(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122526
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】光受信機及び光送信機
(51)【国際特許分類】
H04B 10/66 20130101AFI20240902BHJP
H04B 10/50 20130101ALI20240902BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20240902BHJP
H04J 14/06 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H04B10/66
H04B10/50
H04J14/02
H04J14/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030105
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 穂高
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英憲
(72)【発明者】
【氏名】森田 逸郎
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA02
5K102AA52
5K102AB07
5K102AD01
5K102AD15
5K102AH02
5K102AH23
5K102AH27
5K102MA02
5K102MB08
5K102PB01
5K102PD14
5K102PH22
5K102PH33
5K102PH47
5K102PH48
5K102PH49
5K102PH50
(57)【要約】
【課題】PPMを使用する光通信システムにおける情報伝送量を増加させる。
【解決手段】パルス位置変調されたシンボルが繰り返される信号光を受信する光受信機は、第1受光手段から第M受光手段(Mは2以上の整数)を備え、第m受光手段(mは1からMまでの整数)は、M個のシンボル毎に1つのシンボルを検出し、かつ、他の(M-1)個の受光手段と同じシンボルを検出しない様に構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス位置変調されたシンボルが繰り返される信号光を受信する光受信機であって、
第1受光手段から第M受光手段(Mは2以上の整数)を備え、
第m受光手段(mは1からMまでの整数)は、M個のシンボル毎に1つのシンボルを検出し、かつ、他の(M-1)個の受光手段と同じシンボルを検出しない様に構成されている、光受信機。
【請求項2】
前記光受信機は、
前記シンボルを単位として前記信号光を分離することで第1信号光から第M信号光を出力する分離手段をさらに備え、
前記第m受光手段は、第m信号光を検出する、請求項1に記載の光受信機。
【請求項3】
前記繰り返されるシンボルそれぞれの波長又は偏波は、M個の異なる波長又は偏波の内の1つであり、
前記分離手段は、前記信号光を波長分離又は偏波分離することで、前記第1信号光から前記第M信号光を出力する、請求項2に記載の光受信機。
【請求項4】
前記繰り返されるシンボルそれぞれの波長及び偏波は、波長及び偏波のM個の異なる組み合わせの内の1つであり、
前記分離手段は、前記信号光を波長分離及び偏波分離することで、前記第1信号光から前記第M信号光を出力する、請求項2に記載の光受信機。
【請求項5】
前記分離手段は、光スイッチを含む、請求項2に記載の光受信機。
【請求項6】
前記光受信機は、
前記信号光を分岐することで第1信号光から第M信号光を出力する分岐手段と、
前記第1受光手段から前記第M受光手段の動作状態を、光を検出するアクティブ状態及び光を検出しない非アクティブ状態のいずれかに設定する状態設定手段と、
を備え、
前記第m受光手段には、第m信号光が入力され、
前記状態設定手段は、前記第m受光手段が、M個のシンボル毎に1つのシンボルを検出し、かつ、他の(M-1)個の受光手段と同じシンボルを検出しない様に前記第m受光手段の動作状態を設定する、請求項1に記載の光受信機。
【請求項7】
前記第m受光手段が検出する第1シンボルの終了タイミングから、前記第m受光手段が前記第1シンボルの次に検出する第2シンボルの開始タイミングまでの期間は、前記第m受光手段が連続して光を検出できる最小期間より大きい、請求項1から6のいずれか1項に記載の光受信機。
【請求項8】
前記第1受光手段から前記第M受光手段は、単一フォトン検出器を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の光受信機。
【請求項9】
前記単一フォトン検出器は、ガイガーモードで動作させたアバランシェフォトダイオードである、請求項8に記載の光受信機。
【請求項10】
パルス位置変調されたシンボルが繰り返される信号光を送信する光送信機であって、
送信するデータに基づきパルス位置変調されたシンボルを生成する複数の変調手段と、
前記複数の変調手段が生成した前記シンボルを多重する多重化手段と、
を備え、
前記多重は、波長多重と偏波多重の内の少なくとも1つであり、
前記複数の変調手段が前記シンボルを生成するタイミングはそれぞれ異なる、光送信機。
【請求項11】
前記複数の変調手段が前記シンボルを生成するために使用する光の波長はそれぞれ異なる、請求項10に記載の光送信機。
【請求項12】
前記複数の変調手段の内の第1変調手段が生成する第1シンボルの終了タイミングから、前記第1変調手段が前記第1シンボルの次に生成する第2シンボルの開始タイミングまでの期間は、前記第1変調手段が生成した前記シンボルを検出する受光手段が連続して光を検出できる最小期間より大きい、請求項10又は11に記載の光送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星と地上との間の通信や、月と地上との間の通信の様な深宇宙通信においては、人工衛星等の宇宙局における電力制限や、超長距離伝送による大きな損失を考慮し、エネルギー効率の高い変調方式と、感度の高い受信技術と、を利用することが必要になる。非特許文献1は、エネルギー効率の高いパルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation)を人工衛星と地上との間の通信に使用することを開示している。PPMとは、タイムスロットの位置(番号)とデータとを対応付ける方式である。例えば、1番目~4番目の4つのタイムスロットを使用する場合、1番目のタイムスロッをビット"00"に対応付け、2番目のタイムスロットをビット"10"に対応付け、3番目のタイムスロットをビット"01"に対応付け、4番目のタイムスロットをビット"11"に対応付ける。この様な対応付けにおいてビット"01"を送信する場合、光送信機は、3番目のタイムスロット内で光(パルス光)を送信し、その他のタイムスロットでは光の送信を停止する。PPMにおいて情報伝送量を増加させるには、各タイムスロットの期間を短くする必要がある。
【0003】
また、非特許文献1は、PPM信号を高感度に受信するために、単一フォトン検出器(SPD:Single Photon Detector)を使用することを開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】David J.Geisler,"Modem Module Development for NASA's Orion Spacecraft:Achieving FSO Communications Over Lunar Distances",Th3J.1.pdf,OFC 2020,OSA 2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SPDには超電導を用いるものがあるが、この場合、単一フォトン検出器を極低温に冷却する必要がある。極低温に冷却するには、大型の装置が必要となるため、超電導を用いる単一フォトン検出器は、宇宙局における使用には適さない。一方、アバランシェフォトダイオード(APD)をガイガーモードで動作させることでSPDを構成することができる。但し、APDを用いたSPDの場合、フォトンの検出間隔はガードタイムより大きくしなければならない。つまり、APDを用いたSPDは、あるフォトンを検出した後、ガードタイム以内に次のフォトンが到達しても、この次のフォトンを検出できない。したがって、情報伝送量は、SPDのガードタイムにより制限される。
【0006】
本開示は、PPMを使用する光通信システムにおける情報伝送量を増加させる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によると、パルス位置変調されたシンボルが繰り返される信号光を受信する光受信機は、第1受光手段から第M受光手段(Mは2以上の整数)を備え、第m受光手段(mは1からMまでの整数)は、M個のシンボル毎に1つのシンボルを検出し、かつ、他の(M-1)個の受光手段と同じシンボルを検出しない様に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、PPMを使用する光通信システムにおける情報伝送量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】幾つかの実施形態による、光送信機が送信する信号光の構成を示す図。
【
図2】幾つかの実施形態による、光送信機の構成図。
【
図3】幾つかの実施形態による、光受信機の構成図。
【
図4】幾つかの実施形態による、光送信機の構成図。
【
図5】幾つかの実施形態による、光受信機の構成図。
【
図6】幾つかの実施形態による、光受信機の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第一実施形態>
図1は、光送信機が送信する信号光の構成を示している。信号光は、複数のシンボルの繰り返しで構成される。
図1に示す様に、1つのシンボルの期間(シンボル期間)はTである。1つのシンボルは、N個(Nは2以上の整数)のタイムスロットを含む。N個のタイムスロットのそれぞれは、上述した様に、lоg
2Nビットのデータのいずれかに対応付けられる。例えば、N=4の場合、4つのタイムスロットは、4つの2ビットデータ"00"、"01"、"10"及び"11"と1対1に対応付けられる。したがって、光送信機は、1シンボルでlоg
2Nビットのデータを搬送することができる。
【0012】
図2は、本実施形態による光送信機の構成図である。光源10は、波長λ1の光を光変調器11に送信する。光源20は、波長λ1とは異なる波長λ2の光を光変調器21に送信する。光源30は、波長λ1及びλ2とは異なる波長λ3の光を光変調器31に送信する。分配部41は、入力されるデータをlоg
2Nビット毎に区切り、例えば、ラウンドロビン形式で光変調器11、光変調器21及び光変調器31に出力する。光変調器11、光変調器21及び光変調器31は、入力されたlоg
2Nビットのデータに対応するタイムスロットで、対応する光源から入力された波長の光(パルス光)を出力する。以下では、光変調器11、光変調器21及び光変調器31が出力するパルス位置変調(PPM)された光をPPM光とも表記する。
【0013】
3つの光変調器11、21及び31がPPM光を出力するタイミングは互いに異なる。本実施形態では、3つの変調器を使用しているため、光変調器11、21及び31がPPM光を出力するシンボルは、3シンボルに1回となる。一例として、光変調器11がPPM光を出力するシンボルは、第1シンボル、第4シンボル、第7シンボル、・・といった、光変調器の数3で割った余りが1になる番号のシンボルである。光変調器21がPPM光を出力するシンボルは、第2シンボル、第5シンボル、第8シンボル、・・といった、光変調器の数3で割った余りが2になる番号のシンボルである。光変調器31がPPM光を出力するシンボルは、第3シンボル、第6シンボル、第9シンボル、・・といった、光変調器の数3で割った余りが0になる番号のシンボルである。
【0014】
波長多重器40は、光変調器11からの波長λ1のPPM光と、光変調器21からの波長λ2のPPM光と、光変調器31からの波長λ3のPPM光と、を波長多重したPPM光(波長多重PPM光)を出力する。波長多重PPM光は、光受信機に送信される。
【0015】
なお、本実施形態では、使用する波長を3つとし、よって、光変調器の数を3としている。より一般的に、使用する波長の数をM(Mは2以上の整数)とすると、第1光変調器から第M光変調器のM個の光変調器を設ける。そして、第M光変調器は、Mで割った余りが0となるシンボルでPPM光を送信し、第m光変調器(mは1~M-1までの整数)は、Mで割った余りがmとなるシンボルでPPM光を送信する。
【0016】
図3は、本実施形態による光受信機の構成図である。波長分離器50は、受信する波長多重PPM光を、波長λ1のPPM光と、波長λ2のPPM光と、波長λ3のPPM光と、に波長分離する。SPD51は、波長λ1のPPM光を検出して検出タイミングを出力する。SPD52は、波長λ2のPPM光を検出して検出タイミングを出力する。SPD53は、波長λ3のPPM光を検出して検出タイミングを出力する。SPD51~SPD53が出力するPPM光の検出タイミングは、図示しない復調部に出力される。復調部は、SPD51~SPD53が出力するPPM光の検出タイミングに基づき光送信機が送信したデータを判定する。
【0017】
図3に示す様に、SPD51~53のそれぞれがパルス光を検出する最小間隔は、あるシンボルの終了タイミングから、当該あるシンボルより3つの後のシンボルの開始タイミングまでの期間、つまり、2シンボル期間に対応する2Tである。なお、使用する波長の数をMとすると、各SPDがフォトンを検出する最小間隔は(M-1)Tとなる。したがって、この最小間隔が各SPDのガードタイムより大きくなる様に、使用する波長数又はシンボル期間Tを設定することで、各SPDは、PPM光を検出することができる。
【0018】
以上の構成により、個々のSPDのガードタイムで決まる情報伝送量より多い量の情報を伝送することができる。
【0019】
なお、上記実施形態では、波長多重を使用したが、波長多重に代えて、或いは、加えて偏波多重を使用することができる。例えば、右旋回偏波と、右旋回偏波とは直交する左旋回偏波とを使用することで、各SPDがフォトンを検出する最小間隔をTとすることができる。なお、偏波多重は円偏波の多重に限定されず、直線偏波が使用できる場合には、2つの直交する直線偏波で偏波多重する構成であって良い。なお、波長多重と偏波多重の両方を使用する場合、使用する波長数と偏波数の組み合わせの数がMとなる。
【0020】
なお、
図2に示す様に、光源と光変調器はセットで使用される。このセットは、1つの光変調ユニットとも呼ばれ得る。
【0021】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について、第一実施形態との相違点を中心に説明する。
図4は、本実施形態による光送信機の構成図である。光源10は、波長λ1の光を光変調器11に送信する。光変調器11は、入力されるデータで波長λ1の光を変調してPPM光を出力する。具体的には、光変調器11は、入力されるデータをlоg
2Nビット毎に区切り、各シンボルについて、lоg
2Nビットのデータに対応するタイムスロットにおいて光を出力することでPPM光を出力する。
【0022】
図5は、本実施形態による光受信機の構成図である。光スイッチ60は、受信するPPM光を、光受信機に設けられたSPDの数と同じ3つにシンボル毎に分離する。したがって、
図5に示す様に、SPD51~SPD53には、3シンボル毎に1つのシンボルが入力される。したがって、第一実施形態と同様に、SPD51~53のそれぞれがパルス光を検出する最小間隔は、2シンボル期間に対応する2Tになる。なお、使用するSPDの数をMとすると、各SPDがパルス光を検出する最小間隔は(M-1)Tとなる。したがって、この最小間隔が各SPDのガードタイムより大きくなる様に、使用するSPDの数又はシンボル期間Tを設定することで、各SPDは、PPM光を検出することができる。
【0023】
<第三実施形態>
続いて、第三実施形態について、第二実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態の光送信機の構成は第二実施形態と同様である。
図6は、本実施形態による光受信機の構成図である。本実施形態では、第二実施形態の光スイッチ60に代えて、光カップラ70を使用する。したがって、SPD51~SPD53には総てのシンボルが入力される。
【0024】
但し、本実施形態では、SPD51~SPD53がアクティブになる期間をタイミング制御回路71で制御する。具体的には、タイミング制御回路71は、1シンボルの期間だけSPDをアクティブにすると、次の連続する2シンボルの期間は当該SPDが非アクティブとなる様に各SPDを制御する。なお、タイミング制御回路71は、SPD51~SPD53がアクティブになる期間を互いに異ならせる。
図6の網掛のシンボルは、対応するSPDがアクティブにされることにより、当該SPDで検出されるシンボルを示している。したがって、第二実施形態と同様に、SPD51~53のそれぞれがパルス光を検出する最小間隔は、2シンボル期間に対応する2Tになる。
【0025】
なお、使用するSPDの数をMとすると、タイミング制御回路71は、各SPDをMシンボルに1回だけ異なるタイミングでアクティブにする。これにより、各SPDがパルス光を検出する最小間隔は(M-1)Tとなる。したがって、この最小間隔が各SPDのガードタイムより大きくなる様に、使用するSPDの数又はシンボル期間Tを設定することで、各SPDは、PPM光を検出することができる。
【0026】
<まとめ>
以上、各実施形態で説明した様に、光受信機は、M個の受光部、例えば、SPDを有する。SPDは、例えば、ガイガーモードで動作させたアバランシェフォトダイオードである。光受信機は、光送信機から、パルス位置変調されたシンボルの繰り返しで構成される信号光を受信する。各SPDは、信号光のシンボルを、Mシンボル毎に1回だけ検出する様に構成される。なお、各SPDは、他の(M-1)個のSPDと同じシンボルを検出しない様に構成される。この構成により、各SPDが光を検出する最小間隔を調整できる。例えば、あるSPDが検出する第1シンボルの終了タイミングから、当該SPDが第1シンボルの次に検出する第2シンボルの開始タイミングまでの期間を、当該SPDが連続して光を検出できる最小期間より大きくする構成とし得る。よって、単一の受光部を使用する場合と比較して、光通信システムにおける情報伝送量をM倍に増加させることができる。
【0027】
なお、第一実施形態及び第二実施形態において、光受信機には、受信する信号光を分離して、第1信号光から第M信号光を出力する分離部を設ける。第1信号光から第M信号光は、それぞれ、M個のSPDの内の1つに出力される。第一実施形態において、分離部は、波長分離器50に対応する。なお、第一実施形態で述べたように、偏波多重を使用する場合、分離器は、偏波分離器となる。さらに、波長多重と偏波多重を併用する場合、分離部は、波長分離器50及び偏波分離器を含む。また、第二実施形態において、分離部は、光スイッチ60に対応する。
【0028】
一方、第三実施形態において、光受信機には、受信する信号光を第1信号光から第M信号光に分岐する分岐部を設ける。第1信号光から第M信号光は、それぞれ、M個のSPDの内の1つに出力される。分岐部は、例えば、光カップラ70である。さらに、第三実施形態において、光受信機には、M個のSPDの動作状態を、光を検出するアクティブ状態と、光を検出しない非アクティブ状態と、のいずれかに設定する状態設定部が設けられる。状態設定部は、第三実施形態におけるタイミング制御回路71に対応する。状態設定部は、各SPDがM個のシンボル毎に1つのシンボルを検出し、かつ、他の(M-1)個のSPDと同じシンボルを検出しない様に各SPDの動作状態を設定する。
【0029】
また、本実施形態によると、パルス位置変調されたシンボルが繰り返される信号光を送信する光送信機が提供される。光送信機には、送信するデータに基づきパルス位置変調されたPPM光のシンボルを生成する複数の変調部と、複数の変調部が生成したシンボルを多重する多重化部と、が設けられる。なお、多重化部は、波長多重及び偏波多重の内の少なくとも1つを実行する。各変調部がシンボルを生成するタイミングについては互いに異ならせる。
【0030】
上記構成により、PPMを使用する光通信システムにおける情報伝送量を増加させることができる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0031】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
51~53:SPD