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特開2024-122519電力制御システム、電力制御装置、および電力制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122519
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】電力制御システム、電力制御装置、および電力制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240902BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240902BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240902BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240902BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240902BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
H02J7/00 Z
H02J7/00 303C
H02J7/00 X
H02J13/00 311A
B60L50/60
B60L58/12
B60L53/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030096
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雨貝 太郎
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AC01
5G064AC05
5G064AC08
5G064BA02
5G064DA11
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA10
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125CA18
5H125CC03
5H125CC04
5H125CC07
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE41
(57)【要約】
【課題】複数の移動体間で電力を伝送する際の自由度を高めてユーザビリティを向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】電力制御システムは、充放電可能な第1バッテリを有する第1移動体と、充放電可能な第2バッテリを有する第2移動体と、ケーブルにより互いに電気的に接続された前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間での電力伝送を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電力伝送についてユーザが意図する伝送条件を設定し、前記伝送条件に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち一方を放電側バッテリとして、他方を充電側バッテリとして決定し、前記放電側バッテリから前記充電側バッテリに電力が伝送されるように前記電力伝送を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な第1バッテリを有する第1移動体と、
充放電可能な第2バッテリを有する第2移動体と、
ケーブルにより互いに電気的に接続された前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間での電力伝送を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記電力伝送についてユーザが意図する伝送条件を設定し、
前記伝送条件に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち一方を放電側バッテリとして、他方を充電側バッテリとして決定し、
前記放電側バッテリから前記充電側バッテリに電力が伝送されるように前記電力伝送を制御する、
ことを特徴とする電力制御システム。
【請求項2】
前記ケーブルは、前記ユーザによって前記第1バッテリおよび前記第2バッテリに接続され、
前記制御部は、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリにおける前記ケーブルの接続順序に応じて前記伝送条件を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち、前記ケーブルが先に接続された方を前記放電側バッテリとし、前記ケーブルが後に接続された方を前記充電側バッテリとするように、前記伝送条件を設定する、ことを特徴とする請求項2に記載の電力制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち、前記ケーブルが先に接続された方を前記充電側バッテリとし、前記ケーブルが後に接続された方を前記放電側バッテリとするように、前記伝送条件を設定する、ことを特徴とする請求項2に記載の電力制御システム。
【請求項5】
前記ユーザからの指示入力を受け付ける受付部を更に備え、
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて前記伝送条件を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうちバッテリ残量が多い方を前記放電側バッテリとし、バッテリ残量が少ない方を前記充電側バッテリとするように、前記伝送条件を設定する、ことを特徴とする請求項5に記載の電力制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうちバッテリ残量が少ない方を前記放電側バッテリとし、バッテリ残量が多い方を前記充電側バッテリとするように、前記伝送条件を設定する、ことを特徴とする請求項5に記載の電力制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記受付部で前記指示入力を受け付けた場合、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリにおける前記ケーブルの接続順序に関わらず、前記指示入力に基づいて前記伝送条件を設定する、ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の電力制御システム。
【請求項9】
前記ユーザからの指示入力を受け付ける受付部を更に備え、
前記制御部は、
前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記電力伝送を終了するための終了条件を設定し、
前記電力伝送の実行中に前記終了条件を満たした場合に前記電力伝送を終了する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリと前記第2バッテリとでバッテリ残量が等しくなった場合に前記電力伝送を終了するように、前記終了条件を設定する、ことを特徴とする請求項9に記載の電力制御システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち充電側バッテリのバッテリ残量が所定値に至った場合に前記電力伝送を終了するように、前記終了条件を設定する、ことを特徴とする請求項9に記載の電力制御システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち充電側バッテリにおいて現在位置から充電ステーションまで移動可能な電力が充電された場合に前記電力伝送を終了するように、前記終了条件を設定する、ことを特徴とする請求項9に記載の電力制御システム。
【請求項13】
前記制御部は、
前記充電ステーションの位置を示す地図情報を取得し、
前記地図情報に基づいて、現在位置から前記充電ステーションまで移動するために必要な目標電力量を算出し、
前記充電側バッテリの電力量が前記目標電力量に達した場合に前記電力伝送を終了するように、前記終了条件を設定する、ことを特徴とする請求項12に記載の電力制御システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記電力伝送の実行中において、前記終了条件を満たしていない状態であっても、前記受付部で前記ユーザから前記電力伝送の終了指示を受け付けた場合に前記電力伝送を終了する、ことを特徴とする請求項9に記載の電力制御システム。
【請求項15】
前記制御部は、前記第1移動体および前記第2移動体の少なくとも一方に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項16】
前記第1移動体および前記第2移動体の各々に通信可能に接続されたサーバ装置を更に備え、
前記制御部は、前記サーバ装置に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項17】
第1移動体に設けられた充放電可能な第1バッテリと、第2移動体に設けられた充放電可能な第2バッテリとの間での電力伝送を制御する電力制御装置であって、
前記第1バッテリと前記第2バッテリとは、ケーブルにより互いに電気的に接続され、
前記電力制御装置は、
前記電力伝送についてユーザが意図する伝送条件を設定し、
前記伝送条件に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち一方を放電側バッテリとして、他方を充電側バッテリとして決定し、
前記放電側バッテリから前記充電側バッテリに電力が伝送されるように前記電力伝送を制御する、
ことを特徴とする電力制御装置。
【請求項18】
電力制御装置により、第1移動体に設けられた充放電可能な第1バッテリと、第2移動体に設けられた充放電可能な第2バッテリとの間での電力伝送を制御する電力制御方法であって、
前記第1バッテリと前記第2バッテリとは、ケーブルにより互いに電気的に接続され、
前記電力制御方法は、
前記電力伝送についてユーザが意図する伝送条件を設定する設定工程と、
前記伝送条件に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち一方を放電側バッテリとして、他方を充電側バッテリとして決定する決定工程と、
前記放電側バッテリから前記充電側バッテリに電力が伝送されるように前記電力伝送を制御する制御工程と、
を含む、ことを特徴とする電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御システム、電力制御装置、および電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~2には、充放電可能なバッテリをそれぞれ有する複数の移動体(例えば電気車両)間で電力を伝送するシステムの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-88040号公報
【特許文献2】国際公開第2019/176369号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の移動体間で電力の伝送を行うシステムでは、バッテリ残量が多い方から少ない方へ電力の伝送を行うだけに限られず、バッテリ残量の少ない方から多い方へ電力の伝送を行いたいなど、様々なユーザの要求に応えるように構成されることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、複数の移動体間で電力を伝送する際の自由度を高めてユーザビリティを向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての電力制御システムは、充放電可能な第1バッテリを有する第1移動体と、充放電可能な第2バッテリを有する第2移動体と、ケーブルにより互いに電気的に接続された前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間での電力伝送を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電力伝送についてユーザが意図する伝送条件を設定し、前記伝送条件に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち一方を放電側バッテリとして、他方を充電側バッテリとして決定し、前記放電側バッテリから前記充電側バッテリに電力が伝送されるように前記電力伝送を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、複数の移動体間で電力を伝送する際の自由度を高めてユーザビリティを向上させることが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る一実施形態の電力制御システムの構成例を示す模式図
図2】電力制御システムの変形例を示す模式図
図3】電力伝送の制御の一例を示すフローチャート
図4】電力伝送の制御の一例を示すフローチャート
図5】伝送条件および終了条件を設定するための画面の一例を示す図
図6】実施例1の電力伝送の制御を示すシーケンス図
図7】実施例2の電力伝送の制御を示すシーケンス図
図8】電力制御システムの変形例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内での構成の変更や変形も含む。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、その説明を省略する。
【0010】
本発明に係る一実施形態の電力制御システム100について説明する。電力制御システム100は、充放電可能なバッテリをそれぞれ有する複数の移動体間で電力伝送を行うシステムである。各移動体は、それぞれに搭載されたバッテリの電力によって動作する。各移動体は、四輪車や鞍乗型車両(自動二輪車、三輪車)などの電動車両であってもよいし、建築現場や造園工事で使用される電動作業機であってもよい。以下では、移動体として車両(四輪車)を例示し、第1車両Va(第1移動体)と第2車両Vb(第2移動体)との間で電力伝送を行う例について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の電力制御システム100の構成例を示す模式図である。図1において、実線は、電力の伝送ライン(例えば高電圧ケーブル)を示しており、破線は、情報およびデータの伝送ライン(例えばCAN(Controller Area Network))を示している。本実施形態の電力制御システム100は、第1車両Vaと第2車両Vbとを含みうる。以下では、説明を容易にするために、第1車両Vaと第2車両Vbとが同様の構成を有する例を説明するが、それに限られず、第1車両Vaと第2車両Vbとが互いに異なる構成を有していてもよい。
【0012】
第1車両Vaには、バッテリ10a(第1バッテリ)と、DC/DCコンバータ11aと、インバータ12aと、負荷13aと、残量検知センサ14a(残量検知部)と、コネクタ15a(接続部)とが設けられている。バッテリ10aから出力された電力は、DC/DCコンバータ11aで電圧変換が行われた後、インバータ12aを介して負荷13aに供給される。本実施形態の場合、負荷13aとしてモータが用いられているが、それに限られるものではなく、負荷13aとしてモータ以外の機器が用いられてもよい。残量検知センサ14aは、第1車両Vaに搭載されたバッテリ10aの残量を検知する。本実施形態の場合、残量検知センサ14aは、バッテリ残量として、バッテリの充電率または充電状態を示す指標であるSOC(State Of Charge)を検出する。コネクタ15aは、車両間で電力伝送を行うためのケーブル30が接続される接続端子であり、DC/DCコンバータ11aとインバータ12aとの間の伝送ラインに電気的に接続されている。但し、この構成に限られるものではなく、コネクタ15aの接続箇所は任意でありうる。例えば、図2に示されるように、バッテリ10aとインバータ12aとを直接接続する伝送ラインにDC/DCコンバータ11aを介してコネクタ15aが電気的に接続される構成であってもよい。
【0013】
また、第1車両Vaには、電力制御部20aと、受付部21aと、入力部22aと、通信部23aとが設けられている。電力制御部20aは、例えばPCU(Power Control Unit)であり、バッテリ10aからの電力の出力を制御するとともに、バッテリ10aから出力された電力によって負荷13aの駆動を制御する。電力制御部20aは、CPU(Central Processing Unit)に代表される少なくとも1つのプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含むコンピュータによって構成されてもよい。この場合、記憶デバイスには、各種の制御(電力伝送の制御も含む)を実行するためのプログラムが記憶されており、電力制御部20a(プロセッサ)は、記憶デバイスに記憶されたプログラムを読み出して実行する。また、受付部21aは、入力部22aおよび/または通信部23bを介してユーザ(例えば第1車両Vaの乗員等)からの指示入力を受け付け、受け付けた指示入力の情報を電力制御部20aに供給する。入力部22aは、例えば、第1車両Vaに設けられたスイッチ群やタッチパネルディスプレイなど、ユーザが情報の入力を行うための装置である。通信部23aは、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの通信方式を用いて、或いは、インターネットを介して外部装置と通信し、当該外部装置から情報を取得する。図1では、外部装置として、スマートフォンなどの情報端末Saが例示されており、通信部23aは、情報端末Saと通信可能に構成される。
【0014】
第2車両Vbには、バッテリ10b(第2バッテリ)と、DC/DCコンバータ11bと、インバータ12bと、負荷13bと、残量検知センサ14b(残量検知部)と、コネクタ15b(接続部)とが設けられている。また、第2車両Vbには、電力制御部20bと、受付部21bと、入力部22bと、通信部23bとが設けられている。通信部23bは、スマートフォンなどの情報端末Sb(外部装置)と通信可能に構成される。第2車両Vbの各ユニットは、第1車両Vaの各ユニットに付されている「a」が「b」に置き換えられているだけであり、第1車両Vaの各ユニットと同様の構成および機能を有する。そのため、ここでは、第2車両Vbの各ユニットの詳細な構成および機能の説明を省略する。なお、以下では、第1車両Vaおよび/または第2車両Vbの各ユニットの総称を、「a」および「b」が付されていない符号によって表すことがある。なお、第2車両Vbにおいても、図2に示されるように、バッテリ10bとインバータ12bとを直接接続する伝送ラインにDC/DCコンバータ11bを介してコネクタ15bが電気的に接続される構成であってもよい。
【0015】
第1車両Vaのバッテリ10aと第2車両Vbのバッテリ10bとの間で電力伝送を行う場合、第1車両Vaのコネクタ15aと第2車両Vbのコネクタ15bとにケーブル30が接続される。これにより、第1車両Vaのバッテリ10aと第2車両Vbのバッテリ10bとが、ケーブル30によって互いに電気的に接続される。ケーブル30は、第1車両Vaと第2車両Vbとの間において、電力を伝送するだけでなく、データおよび情報も伝送可能に構成される。即ち、第1車両Vaの電力制御部20aと第2車両Vbの電力制御部20bとは、ケーブル30を介してデータおよび情報を送受信することが可能となる。なお、ケーブル30は、ハーネスと呼ばれることがある。
【0016】
ここで、電力制御システム100には、ケーブル30により互いに電気的に接続された第1車両Vaのバッテリ10aと第2車両Vbのバッテリ10bとの間での電力伝送を制御する制御部(以下では、伝送制御部と表記することがある)が設けられる。本実施形態の場合、第1車両Vaの電力制御部20aおよび第2車両Vbの電力制御部20bの少なくとも一方が、伝送制御部として動作する。即ち、第1車両Vaおよび第2車両Vbの少なくとも一方に伝送制御部が設けられているものとして理解されてもよい。
【0017】
次に、ケーブル30により互いに電気的に接続された第1車両Vaのバッテリ10aと第2車両Vbのバッテリ10bとの間での電力伝送(以下では、単に電力伝送と表記することがある)の制御について説明する。図3図4は、本実施形態における電力伝送の制御の一例を示すフローチャートである。図3図4に示されるフローチャートは、伝送制御部(第1車両Vaの電力制御部20aおよび/または第2車両Vbの電力制御部20b)によって実行されうる。
【0018】
ステップS101で、伝送制御部は、第1車両Vaのコネクタ15aおよび第2車両のコネクタ15bにケーブル30が接続されたか否かを判定する。コネクタ15aおよびコネクタ15bへのケーブル30の接続はユーザによって行われ、伝送制御部は、コネクタ15a,15bとケーブル30との電気的な導通を検知することによって、コネクタ15a,15bにケーブル30が接続された否かを判定することができる。コネクタ15a,15bにケーブル30が接続された場合にステップS102に進む。
【0019】
ステップS102~S104は、電力伝送についてユーザが意図する伝送条件を設定する工程である。伝送条件とは、第1車両Vaのバッテリ10aと第2車両Vbのバッテリ10bとの間における電力伝送の条件のことであり、バッテリ10aおよびバッテリ10bの一方を放電側バッテリとして設定し、他方を充電側バッテリとして設定するための条件として理解されてもよい。
【0020】
ステップS102で、伝送制御部は、伝送条件に関するユーザの指示入力を受付部21で受け付けたか否かを判定する。本実施形態の場合、ユーザは、伝送条件の指示入力を、入力部22および/または情報端末S(Sa,Sb)によって行う。受付部21は、ユーザが入力部22に行った伝送条件の指示入力の情報、および/または、ユーザが情報端末Sに行って通信部23により受信した伝送条件の指示入力の情報を受け付ける。ユーザから伝送条件の指示入力を受け付けたと判定された場合にはステップS103に進む。
【0021】
ステップS103で、伝送制御部は、受付部21によりユーザから受け付けた伝送条件の指示入力に基づいて、電力伝送における伝送条件を設定する。伝送制御部は、受付部21によりユーザから伝送条件の指示入力を受け付けた場合には、第1車両Vaおよび第2車両Vbへのケーブル30の接続順序に関わらず、当該指示入力に基づいて伝送条件を設定する。本実施形態では、伝送条件の指示入力として、以下の例が挙げられる。なお、以下の例において、自車両とは、第1車両Vaおよび第2車両Vbのうち、電力制御部20が伝送制御部として機能している車両として規定されうる。また、相手車両とは、第1車両Vaおよび第2車両Vbのうち、ケーブル30によって当該自車両と電気的に接続されている車両として規定されうる。
(A1)残量が多いバッテリから残量が少ないバッテリに電力を伝送する(即ち、バッテリ残量が多い方のバッテリを放電側バッテリとし、バッテリ残量が少ない方のバッテリを充電側バッテリとする)
(A2)残量が少ないバッテリから残量が多いバッテリに電力を伝送する(即ち、バッテリ残量が少ない方のバッテリを放電側バッテリとし、バッテリ残量が多い方のバッテリを充電側バッテリとする)
(A3)自車両から相手車両に電力を伝送する(即ち、自車両を放電側バッテリとし、相手車両を充電側バッテリとする)
(A4)相手車両から自車両に電力を伝送する(即ち、相手車両を放電側バッテリとし、自車両を充電側バッテリとする)
【0022】
一方、ステップS102で、ケーブル30が接続されてから所定時間経過してもユーザから伝送条件の指示入力を受け付けなかったと判定された場合にはステップS104に進む。ステップS104で、伝送制御部は、第1車両Va(バッテリ10a)および第2車両Vb(バッテリ10b)へのケーブル30の接続順序に基づいて伝送条件を設定する。ケーブル30の接続順序は、電力伝送についてのユーザの意図として理解することができる。例えば、ユーザは、第1車両Vaおよび第2車両Vbのうち、放電側に設定する車両に対してケーブル30を先に接続し、充電側に設定する車両に対してケーブル30を後に接続する。この場合、伝送制御部は、第1車両Vaおよび第2車両Vbのうち、ケーブル30が先に接続された車両のバッテリを放電側バッテリとし、ケーブル30が後に接続された車両のバッテリを充電側バッテリとする。但し、ケーブル30の接続順序に基づく伝送条件(充電側バッテリ、放電側バッテリ)の設定方式は、これに限られるものではなく、逆であってもよい。即ち、伝送制御部は、第1車両Vaおよび第2車両Vbのうち、ケーブル30が先に接続された車両のバッテリを充電側バッテリとし、ケーブル30が後に接続された車両のバッテリを放電側バッテリとしてもよい。ケーブル30の接続順序に基づく伝送条件(充電側バッテリ、放電側バッテリ)の設定方式については、初期設定として事前に記憶されているとよい。
【0023】
ステップS105で、伝送制御部は、ステップS103またはS104で設定された伝送条件に基づいて、放電側バッテリおよび充電側バッテリを決定する。具体的には、ステップS103を経由した場合、伝送制御部は、ユーザから受け付けた指示入力によって設定された伝送条件に基づいて、第1車両Vaのバッテリ10aおよび第2車両Vbのバッテリ10bのうち一方を放電側バッテリとして、他方を充電側バッテリとして決定する。また、ステップS104を経由した場合、伝送制御部は、ケーブル30の接続順序によって設定された伝送条件に基づいて、第1車両Vaのバッテリ10aおよび第2車両Vbのバッテリ10bのうち一方を放電側バッテリとして、他方を充電側バッテリとして決定する。
【0024】
ステップS106~S108は、第1車両Vaのバッテリ10aと第2車両Vbのバッテリ10bとの間における電力伝送を終了するための終了条件を設定する工程である。ステップS106で、伝送制御部は、終了条件に関するユーザの指示入力を受付部21で受け付けたか否かを判定する。本実施形態の場合、ユーザは、終了条件の指示入力を、入力部22および/または情報端末S(Sa,Sb)によって行う。受付部21は、ユーザが入力部22に行った終了条件の指示入力の情報、および/または、ユーザが情報端末Sに行って通信部23により受信した終了条件の指示入力の情報を受け付ける。ユーザから終了条件の指示入力を受け付けたと判定された場合にはステップS107に進む。
【0025】
ステップS107で、伝送制御部は、受付部21によりユーザから受け付けた終了条件の指示入力に基づいて、電力伝送における終了条件を設定する。本実施形態では、終了条件の指示入力として、以下の例が挙げられる。
(B1)放電側バッテリと充電側バッテリとでバッテリ残量が等しく(同じに)なった場合に電力伝送を終了する
(B2)充電側バッテリのバッテリ残量が所定値に至った場合に電力伝送を終了する
(B3)充電側バッテリにおいて現在位置から充電ステーションまで移動可能な電力が充電された場合に電力伝送を終了する
(B4)ユーザから電力伝送の終了指示を受け付けた場合に終了する
【0026】
一方、ステップS106で、ケーブル30が接続されてから所定時間経過してもユーザから終了条件の指示入力を受け付けなかったと判定された場合にはステップS108に進む。ステップS108で、伝送制御部は、電力伝送における終了条件をデフォルト条件に設定する。デフォルト条件とは、初期設定の条件であり、上記の終了条件(B1)~(B4)の何れかでありうる。
【0027】
ここで、上記の終了条件(B3)について説明する。例えば、伝送制御部は、通信部23を介してサーバ装置(不図示)から、充電ステーションの位置を示す地図情報を取得する。そして、伝送制御部は、充電側バッテリを有する車両の現在位置を示す位置情報と当該地図情報と基づいて、当該車両が現在位置から充電ステーションまで移動するために必要な目標電力量(必要電力量)を算出する。これにより、伝送制御部は、充電側バッテリの電力量が目標電力量に達した場合に電力伝送を終了するように終了条件を設定することができる。なお、位置情報は、当該車両に搭載されたGNSS(Global Navigation Satellite System)センサに基づいて取得されうる。また、地図情報には、複数の充電ステーションの位置情報を含んでいてもよい。この場合、伝送制御部は、複数の充電ステーションのうち最も近い充電ステーションを特定し、当該車両が現在位置から特定の充電ステーションまで移動するために必要な目標電力量を算出する。
【0028】
図4に進み、ステップS109で、伝送制御部は、第1車両Vaのバッテリ10aと第2車両Vbのバッテリ10bとの間での電力伝送の開始指示を受付部21で受け付けたか否かを判定する。本実施形態の場合、ユーザは、電力伝送の開始指示を、入力部22および/または情報端末Sによって行う。受付部21は、ユーザが入力部22に行った開始指示の情報、および/または、ユーザが情報端末Sに行って通信部23により受信した開始指示の情報を受け付ける。ユーザから開始指示を受け付けたと判定された場合にはステップS110に進む。ステップS110で、伝送制御部は、ステップS105で決定された放電側バッテリおよび充電側バッテリに基づいて、放電側バッテリから充電側バッテリに電力が伝送されるように電力伝送を開始する。
【0029】
ステップS111で、伝送制御部は、電力伝送の終了指示を受付部21で受け付けたか否かを判定する。本実施形態の場合、ユーザは、電力伝送の終了指示を、入力部22および/または情報端末Sによって行う。受付部21は、ユーザが入力部22に行った終了指示の情報、および/または、ユーザが情報端末Sに行って通信部23により受信した終了指示の情報を受け付ける。ユーザから終了指示を受け付けたと判定された場合にはステップS113に進み、伝送制御部は、ステップS107またはS108終了条件を満たしていない状態であっても電力伝送を終了する。
【0030】
一方、ステップS111で、ユーザから終了指示を受け付けていないと判定された場合にはステップS112に進む。ステップS112で、伝送制御部は、ステップS107またはS108で設定された終了条件を満たすか否かを判定する。上記の終了条件(B1)~(B3)の場合、終了条件を満たすか否かの判断は、残量検知センサ14の検知結果に基づいて行われうる。終了条件と満たしていないと判定された場合にはステップS111に戻る。一方、終了条件と満たしたと判定された場合にはステップS113に進み、伝送制御部は、電力伝送を終了する。
【0031】
ステップS114で、伝送制御部は、電力伝送の終了を通知する。例えば、伝送制御部は、電力伝送の終了を示す情報を、車両に設けられた表示装置(例えばディスプレイ)に表示したり、通信部23によりユーザの情報端末Sに送信したりすることにより、電力伝送の終了をユーザに通知する。
【0032】
次に、電力伝送の伝送条件および終了条件を設定するための画面について説明する。図5は、伝送条件および終了条件を設定するための画面の一例(設定画面40)を示している。図5に示される設定画面40は、情報端末Sのディスレイに表示されるものであるが、入力部22として構成されたタッチパネルディスプレイにも同様の画面が表示されうる。
【0033】
設定画面40には、電力伝送の伝送条件の指示入力を行うための領域41と、電力伝送の終了条件の指示入力を行うための領域42と、送信ボタン43とが設けられる。領域41は、ラジオボタンによって上記の伝送条件(A1)~(A4)の何れかを選択可能に構成される。また、領域42は、ラジオボタンによって上記の終了条件(B1)~(B4)の何れかを選択可能に構成される。領域42において、バッテリ残量の所定値が任意に設定可能に構成される。ユーザは、領域41で何れかの伝送条件を選択し、領域42で何れかの終了条件を選択した後、送信ボタン43を押下する。これにより、伝送条件の指示および終了条件の指示を示す情報が情報端末Sから送信され、通信部23によって受信される。ここで、図5に示される設定画面40は、伝送条件および終了条件の両方が1つの画面で設定されるように構成されているが、伝送条件と終了条件とが別々の画面で設定されるように構成されてもよい。
【0034】
[実施例1]
次に、本実施形態における電力伝送の制御の実施例1について、図6を参照しながら説明する。図6は、実施例1の電力伝送の制御を示すシーケンス図である。実施例1では、ユーザから伝送条件および終了条件の指示入力を受け付けなかった例について説明する。
【0035】
ステップS201で、ケーブル30がユーザによって第1車両Vaのコネクタ15aに接続される。ステップS202で、ケーブル30が先に接続された第1車両Vaの電力制御部20aが、電力伝送を制御する伝送制御部として機能する。そして、ステップS203で、ケーブル30がユーザによって第2車両Vbのコネクタ15bに接続される。ここで、ステップS202における伝送制御部の設定は、暫定的な設定であってもよく、後の工程において伝送制御部の機能を第1車両Vaの電力制御部20aから第2車両Vbの電力制御部20bに移行させてもよい。また、本実施例1では、ケーブル30が先に接続された車両の電力制御部20を伝送制御部として機能させたが、それに限られず、ケーブル30が後に接続された車両の電力制御部20を伝送制御部として機能させてもよい。
【0036】
ステップS204で、伝送制御部として機能する第1車両Vaの電力制御部20aは、伝送条件および終了条件の指示入力を受け付けるために待機する。ケーブル30を接続してから所定時間経過しても伝送条件および終了条件の指示入力を受け付けなかった場合(ステップS205)、第1車両Vaの電力制御部20aは、ステップS206で、ケーブル30が先に接続された第1車両Vaのバッテリ10aを放電側バッテリに設定するとともに、ステップS207で、充電側バッテリを指定するための指定信号をケーブル30を介して第2車両Vbに送信する。
【0037】
充電側バッテリの指定信号を受信した第2車両Vbの電力制御部20bは、ステップS208で、ケーブル30が後に接続された第2車両Vbのバッテリ10bを充電側バッテリに設定するとともに、ステップS209で、充電準備が完了したことを示す信号を第1車両Vaに送信する。ここで、本実施例1では、ケーブル30が先に接続されたバッテリを放電側バッテリに設定し、ケーブル30が後に接続されたバッテリを充電側バッテリに設定したが、その逆であってもよい。即ち、ケーブル30が先に接続されたバッテリを充電側バッテリに設定し、ケーブル30が後に接続されたバッテリを放電側バッテリに設定してもよい。
【0038】
ステップS201で、第1車両Vaの電力制御部20aは、ユーザから開始指示があるまで待機する。そして、ユーザから開始指示を受け付けた場合(ステップS211)、第1車両Vaの電力制御部20aは、ステップS212で、バッテリ10aの放電を開始する。それに伴い、ステップS213で、第2車両Vbのバッテリ10bの充電が開始される。
【0039】
本実施例1では、ユーザによって終了条件の指示入力が行われなかったため、終了条件は、ユーザから電力伝送の終了指示を受け付けた場合に終了するとのデフォルト条件(上記の終了条件(B4))に設定される。したがって、第1車両Vaの電力制御部20aは、ユーザから終了指示を受け付けるまで待機する。そして、ユーザから終了指示を受け付けた場合(ステップS214)、第1車両Vaの電力制御部20aは、ステップS215で、バッテリ10aの放電を終了する。それに伴い、ステップS216で、第2車両Vbのバッテリ10bの充電が終了する。次いで、第1車両Vaの電力制御部20aは、ステップS217で、電力伝送の終了(即ち、充電終了)をユーザに通知する。
【0040】
[実施例2]
次に、本実施形態における電力伝送の制御の実施例2について、図7を参照しながら説明する。図7は、実施例2の電力伝送の制御を示すシーケンス図である。実施例2では、ユーザから伝送条件および終了条件の指示入力を受け付けた例について説明する。
【0041】
ステップS301で、ケーブル30がユーザによって第1車両Vaのコネクタ15aに接続される。ステップS302で、ケーブル30が先に接続された第1車両Vaの電力制御部20aが、電力伝送を制御する伝送制御部として機能する。そして、ステップS303で、ケーブル30がユーザによって第2車両Vbのコネクタ15bに接続される。ここで、ステップS302における伝送制御部の設定は、暫定的な設定であってもよく、後の工程において伝送制御部の機能を第1車両Vaの電力制御部20aから第2車両Vbの電力制御部20bに移行させてもよい。また、本実施例2では、ケーブル30が先に接続された車両の電力制御部20を伝送制御部として機能させたが、それに限られず、ケーブル30が後に接続された車両の電力制御部20を伝送制御部として機能させてもよい。
【0042】
ステップS304で、伝送制御部として機能する第1車両Vaの電力制御部20aは、伝送条件および終了条件の指示入力を受け付けるために待機する。そして、ユーザから伝送条件および終了条件の指示入力を受け付けた場合(ステップS305)、第1車両Vaの電力制御部20aは、ユーザから受け付けた指示入力に基づいて、ステップS306で、伝送条件および終了条件を設定する。そして、第1車両Vaの電力制御部20aは、伝送条件に基づいて、第1車両Vaのバッテリ10aおよび第2車両Vbのバッテリ10bのうち一方を放電側バッテリとして決定し、他方を充電側バッテリとして決定する。本実施例2では、伝送条件に基づいて、第1車両Vaのバッテリ10aが充電側バッテリとして決定され、第2車両Vbのバッテリ10bが放電側バッテリとして決定される。
【0043】
第1車両Vaの電力制御部20aは、ステップS307で、第1車両Vaのバッテリ10aを充電側バッテリに設定するとともに、ステップS308で、放電側バッテリを指定するための指定信号をケーブル30を介して第2車両Vbに送信する。当該指定信号を受信した第2車両Vbの電力制御部20bは、ステップS309で、第2車両Vbのバッテリ10bを放電側バッテリに設定する。
【0044】
ステップS310で、第1車両Vaの電力制御部20aは、ユーザから開始指示があるまで待機する。そして、ユーザから開始指示を受け付けた場合(ステップS311)、第1車両Vaの電力制御部20aは、ステップS312で、バッテリ10bの放電開始を指示するための指示信号をケーブル30を介して第2車両Vbに送信する。当該指示信号を受信した第2車両Vbの電力制御部20bは、ステップS313で、バッテリ10bの放電を開始する。それに伴い、ステップS214で、第1車両Vaのバッテリ10aの充電が開始される。
【0045】
電力伝送の実行中において終了条件に到達した場合(ステップS315)、第1車両Vaの電力制御部20aは、ステップS316で、バッテリ10bの放電終了を指示するための指示信号をケーブル30を介して第2車両Vbに送信する。当該指示信号を受信した第2車両Vbの電力制御部20bは、ステップS317で、バッテリ10bの放電を終了する。それに伴い、ステップS318で、第1車両Vaのバッテリ10aの充電が終了する。次いで、第1車両Vaの電力制御部20aは、ステップS319で、電力伝送の終了(即ち、充電終了)をユーザに通知する。
【0046】
上述したように、本実施形態の電力制御システム100は、電力伝送についてユーザが意図する伝送条件を設定し、当該伝送条件に基づいて、第1車両Vaのバッテリ10aおよび第2車両Vbのバッテリ10bのうち一方を放電側バッテリとして、他方を充電側バッテリとして決定する。これにより、電力伝送についての様々なユーザの要求に応えることができるとともに、複数の移動体間で電力を伝送する際の自由度を高めてユーザビリティを向上させることが可能となる。
【0047】
ここで、本実施形態では、本発明に係る電力制御システム100を、複数の電動車両(四輪車)間での電力伝送に適用する例を説明した。但し、本発明に係る電力制御システム100は、建築現場や造園工事で使用される複数の電動作業機間での電力伝送に適用する場合に特に優位である。
【0048】
例えば、複数の電動作業機では、それらのうち1つの電動作業機を他の電動作業機に比べて長時間使用したい場合がある。より具体的には、バッテリ残量(SOC)が少なく且つ作業が終了した電動作業機から、バッテリ残量(SOC)が多く且つ作業を引き続き行う電動作業機に電力を伝送したい場合がある。
【0049】
また、電動作業機を保管する際には、電動作業機のバッテリの残量を、当該バッテリの種類(素材)に適した所定範囲内にしておくことが望ましい。例えば、バッテリの一種類である鉛酸電池を長期保管する場合には、バッテリ残量(SOC)を100%に近い状態にしておくことが好ましい。バッテリの一種類であるリチウムイオン電池を長期保管する場合には、バッテリ残量(SOC)を30~50%程度の状態にしておくことが好ましい。さらに、電動作業機は、一般に、トラック等に載せられた状態で輸送されるため、電動作業機を一般道で走行させるための電力をバッテリに確保しておく必要性が小さい。そのため、保管する電動作業機から他の電動作業機に電力を伝送したい場合もある。
【0050】
これらの場合において、バッテリ残量が多い電動作業機からバッテリ残量が少ない電動作業機に電力伝送を行うことができるだけでなく、バッテリ残量が少ない電動作業機からバッテリ残量が多い電動作業機に電力伝送を行うことが要求される。即ち、本発明に係る電力制御システム100は、このような要求を満たすことができる。
【0051】
<他の実施形態>
上記実施形態では、第1車両Vaの電力制御部20aおよび/または第2車両Vbの電力制御部20bを、第1車両Vaのバッテリ10aと第2車両Vbのバッテリ10bとの間での電力伝送を制御する伝送制御部として動作させる例を説明した。しかしながら、それに限られず、第1車両Vaおよび第2車両Vbに通信可能に接続されたサーバ装置を伝送制御部として動作させてもよい。図8は、電力制御システム100の変形例を示す模式図である。図8の電力制御システム100には、第1車両Vaおよび第2車両Vbにネットワーク50(例えばインターネット)を介して通信可能に接続されたサーバ装置60が設けられている。サーバ装置60は、伝送制御部として機能しうる制御部61と、ネットワーク50を介して第1車両Vaおよび第2車両Vbと通信可能な通信部62とを含みうる。また、図8の電力制御システム100では、ユーザの情報端末Sが、ネットワーク50を介して第1車両Va、第2車両Vbおよびサーバ装置60と通信可能に構成されている。なお、第1車両Vaおよび第2車両Vbの構成は、前述したとおりであるため、ここでの説明を省略する。また、第1車両Vaおよび第2車両Vbは、図2に示されるような構成であってもよい。
【0052】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態の電力制御システムは、
充放電可能な第1バッテリ(例えば10a)を有する第1移動体(例えばVa)と、
充放電可能な第2バッテリ(例えば10b)を有する第2移動体(例えばVb)と、
ケーブル(例えば30)により互いに電気的に接続された前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間での電力伝送を制御する制御部(例えば20a、20b、61)と、
を備え、
前記制御部は、
前記電力伝送についてユーザが意図する伝送条件を設定し、
前記伝送条件に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち一方を放電側バッテリとして、他方を充電側バッテリとして決定し、
前記放電側バッテリから前記充電側バッテリに電力が伝送されるように前記電力伝送を制御する。
この構成によれば、電力伝送についてのユーザに意図に応じて、電力伝送の伝送条件を適切に設定することができる。つまり、電力伝送についての様々なユーザの要求に応えることができるとともに、複数の移動体間で電力を伝送する際の自由度を高めてユーザビリティを向上させることが可能となる。
【0053】
2.上記実施形態において、
前記ケーブルは、前記ユーザによって前記第1バッテリおよび前記第2バッテリに接続され、
前記制御部は、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリにおける前記ケーブルの接続順序に応じて前記伝送条件を設定する。
この構成によれば、伝送条件に関する指示入力をユーザから受け付けていない場合であっても、ユーザがケーブルを各バッテリに接続した順序が、放電側バッテリおよび充電側バッテリを設定するためのユーザの意図であるものとして、当該ユーザの意図に応じた伝送条件を適切に設定することが可能となる。
【0054】
3.上記実施形態において、
前記制御部は、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち、前記ケーブルが先に接続された方を前記放電側バッテリとし、前記ケーブルが後に接続された方を前記充電側バッテリとするように、前記伝送条件を設定する。
この実施形態によれば、ユーザがケーブルを各バッテリに接続した順序によって特定されるユーザの意図に応じて、伝送条件を適切に設定することが可能となる。
【0055】
4.上記実施形態において、
前記制御部は、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち、前記ケーブルが先に接続された方を前記充電側バッテリとし、前記ケーブルが後に接続された方を前記放電側バッテリとするように、前記伝送条件を設定する。
この実施形態によれば、ユーザがケーブルを各バッテリに接続した順序によって特定されるユーザの意図に応じて、伝送条件を適切に設定することが可能となる。
【0056】
5.上記実施形態において、
前記ユーザからの指示入力を受け付ける受付部(例えば21a、21b)を更に備え、
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて前記伝送条件を設定する。
この実施形態によれば、ユーザの意図に応じた伝送条件を適切に設定することができるとともに、複数の移動体間で電力を伝送する際の自由度を高めてユーザビリティを向上させることが可能となる。
【0057】
6.上記実施形態において、
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうちバッテリ残量が多い方を前記放電側バッテリとし、バッテリ残量が少ない方を前記充電側バッテリとするように、前記伝送条件を設定する。
この実施形態によれば、残量が多いバッテリから残量の少ないバッテリに電力を伝送したいというユーザの意図に応じて、伝送条件を適切に設定することができる。
【0058】
7.上記実施形態において、
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうちバッテリ残量が少ない方を前記放電側バッテリとし、バッテリ残量が多い方を前記充電側バッテリとするように、前記伝送条件を設定する。
この実施形態によれば、残量が少ないバッテリから残量の多いバッテリに電力を伝送したいというユーザの意図に応じて、伝送条件を適切に設定することができる。
【0059】
8.上記実施形態において、
前記制御部は、前記受付部で前記指示入力を受け付けた場合、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリにおける前記ケーブルの接続順序に関わらず、前記指示入力に基づいて前記伝送条件を設定する。
この実施形態によれば、各バッテリへのケーブルの接続順序によりユーザの意図が特定された場合であっても、ユーザが新たに指示入力を行った場合には、その指示入力により特定されるユーザの意図に応じた伝送条件を適切に設定することができる。
【0060】
9.上記実施形態において、
前記ユーザからの指示入力を受け付ける受付部(例えば21a、21b)を更に備え、
前記制御部は、
前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記電力伝送を終了するための終了条件を設定し、
前記電力伝送の実行中に前記終了条件を満たした場合に前記電力伝送を終了する。
この実施形態によれば、電力伝送の終了についてのユーザに意図に応じて、電力伝送の終了条件を適切に設定することができる。つまり、電力伝送についての様々なユーザの要求に応えることができるとともに、複数の移動体間で電力を伝送する際の自由度を高めてユーザビリティを向上させることが可能となる。また、各バッテリの過放電や過充電を防ぎつつ、その後の各バッテリの稼働に過不足ない状態に維持することができる。
【0061】
10.上記実施形態において、
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリと前記第2バッテリとでバッテリ残量が等しくなった場合に前記電力伝送を終了するように、前記終了条件を設定する。
この構成によれば、バッテリ残量がバッテリ同士で等しくなった場合に電力伝送を終了したいというユーザの意図に応じて、終了条件を適切に設定することができる。
【0062】
11.上記実施形態において、
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち充電側バッテリのバッテリ残量が所定値に至った場合に前記電力伝送を終了するように、前記終了条件を設定する。
この構成によれば、充電側バッテリの残量が所定値に至った場合に電力伝送を終了したいというユーザの意図に応じて、終了条件を適切に設定することができる。
【0063】
12.上記実施形態において、
前記制御部は、前記受付部で受け付けた前記指示入力に基づいて、前記第1バッテリおよび前記第2バッテリのうち充電側バッテリにおいて現在位置から充電ステーションまで移動可能な電力が充電された場合に前記電力伝送を終了するように、前記終了条件を設定する。
この構成によれば、現在位置から充電ステーションまで移動可能な電力が充電側バッテリに充電された場合に電力伝送を終了したいというユーザの意図に応じて、終了条件を適切に設定することができる。
【0064】
13.上記実施形態において、
前記制御部は、
前記充電ステーションの位置を示す地図情報を取得し、
前記地図情報に基づいて、現在位置から前記充電ステーションまで移動するために必要な目標電力量を算出し、
前記充電側バッテリの電力量が前記目標電力量に達した場合に前記電力伝送を終了するように、前記終了条件を設定する。
この構成によれば、現在位置から充電ステーションまで移動可能な電力が充電側バッテリに充電された場合に電力伝送を終了したいというユーザの意図に応じて、終了条件を適切に設定することができる。
【0065】
14.上記実施形態において、
前記制御部は、前記電力伝送の実行中において、前記終了条件を満たしていない状態であっても、前記受付部で前記ユーザから前記電力伝送の終了指示を受け付けた場合に前記電力伝送を終了する。
この構成によれば、ユーザの意図に応じた終了条件が設定されている場合であっても、ユーザが電力伝送の終了指示を行った場合には、当該終了指示が最新のユーザの意図であるとして、電力伝送を適切に終了させることができる。
【0066】
15.上記実施形態において、
前記制御部は、前記第1移動体および前記第2移動体の少なくとも一方に設けられている。
この構成によれば、第1移動体および/または第2移動体に設けられた制御部によって電力伝送を適切に制御することができる。
【0067】
16.上記実施形態において、
前記第1移動体および前記第2移動体の各々に通信可能に接続されたサーバ装置(例えば60)を更に備え、
前記制御部は、前記サーバ装置に設けられている。
この構成によれば、第1移動体および/または第2移動体が電力伝送を制御することができない構成であっても、外部のサーバ装置によって電力伝送を適切に制御することができる。
【0068】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0069】
10:バッテリ、11:DC/DCコンバータ、12:インバータ、20:電力制御部、21:受付部、22:入力部、23:通信部、30:ケーブル、50:ネットワーク、60:サーバ装置、100:電力制御システム、Va,Vb:電動車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8