(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122470
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240902BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240902BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G03G21/00 510
B41J29/38 301
G03G21/00 386
H02M7/12 G
H02M7/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030029
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】磯口 裕基
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5H006
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061HV02
2C061HV17
2C061HV23
2C061HV32
2H270KA35
2H270LA10
2H270MG01
2H270MG02
2H270QB07
2H270RA17
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
5H006FA01
5H006GA04
(57)【要約】
【課題】画像形成装置に備わっている構成を用いて交流電圧の遮断検出を行うことが可能となる技術を提供する。
【解決手段】プリンタ1は、商用電源から交流電圧を入力する第1及び第2入力端子T1,T2とリレー33を介して接続されたヒータ31を有し、現像剤像をシートに定着させる定着器7と、リレー33により第1及び第2入力端子T1,T2とヒータ31とが接続状態にされ、交流電圧の全波のゼロクロスを示す全波ゼロクロス信号を出力するゼロクロス回路38と、を備え、ゼロクロス回路38は、リレー33により第1及び第2入力端子T1,T2とヒータ31とが非接続状態にされた場合において、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されているときには、交流電圧の半波のゼロクロスを示す半波ゼロクロス信号を出力し、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されていないときには、半波ゼロクロス信号を出力しない。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から交流電圧を入力する入力端子とリレーを介して接続されたヒータを有し、現像剤像をシートに定着させる定着器と、
前記リレーにより前記入力端子と前記ヒータとが接続状態にされ、前記交流電圧の全波のゼロクロスを示す全波ゼロクロス信号を出力するゼロクロス回路と、
を備え、
前記ゼロクロス回路は、
前記リレーにより前記入力端子と前記ヒータとが非接続状態にされた場合において、
前記入力端子に前記交流電圧が入力されているときには、前記交流電圧の半波のゼロクロスを示す半波ゼロクロス信号を出力し、
前記入力端子に前記交流電圧が入力されていないときには、前記半波ゼロクロス信号を出力しない、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ゼロクロス回路は、
第1ダイオードのカソードを第2ダイオードのアノードに接続して構成した第1直列接続ダイオードと、第3ダイオードのカソードを第4ダイオードのアノードに接続して構成した第2直列接続ダイオードとを並列接続して構成したダイオードブリッジ回路と、前記リレーと、信号出力回路と、を有し、
前記入力端子の一端は、第1接続経路によって前記ヒータの一端と接続され、
前記ヒータの他端は、第2接続経路によって前記第4ダイオードのアノードと接続され、
前記第3ダイオードのカソードは、第3接続経路によって前記入力端子の他端に接続され、
前記第1ダイオードのカソードと前記第2ダイオードのアノードとの間の接続点は、第4接続経路によって前記第1接続経路と接続され、
前記信号出力回路の入力側は、前記第2ダイオードのアノードと前記第4ダイオードのアノードとの接続点と、前記第1ダイオードのカソードと前記第3ダイオードのカソードとの接続点との間に接続され、
前記リレーは、前記第3ダイオードのカソードと前記第4ダイオードのアノードとの間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記リレーに対して接続と非接続のいずれかを指示する制御部と、
表示部と、
をさらに備え、
前記信号出力回路は、
前記リレーが前記接続状態であるときに、前記入力端子に前記交流電圧が入力されている場合は、前記全波ゼロクロス信号を出力し、
前記リレーが前記非接続状態であるときに、前記入力端子に前記交流電圧が入力されている場合は、前記半波ゼロクロス信号を出力し、
前記制御部は、
前記リレーに前記非接続を指示しているときに、前記信号出力回路から前記全波ゼロクロス信号を検出した場合、前記表示部に異常を表示する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記異常の原因は、前記リレーが溶着状態であることであると判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記入力端子に入力された前記交流電圧を直流電圧に変換するAC-DC変換回路と、
前記入力端子と前記AC-DC変換回路との間に配置され、前記入力端子の前記一端と前記他端との間に生じるノイズを低減するためのコンデンサと、
前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電回路と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記リレーに前記非接続を指示しているときに、前記信号出力回路から出力される信号を検出しない場合、前記放電回路に対して前記コンデンサの放電を指示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記リレーに前記非接続を指示しているときに、前記ゼロクロス回路から一定の電圧が継続する信号を検出した場合、前記表示部に異常を表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記異常の原因は、前記入力端子に前記交流電圧ではなく直流電圧が入力されていることであると判定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記定着器を使用するために、前記リレーに対して前記接続を指示した場合において、
前記信号出力回路から前記全波ゼロクロス信号を検出しないときには、前記表示部に異常を表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記異常の原因は、前記リレーの動作不良であると判定する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成装置に入力された交流電圧の遮断を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ装置であって、入力交流電圧が遮断されたときにAC遮断検出信号を出力するAC遮断検出回路と、AC遮断検出回路からAC遮断検出信号が出力されたときにXコンデンサの残留電荷を放電させる放電回路とを備えたコンバータ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号 WO2012/140840 T1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のコンバータ装置では、AC遮断検出回路を備えているので、入力交流電圧が遮断されたことを検出することができるが、AC遮断検出回路を備えていないコンバータ装置を画像形成装置に採用した場合、別途、AC遮断検出回路等のAC遮断検出機能を画像形成装置に追加する必要があった。
【0005】
本願は、画像形成装置に備わっている構成を用いて交流電圧の遮断検出を行うことが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の画像形成装置は、商用電源から交流電圧を入力する入力端子とリレーを介して接続されたヒータを有し、現像剤像をシートに定着させる定着器と、リレーにより入力端子とヒータとが接続状態にされ、交流電圧の全波のゼロクロスを示す全波ゼロクロス信号を出力するゼロクロス回路と、を備え、ゼロクロス回路は、リレーにより入力端子とヒータとが非接続状態にされた場合において、入力端子に交流電圧が入力されているときには、交流電圧の半波のゼロクロスを示す半波ゼロクロス信号を出力し、入力端子に交流電圧が入力されていないときには、半波ゼロクロス信号を出力しない、ことを特徴とする。
【0007】
本願の画像形成装置によれば、ゼロクロス回路は、リレーが非接続状態であっても、入力端子に交流電圧が入力されているときには、半波ゼロクロス信号を出力する。そして、このとき、ゼロクロス回路が半波ゼロクロス信号を出力しないのは、入力端子に交流電圧が入力されていないときである。したがって、ゼロクロス回路から半波ゼロクロス信号が出力されているか否かを検出することで、入力端子に交流電圧が入力されているか否かを検出することができるので、画像形成装置に備わっているゼロクロス回路を用いて、交流電圧の遮断検出を行うことが可能となる。
【0008】
また、ゼロクロス回路は、第1ダイオードのカソードを第2ダイオードのアノードに接続して構成した第1直列接続ダイオードと、第3ダイオードのカソードを第4ダイオードのアノードに接続して構成した第2直列接続ダイオードとを並列接続して構成したダイオードブリッジ回路と、リレーと、信号出力回路と、を有し、入力端子の一端は、第1接続経路によってヒータの一端と接続され、ヒータの他端は、第2接続経路によって第4ダイ
オードのアノードと接続され、第3ダイオードのカソードは、第3接続経路によって入力端子の他端に接続され、第1ダイオードのカソードと第2ダイオードのアノードとの間の接続点は、第4接続経路によって第1接続経路と接続され、信号出力回路の入力側は、第2ダイオードのアノードと第4ダイオードのアノードとの接続点と、第1ダイオードのカソードと第3ダイオードのカソードとの接続点との間に接続され、リレーは、第3ダイオードのカソードと第4ダイオードのアノードとの間に配置されている、ことを特徴とする。
【0009】
ゼロクロス回路は、リレーが接続状態のときには、全波ゼロクロス信号を出力する。そして、リレーが非接続状態のときは、ヒータへ通電されていない状態である。リレーが非接続状態であって、かつ入力端子に交流電圧が入力されている場合、交流電圧の一方の極の半波成分による電流が、入力端子の一端から、第1接続経路、第4接続経路、第2ダイオード、信号出力回路、第3ダイオード及び第3接続経路を経由して、入力端子の他端に流れる。一方、交流電圧の他方の極の半波成分による電流は、リレーが非接続状態であることにより、入力端子の他端から一端へ流れない。したがって、リレーが非接続状態であって、かつ入力端子に交流電圧が入力されている場合、ゼロクロス回路は、半波ゼロクロス信号を出力する。これに対して、リレーが非接続状態であって、かつ入力端子に交流電圧が入力されていない場合、入力端子の一端と他端との間に電流は流れないので、ゼロクロス回路は、半波ゼロクロス信号を出力しない。このように、ゼロクロス回路から半波ゼロクロス信号が出力されているか否かを検出することで、入力端子に交流電圧が入力されているか否かを検出することができるので、画像形成装置に備わっているゼロクロス回路を用いて、交流電圧の遮断検出を行うことが可能となる。
【0010】
また、本願の画像形成装置は、リレーに対して接続と非接続のいずれかを指示する制御部と、表示部と、をさらに備え、信号出力回路は、リレーが接続状態であるときに、入力端子に交流電圧が入力されている場合は、全波ゼロクロス信号を出力し、リレーが非接続状態であるときに、入力端子に交流電圧が入力されている場合は、半波ゼロクロス信号を出力し、制御部は、リレーに非接続を指示しているときに、信号出力回路から全波ゼロクロス信号を検出した場合、表示部に異常を表示する、ことを特徴とする。
【0011】
制御部がリレーに対して非接続を指示したにも拘わらず、信号出力回路から全波ゼロクロス信号を検出すると言うことは、リレーが溶着し、信号出力回路から半波ゼロクロス信号ではなく全波ゼロクロス信号が出力されていることになるので、制御部は、表示部に異常を表示する。これにより、操作者は、画像形成装置に異常が発生していることを把握することが可能となる。
【0012】
また、制御部は、異常の原因は、リレーが溶着状態であることであると判定する、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、操作者は、異常の原因はリレーが溶着状態であることであることを知ることが可能となる。
【0014】
また、本願の画像形成装置は、入力端子に入力された交流電圧を直流電圧に変換するAC-DC変換回路と、入力端子とAC-DC変換回路との間に配置され、入力端子の一端と他端との間に生じるノイズを低減するためのコンデンサと、コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電回路と、をさらに備え、制御部は、リレーに非接続を指示しているときに、信号出力回路から出力される信号を検出しない場合、放電回路に対してコンデンサの放電を指示する、ことを特徴とする。
【0015】
制御部がリレーに対して非接続を指示しているときに、信号出力回路から出力される信
号を検出しないと言うことは、入力端子に交流電圧が入力されていないことになるので、制御部は、放電回路に対してコンデンサの放電を指示する。これにより、コンデンサに溜まっている残留電荷をコンデンサから迅速に除去することが可能となる。
【0016】
また、制御部は、リレーに非接続を指示しているときに、ゼロクロス回路から一定の電圧が継続する信号を検出した場合、表示部に異常を表示する、ことを特徴とする。
【0017】
これにより、操作者は、画像形成装置に異常が発生していることを把握することが可能となる。
【0018】
また、制御部は、異常の原因は、入力端子に交流電圧ではなく直流電圧が入力されていることであると判定する、ことを特徴とする。
【0019】
これにより、操作者は、異常の原因は入力端子に交流電圧ではなく直流電圧が入力されていることであることを知ることが可能となる。
【0020】
また、制御部は、定着器を使用するために、リレーに対して接続を指示した場合において、信号出力回路から全波ゼロクロス信号を検出しないときには、表示部に異常を表示する、ことを特徴とする。
【0021】
これにより、操作者は、画像形成装置に異常が発生していることを把握することが可能となる。
【0022】
また、制御部は、異常の原因は、リレーの動作不良であると判定する、ことを特徴とする。
【0023】
これにより、操作者は、異常の原因はリレーの動作不良であることを知ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願の一実施形態に係るモノクロレーザプリンタの要部側断面図である。
【
図2】
図1のモノクロレーザプリンタの制御構成を示すブロック図である。
【
図3】ヒータ制御装置の概略的な構成を示す回路図である。
【
図4】入力電圧波形(a)、全波整流後電圧波形(b)、全波ゼロクロス信号波形(c)、半波整流後波形(d)及び半波ゼロクロス信号波形(e)を示す図である。
【
図5】
図2中の制御部、特にCPUが実行する異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図4とは異なる入力電圧波形(a)、ゼロクロス信号波形(b)、入力電圧波形(c)、全波整流後波形(d)及びゼロクロス信号波形(e)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本願の一実施形態に係るモノクロレーザプリンタ1の概略構成を示す断面図である。モノクロレーザプリンタ1は、画像形成装置の一例である。以下、モノクロレーザプリンタ1をプリンタ1と略して言う。
【0027】
プリンタ1は、本体筐体2内の下部に配置された供給トレイ3あるいは手差しトレイ4から供給されたシートSに、プロセス部6を用いてトナー像を形成する。その後、プリンタ1は、トナー像が形成されたシートSを、定着器7を用いて加熱し、定着処理を行う。
さらに、プリンタ1は、そのシートSを、排出ローラ24を用いて本体筐体2の上部に位置する排出トレイ8に排出する。
【0028】
プロセス部6は、スキャナ部10、現像カートリッジ13、感光体ドラム17、帯電器18、転写ローラ19等を備えている。
【0029】
スキャナ部10は、本体筐体2内の上部に配置されており、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー11、複数の反射鏡12および図示しない複数のレンズ等を備えている。スキャナ部10では、レーザ発光部から発射されたレーザ光を、ポリゴンミラー11、反射鏡12、レンズを介して一点鎖線で示すように感光体ドラム17の表面上に高速走査にて照射させる。
【0030】
現像カートリッジ13は、本体筐体2に着脱可能に装着されており、その内部には、トナーが収容されている。また、現像カートリッジ13のトナー供給口には、現像ローラ14、供給ローラ15が互いに対向した状態で配置されている。現像カートリッジ13内のトナーは、供給ローラ15の回転により現像ローラ14に供給され、現像ローラ14に担持される。
【0031】
感光体ドラム17の上方には、帯電器18が間隔を隔てて配置されている。また、感光体ドラム17の下方には、転写ローラ19が感光体ドラム17に対向して配置されている。感光体ドラム17の表面は回転されつつ、まず帯電器18によって一様に、例えば、正極性に帯電される。次いで、スキャナ部10からのレーザ光により感光体ドラム17上に静電潜像が形成される。
【0032】
その後、感光体ドラム17が現像ローラ14と接触して回転するときに、現像ローラ14上に担持されているトナーが感光体ドラム17の表面上の静電潜像に供給されることによってトナー像が形成される。その後、トナー像は、シートSが感光体ドラム17と転写ローラ19との間を通る間に、転写ローラ19に印加される転写バイアスによって、シートSに転写される。
【0033】
定着器7は、プロセス部6に対してシート搬送方向の下流側に配置され、定着ローラ22、定着ローラ22を押圧する加圧ローラ23、及び定着ローラ22を加熱するヒータ31等を備えている。ヒータ31は、電源基板25に接続され、電源基板25から供給される交流電圧により通電制御される。ヒータ制御装置30は、ヒータ31と電源基板25とメイン基板40(
図3参照)を備えている。また、プリンタ1は、印刷情報等を表示する表示部27を備えている。
【0034】
図2は、プリンタ1の制御構成を示している。
図2に示すように、プリンタ1は、ヒータ31、サーミスタ32、制御部39、スイッチング素子34、ゼロクロス検出回路38、リレー33、プロセス部6、搬送部5、及び表示部27を備えている。なお、搬送部5には、上記排出ローラ24(
図1参照)に加え、供給トレイ3あるいは手差しトレイ4から供給されたシートSをプロセス部6に搬送する搬送ローラ21(
図1参照)や、供給トレイ3からシートSをピックアップするピックアップローラ(図示せず)、各種ローラを駆動するメインモータ(図示せず)等が含まれる。
【0035】
制御部39は、
図2に示すように、CPU39Aと、ROM39Bと、RAM39Cと、NVRAM39Dとを備えている。ROM39Bには、ヒータ制御装置30を制御するための各種制御プログラムや各種設定、初期値、特に、ヒータ制御処理などのプログラム、ヒータ制御処理を行うためのテーブル等が記憶されている。また、
図5を用いて後述する異常判定処理も、ROM39Bに記憶されている。
【0036】
RAM39C及びNVRAM39Dは、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、あるいは、データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU39Aは、ROM39Bから読み出した制御プログラムに従って、その処理結果をRAM39CまたはNVRAM39Dに記憶させながら、ヒータ制御装置30の各構成要素を制御する。
【0037】
ヒータ制御装置30は、
図2に示すヒータ31、サーミスタ32、制御部39、スイッチング素子34、及びゼロクロス検出回路38を備えている。さらに
図3に示すように、ヒータ制御装置30は、商用電源から商用電力を入力するための一対の第1及び第2入力端子T1,T2を備えている。
【0038】
第1及び第2入力端子T1,T2は、ヒータ制御装置30の外部にある商用電源(図示せず)に接続され、ヒータ制御装置30内部に交流電圧を供給する。商用電源の一方の端子が第1入力端子T1に接続され、商用電源の他方の端子が第2入力端子T2に接続される。
【0039】
第1入力端子T1と第2入力端子T2との間には、ヒータ31、スイッチング素子34、ダイオードブリッジ回路50、及びリレー33が接続されている。より具体的には、入力端子T1とヒータ31の一端H1とは、第1接続経路L1を介して接続されている。そして、ヒータ31の他端H2は、ダイオードブリッジ回路50を構成する第4ダイオードD4のアノードと、第2接続経路L2を介して接続されている。また、第2接続経路L2には、スイッチング素子34が配置されている。
【0040】
ダイオードブリッジ回路50は、第1~第4ダイオードD1~D4の4つのダイオードを有し、第1ダイオードD1のカソードを第2ダイオードD2のアノードに接続して構成した第1直列接続ダイオードと、第3ダイオードD3のカソードを第4ダイオードD4のアノードに接続して構成した第2直列接続ダイオードとを並列接続して構成されている。そして、第2直列接続ダイオードの第3ダイオードD3のカソードと第4ダイオードD4アノードとの間に、リレー33が配置されている。また、第3ダイオードD3のカソード、つまり、第3ダイオードD3のカソードとリレー33との間は、第3接続経路L3を介して、第2入力端子T2と接続されている。さらに、第1ダイオードD1のカソードと第2ダイオードD2のアノードとの接続点J1は、第4接続経路L4を介して第1接続経路L1と接続されている。
【0041】
ヒータ31は、定着器7を構成する定着ローラ22を加熱する機能を果たすものである。ヒータ31は定着ローラ22の中心軸方向に延びる姿勢で定着ローラ22の内部に収容されている。ヒータ31の一例としては、ハロゲンヒータが挙げられる。ヒータ31は、一端H1と他端H2との間を通電することにより発熱する。ヒータ31は、定着器7を構成する定着ローラ22を加熱して、トナーをシートSに定着させる。
【0042】
サーミスタ32は、ヒータ31の近傍に配置されている。サーミスタ32は、ヒータ31の温度を検出して、検出した温度情報を、制御部39に出力する。
【0043】
スイッチング素子34は、制御部39からの指令に基づいて、ヒータ31に印加する交流電圧をスイッチング動作させる。例えば、スイッチング素子34としてトライアックが挙げられる。トライアックは、半導体素子であり、正極性と負極性とを含む電圧波形を示す交流電圧をスイッチングするスイッチング素子である。
【0044】
ゼロクロス回路38は、ダイオードブリッジ回路50と、信号出力回路51とにより構成されている。そして、信号出力回路51の入力側は、第2ダイオードD2のアノードと
第4ダイオードD4のアノードとの接続点J2と、第1ダイオードD1のカソードと第3ダイオードD3のカソードとの接続点J3との間に接続されている。
【0045】
入力電圧Vinは、第1入力端子T1と第2入力端子T2との間に印加される電源電圧である。入力電圧Vinが第1及び第2入力端子T1,T2に印加されると、ゼロクロス回路38、特に信号出力回路51は、出力信号電圧Voutを制御部39に出力する。この出力信号電圧Voutが、ゼロクロス回路38が出力するゼロクロス信号である。
【0046】
入力電圧Vinが交流電圧である場合又は直流電圧である場合あるいは入力電圧Vinが無い場合のそれぞれに対して、ゼロクロス回路38は出力信号電圧Voutとして、それぞれに対応する電圧波形を出力する。したがって、制御部39は出力信号電圧Voutの電圧波形を識別することによって、第1及び第2入力端子T1,T2にどのような電圧が印加されているか判断することができる。
【0047】
リレー33は、制御部39からの指令により、第3ダイオードD3のアノードと第4ダイオードD4カソードとの間の通電をオン/オフする機能を有する。リレー33としては、例えば、有接点リレーなどが挙げられる。
【0048】
ヒータ制御処理として、制御部39は、トライアックカプラを用いた公知の回路を介してトライアック(スイッチング素子34)の点弧を行い、所要のスイッチング動作を実行させる。その際、制御部39は、サーミスタ32により検出されたヒータ31の温度情報及びゼロクロス回路38の出力信号電圧Voutに基づいて、この制御を実行する。
【0049】
商用電力系統による電力供給が必ずしも安定していない地域等において、プリンタ1に電力を供給する電源として、商用電力のバックアップ用にインバータ装置を用いた電源が用いられることがある。第1及び第2入力端子T1,T2に印加される電圧は、本来商用周波数の正弦波交流電圧であるべきところ、インバータ装置の設定誤りや、故障等により、直流電圧、あるいは電圧の立ち上がり速度の速い矩形波交流電圧が、印加される場合がある。ゼロクロス回路38は、第1及び第2入力端子T1,T2に印加される電圧の、このような異常も検出することができる。
【0050】
次に、ゼロクロス回路38の回路構成を説明する。ゼロクロス回路38は、電圧値の絶対値が閾値電圧Vthを下回ったタイミングで、ゼロクロス信号をHighレベルからLowレベルに切り替えて出力する。ゼロクロス回路38は、上述のように、ダイオードブリッジ回路50と信号出力回路51とにより構成されている。そして、信号出力回路51は、フォトカプラ51A、トランジスタ51B、及び符号を付与しない各種抵抗を備えている。
【0051】
制御部39がリレー33に対してオン指令(接続指令)を出力し、リレー33がオン状態(接続状態)である場合、入力電圧Vinは、ダイオードブリッジ回路50によって全波整流されて整流信号Vsとなる。整流信号Vsは、入力電圧Vinが、ダイオードブリッジ回路50によって出力された信号である。整流信号Vsは、フォトカプラ51Aの発光ダイオードで光信号に変換される。そして整流信号Vsが、閾値電圧Vth以上であった場合、フォトカプラ51Aの発光ダイオードの光信号に、フォトカプラ51Aの受光素子が反応し、受光素子に電流が流れる。フォトカプラ51Aに電流が流れることによって、トランジスタ51Bのエミッタコレクタ間に電流が流れなくなり、出力信号電圧VoutはHighレベルの電圧になる。一方、整流信号Vsが、閾値電圧Vthより小さい場合、フォトカプラ51Aの発光ダイオードの光信号に、フォトカプラ51Aの受光素子が反応せず、受光素子に電流は流れない。これによって、トランジスタ51Bにベース電流が流れるので、トランジスタ51Bのエミッタコレクタ間に電流が流れ、出力信号電圧V
outはLowレベルの電圧になる。
【0052】
一方、制御部39がリレー33に対してオフ指令(非接続指令)を出力し、リレー33がオフ状態(非接続状態)である場合、入力電圧Vinは、ダイオードブリッジ回路50によって半波整流されて整流信号Vsとなる。その後の信号出力回路51における信号処理は、全波整流されて整流信号Vsとなった場合と同様であるが、出力信号電圧Voutの形状は、整流信号Vsが全波整流されたものと半波整流されたものとでは異なっている。
【0053】
図4は、入力電圧Vinが正弦波である場合に((a))、リレー33がオン状態であるときの、ダイオードブリッジ回路50からの整流信号Vs((b))及びゼロクロス回路38からの全波ゼロクロス信号Vout((c))の各波形と、リレー33がオフ状態であるときの、ダイオードブリッジ回路50からの整流信号Vs((d))及びゼロクロス回路38からの半波ゼロクロス信号Vout((e))の各波形とを示している。整流信号Vsの波形図の横点線は、フォトカプラ51Aの動作する閾値電圧Vthを示している。整流信号Vsは、正弦波のゼロからの立ち上がりから閾値電圧Vth以下では、フォトカプラ51Aに電流は流れないが、閾値電圧Vth以上の電圧になるとフォトカプラ51Aに電流が流れる。
【0054】
これによって、ゼロクロス回路38は、
図4(c),(e)でそれぞれ示される全波及び半波ゼロクロス信号を出力する。このようなゼロクロス信号は、第1及び第2入力端子T1,T2に印加される電圧が正常であることを表している。
【0055】
電源基板25には、第1及び第2入力端子T1,T2、スイッチング素子34、トライアックカプラを用いた公知の回路及びゼロクロス回路38が設けられている。これに加えて、電源基板25には、コンデンサ60、放電回路61、及びAC-DC変換回路62も設けられている。
【0056】
AC-DC変換回路62の入力側は、第1及び第2入力端子T1,T2と接続され、第1及び第2入力端子T1,T2から入力された商用電圧、例えば100Vの交流電圧を、例えば24Vの直流電圧に変換し、後段のDC-DC変換回路70に出力する。
【0057】
コンデンサ60は、所謂Xコンデンサであり、第1及び第2入力端子T1,T2とAC-DC変換回路62との間に配置され、第1入力端子T1と第2入力端子T2との間に生じるノイズを低減させるためのものである。
【0058】
放電回路61は、コンデンサ60と並列に接続され、第1及び第2入力端子T1,T2への商用電圧の入力が遮断されたときなどに、コンデンサ60の残留電荷を放電するためのものである。放電回路61への放電の指示は、制御部39によりなされる。
【0059】
メイン基板40には、制御部39及びDC-DC変換回路70などが設けられている。DC-DC変換回路70は、AC-DC変換回路62からの24Vの直流電圧を、例えば3.3Vや5Vなどの直流電圧に変換して、制御部39やその他の電子部品に供給する。
【0060】
以下、以上のように構成されたプリンタ1が実行する制御処理を、
図4~
図6を参照して詳細に説明する。
【0061】
図5は、制御部39、特にCPU39Aが実行する異常判定処理の手順を示している。この異常判定処理は、プリンタ1の電源がオンされたときやプリンタ1がスタンバイ状態のときなどに開始される。以降、各処理の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0062】
図5において、まずCPU39Aは、リレー33へオフ指令を出力するとともに、スイッチング素子34のスイッチング動作を停止させる(S10)。これにより、リレー33が正常動作すれば、リレー33はオフ状態となり、ダイオードブリッジ回路50の第3ダイオードD3のアノードと第4ダイオードD4のカソードとの間の接続は遮断される。
【0063】
次にCPU39Aは、ゼロクロス回路38から半波ゼロクロス信号を検出しているか否かを判断する(S12)。
図4(e)は、上述のように、リレー33がオフ状態であるときにゼロクロス回路38が出力する半波ゼロクロス信号を示している。したがって、CPU39Aは、
図4(e)に示す半波ゼロクロス信号を検出している場合、S12の判断で、“YES”と判断し、
図4(e)に示す半波ゼロクロス信号を検出していない場合、S12の判断で、“NO”と判断する。このS12の判断で、“YES”の場合、CPU39Aは、印刷命令があるまで、S12の判断を繰り返し(S14:NO)、印刷命令があると(S14:YES)、CPU39Aは、処理を次のS16に進める。
【0064】
S16では、CPU39Aは、リレー33へオン指令を出力するとともに、スイッチング素子34のスイッチング動作を開始させる。次にCPU39Aは、ゼロクロス回路38から全波ゼロクロス信号を検出しているか否かを判断する(S18)。
図4(c)は、上述のように、リレー33がオン状態であるときにゼロクロス回路38が出力する全波ゼロクロス信号を示している。したがって、CPU39Aは、
図4(c)に示す全波ゼロクロス信号を検出している場合、S18の判断で、“YES”と判断し、
図4(c)に示す全波ゼロクロス信号を検出していない場合、S18の判断で、“NO”と判断する。このS18の判断で、“YES”の場合、CPU39Aは、印刷が終了するまで、S18の判断を繰り返し(S20:NO)、印刷が終了すると(S20:YES)、CPU39Aは、異常判定処理を終了する。
【0065】
一方、S18の判断で、“NO”の場合、CPU39Aは、異常を表示させ(S22)、印刷を停止させた(S24)後、異常判定処理を終了する。S18の判断で“NO”の場合とは、CPU39Aが、半波ゼロクロス信号を検出している場合である。この場合は、CPU39Aがリレー33に対してオン指令を出力しているにも拘わらず、リレー33はオン状態になっていないと考えられる。このためS22で、CPU39Aは、リレー33が動作不良であると判定できる異常が発生していることを表示部27に表示する。
【0066】
一方、上記S12の判断において、半波ゼロクロス信号を検出していない場合(S12:NO)、CPU39Aは、上記S18と同様にして、全波ゼロクロス信号を検出しているか否かを判断する(S30)。この判断において、全波ゼロクロス信号を検出している場合(S30:YES)、CPU39Aは、処理をS32に進め、全波ゼロクロス信号を検出していない場合(S30:NO)、CPU39Aは、処理をS40に進める。ここで、CPU39Aが全波ゼロクロス信号を検出している場合とは、リレー33が正常動作しているときは、CPU39Aは、半波ゼロクロス信号を検出するはずであるので、リレー33が正常動作していないと判定できる。このため、S32で、CPU39Aは、リレー33の接点の溶着と判定し、続くS34で、CPU39Aは、リレー33の接点の溶着と判定できる異常が発生していることを表示部27に表示した後、異常判定処理を終了する。
【0067】
一方、S30で、CPU39Aが全波ゼロクロス信号を検出していない場合とは、CPU39Aは、
図6(b)に示す出力信号電圧Voutを検出している場合である。この場合、
図6(a)に示すように、第1及び第2入力端子T1,T2に商用電源(AC電圧)が未入力と判定できるので、CPU39Aは、AC電圧未入力と判定し(S40)、コンデンサ60の残留電荷を放電させるために放電回路61を動作させる信号を出力した(S
42)後、異常判定処理を終了する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1は、商用電源から交流電圧を入力する第1及び第2入力端子T1,T2とリレー33を介して接続されたヒータ31を有し、現像剤像をシートに定着させる定着器7と、リレー33により第1及び第2入力端子T1,T2とヒータ31とが接続状態にされ、交流電圧の全波のゼロクロスを示す全波ゼロクロス信号を出力するゼロクロス回路38と、を備え、ゼロクロス回路38は、リレー33により第1及び第2入力端子T1,T2とヒータ31とが非接続状態にされた場合において、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されているときには、交流電圧の半波のゼロクロスを示す半波ゼロクロス信号を出力し、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されていないときには、半波ゼロクロス信号を出力しない、ことを特徴とする。
【0069】
このように、本実施形態のプリンタ1では、ゼロクロス回路38は、リレー33が非接続状態であっても、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されているときには、半波ゼロクロス信号を出力する。そして、このとき、ゼロクロス回路38が半波ゼロクロス信号を出力しないのは、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されていないときである。したがって、ゼロクロス回路38から半波ゼロクロス信号が出力されているか否かを検出することで、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されているか否かを検出することができるので、プリンタ1に備わっているゼロクロス回路38を用いて、交流電圧の遮断検出を行うことが可能となる。
【0070】
また、ゼロクロス回路38は、第1ダイオードD1のカソードを第2ダイオードD2のアノードに接続して構成した第1直列接続ダイオードと、第3ダイオードD3のカソードを第4ダイオードD4のアノードに接続して構成した第2直列接続ダイオードとを並列接続して構成したダイオードブリッジ回路と、リレー33と、信号出力回路51と、を有し、第1及び第2入力端子T1,T2の第1入力端子T1は、第1接続経路L1によってヒータ31の一端H1と接続され、ヒータ31の他端H2は、第2接続経路L2によって第4ダイオードD4のアノードと接続され、第3ダイオードD3のカソードは、第3接続経路L3によって第1及び第2入力端子T1,T2の第2入力端子T2に接続され、第1ダイオードD1のカソードと第2ダイオードD2のアノードとの間の接続点は、第4接続経路L4によって第1接続経路L1と接続され、信号出力回路51の入力側は、第2ダイオードD2のアノードと第4ダイオードD4のアノードとの接続点と、第1ダイオードD1のカソードと第3ダイオードD3のカソードとの接続点との間に接続され、リレー33は、第3ダイオードD3のカソードと第4ダイオードD4のアノードとの間に配置されている、ことを特徴とする。
【0071】
ゼロクロス回路38は、リレー33が接続状態のときには、全波ゼロクロス信号を出力する。そして、リレー33が非接続状態のときは、ヒータ31へ通電されていない状態である。リレー33が非接続状態であって、かつ第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されている場合、交流電圧の一方の極の半波成分による電流が、第1及び第2入力端子T1,T2の第1入力端子T1から、第1接続経路L1、第4接続経路L4、第2ダイオードD2、信号出力回路51、第3ダイオードD3及び第3接続経路L3を経由して、第1及び第2入力端子T1,T2の第2入力端子T2に流れる。一方、交流電圧の他方の極の半波成分による電流は、リレー33が非接続状態であることにより、第1及び第2入力端子T1,T2の第2入力端子T2から第1入力端子T1へ流れない。したがって、リレー33が非接続状態であって、かつ第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されている場合、ゼロクロス回路38は、半波ゼロクロス信号を出力する。これに対して、リレー33が非接続状態であって、かつ第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されていない場合、第1及び第2入力端子T1,T2の第1入力端子T1と第2
入力端子T2との間に電流は流れないので、ゼロクロス回路38は、半波ゼロクロス信号を出力しない。このように、ゼロクロス回路38から半波ゼロクロス信号が出力されているか否かを検出することで、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されているか否かを検出することができるので、プリンタ1に備わっているゼロクロス回路38を用いて、交流電圧の遮断検出を行うことが可能となる。
【0072】
また、プリンタ1は、リレー33に対して接続と非接続のいずれかを指示するCPU39Aと、表示部27と、をさらに備え、信号出力回路51は、リレー33が接続状態であるときに、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されている場合は、全波ゼロクロス信号を出力し、リレー33が非接続状態であるときに、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されている場合は、半波ゼロクロス信号を出力し、CPU39Aは、リレー33に非接続を指示しているときに、信号出力回路51から全波ゼロクロス信号を検出した場合、表示部27に異常を表示する、ことを特徴とする。
【0073】
CPU39Aがリレー33に対して非接続を指示したにも拘わらず、信号出力回路51から全波ゼロクロス信号を検出すると言うことは、リレー33が溶着し、信号出力回路51から半波ゼロクロス信号ではなく全波ゼロクロス信号が出力されていることになるので、CPU39Aは、表示部27に異常を表示する。これにより、操作者は、プリンタ1に異常が発生していることを把握することが可能となる。
【0074】
また、CPU39Aは、異常の原因は、リレー33が溶着状態であることであると判定する、ことを特徴とする。
【0075】
これにより、操作者は、異常の原因はリレー33が溶着状態であることであることを知ることが可能となる。
【0076】
また、プリンタ1は、第1及び第2入力端子T1,T2に入力された交流電圧を直流電圧に変換するAC-DC変換回路62と、第1及び第2入力端子T1,T2とAC-DC変換回路62との間に配置され、第1及び第2入力端子T1,T2の第1入力端子T1と第2入力端子T2との間に生じるノイズを低減するためのコンデンサ60と、コンデンサ60に蓄積された電荷を放電する放電回路61と、をさらに備え、CPU39Aは、リレー33に非接続を指示しているときに、信号出力回路51から出力される信号を検出しない場合、放電回路61に対してコンデンサ60の放電を指示する、ことを特徴とする。
【0077】
CPU39Aがリレー33に対して非接続を指示しているときに、信号出力回路51から出力される信号を検出しないと言うことは、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧が入力されていないことになるので、CPU39Aは、放電回路61に対してコンデンサ60の放電を指示する。これにより、コンデンサ60に溜まっている残留電荷をコンデンサ60から迅速に除去することが可能となる。
【0078】
また、CPU39Aは、リレー33に非接続を指示しているときに、ゼロクロス回路38から一定の電圧が継続する信号を検出した場合、表示部27に異常を表示する、ことを特徴とする。
【0079】
これにより、操作者は、プリンタ1に異常が発生していることを把握することが可能となる。
【0080】
また、CPU39Aは、異常の原因は、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧ではなく直流電圧が入力されていることであると判定する、ことを特徴とする。
【0081】
これにより、操作者は、第1及び第2入力端子T1,T2に交流電圧ではなく直流電圧が入力されていることであることを知ることが可能となる。
【0082】
また、CPU39Aは、定着器7を使用するために、リレー33に対して接続を指示した場合において、信号出力回路51から全波ゼロクロス信号を検出しないときには、表示部27に異常を表示する、ことを特徴とする。
【0083】
これにより、操作者は、プリンタ1に異常が発生していることを把握することが可能となる。
【0084】
また、CPU39Aは、異常の原因は、リレー33の動作不良であると判定する、ことを特徴とする。
【0085】
これにより、操作者は、異常の原因はリレー33の動作不良であることを知ることが可能となる。
【0086】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0087】
(1)上記実施形態では、ヒータ31として、輻射熱を利用するハロゲンヒータを例示したが、これに限定されず、例えば、抵抗体の発熱を利用するセラミックヒータやカーボンヒータなどであってもよい。また、ヒータは、加熱部材の内側ではなく、加熱部材の外側に配置されていてもよい。
【0088】
(2)上記実施形態では、画像形成装置として、シートにモノクロの画像を形成するプリンタを例示したが、これに限定されず、例えば、シートにカラーの画像を形成可能に構成されたプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…モノクロレーザプリンタ(画像形成装置)、7…定着器、25…電源基板、27…表示部、30…ヒータ制御装置、31…ヒータ、33…リレー、34…スイッチング素子、38…ゼロクロス回路、39…制御部、39A…CPU(制御部)、39B…ROM、39C…RAM、39D…NVRAM、40…メイン基板、50…ダイオードブリッジ回路、51…信号出力回路、51A…フォトカプラ、51B…トランジスタ、60…コンデンサ、61…放電回路、62…AC-DC変換回路、70…DC-DC変換回路、D1…第1ダイオード、D2…第2ダイオード、D3…第3ダイオード、D4…第4ダイオード、L1…第1接続経路、L2…第2接続経路、L3…第3接続経路、L4…第4接続経路、S…シート、T1…第1入力端子(入力端子)、T2…第2入力端子(入力端子)、Vin…入力電圧、Vout…出力信号電圧、Vs…整流信号、Vth…閾値電圧。