面積を有する遮光層210を配置してもよい。
【0182】
これにより、貫通孔111の底面全体が遮光層210上に到達することとなり、被加工膜110のエッチング特性、及び貫通孔111の加工形状等を均一にすることが容易となる。
【0183】
被加工膜110の貫通孔111が、例えば上述の実施形態1の半導体装置10のピラーPLを形成するためのメモリホール等である場合、これらの貫通孔111は、上面視で例えば千鳥状配置を取るなど、高密度に配置される。したがって、これらの貫通孔111の形成位置に対応するよう複数の遮光層210を配置した場合でも、遮光層210間の間隔を光の波長未満とすることが可能である。
【0184】
また、貫通孔111が、ピラーPLを形成するためのメモリホール等である場合、貫通孔111形成後、底面に露出した遮光層210は、エッチングまたはアッシングにより除去することができる。
【0185】
ここで、好ましい遮光層210の特性について考察する。
【0186】
図13は、実施形態2にかかる遮光層210及びその上下の構成を示す模式図である。
図13に示すように、ウェハ200、遮光層210、及び被加工膜110の屈折率および消衰係数をそれぞれ屈折率n
0,n
1,n
2及び消衰係数k
0,k
1,k
2とする。
【0187】
また、上記の光源231からウェハ200、遮光層210、及び被加工膜110にそれぞれ入射する光の透過率、つまり、空気中、ウェハ200中、及び遮光層210中における上記光の透過率をそれぞれ透過率T0,T1,T2とする。また、ウェハ200と遮光層210との界面、及び遮光層210と被加工膜110との界面における上記光の反射率をそれぞれ反射率R0,R1とする。
【0188】
この場合、ウェハ200に入射する上記光の空気中の透過率T0を1とすると(T0=1)、ウェハ200における透過率T1は以下の式(1)で表すことができる。
【0189】
T1=T0-R0=1-R0・・・(1)
【0190】
また、遮光層210中の上記光の減衰を考慮すると、遮光層210に入射してくる光の透過率T’1は、遮光層210の層厚dと吸収係数αとを用いて以下の式(2)で表すことができる。なお、式(2)において、eは自然対数の底である。
【0191】
T’1=(1-R0)e-αd・・・(2)
【0192】
また、ウェハ200と遮光層210との界面、及び遮光層210と被加工膜110との界面における反射率R0,R1は、それぞれ以下の式(3)、式(4)で表される。
【0193】
【0194】
【0195】
以上のことから、上記光の波長λを用いて遮光層210の吸収係数α=4πk1/λとすると、被加工膜110に入射することとなる上記光の遮光層210における透過率T2は以下の式(5)で表すことができる。
【0196】
【0197】
このように、遮光層210中の上記光の透過率T2は、吸収係数α及び消衰係数k1等の遮光層210の物性値ならびに層厚に依存することとなる。実施形態2の構成においては、遮光層210の透過率T2が20%未満、より好ましくは10%未満となる物性および層厚を有する遮光層210を用いることができる。この場合、ウェハ200側と被加工膜110側とから遮光層210に入射し、遮光層210を往復することで、センサヘッド235に返ってくる光の強度は4%未満に減衰していることとなる。よって、このような遮光層210により、被加工膜110側からの光が充分に遮光されると言える。
【0198】
一例として、遮光層210がCVD-カーボン層であって、層厚が400nmの遮光層210に、波長が1310nmの光を照射した場合、遮光層210の透過率T2は7.0247%である。また、波長が1310nmの光を照射する場合において、遮光層210の上面視での寸法を100nm、ピッチを150nmなどとすることができる。
【0199】
以上のように選定された遮光層210によって被加工膜110側の光の影響を遮蔽したうえで、上記の干渉光を用いた測定により、プラズマ処理中のウェハ200の温度を算出することができる。上述のように、ウェハ200の光路長は、ウェハ200を構成するシリコン等の屈折率と、ウェハ200の厚さとの積で表され、これらの屈折率および厚さは、いずれもウェハ200の温度の関数で表される。
【0200】
図14は、実施形態2にかかるプラズマ処理中のウェハ200の状態を示す模式図である。
図14(a)は低温状態のウェハ200を示しており、
図14(b)は高温状態のウェハ200を示している。
【0201】
図14に示すように、プラズマ処理中、ウェハ200の温度は徐々に上昇していき、それに伴ってウェハ200が膨張する。これにより、低温時と高温時とではウェハ200の厚さ、及びウェハ200を透過してウェハ200のおもて面で反射される光のウェハ200中を進む距離も異なってくる。
【0202】
上述の干渉光を用いた測定では、このような差が、ウェハ200の温度による光路長差として検出される。ウェハ200の材質および元の厚さは既知であるので、ウェハ200の熱膨張率に、温度変化による屈折率の変化を加味すると、ウェハ200の光路長の変化に基づいて、プラズマ処理中のウェハ200の温度変化を検出することが可能である。
【0203】
被加工膜110のエッチング加工中、高温のプラズマに曝されるウェハ200温度を一定に保つため、静電チャック220の冷媒流路25には、チラー82により所定の温度に制御された冷媒が循環される。また、静電チャック220に載置されるウェハ200裏面には、ガス供給源CYからMFC83、タンク85、及びガス流路28の開口部28gを介して、冷媒との熱交換により所定温度に制御されたHeガス等の熱伝導率の高いガスが供給される。これにより、ウェハ200の温度が所望の温度に制御される。
【0204】
しかし、上述のように、プラズマ処理が進行するにつれ、プラズマからの熱によってウェハ200温度は徐々に上昇していく。プラズマ処理装置2の制御部250は、上述のように測定したウェハ200の温度に基づいて、例えばウェハ200の裏面に供給するガス圧を増大させる。
【0205】
具体的には、制御部250は、タンク85内に流入させるガス流量をMFC83によって増加させ、タンク85内の圧力を上昇させる。これにより、ウェハ200裏面に供給されるガス圧が上昇し、ウェハ200の温度を低下させることができる。
【0206】
このように、温度測定結果に基づいて、静電チャック220等によりウェハ200の温度を制御することで、プラズマ処理中のウェハ200温度の上昇等を抑制し、ウェハ200温度を略一定に保つことが容易となる。
【0207】
以上により、実施形態2のプラズマ処理装置2による被加工膜110のエッチング加工が終了する。
【0208】
これ以降も、様々な膜の形成、エッチング加工、その他の処理を繰り返すことで、例えば上述の実施形態1と同様の半導体装置が製造される。
【0209】
(プラズマ処理の例)
次に、
図15を用いて、実施形態2のプラズマ処理装置2を用いたウェハ200の処理例について説明する。
【0210】
図15は、実施形態2にかかるウェハ200のプラズマ処理の手順の一例を示すフロー図である。
図15のフロー図は、ロットの投入から投入されたロットのウェハ200がプラズマ処理装置2による処理を受けるまでを示している。
【0211】
図15に示すように、所定数のウェハ200を含む1ロット分のウェハ200が製造工程に投入される(ステップS201)。
【0212】
1ロット分のウェハ200のおもて面に、所定間隔を空けて周期的に配置される複数の遮光層210が形成される(ステップS202)。
【0213】
また、ウェハ200の上方に、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された被加工膜110がそれぞれ形成される(ステップS203)。これにより、ウェハ200のおもて面に形成された複数の遮光層210が被加工膜110により覆われる。
【0214】
また、被加工膜110の上方にCVD-カーボン層120をそれぞれ形成し(ステップS204)、CVD-カーボン層120上に酸窒化シリコン層130を形成し(ステップS205)、酸窒化シリコン層130上に更にレジストパターン140pを形成する(ステップS206)。
【0215】
それぞれのウェハ100について、レジストパターン140pをマスクとして酸窒化シリコン層130をエッチング加工し(ステップS207)、レジストパターン140pが転写された酸窒化シリコン層130をマスクとしてCVD-カーボン層120をエッチング加工する(ステップS208)。これにより、CVD-カーボン層120にパターンが転写されたマスクパターン120pがそれぞれ形成される。
【0216】
それぞれのウェハ100について、マスクパターン120pから露出する被加工膜110をエッチング加工する。このとき、制御部250は、プラズマ処理中のウェハ200裏面に光を照射して、プラズマ中でのウェハ200の温度をモニタし(ステップS209)、ウェハ200温度が変動しているか否かを判定する(ステップS210)。
【0217】
ウェハ200温度が変動していた場合(ステップS210:Yes)、制御部250は、ウェハ200が所望の温度に維持されるよう、例えば静電チャック220へのHeガス等のガスの供給圧を変更する(ステップS211)。ウェハ200が所望温度に維持されている場合には(ステップS210:No)、ステップS211のフィードバック制御は行わず、静電チャック220へのガス供給圧をそのまま維持する。
【0218】
また、制御部250は、被加工膜110のエッチング終了時点に到達するまで(ステップS212:No)エッチング加工を継続し(ステップS209)。エッチング終了時点に到達すると(ステップS212:Yes)、チャンバ11内への電力供給を停止する。
【0219】
以上により、実施形態2のウェハ200のプラズマ処理が終了する。
【0220】
(概括)
プラズマ処理装置を用いて被加工膜のエッチング加工を行う際、高温のプラズマに曝されてウェハの温度が変動すると、被加工膜のエッチングレート及び加工形状もまた変動してしまう。このため、例えばプラズマ処理中の静電チャックの温度をモニタし、ウェハの温度をフィードバック制御している。しかしながら、静電チャックの温度と実際のウェハ温度とには10℃以上の差があり、充分に精度の高い温度制御を行うことは困難である。
【0221】
そこで、例えば温度測定ウェハを用いてプラズマ処理中のウェハの温度変化を模擬的に測定する手法が採られる場合もある。実際のウェハを処理する際には、予め取得した温度測定の結果に基づきウェハの温度を制御する。しかしながら、温度測定ウェハは、その構造上、実際のウェハよりも1.2mm~1.4mm厚く、温度測定ウェハによる測定値も充分に正確とは言えない。また、近年、-10℃未満の極低温下でのエッチング技術が用いられることがあり、既存の温度測定ウェハでは、-10℃未満の低温での温度測定ができないという難点もある。
【0222】
このため、近年では、ウェハの光路長がウェハ温度に依存して変化する現象を利用して、ウェハに照射したレーザ光等の反射光同士の干渉を観測することで、ウェハ温度を推定する技術が研究されている。しかしながら、積層構造を有する厚い被加工膜が形成されたウェハでは、被加工膜の膜厚のばらつきによって、ウェハの光路長の観測が影響を受けてしまう。また、このような被加工膜をエッチング加工する際には、被加工膜に所定の形状が形成されていく過程で、これらの加工形状によっても、観測されるウェハの光路長が変動してしまう。このように、干渉光を利用した測定手法であっても、ウェハの温度を正確に推定することが困難な場合がある。
【0223】
実施形態2の半導体装置の製造方法によれば、被加工膜110をエッチングしつつウェハ200の裏面に光を照射し、ウェハ200の裏面で反射された反射光238sと、ウェハ200を透過して複数の遮光層210の下面で反射された反射光238bとが干渉して生じた干渉光239sbを観測し、干渉光239sbに基づいて、エッチング処理中のウェハ200の温度を算出する。
【0224】
このように、ウェハ200のおもて面に、所定波長の光を遮光する複数の遮光層210を所定の間隔を空けて形成しておくことで、被加工膜110側の光の影響を遮蔽して、ウェハ200の温度を精密に測定することができる。
【0225】
また、光の干渉を用いた温度測定によれば、ウェハ200に関する温度情報を高精度に取得することができる。また、例えば-10℃未満の低温下での測定も可能であるため、温度制限なくウェハ200温度の測定をすることが可能となる。
【0226】
実施形態2の半導体装置の製造方法によれば、ウェハ200の裏面で反射された反射光238sと、複数の遮光層210の下面で反射された反射光238bとの干渉光239sbに基づいて、プラズマ処理中のウェハ200の温度変化をモニタリングし、ウェハ200が所定温度に維持されるようウェハ200の温度を調整する。
【0227】
これにより、プラズマ処理中のウェハ200温度を略一定に維持することができ、被加工膜110のエッチングレートの変動を抑制し、また、所望の加工形状を得ることができる。
【0228】
実施形態2の半導体装置の製造方法によれば、複数の遮光層210は、ウェハ200に照射される光の波長未満の間隔でウェハ200のおもて面に形成される。
【0229】
上述のように、被加工膜110の膜剥がれを抑制するため、複数の遮光層210は、例えばウェハ200全面を覆うことなく所定間隔を空けて形成されている。この場合であっても、複数の遮光層210の間隔を上記光の波長未満とすることで、複数の遮光層210の間を上記光が通り抜けてしまうことが抑制される。よって、ウェハ200から被加工膜110への光の入射、及び被加工膜110からウェハ200への光の入射を抑制することができる。
【0230】
実施形態2の半導体装置の製造方法によれば、複数の遮光層210における上記光の透過率であって、上述の式(5)で表される透過率T2は20%未満、より好ましくは10%未満である。これにより、被加工膜110側の光の影響が充分に遮蔽され、ウェハ200の温度を精密に測定することができる。
【0231】
なお、上述の実施形態2では、干渉光を用いて得られたウェハ200の温度に基づいて、静電チャック220に供給するHeガス等のガス圧を変化させてウェハ200の温度を一定に維持するようフィードバック制御することとした。しかし、ウェハ200の温度制御は、他の手法により行ってもよい。例えば、上述のチラー82をデュアル式等、冷媒を分液して複数の設定値に制御可能なチラーとし、静電チャック内を循環させる冷媒を、適宜、温度の異なる冷媒に切り替えることで、ウェハ200温度を素早く制御することができる。
【0232】
また、上述の実施形態2では、遮光層210としてCVD-カーボン層を用いることとした。しかし、上述の式(5)で表される透過率T2を20%未満に抑えることが可能であれば、他の材質を遮光層として用いてもよい。
【0233】
以下に、候補となりうる幾つかの材質のデータを示す。
【0234】
図16は、実施形態2の変形例にかかる遮光層の候補となり得る材質の光学特性を示すグラフである。
図16(a)は、光の波長を横軸に取り、各材質の屈折率を示すグラフである。
図16(b)は、光の波長を横軸に取り、各材質の消衰係数を示すグラフである。
【0235】
図16に示すように、チタン、窒化チタン、及びタングステンはいずれも、屈折率および消衰係数ともに、測定波長である(1300±50)nm付近を含む波長の光に対し、CVD-カーボン層の主要成分であるカーボンよりも高い数値を示す。窒化タングステンに関しては、波長が(1300±50)nm付近のデータが存在しないものの、測定波長付近においても、カーボンより高い屈折率および消衰係数を有していることが推測される。
【0236】
図17は、実施形態2の変形例にかかる遮光層の透過率を示すグラフである。具体的には、
図17は、上述の候補材質を用いて遮光層をウェハのおもて面に形成した場合に、上述の式(5)から得られる各候補材質の遮光層の透過率T
2を示す。このとき、上述のCVD-カーボン層を用いた遮光層210に関する考察の場合と同様、層厚が400nmの各遮光層に、波長が1310nmの光を照射することとする。
【0237】
図17に示すように、カーボンを用いた遮光層の透過率T
2は、上述の通り7.0247%である。また、チタン、窒化チタン、タングステン、及び窒化チタンを用いた遮光層の透過率T
2は、それぞれ0.0009%、1.89×10
-6%、7.18×10
-5%、及び5.25×10
-5%である。ただし、窒化チタンを用いた遮光層の透過率T
2は参考値に留まる。
【0238】
このように、チタン、窒化チタン、タングステン、及び窒化チタンを用いた遮光層も、透過率T2<20%の条件を満たしており、光の遮蔽効果が充分に得られると考えられる。
【0239】
また、透過率T2<20%の条件を満たす上記以外の材料としては、例えばモリブデン、銅、タングステンシリサイド、アルミニウム、金、銀等の赤外光を透過しない金属系の材料が挙げられる。
【0240】
以上のような材質を用いた遮光層についても、貫通孔111形成後、底面に露出した遮光層をエッチングにより除去することが好ましい。ただし、遮光層が導電性を有する層である場合には、除去しないままであってもよい。
【0241】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0242】
1,2…プラズマ処理装置、3…干渉計、20,220…静電チャック、30…演算装置、31,231…光源、35,235…センサヘッド、36,236…分光器、37,237…光ファイバケーブル、38c,38p,38s,238b,238p,238s…反射光、39sc,39sp,239sb…干渉光、50,250…制御部、10…半導体装置、100,200…ウェハ、110…被加工膜、111…貫通孔、120…CVD-カーボン層、120p…マスクパターン、210…遮光層。