(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012248
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】雨除けドアシェード付き自動車
(51)【国際特許分類】
B60J 7/00 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
B60J7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022124379
(22)【出願日】2022-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】522309300
【氏名又は名称】稲荷 衆一
(71)【出願人】
【識別番号】522309311
【氏名又は名称】稲荷 弥生
(72)【発明者】
【氏名】稲荷 菫
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動車乗降時の雨除けドアシェードを提供する。
【解決手段】雨除けドアシェードは、自動車1のルーフパネル2とヘッドライニングの間に、シェード板5a,5bの格納スペースを設け、仕切り板4を取り付けて、左右のシェード板がすれ違うようにし、ダッシュボードに取り付けたスイッチ10を入れると、ドア6の上部、ドアサッシ15に埋め込んだ電磁石7a,7bが作動して、シェード板に取り付けている鉄板を吸着して、ドアを開くと同時に引き出される。また、車外に出てドアを閉めると電磁石のスイッチはドアスイッチと直列に接続されているので、スイッチのOFFにより、電磁石への電流はOFFとなる。この状態で車外からドアを開けると、スイッチがONとなり、瞬時に電磁石へ電流が流れてシェード板が引き出される。さらに格納スペースにブロアファンからの風を、フロントピラーを通して送り、格納スペースのシェード板を乾かす。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体1のルーフパネル2とヘッドライニング3の間に、雨除け用シェード板5の格納スペース16を備え、
前記格納スペース16内に、左右一対の前記雨除け用シェード板5と、前記左右のシェード板5a,5bがすれ違うための仕切り板4を備え、
前記格納スペース16内へ、前記自動車のブロアファン17から、フロントピラー11を通して送風し、湿った前記シェード板5を乾かす機能を備えた自動車。
【請求項2】
自動車のドア6の上部、サッシ15に埋め込んだ電磁石7a,7bを、運転席ダッシュボード14に取り付けたスイッチ10で作動させ、その磁力で、前記格納スペース16に格納した扇型のシェード板5を吸着して引き出す装置をさらに有する請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
雨除けシェードは、扇型のプラスティック板5a,5bで、ドア側の電磁石7a,7bと対面する位置に鉄板8a,8bを取り付けており、電磁石の磁力でドアサッシ15に吸着して引き出され、雨除けを提供する装置をさらに有する請求項2に記載の自動車。
【請求項4】
自動車に備え付けのバッテリー13から、ドアスイッチ12に配線されているが、ダッシュボード14に取り付けた、電磁石スイッチ10とスイッチ12を直列に接続することによって、ドアを自動車の外から閉めた際、前記電磁石7a,7bへ供給する電気をOFFにする装置を有する請求項2または請求項3に記載の雨除け装置を有する自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の乗降時に雨除けを提供する装置を備えた自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨が降っているとき、自動車から降りて傘をさすまでの間、わずかな時間ではあるが、濡れることは避けられなかった。
また、自動車に乗る際も、ドアを開け、身体を自動車の中に入れながら、傘をたたむという操作を行うため、雨や傘に着いた水滴で濡れるということが避けられなかった。
【0003】
この問題を解決するために、下記特許文献1,2に示される、自動車の雨除け装置が提案されている。
【0004】
特許文献1によれば、ロールカーテン状で伸縮可能な庇を筐体に収納し、ドアを開く際に引き出して雨よけを提供する装置と、扇形で蛇腹状の庇を車体とドアの間に取り付け、ドアを開く際に広げて、雨よけを提供する装置で公開されている。
【0005】
特許文献2によれば、雨除け装置を自動車の屋根上に装着し、ドアを開く際に、庇をアームでドアの上方に張り出す装置で公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-196102号公報
【特許文献2】特開2008-201395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、雨が降っているとき、自動車から降りて傘をさすまでの間、わずかな時間ではあるが、濡れることは避けられなかった。
しかしながら、特許文献1のロールカーテンを巻き取る装置は筐体が大きくなり、蛇腹式部材は折り目で折り曲がりやすく、正確に格納されにくい。
また、特許文献2のルーフパネル移動機構は構造が複雑であり、装置は相当の大きさになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の雨除けドアシェードは、自動車1のルーフパネル2とヘッドライニング3の間に、シェード板5を格納するスペース16を設け、仕切り板4を取り付けて、左右のシェード板5a,5bがすれ違うようにし、ダッシュボード14に取り付けたスイッチ10を入れると、ドア6の上部、ドアサッシ15に埋め込んだ電磁石7a,7bが作動して、シェード板5に取り付けている鉄板8a,8bを吸着して、ドアを開くと同時に引き出される。
左右のシェード板5a,5bは、それぞれ必要に応じて引き出されるが、同時に引き出されている場合でも、仕切り板4により、両側のドアを同時に閉めても衝突しない。
また、格納スペース16へ、ブロアファンの風を、フロントピラー11を通して送り、湿ったシェード板を乾かす装置を有する。
【0009】
仕切り板4は、ルーフパネル2とヘッドライニング3の間で、自動車の天井部材を取り付ける際に、ヘッドライニングに取り付ける。
【0010】
雨除けシェード板5a,5bは格納スペース16に格納されており、雨天時にダッシュボード14に取り付けたスイッチ10を入れると、電磁石7が作動し、雨除けシェード板5a,5bに取り付けた鉄板8a,8bを吸着して、ドアを開くと同時に引き出される。
【0011】
電磁石のスイッチ10は、ドアスイッチ12と直列に接続しており、車外に出て外側からドアを閉めると、ドアスイッチ12がOFFになるため、電磁石の電源および自動車の全ての電源はOFFとなる。
【発明の効果】
【0012】
雨除けドアシェードにより、雨天時に濡れずに自動車の乗降ができる。また、自動車のルーフパネル2とヘッドライニング3の間の格納スペース16に、シェード板5を格納するため、自動車の外観を全く変えることなく、ヘッドライニング3に仕切版4を追加するのみで、目的を達成することが出来る。
【0013】
電磁石7の磁力でシェード板5をドアに吸着して引き出すため、雨天時にのみ、運転者の判断で動作させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】 本発明の雨除けシェード板を有する自動車の外観、及び各部の配置を示す図である。
【
図2】 ルーフパネル、ヘッドライニング、仕切り板の配置および取り付け状態を示し、さらに格納スペースを表す図である。
【
図3】 車体を上から見て、雨除けシェード板が格納スペースに収納された状態と仕切り板の位置関係を表した図である。
【
図4】 ルーフパネル、ヘッドライニングの間の格納スペースに収納された左右のシェード板や仕切り板の位置関係を、車体の前方から見た断面図である。
【
図5】 車体を上から見て、雨除けシェード板が引き出された状態と仕切り板の位置関係を表した図である。
【
図6】 自動車を上から見て、雨除けシェード板を動かす機構を総合的に示した図で、シェード板の片側が格納された状態および、シェード板が引き出された状態を示す。更にドアサッシに埋め込まれた電磁石と電磁石を作動させるスイッの位置を表した平面図である。
【
図7】
図6のドアサッシにシェード板が吸着されて引き出された状態と電磁石およびシェード板に貼り付けている鉄板の位置関係を表す拡大図である。
【
図8】 ダッシュボードに取り付けたスイッチ10の位置およびブロアファン、フロントピラーを通して送風する状態を表した図である。
【
図9】 フロントピラーの内装カバーを外した図で、送風パイプの設置場所を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の雨除けシェードを搭載した自動車の外観を示している。
1は自動車の車体を示し、車体1のルーフパネル2とヘッドライニング3の間には、
図2で後述するが、ヘッドライニング3に取り付けた仕切板4があり、格納スペース16を設けて、雨除けシェード板5を格納している。
図6のように、車体側面のドア6を開くと、
図6,
図7で示す通り、雨除けシェード板5が、ドア上部のドアサッシ15に取り付けた電磁石で吸着されて引き出される機構を有している。車体の反対側面にも同様の機構を備えている。
雨除けシェード板5についた水分は、
図8、
図9で示すように、ブロアファン17の風を、フロントピラー11を通して、上記の格納スペース16に送り、乾かす仕組みになっている。
前述ドアサッシ15に取り付けた電磁石7は、車体に備え付けのバッテリー13を電源としているが、ダッシュボード14上のスイッチ10と、ドアスイッチ12とは直列に接続しており、車外に出てドアを閉めるとスイッチ12により電源はOFFとなる。
また、ドアを閉めているときは、車内でスイッチ10を入れても、スイッチ12がOFFになっているため、電磁石に電流は流れず、ドアを開けると同時に電流が流れて電磁石が作動する。
【0016】
図2は車体1のルーフパネル2とヘッドライニング3および仕切板の位置関係を示している。また、点線abcd-efghで囲まれた部分は、シェード板5a,5bを格納する格納スペース16である。また、車体1のルーフパネル2とヘッドライニング3および仕切版4の位置関係を示している
仕切版4はヘッドライニング3に
図2のように取り付け、左右のドアを開いていて、同時に閉める際に、左右のシェード板の衝突を防止する。
【0017】
図3は、シェード板5a,5bが格納された状態を車体1の上から見た図で、5bは仕切板4の下側、5aは仕切板4の上側になっている。2枚のシェード板は仕切版4によって前述のように衝突しない仕組みになっている。
【0018】
図4は格納スペースを車の前方から見た断面図で、シェード板が格納されたときの、ルーフパネル、ヘッドライニング、仕切板、シェード板の配置を表している。
格納スペースはルーフパネルとヘッドライニングの影響で、湾曲しているが、シェード板はプラスティックで柔軟性があり、スペースに格納可能である。
【0019】
図5は、車体1を上から見た図で、シェード板5a,5bがドアのサッシに吸着して引き出された状態を表し、2枚のシェード板の間に仕切板4が配置されている。シェード板は引き出されても端が仕切版4から離れない大きさと角度を有している。
【0020】
図6は本発明の全体の機構を示している。
格納スペース16に格納されている雨除けシェード板5a,5bは、ダッシュボード14に取り付けたスイッチ10を入れると、ドア6の上部、ドアサッシ15に取り付けた電磁石7a,7bにより、
図7に示しているシェード板に貼り付けている鉄板8a,8bを吸着して、ドアを開くと同時に引き出され、雨よけを提供する。そのままドアを閉めると、シェード板5a,5bが格納スペースに格納され、
図3の状態になる。
スイッチ10を入れなければ、電磁石は働かないのでシェード板は引き出されず、ドアのみが開く。
雨天時、雨除けシェードを使用し、車外に出てドアを閉めると、前述
図1に示したドアスイッチ12が働き、スイッチ10を切らなくても、電磁石の電源および室内の電源はOFFになる。
その状態で、車外からドアを開くと、ドアスイッチ12がONとなり、電磁石用スイッチ10経由で、電磁石7a,7bに電気が供給され、その磁力で鉄板8a,8bが吸着され、雨除けシェードが引っ張り出されて雨除けを提供する。
【0021】
図7は電磁石で引き出す部分を拡大した図で7a,7bは電磁石、8a,8bはシェード板に取り付けた鉄板で、その鉄板を電磁石の磁力で吸着しシェード板を引き出す機構を示したものである。
【0022】
図8は、雨天時、雨除けを提供したシェード板5a,5bは、湿った状態で格納されるため、フロントピラー11a,11bの中を通したパイプ18a,18bを通して、ブロアファン17の風を、格納スペース16に送り、乾かす機構を示したものである。
【0023】
図9はフロントピラー11bの内装部分はずした図である。この部分にパイプ18bを通して、ブロアファン17の風を格納スペース16に送り、シェード板を乾かす。
フロントピラー11aについても同様である。
【符号の説明】
【0024】
1 車体
2 ルーフパネル
3 ヘッドライニング
4 仕切り板
5 シェード板(5a,5b)
6 ドア
7 電磁石(7a,7b)
8 鉄板(8a,8b)
10 電磁石用スイッチ
11 フロントピラー(11a,11b)
12 ドアスイッチ
13 バッテリー
14 ダッシュボード
15 ドアサッシ
16 格納スペース(abcd―efgh)
17 ブロアファン
18 パイプ