(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122486
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】プレスブレーキ、および曲げ加工方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B21D5/02 R
B21D5/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030050
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】北村 和之
(72)【発明者】
【氏名】小島 浩之
(72)【発明者】
【氏名】岩本 典幸
(72)【発明者】
【氏名】中山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】藤村 直輝
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA01
4E063BA07
4E063CA01
4E063LA08
4E063LA10
4E063LA11
4E063LA14
4E063LA19
(57)【要約】
【課題】スプリングバック量を検出するための工程を軽減することが可能なプレスブレーキを提供すること。
【解決手段】プレスブレーキ1では、第1メイン回路61は、ラム12を下降させるための油を油圧シリンダ23に供給する。第2メイン回路62は、ラム12を上昇させるための油を油圧シリンダ23に供給する。タンク53は、油が貯留される。切換バルブ104は、第1メイン回路61の油圧と第2メイン回路62の油圧に応じて、タンク53の接続先を第1メイン回路61と第2メイン回路62の間で切り換える。コントローラ15は、ワークWのスプリングバック量を取得するためにラム12を上昇させてワークWへの加圧を除く除荷動作において、タンク53の接続先を第1メイン回路61に切り換える切換バルブ104の切換動作に基づく情報を用いて除荷動作の終了を決定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上金型と下金型によってワークを曲げ加工するプレスブレーキであって、
前記上金型が装着される上金型装着部と、
前記上金型装着部の下方に配置され、前記下金型が装着される下金型装着部と、
前記下金型装着部に対して前記上金型装着部を接近または離間させるように前記上金型装着部を昇降する油圧シリンダと、
前記上金型装着部を下降させるための油を前記油圧シリンダに供給する第1油圧回路と、
前記上金型装着部を上昇させるための油を前記油圧シリンダに供給する第2油圧回路と、
油が貯留されるタンクと、
前記第1油圧回路の油圧と前記第2油圧回路の油圧に応じて、前記タンクの接続先を前記第1油圧回路と前記第2油圧回路の間で切り換える切換バルブと、
前記ワークのスプリングバック量を取得するために前記上金型装着部を上昇させて前記ワークへの加圧を除く除荷動作において、前記タンクの接続先を前記第2油圧回路から前記第1油圧回路に切り換える前記切換バルブの切換動作に基づく情報を用いて前記除荷動作の終了を決定するコントローラと、を備えた、
プレスブレーキ。
【請求項2】
前記上金型装着部を上昇させるための油の圧力を検出する圧力センサを更に備え、
前記切換バルブの切換動作に基づく情報は、前記上金型装着部を上昇させるための油の圧力であり、
前記コントローラは、前記圧力センサの検出値を用いて前記除荷動作の終了を決定する、
請求項1に記載のプレスブレーキ。
【請求項3】
前記上金型装着部の速度に関する情報を検出する速度情報検出センサを更に備え、
前記切換バルブの切換動作に基づく情報は、前記上金型装着部の速度であり、
前記コントローラは、前記速度情報検出センサの検出値を用いて前記除荷動作の終了を決定する、
請求項1に記載のプレスブレーキ。
【請求項4】
前記コントローラは、前記圧力センサによる検出値が上昇したタイミングを用いて前記除荷動作の終了を決定する、
請求項2に記載のプレスブレーキ。
【請求項5】
前記油圧シリンダに接続され、前記上金型装着部の自重による落下に対抗するカウンターバランスバルブを更に備え、
前記コントローラは、前記圧力センサによる検出値が前記カウンターバランスバルブの設定圧力に達したタイミングを前記除荷動作の終了と決定する、
請求項2に記載のプレスブレーキ。
【請求項6】
前記コントローラは、前記上金型装着部の速度が上昇したタイミングを用いて前記除荷動作の終了を決定する、
請求項3に記載のプレスブレーキ。
【請求項7】
前記ワークの曲げ角度を検出する角度検出部を更に備え、
前記コントローラは、前記上金型装着部を下降させて所定の計測位置において前記角度検出部によって前記ワークの曲げ角度を検出した後に、前記上金型装着部を上昇させて前記除荷動作を開始し、前記除荷動作の終了した状態の前記ワークの曲げ角度を検出し、
前記計測位置における前記曲げ角度からの、前記除荷動作の終了した状態の前記曲げ角度の変化量に基づいてスプリングバック量を求める、
請求項1に記載のプレスブレーキ。
【請求項8】
前記油圧シリンダは、
前記第1油圧回路に接続され、伸長する際に油が供給される伸長室と、
前記第2油圧回路に接続され、収縮する際に油が供給される収縮室と、を有し、
前記上金型装着部は、前記油圧シリンダの伸長によって下降し、前記油圧シリンダの収縮によって上昇し、
前記圧力センサは、前記収縮室に供給される作動油の圧力を検出し、
請求項4に記載のプレスブレーキ。
【請求項9】
上金型が装着される上金型装着部と、前記上金型装着部の下方に配置され、下金型が装着される下金型装着部と、前記下金型装着部に対して前記上金型装着部を接近または離間させるように前記上金型装着部を昇降する油圧シリンダと、前記上金型装着部を下降させるための油を前記油圧シリンダ供給する第1油圧回路と、前記上金型装着部を上昇させるための油を前記油圧シリンダ供給する第2油圧回路と、油が貯留されるタンクと、前記第1油圧回路の油圧と前記第2油圧回路の油圧に応じて、前記タンクの接続先を前記第1油圧回路と前記第2油圧回路の間で切り換える切換バルブと、を備えたプレスブレーキを用いたワークの曲げ加工方法であって、
前記ワークのスプリングバック量を取得するために前記上金型装着部を上昇させて前記ワークへの加圧を除く除荷動作において、前記タンクの接続先を前記第2油圧回路から前記第1油圧回路に切り換える前記切換バルブの切換動作に基づく情報を取得する切換動作情報取得ステップと、
前記切換バルブの切換動作に基づく情報を用いて前記除荷動作の終了を決定する決定ステップと、備えた、
曲げ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスブレーキ、および曲げ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状のワークを折り曲げる装置としてプレスブレーキが用いられている。プレスブレーキには、パンチが装着されるラムと、ダイが装着される固定テーブルと、を備え、ラムが下降し、パンチとダイの協働により板状のワークが折り曲げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ワークを所望角度に折り曲げるためには、スプリングバック量を考慮する必要がある。特許文献1に示すプレスブレーキでは、予め定められた所定位置までラムを下降させてワークを折り曲げ、その所定位置における加圧状態でのワークの折り曲げ角度を求めた後、僅かな量だけラムを上昇させてワークの折り曲げ角度を求め、折り曲げ角度の変化量を求めている。続いて、僅かな量だけラムを上昇させるごとに、その前後におけるワークの折り曲げ角度の変化量を求めて、変化量が所定閾値以下に達した状態を除荷動作が終了した状態として折り曲げ角度を求め、この折り曲げ角度と所定位置における折り曲げ角度とからスプリングバック量を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示すプレスブレーキでは、除荷が終了した状態を検出するために、所定位置までラムを下降させた後、所定位置からラムを僅かずつ上昇させてワークの曲げ角度を計測することを繰り返す必要があり、手間がかかっていた。
【0006】
本開示は、スプリングバック量を検出するための手間を軽減することが可能なプレスブレーキおよび曲げ加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様にかかるプレスブレーキは、上金型と下金型によってワークを曲げ加工するプレスブレーキであって、上金型装着部と、下金型装着部と、油圧シリンダと、第1油圧回路と、第2油圧回路と、タンクと、切換バルブと、コントローラと、を備える。上金型装着部は、上金型が装着される。下金型装着部は、上金型装着部の下方に配置され、下金型が装着される。油圧シリンダは、下金型装着部に対して上金型装着部を接近または離間させるように上金型装着部を昇降する。第1油圧回路は、上金型装着部を下降させるための油を油圧シリンダに供給する。第2油圧回路は、上金型装着部を上昇させるための油を油圧シリンダに供給する。タンクは、油が貯留される。切換バルブは、第1油圧回路の油圧と第2油圧回路の油圧に応じて、タンクの接続先を第1油圧回路と第2油圧回路の間で切り換える。コントローラは、ワークのスプリングバック量を取得するために上金型装着部を上昇させてワークへの加圧を除く除荷動作において、タンクの接続先を第2油圧回路から第1油圧回路に切り換える切換バルブの切換動作に基づく情報を用いて除荷動作の終了を決定する。
【0008】
本開示の第2の態様にかかる曲げ加工方法は、プレスブレーキを用いたワークの曲げ加工方法であって、プレスブレーキは、上金型装着部と、下金型装着部と、油圧シリンダと、第1油圧回路と、第2油圧回路と、タンクと、切換バルブと、を備える。上金型装着部は、上金型が装着される。下金型装着部は、上金型装着部の下方に配置され、下金型が装着される。油圧シリンダは、下金型装着部に対して上金型装着部を接近または離間させるように上金型装着部を昇降する。第1油圧回路は、上金型装着部を下降させるための油を油圧シリンダ供給する。第2油圧回路は、上金型装着部を上昇させるための油を油圧シリンダ供給する。タンクは、油が貯留される。切換バルブは、第1油圧回路の油圧と第2油圧回路の油圧に応じて、タンクの接続先を第1油圧回路と第2油圧回路の間で切り換える。曲げ加工方法は、切換動作情報取得ステップと、決定ステップと、を備える。切換動作情報取得ステップは、ワークのスプリングバック量を取得するために上金型装着部を上昇させてワークへの加圧を除く除荷動作において、タンクの接続先を第2油圧回路から第1油圧回路に切り換える切換バルブの切換動作に基づく情報を取得する。決定ステップは、切換バルブの切換動作に基づく情報を用いて除荷動作の終了を決定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、スプリングバック量を検出するための工程を軽減することが可能なプレスブレーキおよび曲げ加工方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示にかかる実施形態1におけるプレスブレーキの正面図。
【
図3】(a)
図1のプレスブレーキにおいて油圧シリンダが収縮した状態を示す断面図、(b)
図2(a)の油圧シリンダが伸長した状態を示す断面図、(c)
図2(a)のAA´間の矢示断面図。
【
図4】
図1のプレスブレーキのラム駆動部の構成を示す図。
【
図5】(a)~(f)
図1のプレスブレーキでワークの曲げ加工を行う際の制御の概要を説明するための模式図。
【
図6】
図5(c)に示す除荷動作の開始からのラムの位置、第1圧力センサの圧力値、および第2圧力センサの圧力値の時間変化のグラフを示す図。
【
図7】ラムを下降させてワークを折り曲げているときの作動油の流れを示す図。
【
図8】除荷動作を開始した後の作動油の流れを示す図。
【
図9】
図8に示す状態よりも後の時刻において切換バルブが切り換わった状態の作動油の流れを示す図。
【
図10】計測位置までラムを下降させた後に所定量ずつ上昇させたときの曲げ角度の変化と第2圧力センサの検出値の変化を示す図である。
【
図11】
図1のプレスブレーキ1の動作を示すフロー図。
【
図12】本開示にかかる実施形態2におけるプレスブレーキのラム駆動部の構成を示す図。
【
図13】本開示にかかる実施形態2におけるプレスブレーキの動作を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる実施の形態のプレスブレーキについて図面を参照しながら以下に説明する。
【0012】
(実施形態1)
以下に、本実施形態1のプレスブレーキ1について説明する。
(構成)
(プレスブレーキ1の概要)
図1は、本実施の形態のプレスブレーキ1の正面図である。
図2は、本実施のプレスブレーキ1の側面構成を示す図である。
【0013】
本実施の形態のプレスブレーキ1は、パンチ2(上金型の一例)とダイ3(下金型の一例)によって板状のワークWを曲げ加工するプレスブレーキであって、フレーム10と、固定テーブル11(下金型装着部の一例)と、ラム12(上金型装着部の一例)と、角度検出部13と、ラム駆動部14と、コントローラ15と、を有する。
【0014】
フレーム10は、固定テーブル11およびラム12を支持する。
図2に示すように、固定テーブル11の上側にはダイ3が装着される。ラム12の下側には、パンチ2が装着される。角度検出部13は、ワークWの折り曲げ角度を算出するための情報を検出する。ラム駆動部14は、ラム12を固定テーブル11に接近または固定テーブル11から離間させるように、昇降移動させる。コントローラ15は、ワークWの折り曲げ角度を算出する。コントローラ15は、ラム駆動部14を制御してラム12を駆動する。
【0015】
(フレーム10、固定テーブル11、ラム12)
フレーム10は、左右方向に所定の間隔をおいて配置された一対のプレート部10a、10bを有している。プレート部10a、10bは、
図2に示すように、側面視において略C字形状の部材である。
【0016】
固定テーブル11は、プレート部10a、10bの下部に固定されており、上面にダイ3が装着可能である。ラム12は、プレート部10a、10bの上部に昇降可能に支持されており、下面にパンチ2が装着可能である。ラム12が下降してラム12の下方に配置されている固定テーブル11に接近し、ダイ3とパンチ2の協働によって、板状のワークWに対して折り曲げ加工が行われる。なお、固定テーブル11およびラム12には、複数種類の形状の金型を装着可能である。
【0017】
(角度検出部13)
角度検出部13は、ワークWの折り曲げ角度を算出するための情報を検出する。角度検出部13は、第1角度検出部13aと、第2角度検出部13bと、を有する。
【0018】
第1角度検出部13aは、固定テーブル11の作業者が作業する側(
図1の手前側であって表側(前側ともいう)、
図2矢印F参照)に設けられており、ワークWの表側の曲げ角度を検出する。
図2では、曲げる前のワークWが二点鎖線で示されており、曲げた後のワークWが実線で示されている。本実施の形態における表側の曲げ角度θfは、曲げられたワークWの表側部分Wfと鉛直方向Pとの間に形成される角度を示す。曲げる前の板状のワークWではθfは90°となる。
【0019】
第2角度検出部13bは、固定テーブル11の作業者が作業する側の反対側(以下裏側(後側ともいう)、
図2矢印R参照)に設けられており、ワークWの裏側の曲げ角度を検出する。本実施の形態における裏側の曲げ角度θrは、曲げられたワークWの裏側部分Wrと鉛直方向Pとの間に形成される角度を示す。曲げる前の板状のワークWではθrは90°となる。
【0020】
本実施の形態におけるワークWの曲げ角度とは、ワークWの表側部分Wfと裏側部分Wrの間に形成される角であり、表側の曲げ角度θfと裏側の曲げ角度θrとの和である。
【0021】
第1角度検出部13aおよび第2角度検出部13bは、それぞれ、光源21と、CCDカメラ22とを有する。光源21は、線状の光を投射し、ワークWの折り曲げ外面上に線状投光像を投影する。CCDカメラ22は、光源21による線状投光像を撮像する。折り曲げ角度に応じて線状投光像の傾斜角度が異なる。CCDカメラ22は、撮像した線状投光像を示す投光像信号をコントローラ15に送信する。コントローラ15には、投光像信号が入力される。コントローラ15は、線状投光像の傾斜角度からワークWの折り曲げ角度を算出する。
【0022】
例えば、
図1に示すように、表側から見て、表側の光源21は表側のCCDカメラ22の右側に配置されており、表側から見て、裏側の光源21は裏側のCCDカメラ22の右側に配置されている。なお、光源21とCCDカメラ22の位置は左右逆であってもよい。
【0023】
(ラム駆動部14)
ラム駆動部14は、一対の油圧シリンダ23(
図1参照)と、それぞれの油圧シリンダ23を駆動するシリンダ駆動部24(後述する
図4参照)と、を有する。一対の油圧シリンダ23は、ラム12を昇降する。シリンダ駆動部24は、油圧シリンダ23を伸縮する。
【0024】
(油圧シリンダ23)
一対の油圧シリンダ23は、ラム12を昇降するためにラム12の左右の端の上側に鉛直方向に沿って配置されている。一対の油圧シリンダ23は、その伸縮方向が上下方向に一致するように配置されている。
【0025】
図3(a)は、油圧シリンダ23が収縮した状態を示す断面図である。
図3(b)は、油圧シリンダ23が伸長した状態を示す断面図である。油圧シリンダ23は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、シリンダチューブ30と、ピストン部31と、棒状部材32と、第1伸長室33と、第2伸長室34と、収縮室35と、を有する。
【0026】
シリンダチューブ30は、円筒状であって、
図1に示すフレーム10に固定されている。ピストン部31は、シリンダチューブ30の内周面を摺動可能であり、ピストン41と、ピストンロッド42と、を有する。
【0027】
ピストン41は、円柱形状であって、シリンダチューブ30の内周面に接触しており、伸縮方向X(上下方向)に沿ってシリンダチューブ30の内周面を摺動する。ピストンロッド42は、円柱形状であって、上下方向に沿ってシリンダチューブ30に挿入されており、その上端がピストン41に固定されている。また、ピストンロッド42の下端は、シリンダチューブ30の下方においてラム12に固定されている。
【0028】
ピストン41の上面に形成された開口部41aから下方に向かってピストンロッド42まで円柱形状の孔部43が形成されている。孔部43は、ピストンロッド42を貫通しておらず、孔部43の下端は閉じられている。
【0029】
棒状部材32は、孔部43の内周面に対して相対的に摺動可能であり、摺動部44と、ロッド部45とを有する。
【0030】
摺動部44は、円柱形状であって、上下方向に沿って孔部43の内周面を摺動する。ロッド部45は、円柱形状であって、上下方向に沿ってシリンダチューブ30に挿入されており、その下端が摺動部44に固定されている。また、ロッド部45は、上端がシリンダチューブ30から突出するように配置されており、フレーム10に固定されている。すなわち、棒状部材32は、シリンダチューブ30とともにフレーム10に固定されており、移動しない。また、棒状部材32には、上下方向に沿って油が流通するシリンダ流路46が形成されている。このシリンダ流路46は、摺動部44の下面に開口部46aを有している。
【0031】
第1伸長室33は、シリンダチューブ30とピストン部31と棒状部材32によって囲まれた中空円柱状の空間である。第1伸長室33は、ピストン部31よりも上側に形成されており、棒状部材32の周囲に形成された空間ともいえる。
【0032】
第1伸長室33に作動油が供給されると、ピストン41の円環状の上面41bに圧力が付与され、ピストン部31が下方に移動する。
【0033】
第2伸長室34は、孔部43内の円柱状の空間であって、ピストン部31と棒状部材32に囲まれた空間である。第2伸長室34にシリンダ流路46から作動油が供給されると、孔部43の底面43aに圧力が付与され、ピストン部31が下方に移動する。孔部43の底面43aは、摺動部44に対向するピストン部31の面ともいえる。
【0034】
収縮室35は、ピストン41の下側であって、ピストンロッド42とシリンダチューブ30の間の中空円筒状の空間である。収縮室35に作動油が供給されると、収縮室35に面したピストン41の円環状の下面41cに圧力が付与され、ピストン部31が上方に移動する。なお、収縮室35は、円環状であるため、シリンダチューブ30の底面30aも円環状であり、下面41cと同じ面積である。
【0035】
図3(c)は、
図3(a)のAA´間の矢示断面図である。
【0036】
図3(c)の右斜め上から左斜め下方に向かうハッチングが施された領域が底面43aを示し、右斜め下から左斜め上方に向かうハッチングが施された領域がシリンダチューブ30の底面30aを示す。
図3(c)に示す、底面43aと底面30aは同じ面積に形成されている。上述したように底面30aと下面41cは同じ形状であるため、底面43aと下面41cは同じ面積に設定されている。
【0037】
すなわち、伸長方向(上下方向ともいえる)に対して垂直な面であって第2伸長室34に面する孔部43の底面43aと、伸長方向に対して垂直な面であって収縮室35に面するピストン41の下面41cは、同じ面積に設定されている。
【0038】
(シリンダ駆動部24)
図4は、シリンダ駆動部24の構成を示す油圧回路図である。
図4に示すように、シリンダ駆動部24は、油圧回路50と、ポンプ51と、サーボモータ52と、タンク53とを有する。
【0039】
ポンプ51は、定容量型双方向ポンプであり、第1吐出口51aと第2吐出口51bを有する。ポンプ51は、第1吐出口51aおよび第2吐出口51bのうち一方から油を吐出し他方から油を吸引する。
【0040】
サーボモータ52は、ポンプ51の回転を制御する。サーボモータ52は、ラム12の位置を検出するリニアセンサ16(
図2参照)の検出結果に基づいて制御される。サーボモータ52の回転数を上げるとポンプ51の吐出量が多くなる。サーボモータ52の回転数を下げるとポンプ51の吐出量は少なくなる。サーボモータ52の回転方向を正逆反転すると、ポンプ51の油の吐出方向が逆になる。サーボモータ52をサーボ制御することによって、ラム12のモーションを変えることができる。このようにポンプ51をサーボモータ52で直接駆動することで応答性がよい制御が可能になる。
【0041】
タンク53には油が貯められている。
【0042】
(油圧回路50)
油圧回路50は、油圧シリンダ23とポンプ51とタンク53の間を接続する。油圧回路50は、
図4に示すように、主に、第1メイン回路61(第1油圧回路の一例)と、第2メイン回路62(第2油圧回路の一例)と、第1伸長室油量調整回路63と、タンク接続切換回路64と、第1圧力センサ65と、第2圧力センサ66(圧力センサの一例)と、を有する。
【0043】
(第1メイン回路61)
第1メイン回路61は、ラム12を下降させるための作動油を供給する回路である。第1メイン回路61は、ポンプ51の第1吐出口51aと、第1伸長室33および第2伸長室34との間を接続する。第1メイン回路61は、主に、第1流路71と、第2流路72と、第3流路73と、開閉バルブ74とを有する。
【0044】
第1流路71は、ポンプ51の第1吐出口51aに接続されている。第2流路72は、第1流路71と第1伸長室33の間を接続する。第3流路73は、第1流路71とシリンダ流路46との間を接続する。開閉バルブ74は、第2流路72に設けられており、第2流路72を開閉可能である。開閉バルブ74としては、ソレノイドバルブが用いられる。この開閉バルブ74によって、第1吐出口51aと第1伸長室33との間における油の流通を遮断または開放できる。
【0045】
(第2メイン回路62)
第2メイン回路62は、ラム12を上昇させるための作動油を供給する回路である。第2メイン回路62は、ポンプ51の第2吐出口51bと収縮室35との間を接続する。第2メイン回路62は、第4流路81と、チェックバルブ82と、第5流路83と、リリーフバルブ84と、ストップバルブ85と、を有している。第4流路81は、ポンプ51の第2吐出口51bと収縮室35との間を接続する。チェックバルブ82は、第4流路81に設けられており、第2吐出口51bから収縮室35の方向には油を流通可能とし、収縮室35から第2吐出口51bの方向には油の流通を遮断する。第5流路83は、チェックバルブ82をバイパスするように第4流路81から分岐して第4流路81に合流し、チェックバルブ82と並列に配置されている。収縮室35から第2吐出口51bの方向に油が流通する際には、油は第5流路83を通過する。
【0046】
リリーフバルブ84は、いわゆるカウンターバランスバルブであり、第5流路83に設けられている。収縮室35から排出された油はチェックバルブ82が第4流路81に設けられているため第5流路83に流れ込み、油の圧力が設定値以上になると、リリーフバルブ84を押し開いて第2吐出口51bに向かって流れる。リリーフバルブ84の設定値を適切に設定することにより、ラム12の自重による油圧シリンダ23の下降を抑制でき、プラストルクによる油圧制御を行うことができる。
【0047】
ストップバルブ85は、チェックバルブ82およびリリーフバルブ84と、第2吐出口51bとの間であって、第4流路81に2つ設けられている。これらストップバルブ85は、作業者の安全を確保するために設けられており、これらが閉じた状態ではポンプ51が駆動しても装置が動作しない。
【0048】
(第1伸長室油量調整回路63)
第1伸長室油量調整回路63は、第1伸長室33とタンク53の間を接続し、第1伸長室33に油を供給または第1伸長室33から油を排出する。
【0049】
本実施の形態では、ラム12を高速で下降させる際には、ポンプ51からの油を第1伸長室33に供給せず、第2伸長室34にのみ供給する。このように、ポンプ51からの油を第2伸長室34にのみ供給して油圧シリンダ23を伸長させる際、第1伸長室33を真空状態にしないように、第1伸長室油量調整回路63から第1伸長室33に油が供給される。また、ラム12を高速で上昇させる際には、第1伸長室33から余分な油が排出される。
【0050】
第1伸長室油量調整回路63は、主に、プレフィルバルブ91と、制御バルブ92と、第6流路93と、第7流路94とを有する。第6流路93は、第1伸長室33とタンク53との間を接続する。プレフィルバルブ91は、第6流路93に設けられている。
【0051】
第7流路94は、第4流路81のストップバルブ85と第2吐出口51bの間の部分と、プレフィルバルブ91との間を接続している。制御バルブ92は、ソレノイドバルブであって、第7流路94に設けられており、第4流路81からプレフィルバルブ91への油の流通を開閉する。
【0052】
プレフィルバルブ91は、第7流路94から作動油が供給されないときには、第6流路93を通ってタンク53の油を第1伸長室33へと供給可能とし、逆方向への油の流通を遮断する。ラム12を高速で下降させるときは、第7流路94から作動油が供給されておらず、ピストン部31の下降に伴ってタンク53から油が第1伸長室33に補充される。一方、ラム12を高速で上昇させるときは、制御バルブ92が開状態となり、第7流路94から作動油がプレフィルバルブ91へと供給される。この作動油の供給によりプレフィルバルブ91は逆方向への油の流通が可能なように開かれ、第1伸長室33の油が第6流路93を通ってタンク53に流通可能な状態となる。これにより、ピストン部31の上昇に伴って第1伸長室33からタンク53へと油が排出される。
【0053】
(タンク接続切換回路64)
タンク接続切換回路64は、第1メイン回路61または第2メイン回路62をタンク53に接続する。タンク接続切換回路64は、第8流路101と、第9流路102と、第10流路103と、切換バルブ104と、第11流路105と、リリーフバルブ106と、第12流路107と、チェックバルブ108と、第13流路109と、リリーフバルブ110と、第14流路111と、チェックバルブ112と、を有する。
【0054】
第8流路101は、第1メイン回路61の第1流路71と切換バルブ104との間を接続する。第9流路102は、第2メイン回路62の第4流路81と切換バルブ104との間を接続する。第10流路103は、切換バルブ104とタンク53との間を接続する。
【0055】
切換バルブ104は、3つのポートP1~P3を有し、弁体が3つの位置Q1~Q3をとることが可能なバルブである。ポートP1には第8流路101が接続されている。ポートP2には第9流路102が接続されている。ポートP3には、第10流路103が接続されている。弁体が
図4における左側の位置Q1に移動した場合、切換バルブ104はポートP1とポートP3を接続する。これにより、第8流路101と第10流路103が接続され、第1流路71とタンク53が接続される。弁体が
図4における中央の位置Q2に移動した場合、切換バルブ104はポートP1~P3の全てを遮断する。弁体が
図4における右側の位置Q3に移動した場合、切換バルブ104はポートP2とポートP3を接続する。これにより、第9流路102と第10流路103が接続され、第4流路81とタンク53が接続される。
【0056】
切換バルブ104は、パイロット圧によって弁体が位置Q1~Q3に移動する。パイロット圧は、第8流路101を流通する作動油の圧力と、第9流路102を流通する作動油の圧力が用いられる。例えば、第8流路101を流通する作動油の圧力と第9流路102を流通する作動油の所定の圧力バランスのときに弁体は位置Q2に位置し、第8流路101と第9流路102と第10流路103の全ての接続が遮断されている。所定の圧力バランスのときと比較して、第1メイン回路61から第8流路101に流れ込む作動油の圧力が、第2メイン回路62から第9流路102に流れ込む作動油の圧力に対して相対的に高くなって圧力バランスが変化すると、弁体は位置Q3に移動して第1メイン回路61とタンク53の間は遮断され、第2メイン回路62とタンク53が接続される。一方、所定の圧力バランスのときと比較して、第2メイン回路62から第9流路102に流れ込む作動油の圧力が、第1メイン回路61から第8流路101に流れ込む作動油の圧力に対して相対的に高くなって圧力バランスが変化すると、弁体は位置Q1に移動して第2メイン回路62とタンク53の間は遮断され、第1メイン回路61とタンク53が接続される。
【0057】
第11流路105は、第8流路101と第10流路103とを接続する。リリーフバルブ106は、第11流路105に配置されている。リリーフバルブ106は、第1メイン回路61に所定以上の圧力が生じた場合に作動油をタンク53に逃がす安全弁である。第12流路107は、第8流路101と第10流路103とを接続する。チェックバルブ108は、第12流路107に配置されている。チェックバルブ108は、第10流路103から第8流路101への作動油の流通を可能にするが、その逆の作動油の流通を遮断する。これにより第1メイン回路61における作動油の量が不足したときにタンク53から第1メイン回路61に作動油が供給される。
【0058】
第13流路109は、第9流路102と第10流路103とを接続する。リリーフバルブ110は、第13流路109に配置されている。リリーフバルブ110は、第2メイン回路62に所定以上の圧力が生じた場合に作動油をタンク53に逃がす安全弁である。第14流路111は、第9流路102と第10流路103とを接続する。チェックバルブ112は、第14流路111に配置されている。チェックバルブ112は、第10流路103から第9流路102への作動油の流通を可能にするが、その逆の作動油の流通を遮断する。これにより第2メイン回路62における作動油の量が不足したときにタンク53から第2メイン回路62に作動油が供給される。
【0059】
(第1圧力センサ65、第2圧力センサ66)
第1圧力センサ65は、第1メイン回路61、すなわち、ラム12を下降させるための作動油を供給する回路に配置されている。第1圧力センサ65は第1メイン回路61における第2流路72に配置されており、第2流路72に生じる作動油の圧力を計測する。第1圧力センサ65は、検出した圧力値を検出値信号としてコントローラ15に出力する。第1圧力センサ65は、第2流路72を通じて第1伸長室33に流れ込む作動油の圧力を計測するため、ラム12を下降させる際に生じる圧力を計測することができる。
【0060】
第2圧力センサ66は、第2メイン回路62、すなわち、ラム12を上昇させるための作動油を供給する回路に配置されている。第2圧力センサ66は、第2メイン回路62における第4流路81のチェックバルブ82と収縮室35の間に配置されている。第2圧力センサ66は、検出した圧力値を検出値信号としてコントローラ15に出力する。第2圧力センサ66は、第4流路81を通じて収縮室35に流れ込む作動油の圧力を計測するため、ラム12を上昇させる際に生じる圧力を計測することができる。
【0061】
(コントローラ15)
コントローラ15は、CPUなどのプロセッサを含む。プロセッサは、プレスブレーキ1の制御のための処理を行う。コントローラ15は、記憶装置を含む。記憶装置は、RAM或いはROMなどのメモリ、及び、HDD(Hard Disk Drive)或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含む。記憶装置は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記憶媒体の一例である。記憶装置は、プレスブレーキ1の制御のためのデータ及びプログラムを記憶している。
【0062】
図2に示すように、ラム12の位置を検出するリニアセンサ16が設けられており、リニアセンサ16によって検出された位置信号がコントローラ15に入力される。サーボモータ52は、サーボアンプを介してコントローラ15に接続されている。
【0063】
コントローラ15には、第1角度検出部13aのCCDカメラ22から投光像信号が入力され、第2角度検出部13bのCCDカメラ22から投光像信号が入力される。コントローラ15は、投光像信号から得られる線状投光像の傾斜に基づいてワークWの折り曲げ角度を求める。例えば、コントローラ15は、線状投光像の傾斜角度に対する折り曲げ角度のテーブルを記憶している。テーブルには、複数の傾斜角度の各々に対応する折り曲げ角度が予め記憶されている。このテーブルに基づいて、コントローラ15は入力された線状投光像の傾斜角度から折り曲げ角度を求めることができる。コントローラ15は、第1角度検出部13aのCCDカメラ22からの投光像信号から表側の曲げ角度θfを求める。コントローラ15は、第2角度検出部13bのCCDカメラ22からの投光像信号から裏側の曲げ角度θrを算出する。コントローラ15は、表側の曲げ角度θfと裏側の曲げ角度θrを足すことによって、ワークWの折り曲げ角度を求める。
【0064】
コントローラ15には、操作部17が接続されている。作業者は、操作部17を介して操作の入力を行う。操作部17は、操作盤およびフートスイッチ等を有する。操作盤は、モニター、プレス条件の設定スイッチ等を含む。フートスイッチは、油圧シリンダ23を駆動してラム12を昇降させる足踏みスイッチである。
【0065】
コントローラ15は、操作部17によって入力された設定に従うように、リニアセンサ16で検出された位置信号に基づいてサーボアンプに信号を送信してサーボモータ52の制御を行い、油圧シリンダ23を駆動する。また、コントローラ15は、油圧回路50の制御も行う。例えば、コントローラ15は、開閉バルブ74の開閉を制御して第1伸長室33への油の供給または供給の停止を行う。また、コントローラ15は、制御バルブ92の開閉を制御してプレフィルバルブ91を開き、逆向きの油の流通(第1伸長室33からタンク53への流通)を可能とする。
【0066】
(コントローラ15によるラム12の制御の概要)
コントローラ15は、ワークWを折り曲げ加工する場合、以下に示すようにラム12を駆動する。
図5(a)~
図5(f)はワークWの曲げ加工を行う際のプレスブレーキ1の制御の概要を説明するための模式図である。
【0067】
図5(a)に示すように、コントローラ15は、サーボモータ52を駆動することによって第1伸長室33および第2伸長室34に作動油を供給し、ラム12を下降させる。コントローラ15は、ラム12を所定の計測位置まで下降させてワークWの折り曲げを行う。コントローラ15は、所定の計測位置までラム12を下降させるとサーボモータ52を停止して作動油の供給を停止し、ラム12を所定位置で停止する。
【0068】
次に、
図5(b)に示すように、コントローラ15は、角度検出部13の投光像信号に基づいてワークWの折り曲げ角度を求める。
【0069】
次に、
図5(c)に示すように、コントローラ15は、サーボモータ52を駆動することによって収縮室35に作動油を供給し、ラム12を上昇させて、ワークWへの加圧の除荷動作を開始する。除荷を行うに従ってスプリングバックによってワークWの折り曲げ角度が大きくなっていく(矢印参照)。コントローラ15は、除荷動作の終了した状態で、サーボモータ52を停止して作動油の供給を停止し、
図5(d)に示すようにラム12を停止する。除荷動作の終了した状態とは、パンチ2がワークWに接触し、且つワークWにパンチ2からの圧力が付与されていない状態となる。
【0070】
次に、ラム12を停止した状態で、
図5(d)に示すようにコントローラ15は、角度検出部13の投光像信号に基づいてワークWの折り曲げ角度を求める。
図5(d)で求めたワークWの折り曲げ角度は、ワークWのスプリングバックにより、
図5(b)で検出した折り曲げ角度よりも大きくなっている。コントローラ15は、
図5(d)において求めた折り曲げ角度と
図5(b)において求めた折り曲げ角度とからスプリングバック量を求める。
【0071】
次に、コントローラ15は、スプリングバック量に基づいてラム12の最終目標位置を設定する。そして、
図5(e)に示すように、コントローラ15は、サーボモータ52を駆動して第1伸長室33および第2伸長室34に作動油を供給し、最終目標位置までラム12を下降させる。
【0072】
次に、最終目標位置までラム12を下降させた後、
図5(f)に示すように、コントローラ15は、サーボモータ52を制御することによって収縮室35に作動油を供給し、ラム12を上昇させる。これによって折り曲げ加工が終了する。
【0073】
本実施形態では、コントローラ15は、第2圧力センサ66の検出値の変化に基づいて、上述した除荷動作の終了を決定する。次に、コントローラ15による除荷動作の終了の決定について以下に説明する。
【0074】
(除荷動作の終了の決定)
図6は、
図5(c)に示す除荷動作の開始からのラム12の位置、第1圧力センサ65の圧力値、および第2圧力センサ66の圧力値の時間変化のグラフを示す図である。横軸が時間変化を示す。時刻0が除荷動作の開始時を示す。左側の縦軸は、ラム12の位置(mm)を示す。右側の縦軸は、圧力値(MPa)を示す。ラム12の位置の時間変化のグラフはg1(実線)で示され、第1圧力センサ65の圧力値の時間変化のグラフはg3(二点鎖線)で示され、第2圧力センサ66の圧力値の時間変化のグラフはg2(一点鎖線)で示されている。
図6には、除荷動作を開始したタイミングが時刻0で示され、除荷動作が終了したタイミングが時刻teとして示されている。
【0075】
図7は、ラム12を下降させてワークWを折り曲げているときの作動油の流れを示す図である。
図7は、
図6における時刻0よりも前の時刻t1における作動油の流れを示す図である。
図7では、ポンプ51から第1伸長室33および第2伸長室34に向かって供給される作動油の流れが太線で示され、収縮室35からポンプ51に向かって排出される作動油の流れが一点鎖線で示されている。
図7に示すように、ラム12を下降させているときは、ポンプ51の第1吐出口51aから第1流路71および第2流路72を経て第1伸長室33に作動油が供給され、第1流路71および第3流路73を経て第2伸長室34に作動油が供給され、ピストン部31が下方に移動する。また、第1吐出口51aから吐出された作動油は、第8流路101に流れ込む。
【0076】
ピストン部31の下降に伴い、収縮室35から排出された作動油は、第5流路83を通って、第4流路81に流れ込み、ポンプ51へと戻る。また、タンク53から第4流路81に作動油が流れ込む。
【0077】
ラム12の下降時には、第1流路71を流れる作動油の圧力が高くなる。そのため、第8流路101に流れ込んだ作動油がパイロット圧として作用して切換バルブ104の弁体が第3位置Q3に移動する。これによって、第8流路101は遮断され、第9流路102と第10流路103が接続される。第9流路102と第10流路103の接続によって、作動油は、タンク53から第10流路103および第9流路102を経て第4流路81に流れ込む。
【0078】
なお、時刻t1における第2圧力センサ66による圧力値は、カウンターバランスバルブであるリリーフバルブ84の設定圧力となっている。第1圧力センサ65による圧力値は加圧状態となっている。
【0079】
図8は、
図5(b)に示した計測位置からラム12を上昇させることによって除荷動作を開始した後(
図6における時刻0とt2の間の区間)における作動油の流れを示す図である。
図8では、第1伸長室33および第2伸長室34からポンプ51に向かって排出される作動油の流れが太線で示され、ポンプ51から収縮室35に向かって供給される作動油の流れが一点鎖線で示されている。
【0080】
図8に示すように、ラム12を上昇させているときは、ポンプ51の第2吐出口51bから第4流路81を経て収縮室35に作動油が供給され、ピストン部31が上方に移動する。また、第2吐出口51bから吐出された作動油は、第9流路102に流れ込む。
【0081】
ピストン部31の上昇に伴い、第1伸長室33から排出された作動油は、第2流路72を通って第1流路71に流れ込む。また、第2伸長室34から排出された作動油は、第3流路73を通って第1流路71に流れ込む。第1流路71に流れ込んだ作動油が、ポンプ51に戻るとともに、第8流路101に流れ込む。
【0082】
図8に示すように、第9流路102に流れ込んだ作動油の圧力と第8流路101に流れ込んだ作動油の圧力のバランスの変化が十分ではないため、弁体が移動せず、位置Q3に配置されている。このため、第9流路102はタンク53と接続されている。
【0083】
図9は、時刻t2以降における作動油の流れを示す図である。
図9では、第1伸長室33および第2伸長室34からポンプ51に向かって排出される作動油の流れが太線で示され、ポンプ51から収縮室35に向かって供給される作動油の流れが一点鎖線で示されている。
【0084】
図9に示す状態では、第8流路101に流れ込んだ作動油の圧力が下がり、第9流路102に流れ込んだ作動油の圧力が相対的に高くなるため、圧力バランスが変化し、弁体が位置Q1に移動する。これにより、第8流路101と第10流路103が接続され、第9流路102は遮断される。第9流路102がタンク53と繋がっている状態(
図8の状態)では、第2メイン回路62がタンク53と繋がっているため、収縮室35に作動油を供給しても第2圧力センサ66の圧力値が増加しなかったが、第9流路102が遮断されると(
図9の状態になると)、
図6に示すように第2圧力センサ66による圧力値が急激に増加する。
【0085】
更に、続けてラム12を上昇させると、
図6に示すように、除荷動作が終了したタイミングteとなる。除荷動作の終了した状態では、パンチ2とワークWの状態は、パンチ2がワークWに接触し、且つワークWにパンチ2からの圧力が付与されていない状態となる。
【0086】
このように、除荷動作の終了(時刻te参照)は、ラム12を上昇させるために油圧シリンダ23の収縮室35に供給する作動油の圧力値が上昇した時刻t2の後に生じる。
【0087】
コントローラ15は、第2圧力センサ66から入力される検出値信号から、圧力値が上昇する上昇タイミングt2を検出する。コントローラ15は、上昇タイミングt2を用いて、除荷動作の終了を決定する。
【0088】
コントローラ15は、圧力が上昇する上昇タイミングt2を検出した後、ラム12を所定量上昇させるごとにワークWの折れ曲がり角度を求め、所定量上昇させる前後における折れ曲がり角度の変化量を求める。コントローラ15は、変化量が所定閾値以下になるまで、ラム12の指定量の上昇と降り曲がり角度の変化量の計算を繰り返し、変化量が所定閾値以下に達した状態を除荷動作の終了と決定する。
【0089】
図10は、
図5(b)に示す計測位置までラム12を下降させた後に所定量ずつ上昇させたときの曲げ角度の変化と第2圧力センサ66の圧力値の変化を示す図である。横軸は、所定位置からの上昇量を示す。左側の縦軸は、曲げ角度を示す。右側の縦軸は、圧力値を示す。所定量ずつラム12を上昇させたときの曲げ角度の変化のグラフがg4(太線)で示され、所定量ずつラム12を上昇させたときの第2圧力センサ66の圧力値の変化のグラフがg5(細線)で示されている。
【0090】
また、所定の計測位置からラム12を1回所定量分上昇させたポイントが1で示され、ラム12を所定量上昇させた回数が記されている。
【0091】
グラフg4に示すように、ラム12を所定量上昇させるごとに曲げ角度がスプリングバックによって増加する。9回目から11回目までは変化が少ないため、例えば、9回目と10回目の曲げ角度の変化量が所定閾値以内となり、10回目を除荷動作が終了した状態とすることができる。なお、12回目においてパンチ2がワークWから離間する。
【0092】
グラフg5に示すように、第2圧力センサ66の圧力値は5回目において上昇している。すなわち、上述した圧力値の上昇タイミングは5回目となっている。
【0093】
上述したように除荷動作の終了は圧力が上昇した後に生じる。そのため、本実施形態のコントローラ15は、第2圧力センサ66の圧力値(切換バルブの切換動作に基づく情報の一例)の上昇を検出すると、その後にラム12の上昇および変化量の判定を5回繰り返すことで除荷終了タイミングを決定することができる。
【0094】
一方、圧力値の上昇タイミングを検出しない場合、計測位置からラム12の上昇および変化量の判定を行う必要があり、
図10に示す例では、10回行う必要がある。
【0095】
このように、本実施形態では、圧力値の上昇タイミングを検出することによって、上昇タイミングまでの曲げ角度の変化量の判定を行う必要がなくなるため、除荷動作の終了の決定を軽減することができる。
【0096】
(動作)
次に、本実施形態のプレスブレーキ1の曲げ加工方法について説明する。
図11は、本実施形態のプレスブレーキ1の動作を示すフロー図である。
【0097】
はじめに、ステップS10において、コントローラ15は、作業者が操作部17へ操作入力したことを検出する。
【0098】
次に、ステップS11において、コントローラ15は、ラム12を所定の計測位置まで下降させて停止する。具体的には、コントローラ15は、サーボモータ52を制御してポンプ51を駆動させて油圧シリンダ23を伸長させる。ここで、ラム12を下降させる際に、はじめは、開閉バルブ74が閉じた状態でポンプ51は第1吐出口51aから油を吐出し、第2吐出口51bから油を吸引する。これにより、ポンプ51から吐出された作動油は第1流路71、第3流路73、およびシリンダ流路46を順に通って第2伸長室34に流入する。一方、第2流路72は遮断されているため、ポンプ51からの作動油は第1伸長室33には供給されない。このように、ポンプ51からの作動油を断面積の小さい第2伸長室34にのみ供給することにより、ラム12を高速で下降させることができる。そして、パンチ2がワークWに接触するよりも上方で、コントローラ15は、開閉バルブ74を開状態に切替える。これにより、ポンプ51から吐出された作動油が第2流路72を通って第1伸長室33に流入する。なお、第2伸長室34への作動油の供給は継続されている。このように、第1伸長室33及び第2伸長室34へ作動油を供給することにより、作動油の供給部分が増えることになり、下降速度が遅くなり、加圧力が増す。そして、ラム12が所定の計測位置まで下降する間に、ワークWの曲げ加工が行われる。
【0099】
次に、ステップS12において、コントローラ15は、角度検出部13からの投光像信号に基づいて、ワークWの折り曲げ角度を求める。
【0100】
次に、ステップS13において、コントローラ15は、計測位置からラム12を一定の速度で上昇させ、除荷動作を開始する。具体的には、コントローラ15は、サーボモータ52を一定の回転数で駆動するように制御してポンプ51を駆動させて油圧シリンダ23の収縮室35に作動油を供給する。
【0101】
次に、ステップS14において、コントローラ15は、第2圧力センサ66からの検出値信号に基づいて、第2圧力センサ66の圧力値(
図11では引上側圧力と記載)が上昇したか否かを判定する。圧力値が上昇していない場合、制御はステップS13に戻り、ラム12の上昇が継続される。ステップS14は、切換動作情報取得ステップの一例に対応する。
【0102】
一方、ステップS14において圧力値が上昇したと判定すると、ステップS15において、コントローラ15はラム12を停止する。具体的には、コントローラ15は、サーボモータ52を停止してポンプ51を停止し、収縮室35への作動油の供給を停止する。コントローラ15は、圧力値の上昇を検出することによって、
図6の時刻t2を検出できる。なお、例えば、第2圧力センサ66から入力される圧力値が前回入力された圧力値よりも所定閾値量以上大きい場合に、コントローラ15は、圧力値が上昇したと判定することができる。
【0103】
次に、ステップS16において、コントローラ15は、角度検出部13からの投光像信号に基づいて、ワークWの折り曲げ角度を求める。
【0104】
次に、ステップS17において、コントローラ15は、ラム12を所定量だけ上昇させる。具体的には、コントローラ15は、サーボモータ52を駆動してラム12が一定幅で動くように油圧シリンダ23の収縮室35に作動油を供給する。所定量としてはスプリングバックによる折り曲げ角度の変化を計測できる程度の量であって、出来るだけ少ない方が好ましい。所定量が大きい場合、パンチ2がワークWから離間することが発生し、ワークWの加工不良となるためである。
【0105】
次に、ステップS18において、コントローラ15は、角度検出部13からの投光像信号に基づいて、ワークWの折り曲げ角度を求める。
【0106】
次に、ステップS19において、コントローラ15は、ステップS16において求めた折り曲げ角度からの、ステップS19において求めた折り曲げ角度の変化量を計算する。
【0107】
次に、ステップS20において、コントローラ15は、変化量が所定閾値以下であるか否かを判定する。変化量が所定閾値よりも大きい場合は、制御はステップS17に戻り、コントローラ15は、ラム12を所定量だけ上昇させる。次に、ステップS18において、コントローラ15は、ワークWの折り曲げ角度の計測を行い、ステップS19において、今回のステップS18におけるワークWの折り曲げ角度の、前回のステップS18におけるワークWの折り曲げ角度からの変化量を計算する。次に、ステップS20において、コントローラ15は、変化量が所定閾値以下であるか否かを判定する。このように、ステップS20において、変化量が所定閾値以下になるまで、ステップS17~ステップS19が繰り返される。ステップS20において変化量が所定閾値以下であると判定されると、制御はステップS21に進む。変化量が所定閾値以下になった状態が、除荷動作の終了した状態であり、
図6の時刻teに相当する。ステップS15~ステップS20は、決定ステップの一例に対応する。
【0108】
ステップS21において、コントローラ15は、ステップS12における計測位置での折り曲げ角度と、除荷動作の終了した状態における折り曲げ角度に基づいて、スプリングバック量を求める。スプリングバック量は、例えば、計測位置での折り曲げ角度からの、除荷動作の終了した状態における折り曲げ角度の変化量で表わされる。
【0109】
次に、ステップS22において、コントローラ15は、スプリングバック量から演算によってラム12の最終目標位置を求める。これによって、コントローラ15は、計測位置からの下方への移動量(押し込み量)を決定することができる。
【0110】
次に、ステップS23において、コントローラ15は、最終目標位置までラム12を下降する。コントローラ15は、サーボモータ52を制御してポンプ51を駆動させて、第1伸長室33および第2伸長室34に作動油を供給する。
【0111】
次に、ステップS24において、コントローラ15は、ラム12を最終目標位置から上昇させ、折り曲げ加工が終了する。具体的には、コントローラ15は、サーボモータ52を制御してポンプ51を駆動させて油圧シリンダ23の収縮室35に作動油を供給し、ラム12を上昇させる。
【0112】
本実施形態1のプレスブレーキ1では、ワークWのスプリングバック量を取得するためにラム12を上昇させてワークWへの加圧を除く除荷動作において、第1メイン回路61と第2メイン回路62の油圧に応じて切換バルブ104がタンク53の接続先を第2メイン回路62から第1メイン回路61に切り換える切換動作によって、第2メイン回路62の圧力値の上昇が生じる。この第2メイン回路62の圧力値の上昇を用いて除荷動作の終了が決定される。
【0113】
計測位置からラム12を上昇させる除荷動作の終了は、第2圧力センサ66の圧力値の上昇タイミングよりも後になるため、上昇タイミングからラム12を少しずつ上昇させて除荷動作の終了を決定することで、計測位置からラム12を少しずつ上昇させて除荷動作の終了を決定するよりも、工程を軽減することができる。このため、スプリングバック量を検出するための工程も軽減することができる。
【0114】
(実施形態2)
上記実施形態1では、圧力値の上昇を用いて除荷動作の終了を決定しているが、本実施形態2では、ラム12の速度変化を用いて除荷動作の終了を決定する。
図12は、本実施形態2のプレスブレーキ1のラム駆動部14´の構成を示す図である。本実施形態2におけるプレスブレーキのラム駆動部14´には、実施形態1のラム駆動部14と比較して、第2圧力センサ66が設けられていない。それ以外の構成は、実施形態1のラム駆動部14と同様である。
【0115】
上記実施形態1で述べたように、除荷動作において、切換バルブ104がタンク53の接続先を第2メイン回路62から第1メイン回路61に切り換えると、
図6の時刻t2に示すように第2メイン回路62の圧力が上昇する。ここで、
図6より、時刻t2の直後であって時刻teよりも前の時刻t3において、時刻t3の前よりも時刻t3の後の方がグラフg1の傾きが急になっていることがわかる。これは、第2メイン回路62の圧力が上昇すると、サーボモータ52を一定の回転数で駆動しているため、ラム12の速度も時刻t3において急に上昇するためである。
【0116】
本実施形態2では、圧力値の上昇ではなく、ラム12の速度の上昇を検出し、その後にラム12の上昇およびワークの折り曲げ角度の変化量の判定を繰り返して除荷動作の終了を決定する。コントローラ15は、リニアセンサ16(速度情報検出センサの一例)からラム12の位置情報を取得している。例えば、所定時間ごとに位置情報を取得する場合、コントローラ15は、所定時間におけるラム12の移動距離からラム12の速度(切換バルブの切換動作に基づく情報の一例)を求めることができる。コントローラ15は、除荷動作において、求めたラム12の速度が所定の閾値速度以上になった場合にラム12の速度が急に上昇したと判定する。所定の閾値速度は、時刻0から時刻t3までのラム12の速度よりも大きく時刻t3以降のラム12の速度より小さい値に設定すればよい。また、グラフg1に示すように、ラム12の速度が急に上昇するときを検出すればよいため、所定時間におけるラム12の速度の変化量が所定量以上になったことを検出することによって時刻t3を検出してもよい。
【0117】
図13は、本実施形態2のプレスブレーキ1の動作を示すフロー図である。
図13に示すフロー図は、実施形態1の
図11に示すフロー図と比較するとステップS14の判定が異なる。
【0118】
本実施形態2のプレスブレーキ1は、ステップS10~ステップS13までの動作は、実施形態1と同じである。ステップS13において、計測位置からラム12を一定の速度で上昇させ、除荷動作を開始すると、次に、ステップS140において、コントローラ15は、リニアセンサ16からの位置情報からラム12の速度を算出してラム12の速度が上昇して閾値速度以上に達したか否かを判定する。ラム12の速度が閾値速度以上に達していない場合、制御はステップS13に戻り、ラム12の上昇が継続される。ステップS140は、切換動作情報取得ステップの一例に対応する。
【0119】
一方、ステップS140において、ラム12の速度が閾値速度以上に達したと判定されると、ステップS15において、コントローラ15はラム12を停止する。以降のステップS16~S24は、実施形態1と同様である。
【0120】
以上のように、本実施形態2のプレスブレーキ1は、ワークWのスプリングバック量を取得するためにラム12を上昇させてワークWへの加圧を除く除荷動作において、切換バルブ104がタンク53の接続先を第2メイン回路62から第1メイン回路61に切り換える切換動作によって生じるラム12の速度の増加を用いて除荷動作の終了を決定する。これにより、スプリングバック量を検出するための工程を軽減することができる。
【0121】
(他の実施の形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0122】
(A)
上記実施形態では、第2圧力センサ66の圧力値が上昇した上昇タイミングから除荷動作の終了を決定するために、ラム12を少しずつ上昇させて折り曲げ角度の変化量を求めているが、これに限らなくてもよい。例えば、上昇タイミングから所定時間経過したタイミングを除荷動作の終了としてもよい。この場合、所定時間は、金属材料と板厚の組み合わせごとに予めテーブルとして求められ、そのテーブルをコントローラ15が記憶していてもよい。コントローラ15は、操作部17に入力された金属材料と板厚のデータに基づいて所定時間を求め、上昇タイミングから所定時間経過したタイミングを除荷動作の終了として決定する。なお、コントローラ15が予め所定時間を記憶しておらず、入力された金属材料と板厚と、ラム12の速度のデータから計算式を用いて所定時間を求めてもよい。また、所定時間を求める際に、ラム12の速度を考慮してもよい。
【0123】
(B)
上記実施形態では、第2圧力センサ66の圧力値が上昇した上昇タイミングを用いて、除荷動作の終了を決定しているが、これに限らなくてもよく、第2圧力センサ66の圧力値を用いて除荷動作の終了を決定できればよい。
図6のグラフg2に示すように、除荷動作を開始すると、第2圧力センサ66の圧力値はリリーフバルブ84の設定圧から下がるが、切換バルブ104の動作によって第2圧力センサ66の圧直値が増加して第2圧力センサ66の圧力値が再びリリーフバルブ84の設定圧まで戻ったタイミングを除荷動作の終了としてもよい。
【0124】
(C)
上記実施形態では、油圧シリンダ23は、第1伸長室33と第2伸長室34を有しているが、伸長室を1つだけ有していてもよい。
【0125】
(D)
上記実施形態では、リリーフバルブ84が設けられているが、これに限らなくても良く、例えばアキュムレータが設けられていてもよい。要するに、ラム12が自重で落下することを抑制できるカウンター力を発揮できさえすればよい。
【0126】
(E)
上記実施形態1では、切換バルブの切換動作に基づく情報の一例として第2圧力センサ66の圧力値が用いられ、実施形態2では、切換バルブの切換動作に基づく情報の一例としてラム12の速度が用いられているが、これらに限られなくてもよい。例えば、切換バルブ104から切換信号を出力する構成として、切換バルブの切換動作に基づく情報の一例として切換バルブ104から切換信号が用いられてもよい。この場合、
図11を用いて説明すると、コントローラ15は、ステップS13において除荷動作を開始した後に切換バルブ104からの切換信号を受信すると、ステップS15においてラム12を停止する。
【0127】
(F)
上記実施の形態では、ポンプの一例としてポンプ51が用いられているが、これに限られるものではない。たとえば、可変容量型のポンプを用いてもよい。
【0128】
(G)
上記実施形態において用いられているダイ3は、表側と裏側において対称な形状であるが、表側と裏側で角度の異なるV溝を有するダイが用いられてもよい。
【0129】
(H)
上記実施形態では、表側に第1角度検出部13aが設けられ、裏側に第2角度検出部13bが設けられているが、どちらか一方のみに設けられていてもよい。ワークWが表側と裏側において対称的に曲げられる場合には、表側の曲げ角度および裏側の曲げ角度のいずれか一方を算出して、2倍することによってワークWの曲げ角度を算出することができる。
【0130】
(I)
上記実施形態では、スプリングバック量から計算によってラムの最終目標位置を求めているが、これに限らなくてもよい。例えば、コントローラ15は、スプリングバック量に応じた計測位置からの下方への移動量のテーブルを記憶していてもよい。テーブルには、複数のスプリングバック量に対応する移動量が予め記憶されている。このテーブルに基づいて、コントローラ15は、計測位置からの下方への移動量(押し込み量)を決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本開示のプレスブレーキおよび曲げ加工方法は、スプリングバック量を検出するための工程を軽減することが可能であり、板材の曲げ加工に広く適用できる。
【符号の説明】
【0132】
1 :プレスブレーキ
2 :パンチ
3 :ダイ
11 :固定テーブル
12 :ラム
15 :コントローラ
66 :第2圧力センサ