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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122508
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/12 20060101AFI20240902BHJP
   H02K 1/14 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H02K1/12 A
H02K1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030078
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】笹栗 啓嗣
(72)【発明者】
【氏名】白石 昌寛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆弥
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA01
5H601AA02
5H601CC01
5H601DD01
5H601DD11
5H601GA02
5H601GA10
5H601GB12
5H601GC04
5H601GC05
5H601GC12
5H601GD02
5H601GD08
5H601GD12
5H601GD22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ステータコアの剛性を向上させたモータを提供する。
【解決手段】モータは、回転軸を中心に回転するロータと、ロータに対して径方向外側に位置するステータとを備える。ステータは、複数の単位コアが環状に配列されたステータコアを有し、複数の単位コアのそれぞれは、ティースと、ティースに対して径方向外側において周方向に延びるコアバックとを有する。複数の単位コアのいずれか1つの単位コアは、コアバックの径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起し、コアバックの周方向一方側端部から周方向他方側端部まで周方向に延びる第1突起部をさらに有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転するロータと、
前記ロータに対して径方向外側に位置するステータと
を備える、モータであって、
前記ステータは、複数の単位コアが環状に配列されたステータコアを有し、
前記複数の単位コアのそれぞれは、
ティースと、
前記ティースに対して径方向外側において周方向に延びるコアバックと
を有し、
前記複数の単位コアのいずれか1つの単位コアは、
前記コアバックの径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起し、前記コアバックの周方向一方側端部から周方向他方側端部まで周方向に延びる第1突起部をさらに有する、モータ。
【請求項2】
前記複数の単位コアのそれぞれの単位コアは、前記第1突起部を有し、
前記複数の単位コアのうちの隣接する2つの単位コアの一方の単位コアの前記第1突起部は、他方の単位コアの前記第1突起部と接触する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ステータコアは、前記複数の単位コアのそれぞれが分割されて接触する分割コアであり、
前記複数の単位コアのそれぞれは、複数のラミネーションが軸方向に積層された積層構造を有する、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記複数の単位コアのいずれか1つの単位コアは、前記コアバックの径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起し、前記コアバックの軸方向一方側から軸方向他方側まで軸方向に延びる第2突起部をさらに有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記いずれか1つの単位コアにおいて、前記第1突起部は、前記コアバックの前記外周面の軸方向一方側および軸方向他方側のそれぞれの基準面に対して突起しており、
前記いずれか1つの単位コアにおいて、前記第2突起部は、前記コアバックの前記外周面の周方向一方側および周方向他方側のそれぞれの基準面に対して突起しており、
前記第1突起部と前記第2突起部は交差する、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記いずれか1つの単位コアには、軸方向に延びる貫通孔が設けられており、
前記貫通孔および前記第2突起部は、前記ティースから径方向に延びる直線上に位置する、請求項4に記載のモータ。
【請求項7】
前記いずれか1つの単位コアには、軸方向に延びる貫通孔が、前記コアバックおよび前記第2突起部にまたがって設けられている、請求項4に記載のモータ。
【請求項8】
前記ステータを軸方向一方側から覆う第1ハウジングと、
前記ステータを軸方向他方側から覆う第2ハウジングと、
前記貫通孔を貫通して前記第1ハウジングと前記第2ハウジングと前記ステータとを固定する固定部材と
をさらに備える、請求項6または7に記載のモータ。
【請求項9】
前記ステータを軸方向一方側から覆う第1ハウジングと、
前記ステータを軸方向他方側から覆う第2ハウジングと
をさらに備え、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの径方向外側の外周面は、前記ステータコアの径方向外側の外周面に対して同一の平面または径方向外側に位置する、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項10】
前記ステータを軸方向一方側から覆う第1ハウジングと、
前記ステータを軸方向他方側から覆う第2ハウジングと
をさらに備え、
前記第1ハウジングは、
第1基体部と、
前記第1基体部の外縁から軸方向他方側に延びた環状の第1環状壁と、
前記第1環状壁の軸方向他方側の端部から軸方向他方側に延び、周方向に並ぶ複数の第1ガイドと
を有し、
前記第1ガイドの周方向両端は、前記第2突起部と隙間を介して周方向に対向し、
前記ステータコアの軸方向一方側の表面は、前記第1環状壁の軸方向他方側の端部と接触する、請求項4に記載のモータ。
【請求項11】
前記ステータを軸方向一方側から覆う第1ハウジングと、
前記ステータを軸方向他方側から覆う第2ハウジングと
をさらに備え、
前記第2ハウジングは、
第2基体部と、
前記第2基体部の外縁から軸方向一方側に延びた環状の第2環状壁と、
前記第2環状壁の軸方向一方側の端部から軸方向一方側に延び、周方向に並ぶ複数の第2ガイドと
を有し、
前記第2ガイドの周方向両端は、前記第2突起部と隙間を介して周方向に対向し、
前記ステータコアの軸方向他方側の表面は、前記第2環状壁の軸方向一方側の端部と接触する、請求項4に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、小型の駆動源としてインナーロータ型のモータを用いることが知られている。インナーロータ型のモータでは、ステータの径方向内側にロータが配置される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のモータにおいて、ステータは、環状に配置されたステータコアブロックと、環状の連結ヨークを有する。ステータコアブロックは、ステータコア片を重ねた積層ステータコアと、積層ステータコアに設けられたスロット絶縁体と、スロット絶縁体の上側に巻装された界磁コイルとを有する。ステータコア片は、ティース部、ヨーク部、ティース先端拡大部を有し、ヨーク部の外周に突出するダブテールが設けられている。特許文献1に記載のモータでは、ヨーク部の外周に設けたダブテールが連結ヨークと結合することにより、丈夫な連結構造を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-7413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のモータの小型化を図る場合、ヨーク部の径方向に短くすると、ステータコアの剛性が低くなり、モータの駆動によっては騒音が発生することがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステータコアの剛性を向上させたモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る例示的なモータは、回転軸を中心に回転するロータと、前記ロータに対して径方向外側に位置するステータとを備える。前記ステータは、複数の単位コアが環状に配列されたステータコアを有する。前記複数の単位コアのそれぞれは、ティースと、前記ティースに対して径方向外側において周方向に延びるコアバックとを有する。前記複数の単位コアのいずれか1つの単位コアは、前記コアバックの径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起し、前記コアバックの周方向一方側端部から周方向他方側端部まで周方向に延びる第1突起部をさらに有する。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、ステータコアの剛性を向上させたモータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るモータの構造を示す断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るモータの分解斜視図である。
図3A図3Aは、本発明の一実施形態に係るモータにおけるステータコアの斜視図である。
図3B図3Bは、本発明の一実施形態に係るモータにおけるステータコアを示す平面図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施形態に係るモータにおける単位コアの斜視図である。
図4B図4Bは、本発明の一実施形態に係るモータにおける単位コアを示す平面図である。
図5A図5Aは、本発明の一実施形態に係るモータにおけるステータコアの分解平面図である。
図5B図5Bは、本発明の一実施形態に係るモータにおけるステータコアの展開図である。
図6A図6Aは、本発明の一実施形態に係るモータにおけるステータコアと第1ハウジングとの位置関係を示す分解斜視図である。
図6B図6Bは、本発明の一実施形態に係るモータにおけるステータコアと第2ハウジングとの位置関係を示す分解斜視図である。
図7A図7Aは、本発明の一実施形態に係るモータの側面図である。
図7B図7Bは、図7Aの第1ハウジングおよび第2ハウジング以外を省略した図である。
図7C図7Bは、図7AのVIIC-VIIC線に沿った断面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係るモータにおけるロータの一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
本明細書では、便宜上、モータの回転軸AX(図1参照)の方向を上下方向として説明する場合がある。図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸を適宜記載する。Z軸の正方向は上方向を示し、Z軸の負方向は下方向を示す。ただし、上下方向、上方向、および下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義したに過ぎず、本発明に係るモータの使用時および組立時の向きを限定しない。さらに、モータの回転軸AXと平行な方向を単に「軸方向AD」と記載し、モータの回転軸AXを中心とする径方向および周方向を単に「径方向RD」および「周方向CD」と記載する。また、「平面視」は、軸方向ADから対象物を見ることを示す。なお、本明細書において「平行な方向」は、略平行な方向も含む。
【0012】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るモータ10を説明する。図1は、本発明の一実施形態のモータ10の構造を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、モータ10は、軸受11と、シャフト12と、ロータ100と、ステータ200と、ハウジング300とを有する。軸受11、シャフト12、ロータ100およびステータ200の少なくとも一部は、ハウジング300内に収容される。
【0014】
ロータ100は、上下方向に延びる回転軸AXを中心に配置される。ここでは、モータ10は、インナーロータ型である。ロータ100は、回転軸AXの回りに回転する。ロータ100は、ステータ200の径方向内側に配置される。
【0015】
ロータ100は、ロータコア110と、マグネット120とを有する。マグネット120は、例えば、永久磁石である。例えば、ロータ100は、略環状の単数のマグネット120を有してよいし、周方向CDに配列された複数のマグネット120を有していてもよい。「略環状」は、例えば「略円環状」である。例えば、マグネット120の極数は、「14」である。ただし、マグネット120の極数は、これに限られない。
【0016】
ロータコア110は、例えば、電磁鋼板が軸方向ADに積層した積層鋼板(ラミネーションの一例)によって構成される。ロータコア110は、略環状のコア本体110aと、複数の凸部110bとを有していてもよい。「略環状」は、例えば「略円環状」である。凸部110bの詳細は、図8を参照して後述する。複数個のマグネット120は、ロータコア110の径方向外側に配置される。本実施形態では、モータ10は、SPM(Surface Permanent Magnet)モータである。ただし、ロータ100はスポーク型ロータであってもよい。なお、モータ10は、IPM(Interior Permanent Magnet)モータであってもよい。
【0017】
軸受11は、シャフト12を回転可能に支持する。軸受11は、例えば、転がり軸受である。
【0018】
シャフト12は、回転軸AXを中心として配置される。シャフト12は略柱状である。シャフト12は、ロータコア110に固定される。従って、シャフト12は、回転軸AXを中心として、ロータ100とともに回転する。
【0019】
ハウジング300は、第1ハウジング310と、第2ハウジング320とを有する。第1ハウジング310は、モータ10の軸方向一方側(-Z方向)に配置される。第1ハウジング310は、ステータ200の軸方向一方側(-Z方向)を覆う。
【0020】
第2ハウジング320は、モータ10の軸方向他方側(+Z方向)に配置される。第2ハウジング320は、ステータ200の軸方向他方側(+Z方向)を覆う。
【0021】
なお、ステータコア210の一部は、第1ハウジング310および第2ハウジング320に覆われることなくモータ10の外周面に露出される。
【0022】
ロータ100およびステータ200は、第1ハウジング310と第2ハウジング320とによって形成される空間内に配置される。
【0023】
ステータ200は、上下方向に延びる回転軸AXを中心に配置される。ステータ200は、マグネット120と径方向RDに対向する。ステータ200は、ステータコア210と、インシュレータ220と、コイル230とを有する。
【0024】
ステータコア210は、上下方向に延びる回転軸AXを中心に配置される。一例として、ステータコア210は、回転軸AXを囲んで配置され、略環状である。「略環状」は、例えば、「略円環状」である。ステータコア210は、例えば、薄板の電磁鋼板が軸方向ADに積層した積層鋼板(ラミネーションの一例)によって構成される。ステータコア210は、コアバックと、ティースとを有する。ステータコア210の詳細は後述する。
【0025】
インシュレータ220は、ステータコア210の少なくとも一部を覆う。一例として、インシュレータ220は、回転軸AXを囲んで配置され、略環状である。「略環状」は、例えば、「略円環状」である。インシュレータ220は、電気絶縁体である。インシュレータ220は、単一の部材によって構成されてもよいし、複数個の別部材によって構成されてもよい。例えば、インシュレータ220は、ステータコア210をインサートする樹脂成型品である。また、インシュレータ220は、ステータコア210に対して別途取り付ける構造であってもよい。
【0026】
コイル230は、インシュレータ220を介してステータコア210に巻き付けられる。コイル230は、金属線が被膜によって被覆された被覆導線である。金属線の素材は、例えば、銅である。ただし、金属線の素材は、銅に代えてアルミニウムでもよい。金属線を被覆する被膜は、例えば、絶縁性の樹脂である。樹脂の素材は、例えば、エナメルである。インシュレータ220は、ステータコア210とコイル230とを電気的に絶縁する。インシュレータ220は、絶縁材料で構成される。インシュレータ220は、例えば、熱可塑性の樹脂により構成される。
【0027】
ここでは、インシュレータ220は、インシュレータ220aと、インシュレータ220bとを有する。インシュレータ220aは、軸方向一方側(-Z方向)に位置し、インシュレータ220bは、軸方向他方側(+Z方向)に位置する。インシュレータ220aは、ステータコア210の周方向一方側の側面、他方側の側面および軸方向一方側(-Z方向)の表面を覆う。インシュレータ220bは、ステータコア210の周方向一方側の側面、他方側の側面および軸方向他方側(+Z方向)の表面を覆う。
【0028】
基板SBは、略平板状である。基板SBは、軸方向ADに対して略直交する。基板SBは、配線の印刷されたプリント基板であり、各種電子部品を搭載する。基板SBは、ステータ200の少なくとも一部およびロータ100の少なくとも一部と軸方向ADに対向し、略水平に配置される。
【0029】
次に、図1および図2を参照して本発明の一実施形態に係るモータ10を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るモータ10の分解斜視図である。
【0030】
図2に示すように、モータ10は、ロータ100と、ステータ200と、第1ハウジング310と、第2ハウジング320とを備える。ロータ100は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ100は、略円柱形状である。
【0031】
ステータ200は、略円筒形状である。ステータ200は、上下方向に延びる回転軸AXを中心に配置される。ロータ100は、ステータ200の径方向内側に配置される。ステータ200は、マグネット120と径方向RDに対向する。
【0032】
第1ハウジング310は、ロータ100およびステータ200を軸方向一方側(-Z方向)から覆う。第1ハウジング310は、軸方向一方側(-Z方向)に底部を有する有底円筒形状である。
【0033】
第2ハウジング320は、ロータ100およびステータ200を軸方向他方側(+Z方向)から覆う。第2ハウジング320は、軸方向他方側(+Z方向)に底部を有する有底円筒形状である。
【0034】
モータ10は、固定部材330をさらに備える。固定部材330は、ステータ200と、第1ハウジング310と、第2ハウジング320とを固定する。
【0035】
例えば、固定部材330は、ネジである。ステータコア210には、固定部材330が貫通する貫通孔が設けられる。この場合、第1ハウジング310および第2ハウジング320には、固定部材330が嵌められるネジ穴が設けられる。
【0036】
固定部材330は、ステータコア210に対して軸方向ADに沿って異なる方向から挿入されてもよい。いくつかの固定部材330は、軸方向一方側(-Z方向)から軸方向他方側(+Z方向)に向かって、第1ハウジング310、ステータコア210を貫通して第2ハウジング320に嵌められてもよい。また、他の固定部材330は、軸方向他方側(+Z方向)から軸方向一方側(-Z方向)に向かって、ステータコア210を貫通して第1ハウジング310に嵌められてもよい。
【0037】
固定部材330は、固定部材330aと、固定部材330bと、固定部材330cとを含む。固定部材330a、固定部材330bおよび固定部材330cは、軸方向一方側(-Z方向)から軸方向他方側(+Z方向)に向かって、第1ハウジング310、ステータコア210を貫通して第2ハウジング320に嵌められる。
【0038】
また、固定部材330は、固定部材330sと、固定部材330tと、固定部材330uとを含む。固定部材330sと、固定部材330tと、固定部材330uは、軸方向他方側(+Z方向)から軸方向一方側(-Z方向)に向かって、ステータコア210を貫通して第1ハウジング310に嵌められる。
【0039】
次に、図1図3Bを参照して本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210を説明する。図3Aは、本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210の斜視図であり、図3Bは、本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210を示す平面図である。
【0040】
図3Aおび図3Bに示すように、ステータコア210は、複数の単位コア210uから構成される。単位コア210uは、環状に配列される。単位コア210uは、薄板の電磁鋼板が軸方向ADに積層した積層鋼板(ラミネーションの一例)によって構成される。ここでは、1つの単位コア210uを構成する鋼板には、形状の異なる鋼板が含まれる。
【0041】
例えば、複数の単位コア210uは、12個の単位コア(単位コア210a~210l)を含む。本明細書において、単位コア210a~210lを総称して単位コア210uと記載することがある。
【0042】
単位コア210uは、ティース211と、コアバック212とを有する。ティース211は、コアバック212に対して径方向RDに延びる。コアバック212は、ティース211の径方向外側から周方向CDに延びる。
【0043】
単位コア210uは、第1突起部213をさらに有する。第1突起部213は、コアバック212の径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起する。第1突起部213は、コアバック212の外周面から周方向一方側の端部から周方向他方側の端部まで延びる。ここでは、複数の単位コア210uのそれぞれが、第1突起部213を有する。
【0044】
また、単位コア210uは、第2突起部214をさらに有する。第2突起部214は、コアバック212の径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起する。第2突起部214は、コアバック212の外周面から軸方向一方側の端部から軸向他方側の端部まで延びる。ここでは、複数の単位コア210uのそれぞれが、第2突起部214を有する。
【0045】
さらに、単位コア210uは、軸方向に貫通する貫通孔215をさらに有する。貫通孔215は、ティース211よりも径方向外側に位置する。
【0046】
複数の単位コア210uのコアバック212は、周方向CDに沿って配置される。具体的には、コアバック212は、回転軸AXを中心に略環状に配置される。「略環状」は、例えば「略角環状」または「略円環状」である。「略角環状」は、少なくとも外縁が多角形状であることを示す。「略円環状」は、少なくとも外縁が円形状であることを示す。複数の単位コア210uのコアバック212は、単一の部材によって構成されていてもよいし、複数個の別部材によって構成されていてもよい。
【0047】
このように、複数の単位コア210uのうちの隣接する2つの単位コア210uの一方の単位コアの第1突起部213は、他方の単位コアの第1突起部213と接触する。例えば、単位コア210gにおける第1突起部213の周方向一方側の端部は、単位コア210hにおける第1突起部213の周方向他方側の端部と接触する。
【0048】
図2図3Bに示すように、ここでは、ステータコア210は、12個の単位コア210uを有する。このため、ステータコア210は、12個のティース211と、12個のコアバック212とを有する。12個のティース211は、周方向CDに沿って等間隔で配置される。12個のコアバック212は、それぞれ、12個のティース211に対応して設けられる。なお、単位コア210uの数、ティース211の数、及び、コアバック212の数は、「12個」に限られない。
【0049】
このように、ステータコア210において、12個のコアバック212は、周方向CDに沿って配置される。12個のコアバック212は、単一の部材として連結して構成されてもよいし、別部材として構成されてもよい。
【0050】
ステータコア210を構成する単位コア210uは、互いに単独に分割された単位コア210uが接触する分割コアであってもよい。ステータコア210を構成する単位コア210uは、連結部を介して互いに連結されてもよい。
【0051】
次に、図1図4Bを参照して本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210を説明する。図4Aは、本発明の一実施形態に係るモータ10における単位コア210uの斜視図であり、図4Bは、本発明の一実施形態に係るモータ10における単位コア210uを示す平面図である。
【0052】
図4Aに示すように、単位コア210uは、ティース211と、コアバック212とを有する。ティース211は、コアバック212に対して径方向RDに延びる。コアバック212は、ティース211の径方向外側の端部から周方向CDに延びる。コアバック212は、円弧形状である。ティース211は、コアバック212の内周面の中央から径方向内側に延びる。
【0053】
単位コア210uは、第1突起部213をさらに有する。第1突起部213は、コアバック212の径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に延びる。第1突起部213は、コアバック212の周方向一方側端部から周方向他方側端部まで延びる。
【0054】
また、単位コア210uは、第2突起部214をさらに有する。第2突起部214は、コアバック212の径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に延びる。第2突起部214は、コアバック212の軸方向一方側端部から軸方向他方側端部まで延びる。
【0055】
ここでは、単位コア210uにおいて、第1突起部213および第2突起部214は、コアバック212の外周面において交差する。典型的には、第1突起部213および第2突起部214は、コアバック212の外周面において直交する。
【0056】
なお、第1突起部213がコアバック212の外周面から径方向外側に突起する長さは、第2突起部214がコアバック212の外周面から径方向外側に突起する長さとほぼ等しい。このため、第1突起部213の外周面および第2突起部214の外周面は滑らかな曲面を形成する。つまり、第1突起部213の外周面および第2突起部214の外周面において、径方向外側に突出する部分がないため、モータ10のサイズが大きくなることを抑制できる。
【0057】
単位コア210uにおいて、コアバック212の外周面の一部には、第1突起部213および第2突起部214が設けられず、コアバック212の外周面が露出する。本明細書において、コアバック212の外周面のうち、第1突起部213および第2突起部214が設けられない表面を基準面212sと記載することがある。
【0058】
ここでは、基準面212sは、第1突起部213および第2突起部214により、4つの基準面(基準面212s1、212s2、212s3、212s4)に分けられる。基準面212s1は、コアバック212の外周面のうち、軸方向他方側(+Z方向)および周方向一方側(-X方向)の領域に位置する。基準面212s2は、コアバック212の外周面のうち、軸方向一方側(-Z方向)および周方向一方側(-X方向)の領域に位置する。基準面212s3は、コアバック212の外周面のうち、軸方向他方側(+Z方向)および周方向他方側(+X方向)の領域に位置する。基準面212s4は、コアバック212の外周面のうち、軸方向一方側(-Z方向)および周方向他方側(+X方向)の領域に位置する。
【0059】
この場合、第1突起部213により、基準面212s1、第2突起部214の軸方向他方側(+Z方向)の部分および基準面212s3と、基準面212s2、第2突起部214の軸方向一方側(-Z方向)の部分および基準面212s4とが分離される。また、第2突起部214により、基準面212s1、第1突起部213の周方向一方側(-X方向)の部分および基準面212s2と、基準面212s3、第1突起部213の周方向他方側(+X方向)の部分および基準面212s4とが分離される。このように、第1突起部213および第2突起部214を交差させ、かつコアバック212の外周面に第1突起部213および第2突起部214のみを部分的に突出させることにより、剛性が向上したステータコア210を軽量にできる。
【0060】
単位コア210uには、貫通孔215が設けられる。典型的には、貫通孔215は、固定部材330による固定に利用される。貫通孔215は、軸方向ADに単位コア210uを貫通する。ここでは、貫通孔215および第2突起部214は、ティース211から径方向RDに延びる直線上に位置する。これにより、貫通孔215を設けた場合でも、磁束漏れによるモータ性能の低下を抑制できる。また、磁束線が通る部分が細くなり過ぎることを抑制できるため、モータ性能の低下を更に抑制できる。
【0061】
また、貫通孔215はコアバック212および第2突起部214にまたがって設けられる。これにより、貫通孔215を設けても単位コア210uが径方向RDに長くなることを抑制できる。
【0062】
なお、図1図4Bを参照して上述した説明では、単位コア210uは、ティース211、コアバック212、第1突起部213および第2突起部214を有したが、本実施形態はこれに限定されない。単位コア210uは、ティース211、コアバック212および第1突起部213を有する一方で、第2突起部214を有さなくてもよい。この場合も、単位コア210uが、コアバック212の径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起し、コアバック212の周方向一方側端部から周方向他方側端部まで周方向に延びる第1突起部213を有することにより、ステータコア210の剛性を向上できる。ただし、単位コア210uは、ティース211、コアバック212および第1突起部213に加えて、第2突起部214を有することが好ましい。これにより、ステータコア210の剛性をさらに向上できる。
【0063】
また、図1図4Bを参照して上述した説明では、ステータコア210は、12個の同一形状の単位コア210uを有したが、本実施形態はこれに限定されない。ステータコア210の単位コア210uは同一形状でなくてもよい。例えば、ステータコア210の少なくとも1つの単位コア210uが、ティース211、コアバック212および第1突起部213を有してもよい。また、ステータコア210の少なくとも1つの単位コア210uが、ティース211、コアバック212および第1突起部213に加えて第2突起部214を有してもよい。
【0064】
このように、モータ10は、回転軸AXを中心に回転するロータ100と、ロータ100に対して径方向外側に位置するステータ200とを備える。ステータ200は、複数の単位コア210uが環状に配列されたステータコア210を有する。複数の単位コア210uのそれぞれは、ティース211と、ティース211に対して径方向外側において周方向に延びるコアバック212とを有する。複数の単位コア210uのいずれか1つの単位コア210uは、コアバック212の径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起し、コアバック212の周方向一方側端部から周方向他方側端部まで周方向に延びる第1突起部213をさらに有する。
【0065】
コアバック212の外周面から径方向外側に部分的に突起する第1突起部213がコアバック212の周方向一方側から周方向他方側まで周方向CDに延びることにより、単位コア210uを径方向RDに長くできるため、ステータコア210の剛性を向上でき、騒音を抑制できる。
【0066】
上述したように、複数の単位コア210uのそれぞれの単位コア210uは、第1突起部213を有してもよく、複数の単位コア210uのうちの隣接する2つの単位コア210uの一方の単位コアの第1突起部213は、他方の単位コアの第1突起部213と接触する。隣接する単位コア210uの第1突起部213が接触するため、ステータコア210の剛性を向上でき、騒音を抑制できる。
【0067】
複数の単位コア210uのいずれか1つの単位コアは、コアバック212の径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起し、コアバック212の軸方向一方側から軸方向他方側まで軸方向に延びる第2突起部214をさらに有する。これにより、コアバック212の外周面に、周方向に突起する第1突起部213だけでなく軸方向に延びる第2突起部214が設けられるため、単位コアの径方向の長い部分を広く確保できることから、ステータコア210の剛性を向上でき、騒音を抑制できる。
【0068】
いずれか1つの単位コア210uにおいて、第1突起部213は、コアバック212の外周面の軸方向一方側および軸方向他方側のそれぞれの基準面212sに対して突起している。いずれか1つの単位コア210uにおいて、第2突起部214は、コアバック212の外周面の周方向一方側および周方向他方側のそれぞれの基準面に対して突起している。第1突起部213と第2突起部214は交差する。これにより、剛性が向上したステータコア210を軽量にできる。
【0069】
いずれか1つの単位コア210uには、軸方向ADに延びる貫通孔215が設けられている。貫通孔215および第2突起部214は、ティース211から径方向RDに延びる直線上に位置する。このため、単位コア210uに貫通孔215を設ける場合でも、貫通孔215および第2突起部214がティース211から径方向RDに延びる直線上に位置することにより、磁束漏れによるモータ性能(効率・トルク)の低下を抑制できる。
【0070】
いずれか1つの単位コア210uには、軸方向ADに延びる貫通孔215が、コアバック212および第2突起部214にまたがって設けられている。単位コア210uに貫通孔215を設けた際の突出部分を小さくできる。
【0071】
モータ10は、ステータ200を軸方向一方側から覆う第1ハウジング310と、ステータ200を軸方向他方側から覆う第2ハウジング320と、貫通孔215を貫通して第1ハウジング310と第2ハウジング320とステータ200とを固定する固定部材330とをさらに備える。固定部材330が、ステータ200およびステータ200を軸方向両側から覆う第1ハウジング310および第2ハウジング320を固定することにより、モータ10を容易に組立できる。
【0072】
モータ10は、ステータ200を軸方向一方側から覆う第1ハウジング310と、ステータ200を軸方向他方側から覆う第2ハウジング320とをさらに備える。第1ハウジング310および第2ハウジング320の径方向外側の外周面は、ステータコア210の径方向外側の外周面に対して同一の平面または径方向外側に位置する。これにより、径方向RDに沿ったモータ10のサイズを小さくできる。
【0073】
本実施形態のモータ10は、小型モータに好適に用いられる。例えば、第1ハウジング310および第2ハウジング320のいずれか一方は、歯車を装着してキャリアとして用いられてよい。このようなモータは、電動機付き自転車用のモータとして好適に用いられる。
【0074】
次に、図1図5Aを参照して本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210を説明する。図5Aは、本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210の分解平面図である。
【0075】
図5Aに示すように、ステータコア210を構成する単位コア210uは、互いに分離された単独の分割コアである。単位コア210uは、それぞれ単一の部材である。
【0076】
このような単位コア210uからステータコア210を作製する場合、隣接する2つの単位コア210uのうちの一方の単位コア210uにおいてコアバック212の周方向一方側の側面が他方の単位コア210uにおいてコアバック212の周方向他方側の側面と溶接させる。これにより、隣接する2つの単位コア210uが接触したステータコア210を作製できる。
【0077】
このように、ステータコア210は、複数の単位コア210uのそれぞれが分割されて接触する分割コアである。複数の単位コア210uのそれぞれは、複数のラミネーションが軸方向ADに積層された積層構造を有する。ラミネーションは、例えば、電磁鋼板である。つまり、各単位コア210uは、複数のラミネーションを積層することで成形され、隣接する単位コア210u同士を接触させて略円環状に構成することで、1つのステータコア210を容易に組立できる。例えば、複数のラミネーションをかしめて単位コア210uを成形する。この場合、略円環形状を形成することの可能な数の単位コア210uを作成することで、1つのステータコア210を容易に組立できる。
【0078】
例えば、単位コア210uは、複数の異なるラミネーションが軸方向ADに積層した積層構造を有していてもよい。この場合、例えば、単位コア210uは、複数の形状の異なるラミネーションが軸方向ADに積層した積層構造を有していてもよい。なお、例えば、単位コア210uは、複数の同じラミネーションが軸方向ADに積層した積層構造を有していてもよい。
【0079】
なお、図5Aに示したステータコア210は、分割コアである単位コア210uから構成されたが、本実施形態はこれに限定されない。ステータコア210は、複数の単位コア210u自体が連結部を介して連結されてもよい。
【0080】
次に、図1図5Bを参照して本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210を説明する。図5Bは、本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210の展開図である。
【0081】
図5Bに示すように、ステータコア210は、直線状に配列された複数の単位コア210uと、隣接する単位コア210uを連結する連結部216とを有する。この場合、複数の単位コア210u自体が連結部216を介して連結される。典型的には、連結部216は、単位コア210uを構成する積層鋼板によって構成される。
【0082】
詳細には、連結部216は、隣接する2つの単位コア210uにおいて、一方の単位コア210uにおけるコアバック212の周方向一方側の側面と他方の単位コア210uにおけるコアバック212の周方向他方側の側面とを連結する。
【0083】
ステータコア210は、このように連結部216を介して連結された単位コア210uから構成されてもよい。この場合も、隣接する2つの単位コア210uのうちの一方の単位コア210uにおいてコアバック212の周方向一方側の側面が他方の単位コア210uにおいてコアバック212の周方向他方側の側面と溶接させることにより、隣接する2つの単位コア210uが接触したステータコア210を作製できる。
【0084】
次に、図1A図6Aを参照して、本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210および第1ハウジング310を説明する。図6Aは、本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210と第1ハウジング310との位置関係を示す分解斜視図である。
【0085】
図6Aに示すように、第1ハウジング310は、ステータ200を軸方向一方側(-Z方向)から覆う。第1ハウジング310は、ステータ200に対して軸方向一方側(-Z方向)に位置する。
【0086】
第1ハウジング310は、第1基体部312と、第1環状壁314と、複数の第1ガイド316とを有する。第1基体部312は、略円板状である。第1基体部312には、必要に応じて孔および/または窪みが設けられる。第1環状壁314は、第1基体部312の外縁から軸方向他方側(+Z方向)に環状に延びる。第1環状壁314は、第1環状壁314の軸方向他方側(+Z方向)に端部314sを有する。
【0087】
複数の第1ガイド316は、第1環状壁314の端部314sから部分的に軸方向他方側(+Z方向)に突起する。複数の第1ガイド316は、周方向CDに並ぶ。第1ガイド316は、第1基体部312の外縁の表面において径方向外側に位置する。例えば、複数の第1ガイド316は、周方向CDに等間隔に並ぶ。ここでは、複数の第1ガイド316は、12個である。ただし、第1ガイド316の数は、これに限られず、単位コア210uの数に応じて変更され得る。
【0088】
第1基体部312および第1環状壁314には、固定部材330が挿入されるネジ穴318が設けられる。ネジ穴318は、軸方向ADに延びる。
【0089】
ステータコア210は、第1ハウジング310に収容される。この場合、ステータコア210における単位コア210uの単位コア210uの第1突起部213は、第1ガイド316と軸方向ADに対向する。また、第2突起部214は、隣接する2つの第1ガイド316の間に位置する。
【0090】
次に、図1A図6Bを参照して、本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210および第2ハウジング320を説明する。図6Bは、本発明の一実施形態に係るモータ10におけるステータコア210と第2ハウジング320との位置関係を示す分解斜視図である。
【0091】
図6Bに示すように、第2ハウジング320は、ステータ200を軸方向他方側(+Z方向)から覆う。第2ハウジング320は、ステータ200に対して軸方向他方側(+Z方向)に位置する。
【0092】
第2ハウジング320は、第2基体部322と、第2環状壁324と、複数の第2ガイド326とを有する。第2基体部322は、略円板状である。第2基体部322には、必要に応じて孔および/または窪みが設けられる。第2環状壁324は、第2基体部322の外縁から軸方向一方側に環状に延びる。第2環状壁324は、第2環状壁324の軸方向一方側(-Z方向)に端部324sを有する。
【0093】
複数の第2ガイド326は、第2環状壁324の端部324sから部分的に軸方向一方側(-Z方向)に突起する。複数の第2ガイド326は、周方向CDに並ぶ。第2ガイド326は、第2基体部322の外縁の表面において径方向外側に位置する。例えば、複数の第2ガイド326は、周方向CDに等間隔に並ぶ。ここでは、複数の第2ガイド326は、12個である。ただし、第2ガイド326の数は、これに限られず、単位コア210uの数に応じて変更され得る。
【0094】
第2基体部322および第2環状壁324には、固定部材330が挿入されるネジ穴328が設けられる。ネジ穴328は、軸方向ADに延びる。
【0095】
ステータコア210は、第2ハウジング320に収容される。この場合、ステータコア210における単位コア210uの単位コア210uの第1突起部213は、第2ガイド326と軸方向ADに対向する。また、第2突起部214は、隣接する2つの第2ガイド326の間に位置する。
【0096】
次に、図1A図7Cを参照して、本発明の一実施形態に係るモータ10を説明する。図7Aは、本発明の一実施形態に係るモータ10の側面図である。図7Bは、図7Aの第1ハウジング310および第2ハウジング320以外を省略した図である。図7Cは、図7AのVIIC-VIIC線に沿った断面図である。
【0097】
図7Aに示すように、モータ10の外周面には、ステータ200、第1ハウジング310および第2ハウジング320が位置する。ステータ200のステータコア210は、第1ハウジング310と第2ハウジング320との間に位置する。詳細には、ステータコア210における第1突起部213および第2突起部214は、第1ハウジング310および第2ハウジング320から露出される。その結果、ステータコア210の放熱性能を向上できる。
【0098】
第1ハウジング310において、第1環状壁314の軸方向他方側(+Z方向)の端部314sは、第2突起部214と隙間を介して軸方向ADに対向する。また、第1ガイド316の周方向両端は、第2突起部214と隙間を介して周方向CDに対向する。さらに、第1ガイド316の軸方向他方側(+Z方向)の端部は、第1突起部213と隙間を介して軸方向ADに対向する。
【0099】
同様に、第2ハウジング320において、第2環状壁324の軸方向一方側(-Z方向)の端部324sは、第2突起部214と隙間を介して軸方向ADに対向する。第2ガイド326の周方向両端は、第2突起部214と隙間を介して周方向CDに対向する。さらに、第2ガイド326の軸方向他方側(+Z方向)の端部は、第1突起部213と隙間を介して軸方向ADに対向する。
【0100】
図7Aにおいてモータ10の-X方向側の外周面から理解されるように、第1ハウジング310および第2ハウジング320の径方向外側の外周面は、ステータコア210の径方向外側の外周面に対して同一の平面にある。ただし、第1ハウジング310および第2ハウジング320の径方向外側の外周面は、ステータコア210の径方向外側の外周面に対して径方向外側に位置してもよい。
【0101】
図7Bに示すように、第1ハウジング310は、環状の第1環状壁314と、複数の第1ガイド316とを有する。第1環状壁314は、第1基体部312の外縁から軸方向他方側(+Z方向)に延びる。第1ガイド316は、第1環状壁314の軸方向他方側(+Z方向)の端部314sから軸方向他方側(+Z方向)に延びる。複数の第1ガイド316は、周方向CDに並ぶ。
【0102】
上述したように、第1環状壁314は、第1環状壁314の軸方向他方側(+Z方向)に端部314sを有する。端部314sは、第1ガイド316よりも径方向内側に位置する内径部314s1と、隣接する第1ガイド316の間に位置する外径部314s2とを有する。内径部314s1は、周方向CDに延びる。外径部314s2は、内径部314s1に対して窪む。このため、外径部314s2は、軸方向ADに沿って、内径部314s1に対して軸方向一方側(-Z方向)に位置する。
【0103】
同様に、第2ハウジング320は、環状の第2環状壁324と、複数の第2ガイド326とを有する。第2環状壁324は、第2基体部322の外縁から軸方向一方側(-Z方向)に延びる。第2ガイド326は、第2環状壁324の軸方向一方側(-Z方向)の端部から軸方向一方側(-Z方向)に延びる。複数の第2ガイド326は、周方向CDに並ぶ。
【0104】
詳細には、第2環状壁324は、第2環状壁324の軸方向一方側(-Z方向)に端部324sを有する。端部324sは、第2ガイド326よりも径方向内側に位置する内径部324s1と、隣接する第2ガイド326の間に位置する外径部324s2とを有する。内径部324s1は、周方向CDに延びる。外径部324s2は、内径部324s1に対して窪む。このため、外径部324s2は、軸方向ADに沿って、内径部324s1に対して軸方向他方側(+Z方向)に位置する。
【0105】
図7Cに示すように、ステータコア210において、第1突起部213および第2突起部214は、第1ハウジング310と接触しない一方で、コアバック212は、第1ハウジング310と接触する。詳細には、コアバック212の軸方向一方側(-Z方向)の表面は、第1ハウジング310の外径部314s2とは接触せずに、内径部314s1と接触する。
【0106】
同様に、ステータコア210において、第1突起部213および第2突起部214は、第2ハウジング320と接触しない一方で、コアバック212は、第2ハウジング320と接触する。詳細には、コアバック212の軸方向他方側(+Z方向)の表面は、第2ハウジング320の外径部324s2とは接触せずに、内径部324s1と接触する。
【0107】
このように、モータ10は、ステータ200を軸方向一方側から覆う第1ハウジング310と、ステータ200を軸方向他方側から覆う第2ハウジング320とをさらに備える。第1ハウジング310は、第1基体部312と、第1基体部312の外縁から軸方向他方側(+Z方向)に延びた環状の第1環状壁314と、第1環状壁314の軸方向他方側(+Z方向)の端部314sから軸方向他方側(+Z方向)に延び、周方向に並ぶ複数の第1ガイド316とを有する。第1ガイド316の周方向両端は、第2突起部214と隙間を介して周方向CDに対向する。ステータコア210の軸方向一方側(-Z方向)の表面は、第1環状壁314の軸方向他方側(+Z方向)の端部314sと接触する。これにより、第1ハウジング310に対してステータコア210を高精度に位置決めできる。
【0108】
また、モータ10は、ステータ200を軸方向一方側(-Z方向)から覆う第1ハウジング310と、ステータ200を軸方向他方側(+Z方向)から覆う第2ハウジング320とをさらに備える。第2ハウジング320は、第2基体部322と、第2基体部322の外縁から軸方向一方側(-Z方向)に延びた環状の第2環状壁324と、第2環状壁324の軸方向一方側(-Z方向)の端部324sから軸方向一方側(-Z方向)に延び、周方向CDに並ぶ複数の第2ガイド326とを有する。第2ガイド326の周方向両端は、第2突起部214と隙間を介して周方向CDに対向する。ステータコア210の軸方向他方側(+Z方向)の表面は、第2環状壁324の軸方向一方側(-Z方向)の端部324sと接触する。これにより、第2ハウジング320に対してステータコア210を高精度に位置決めできる。
【0109】
次に、図8を参照して、図1に示すロータコア110の凸部110bを説明する。図8は、本発明の一実施形態に係るモータ10におけるロータ100の一部を拡大して示す斜視図である。図8に示すように、凸部110bは、コア本体110aの径方向外側周面から径方向外側に突出している。複数の凸部110bは、周方向CDに間隔をあけて配置される。周方向CDに隣り合う凸部110bと凸部110bとの間にマグネット120が配置される。ロータコア110が凸部110bを有することで、マグネット120の位置決めが容易になるとともに、ロータコア110の表面への接着剤の塗布作業が容易になる。また、ロータコア110の周方向CDに沿った各位置Pには、2以上の凸部110bが軸方向ADに間隔をあけて配置される。図8の例では、各位置Pに、3個の凸部110bが軸方向ADに間隔をあけて配置される。ただし、各位置Pの凸部110bの数は、3個に限られない。
【0110】
より詳細には、複数の凸部110bのそれぞれは、1以上の凸片111を有する。凸片111は、ラミネーション1枚の一部である。本実施形態では、複数の凸部110bのそれぞれは、複数の凸片111を有する。図8の例では、凸部110bは、3個又は4個の凸片111を有する。ただし、各凸部110bにおける凸片111の数は、3個及び4個に限られない。複数の凸部110bのそれぞれにおいて、複数の凸片111は、軸方向ADに配置される。凸片111は、コア本体110aの径方向外側周面から径方向外側に突出している。
【0111】
なお、例えば、ロータコア110の周方向CDに沿った各位置Pに、1個の凸部110bが配置されていてもよい。この場合、例えば、凸部110bは、コア本体110aの軸方向一方側端部から軸方向他方側端部まで延びる。また、この例では、凸部110bにおいて、複数の凸片111が、コア本体110aの軸方向一方側端部から軸方向他方側端部まで軸方向ADに配置される。
【0112】
以上、図面(図1図8)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0113】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0114】
(1)回転軸を中心に回転するロータと、
前記ロータに対して径方向外側に位置するステータと
を備える、モータであって、
前記ステータは、複数の単位コアが環状に配列されたステータコアを有し、
前記複数の単位コアのそれぞれは、
ティースと、
前記ティースに対して径方向外側において周方向に延びるコアバックと
を有し、
前記複数の単位コアのいずれか1つの単位コアは、
前記コアバックの径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起し、前記コアバックの周方向一方側端部から周方向他方側端部まで周方向に延びる第1突起部をさらに有する、モータ。
【0115】
(2)前記複数の単位コアのそれぞれの単位コアは、前記第1突起部を有し、
前記複数の単位コアのうちの隣接する2つの単位コアの一方の単位コアの前記第1突起部は、他方の単位コアの前記第1突起部と接触する、(1)に記載のモータ。
【0116】
(3)前記ステータコアは、前記複数の単位コアのそれぞれが分割されて接触する分割コアであり、
前記複数の単位コアのそれぞれは、複数のラミネーションが軸方向に積層された積層構造を有する、(1)または(2)に記載のモータ。
【0117】
(4)前記複数の単位コアのいずれか1つの単位コアは、前記コアバックの径方向外側の外周面から径方向外側に部分的に突起し、前記コアバックの軸方向一方側から軸方向他方側まで軸方向に延びる第2突起部をさらに有する、(3)に記載のモータ。
【0118】
(5)前記いずれか1つの単位コアにおいて、前記第1突起部は、前記コアバックの前記外周面の軸方向一方側および軸方向他方側のそれぞれの基準面に対して突起しており、
前記いずれか1つの単位コアにおいて、前記第2突起部は、前記コアバックの前記外周面の周方向一方側および周方向他方側のそれぞれの基準面に対して突起しており、
前記第1突起部と前記第2突起部は交差する、(4)に記載のモータ。
【0119】
(6)前記いずれか1つの単位コアには、軸方向に延びる貫通孔が設けられており、前記貫通孔および前記第2突起部は、前記ティースから径方向に延びる直線上に位置する、(4)に記載のモータ。
【0120】
(7)前記いずれか1つの単位コアには、軸方向に延びる貫通孔が、前記コアバックおよび前記第2突起部にまたがって設けられている、(4)に記載のモータ。
【0121】
(8)前記ステータを軸方向一方側から覆う第1ハウジングと、
前記ステータを軸方向他方側から覆う第2ハウジングと、
前記貫通孔を貫通して前記第1ハウジングと前記第2ハウジングと前記ステータとを固定する固定部材と
をさらに備える、(6)または(7)に記載のモータ。
【0122】
(9)前記ステータを軸方向一方側から覆う第1ハウジングと、
前記ステータを軸方向他方側から覆う第2ハウジングと
をさらに備え、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの径方向外側の外周面は、前記ステータコアの径方向外側の外周面に対して同一の平面または径方向外側に位置する、(1)または(2)に記載のモータ。
【0123】
(10)前記ステータを軸方向一方側から覆う第1ハウジングと、
前記ステータを軸方向他方側から覆う第2ハウジングと
をさらに備え、
前記第1ハウジングは、
第1基体部と、
前記第1基体部の外縁から軸方向他方側に延びた環状の第1環状壁と、
前記第1環状壁の軸方向他方側の端部から軸方向他方側に延び、周方向に並ぶ複数の第1ガイドと
を有し、
前記第1ガイドの周方向両端は、前記第2突起部と隙間を介して周方向に対向し、
前記ステータコアの軸方向一方側の表面は、前記第1環状壁の軸方向他方側の端部と接触する、(4)に記載のモータ。
【0124】
(11)前記ステータを軸方向一方側から覆う第1ハウジングと、
前記ステータを軸方向他方側から覆う第2ハウジングと
をさらに備え、
前記第2ハウジングは、
第2基体部と、
前記第2基体部の外縁から軸方向一方側に延びた環状の第2環状壁と、
前記第2環状壁の軸方向一方側の端部から軸方向一方側に延び、周方向に並ぶ複数の第2ガイドと
を有し、
前記第2ガイドの周方向両端は、前記第2突起部と隙間を介して周方向に対向し、
前記ステータコアの軸方向他方側の表面は、前記第2環状壁の軸方向一方側の端部と接触する、(4)に記載のモータ。
【符号の説明】
【0125】
10 モータ
100 ロータ
200 ステータ
210 ステータコア
210u 単位コア
211 ティース
212 コアバック
213 第1突起部
214 第2突起部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8