(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122475
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】水洗大便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20240902BHJP
E03D 11/13 20060101ALI20240902BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20240902BHJP
A47K 13/26 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
E03D11/13
E03D9/08 A
A47K13/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030035
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】篠原 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AA14
2D038JC02
2D039AA02
2D039AD00
2D039CA01
(57)【要約】
【課題】デザイン性の高い温水洗浄便座を備えた水洗大便器装置を提供する。
【解決手段】本発明は、水洗大便器装置(1)であって、接続部材(8)を有し、便器本体(2)は、汚物を受けるボウル部(2a)と、このボウル部の上端に連なり、ボウル部を囲むように形成された便器上面(2c)と、を備え、温水洗浄便座(4)は、本体部(4a)と、この本体部から進退可能に設けられ、洗浄水を噴射する洗浄ノズル(4b)と、本体部に対して回動可能に取り付けられ、ボウル部を取り囲むように便器上面の上に載置される便座(4c)と、を備え、接続部材の便器本体側接続部(8b)は、便器本体のボウル部よりも後方側に、便器本体の便器上面よりも低い位置に形成された接続部材取付面(10)に取り付けられ、接続部材の便座側接続部(8a)は、温水洗浄便座の本体部と接続されることを特徴としている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体、及びこの便器本体の上に配置された温水洗浄便座を有する水洗大便器装置であって、
上記便器本体に接続される便器本体側接続部と、上記温水洗浄便座に接続される便座側接続部が設けられ、上記便器本体と上記温水洗浄便座とを接続する接続部材を有し、
上記便器本体は、
汚物を受けるボウル部と、
このボウル部の上端に連なり、上記ボウル部を囲むように形成された便器上面と、
上記ボウル部の後方側に、上記便器上面よりも下方に沈胴するように形成され、上記ボウル部に設けられた吐水口に洗浄水を導く洗浄水導水路と、を備え、
上記温水洗浄便座は、
本体部と、
この本体部から進退可能に設けられ、洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
上記本体部に対して回動可能に取り付けられ、上記ボウル部を取り囲むように上記便器上面の上に載置される便座と、を備え、
上記接続部材の上記便器本体側接続部は、沈胴された上記洗浄水導水路の上面であって、上記便器本体の上記便器上面よりも低い位置に形成された接続部材取付面に取り付けられ、上記接続部材の上記便座側接続部は、上記温水洗浄便座の上記本体部と接続されることを特徴とする水洗大便器装置。
【請求項2】
上記便器本体は、上記接続部材取付面の前方側及び後方側が、上記接続部材取付面よりも高く形成されている請求項1記載の水洗大便器装置。
【請求項3】
上記接続部材取付面は、上記吐水口よりも高い位置に形成されている請求項1記載の水洗大便器装置。
【請求項4】
上記温水洗浄便座の上記本体部には、上記洗浄ノズルから噴射する洗浄水を供給するための給水ホースと、上記本体部に電力を供給する電源コードが取り付けられ、上記接続部材には、上記給水ホース又は上記電源コードを保持するための保持部が形成されている請求項1記載の水洗大便器装置。
【請求項5】
上記接続部材の上記保持部は、上記便器本体側接続部よりも、上記便器本体の後方側に設けられている請求項4記載の水洗大便器装置。
【請求項6】
上記接続部材の上記保持部は、上記便器本体の左右方向に延びるように、上記給水ホース又は上記電源コードを保持する請求項4又は5に記載の水洗大便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器装置に関し、特に、便器本体、及びこの便器本体の上に配置された温水洗浄便座を有する水洗大便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-134462号公報(特許文献1)には、水洗大便器が記載されている。この水洗大便器は、便器本体と、その上に配置された局部洗浄装置(温水洗浄便座)から構成されている。この水洗大便器において、便器本体の上面は平坦に構成されており、この平坦な便器本体の上面に、便器本体上面の形状と合致した形状の温水洗浄便座を配置することにより、便器本体と温水洗浄便座に一体感のあるスッキリした外観の水洗大便器を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年は、温水洗浄便座の高機能化、多機能化が進み、これらの機能を温水洗浄便座の本体部に組み込むことが困難になっている。一般に、温水洗浄便座は、使用者が座る便座と、この便座を回動可能に支持する本体部から構成され、使用者の局部を洗浄する洗浄ノズルや、その他の機能部は、温水洗浄便座の本体部の中に組み込まれる。温水洗浄便座の本体部は、便器本体のボウル部後方側の比較的狭い領域に載置される。このため、温水洗浄便座の本体部に多くの機能を組み込もうとすると、本体部の高さが高くなる傾向がある。本体部の高さが高くなると、温水洗浄便座の本体部が目につき、温水洗浄便座、及びそれを備えた水洗大便器装置全体の意匠性が低下するという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、全体が薄型に構成されたスッキリしたデザインの温水洗浄便座を備えた水洗大便器装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、便器本体、及びこの便器本体の上に配置された温水洗浄便座を有する水洗大便器装置であって、便器本体に接続される便器本体側接続部と、温水洗浄便座に接続される便座側接続部が設けられ、便器本体と温水洗浄便座とを接続する接続部材を有し、便器本体は、汚物を受けるボウル部と、このボウル部の上端に連なり、ボウル部を囲むように形成された便器上面と、ボウル部の後方側に、便器上面よりも下方に沈胴するように形成され、ボウル部に設けられた吐水口に洗浄水を導く洗浄水導水路と、を備え、温水洗浄便座は、本体部と、この本体部から進退可能に設けられ、洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、本体部に対して回動可能に取り付けられ、ボウル部を取り囲むように便器上面の上に載置される便座と、を備え、接続部材の便器本体側接続部は、沈胴された洗浄水導水路の上面であって、便器本体の便器上面よりも低い位置に形成された接続部材取付面に取り付けられ、接続部材の便座側接続部は、温水洗浄便座の本体部と接続されることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明によれば、接続部材が、洗浄水導水路を沈胴させることにより便器本体の便器上面よりも低い位置に形成した接続部材取付面に取り付けられると共に、温水洗浄便座の本体部と接続される。この結果、温水洗浄便座の本体部は、便器本体の便器上面よりも下方まで延在することが可能になる。これにより、温水洗浄便座の本体部に十分な容積を確保しながら、本体部が便器本体の便器上面の上方に突出する寸法を小さく抑えることが可能となり、ローシルエットのスッキリした外観の水洗大便器装置を実現することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、便器本体は、接続部材取付面の前方側及び後方側が、接続部材取付面よりも高く形成されている。
【0009】
このように構成された本発明によれば、接続部材取付面の前方側及び後方側が、接続部材取付面よりも高く形成されているので、接続部材に温水洗浄便座の本体部を接続する際に、すり鉢状に低く形成された接続部材取付面により、本体部を適切な位置に誘導することができ、温水洗浄便座の便器本体への取り付けを容易にすることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、接続部材取付面は、吐水口よりも高い位置に形成されている。
【0011】
このように構成された本発明によれば、接続部材取付面が吐水口よりも高い位置に形成されているので、接続部材取付面を便器上面よりも低い位置に形成しながら、便器本体内において吐水口に洗浄水を導く洗浄水導水路と接続部材取付面の干渉を回避することができ、吐水口に円滑に洗浄水を導くことができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、温水洗浄便座の本体部には、洗浄ノズルから噴射する洗浄水を供給するための給水ホースと、本体部に電力を供給する電源コードが取り付けられ、接続部材には、給水ホース又は電源コードを保持するための保持部が形成されている。
【0013】
このように構成された本発明によれば、給水ホース又は電源コードを保持するための保持部が、接続部材に形成されているので、温水洗浄便座を便器本体の上に配置する際、給水ホース又は電源コードを適所に保持することができる。これにより、温水洗浄便座と便器本体の間に、給水ホース又は電源コードが挟まれてしまい損傷されるのを防止することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、接続部材の保持部は、便器本体側接続部よりも、便器本体の後方側に設けられている。
【0015】
一般に、給水源及び電源は便器本体の後方側に位置しており、給水ホース、電源コードは、これらの給水源、電源から夫々延びている。上記のように構成された本発明によれば、接続部材の保持部が、便器本体側接続部よりも、便器本体の後方側に設けられているので、便器本体の後方側から延びる給水ホース又は電源コードの引き回しを不要に延長することなく保持することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、接続部材の保持部は、便器本体の左右方向に延びるように、給水ホース又は電源コードを保持する。
【0017】
一般に、便器本体内の給水ホース又は電源コードを取り回す空間は、便器本体の前後方向よりも左右方向が長く構成されている。上記のように構成された本発明によれば、接続部材の保持部が、便器本体の左右方向に延びるように給水ホース又は電源コードを保持するので、急激に湾曲させることなく給水ホース又は電源コードを保持することができ、給水ホース又は電源コードを無理なく取り回すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、全体が薄型に構成されたスッキリしたデザインの温水洗浄便座を備えた水洗大便器装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態の水洗大便器装置全体を示す斜視図であり、温水洗浄便座の便座カバーを開けた状態を示している。
【
図2】本発明の実施形態の水洗大便器装置を、便器本体と温水洗浄便座に分解した状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態の水洗大便器装置の全断面図である。
【
図4】本発明の実施形態の水洗大便器装置の、
図2のIV-IV線に沿う断面図である。
【
図5】本発明の実施形態の水洗大便器装置において、便器本体から接続部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態の水洗大便器装置において、
図4の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図7】本発明の実施形態の水洗大便器装置の、
図2のVII-VII線に沿う断面図である。
【
図8】本発明の実施形態の水洗大便器装置において、便器本体から連結部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態の水洗大便器装置において、
図7の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図10】本実施形態の水洗大便器装置に備えられている接続部材の第1変形例を示す斜視図である。
【
図11】本実施形態の水洗大便器装置に備えられている接続部材の第2変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による水洗大便器装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態の水洗大便器装置全体を示す斜視図であり、温水洗浄便座の便座カバーを開けた状態を示している。
図2は、本発明の実施形態の水洗大便器装置を、便器本体と温水洗浄便座に分解した状態を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施形態の水洗大便器装置の全断面図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施形態の水洗大便器装置1は、便器本体2と、この便器本体2の上に配置された温水洗浄便座4と、を有する。また、本実施形態の水洗大便器装置1は、壁面Wに取り付けて使用される壁掛け式の水洗大便器であり、壁面Wの裏側には、便器本体2に洗浄水を供給する貯水タンクや、汚物及び洗浄水を排出するための排水管(以上、図示せず)が埋め込まれている。本実施形態において、便器本体2は陶器製である。なお、本明細書においては、便器本体2の壁面Wに近い側を便器本体2の後方側と呼び、その反対側を便器本体2の前方側と呼ぶものとする。また、壁面Wに平行な方向を、便器本体2の左右方向と呼ぶものとする。
【0022】
図2及び
図3に示すように、便器本体2は、汚物を受けるボウル部2aと、ボウル部2aの底部に連通した排水トラップ管路2bと、を有する。さらに、便器本体2の上面には、ボウル部2aを囲むように便器上面2cが形成されている。この便器上面2cは、ボウル部2a上端の縁と連なっており、ほぼ水平方向に延びている。また、
図2に示すように、便器本体2の便器上面2cには、その左右方向の両端に、上方に向けて隆起したせり上がり部6が設けられている。即ち、便器上面2cの左右方向の両端にせり上がり部6を設けることにより、便器上面2cの両端は、せり上がり、高くなっている。
【0023】
さらに、
図3に示すように、ボウル部2aの上端部には、リム部2dが形成されており、このリム部2dに沿って洗浄水を吐出させるように吐水口であるリム吐水口2eが形成されている。便器洗浄時においては、リム吐水口2eから吐出された洗浄水により、ボウル部2aの内壁面が洗浄されると共に、ボウル部2a内の汚物及びボウル部2aの底部に溜められた溜水が、排水トラップ管路2bを通って排出される。
【0024】
一方、
図1に示すように、温水洗浄便座4は、本体部4aと、この本体部4aから進退可能に設けられた洗浄ノズル4bと、本体部4aに対して回動可能に取り付けられた便座4cと、この便座4cを覆うように、本体部4aに対して回動可能に取り付けられた便座カバー4dと、を有する。
【0025】
本体部4aは、便器本体2の上面の後方側に配置され、内部には、洗浄ノズル4bや、洗浄ノズル4bの駆動機構、洗浄ノズル4bへの洗浄水の給水系統(以上、図示せず)等が収容されている。また、
図3に示すように、本体部4aは、便器本体2上に配置された状態において、その一部が、便器上面2cよりも下方に突出するように構成されている。即ち、
図2に示すように、便器本体2の上面には、開口部2fが形成されており、この開口部2fの中に、本体部4aの底部が突出する。なお、本実施形態において、壁面Wから引き出された給水ホース16a及び電源コード16bは、便器本体2の内部から開口部2fを通って本体部4aに接続される(
図2には図示せず)。即ち、給水ホース16a(
図5)は、温水洗浄便座4の本体部4aに接続され、洗浄ノズル4bから噴射する洗浄水を供給する。また、電源コード16b(
図5)は、温水洗浄便座4の本体部4aに接続され、温水洗浄便座4に電力を供給する。
【0026】
洗浄ノズル4b(
図1)は、本体部4aに対し、便器本体2の前後方向に進退可能に取り付けられている。また、使用時において、洗浄ノズル4bは、本体部4aから前方斜め下方に進出し、先端部に設けられた噴射口(図示せず)から洗浄水を噴射する。これにより、水洗大便器装置1の使用者の局部が洗浄される。
【0027】
図1に示すように、便座4cは、本体部4aに対して回動可能に取り付けられ、水洗大便器装置1の使用者が座るために、ボウル部2aを取り囲むように便器上面2cの上に載置される。また、便座4cが便器上面2cの上に載置された状態では、便器本体2の上面は、本体部4a及び便座4cにより覆われる。さらに、便座4cの底面には4つの脚部4e(
図2)が設けられており、これらの脚部4eと便器本体2の便器上面2cが当接することにより、便座4cが便器本体2の上方に支持される。
【0028】
便座カバー4dは、本体部4aの後部に回動可能に取り付けられている。便座カバー4dを閉じた状態においては、温水洗浄便座4の本体部4a及び便座4cが便座カバー4dによって覆われる。
【0029】
次に、
図4乃至
図6を新たに参照して、本発明の実施形態の水洗大便器装置に備えられている接続部材を説明する。
図4は、
図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図5は、便器本体から接続部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図6は、
図4の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【0030】
図2に示すように、便器本体2の後部に形成された開口部2fの中には、接続部材8が取り付けられている。この接続部材8は、開口部2fの前端縁近傍に、便器本体2の左右方向に延びるように取り付けられている。接続部材8は樹脂製で、
図4に示すように、便器本体2の左右方向の中央に取り付けられている。また、便器本体2の後部中央には、ボウル部2aの底部から延びる排水トラップ管路2b、及びリム吐水口2e(
図2)に洗浄水を供給する洗浄水導水路である給水路2gが設けられている。さらに、
図3に示すように、給水路2gは、便器上面2cよりも下方に沈胴するように形成されており、沈胴された給水路2gの上面には、接続部材取付面10が形成されている。そして、接続部材8は接続部材取付面10に取り付けられ、この接続部材取付面10の前方側及び後方側は高くなっており、接続部材取付面10の部分はすり鉢状に低くされている。このように、接続部材取付面10の前方側及び後方側を、接続部材取付面10よりも高く形成することにより、便器本体2の上に温水洗浄便座4の本体部4aを配置する際、本体部4aを容易に適所に配置することができる。
【0031】
即ち、
図4に示すように、排水トラップ管路2bの上方には、給水路2gが形成されており、この給水路2gを形成する上側壁面の上面に、接続部材8を取り付けるための接続部材取付面10が形成されている。この接続部材取付面10は、便器本体2に形成された概ね水平方向に向けられた平坦な面である。また、接続部材取付面10の両側に位置する、便器本体2左右方向両側の縁部2hは、接続部材取付面10よりも高く形成されている。このように、便器本体2の両側の縁部2hを、接続部材取付面10よりも高く形成することにより、便器本体2の上に温水洗浄便座4の本体部4aを配置する際、本体部4aを容易に適所に配置することができる。
【0032】
また、
図3に示すように、接続部材8を取り付ける接続部材取付面10は、ボウル部2aに形成されたリム吐水口2eよりも高い位置に形成されている。このように、接続部材取付面10をリム吐水口2eよりも高い位置に形成することにより、便器本体2内においてリム吐水口2eに洗浄水を導く給水路2gと接続部材取付面10の干渉を回避することができ、リム吐水口2eに円滑に洗浄水を導くことができる。
【0033】
次に、
図5に示すように、接続部材8は、全体として細長いプレート状の部材であり、その上面には温水洗浄便座4の本体部4aと対向し、下面は便器本体2の接続部材取付面10と当接するように配置される。また、接続部材8の上面には、上方に向けて突出するように便座側接続部8aが設けられている。この便座側接続部8aが温水洗浄便座4の本体部4a下面に形成された底面接続穴4f(
図6)に受け入れられることにより、温水洗浄便座4の本体部4aと接続部材8が接続される。なお、本実施形態においては、便座側接続部8aと底面接続穴4fの間には所定のクリアランスがあり、便器本体2の製造誤差等により、接続部材8の取り付け位置に一定の誤差がある場合でも、接続部材8と温水洗浄便座4の本体部4aを接続することができる。
【0034】
また、接続部材8の左右方向の両端部には、便器本体側接続部8bが設けられている。各便器本体側接続部8bには、ネジ12を通すための孔が夫々形成され、これらの孔を通してネジ12を便器本体2の接続部材取付面10に固定することにより、接続部材8が便器本体2に固定(接続)される。即ち、
図6に示すように、接続部材取付面10の、各ネジ12に対応する位置には、貫通孔10aが夫々形成されている。
【0035】
これらの貫通孔10aには、接続部材取付面10の下側からゴムブッシュ14が挿入されている。各ゴムブッシュ14は円筒状の部材であり、その中間には外径が大きくなった膨張部14aが形成されている。各ゴムブッシュ14の上部は接続部材取付面10の貫通孔10aに夫々挿入され、中間の膨張部14aが接続部材取付面10の裏面に当接している。また、各ゴムブッシュ14の下端部にはナット(図示せず)が埋め込まれており、このナットにネジ12の先端が螺合される。即ち、接続部材8の上方から挿入されたネジ12は、接続部材8の孔、接続部材取付面10の貫通孔10aに挿入されたゴムブッシュ14の中を通って、ゴムブッシュ14に埋め込まれたナット(図示せず)に螺合される。この状態で、ネジ12を締め込むことにより、ゴムブッシュ14に埋め込まれたナットが上方に引き上げられる。この結果、ゴムブッシュ14が弾性変形して、膨張部14aの上側が接続部材取付面10の裏面に押し付けられる。これにより、便器本体2の接続部材取付面10が、接続部材8とゴムブッシュ14の膨張部14aの間に挟まれ、接続部材8が便器本体2に固定される。
【0036】
さらに、
図5に示すように、接続部材8は、給水ホース16a及び電源コード16bを夫々保持するように構成されている。即ち、接続部材8の後方側には、平板状の延出部8cが設けられており、この延出部8cの上面には、給水ホース16a、電源コード16bを夫々保持するための保持部8dが二対設けられている。これらの保持部8dは、接続部材8(延出部8c)の上面に、便座側接続部8aよりも便器本体2の後方側に設けられており、給水ホース16a及び電源コード16bを、便器本体2の左右方向に延びるように夫々保持する。
【0037】
本実施形態においては、便座側接続部8aに近い側(便器本体2の前方側)に左右方向に並んだ一対の保持部8dにより給水ホース16aが保持されている。また、便座側接続部8aから遠い側(便器本体2の後方側)に左右方向に並んだ一対の保持部8dにより、電源コード16bが保持されている。即ち、給水ホース16a及び電源コード16bは、夫々、2つの(一対の)保持部8dにより保持されている。また、本実施形態において、給水ホース16a、電源コード16bを保持する各対の保持部8dは、排水トラップ管路2bの幅と略同一の距離隔てて設けられている。このように間隔を空けた2つの保持部8dで保持することにより、給水ホース16a、電源コード16bが延びる方向を確実に規制することができる。
【0038】
なお、給水ホース16a、電源コード16bを3つ以上の保持部8dにより保持されるように本発明を構成することもできる。また、本実施形態においては、給水ホース16a、電源コード16bの両方を保持するように二対の保持部8dが設けられているが、給水ホース16a又は電源コード16bの何れか一方を保持するように本発明を構成することもできる。
【0039】
さらに、保持部8dは、夫々、給水ホース16a、電源コード16bを間に挟むように形成された一対の爪部から構成されている。この一対の爪部の上端部における間隔C1は、保持すべき給水ホース16a、電源コード16bの太さよりも狭く、爪部を弾性変形させて爪部の間に押し込むことにより、給水ホース16a、電源コード16bを保持することができる。
【0040】
一対の爪部の間に保持されることにより、給水ホース16a、電源コード16bは、軸線方向の移動が許容される一方、軸線方向に直交する方向への移動が規制される。また、一対の爪部の上端部における間隔C1は、一対の爪部の下部における間隔C2の約半分に構成され、爪部の幅Bは、一対の爪部の下部における間隔C2以上、且つ間隔C2の2倍以下に構成されている。このため、一対の爪部の間に挟んだ給水ホース16a、電源コード16bの方向を確実に規制することができると共に、爪部の可撓性が確保され、一対の爪部の間に給水ホース16a、電源コード16bを確実に挟み込むことができる。
【0041】
次に、
図7乃至
図9を新たに参照して、本発明の実施形態の水洗大便器装置に備えられている連結部材を説明する。
図7は、
図2のVII-VII線に沿う断面図である。
図8は、便器本体から連結部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図9は、
図7の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【0042】
図2に示すように、便器本体2の後部に形成された開口部2fの中には、連結部材18が取り付けられている。この連結部材18は、接続部材8よりも便器本体2の後方側に、開口部2fの後端縁に沿って取り付けられ、温水洗浄便座4の本体部4aを支持する。従って、温水洗浄便座4の本体部4aは、開口部2fの前端部において接続部材8によって支持され、開口部2fの後端部において連結部材18によって支持される。これにより、温水洗浄便座4の本体部4aを安定して支持することができる。また、連結部材18は樹脂製で、弾性変形可能であり、
図7に示すように、便器本体2の左右方向の中央に、左右方向に延びるように取り付けられている。さらに、便器本体2の後部中央には、ボウル部2aの底部から延びる排水トラップ管路2b、及びリム吐水口2e(
図2)に洗浄水を供給する給水路2gが設けられている。そして、
図7に示すように、連結部材18は、便器本体2の排水トラップ管路2b及び給水路2gを跨ぐように、便器本体2に取り付けられている。
【0043】
即ち、
図7に示すように、排水トラップ管路2bの上方には、給水路2gが形成されており、この給水路2gの両側に、連結部材18を取り付けるための第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bが夫々形成されている。これらの第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bは便器本体2に形成された面であり、便器本体2の左右方向の中心線の両側に、中心線に対して対称に形成されている。また、第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bは、平坦な面であり、便器本体2の左右方向の中心に向かって低くなるように傾斜して形成されている。即ち、本実施形態において、第1の傾斜面20aと第2の傾斜面20bは同一の角度傾斜する一方、第2の傾斜面20bと、第1の傾斜面20aは、異なる方向(反対方向)に傾斜している。
【0044】
次に、
図8に示すように、連結部材18は、折り曲げられた細長いプレート状の部材であり、中央連結部18aと、この中央連結部18aの両端に夫々設けられた支持部18bから構成されている。また、連結部材18の中央連結部18aは、支持部18bよりも薄く構成され、支持部18bよりも弾性変形しやすくなっている。両側の支持部18bの上面には、温水洗浄便座4の本体部4aが載置され、両側の支持部18bの下面は、便器本体2の第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bによって夫々支持される。従って、各支持部18bの下面は、便器本体2の第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bによって夫々支持される支持面を構成する。
【0045】
さらに、
図9に示すように、連結部材18の各支持部18bが、第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bによって夫々支持された状態において、水平面である中央連結部18aの上面は略水平方向に向けられる。一方、支持面である各支持部18bの下面は、第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bに対して夫々平行に向けられるように構成されている。即ち、各支持部18bは、基端部において厚く、先端部において薄くなるように形成され、これにより、各支持部18bの下面(支持面)は、第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bと合致する角度に傾斜される。また、連結部材18が、第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bによって夫々支持された状態においては、各支持部18b下側の各支持面は便器本体2の左右方向の中心線の両側に左右対称に配置される。
【0046】
このように、連結部材18は、異なる方向に傾斜した第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bによって支持されるため、便器本体2に取り付けることにより自動的に適所に位置決めされる。また、各支持部18bの下面(支持面)は、第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bと合致する角度に傾斜しているので、各支持面が第1、第2の傾斜面20a、20bに安定して支持されるように、連結部材18を配置するだけで、連結部材18は、便器本体2に対して適所に位置決めされる。さらに、便器本体2に左右対称に形成された第1、第2の傾斜面20a、20bによって連結部材18の支持面が夫々支持されるので、連結部材18を便器本体2の中心に、容易に位置決めすることができる。
【0047】
また、
図9に示すように、連結部材18の中央連結部18aは、各支持部18bよりも上方に突出するように形成されており、温水洗浄便座4の本体部4aの底面に設けられた底面凹部4gに受け入れられる。これにより、温水洗浄便座4の本体部4aの左右方向の位置が正確に位置決めされる。なお、本実施形態においては、連結部材18の中央連結部18aと底面凹部4gの間には所定のクリアランスがあり、便器本体2の製造誤差等により、連結部材18の取り付け位置に一定の誤差がある場合でも、連結部材18と温水洗浄便座4の本体部4aを接続することができる。
【0048】
このように、連結部材18を、異なる方向に傾斜した第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bによって支持することにより、便器本体2に製造誤差がある場合でも、連結部材18を適正な位置、角度に位置決めし、固定することができる。即ち、本実施形態において、第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bは、便器本体2の左右方向の中心線に対して左右対称の位置に形成されているため、連結部材18を容易に左右対称の位置(便器本体2の左右方向の中心)に配置することができる。これと同時に、連結部材18の上面(水平面)を水平方向に向けることができる。このように、連結部材18を適正な位置に位置決めすることにより、その上に配置される温水洗浄便座4の本体部4aも、適正な位置、角度に位置決めすることができる。
【0049】
さらに、連結部材18の各支持部18bには、ネジ22を通すための孔が夫々形成され、これらの孔を通してネジ22を便器本体2の第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bに固定することにより、連結部材18が便器本体2に取り付けられる。即ち、
図8に示すように、第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bの、各ネジ22に対応する位置には、貫通孔20cが夫々形成されている。
【0050】
また、
図9に示すように、これらの貫通孔20cには、第1、第2の傾斜面の下側からゴムブッシュ24が挿入されている。各ゴムブッシュ24は円筒状の部材であり、その中間には外径が大きくなった膨張部24aが形成されている。各ゴムブッシュ24の上部は第1、第2の傾斜面の貫通孔20cに夫々挿入され、中間の膨張部24aが各傾斜面の裏面に当接している。また、各ゴムブッシュ24の下端部にはナット(図示せず)が埋め込まれており、このナットにネジ22の先端が螺合される。
【0051】
即ち、連結部材18の上方から挿入されたネジ22は、連結部材18の孔、第1、第2の傾斜面の貫通孔20cに挿入されたゴムブッシュ24の中を通って、ゴムブッシュ24に埋め込まれたナット(図示せず)に螺合される。この状態で、ネジ22を締め込むことにより、ゴムブッシュ24に埋め込まれたナットが上方に引き上げられる。この結果、ゴムブッシュ24が弾性変形して、膨張部24aの上側が第1、第2の傾斜面の裏面に押し付けられる。これにより、便器本体2の第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bが、連結部材18とゴムブッシュ24の膨張部24aの間に挟まれ、連結部材18が便器本体2に固定される。また、第1の傾斜面20a、第2の傾斜面20bの傾斜により、連結部材18は適正な位置に位置決めされる。
【0052】
本発明の実施形態の水洗大便器装置1によれば、接続部材8が、洗浄水導水路を沈胴させることにより便器本体2の便器上面2cよりも低い位置に形成した接続部材取付面10に取り付けられる(
図2、
図3)と共に、温水洗浄便座4の本体部4aと接続される。この結果、温水洗浄便座4の本体部4aは、便器本体3の便器上面2cよりも下方まで延在することが可能になる。これにより、温水洗浄便座4の本体部4aに十分な容積を確保しながら、本体部4aが便器本体2の便器上面2cの上方に突出する寸法を小さく抑えることが可能となり、ローシルエットのスッキリした外観の水洗大便器装置1を実現することができる。
【0053】
また、本実施形態の水洗大便器装置1によれば、接続部材取付面10の前方側及び後方側が、接続部材取付面10よりも高く形成されている(
図4)ので、接続部材8に温水洗浄便座4の本体部4aを接続する際に、すり鉢状に低く形成された接続部材取付面により、本体部4aを適切な位置に誘導することができ、温水洗浄便座4の便器本体2への取り付けを容易にすることができる。
【0054】
さらに、本実施形態の水洗大便器装置1によれば、接続部材取付面10がリム吐水口2eよりも高い位置に形成されている(
図2)ので、接続部材取付面10を便器上面2cよりも低い位置に形成しながら、便器本体2内においてリム吐水口2eに洗浄水を導く洗浄水導水路である給水路2gと接続部材取付面10の干渉を回避することができ、リム吐水口2eに円滑に洗浄水を導くことができる。
【0055】
また、本実施形態の水洗大便器装置1によれば、給水ホース16a及び電源コード16bを保持するための保持部8dが、接続部材8に形成されている(
図5)ので、温水洗浄便座4を便器本体2の上に配置する際、給水ホース16a及び電源コード16bを適所に保持することができる。これにより、温水洗浄便座4と便器本体2の間に、給水ホース16a又は電源コード16bが挟まれてしまい損傷されるのを防止することができる。
【0056】
さらに、本実施形態の水洗大便器装置1によれば、接続部材8の保持部8dが、便器本体側接続部8bよりも、便器本体2の後方側に設けられている(
図5)ので、便器本体2の後方側から延びる給水ホース16a又は電源コード16bの引き回しを不要に延長することなく保持することができる。
【0057】
また、本実施形態の水洗大便器装置1によれば、接続部材8の保持部8dが、便器本体2の左右方向に延びるように給水ホース16a及び電源コード16bを保持する(
図5)ので、急激に湾曲させることなく給水ホース16a及び電源コード16bを保持することができ、給水ホース16a及び電源コード16bを無理なく取り回すことができる。
【0058】
次に、
図10を参照して、本実施形態の水洗大便器装置1に備えられている接続部材の第1変形例を説明する。
図10は、第1変形例による接続部材を接続部材取付面10に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0059】
図10に示すように、第1変形例による接続部材26は、上面に便座側接続部26aが設けられると共に、左右方向の両端部に便器本体側接続部26bが設けられている。これら便座側接続部26a、便器本体側接続部26bにより、接続部材26を温水洗浄便座4の本体部4a、便器本体2の接続部材取付面10に夫々接続する構造は、上述した実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0060】
さらに、接続部材26の後方側から平板状の延出部26cが延出しており、この延出部26cの左右方向の両端に保持部26dが2つずつ設けられている。これら二対の保持部26dにより、給水ホース16a及び電源コード16bが夫々保持される点も、上述した実施形態と同様である(
図10には給水ホース16aのみ図示)。また、各保持部26dを構成する一対の爪部の構成も、上述した実施形態と同様である。
【0061】
一方、本変形例による接続部材26においては、延出部26cの左右方向の一方の側(
図10における右側)が拡張されて、下方に向けて折り曲げられた接続部材傾斜面26eが構成されている。即ち、延出部26cの一方の端部には、下方に向けて傾斜した接続部材傾斜面26eが設けられており、この接続部材傾斜面26e上に2つの保持部26dが形成されている。このように、延出部26cの接続部材傾斜面26eに保持部26dを設けることにより、これらの保持部26dによって保持された給水ホース16a及び電源コード16bは下方に向けて誘導される。このため、接続部材傾斜面26eは、給水ホース16a、電源コード16bを下方に向けて案内するガイド部として機能する。
【0062】
このように、保持部26dによって保持された給水ホース16a又は電源コード16bが、ガイド部により下方に向けて案内されるので、保持部26dによって保持された給水ホース16a又は電源コード16bが上方に向かって延びてしまい、便器本体2と温水洗浄便座4の本体部4aとの間に挟まれるのを確実に防止することができる。また、ガイド部が下方に向けて傾斜した接続部材傾斜面26eにより構成されているので、給水ホース16a又は電源コード16bを、接続部材傾斜面26eに沿って下方に導くことができ、給水ホース16a又は電源コード16bを確実に下方に差し向けることができる。即ち、第1変形例の接続部材26によれば、保持される給水ホース16a又は電源コード16bを所望の方向に誘導することができ、便器本体2内での給水ホース16aや電源コード16bの取り回しをスムーズにすることができる。
【0063】
次に、
図11を参照して、本発明の実施形態の水洗大便器装置1に備えられている接続部材の第2変形例を説明する。
図11は、第2変形例による接続部材の斜視図である。
【0064】
図11に示すように、第2変形例による接続部材28は、上面に便座側接続部28aが設けられると共に、左右方向の両端部に便器本体側接続部28bが設けられている。これら便座側接続部28a、便器本体側接続部28bにより、接続部材28を温水洗浄便座4の本体部4a、便器本体2の接続部材取付面10に夫々接続する構造は、上述した実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0065】
さらに、接続部材28の後方側から平板状の延出部28cが延出しており、この延出部28cの左右方向の両端に保持部28dが2つずつ設けられている。これら二対の保持部28dにより、給水ホース16a及び電源コード16b(
図11には図示せず)が夫々保持される点も、上述した実施形態と同様である。また、各保持部28dを構成する一対の爪部の構成も、上述した実施形態と同様である。
【0066】
一方、本変形例による接続部材28においては、各保持部28dに隣接するように、延出部28cの左右方向の端部から、一対の爪部の間の領域まで延びる接続部材切欠部28eが設けられている。即ち、本変形例による接続部材28では、各保持部28dを構成する一対の爪部の間の領域に開口部が夫々設けられており、この開口部が延出部28cの左右方向の端部まで連続して延びている。
【0067】
このように、各保持部28dを構成する一対の爪部の間まで延びる接続部材切欠部28eを設けておくことにより、保持部28dによって保持された給水ホース16a、電源コード16b(
図11には図示せず)を、接続部材切欠部28eの中に通すことにより、保持部28dにおいて下方に向けて湾曲させることができる。即ち、接続部材28に接続部材切欠部28eを設けることにより、給水ホース16a、電源コード16bを便器本体2内で容易に取り回すことが可能になる。
【0068】
従って、接続部材切欠部28eは、給水ホース16a、電源コード16bを下方に向けて案内するガイド部として機能する。このように、保持部28dによって保持された給水ホース16a又は電源コード16bが、ガイド部により下方に向けて案内されるので、保持部28dによって保持された給水ホース16a又は電源コード16bが上方に向かって延びてしまい、便器本体2と温水洗浄便座4の本体部4aとの間に挟まれるのを確実に防止することができる。また、ガイド部として、接続部材28の端部から一対の爪部の間へ延びる接続部材切欠部28eが設けられているので、給水ホース16a又は電源コード16bを、接続部材切欠部28eの中に通すことにより、保持部28dにおいて下方に向けて湾曲させることができる。即ち、第2変形例の接続部材28によれば、簡単な構造で、保持される給水ホース16a又は電源コード16bを下方に向けて誘導することができ、便器本体2内での給水ホース16a又は電源コード16bの取り回しをスムーズにすることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態の水洗大便器装置1を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、本発明を壁掛け式の水洗大便器装置1に適用していたが、床置き式の水洗大便器装置に本発明を適用することもできる。また、上述した実施形態においては、水洗大便器装置1を設置した壁面Wから延びる給水管、電源コードが、便器本体2の内部を通って、温水洗浄便座4の本体部4aに接続されていた。しかしながら、壁面又は床面から延びる給水管及び/又は電源コードが、便器本体の外部を通って温水洗浄便座に接続される水洗大便器装置に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 水洗大便器装置
2 便器本体
2a ボウル部
2b 排水トラップ管路
2c 便器上面
2d リム部
2e リム吐水口(吐水口)
2f 開口部
2g 給水路(洗浄水導水路)
2h 左右方向両側の縁部
4 温水洗浄便座
4a 本体部
4b 洗浄ノズル
4c 便座
4d 便座カバー
4e 脚部
4f 底面接続穴
4g 底面凹部
6 せり上がり部
8 接続部材
8a 便座側接続部
8b 便器本体側接続部
8c 延出部
8d 保持部
10 接続部材取付面
10a 貫通孔
12 ネジ
14 ゴムブッシュ
14a 膨張部
16a 給水ホース
16b 電源コード
18 連結部材
18a 中央連結部
18b 支持部
20a 第1の傾斜面
20b 第2の傾斜面
20c 貫通孔
22 ネジ
24 ゴムブッシュ
24a 膨張部
26 接続部材
26a 便座側接続部
26b 便器本体側接続部
26c 延出部
26d 保持部
26e 接続部材傾斜面(ガイド部)
28 接続部材
28a 便座側接続部
28b 便器本体側接続部
28c 延出部
28d 保持部
28e 接続部材切欠部(ガイド部)