(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122531
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】文書管理装置、文書管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/907 20190101AFI20240902BHJP
【FI】
G06F16/907
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030118
(22)【出願日】2023-02-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】504367553
【氏名又は名称】株式会社イマジオム
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】高木 太郎
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175FB02
5B175FB03
(57)【要約】
【課題】記録された多数の文書の中から所望のものを検索して利用する利用者に、効率的で容易な文書の検索を行わせる文書管理装置、文書管理方法、プログラムを提供する。
【解決手段】文書管理装置1は、文書ファイル10を管理する文書管理手段7と、文書ファイル10を検索するための情報としての見出しを有する見出しファイル11をそれぞれの文書ファイル10ごとに作成し、一対一対応の関係を設定して管理する見出し管理手段8とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段に視覚的に表示される情報としての文書を有する文書ファイルを管理する文書管理手段と、
前記文書ファイルを検索するための情報としての見出しを有する見出しファイルをそれぞれの前記文書ファイルごとに作成し、一対一対応の関係を設定して管理する見出し管理手段とを備えたことを特徴とする文書管理装置。
【請求項2】
前記一対一対応の関係が設定された前記文書ファイルと前記見出しファイルとが、前記一対一対応の関係を推測することができる程度に近似した属性を有することを特徴とする請求項1に記載の文書管理装置。
【請求項3】
前記一対一対応の関係が設定された前記文書ファイルと前記見出しファイルのうち、前記見出しファイルには、前記一対一対応の関係を推測することができる前記文書ファイルの特性値が記録されたことを特徴とする請求項1に記載の文書管理装置。
【請求項4】
前記一対一対応の関係が設定された前記文書ファイルと前記見出しファイルとが有する、前記一対一対応の関係を推測することができる程度に近似した属性の数と、前記見出しファイルに記録された、前記一対一対応の関係を推測することができる前記文書ファイルの特性値の数とが合わせて2以上であり、
いずれかの前記属性または前記特性値が変化または喪失した時に、他の一つ以上の前記属性または前記特性値を使って、前記文書ファイルと前記見出しファイルとの前記一対一対応の関係を復元させる一対一対応関係復元手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の文書管理装置。
【請求項5】
前記見出しファイルの内容が、個々の前記文書ファイルの評価観点を示すタグ名と、前記文書ファイルの評価結果を示すタグ値との対としてのタグを一つ以上含んで構成され、
前記見出し管理手段は、所定のタグ値カタログに記録された前記タグ名に対応する複数の前記タグ値の候補の中から選択された任意の前記タグ値を用いて前記見出しファイルを生成することを特徴とする請求項1に記載の文書管理装置。
【請求項6】
前記見出しファイルにおいて、前記タグが複数含まれて構成されたことを特徴とする請求項5に記載の文書管理装置。
【請求項7】
前記見出しファイルにおいて、一つの前記タグ値が一つ以上のタグ値要素によって階層的に構成され、前記タグ値カタログは、個々の前記タグ名に対応するタグ値を階層的に構成するタグ値要素の候補を一つ以上含んで構成され、前記見出し管理手段は、前記タグ値カタログに記録された前記タグ名に対応する複数の前記タグ値要素の候補の中から選択された任意の前記タグ値要素を階層的に組み合わせて前記タグ値を生成することを特徴とする請求項5に記載の文書管理装置。
【請求項8】
前記見出し管理手段は、使用者による前記タグ値カタログの選択を可能にする手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の文書管理装置。
【請求項9】
文書ファイルは画像ファイルであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の文書管理装置。
【請求項10】
請求項5に記載の文書管理装置に使用される見出しファイル作成・記録装置であって、
前記タグ値カタログから前記タグ名の候補と前記タグ値の候補とを読み出し、それらの中から選択した前記タグ名と前記タグ値とを前記文書ファイルごとに設定することで、前記文書ファイルに対するタグ付けを行うタグ付け手段と、
前記タグ付けによって形成される前記タグ名と前記タグ値との対としてのタグを前記見出しファイルに記録するタグ記録手段とを備えたことを特徴とする見出しファイル作成・記録装置。
【請求項11】
利用者に前記文書ファイルを一覧表示し、その一つを任意に選択させる文書ファイル選択画面と、選択された前記文書ファイルに対する前記タグ付け操作を前記利用者に行わせるタグ付け操作画面とを有し、前記文書ファイル選択画面で前記文書ファイルが一つ選択されると、前記タグ付け操作画面に、選択された前記文書ファイルに対応する前記タグを一つ以上表示させることを特徴とする請求項10に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項12】
前記タグ付け操作画面で前記タグが一つ選択されると、選択された前記タグ名に対応することのできる前記タグ値の候補を一覧表示し、その一つを前記利用者に任意に選択させるタグ値選択画面を表示させることを特徴とする請求項11に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項13】
前記タグ付け操作画面で前記タグが一つ選択されると、選択された前記タグ名に対応することのできる前記タグ値の候補を構成する最上位階層のタグ値要素の候補を一覧表示し、その一つを前記利用者に任意に選択させて、また上位階層の前記タグ値要素の一つが選択されると、その一つ下位の階層の前記タグ値要素の候補を一覧表示し、その一つを前記利用者に任意に選択させるタグ値要素選択画面を表示させることを特徴とする請求項11に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項14】
前記タグ値カタログは、個々の前記タグ値に対応するショートカットキーを記録し、前記タグ値選択画面は、前記ショートカットキーの押下を検出して、対応する前記タグ値を選択することを特徴とする、請求項12に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項15】
前記タグ値カタログは、個々の前記タグ値要素に対応するショートカットキーを記録し、前記タグ値要素選択画面は、前記ショートカットキーの押下を検出して、対応する前記タグ値要素を選択することを特徴とする、請求項13に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項16】
前記タグ値選択画面は、前記タグ名に対応する前記タグ値が確定されると、前記タグ付け操作画面に、前記タグ付け操作画面が表示している前記タグのうち、次の前記タグを選択させることを特徴とする請求項12に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項17】
前記タグ値要素選択画面は、前記タグ名に対応する前記タグ値が確定されると、前記タグ付け操作画面に、前記タグ付け操作画面が表示している前記タグのうち、次の前記タグを選択させることを特徴とする請求項13に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項18】
前記タグ付け操作画面は、すべての前記タグ名に対応する前記タグ値が確定されると、前記文書ファイル選択画面に、前記文書ファイル選択画面が表示している前記文書ファイルのうち、次の前記文書ファイルを選択させることを特徴とする請求項11に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項19】
前記タグ値選択画面が、前記利用者による新たな前記タグ値の入力を受け付け、入力された前記タグ値を選択するとともに、前記タグ値カタログに追加して記録することを特徴とする請求項12に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項20】
前記タグ値要素選択画面が、前記利用者による新たな前記タグ値要素の入力を受け付け、入力された前記タグ値要素を選択するとともに、前記タグ値カタログに追加して記録することを特徴とする請求項13に記載の見出しファイル作成・記録装置。
【請求項21】
請求項5に記載の文書管理装置に使用される文書ファイル検索・表示装置であって、
表示手段に文書ファイルの内容を表示させる文書内容表示画面と、前記文書内容表示画面に内容を表示させる前記文書ファイルの候補を一覧表示し、その一つを利用者に任意に選択させる文書選択画面とを備え、かつ前記文書選択画面が、前記文書ファイルにタグ付けを行うのに使用された前記タグ値カタログから前記タグ名の候補と前記タグ値の候補とを読み出し、前記文書ファイルの候補を表示する際、それぞれの前記文書ファイルに対応する前記タグのうち、前記タグ値カタログに記録されている前記タグの前記タグ値を、前記文書ファイルとの対応を明らかに表示することを特徴とする文書ファイル検索・表示装置。
【請求項22】
前記文書選択画面が、前記タグ値カタログに記録されている前記タグ値のうち、一つ以上をキーとして使い、前記文書ファイルの候補を並べ替える手段を備えることを特徴とする請求項21に記載の文書ファイル検索・表示装置。
【請求項23】
前記文書選択画面が、前記タグ値カタログに記録されている前記タグ値のうち、一つ以上をキーとして使い、前記文書ファイルの候補を絞り込む手段を備えることを特徴とする請求項21に記載の文書ファイル検索・表示装置。
【請求項24】
文書ファイルを管理する文書管理手順と、前記文書ファイルを検索するための情報としての見出しを有する見出しファイルをそれぞれの前記文書ファイルごとに作成して一対一対応の関係を設定し、管理する見出し管理手順とを備えたことを特徴とする文書管理方法。
【請求項25】
コンピュータを請求項1ないし9のいずれかに記載の文書管理装置、請求項10ないし20のいずれかに記載の見出しファイル作成・記録装置、または請求項21ないし23のいずれかに記載の文書ファイル検索・表示装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書を管理するための文書管理装置、文書管理方法、プログラムに関する。特に、画像などの文書が多数存在する場合に、文書の利用者が所望の文書を短時間で容易に検索可能な状態に記録して管理する文書管理装置、文書管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワードプロセッサやCADなどのデータ、ディジタル記録された写真や動画など、コンピュータ上で取り扱うことのできる各種のデータが、従来から多様な情報の記述や保存に広く用いられている。これらのデータはそれらの利用者にディジタル文書(以下「文書」と称する。)と見なされる一方、コンピュータには利用者が個別に取り扱うことのできる単位であるファイル(以下「文書ファイル」と称する。)として記録・管理される。コンピュータに記録された文書の数が増えていくと、多数の文書の中から所望の文書を効率よく検索することができるようにしなければならない。すなわち目的とする文書を記録している文書ファイルを検索するための記録や管理を行う仕組みが必要になる。そして重要なのが、利用者が文書を所望する基準はきわめて多様であるということである。
【0003】
同様の課題に対し、特許文献1に記載の文書ファイル管理装置が発明されている。この文書ファイル管理装置は、複数の文書ファイルであるコンテンツを、文書ファイルの特徴量が記録された状態でDB(データベース)に記録するものである。そして利用者が任意の文書を検索する際には、記録された文書ファイルに対応する特徴量の情報を使い、利用者が求めている可能性の高い文書ファイルを抽出して、それを検索結果として提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の発明において、文書ファイルの検索に用いられるのは、コンテンツである文書ファイルから算出される所定の特徴量、たとえばSIFT特徴量やSURF特徴量といったものである。上記特許文献1では、算出した特徴量を利用者のコンピュータから離れた場所にあるDBに記録しているが、このような方法では文書ファイルの可搬性が失われやすい。すなわちDBにアクセスすることができない環境では、文書ファイルの管理や検索ができなくなる。文書ファイルそのもの、たとえばファイルの先頭や末尾に特徴量を書き込んで記録する方法も考えられるが、正しいフォーマットと見なされずに開けなくなったり、セキュリティソフトウェアに改ざんと見なされたりする恐れが生じるという弊害もある。
【0006】
さらに上記特許文献1の方式では、あらかじめ文書ファイルごとに特徴量を算出しておく必要がある。使用する特徴量が文書ファイルの属性や内容から自動的に算出可能なものであれば問題ないが、そうでない場合には特徴量の算出と文書ファイルへの記録を人手によって行わざるを得ない。たとえばディジタル写真を例に挙げると、撮影日や解像度、あるいは全体的な色あいといった特徴量は、文書ファイルに付加されているタイムスタンプなどの属性を調べたり、文書ファイルの内容である画像を構成する多数のピクセルの色を統計的に処理したりすることで算出することができる。上記特許文献1に記載されているSIFT特徴量やSURF特徴量も、自動的に算出可能な特徴量である。しかしながら人間が潜在的に記憶しているが言語化されていない特徴や、人間の主観に依存していて数値化することが困難な特徴は、写真そのものから自動的に算出することができない。具体的には次のような特徴がある。
【0007】
写真の撮影者・撮影対象
写真を撮影した場所・日時・場面
写真の撮影理由、写真で注目するべき点
写真がもたらす感情・心情
写真のできばえや評価結果
多数の写真の中から、上記のような特徴を手がかりに所望のものを検索したくなる場面は少なくないが、上記特許文献1にはそのような場面に有効な具体的解決手段が示されていない。
【0008】
これまでは自動的な算出ができなかった特徴を、画像認識技術などを応用し、算出可能にしようとする取り組みが多くなされている。しかし研究が進んだ現在においても、それらの取り組みは多くのニーズに満足に応えることができるレベルに達していない。業務目的で撮影される写真は、対象物が何であるか、どこに注目すべきかを認識することすら困難なものも多く、そのような写真から自動的に特徴を取り出し、数値化することはほぼ不可能である。たとえば業務目的で撮影される次のような写真を考えると、そのことは明らかであろう。
【0009】
建設 ………… 道路工事の進捗状況を日々記録する写真
通信販売 …… 商品を出荷する際の荷姿を記録する写真
服飾 ………… オーダメードでデザインした洋服の写真
医療 ………… 皮膚疾患の治療経過を日々記録する写真
不動産 ……… 賃貸家屋のキズや汚れを記録する写真
試作研究 …… 条件を細かく変えて作った試験片の写真
写真館 ……… 衣装やポーズを変えながら撮った写真
美容室 ……… 創作・アレンジしたヘアスタイルの写真
酪農 ………… 家畜動物の健康状態を日々記録する写真
鉄道 ………… 車両や設備の経年劣化を日々記録する写真
また写真に限らず、文書からの特徴抽出や記録は、その文書の作成者自身が手作業で行うしかないのが実情である。似通った文書がたくさん蓄積されていくと、その管理のために作成者に課される作業も煩雑・膨大になっていく。そしてそれが追いつかなくなると、文書の利用者が所望の文書を検索するのに、より多くの労力と長い時間を費やさざるを得なくなる。
【0010】
なお写真について述べると、撮影者本人の記憶をもとに写真を整理すること自体は目新しいことではない。実際過去にも多くの撮影者は、記憶をもとに写真ファイルの名前を説明的な文字列に変えたり、フォルダ階層を作って写真ファイルを分類したりする整理を行ってきた。また個々の写真ファイルに任意の説明文を書き加えることのできる「電子アルバム」プログラムも存在した。しかしこれらの方法では、撮りためた多数の写真を存分に活用することが必ずしも容易ではなかった。これらの整理方法では、ファイル名・フォルダ階層・説明文といった「検索に使用可能な写真の特徴」が属人的・場当たり的に決められていたからである。そのため長期的には、あるいは組織全体では、整理体系の一貫性が失われて検索や抽出が思うようにできなくなることも多かった。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、記録された多数の文書の中から所望のものを検索して利用する利用者に、効率的で容易な文書の検索を行わせる文書管理装置、文書管理方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、文書管理装置であって、文書ファイルを管理する文書管理手段と、前記文書ファイルを検索するための情報としての見出しを有する見出しファイルをそれぞれの前記文書ファイルごとに作成し、一対一対応の関係を設定して管理する見出し管理手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記一対一対応の関係が設定された前記文書ファイルと前記見出しファイルとが、前記一対一対応の関係を推測することができる程度に近似した属性を有することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記一対一対応の関係が設定された前記文書ファイルと前記見出しファイルのうち、前記見出しファイルには、前記一対一対応の関係を推測することができる前記文書ファイルの特性値が記録されたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記一対一対応の関係が設定された前記文書ファイルと前記見出しファイルとが有する、前記一対一対応の関係を推測することができる程度に近似した属性の数と、前記見出しファイルに記録された、前記一対一対応の関係を推測することができる前記文書ファイルの特性値の数とが合わせて2以上であり、いずれかの前記属性または前記特性値が変化または喪失した時に、他の一つ以上の前記属性または前記特性値を使って、前記文書ファイルと前記見出しファイルとの前記一対一対応の関係を復元させる一対一対応関係復元手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記見出しファイルの内容が、個々の前記文書ファイルの評価観点を示すタグ名と、前記文書ファイルの評価結果を示すタグ値との対としてのタグを一つ以上含んで構成され、前記見出し管理手段は、所定のタグ値カタログに記録された前記タグ名に対応する複数の前記タグ値の候補の中から選択された任意の前記タグ値を用いて前記見出しファイルを生成することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加え、前記見出しファイルにおいて、前記タグが複数含まれて構成されたことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加え、前記見出しファイルにおいて、一つの前記タグ値が一つ以上のタグ値要素によって階層的に構成され、前記タグ値カタログは、個々の前記タグ名に対応するタグ値を階層的に構成するタグ値要素の候補を一つ以上含んで構成され、前記見出し管理手段は、前記タグ値カタログに記録された前記タグ名に対応する複数の前記タグ値要素の候補の中から選択された任意の前記タグ値要素を階層的に組み合わせて前記タグ値を生成することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加え、前記見出し管理手段は、使用者による前記タグ値カタログの選択を可能にする手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の構成に加え、文書ファイルは画像ファイルであることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項5に記載の文書管理装置に使用される見出しファイル作成・記録装置であって、前記タグ値カタログから前記タグ名の候補と前記タグ値の候補とを読み出し、それらの中から選択した前記タグ名と前記タグ値とを前記文書ファイルごとに設定することで、前記文書ファイルに対するタグ付けを行うタグ付け手段と、
前記タグ付けによって形成される前記タグ名と前記タグ値との対としてのタグを前記見出しファイルに記録するタグ記録手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の構成に加え、利用者に前記文書ファイルを一覧表示し、その一つを任意に選択させる文書ファイル選択画面と、選択された前記文書ファイルに対する前記タグ付け操作を前記利用者に行わせるタグ付け操作画面とを有し、前記文書ファイル選択画面で前記文書ファイルが一つ選択されると、前記タグ付け操作画面に、選択された前記文書ファイルに対応する前記タグを一つ以上表示させることを特徴とする。
【0023】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の構成に加え、前記タグ付け操作画面で前記タグが一つ選択されると、選択された前記タグ名に対応することのできる前記タグ値の候補を一覧表示し、その一つを前記利用者に任意に選択させるタグ値選択画面を表示させることを特徴とする。
【0024】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の構成に加え、前記タグ付け操作画面で前記タグが一つ選択されると、選択された前記タグ名に対応することのできる前記タグ値の候補を構成する最上位階層のタグ値要素の候補を一覧表示し、その一つを前記利用者に任意に選択させて、また上位階層の前記タグ値要素の一つが選択されると、その一つ下位の階層の前記タグ値要素の候補を一覧表示し、その一つを前記利用者に任意に選択させるタグ値要素選択画面を表示させることを特徴とする。
【0025】
請求項14ないし15に記載の発明は、請求項12ないし13に記載の構成に加え、前記タグ値カタログは、個々の前記タグ値もしくはタグ値要素に対応するショートカットキーを記録し、前記タグ値選択画面もしくは前記タグ値要素選択画面は、前記ショートカットキーの押下を検出して、対応する前記タグ値もしくはタグ値要素を選択することを特徴とする。
【0026】
請求項16ないし17に記載の発明は、請求項12ないし13に記載の構成に加え、前記タグ値選択画面もしくは前記タグ値要素選択画面は、前記タグ名に対応する前記タグ値が確定されると、前記タグ付け操作画面に、前記タグ付け操作画面が表示している前記タグのうち、次の前記タグを選択させることを特徴とする。
【0027】
請求項18に記載の発明は、請求項11に記載の構成に加え、前記タグ付け操作画面は、すべての前記タグ名に対応する前記タグ値が確定されると、前記文書ファイル選択画面に、前記文書ファイル選択画面が表示している前記文書ファイルのうち、次の前記文書ファイルを選択させることを特徴とする。
【0028】
請求項19ないし20に記載の発明は、請求項12ないし13に記載の構成に加え、前記タグ値選択画面もしくは前記タグ値要素選択画面が、前記利用者による新たな前記タグ値もしくは前記タグ値要素の入力を受け付け、入力された前記タグ値もしくはタグ値要素を選択するとともに、前記タグ値カタログに追加して記録することを特徴とする。
【0029】
請求項21に記載の発明は、請求項5に記載の文書管理装置に使用される文書ファイル検索・表示装置であって、表示手段に文書ファイルの内容を表示させる文書内容表示画面と、前記文書内容表示画面に内容を表示させる前記文書ファイルの候補を一覧表示し、その一つを利用者に任意に選択させる文書選択画面とを備え、かつ前記文書選択画面が、前記文書ファイルにタグ付けを行うのに使用された前記タグ値カタログから前記タグ名の候補と前記タグ値の候補とを読み出し、前記文書ファイルの候補を表示する際、それぞれの前記文書ファイルに対応する前記タグのうち、前記タグ値カタログに記録されている前記タグの前記タグ値を、前記文書ファイルとの対応を明らかに表示することを特徴とする。
【0030】
請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の構成に加え、前記文書選択画面が、前記タグ値カタログに記録されている前記タグ値のうち、一つ以上をキーとして使い、前記文書ファイルの候補を並べ替える手段を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項23に記載の発明は、請求項21に記載の構成に加え、前記文書選択画面が、前記タグ値カタログに記録されている前記タグ値のうち、一つ以上をキーとして使い、前記文書ファイルの候補を絞り込む手段を備えることを特徴とする。
【0032】
請求項24に記載の発明は、文書管理方法であって、文書ファイルを管理する文書管理手順と、前記文書ファイルを検索するための情報としての見出しを有する見出しファイルをそれぞれの前記文書ファイルごとに作成して一対一対応の関係を設定し、管理する見出し管理手順とを備えたことを特徴とする。
【0033】
請求項25に記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを請求項1ないし9のいずれかに記載の文書管理装置、請求項10ないし20のいずれかに記載の見出しファイル作成・記録装置、または請求項21ないし23のいずれかに記載の文書ファイル検索・表示装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
請求項1、請求項24に記載の発明によれば、文書ファイルを検索するための情報としての見出しを有する見出しファイルをそれぞれの文書ファイルごとに作成して一対一対応の関係を設定したことにより、見出しファイルの有する見出しの情報を文書の検索に活用できる。記録された文書を利用する利用者は、形式的な情報である見出しを活用して複数の文書中から所望の文書を含む文書を絞り込み、絞り込まれた文書から暗黙的な情報を併用して所望の文書を容易に特定することができる。すなわち利用者に対し、効率的で容易な文書の検索を行わせることができる。
【0035】
また文書ファイルと見出しファイルとを一対一対応させたことにより、見出しの情報を1ヶ所に設置されたデータベースに集中的に記録させる方法と比べ、データベースにアクセスすることができない環境でも文書ファイルの検索ができるという利便性が得られる。さらに見出しの情報を文書ファイルそのものに書き込む方法と比べ、文書ファイルが開けなくなったり、改ざんと見なされたりする恐れがないという利点もある。
【0036】
請求項2に記載の発明によれば、文書ファイルと見出しファイルとが、一対一対応の関係を推測することができる程度に近似した属性を有することにより、これらの属性が大きく変化するような操作が行われない前提のもとであれば、文書ファイルと見出しファイルの一対一対応の関係を保持することができる。上記の前提が破れて明示的な一対一対応の関係が失われ、見出しファイルに対応する文書ファイル、あるいは文書ファイルに対する見出しファイルを探索する必要が生じた場合でも、属性が大きく異なる相手ファイルを対象から除外することにより、探索範囲を局限して探索を能率的に行うことができる。
【0037】
また多くのファイル一覧表示ツールは、属性の近似したファイルを近くに表示する仕様となっている。したがって利用者は文書ファイルと見出しファイルの両方を一度に目にすることになり、誤ってどちらか片方のファイルだけに、属性を大きく変化させるような操作を行う危険性が減る。
【0038】
なお属性としては、OSがファイルを管理するのに使用するフォルダ名、ファイル名、タイムスタンプといった文字列や数値が利用可能である。
【0039】
請求項3に記載の発明によれば、一対一対応の関係が設定された文書ファイルと見出しファイルのうち、見出しファイルには、一対一対応の関係を推測することができる文書ファイルの特性値が記録されたことにより、これらの特性値が大きく変化するような操作が行われない前提のもとであれば、文書ファイルと見出しファイルの一対一対応の関係を保持することができる。上記の前提が破れて明示的な一対一対応の関係が失われ、見出しファイルに対応する文書ファイルを探索する必要が生じた場合でも、特性値が大きく異なる文書ファイルを対象から除外することにより、探索範囲を局限して探索を能率的に行うことができる。
【0040】
なお特性値としては、OSがファイルを管理するのに使用するタイムスタンプ、ファイルデータから一意に算出することのできるファイルサイズ、ハッシュ値といった数値が利用可能である。
【0041】
請求項4に記載の発明によれば、一対一対応の関係が設定された文書ファイルと見出しファイルとが有する、一対一対応の関係を推測することができる程度に近似した属性の数と、見出しファイルに記録された、一対一対応の関係を推測することができる文書ファイルの特性値の数とが合わせて2以上であるので、それらを冗長的に使用することが可能となる。すなわち文書ファイルや見出しファイルの記録場所や記録状態に不意の変更が加わり、いずれかの手段によって担保されていた一対一対応の関係が切れたとしても、一対一対応関係復元手段は他の属性や特性値を使って関係を復元させることができる。
【0042】
請求項5に記載の発明によれば、文書ファイルの特徴情報が定型的なタプル形式で記述されるので、文書ファイルを検索するための情報として自由文を使う方法に比べて簡単な文字列処理により、各種の評価観点に基づいた検索を行うことができる。文書ファイルごとに見出しファイルを作成する際には、タグ値カタログに記録されているタグ値の中から最適なものを選ぶだけでよいことから、自由文を考案する方法よりも利用者に負担がかからない。また複数の文書中から所望の文書を特定する際には、タグ名・タグ値ともタグ値カタログに記録されている文字列に限定されるので、見出しファイルの作成者に依存する言葉の揺らぎの影響を受けず、確実な検索を行うことができる。
【0043】
請求項6に記載の発明によれば、複数の文書中から所望の文書を特定する際、複数の異なる評価観点による強力な検索を行うことができる。文書ファイルを分類することのできる数は、タグ名とタグ値の対の数が増えると指数的に増大していくため、文書管理装置が扱うことのできるタグ名とタグ値の対の数を少し増やすだけで検索の能率は大きく高まる。
【0044】
請求項7に記載の発明によれば、複数のタグ値要素を使って文書ファイルを階層的に分類することができる。また複数のタグ値要素を使うことで組み合わせの数を指数的に増やすことができるため、少数のタグ値要素を入力するだけで多数のタグ値を生成することができる。そのため一つのタグ名に対応することのできるタグ値の数が多い場合、見出しファイルを作成するための負担が大きく軽減される。
【0045】
請求項8に記載の発明によれば、利用者が想定する文書ファイル検索の用途・目的に合わせ、最適なタグ値カタログを使い分けることができる。たとえば文書ファイルとして写真を例に挙げると、出版社・写真館・広告業・建設業・農業・探偵社・レンタル業・学校など、いろいろな会社や団体がたくさんの写真を撮りためて活用している。撮影した写真の利用目的は利用者ごとにまちまちなので、検索に使われる見出しの体系もさまざまに変わらざるを得ない。文書管理装置が使用者によるタグ値カタログの選択を可能にする手段を備えていれば、最適なタグ値カタログの使い分けが可能になる。
【0046】
請求項9に記載の発明によれば、写真などの画像ファイルを取り扱う利用者に対し、効率的で容易な文書ファイルの管理手段を提供することができる。画像は一目で暗黙的な情報を思い出させる効果(想起誘導効果)が大きく、写真を見る人も画像が想起させる各種の情報を無意識に利用している。すなわち写真では「何を想起させてくれるか」が重要であり、そのため必然的に「想起させてくれるもの」を使って検索したいというニーズも増える。具体的には印象、撮影者、被写体、撮影状況、撮影理由、注目するべきポイントといった、リテラルには(言語によっては)明示されていない暗黙的情報を使って目的の画像を検索したいという要望が多い。本発明の文書管理装置は、利用者が暗黙的情報からリテラルな見出しを作ることが簡単にできるため、画像ファイルを取り扱う場合の利用価値が特に大きい。
【0047】
請求項10に記載の発明によれば、請求項5に記載の文書管理装置において、タグ値カタログからタグ名の候補とタグ値の候補を読み出し、それらの中から選択したものを文書ファイルごとに設定する方法を利用することができる。そのため文書ファイルが多数にわたっても、それらと一対一対応の関係を有する見出しファイルを、利用者に自由文を考案する負担をかけずに作成することができる。
【0048】
請求項11に記載の発明によれば、それぞれの文書ファイルに付加されている、タプル形式の特徴情報をスムーズに確認・編集することができる。そのため文書ファイルが多数にわたっても、それらと一対一対応の関係を有する見出しファイルを、利用者に自由文を考案する負担をかけずに作成することができる。
【0049】
請求項12に記載の発明によれば、タグ名に対応するタグ値を少ない手間で選択入力することができる。そのため文書ファイルが多数にわたっても、それらと一対一対応の関係を有する見出しファイルを、利用者に負担をかけずに作成することができる。
【0050】
請求項13に記載の発明によれば、タグ名に対応するタグ値を、少ない手間で階層的に選択入力することができる。そのため文書ファイルが多数にわたっても、それらと一対一対応の関係を有する見出しファイルを、利用者に負担をかけずに作成することができる。
【0051】
請求項14ないし15に記載の発明によれば、タグ値やタグ値要素の入力作業をキーを押すだけの操作で能率よく行うことができる。そのため文書ファイルが多数にわたっても、それらと一対一対応の関係を有する見出しファイルを、利用者に負担をかけずに作成することができる。
【0052】
請求項16ないし17に記載の発明によれば、タグ値が確定した時に次のタグ名を選択する必要がなく、多数のタグ名に対するタグ値の入力作業を能率よく行うことができる。そのため文書ファイルが多数にわたっても、それらと一対一対応の関係を有する見出しファイルを、利用者に負担をかけずに作成することができる。
【0053】
請求項18に記載の発明によれば、すべてのタグ値が確定した時に次の文書ファイルを選択する必要がなく、多数の文書ファイルに対するタグ付け作業を能率よく行うことができる。そのため文書ファイルが多数にわたっても、それらと一対一対応の関係を有する見出しファイルを、利用者に負担をかけずに作成することができる。
【0054】
請求項19ないし20に記載の発明によれば、利用者はタグ付けの作業中、タグ値カタログに使いたいタグ値やタグ値要素が記載されていない時、わざわざタグ値カタログを開いて新しいタグ値やタグ値要素を追記してロードしなおす必要がなく、その場の簡便な操作でタグ値カタログに新しいタグ値やタグ値要素を追加し、タグ付け作業を続けることができる。
【0055】
請求項21に記載の発明によれば、請求項5に記載の文書管理装置において、文書選択画面で利用者が表示させたい文書ファイルを選択する際、文書ファイルと一対一対応の関係を有する見出しファイルに記録されているタグを確認することができる。そのため文書ファイルの利用者に、効率的で容易な文書の検索を行わせることができる。
【0056】
請求項22に記載の発明によれば、タグ値カタログから読み出したタグ名やタグ値をキーとして使用することにより、タグ付けを行う利用者に依存する言葉の揺らぎの影響を受けない並べ替えができる。そのため多数の文書の中からでも、所望の文書を確実かつ能率的に特定することができる。
【0057】
請求項23に記載の発明によれば、タグ値カタログから読み出したタグ名やタグ値をキーとして使用することにより、タグ付けを行う利用者に依存する言葉の揺らぎの影響を受けない絞り込みができる。そのため多数の文書の中からでも、所望の文書を確実かつ能率的に特定することができる。
【0058】
請求項25に記載の発明によれば、本発明を多様なコンピュータハードウェア上で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】この実施の形態の文書管理装置1の基本構成図と機能ブロック図である。
【
図2】この実施の形態の見出しファイル作成・記録装置2の概略を示す機能ブロック図である。
【
図3】この実施の形態の見出しファイル11に記述された内容を模式的に示す図である。
【
図6】この実施の形態のタグ値カタログ18とタグ34の構造を模式的に示す図である。
【
図7】この実施の形態のタグ値カタログファイル12の第1の例を模式的に示す図である。
【
図8】この実施の形態のタグ値カタログファイル12の第2の例を模式的に示す図である。
【
図9】この実施の形態のタグ値カタログファイル12の第3の例を模式的に示す図である。
【
図10】この実施の形態の見出しファイル作成・記録装置2の処理概要を、利用者の操作手順に基づいて説明する概念図である。
【
図11】この実施の形態の見出しファイル作成・記録装置2における、文書ファイル10への見出しファイル11の設定と記録の手順を示すフローチャートである。
【
図12】この実施の形態の見出しファイル作成・記録装置2の表示手段6に表示されるタグ付け画面50を模式的に示す図である。
【
図13】この実施の形態の、第1のタグ値要素選択画面68a、第2のタグ値要素選択画面68b、第3のタグ値要素選択画面68c、第4のタグ値要素選択画面68dを模式的に示す図である。
【
図14】この実施の形態の文書ファイル検索・表示装置3の機能ブロック図である。
【
図15】この実施の形態の文書ファイル検索・表示装置3の処理概要を、利用者の操作手順に基づいて説明する概念図である。
【
図16】この実施の形態の文書ファイル検索・表示装置3の処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】この実施の形態の準備動作(ステップS11)の詳細を示すフローチャートである。
【
図18】この実施の形態の表示手段6に表示されたリスト表示画面82を模式的に示す図である。
【
図19】この実施の形態の表示手段6に表示されたサムネイル表示画面83を模式的に示す図である。
【
図20】この実施の形態の検索動作(ステップS13)の詳細を示すフローチャートである。
【
図21】この実施の形態の並べ替え画面101および絞り込み画面111を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
【0061】
[基本構成]
図1は、この実施の形態の文書管理装置1の基本構成図と機能ブロック図である。文書管理装置1は、文書ファイルを記録し、文書ファイルの利用者に文書ファイルを提供するための装置である。
【0062】
文書管理装置1は、文書ファイルの記録や、記録された文書ファイルの抽出ができる各種のコンピュータシステムとして構成される。文書管理装置1はたとえばパーソナルコンピュータ・タブレット・スマートフォンなどであり、所定のプログラムをインストールしたり、所定のウェブアプリケーションを実行させたりして、文書管理装置1としての機能を実現する。図示されていないが、文書管理装置1は、演算処理を行うCPUなどの装置、計算処理の作業領域として機能するRAMなどの高速記憶装置、データやプログラムを記録・保持する磁気ディスク・EEPROMなどの不揮発性記録装置などを有する。また文書管理装置1は、外部の機器と有線や無線でデータ通信を行うための通信インターフェースなどを有する。
【0063】
なお文書管理装置1は単一のコンピュータで構成されていてもよいし、複数のコンピュータや機器がネットワーク通信で接続されて構成されていてもよい。
【0064】
文書管理装置1は、サブシステムとして、見出しファイル作成・記録装置2と文書ファイル検索・表示装置3とを備える。見出しファイル作成・記録装置2と文書ファイル検索・表示装置3は、共通の構成として記録手段4、操作手段5、表示手段6を備える。また見出しファイル作成・記録装置2と文書ファイル検索・表示装置3は、共通の機能手段として文書管理手段7、見出し管理手段8、「一対一対応関係復元手段」としての対応復元手段9を備える。
【0065】
見出しファイル作成・記録装置2は、N個(N≧1)の文書ファイル101,102,……,10Nを記録・保持し、文書ファイル検索・表示装置3での検索・抽出を可能にするための装置である。この「文書」および「文書ファイル101,102,……,10N」については、後の[文書および文書ファイル]の項で詳述する。
【0066】
文書ファイル検索・表示装置3は、記録された文書ファイル101,102,……,10Nの中から、利用者が所望するものを検索・抽出して表示手段6に表示させるために必要な構成を備える。
【0067】
記録手段4は各種ファイルを記録するための記録装置や記録媒体を有する。
【0068】
文書管理手段7は、見出しファイル作成・記録装置2に入力された文書ファイル101,102,……,10Nを記録手段4に書き込んだり、文書ファイル101,102,……,10Nを記録手段4から読み出したりするのに必要な各種の処理を行う。文書管理手段7は、外部から見出しファイル作成・記録装置2に入力された文書ファイル101,102,……,10Nを見出し管理手段8に送り、見出し管理手段8によってタグ付けが行われた文書ファイル101,102,……,10Nを記録手段4に記録する。また文書管理手段7は、利用者が操作手段5を使って入力した命令や他の機能手段の処理に基づき、記録手段4に記録された文書ファイル101,102,……,10Nを読み出し、その内容である文書を表示手段6に表示するための処理や、その内容である文書を外部に出力するための処理を行う。
【0069】
見出し管理手段8は、文書ファイル101,102,……,10Nの内容である文書の特徴を記述する見出しを作成し、さらにこの見出しを含むN個(N≧1)の見出しファイル111,112,……,11Nを作成して記録手段4に記録するために必要な各種の処理を行う。また見出し管理手段8は、利用者が操作手段5を使って入力した命令や他の機能手段の処理に基づき、記録手段4に記録された見出しファイル111,112,……,11Nを読み出し、その内容に基づいて文書ファイル101,102,……,10Nを表示手段6に表示させるための処理や、文書ファイル101,102,……,10Nのデータを外部に出力させるための処理を行う。この「見出し」および「見出しファイル111,112,……,11N」については、後の[見出しファイルや見出しの構成]の項で詳述する。
【0070】
操作手段5はキーボード・マウスなど、利用者が手動で命令を入力するための構成である。また表示手段6はLCDなど、利用者にデータを表示するための構成である。表示手段6は、LCD以外のディスプレイや、スクリーンに画面を投影するプロジェクタなどでもよいし、3Dホログラムなどを表示する空間や、バーチャルリアリティ技術によって形成される仮想空間などでもよい。また視覚による表示だけでなく、聴覚など他の感覚による表示を行うものや、聴覚など他の感覚による表示を視覚による表示とともに行うものも含む。
【0071】
見出しファイル作成・記録装置2のみが有する構成、文書ファイル検索・表示装置3のみが有する構成については後述する。
【0072】
記録手段4の中には、それぞれ文書が記録されたN個の文書ファイル101,102,……,10Nと、それぞれ見出しが記録されたN個の見出しファイル111,112,……,11Nが、一対一対応の関係を持って記録されている。また記録手段4には、「タグ値カタログ」を記述するファイルであるタグ値カタログファイル12も記録されている。この「タグ値カタログ」および「タグ値カタログファイル12」については、後の[タプルとタグ値カタログファイルの構造]の項で詳述する。
【0073】
なお以下では説明を簡略化するため、特に区別の必要な場合を除き、文書ファイル101,102,……,10Nを「文書ファイル10」、見出しファイル111,112,……,11Nを「見出しファイル11」とそれぞれ記載する。
【0074】
[見出しファイル作成・記録装置の構成]
文書管理装置1のうち、見出しファイル作成・記録装置2について説明する。見出しファイル作成・記録装置2は、文書ファイル10を、文書管理装置1の利用者が容易に検索して表示させたり取得したりすることができる形で文書管理装置1に記録するための装置である。
【0075】
図2は、この実施の形態の見出しファイル作成・記録装置2の概略を示す機能ブロック図である。この図に示すとおり、見出しファイル作成・記録装置2は、機能手段としての文書管理手段7と、見出し管理手段8と、対応復元手段9と、記録手段4と、操作手段5と、表示手段6とを備える。
【0076】
文書管理手段7は、機能手段として、文書ファイル分析手段13を備える。また見出し管理手段8は、「タグ付け手段」としてのタグ値カタログロード手段14、「タグ付け手段」としてのタグ値選択手段15、見出し保存手段16を備える。
【0077】
文書ファイル分析手段13は、文書管理装置1に記録される文書ファイル10の内容を分析し、それぞれの文書ファイル10に設定する見出しの追加や変更の要否を決定する。文書ファイル分析手段13が文書ファイル10を分析して得られた分析結果17はタグ値選択手段15に送られる。
【0078】
タグ値カタログロード手段14は、文書ファイル10に設定するタグ値の候補が含まれるタグ値カタログファイル12を記録手段4からロードする。タグ値カタログロード手段14は、通常は利用者の指定を受け、見出しの設定が必要と決定された文書ファイル10に設定するのに適したタグを含んだタグ値カタログファイル12を選択してロードする。
【0079】
またタグ値選択手段15は、タグ値カタログロード手段14がロードしたタグ値カタログファイル12に記述されているタグ値カタログ18からタグ値の候補のリストを読み出し、その中からそれぞれの文書ファイル10に適したタグ値を選択し、見出しファイル11のタグ値として設定する。この「タグ」や「タグ値」や「タグ値カタログ」は、後の[タプルとタグ値カタログの構造]の項で詳述する。
【0080】
見出し保存手段16は、タグ値選択手段15においてタグ値が設定された見出しファイル11を記録手段4に記録する。
【0081】
なお文書管理手段7や、見出し管理手段8を構成する文書ファイル分析手段13、タグ値カタログロード手段14、タグ値選択手段15、見出し保存手段16のうちの少なくとも一部は、プログラムによる演算処理によって実現される構成であってもよい。
【0082】
対応復元手段9は、文書ファイル10と見出しファイル11とが一対一対応の関係を有する状態を復元させる機能を備える。詳しくは後段の[文書ファイルと見出しファイルの一対一対応の関係]にて詳述する。
【0083】
[文書および文書ファイル]
この実施の形態の文書管理装置1で記録や検索に用いられる文書ファイル10には文書が含まれている。この「文書」とは、たとえばピクセルの配列からなる写真やグラフィックなどのディジタル画像、文字の集合からなるテキストデータ、独自形式のCADデータやモデリングデータなど、コンピュータによって記録され、表示手段6に表示されるあらゆるデータを含む。前述したように表示は視覚によるものに限らない。
【0084】
この実施の形態の文書ファイル10は、上記の文書を含むデータファイル、たとえば写真ファイル・グラフィックファイル・テキストファイルなどである。文書ファイル10には、その種類に応じてどのようなファイル形式を用いてもよい。写真ファイルなどの文書ファイル10には、付随的な情報を記録するEXIF(exchangeable image file format)情報が含まれていてもよい。しかしこの実施の形態の文書管理装置1は、対象とする文書ファイル10がEXIF情報を含む写真ファイルなどであっても、そのEXIF情報を用いずに検索を行うように構成されている。
【0085】
[見出しファイルや見出しの構成]
図3は、この実施の形態の見出しファイル11に記述された内容を模式的に示す図である。見出しファイル11は、それぞれの文書ファイル10ごとに、文書ファイル10と一対一対応する形で作成される。
【0086】
見出しファイル11は、たとえばTSV(tab separated values)形式のテキストファイルであり、一対一対応する相手の文書ファイル10を識別するのに必要な情報を有する。
【0087】
図3に示すとおり、見出しファイル11は、見出しファイル本体情報セクション21、文書ファイル情報セクション22、見出しタグ情報セクション23などのセクションを有する。
【0088】
見出しファイル本体情報セクション21は、この見出しファイル11そのものに関する基本的な情報を記述するセクションである。たとえば「文書ファイルの特性値」としての下記(a)(b)(c)(d)の情報を記述する。
【0089】
(a)仕様バージョン(符号21a):この見出しファイル11が準拠する仕様のバージョン情報。この例には「1.00」が記述されている。
【0090】
(b)更新日時(符号21b):この見出しファイル11が作成された、または最後に更新された日時。この例には「2021/09/30 12:34:56」が記述されている。
【0091】
(c)タグ付けプログラムの製品名(符号21c):この見出しファイル11を作成したプログラムの名前。この例には「画像サーチ」が記述されている。
【0092】
(d)タグ付けプログラムのバージョン(符号21d):この見出しファイル11を作成したプログラムのバージョン。この例には「1.00」が記述されている。
【0093】
文書ファイル情報セクション22は、この見出しファイル11と、対応する文書ファイル10の一対一対応の関係を明らかにする「識別情報」を記述するセクションである。たとえば下記(a)(b)(c)の情報を記述する。
【0094】
(a)ファイル名(符号22a):この見出しファイル11に一対一対応する文書ファイル10の名前から、フォルダ名を除いたもの。この例には「ABCXYZ.jpg」が記述されている。
【0095】
(b)更新日時(符号22b):この見出しファイル11に一対一対応する文書ファイル10が作成された、または最後に更新された日時。この例には「2021/09/30 9:08:07」が記述されている。
【0096】
(c)サイズ(符号22c):この見出しファイル11に一対一対応する文書ファイル10のバイト数。この例には「123456」というバイト数が記述されている。
【0097】
見出しタグ情報セクション23は、文書ファイル10に設定された見出しとしてのタグ34の集合であるタグ集合38を記述するセクションである。見出しタグ情報セクション23には、「見出し」としてのタグ34を一つ以上記述することができる。タグ34は、タグ値カタログ18に記述されているタグ名の候補とタグ値の候補の中からそれぞれ選ばれたタグ名とタグ値で構成されている。なお見出しタグ情報セクション23には、タグ34をまったく記述しなくてもよい。
【0098】
図3に示すとおり、見出しタグ情報セクション23は第1のタグ34a、第2のタグ34b、第3のタグ34cを備える。これらのタグ34は、それぞれタグ名35と、それに対するタグ値36を有する。
【0099】
この実施の形態において「タグ名」は、個々の文書ファイル10を評価する観点を示す情報である。また「タグ値」は、上記の「タグ名」に基づいて文書ファイル10を評価した結果を示す情報のことである。タグ名35とタグ値36は、一つずつが対になってタグ34を形成し、この見出しファイル11に一対一対応する文書ファイル10の評価観点と評価結果の対、すなわち特徴を記述する。
【0100】
このように文書管理装置1では、記録された個々の文書ファイル10ごとにタグ付けを行って見出しファイル11を作成する。そして個々の見出しファイル11には、タグ名35とタグ値36が対になったタグ34を記述する。文書ファイル10の特徴は、タプル形式で定式化されたタグ34に記述されているので、記録された文書を利用する利用者は、効率的で容易な文書の検索を行うことができる。
【0101】
そして文書管理装置1では、文書ファイル10と見出しファイル11を一対一対応させ、ローカルに扱うことができるようにしたことで、見出しの情報のみを外部に設置されたDBに集中記録する方法と比べると、通信ネットワークを利用することが難しい環境でも文書ファイル10の検索・閲覧ができるという利便性が得られた。また文書ファイル10と見出しファイル11の独立性を保ったことで、見出しの情報を文書ファイル10そのものに書き込む方法と比べると、文書ファイル10が開けなくなったり、改ざんと見なされたりする恐れがないという利点も得られた。
【0102】
[タプルとタグ値カタログの構造]
図4は、タプル30を模式的に示す図である。この図に示すように、タプル30とは、一つのタプル名31と、一つのタプル値32が対になったデータ型のことである。この実施の形態における「見出し」としてのタグ34は、タプル30の形式となっている。
【0103】
図5は、タプル集合33を模式的に示す図である。この図に示すタプル集合33は、
図4のタプル30が任意の個数だけ集まった集合である。タプル集合33に含まれるM個(M≧1)のタプル30
1,……,30
Mは、それぞれ一つのタプル名31と、一つのタプル値32によって構成される。すなわち1番目のタプル30
1はタプル名31
1とタプル値32
1によって構成され、M番目のタプル30
Mはタプル名31
Mとタプル値32
Mによって構成される。この実施の形態における、見出しファイル11の見出しタグ情報セクション23に記述されるタグ集合38は、タプル集合33の形式となっている。
【0104】
図6は、この実施の形態のタグ値カタログ18とタグ34の構造を模式的に示す図である。タグ値カタログ18は、タグ値カタログファイル12の内容となっているデータであり、使用可能なタグ名35と、それぞれのタグ名に対応させることのできるタグ値36の候補を列挙している。
【0105】
この実施の形態のタグ値カタログ18は、L個(L≧1)のタグ名351,……,35Lを保持するタグ名リスト39と、それぞれのタグ名に対応するJ個(J≧1)のタグ値リスト401,……,40Jを有する。それぞれのタグ値リスト401,……,40Lは、それぞれのタグ名351,……,35Lに対応させることのできる一つ以上のタグ値36の候補を保持している。この図において、タグ値リスト401はJ1個(J1≧1)のタグ値3611,……,361Jの候補を有し、タグ値リスト40Lはタグ値36L1,……,36LJの候補を有する。なおJの数は、すべてのタグ名35に対して一定ではなく、むしろタグ名35ごとに異なるのが一般的である。
【0106】
この実施の形態においては、タグ値カタログ18に基づいてタグ集合38が形成される。たとえば
図6に示すように、L個のタグ名35
1,……,35
Lに対してそれぞれ1個ずつ、合計L個のタグ値36
1,……,36
Lを有するタグ集合38が形成される。形成されたタグ集合38は、見出しファイル11の見出しタグ情報セクション23に記録される。またタグ値カタログ18は、以下に例示するタグ値カタログファイル12として記録・保存される。
【0107】
[タグ値カタログファイルの構成例]
以下、上述のタグ値カタログ18を記述するタグ値カタログファイル12の具体例を説明する。なお以下の[タグ値カタログファイル(第1の例)]~[タグ値カタログファイル(第2・第3の例)]では、複数のタグ値カタログファイル12を区別して説明する必要上、三つのタグ値カタログファイル12をタグ値カタログファイル12a,12b,12cと区別して記載する。
【0108】
[タグ値カタログファイル(第1の例)]
図7は、この実施の形態のタグ値カタログファイル12の第1の例を模式的に示す図である。このタグ値カタログファイル12aは、それぞれのタグ名35に対して使用することのできるタグ値36の候補を列挙して記述するものである。
【0109】
タグ値カタログファイル12aは、タグ値カタログ18を記述するTSV形式のファイルである。タグ値カタログ18は、第1列のタグ名列41と、第2列のタグ値列42とを有する。たとえば第1行では、タグ名列41にタグ名35としての「種類」が、タグ値列42にはタグ値36としての「風景¥街中」が記載されている。
【0110】
タグ名列41とタグ値列42とは、1行目に点線枠で模式的に示すタブ文字44により区切られている。タグ名列41のタグ名35自体や、タグ値列42のタグ値36自体にはタブ文字44を含ませてはならない規則となっている。そのためこれらをタブ文字44で区切れば、タグ名35やタグ値36にカンマ・括弧・クォーテーションなどの特殊記号が含まれていても、それらを支障なく区別して読み出すことができる。
【0111】
タグ値カタログ18のタグ値列42の記載には、階層区分記号である円記号45が記載されたものも存在する。たとえば1行目において、タグ値36「風景¥街中」は、上位概念のタグ値要素37aである「風景」と下位概念のタグ値要素37bである「街中」の連結として記述されている。すなわち円記号45は概念の階層を表す規則となっており、これでタグ値要素37を区切ることで、体系的に階層化されたタグ値36の集合を形成することができる。
【0112】
図7に示すとおり、タグ値カタログ18のタグ名列41には、三つのタグ名「種類」「印象」「撮影場所」が記載されている。タグ名列41にタグ名35が記載されていない行は、その上方の行に出現したタグ名35が記載されているのと同様に扱われる。たとえばこの図で2行目にあるタグ値36「風景¥田舎」、6行目にあるタグ値36「植物¥キク科」などは、いずれもタグ名35「種類」に対応するタグ値36の候補として扱われる。またこの図で18行目にあるタグ値36「関東¥茨城県¥日立市」、20行目にあるタグ値36「関東¥東京都¥23区」などは、いずれもタグ名35「撮影場所」に対応するタグ値36の候補として扱われる。
【0113】
この例では「種類」というタグ名35に対応し得る候補として、第1行に「風景¥街中」というタグ値36a、第2行に「風景¥田舎」というタグ値36bが記載されている。これは「種類」というタグ名35には、「街中の風景」という意味を持つタグ値36aや、「田舎の風景」という意味を持つタグ値36bが一対一対応する候補になり得るということを示している。タグ値36の選択により、対象とする文書ファイル10に対して、「種類が街中の風景である」という評価結果を示すタグ34や、「種類が田舎の風景である」という評価結果を示すタグ34を形成することができる。この例では一つの上位概念「風景」に複数の下位概念「街中」「田舎」などが連結しており、もう一つの上位概念「植物」に複数の下位概念「キク科」「バラ科」「ユリ科」「ラン科」などが連結している。
【0114】
「印象」というタグ名35に対応し得る候補としては、第12行に「美しい」というタグ値36c、第13行に「壮大」というタグ値36dなどが記載されている。タグ値36の選択により、対象とする文書ファイル10に対して、「印象が美しい」という評価結果を示すタグ34や、「印象が壮大である」という評価結果を示すタグ34を形成することができる。これらのタグ値36には円記号45が含まれていない。すなわち複数のタグ値要素37による概念階層は形成されていない。
【0115】
「撮影場所」というタグ名35に対応し得る候補としては、第15行に「関東¥茨城県¥日立市」というタグ値36e、第16行に「関東¥茨城県¥その他」というタグ値36fなどが記載されている。タグ値36の選択により、対象とする文書ファイル10に対して、「撮影場所が関東の茨城県の日立市である」という評価結果を示すタグ34や、「撮影場所が関東の茨城県のどこかである」という評価結果を示すタグ34を形成することができる。これらのタグ値36には二つの円記号45が含まれており、上位概念・中位概念・下位概念からなる概念階層を形成している。なおこの例には含まれていないが、三つ以上の円記号45を含むタグ値36も存在し得る。
【0116】
このように見出し管理手段8は、上位概念のタグ値要素37aである「風景」と、下位概念のタグ値要素37bである「街中」を、概念の階層を表す規則の円記号45で連結し、タグ名35に対応する一つのタグ値36「風景¥街中」を生成することができる。タグ値カタログファイル12には、タグ名35に対応する第1位(最上位)のタグ値要素37aの候補と、第2位の階層のタグ値要素37bがそれぞれ一つ以上記録されており、上記の「風景」と「街中」は、その中から任意に選択されたタグ値要素37である。
【0117】
人間はいろいろな事物や事象を考える際、概念を階層化して体系化・整理する。そのため一つのタグ値36を複数のタグ値要素37の組み合わせとして形成することを可能とする実際文書管理装置1の特徴は、人間の思考方式に照らして自然かつ合理的である。実際に得られる効果として、後述する見出しファイル作成・記録装置2では、利用者がタグ付けを行うのに要する手間や思考的な負担が大きく削減される。また後述する文書ファイル検索・表示装置3では、利用者が所望する文書ファイル10を検索・抽出するのに要する手間や思考的な負担が大きく削減される。
【0118】
[タグ値カタログファイル(第2・第3の例)]
図8は、この実施の形態のタグ値カタログファイル12の第2の例を模式的に示す図である。このタグ値カタログファイル12bは、
図7に示すタグ値カタログファイル12aと同様、それぞれのタグ34に使用することのできるタグ値36の候補を列挙して記述するものである。
【0119】
タグ値カタログファイル12bはタグ値カタログファイル12aと同様のTSV形式のファイルであり、意味的にもタグ値カタログファイル12aと同じタグ値カタログ18を記述している。タグ値カタログ18にタグ名列41とタグ値列42が含まれ、それらがタブ文字44で区切られている点もタグ値カタログファイル12aと同じである。しかしタグ値カタログファイル12bでは、タグ値カタログファイル12aで使用している円記号45ではなく、タブ文字44で形成したインデント46でタグ値要素37による概念階層を記述している。たとえば第2行に対して第3行のインデント46を1段深めることにより、第3行に記載されている「街中」というタグ値要素37bが、第2行に記載されている「風景」というタグ値要素37aの下位概念であることを示している。また第17行目に対して第18行目、第18行目に対して第19行目のインデント46を順次深めていくことにより、第18行に記載されている「茨城県」というタグ値要素37dが、第17行に記載されている「関東」というタグ値要素37cの下位概念であること、および第19行に記載されている「日立市」というタグ値要素37eが、第18行に記載されている「茨城県」というタグ値要素37dの下位概念であることを示している。このような記述方法を採ったことで、タグ値カタログファイル12aに比べて記述を簡素化することができた。
【0120】
図9は、この実施の形態のタグ値カタログファイル12の第3の例を模式的に示す図である。このタグ値カタログファイル12cは、
図8に示すタグ値カタログファイル12bと同様の構成であるが、タグ名列41とタグ値列42に加えてショートカットキー列43を有し、タグ値列42とショートカットキー列43とがタブ文字44で区切られている点が相違する。ショートカットキー列43には、個々のタグ値要素37、またはタグ値要素37を連結した個々のタグ値36に対応するショートカットキー47が記載されている。たとえば第2行には、「風景」というタグ値要素37に対応するショートカットキー47aとして「F」キーが設定されている。「風景」のローマ字表記「FUKEI」の頭文字である「F」キーを割り当て、「風景」という語句からの想起を容易にした。また第23行には、「関東」というタグ値要素37に対応するショートカットキー47bとして「ファンクション3」キーが設定されている。地図上で北から南に向かい、「北海道」「東北」「東北」……「九州・沖縄」にそれぞれ「ファンクション1」「ファンクション2」「ファンクション3」……「ファンクション8」キーを割り当て、それぞれの地方の地図上の位置からの想起を容易にした。
【0121】
[文書ファイルへのタグ付け]
この実施の形態においては、文書ファイル10に設定するタグ名35とタグ値36は、タグ値カタログファイル12に記述されたタグ値カタログ18に記載されているタグ名35の候補、およびタグ値36の候補の中から、それぞれ選択しなければならない規則となっている。すなわちあらかじめ準備されたタグ値カタログ18を用いて文書ファイル10に「タグ付け」を行い、設定されたタグ集合38を、所望の文書ファイル10を検索するための見出しとして用いる。ここでの「タグ付け」とは、文書ファイル10と一対一対応する見出しファイル11の見出しタグ情報セクション23に、文書ファイル10の特徴を表すタグ34を書き込む操作のことである。
【0122】
文書ファイル10に設定するタグ名35とタグ値36を、所定のタグ値カタログ18に記載された候補の中から選ぶという制約を課すことで、多数の文書ファイル10を高度に体系化することができる。自由文を見出しとする従来の方法に対し、利用者が文書ファイル10ごとに場当たり的な語句を使用し、規律性のない見出しによって検索や抽出が困難になるような事態を回避することができる。またタグ付けが充分正確になされていれば、人工知能的な自動分類手法でよく見られる誤判定を避け、確実な検索・抽出を行うことも可能である。利用者は体系化された見出しを用いて並べ替えや絞り込みを行い、最終的には目視などで暗黙的な評価基準も併用して、所望の文書ファイル10を見つけ出すことができる。すなわち記録された多数の文書ファイル10の中から所望のものを検索して利用する利用者に、効率的で容易な文書の検索を行わせる文書管理装置1を提供することができる。この構成は、文書ファイル10の数量が膨大である場合、特に有効である。
[文書ファイルと見出しファイルの一対一対応の関係]
この実施の形態においては、文書ファイル10と見出しファイル11の間には一対一対応の関係が設定される。したがって文書管理装置1は、任意の文書ファイル10と見出しファイル11の間に一対一対応の関係が設定されているかどうかを判定する仕組みを備えていなければならない。また文書管理装置1は、複数の文書ファイル10や見出しファイル11が存在する場合に、特定の文書ファイル10と一対一対応の関係を有する見出しファイル11を特定する仕組みや、特定の見出しファイル11と一対一対応の関係を有する文書ファイル10を特定する仕組みを備えていなければならない。さらには何らかの事情で、文書ファイル10と見出しファイル11の間に設定された一対一対応の関係が喪失した場合、その関係を復元する仕組みを備えていることも望まれる。そもそも文書ファイル10と見出しファイル11の間に設定された一対一対応の関係が喪失されにくいようにする仕組みを備えていることが望ましい。
【0123】
文書管理装置1には、そのような課題に対する具体的な仕組みがいくつか用意されている。第1の仕組みは、見出し管理手段8が、見出しファイル11に付加される各種の「属性」を、対応する文書ファイル10の「属性」と重複させることである。ここでの「属性」とは、コンピュータで動作しているOSが各種のデータをファイルとして体系的に取り扱うために、データごとに作成して保持している各種の情報のことである。具体的には「フォルダ階層」「ファイル名」「タイムスタンプ」といったものがそれである。「フォルダ階層」や「ファイル名」は、データに固有の情報であるように思われることも多いが、実際にはOSが管理上の必要性から独自に作成して保持する情報であり、データとは別のものである。
【0124】
見出し管理手段8は見出しファイル11を文書ファイル10と同じフォルダに作成する。すなわち両者の「フォルダ階層」属性を揃える。また見出しファイル11の名前を、文書ファイル10の名前の拡張子を「.Idx」に変えた文字列とし、両者の「ファイル名」属性の大部分を揃える。さらにOSが提供しているファイル更新日時変更機能を使って見出しファイル11の更新日時を文書ファイル10の更新日時と一致させ、両者の「タイムスタンプ」属性も揃える。あるファイルと属性の大部分が一致するファイルはきわめて限られるので、このようにしておけば、任意の見出しファイル11と文書ファイル10が一対一対応の関係を有するかどうかの判定が容易にできるし、どちらか片方のファイルが既知である時に、一対一対応の関係を有する相手方のファイルを特定することも容易にできる。またそれらの間にあった一対一対応の関係が喪失した場合でも、記録手段4に記録されているファイルの属性を網羅的に調べ、属性の大部分が一致するかどうかを判定することにより、かつて一対一対応の関係を有していた相手方のファイルを探して見つけ出すことも可能になる。
【0125】
第2の仕組みは、見出し管理手段8が、見出しファイル11の文書ファイル情報セクション22に、文書ファイル10に固有の特徴を記録することである。たとえば
図3に示した見出しファイル11の文書ファイル情報セクション22には、ファイル名22a・更新日時22b・サイズ22cが記載されている。これらの情報を文書ファイル10のファイル名・更新日時・サイズと比較することで、任意の見出しファイル11と文書ファイル10の間に一対一対応の関係が設定されているかどうかを容易に判定することができる。またそれらの間にあった一対一対応の関係が喪失した場合でも、記録手段4に記録されているファイルの特徴を網羅的に調べ、属性の大部分が一致するかどうかを判定することにより、かつて一対一対応の関係を有していた相手方のファイルを探して見つけ出すことも可能になる。なお第2の仕組みで利用することのできる文書ファイル10に固有の特徴は、第1の仕組みの説明に記したファイルの「属性」に限らない。「ファイル名」「更新日時」など、OSの作成した情報である「属性」だけでなく、ファイルの内容であるデータそのものに固有の特徴量である「サイズ」や「ハッシュ値」も利用可能である。「ハッシュ値」とは、対象データ全体から所定の方法で計算される整数値であり、データが少しでも改変されると値が変わる性質を持つもののことであり、パリティ値・MD値などが知られている。
【0126】
文書管理装置1は、上記第1・第2の仕組みを備えているので、文書ファイル10と見出しファイル11の間にある一対一対応の関係が喪失した場合、それを復元することができる。そのために必要な処理を自動的に行うのが対応復元手段9である。対応復元手段9は、特定の文書ファイル10に対応する見出しファイル11が見つからなかった場合や、特定の見出しファイル11に対応する文書ファイル10が見つからなかった場合に自動式に動作を開始し、一対一対応の関係を修復しようと試みる。具体的には、記録手段4に記録されているファイルを網羅的にスキャンし、それらの属性や特徴を調べて既知のファイルと比較する。対応復元手段9は、個々の属性や特徴ごとに、文書ファイル10と見出しファイル11がかつて一対一対応の関係を有していたと推定される程度を点数化する。そしてそれらの合計点数が一定のしきい値を上回り、かつスキャンしたうちで最大であるファイルを、既知のファイルとかつて一対一対応の関係を有していた相手方のファイルであると推定する。そして見出しファイル11に文書ファイル10と重複する「属性」を付加したり、見出しファイル11の文書ファイル情報セクション22に文書ファイル10に固有の特徴を記録したりする処理を行い、一対一対応の関係を修復する。なお対応復元手段9は、文書ファイル10と見出しファイル11の間にある一対一対応の関係が喪失したことを検知した時に自動的に動作を開始してもよいし、利用者が操作手段5を操作して動作開始を指示したことを受けて動作を開始してもよい。
【0127】
文書ファイル10と見出しファイル11の間にある一対一対応の関係が喪失する要因としては、いずれかのファイルの移動、名称変更、改変などが考えられる。しかし意図的なものでなければ、ファイルの属性や特徴が大きく変化することはさほど多くないので、対応復元手段9の動作は多くの場合に成功する。
【0128】
上記第1の仕組みは、上記のような一対一対応の関係が喪失する可能性を低減させる上でも効果がある。多くのOSに付属するファイル管理ソフトウェアは、属性がほぼ同じ複数のファイルを同時あるいは近くに表示するのが一般的だからである。すなわち一対一対応の関係を有する文書ファイル10と見出しファイル11は、通常同時あるいは近くに表示されるので、利用者が誤ってどちらか片方だけを移動させたり、名称変更したり、改変したりする危険性はそれだけ減少する。
【0129】
[処理手順]
以下、この実施の形態の見出しファイル作成・記録装置2における各種の処理手順を説明する。
【0130】
[システム全体の処理概要(利用者の操作手順)]
図10は、この実施の形態の見出しファイル作成・記録装置2の処理概要を、利用者の操作手順に基づいて説明する概念図である。
【0131】
文書ファイル10を記録手段4に記録する利用者は、見出しファイル作成・記録装置2にもその文書ファイル10を入力する(同図の符号(A))。次に文書ファイル10の用途に即したタグ値カタログファイル12を使い、文書ファイル10に対するタグ付けを行う(同図の符号(B))。そして文書ファイル10の特徴を記述するタグ集合38を記録した見出しファイル11を作成し、文書ファイル10と一対一対応の関係を設定する(同図の符号(C))。
【0132】
なお見出しファイル作成・記録装置2と、後述する文書ファイル検索・表示装置3においては、対象の文書ファイル10として写真ファイルを想定している。写真ファイルの活用において、人間が潜在的に記憶しているが言語化されていない特徴や、人間の主観に依存していて数値化することが困難な特徴を手がかりに検索を行いたい場面が多いことについてはすでに述べたとおりである。それには利用者自身の人手による見出しの作成と付加が欠かせないが、写真は一目で暗黙的な情報を思い出させる効果(想起誘導効果)が大きいので、利用者はそのような特徴を使用するタグ付けや検索も能率的に進めることができる。
【0133】
[1.タグ値カタログファイル作成]
図示しないが、見出しファイル作成・記録装置2においては、利用者が文書ファイル10を記録手段4に記録する前に、あらかじめタグ値カタログファイル12を記録手段4に記録しておくことができる。タグ値カタログファイル12の作成と記録は、利用者が操作手段5を操作して行うこともできるし、見出し管理手段8などの機能手段の自動処理により行うこともできる。各種の文書ファイル10の用途に即したタグ値カタログファイル12を用意しておくことにより、文書ファイル10を文書管理装置1に入力する際、併せて見出しファイル11を作成する作業を迅速に行うことができる。なおタグ値カタログファイル12の作成や変更は、後述する[2.ファイルの設定とファイルの記録]の間に行うこともできる。
【0134】
[2.ファイルの設定とファイルの記録]
図11は、この実施の形態の見出しファイル作成・記録装置2における、文書ファイル10への見出しファイル11の設定と記録の手順を示すフローチャートである。以下、この図に基づき、見出しファイル11の設定と記録について説明する。
【0135】
図11に示すフローチャートの手順に先立ち、文書ファイル10は文書管理手段7によって記録手段4に記録される(文書管理手順)。文書ファイル10の記録は、利用者が操作手段5を使って文書管理手段7に指示することでなされてもよいし、見出しファイル作成・記録装置2の機能手段による自動処理でなされてもよい。また記録手段4に対する文書ファイル10の記録は、見出しファイル11を作成して記録する手順(たとえば後述のステップS5)と並行して行ってもよい。
文書管理装置1の利用者は、最初に見出しファイル作成・記録装置2を起動させ、その表示手段6にタグ付け画面50を表示させる。次に操作手段5を操作し、見出しファイル11を作成する対象となる文書ファイル10の集合を指定する。また操作手段5を操作し、あらかじめ記録手段4に記録されているタグ値カタログファイル12の一つを、文書管理手段7のタグ値カタログロード手段14にロードさせる(ステップS1)。
【0136】
図12は、この実施の形態の見出しファイル作成・記録装置2の表示手段6に表示されるタグ付け画面50を模式的に示す図である。利用者はタグ付け画面50の文書ファイル入力欄51にあるファイルドロップ欄55に任意のファイルやフォルダをドラッグ・ドロップしたり、ファイル追加ボタン56を押して任意のファイルやフォルダを選択したりして、見出しファイル11を作成する文書ファイル10の集合を指定する。この操作を行うと、指定された文書ファイル10の一覧が、タグ付け画面50のファイルリスト表示欄52にあるファイルリスト59に一覧表示される。なおファイルクリアボタン57を押すと、見出しファイル11を作成する対象として指定され、ファイルリスト59に一覧表示された文書ファイル10の集合が消去される。
【0137】
ファイルリスト表示欄52に一覧表示された文書ファイル10の中には、すでに見出しファイル11が作成されていて、新たなタグ付けを行う必要がないものも含まれている。利用者は未分類ファイル選択ボタン61を押し、ファイルリスト表示欄52のファイルリスト59に表示されているファイル行60のうち、見出しファイル11が対応付けられていない最初の文書ファイル10に対応するファイル行60を選択させることができる。あるいはフォルダ展開ボタン62を押し、文書ファイル10が記録されているフォルダの内容を表示させ、すでに見出しファイル11が作成されている文書ファイル10を手作業で選び出し、対応する見出しファイル11とともに他のフォルダに移動させることもできる。また分類済みファイル選択ボタン63と、選択ファイル除外ボタン64を続けて押すと、すでに見出しファイル11が作成されている文書ファイル10を移動させることなく、ファイルリスト59から除外することもできる。これらの方法を組み合わせ、タグ付けを行う必要がない文書ファイル10が、ファイルリスト表示欄52になるべく表示されていない状態にすることができる。なお未分類ファイル選択ボタン61や分類済みファイル選択ボタン63の動作は、見出し管理手段8が持つ、文書ファイル10に対応する見出しファイル11が存在するかどうかを調べる機能によって実現されている。
【0138】
タグ付け画面50にある共通フォルダ表示欄58には、指定された文書ファイル10の集合を包含するフォルダの名前が表示される。また「選択画面」としてのファイルリスト表示欄52には、フォルダに格納されている文書ファイル10のうち、タグ付けの対象とするものの名前と更新日時が一覧表示される。ファイルリスト表示欄52の各行は、それぞれ個別の文書ファイル10を表す。
【0139】
次に利用者は、タグ付けが済んでいない文書ファイル10がファイルリスト表示欄52に残っていないかどうかを確認する。この確認は、未分類ファイル選択ボタン61や分類済みファイル選択ボタン63を押すことで簡単に行うことができる。タグ付けが済んでいない文書ファイル10がファイルリスト表示欄52に残っている場合(ステップS2の「いいえ」)、その中からタグ付けを始めたい文書ファイル10を選択する(ステップS3)。この選択は未分類ファイル選択ボタン61を押して見出し管理手段8に自動的に行わせることもできるし、分類済みファイル選択ボタン63を押し、ファイルリスト表示欄52で選択されていないファイル行60を選んで行うこともできる。
【0140】
ファイルリスト表示欄52で一つの文書ファイル10を選ぶと、その内容である写真が文書表示欄53に視覚的に表示される。写真を視覚的に表示することにより、その写真に関する各種の情報を利用者に想起させることができる。それらの情報の中には、前述したような人間が潜在的に記憶しているが言語化されていない特徴に関する情報(暗黙的情報)や、人間の主観に依存していて数値化することが困難な特徴に関する情報(主観的情報)も含まれる。ファイル作成・記録装置2では、そのような暗黙的情報・主観的情報に基づくタグ付けも可能であり、それは暗黙的情報・主観的情報に基づく検索と抽出が可能になることを意味している。
【0141】
そして文書ファイル10に対応する見出しファイル11が存在する場合には、それに記述されているタグ集合38が読み出され、それに含まれるすべてのタグ34を構成するタグ名35とタグ値36が、タグリスト表示欄54にあるタグリスト65に表形式で表示される。
【0142】
文書ファイル10を選択したら、次にタグ値選択手段15を使い、すべてのタグ名35に対するタグ値36を決定する(ステップS4)。
図12には、タグ付け画面50の上にタグ値選択画面67がポップアップ表示された状態を模式的に示している。タグ値選択画面67は、タグ付け画面50にあるタグリスト表示欄54に表示された複数のタグ行66のうち、第1行にある「種類」のタグ34を利用者が選択した結果としてポップアップ表示されたものである。「タグ付け操作画面」としてのタグ値選択画面67には、「種類」というタグ名35に対するタグ値36の候補、あるいはそれを構成するタグ値要素37の候補がボタンとして表示され、それらのボタンを押すことで、対応するタグ値36やタグ値要素37を選択することができる。この図ではタグ値選択画面67に「建物」「乗り物」「動物」「植物」の四つのタグ値要素37に対応するボタンのみが表示されているが、スクロールバーを動かせば、
図8ないし
図9で示したタグ値カタログ18に記載されている、選択可能なすべてのタグ値要素37に対応するボタンを表示させることができる。なお画面に表示されているボタンを操作手段5のマウスを使ってクリックする代わりに、操作手段5のキーボードでショットカットキーを押したり、操作手段5のキーボードにある矢印キーでボタンを選んでからEnterキーを押したりする方法でも、タグ値36やタグ値要素37を選択することができる。
【0143】
タグ値36がタグ値要素37の連結として階層化されている場合、最初に表示されるタグ値選択画面67は第1のタグ値要素選択画面68aである。タグ値選択画面67でタグ値要素37を選択するたびに、その下位の階層のタグ値要素37を選択するタグ値選択画面67が次々にポップアップ表示されていく。
図13は、この実施の形態の、第1のタグ値要素選択画面68a、第2のタグ値要素選択画面68b、第3のタグ値要素選択画面68c、第4のタグ値要素選択画面68dを模式的に示す図である。第1のタグ値要素選択画面68aで第1位(最上位)階層のタグ値要素37を選択すると、第2のタグ値要素選択画面68bが表示され、第2位の階層のタグ値要素37を選択することができるようになる。第2位の階層のタグ値要素37を選択すると、第3のタグ値要素選択画面68cが表示され、第3位の階層のタグ値要素37を選択することができるようになる。そして第3位の階層のタグ値要素37を選択すると、第4のタグ値要素選択画面68dが表示され、第4位の階層のタグ値要素37を選択することができるようになる。
【0144】
図13の(a)は、「タグ付け操作画面」としての第1のタグ値要素選択画面68aを模式的に示す図である。第1のタグ値要素選択画面68aは、タグリスト表示欄54の第3行にある「撮影場所」のタグ34が選択された場合のもので、「撮影場所」というタグ名35に対して選択可能なタグ値36を構成する、第1位(最上位)階層のタグ値要素37のボタンが10個表示されている。ここで利用者が「関東」というタグ値要素37の候補選択ボタン69aを選んで押すと、
図13の(b)に示すように、「タグ付け操作画面」としての第2のタグ値要素選択画面68bがポップアップ表示される。第2のタグ値要素選択画面68bには、「撮影場所」というタグ名35に対して選択可能であり、かつ第1位階層のタグ値要素37が「関東」であるタグ値36を構成する、第2位の階層のタグ値要素37のボタンが7個表示されている。ここで利用者が「茨城県」というタグ値要素37の候補選択ボタン69bを選んで押すと、
図13の(c)に示すように、「タグ付け操作画面」としての第3のタグ値要素選択画面68cがポップアップ表示される。第3のタグ値要素選択画面68cには、「撮影場所」というタグ名35に対して選択可能であり、かつ第1位階層のタグ値要素37が「関東」、第2位の階層のタグ値要素37が「茨城県」であるタグ値36を構成する、第3位の階層のタグ値要素37のボタンが5個表示されている。ここで利用者が「県北」というタグ値要素37の候補選択ボタン69cを選んで押すと、
図13の(d)に示すように、「タグ付け操作画面」としての第4のタグ値要素選択画面68dがポップアップ表示される。第4のタグ値要素選択画面68dには、「撮影場所」というタグ名35に対して選択可能であり、かつ第1位階層のタグ値要素37が「関東」、第2位の階層のタグ値要素37が「茨城県」、第3位の階層のタグ値要素37が「県北」であるタグ値36を構成する、第4位の階層のタグ値要素37のボタンが6個表示されている。ここで利用者が「日立市」というタグ値要素37の候補選択ボタン69dを選んで押すと、タグ値選択手段15は、タグ名35が「撮影場所」であるタグ34に、第1位の階層が「関東」、第2位の階層が「茨城県」、第3位の階層が「県北」、第4位の階層が「日立市」であるようなタグ値36、すなわち「関東¥茨城県¥県北¥日立市」というタグ値36を設定する。
【0145】
このようにタグ値選択画面67やタグ値要素選択画面68では、タグ値36を入力するのに一切の文字入力を必要としない。すべての入力は、タグ値カタログ18に記載されている語句を選択するだけの操作によってなされる。この特徴は、利用者がタグ付けを行うのに要する手間や思考の負担を大きく軽減させる。
【0146】
以上ではタグ名35が「撮影場所」であるタグ34についてのタグ付け方法、すなわちタグ値36の入力方法を説明したが、他のタグ34についても同様の方法でタグ付けを行うことができる。そしてタグ値カタログ18にタグ名35が記載されているすべてのタグ34「種類」「印象」「撮影場所」についてのタグ付けが終わると、選択されている文書ファイル10に対するタグ付けは完了する。これを受けて見出し管理手段8は、文書ファイル10と一対一対応の関係を有する見出しファイル11を作成するか、文書ファイル10と一対一対応の関係を有する既存の見出しファイル11を記録手段4から読み出す。そしてその見出しタグ情報セクションに、タグ付けの終わったすべてのタグ34を書き込み、見出し保存手段16の機能を使って記録手段4に保存する(ステップS5、見出し管理手順)。ここでの「一対一対応の関係」については、すでに[文書ファイルと見出しファイルの一対一対応の関係]の項で詳述した。
【0147】
ステップS3~S5の手順は、ファイルリスト表示欄52に表示されたすべての文書ファイル10に対するタグ付けがなされ、最新の見出しファイル11が記録手段4に保存されるまで行われる(ステップS2の「はい」)。その後利用者は、文書ファイル入力欄51を使って文書ファイル10の別の集合を指定し、新たなタグ付けを始めることもできる。
【0148】
[タグ付け負担の軽減]
上記のようなタグ付け作業には、利用者に大きな負担がかかりがちである。それぞれの文書ファイル10に対する手間は軽微であっても、文書ファイル10の数が非常に多いと、全体としては大きな手間のかかる作業になりやすい。そのためタグ付け画面50にあるファイルリスト表示欄52・タグリスト表示欄54・タグ値選択画面67・タグ値要素選択画面68には、こうした手間を軽減させるための工夫が多数盛り込まれている。
【0149】
まずタグ値選択画面67やタグ値要素選択画面68は、ポップアップ表示される位置を記憶する機能を備える。表示される位置を決めておくことで、利用者がこれらの画面を探し回る必要がないようにしている。視線を動かすことは利用者にとって意外と大きな負担になるので、それを軽減させるための工夫である。
【0150】
タグ値選択画面67やタグ値要素選択画面68では、候補選択ボタン69aを押すのにマウスを使う必要がなく、キーボードだけでも操作することができるようになっている。操作手段5のキーボードでショートカットキーを押してタグ値要素37を選択する方法についてはすでに述べた。これも利用者がマウスポインタを探し回る負担を軽減させるための工夫である。
【0151】
タグ値要素選択画面68は、タグ値要素37が選択され、下位階層のタグ値要素選択画面68がポップアップ表示される時に、上位階層のタグ値要素選択画面68を非表示にするオプション機能も備えている。
図13のようにタグ値要素選択画面68がいくつも同時に表示されると、利用者は目移りしやすくなり、それだけ負担が増える。タグ値要素選択画面68が常に一つだけしか表示されないようにしておくことで、そのような負担を排除することができる。
【0152】
タグリスト表示欄54にも工夫がなされている。タグリスト表示欄54は、文書ファイル10が選択された直後、いくつか表示されているタグ34のうち、まだタグ値36が設定されていないものを自動的に選択するオプション機能を備えている。この機能を活用すると、まずすべての文書ファイル10に対して「種類」タグ34を設定し、次に「印象」タグ34を設定し、最後に「撮影場所」タグ34だけを設定するというタグ付けの進め方も可能となる。この方法では、利用者が文書ファイル10の評価観点を頭の中で切り替える負担を大きく軽減させることができる。
【0153】
タグリスト表示欄54は、あるタグ34に対してタグ値36が設定されると、次のタグ34が自動的に選択されるようにするオプション機能を備えている。利用者はタグ値36を設定する作業と、次のタグ34を選択する作業を交互に繰り返す必要がなく、タグ値36を設定する作業のみに集中することができる。
【0154】
タグリスト表示欄54も、タグ値選択画面67やタグ値要素選択画面68と同様、タグ値を設定するタグ34を選ぶのにマウスを使う必要がなく、キーボードだけでも操作することができるようになっている。これもやはり、利用者がマウスポインタを探し回る負担を軽減させるための工夫である。
【0155】
ファイルリスト表示欄52にも工夫がなされている。ファイルリスト表示欄52は、ある文書ファイル10に対してすべてのタグ34が設定されると、次の文書ファイル10が自動的に選択されるようにするオプション機能を備えている。
【0156】
以上、この実施例における見出しファイル作成・記録装置2について詳しく説明した。このような見出しファイル作成・記録装置2を備えたことで、文書管理装置1は、文書ファイル10と見出しファイル11を一対一対応の関係を有した状態で記録手段4に記録することができる。そして見出しファイル11には、タグ値カタログファイル12に記載されている中から選ばれたタグ名35・タグ値36・タグ値要素37で構成されたタグ34の集合であるタグ集合38を、見出しとして記述することができる。そのため利用者は、体系化されたタグを用いて文書ファイル10の検索を容易に行うことができるようになる。
【0157】
[文書表示装置の構成]
次に文書管理装置1のうち、文書ファイル検索・表示装置3について説明する。文書ファイル検索・表示装置3は、見出しファイル作成・記録装置2が文書ファイル10に対して作成して記録した見出しファイル11を使い、文書管理装置1の利用者が複数の文書ファイル10の中から所望するものを検索して表示させたり取得したりするために用いられる装置である。
【0158】
図14は、この実施の形態の文書ファイル検索・表示装置3の機能ブロック図である。この図に示すとおり、文書ファイル検索・表示装置3は、機能手段としての文書ファイル読み出し手段71と、見出しロード手段72と、タグ値カタログ再構成手段73と、タグ値カタログロード手段74と、表示条件決定手段75と、「選択画面生成手段」としての表示データリスト作成手段76と、記録手段4と、操作手段5と、表示手段6、対応復元手段9とを備える。
【0159】
文書ファイル読み出し手段71は、記録手段4からH個(H≧1)の文書ファイル101,……,10Hを読み出し、それらをリスト化した文書データリスト77を作成する。文書データリスト77の作成は、利用者の操作(たとえば対象とする文書ファイル101,……,10Hが格納されているフォルダを選択する操作)をトリガとしてなされる場合もあり、文書ファイル検索・表示装置3の備える所定の機能手段による能動的な処理をトリガとしてなされる場合もある。
【0160】
見出しロード手段72は、文書ファイル読み出し手段71が読み出した文書ファイル101,……,10Hにそれぞれ対応するH個(H≧1)の見出しファイル111,……,11Hを、記録手段4の中からそれぞれ探し出してロードする。
【0161】
タグ値カタログ再構成手段73は、見出しロード手段72がロードした見出しファイル111,……,11Hを使い、検索・表示に使用されるタグ値カタログ18を再構成する。この再構成は、すべての見出しファイル111,……,11Hから、それらに含まれるすべてのタグ34を抽出し、そのタグ名35とタグ値36をリストアップしてカタログとすることによって行われる。
タグ値カタログロード手段74は、見出しロード手段72がロードした見出しファイル111,……,11Hを作成するのに使われたタグ値カタログファイル12を記録手段4の中から選んでロードし、タグ値カタログ18を得る。
【0162】
表示条件決定手段75は、タグ値カタログ再構成手段73が再構成したタグ値カタログ18に基づき、表示手段6に表示させるデータの表示条件79を決定する。表示条件79は、利用者による操作手段5を使っての操作や、所定の機能手段による自動処理で決定される。
表示データリスト作成手段76は、表示条件79とタグ値カタログ18に基づき、表示データリスト80やサムネイル群81を作成する。表示データリスト作成手段76は、「選択画面」としてのリスト表示画面82を生成して表示手段6に表示させる。リスト表示画面82には、表示データリスト80やサムネイル群81が表示される。この「表示データリスト」や「サムネイル群」については後の[3.表示]の項で詳述する。
【0163】
なお以下では説明を簡略化させるため、特に区別の必要がある場合を除き、文書ファイル101,……,10Hを文書ファイル10、見出しファイル111,……,11Hを見出しファイル11とそれぞれ表記する。
【0164】
[ファイル検索・閲覧の処理手順]
以下、この実施の形態の文書ファイル検索・表示装置3における各種の処理手順を説明する。
【0165】
[システム全体の処理概要(利用者の操作手順)]
図15は、この実施の形態の文書ファイル検索・表示装置3の処理概要を、利用者の操作手順に基づいて説明する概念図である。
【0166】
利用者は記録手段4に記録された、複数の文書ファイル10の中から所望するものを検索し(同図の符号(D))、その内容を表示手段6に表示させたり(同図の符号(F))、文書ファイル検索・表示装置3の外部に取り出したりすることができる。検索の過程で利用者は、それぞれの見出しファイル11に基づく表示データリスト80・サムネイル群81などを表示手段6に表示させ、それを見ながら見出しファイル11の見出しの並べ替えや絞り込みを行うことができる(同図の符号(E))。
【0167】
[1.手順概要]
図16は、この実施の形態の文書ファイル検索・表示装置3の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに基づいて、表示手順の概要を説明する。文書ファイル検索・表示装置3が起動されると、文書ファイル読み出し手段71は準備動作を行う(ステップS11)。この準備動作では、文書ファイル読み出し手段71が、指定された文書ファイル10の集合に含まれるすべての文書ファイル10の網羅的な表示や、文書ファイル10を網羅するリストの表示を行う。準備動作の詳細は後の[2.準備動作の詳細]の項で詳述する。
【0168】
準備動作の後、利用者が検索を行う場合(ステップS12の「はい」)には、表示データリスト作成手段76が検索動作を行う(ステップS13)。この検索動作では、表示データリスト作成手段76が、利用者からの要求に応じ、文書ファイル10のリストを並べ替えたり、絞り込んだりする。検索動作の詳細は後の[3.検索動作の詳細]の項で詳述する。
【0169】
準備動作の後に利用者が検索を行わない場合や、検索動作の後に利用者がさらなる検索を行わない場合(ステップS12の「いいえ」)、文書ファイル検索・表示装置3は動作を終了する。
【0170】
[2.準備動作の詳細]
図17は、この実施の形態の準備動作(ステップS11)の詳細を示すフローチャートである。このフローチャートに基づいて、準備動作の詳細を説明する。
【0171】
準備動作では、まず見出しロード手段72が、対象とする文書ファイル10の集合に対応する見出しファイル11の集合をロードし、その見出しタグ情報セクション23(
図3参照)に記述されているタグ集合38を集めて見出しの集合78を得る(ステップS111)。次にタグ値カタログ再構成手段73が、見出しの集合78に含まれているタグ34をすべて抽出し、それをもとにタグ値カタログ18を再構成する(ステップS112)。また表示データリスト作成手段76が、文書ファイル10をリストアップして文書データリスト77を作成する(ステップS113)。
【0172】
文書データリスト77ができたら、表示データリスト作成手段76が表示データリスト80の初期化を行う(ステップS114)。この初期化は、文書データリスト77をそのまま表示データリスト80にコピーする方法で行うことができる。
【0173】
最後に表示データリスト作成手段76が、表示データリスト80の内容を表示手段6に表示させる(ステップS115)。必要に応じ、文書ファイル10の内容を記録手段4から読み出して表示手段6に表示させることもある。
【0174】
[3.表示]
図18は、この実施の形態の表示手段6に表示されたリスト表示画面82を模式的に示す図である。この図に示す「選択画面」としてのリスト表示画面82には、表示データリスト80が表形式で表示されている。表示データリスト80を構成するファイル行84はそれぞれ文書ファイル10に対応しており、この例ではG個(G≧1)のファイル行84
1,84
2,……,84
GがG個の文書ファイル10のリストを表示している。
【0175】
表示データリスト80は、個々の文書ファイル10の名前を示すファイル名表示列85、更新日時を示す更新日時表示列86、サイズを示すサイズ表示列87を有する。また第1のタグ値表示列88a、第2のタグ値表示列88b、第3のタグ値表示列88c、第4のタグ値表示列88dを有し、これらの列には見出しファイル作成・記録装置2によって文書ファイル10にタグ付けされた内容が表示される。すなわちこれらの列では、タグ値カタログ再構成手段73によって再構成されたタグ値カタログ18に記載されているタグ名35そのものが列見出しとなっており、それぞれの行には、それに対応するタグ値36が文書ファイル10ごとに表示されている。これらの行の一つを利用者がダブルクリックすると、対応する文書ファイル10が選択され、表示手段6に大きく表示される。
【0176】
図18に示すリスト表示画面82には、表示データリスト80に対応する文書ファイル10をサムネイル形式で表示させるサムネイル表示ボタン90、利用者が指定した任意の文書ファイル10を画面いっぱいに表示させる画像表示ボタン91、表示データリスト80に文書データリスト77の内容をそのままコピーし、文書データリスト77の内容をすべて表示させる全表示ボタン92、表示データリスト80を並べ替えて表示させる並べ替えボタン93、対象データリストを絞り込んで表示させる絞り込みボタン94、選択された文書ファイル10を文書ファイル検索・表示装置3の外部に取り出すエクスポートボタン95、対象とする文書ファイル10が格納されているフォルダを変更するフォルダ変更ボタン96が設けられている。
【0177】
利用者がサムネイル表示ボタン90をクリックすると、表示手段6には「選択画面」としてのサムネイル表示画面83が表示される。
図19は、この実施の形態の表示手段6に表示されたサムネイル表示画面83を模式的に示す図である。サムネイル表示画面83には、リスト表示画面82における表示データリスト80の表示の代わりに、文書ファイル10の内容である写真を縮小したサムネイル97の集合であるサムネイル群81が表示される。サムネイル群81には、表示データリスト80に含まれるG個(G≧1)の文書ファイル10に対応するG個のサムネイル97
1,97
2,……,97
Gが含まれる。またサムネイル表示画面83には、
図18に示したリスト表示画面82と同様の画像表示ボタン91、全表示ボタン92、並べ替えボタン93、絞り込みボタン94、フォルダ変更ボタン96が設けられている。さらには表示をリスト表示画面82に戻すためのリスト表示ボタン89が設けられている。リスト表示画面82とサムネイル表示画面83は表示の形態が異なるだけで、機能としてはほぼ同じものを備えている。利用者がサムネイル97の一つをダブルクリックすると、対応する文書ファイル10が選択されて表示手段6に大きく表示される点も、リスト表示画面82の動作に類似している。
【0178】
記録された文書を利用する利用者は、リスト表示画面82やサムネイル表示画面83で、表示させたい文書ファイル10や、表示させたい文書ファイル10を含む可能性がある複数の文書ファイル10を任意に選択することができる。これにより、効率的で容易な文書の検索が可能になっている。
【0179】
[4.検索動作の詳細]
図20は、この実施の形態の検索動作(ステップS13)の詳細を示すフローチャートである。このフローチャートに基づいて、検索動作の詳細を説明する。
【0180】
検索動作では、まず表示条件決定手段75が、利用者が操作手段5を使って表示条件79を入力するのを待機する状態となる(ステップS131)。
【0181】
利用者が表示条件79を入力すると、表示データリスト作成手段76はこの表示条件79に基づき、表示データリスト80を更新する。表示条件79によっては、これに先立って表示データリスト80を初期化する、すなわち文書データリスト77の内容を表示データリスト80にそのままコピーする(ステップS132)必要が生じる。そして表示データリスト80に含まれる文書ファイル10の中から表示条件79に合わないものを除外したり(ステップS133)、表示データリスト80に含まれる文書ファイル10を表示条件79に合わせて並べ替えたり(ステップS134)する。
【0182】
最後に表示データリスト作成手段76は、表示データリスト80や、それから作成されたサムネイル群81を表示手段6に表示させる(ステップS135)。必要に応じ、文書ファイル10の内容を記録手段4から読み出して表示させることもある。
【0183】
[5.表示態様の変更]
図21は、この実施の形態の並べ替え画面101および絞り込み画面111を模式的に示す図である。
図21の(a)は、リスト表示画面82やサムネイル表示画面83にある並べ替えボタン93が押された時、表示手段6に表示される並べ替え画面101を模式的に示している。並べ替え画面101は、利用者が表示データリスト80やサムネイル群81の並べ替えを行う際、その条件を指定する画面として表示手段6に表示される。
【0184】
並べ替え画面101には、並べ替えのキーとなるタグ名35を選択するためのキー選択欄102a・102b、並べ替えのキーとなるタグ値36を昇順・降順のどちらで並べるかを選択する並び順選択ボタン103a・103bが設けられている。さらに並べ替えのキーを追加するキー追加ボタン104、並べ替えのキーを削除するキー削除ボタン105、並べ替えを実行する実行ボタン106、並べ替え画面101を閉じるためのキャンセルボタン107が設けられている。
【0185】
利用者が実行ボタン106を押すと、リスト表示画面82に表示される表示データリスト80や、サムネイル表示画面83に表示されるサムネイル群81の中で、ファイル行84やサムネイル97が指定された条件で並べ替えられる。あらかじめ決められたタグ名35やタグ値36を並べ替えのキーとして使うことで、表示データリスト80やサムネイル群81に対する並べ替えを利用者に効率よく行わせることができる。また複数のキーを使う、多段の並べ替え操作を可能にしたことで、表示データリスト80やサムネイル群81に対する並べ替えを利用者にさらに効率よく行わせることができる。
【0186】
図21の(b)は、リスト表示画面82やサムネイル表示画面83にある絞り込みボタン94が押された時、表示手段6に表示される絞り込み画面111を模式的に示している。絞り込み画面111は、利用者が表示データリスト80やサムネイル群81の絞り込みを行う際、その条件を指定する画面として表示手段6に表示される。
【0187】
絞り込み画面111には第1の条件行112aと第2の条件行112bが表示されており、各行において絞り込みの条件を設定することができる。これらの行には、絞り込みに使用するタグ34のタグ名35を選択するためのタグ選択欄113a・113b、タグ34のタグ値36が満たすべき条件のキーワードを入力するためのキーワード入力欄114a・114b、入力されたキーワードをどのように条件として使用するかを指定するためのキーワード使用方法選択欄115a・115bが設けられている。さらに条件行112を追加する条件追加ボタン116、条件行112を削除するための条件削除ボタン117、絞り込みを実行するための実行ボタン118、絞り込み画面111を閉じるためのキャンセルボタン119が設けられている。
【0188】
利用者が実行ボタン118を押すと、リスト表示画面82に表示される表示データリスト80や、サムネイル表示画面83に表示されるサムネイル群81の中から、絞り込みの条件に適合しないファイル行84やサムネイル97が除外される。あらかじめ決められたタグ名35やタグ値36を絞り込みの条件として使うことで、表示データリスト80やサムネイル群81に対する絞り込みを利用者に効率よく行わせることができる。また複数の条件を使う、多段の絞り込み操作を可能にしたことで、表示データリスト80やサムネイル群81に対する絞り込みを利用者にさらに効率よく行わせることができる。
【0189】
以上の並べ替えや絞り込みはすべて、タグ値カタログ18に記載されている語句に基づいて行われ、一切の文字入力は必要とされない。この特徴は、利用者が所望する文書ファイル10を検索・抽出するのに要する手間や思考の負担を大きく軽減させる。
【0190】
以上の各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0191】
1・・・文書管理装置
2・・・見出しファイル作成・記録装置
3・・・文書ファイル検索・表示装置
4・・・記録手段
5・・・操作手段
6・・・表示手段
7・・・文書管理手段
8・・・見出し管理手段
9・・・対応復元手段
10,101,102,……,10N,101,……,10H・・・文書ファイル
11,111,112,……,11N,111,……,11H・・・見出しファイル
12,12a,12b,12c・・・タグ値カタログファイル(タグ値カタログ)
13・・・文書ファイル分析手段
14・・・タグ値カタログロード手段(タグ付け手段)
15・・・タグ値選択手段(タグ付け手段)
16・・・見出し保存手段
17・・・分析結果
18・・・タグ値カタログ
21・・・見出しファイル本体情報セクション
21a・・・仕様バージョン
21b・・・更新日時
21c・・・タグ付けプログラムの製品名
21d・・・タグ付けプログラムのバージョン
22・・・文書ファイル情報セクション
22a・・・ファイル名(識別情報)
22b・・・更新日時(識別情報)
22c・・・サイズ(識別情報)
23・・・見出しタグ情報セクション
30・・・タプル
31,311,……,31M・・・タプル名
32,321,……,32M・・・タプル値
33・・・タプル集合
34,34a,34b,34c・・・タグ(見出し)
35,351,……,35L・・・タグ名
36,361,……,36L,3611,……,361J,36L1,……,36LJ,36a,……,36f・・・タグ値
37,37a,37b,37c,37d,37e・・・タグ値要素
38・・・タグ集合
39・・・タグ名リスト
40,401,……,40J・・・タグ値リスト
41・・・タグ名列
42・・・タグ値列
43・・・ショートカットキー列
44・・・タブ文字
45・・・円記号
46・・・インデント
47,47a,47b・・・ショートカットキー
50・・・タグ付け画面
51・・・文書ファイル入力欄
52・・・ファイルリスト表示欄(選択画面)
53・・・文書表示欄
54・・・タグリスト表示欄
55・・・ファイルドロップ欄
56・・・ファイル追加ボタン
57・・・ファイルクリアボタン
58・・・共通フォルダ表示欄
59・・・ファイルリスト
60・・・ファイル行
61・・・未分類ファイル選択ボタン
62・・・フォルダ展開ボタン
63・・・分類済みファイル選択ボタン
64・・・選択ファイル除外ボタン
65・・・タグリスト
66・・・タグ行
67・・・タグ値選択画面(タグ付け操作画面)
68,68a,68b,68c,68d・・・タグ値要素選択画面(タグ付け操作画面)
69a,69b,69c,69d・・・候補選択ボタン
71・・・文書ファイル読み出し手段
72・・・見出しロード手段
73・・・タグ値カタログ再構成手段
74・・・タグ値カタログロード手段
75・・・表示条件決定手段
76・・・表示データリスト作成手段
77・・・文書データリスト
78・・・見出しの集合
79・・・表示条件
80・・・表示データリスト
81・・・サムネイル群
82・・・リスト表示画面(選択画面)
83・・・サムネイル表示画面(選択画面)
84,841,842,……,84G・・・ファイル行
85・・・ファイル名表示列
86・・・更新日時表示列
87・・・サイズ表示列
88a,88b,88c,88d・・・タグ値表示列
89・・・リスト表示ボタン
90・・・サムネイル表示ボタン
91・・・画像表示ボタン
92・・・全表示ボタン
93・・・並べ替えボタン
94・・・絞り込みボタン
95・・・エクスポートボタン
96・・・フォルダ変更ボタン
971,972,……,97G・・・サムネイル
101・・・並べ替え画面
102a,102b・・・キー選択欄
103a,103b・・・並び順選択ボタン
104・・・キー追加ボタン
105・・・キー削除ボタン
106・・・実行ボタン
107・・・キャンセルボタン
111・・・絞り込み画面
112,112a,112b・・・条件行
113,113a,113b・・・タグ選択欄
114a,114b・・・キーワード入力欄
115a,115b・・・キーワード使用方法選択欄
116・・・条件追加ボタン
117・・・条件削除ボタン
118・・・実行ボタン
119・・・キャンセルボタン