(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122506
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】噴風装置及び噴風装置を備えた光学式選別機
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20240902BHJP
F16K 31/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B07C5/36
F16K31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030075
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(71)【出願人】
【識別番号】502254796
【氏名又は名称】有限会社メカノトランスフォーマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆文
(72)【発明者】
【氏名】松下 忠史
(72)【発明者】
【氏名】徐 世傑
【テーマコード(参考)】
3F079
3H062
【Fターム(参考)】
3F079AC13
3F079BA06
3F079CA41
3F079CA44
3F079CB26
3F079CB30
3F079CB36
3F079CC03
3F079DA06
3F079EA08
3H062AA02
3H062AA12
3H062BB04
3H062BB06
3H062BB14
3H062CC07
3H062HH02
(57)【要約】
【課題】噴風装置の使用環境温度等に影響を受けることなく、安定した噴風流量の確保することが可能な噴風装置及び噴風装置を備えた光学式選別機を提供すること。
【解決手段】圧電式バルブ100によって圧縮気体を噴風することが可能な噴風装置260において、圧縮気体を前記圧電式バルブ100へ供給する圧縮気体供給装置273と、前記圧縮気体供給装置273から前記圧電式バルブ100へ供給される圧縮気体の供給圧力を調節することが可能な電空レギュレータ280と、前記噴風装置260における環境温度を検出することが可能な温度センサ281と、前記温度センサ281によって検出された前記環境温度に基づいて、前記電空レギュレータ280における圧縮気体の供給圧力を調節することが可能な制御装置270と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電式バルブによって圧縮気体を噴風することが可能な噴風装置において、
圧縮気体を前記圧電式バルブへ供給する圧縮気体供給装置と、
前記圧縮気体供給装置から前記圧電式バルブへ供給される圧縮気体の供給圧力を調節することが可能な電空レギュレータと、
前記噴風装置における環境温度を検出することが可能な温度センサと、
前記温度センサによって検出された前記環境温度に基づいて、前記電空レギュレータにおける圧縮気体の供給圧力を調節することが可能な制御装置と、を備えた
ことを特徴とする噴風装置。
【請求項2】
前記温度センサによって検出される前記環境温度は、前記圧縮気体供給装置から前記圧電式バルブへ供給される圧縮気体の温度である
請求項1に記載の噴風装置。
【請求項3】
前記温度センサは、前記圧縮気体供給装置から前記圧電式バルブに前記圧縮気体を供給する配管内に設置される
請求項2に記載の噴風装置。
【請求項4】
前記温度センサによって検出される前記環境温度は、前記噴風装置の設置個所における雰囲気温度である
請求項1に記載の噴風装置。
【請求項5】
前記温度センサによって検出される前記環境温度は、前記圧電式バルブから噴出する噴風の温度である
請求項1に記載の噴風装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記環境温度に応じた前記電空レギュレータによる供給圧力と噴風流量の検量線に基づいて、前記圧電式バルブの噴風流量を前記環境温度に依らずに略一定に制御する
請求項1に記載の噴風装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の噴風装置を備えた光学式選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴風装置及び前記噴風装置を備えた光学式選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、穀粒などの粒状物を選別する光学式選別機においては、粒状物を噴風によって選別するために噴風装置が設けられ、当該噴風装置には圧電式バルブを用いたものが知られている(例えば、特許文献1)。上記圧電式バルブは、内蔵する圧電素子の変位を利用して弁部を駆動し、当該弁部と弁座との接離を制御してバルブの開閉を行っている。
【0003】
また、特許文献2や特許文献3にも圧電式バルブにおける変位拡大機構が開示されているが、変位拡大機構の温度が変化すると、変位拡大機構の熱膨張又は熱収縮(以下「線膨張変化」という。)によって、弁部と弁座との位置関係や接触圧力が変化してしまい、圧縮気体の噴風流量特性が大きく変化してしまう。
【0004】
上記のような問題に対処するため、特許文献4に開示された発明では、ハウジングとバルブ機能モジュール(アクチュエータ(弁部、基部、圧電素子、支持部材、作用部、及び、連結部材からなる構成))との間に空間を形成して、温度変化で生じる線膨張変化による弁部と弁座との位置関係や接触圧力の変化を吸収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-048474号公報
【特許文献2】国際公開2019/009035号公報
【特許文献3】特開2017-192192号公報
【特許文献4】特開2021―134916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、圧電式バルブは様々な環境温度において用いられる可能性があり、変位拡大機構の線膨張変化によって、圧電式バルブから噴射する圧縮気体の噴風流量特性が大きく変化してしまう場合がある。
【0007】
例えば、
図1と
図2は、それぞれ環境温度が異なる状況下における圧電式バルブ100の側面図が示されている。
図1では、弁部35と弁座42の隙間dが開いているため、圧縮気体が排出路45から矢印Cに示されるように外部に噴射する。これに対して、
図2では、弁部35と弁座42の隙間dが閉じているため、圧縮気体が排出路45から噴射しない。したがって、圧電式バルブ100の圧電素子32に一定の電圧を掛けても、
図1と
図2に示されるように、環境温度変化に依って弁部35と弁座42との開度のバラつきが生じ、圧縮気体の噴風流量が一定しない問題があった。
【0008】
また、前述した特許文献4に記載の発明においても、空間を設けることで温度変化による噴風流量特性の変化を小さくできるものの、バルブ機能モジュールに取り付けられたアクチュエータ自身が温度変化によって線膨張変化した場合、弁部と弁座との位置関係や接触圧力が変化して、圧縮気体の噴風流量がバラついてしまう。
【0009】
そして上記したような圧電式バルブを光学式選別機に用いた場合、光学選別機における穀粒の選別ミスや良品歩留まりなどの選別品質が低下する問題があった。
【0010】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、噴風装置の使用環境温度等に影響を受けることなく、安定した噴風流量を確保することが可能な噴風装置及び噴風装置を備えた光学式選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)に係る発明は、圧電式バルブによって圧縮気体を噴風することが可能な噴風装置において、圧縮気体を前記圧電式バルブへ供給する圧縮気体供給装置と、前記圧縮気体供給装置から前記圧電式バルブへ供給される圧縮気体の供給圧力を調節することが可能な電空レギュレータと、前記噴風装置における環境温度を検出することが可能な温度センサと、前記温度センサによって検出された前記環境温度に基づいて、前記電空レギュレータにおける圧縮気体の供給圧力を調節することが可能な制御装置と、を備えたことを特徴とする噴風装置である。
【0012】
(2)に係る発明は、前記温度センサによって検出される前記環境温度は、前記圧縮気体供給装置から前記圧電式バルブへ供給される圧縮気体の温度である上記(1)に記載の噴風装置である。
【0013】
(3)に係る発明は、前記温度センサは、前記圧縮気体供給装置から前記圧電式バルブに前記圧縮気体を供給する配管内に設置される上記(2)に記載の噴風装置である。
【0014】
(4)に係る発明は、前記温度センサによって検出される前記環境温度は、前記噴風装置の設置個所における雰囲気温度である上記(1)に記載の噴風装置である。
【0015】
(5)に係る発明は、前記温度センサによって検出される前記環境温度は、前記圧電式バルブから噴出する噴風の温度である上記(1)に記載の噴風装置である。
【0016】
(6)に係る発明は、前記制御装置は、前記環境温度に応じた前記電空レギュレータによる供給圧力と噴風流量の検量線に基づいて、前記圧電式バルブの噴風流量を前記環境温度に依らずに略一定に制御する上記(1)に記載の噴風装置である。
【0017】
(7)に係る発明は、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の噴風装置を備えた光学式選別機である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、環境温度に応じた圧縮気体の供給圧力を調節することにより、噴風装置の使用環境温度等に影響を受けることなく、安定した噴風流量を確保することが可能な噴風装置と、選別精度を向上させた光学式選別機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態において、圧電式バルブの圧電素子に一定の電圧を掛けて、圧電式バルブの弁部と弁座とが開いた状態を説明する図である。
【
図2】本発明の一実施形態において、圧電式バルブの圧電素子に
図1の場合と同様の一定の電圧を掛けて、圧電式バルブの弁部と弁座とが閉じた状態を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態の噴風装置を説明するブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態のエジェクタの断面を示す図である。
【
図5】噴風装置において、環境温度変化に基づいて圧縮気体の供給圧力の調整を行わない場合における、環境温度と、噴風流量、噴風圧力及び供給圧力の関係を示すグラフである。
【
図6】本発明の一実施形態の噴風装置において、環境温度変化に基づいて圧縮気体の供給圧力の調整を行った場合における、環境温度と、噴風流量、噴風圧力及び供給圧力の関係を示すグラフである。
【
図7】本発明の一実施形態における光学式選別機の要部を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態の圧電式バルブにおいて弁座プレートにアクチュエータを固定した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の噴風装置及び噴風装置を備えた光学式選別機の一実施形態を図面と共に説明する。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態の噴風装置260を説明するブロック図である。噴風装置260は、CCDカメラ251などの検出器から入力される信号に基づいて、プロセッサを備えた制御装置270が圧電式バルブ100の駆動装置272を駆動し、圧電式バルブ100の開閉動作を行うことによって、圧縮気体供給装置273から供給される圧縮気体を噴風ノズル276から噴射する装置である。
【0022】
本実施形態の圧電式バルブ100は、
図8に示されるように高速応答性能に優れる圧電素子32の特性を利用するアクチュエータ3を備えている。アクチュエータ3は圧電素子32の小さな変位をテコの原理によって拡大する変位拡大機構を備えている。アクチュエータ3は環境温度が変化すると線膨張変化が生じ易い。
【0023】
噴風装置260は、当該噴風装置260を制御する制御装置270と、コンプレッサ273a及び当該コンプレッサ273aにより圧縮された圧縮気体を乾燥させる冷凍式や吸着式のドライヤ273bを有して圧縮気体を供給する圧縮気体供給装置273と、エジェクタ271と、圧縮気体供給装置273からエジェクタ271に供給される圧縮気体の圧力を調整する電空レギュレータ280とを備える。
【0024】
エジェクタ271は、
図4に示されるように、噴風ノズル276と、当該噴風ノズル276に複数並設して設けられる圧電式バルブ100と、マニホールド275とを備える。圧縮気体供給装置273から供給され、電空レギュレータ280により供給圧力が調整された圧縮気体は、圧縮気体の流路である配管274及びエジェクタ271に備わったマニホールド275、さらに圧電式バルブ100を経て、噴風ノズル276からエジェクタ271の外部に噴射される。
【0025】
制御装置270は、駆動装置272を駆動し、圧電式バルブ100を高速で繰り返し開閉駆動することにより、圧縮気体供給装置273から供給される低湿度の圧縮気体を、噴風ノズル276の各ノズル孔から噴射する。
【0026】
噴風装置260における圧縮気体の温度は、圧電式バルブ100のアクチュエータ3の線膨張変化に影響を及ぼすため、配管274に当該配管274内を流れる圧縮気体の温度を検出する温度センサ281が設けられる。そして制御装置270は、温度センサ281から配管274内の圧縮気体の温度を検出した信号を受信する。
【0027】
制御装置270は、温度センサ281から受信した配管274内の圧縮気体の温度に基づく制御信号を電空レギュレータ280に送信する。電空レギュレータ280は、制御装置270から受信する制御信号に基づいて、圧縮気体供給装置273からエジェクタ271に供給する圧縮気体の供給圧力を調整する。この圧縮気体の供給圧力の調整により、噴風装置260は、圧縮気体の温度に依らず、圧縮気体を略一定した噴風流量で、噴風ノズル276から噴射できる。
【0028】
本実施形態の温度センサ281は、
図3に示すように、圧縮気体供給装置273からマニホールド275に接続される配管274内に設けられる。温度センサ281としては、熱電対のほか公知のセンサを使用することができる。なお、温度の検出に際しては、配管274内の圧縮気体の温度を検出することが好適であるが、必ずしもこれに限定されない。
【0029】
例えば、温度センサ281をエジェクタ271に設けてもよく、
図4に示されているように、温度センサ281を噴風ノズル276の近傍に配置し、噴風された圧縮気体の温度を検出するようにしてもよい。或いは、温度センサ281を圧電式バルブ100、又は、マニホールド275に設けてもよい。また、噴風装置260の設置個所における雰囲気温度や、噴風装置260を備えた光学式選別機などの装置が設置された室内の温度を検出可能な位置に温度センサ281を設けてもよい。
【0030】
上記のように、圧電式バルブ100のアクチュエータ3に線膨張変化を及ぼす温度変化を検出可能な箇所に温度センサ281が設置されることに起因して、当該温度センサ281が検出する温度を、環境温度と総称する。
【0031】
図5は、噴風装置260において、環境温度変化に応じて圧縮気体の供給圧力の調整を行わない場合における、環境温度と、噴風流量、噴風圧力及び供給圧力の関係を示すグラフである。圧電式バルブ100に備わったアクチュエータ3の温度が環境温度(例えば、圧縮気体の温度)によって変化すると、アクチュエータ3が線膨張変化を生じて、噴風ノズル276から噴出する圧縮気体の噴風流量及び噴風圧力が変化してしまう。図示されるように環境温度に対して噴風流量及び噴風圧力は比例関係にある。
【0032】
図5に示されるように、圧縮気体供給装置273からエジェクタ271に圧縮気体を供給する電空レギュレータ280の供給圧力を、環境温度変化に関係なく、例えば図示0.20MPaと一定とした場合、環境温度の上昇とともに噴風圧力及び噴風流量が徐々に小さくなってしまう。したがって、このような噴風流量特性を有する噴風装置を光学式選別機に適用すると、選別ミスや良品歩留まりの低下を生じて選別品質が低下してしまう。
【0033】
一方、
図6は、本実施形態のように、環境温度変化に応じて圧縮気体の供給圧力の調整を行った場合における、環境温度と、噴風流量、噴風圧力及び供給圧力の関係を示すグラフである。図示されるように、本実施形態では温度センサ281により環境温度(例えば、圧縮気体の温度変化)を検出し、検出した環境温度変化に応じて、電空レギュレータ280の設定圧力を、図示破線部の供給圧力となるように制御(供給圧力制御)している。これにより、圧電式バルブ100に供給される圧縮気体の圧力が調整されて、噴風ノズル276から噴射される圧縮気体の噴風流量や噴風圧力を、環境温度変化に依らず常に略一定にすることができる。このような噴風流量特性を有する噴風装置260を光学式選別機に適用することによって、選別ミスや良品歩留まりの低下を抑制することが可能となり、選別品質を向上させることができる。
【0034】
具体的な制御方法の例としては、
図6に示されるように、環境温度変化に影響を受けることなく圧縮気体の噴風圧力及び噴風流量を略一定に保つため、環境温度変化に応じた電空レギュレータ280による圧縮空気の供給圧力(電空レギュレータ280の設定圧力)の検量線を予め求めて、制御装置270に備わった記憶装置に記憶しておくことが望ましい。これにより、制御装置270は、温度センサ281から取得した環境温度の情報と、予め記憶しておいた検量線とを用いて、電空レギュレータ280による供給圧力の制御を行うことができる。
【0035】
図6に示された例では、温度センサ281が20℃を検出すると、電空レギュレータ280の供給圧力を0.2MPaに制御する。これにより、光学式選別機による選別が適正に行える噴風流量及び噴風圧力となるように制御される。一方、温度センサ281が10℃を検出すると、電空レギュレータ280の供給圧力を-0.02MPa(-20kPa)減らす制御を行って0.18MPaの供給圧力とする。このように制御することで、圧電式バルブ100の弁部と弁座との位置関係や接触圧力に変化が生じても、圧縮気体を適正な噴風流量(40L/min)や適正な噴風圧力(20kPa)で略一定に制御できる。また、温度センサ281が40℃を検出すると、電空レギュレータ280の供給圧力を+0.02MPa(+20kPa)増やす制御を行って0.22MPaの供給圧力とする。以上のような制御によって、環境温度の変化に影響を受けることなく、継続して圧縮気体を適正な噴風流量(40L/min)や適正な噴風圧力(20kPa)で略一定に制御できる。
【0036】
なお、
図6では、噴風圧力及び噴風流量を環境温度変化に依らず略一定とするために、電空レギュレータ280からの供給圧力を環境温度とともに増加する検量線が示されているが、これに限定されるものではない。例えば、圧電式バルブ100に備わったアクチュエータ3の構造によっては、電空レギュレータ280からの供給圧力を環境温度とともに減少する検量線となる場合も考えられる。
【0037】
次に、前述した実施形態の噴風装置260を、光学式選別機に適用した態様について説明する。
図7は、光学式選別機210の一実施形態について、その内部構造を簡略化して示した要部側断面図である。そして当該光学式選別機210は、
図3に示した噴風装置260を備えている。
【0038】
光学式選別機210は、良品と不良品、原料と異物等、原料となる粒状物を選別する装置である。光学式選別機210は、上部にタンク220と振動フィーダ230とからなる粒状物供給部を有する。当該粒状物供給部の振動フィーダ230の下方には所定幅を有する傾斜状シュート240が配置される。粒状物供給部から供給された粒状物は、傾斜状シュート240上を幅方向に広がって連続して自然流下した後、その下端から所定の落下軌跡に沿って空中に放出される。
【0039】
前記所定の落下軌跡の前後には、傾斜状シュート240の幅方向に平行に直線状に延びる粒状物検出位置Oにおいて粒状物を撮像する少なくとも一対の光学検出装置250a、250bが対向して配設される。各光学検出装置250a、250bは、それぞれCCD等のラインセンサやエリアセンサを内蔵し、近赤外線(NIR)、可視光又は紫外線等の波長域の光を受光可能とするCCDカメラ等の撮像手段251a、251b、LED等からなる照明手段252a、252b、及び、粒状物を撮像する際の背景となるバックグラウンド253a、253b等から構成される。
【0040】
また、粒状物検出位置Oの下方には、不良品や異物等(以下、「不良品等」という。)を圧縮気体の噴風により除去する本実施形態の噴風装置260が配設される。噴風装置260は、前述したように、圧電式バルブ100を複数並設して組み込んでなる噴風ノズル276と、圧電式バルブ100を開閉駆動する駆動装置272と、噴風ノズル276に圧縮気体を送る圧縮気体供給装置273とを備えている。
【0041】
そして、各光学検出装置250a、250bの検出結果に基づいて各圧電式バルブ100を選択的に開弁駆動し、傾斜状シュート240の下端から放出される粒状物を、圧縮気体の噴射により吹き飛ばす。なお、圧電式バルブ100の圧電素子32は、駆動装置272の駆動回路と電気的に接続される。
【0042】
光学式選別機210において、傾斜状シュート240から放出される粒状物は、粒状物検出位置Oにおいて各光学検出装置250a、250bの撮像手段251a、251bにより撮像され、撮像データが制御装置270に送られる。制御装置270は、上記撮像データに基づいて除去すべき粒状物を判別し、排除信号を圧電式バルブ100の駆動装置272に送信する。
【0043】
また、制御装置270は、温度センサ281から配管274内の圧縮空気の温度を検出した信号を受信する。制御装置270は、温度センサ281から受信した配管274内の圧縮空気の温度に基づく制御信号を電空レギュレータ280に送る。電空レギュレータ280は上記制御信号に基づいて、圧縮気体供給装置273からエジェクタ271に供給される圧縮気体の供給圧力を調整する。これにより、環境温度の変化に依らず噴風ノズル276から略一定した噴風流量で圧縮気体を噴射でき、光学式選別機210による選別ミスや良品歩留まりの低下を抑制することができ、粒状物の選別品質を向上させることが可能となる。
【0044】
噴風ノズル276からの噴風によって吹き飛ばされた不良品等は、不良品排出口241から機外に排出される。また、噴風により吹き飛ばされることなく所定の落下軌跡をそのまま通過した良品等は、良品排出口242から回収される。
【0045】
図8は、本実施形態の圧電式バルブ100の弁座プレート4にアクチュエータ3を固定した状態の説明図である。アクチュエータ3は、弁座プレート4に固定される基部31と、基部31の取付け面に一端部が接続されている。そして、第1長手方向(図示斜め左方向)に延びる圧電素子32と、基部31とが一体成形され、圧電素子32と並んで上記第1長手方向と交差する第2長手方向(図示右斜め方向)に延びる支持部33を備える。当該支持部33は、長手方向に延びる中間部分にくびれ部331を有し、当該くびれ部331と基部31との間に設けられる取り付け穴38を利用して弁座プレート4にネジにより固定されている。
【0046】
アクチュエータ3は、圧電素子32の他端部及び支持部33の先端部と接続され、圧電素子32の伸縮に伴って、上記第1長手方向及び上記第2長手方向と異なる方向に変位する作用部34を備えている。当該作用部34の先端側には、作用部34の変位によって駆動される弁部35が備えられている。
【0047】
アクチュエータ3は、基部31と作用部34の間を圧縮部材36で連結することができる。圧電素子32は引張方向の荷重に対し損傷しやすいが、基部31と作用部34の間を圧縮部材36で連結することとすれば、圧電素子32を第1長手方向に圧縮することができるため、圧電素子32の損傷を防止できる。
【0048】
本実施形態の圧電式バルブ100は、上記アクチュエータ3を固定した弁座プレート4を圧電式バルブ100の本体の内部に収納するものである。弁座プレート4は、2つのアクチュエータを取り付けることが可能な弁座プレートの一例であって、中央部分に弁座部41を有し、当該弁座部41の相対する両側面にそれぞれアクチュエータ3の弁部35が当接する弁座42が設けられる。
【0049】
弁座プレート4の一面側には、弁座部41の一方の側面に対向する位置にアクチュエータ3の取り付け部43が形成される。また、弁座プレート4の他面側には、弁座部41の他方の側面に対向する位置にアクチュエータ3の取り付け部44が形成される。これら2つのアクチュエータ3は、各弁部35が上記各弁座42に対峙するよう、弁座プレート4の各取り付け部43、44に配設されてネジにより固定される。
【0050】
弁座部41には、各弁座42の弁座面に開口する複数の排出路45が形成され、各排出路45は弁座プレート4の前面(
図8では上面)に開口する。弁座プレート4は、2つのアクチュエータ3が固定された状態で圧電式バルブ100の不図示の本体内部に配設される。
【0051】
圧電式バルブ100は、閉弁状態においてアクチュエータ3の圧電素子32に通電すると、圧電素子32が伸長し、作用部34が変位して、弁部35が弁座42から離間して開弁する。そして、アクチュエータ3の圧電素子32への通電が解除されると、圧電素子32が収縮し、作用部34が反対方向へ変位して、弁部35が弁座42に着座して閉弁する。
【0052】
また、圧電式バルブ100は、圧電素子32に電圧が印加されていない状態で、弁部35が弁座42に着座することとしたが、駆動装置272から供給される電圧等の極性を変更することで、圧電素子32に電圧が印加されていない状態で弁部35が弁座42から離間した状態とすることもできる。
【0053】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、又は、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、又は、省略が可能である。
【符号の説明】
【0054】
3 アクチュエータ
4 弁座プレート
31 基部
32 圧電素子
33 支持部
34 作用部
35 弁部
36 圧縮部材
38 取り付け穴
41 弁座部
42 弁座
43 取り付け部
44 取り付け部
45 排出路
100 圧電式バルブ
210 光学式選別機
220 タンク
230 振動フィーダ
240 傾斜状シュート
241 不良品排出口
242 良品排出口
250a、250b 光学検出装置
251、251a、251b CCDカメラ(撮像手段)
252a、252b 照明手段
253a、253b バックグランド
260 噴風装置
270 制御装置
271 エジェクタ
272 駆動装置
273 圧縮気体供給装置
274 配管
275 マニホールド
276 噴風ノズル
280 電空レギュレータ
281 温度センサ
331 くびれ部
O 粒状物検出位置
E 粒状物排出位置