(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122532
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】荷役システムおよび管理プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240902BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501D
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030120
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卯路 彰
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF01
3F022JJ12
3F022LL06
3F022LL07
3F022LL38
3F022MM11
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3F022NN57
3F022QQ17
3F522BB35
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3F522FF03
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3F522GG03
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3F522GG48
3F522HH02
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3F522HH35
3F522KK04
3F522KK05
3F522LL09
3F522LL10
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】有人搬送車の余分な走行を減らして、時間の浪費を削減することができる荷役システムを提供する。
【解決手段】荷役システムSは、カメラを有する無人飛行体2と、モニタを有する有人搬送車1と、荷役記憶部とマップ記憶部とを有する管理装置3と、を備えている。管理装置3は、荷役スケジュールおよびマップ情報に基づいて、有人搬送車1に荷役指令を送信するとともに、有人搬送車1から荷Wの積み下ろし位置までのルートに関するルート情報を無人飛行体2に送信する。無人飛行体2は、ルート情報を受信すると、有人搬送車1が荷Wの積み下ろし位置に到着する前に、有人搬送車1から荷Wの積み下ろし位置までのルートを予め飛行し、カメラによってルートを撮像し、ルート画像を生成する。モニタは、受信したルート画像を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを有する無人飛行体と、
モニタを有し、オペレータによって運転される有人搬送車と、
前記無人飛行体および前記有人搬送車と通信可能であって、荷役スケジュールを記憶している荷役記憶部と、施設内のマップ情報を記憶しているマップ記憶部とを有する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、前記荷役スケジュールおよび前記マップ情報に基づいて、前記有人搬送車に荷役指令を送信するとともに、前記有人搬送車から荷の積み下ろし位置までのルートに関するルート情報を前記無人飛行体に送信し、
前記無人飛行体は、前記ルート情報を受信すると、前記有人搬送車が前記荷の積み下ろし位置に到着する前に、前記有人搬送車から前記荷の積み下ろし位置までの前記ルートを予め飛行し、
前記カメラは、前記ルートを撮像し、ルート画像を生成し、
前記モニタは、前記ルート画像を表示する、荷役システム。
【請求項2】
前記無人飛行体は、前記ルートを飛行するとき、前記カメラの位置が実質的に前記オペレータの頭の高さになるよう飛行し、
前記カメラは、飛行方向を撮影し、前記ルートを移動中の前記オペレータの視界を予め撮影するよう構成されている、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項3】
前記カメラは、下方を撮影するよう構成されている、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項4】
障害物がない状態の施設内の施設画像を予め記憶している施設画像記憶部と、
前記施設画像と、前記ルート画像とを参照して、前記有人搬送車が障害物に接触する可能性をスコアで出力するスコア出力部をさらに備え、
前記モニタは、出力された前記スコアを表示する、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項5】
障害物がない状態の施設内の施設画像を予め記憶している施設画像記憶部と、
前記施設画像と、前記ルート画像とを参照して、前記有人搬送車が障害物に接触する可能性をスコアで出力するスコア出力部と、
前記スコアを音声によって前記オペレータに報知する報知部と、をさらに備える、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項6】
前記スコア出力部は、前記施設画像および前記ルート画像を入力データとし、前記スコアを出力データとする教師データによって学習させられ、前記施設画像および前記ルート画像を入力されると、前記スコアを出力する第1ニューラルネットを有する、請求項4または5に記載の荷役システム。
【請求項7】
前記有人搬送車から前記荷の積み下ろし位置までの前記ルートは、複数あり、
前記無人飛行体は、複数であって、
前記管理装置は、各前記無人飛行体に別個の前記ルート情報を送信し、
各前記カメラは、それぞれの前記ルートを撮像して前記ルート画像を生成し、
前記スコア出力部は、前記ルートごとに前記スコアを算出する、請求項4または5に記載の荷役システム。
【請求項8】
前記荷の積み下ろし位置には、棚に配置された複数の収納空間が含まれており、
前記カメラは、前記荷の積み下ろし位置を撮像して棚画像を生成するよう構成されており、
前記荷役システムは、
各前記収納空間に対応する各前記荷の位置を記憶している位置記憶部と、
生成された前記棚画像と、荷役管理に基づく各前記荷の位置とを参照して、間違って前記荷が配置された位置を特定する荷特定部と、をさらに備える、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項9】
前記荷特定部によって、前記荷の間違って配置された位置が特定されたとき、荷役情報における正しい位置を当該位置と入れ替える入替部をさらに備える、請求項8に記載の荷役システム。
【請求項10】
前記荷特定部は、第2ニューラルネットを有し、
前記第2ニューラルネットは、前記荷が配置された前記収納空間の画像を教師データとして学習させられ、前記収納空間の画像を入力されると、前記収納空間に前記荷が配置されているか否かを出力するよう構成されている、請求項9に記載の荷役システム。
【請求項11】
請求項1に記載の前記管理装置の動作を前記管理装置に実行させる、請求項1に記載の管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有人搬送車による荷役を管理する荷役システムおよび管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示のように、荷役位置を通知し、有人搬送車に荷役指示を行う荷役システムが開示されている。この種の荷役システムでは、有人搬送車は、通知された荷役位置まで走行して荷の積み下ろしを行う。
【0003】
ところで、荷が保管される倉庫内は、収納場所を確保するために通路が狭いところが多い。また、倉庫内では複数の有人搬送車によって荷役作業が行われることが多い。そのため、上記荷役システムの場合、有人搬送車が通知された荷役位置に向かうルートにおいて、他の有人搬送車が荷役を行っていたりすると、有人搬送車は、進行してきたルートを戻り、他のルートを通って荷役位置に向かう必要があった。また、荷役位置に向かうルートに障害物があるときも、有人搬送車は、ルートを変更する必要があった。有人搬送車にルートを変更させることは、時間を浪費させることになるので問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、有人搬送車の余分な走行を減らして、時間の浪費を削減することができる荷役システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る荷役システムは、カメラを有する無人飛行体と、モニタを有しオペレータによって運転される有人搬送車と、管理装置と、を備えている。管理装置は、無人飛行体および有人搬送車と通信可能であって、荷役スケジュールを記憶している荷役記憶部と、施設内のマップ情報を記憶しているマップ記憶部とを有する。管理装置は、荷役スケジュールおよびマップ情報に基づいて、有人搬送車に荷役指令を送信するとともに、有人搬送車から荷の積み下ろし位置までのルートに関するルート情報を無人飛行体に送信する。無人飛行体は、ルート情報を受信すると、有人搬送車が荷の積み下ろし位置に到着する前に、有人搬送車から荷の積み下ろし位置までのルートを予め飛行し、カメラは、ルートを撮像しルート画像を生成する。モニタは、ルート画像を表示する。
【0007】
上記荷役システムは、好ましくは、無人飛行体が、ルートを飛行するとき、カメラの位置が実質的にオペレータの頭の高さになるよう飛行し、カメラが、飛行方向を撮影し、ルートを移動中のオペレータの視界を予め撮影するよう構成されている。
【0008】
上記荷役システムは、好ましくは、カメラが、下方を撮影するよう構成されている。
【0009】
上記荷役システムは、好ましくは、障害物がない状態の施設内の施設画像を予め記憶している施設画像記憶部と、施設画像と、ルート画像とを参照して、有人搬送車が障害物に接触する可能性をスコアで出力するスコア出力部をさらに備えており、モニタは、出力されたスコアを表示する。
【0010】
上記荷役システムは、好ましくは、障害物がない状態の施設内の施設画像を予め記憶している施設画像記憶部と、施設画像と、ルート画像とを参照して、有人搬送車が障害物に接触する可能性をスコアで出力するスコア出力部と、スコアを音声によってオペレータに報知する報知部と、をさらに備えている。
【0011】
上記荷役システムは、好ましくは、スコア出力部が、施設画像およびルート画像を入力データとし、スコアを出力データとする教師データによって学習させられ、施設画像およびルート画像を入力されると、スコアを出力する第1ニューラルネットを有する。
【0012】
上記荷役システムは、好ましくは、有人搬送車から荷の積み下ろし位置までのルートが複数あり、無人飛行体が複数であって、管理装置が各無人飛行体に別個のルート情報を送信する。各カメラは、それぞれのルートを撮像してルート画像を生成し、スコア出力部は、ルートごとにスコアを算出する。
【0013】
上記荷役システムは、好ましくは、荷の積み下ろし位置には、棚に配置された複数の収納空間が含まれており、カメラが荷の積み下ろし位置を撮像して棚画像を生成するよう構成されている。荷役システムは、各収納空間に対応する各荷の位置を記憶している位置記憶部と、生成された棚画像と、荷役管理に基づく各荷の位置とを参照して、間違って荷が配置された位置を特定する荷特定部と、をさらに備えている。
【0014】
上記荷役システムは、好ましくは、荷特定部によって、荷の間違って配置された位置が特定されたとき、荷役情報における正しい位置を当該位置と入れ替える入替部をさらに備えている。
【0015】
上記荷役システムは、好ましくは、荷特定部が、第2ニューラルネットを有し、第2ニューラルネットは、荷が配置された収納空間の画像を教師データとして学習させられ、収納空間の画像を入力されると、収納空間に荷が配置されているか否かを出力するよう構成されている。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係る管理プログラムは、上記管理装置の動作を管理装置に実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る荷役システムでは、無人飛行体が予めルートを撮像してモニタにルート画像を表示することにより、予めルートに障害物などがあることをオペレータに認識させるので、有人搬送車の余分な走行を減らし時間の浪費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷役システムの側面図である。
【
図4】荷役ステムに係る棚および無人飛行体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図を参照しつつ、本発明の荷役システムに係る一実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る荷役システムSの側面図であり、
図2は、荷役システムSの平面図である。また、
図3は、荷役システムSの機能ブロック図である。
図1および
図2に示すように、荷役システムSは、棚Rと、有人搬送車1と、2つの無人飛行体2と、管理装置3と、を備えている。まず、荷役システムSの各構成から説明する。
【0021】
<棚>
図4は、本発明の棚Rおよび無人飛行体2を示す正面図である。
図4に示すように、棚Rは、複数の収納空間SSを有する。複数の収納空間SSには、荷役に関する荷Wが収納されるよう構成されている。本実施形態では、荷Wは、パレットとともに収納空間SSに収納される。
図4には、これから荷Wを積み下ろしされる予定位置SP、および隣接位置APが示されている。隣接位置APは、予定位置SPに隣接する位置であって、
図4の予定位置SPの場合、8つの隣接位置APがある。
【0022】
<有人搬送車>
図1~
図3に示すように、有人搬送車1は、車輪と、車体10と、左右のマストと、左右のフォーク11と、ヘッドガード12と、モニタ13と、を備えている。
【0023】
有人搬送車1は、管理装置3と通信可能に構成されており、管理装置3から荷役指令を受信する。荷役指令には、荷Wの積み下ろし位置が含まれている。また、有人搬送車1は、自らの位置を認識する公知の機器を有しており、有人搬送車1の位置は、管理装置3に送信されている。
【0024】
左右のマストは、車体10の前方に配置されており、左右のフォーク11は、マストに沿って昇降するよう構成されている。有人搬送車1は、オペレータOの操作によってフォーク11を昇降させられることにより、フォーク11によって荷Wをすくい上げ、すくい上げた荷Wを棚Rまで搬送し収納空間SSに積み下ろしする。
【0025】
ヘッドガード12は、車体10の上方に配置されるとともに水平方向に拡がり、2つの無人飛行体2を離発着可能に構成されている。
【0026】
モニタ13は、荷役指令を受信すると、ルート情報を含む荷役指令を表示する。モニタ13は、ルートを、例えば、施設の2Dマップに示された目的地とともに表示したり、「次を左折してください」、「直進してください」といった文章で表示したりしてもよく、ルートの道順の表示方法は特に限定されない。オペレータOは、表示された荷役指令に従って有人搬送車1を荷役位置まで走行させる。また、モニタ13は、後で説明するカメラ21によって生成された各画像を表示する。
【0027】
<無人飛行体>
2つの無人飛行体2は、本体と、プロペラと、飛行制御部20およびカメラ21(
図3参照)と、をそれぞれ備えている。無人飛行体2は、管理装置3と通信可能に構成されており、管理装置3からルート情報を受信する。ルート情報は、有人搬送車1から荷Wの積み下ろし位置までのルートに関する情報であって、例えば、座標データを含んでいる。
【0028】
飛行制御部20は、プロペラの回転を制御して、無人飛行体2をホバリングさせたり、無人飛行体2の位置を認識しながら無人飛行体2を飛行させるよう構成されている。飛行制御部20は、ルート情報を受信すると、有人搬送車1が荷Wの積み下ろし位置に到着する前に、ルート情報に従って有人搬送車1から荷Wの積み下ろし位置までのルートを無人飛行体2に予め飛行させる。
【0029】
飛行制御部20は、ルートを飛行するとき、カメラ21の位置が実質的に乗車しているオペレータOの頭の高さになるよう飛行するよう構成されている。オペレータOの頭の高さは、乗車するオペレータOの平均的な位置でもよいし、例えば、オペレータOごとの頭の高さに合わせて飛行するよう構成されてもよい。
【0030】
本実施形態では、無人飛行体2が2つで構成されているので、無人飛行体2ごとに別個のルート情報が送信される。そして、各無人飛行体2は、それぞれのルート情報に基づいて、
図2に示すように、他の無人飛行体2と異なるルートL1、L2をそれぞれ飛行する。
【0031】
カメラ21は、無人飛行体2の本体側面に配置されている。カメラ21は、オペレータOの頭の高さで進行しながらルートを撮像してルート画像を生成する。本実施形態では、2つの無人飛行体2が異なるルートを飛行するので、2つのルートL1、L2上におけるルート画像が生成されることになる。生成されたルート画像は、管理装置3に送信されるとともに、管理装置3を介して有人搬送車1に送信されモニタ13によって表示される。ルート画像は、オペレータOの頭の高さで撮影された映像であるので、オペレータOは、ルートにおける走行中の視界をモニタ13で予め確認することができる。
【0032】
さらに、カメラ21は、無人飛行体2が予定位置SPに到着すると、予定位置SP、および予定位置SPに隣接する隣接位置APを予め撮像して棚画像を生成する。2つの無人飛行体2のうち、先に予定位置SPに到着した無人飛行体2は、
図4の矢印に示すように、予定位置SPおよび隣接位置APの前を飛行する。これにより、カメラ21は、予定位置SPおよび隣接位置APを正面から撮像することができる。生成された棚画像は、管理装置3に送信されるとともに、管理装置3を介して有人搬送車1に送信されモニタに表示される。これにより、オペレータOは、予定位置SPに荷Wがあるか否かを予め確認することができる。
【0033】
<管理装置>
管理装置3は、コンピュータを備えるとともに、有人搬送車1および無人飛行体2と通信可能に構成されている。コンピュータは、例えば、サーバコンピュータでもよく、記憶装置と、演算装置と、メモリとによって構成されており、記憶装置には、コンピュータを管理装置3として動作させる管理プログラムが記憶されている。
【0034】
図3に示すように、管理装置3は、荷役記憶部30と、マップ記憶部31と、荷役管理部32と、施設画像記憶部33と、スコア出力部34と、を備えている。
【0035】
荷役記憶部30は、荷役予定と、荷役管理に基づく各収納空間SSに対応する各荷Wの位置とを記憶している。荷役予定とは、荷役に関する予定のことであって、荷役管理に基づく各荷Wの位置とは、これから積み下ろしされる各荷Wに対応する各収納空間SSの位置、およびすでに荷役がなされ各荷Wが配置された各収納空間SSの位置のことである。
【0036】
マップ記憶部31は、施設内のマップ情報を記憶している。施設内のマップ情報には、例えば、棚Rの位置、通路の位置、シャッターの位置、天井の高さ、出入口の大きさ、通路の幅などが含まれている。
【0037】
荷役管理部32は、荷役記憶部30に記憶されている荷役予定およびマップ情報に基づいて、荷役指令を有人搬送車1に送信するとともに、ルート情報を無人飛行体2に送信する。荷役指令には、有人搬送車1から荷Wの積み下ろし位置までのルートを含んでもよく、このルートは複数でもよい。なお、上述したように、本実施形態では、無人飛行体2が2つであるので、荷役管理部32は、各無人飛行体2に別個のルート情報をそれぞれ送信する。
【0038】
施設画像記憶部33は、障害物がない状態の施設内の施設画像を予め記憶している。施設画像は、例えば、予め、無人飛行体2に施設内を飛行させカメラ21によって障害物がない状態の施設内を撮像させることにより生成されてもよい。
【0039】
スコア出力部34は、施設画像と、ルート画像とを参照して、有人搬送車1が障害物に接触する可能性をスコアで出力する。具体的には、スコア出力部34は、第1ニューラルネット340を有し、第1ニューラルネット340は、施設画像およびルート画像を入力データとし、スコアを出力データとする教師データによって入力データとスコアとの相関関係を予め学習させられ、
図5に示すように、施設画像およびルート画像を入力されると、スコアを出力するよう構成されている。これにより、スコア出力部34は、有人搬送車1が障害物に接触する可能性をスコアで出力する。算出されたスコアは、有人搬送車1に送信されモニタ13に表示される。
【0040】
本実施形態の荷役システムSでは、上記構成を備えていることにより、オペレータOは、荷役指令を受信後、積み下ろし位置に向かう前に予めルート画像を参照することができる。これにより、オペレータOは、ルートに障害物があったりして通れないことを積み降ろし位置に向かう前に知ることができる。また、カメラ21がオペレータOの頭の高さで進行しながらルートを撮像しオペレータOが普段運転している景色の画像をルート画像として生成することができる。これにより、オペレータOは、ルート画像を見ることで有人搬送車1が接触しそうな障害物があるか否かを目視で適切に判断することができる。
【0041】
しかも、本実施形態では、ルートが複数ある場合に、スコア出力部34によって有人搬送車1が障害物と接触する可能性のあるスコアが算出され、モニタ13に表示されるので、オペレータOは複数のルートのうちのいずれのルートを走行すべきかをスコアから判断することができる。
【0042】
さらに、管理装置3の構成について説明する。
図3に示すように、管理装置3は、書込部35と、一時記憶部36と、入替部38と、荷特定部39と、をさらに備えている。
【0043】
書込部35は、荷役管理部32が荷役指令を送信すると、各隣接位置APに荷Wが配置されているのかまたはいないのか、といった荷役情報を一時記憶部36に予め書き込んでおく。
【0044】
荷特定部39は、第2ニューラルネットを有する。第2ニューラルネットは、荷Wが配置された収納空間SSの画像を教師データとして予め学習させられ、収納空間SSの画像を入力されると、収納空間SSに荷Wが配置されているか否かを出力するよう構成されている。
【0045】
荷特定部39は、無人飛行体2から棚画像を受信すると、棚画像を第2ニューラルネットに入力することより予定位置SPと、隣接位置APの合計9つの収納空間SSに荷Wが配置されているか否かを判定する。そして荷特定部39は、判定した結果と、一時記憶部36に記憶されている荷役管理に基づく各荷Wの位置とを参照して、間違って荷Wが配置された位置を特定する。間違って荷Wが配置されたとは、本来、予定位置SPに荷Wが配置されているはずが配置されていないであるとか、予定位置SPに荷Wが配置されていないはずなのに別の荷Wが配置されているといった状態のことである。
【0046】
例えば、荷特定部39は、
図4に示すように、荷Wが配置されているはずの予定位置SPに荷Wが配置されておらず、一方で、荷Wが配置されていないはずの隣接位置APに荷Wが配置されている場合、荷Wが隣接位置APに間違って配置されていると判定し、間違って荷Wが配置された位置(例では予定位置SPの直上の隣接位置AP)を特定する。この特定は、荷Wが間違った位置に配置される場合、隣接する位置に配置されることが多いという分析に基づいている。
【0047】
また、荷特定部39は、予め一時記憶部36に隣接位置APの荷役情報が書き込まれているので、隣接位置APの荷役情報を参照するために、全ての荷役情報が記憶されている荷役記憶部30から隣接位置APの荷役情報を検索する必要がない。したがって、荷特定部39は、速やかに隣接位置APの荷役情報を参照することにより、間違った位置に荷Wが配置されていること、および正しい荷Wの位置を速やかに特定することができる。
【0048】
入替部38は、荷特定部39によって、間違って荷Wが配置された位置を特定されたとき、荷役予定における当該位置を予定位置SPと入れ替える。すなわち、荷特定部39は、荷役予定における荷Wが本来配置されている位置を実際に荷Wが配置されている位置に修正する。そして、入替部38は、修正した荷役情報を荷役管理部32に送信するとともに、荷役記憶部30に記憶させる。
【0049】
荷役管理部32は、修正された荷役情報を有人搬送車1に送信する。モニタ13は、修正された荷役情報を表示する。
【0050】
これにより、オペレータOは、荷Wが間違った収納空間SSに収納されていても、予定位置SPに到着する前に、荷Wの正しい位置を認識することができる。これにより、荷役システムSは、オペレータOに荷役を中止させないので、有人搬送車1の余分な走行による時間の浪費を防止することができる。しかも、荷役システムSは、予め一時記憶部36に各隣接位置APの荷Wの配置情報を入力しておくことにより、荷役予定を修正する時間の浪費を削減させることもできる。
【0051】
<荷役システムの動作>
続いて、荷役システムSの一連の動作を、
図6のフローを参照しつつあらためて説明する。
【0052】
(1)まず、荷役システムSは、荷役管理部32によって荷役指令およびルート情報を各無人飛行体2および有人搬送車1にそれぞれ送信する(
図6のS1)。
【0053】
(2)次いで、荷役システムSは、各無人飛行体2を、それぞれのルートを通って予定位置SPに移動させる(
図6のS2)。
【0054】
(3)また、荷役システムSは、書込部35によって隣接位置APの荷役情報を一時記憶部36に書き込んでおく(
図6のS3)。
【0055】
(4)さらに、荷役システムSは、各無人飛行体2によって各ルートを通りながらルート画像を生成し、管理装置3によってルート画像を有人搬送車1に送信し、モニタ13によってルート画像を表示する(
図6のS4)。これにより、オペレータOは、ルートに障害物がないかを予め確認することができる。
【0056】
(5)次いで、荷役システムSは、スコア出力部34によってルート画像および施設画像に基づいてスコアを算出し、管理装置3によってスコアを有人搬送車1に送信し、モニタ13によってスコアを表示する(
図6のS5)。これにより、オペレータOは、複数のルートのうち、いずれのルートの方が通行に適しているのかを確認してルートを移動することができる。
【0057】
(6)次いで、荷役システムSは、無人飛行体2が予定位置SPに到着すると、カメラ21によって予定位置SPおよび隣接位置APを撮像し棚画像を生成し、モニタ13によって棚画像を表示する(
図6のS6)。
【0058】
(7)次いで、荷役システムSは、荷特定部39によって、棚画像に基づいて各収納空間SSに荷Wが配置されているか否かを判定する(
図6のS7)。
【0059】
(8)次いで、荷役システムSは、荷Wが正しい収納空間SSに配置されていない場合(
図6のS7のNo)、荷特定部39によって、間違った位置に荷Wが配置されていること、および正しい荷Wの位置を特定する(
図6のS8)。
【0060】
(9)次いで、荷役システムSは、入替部38によって、間違って配置された荷Wの位置に基づき荷役情報を修正する(
図6のS9)。
【0061】
(10)次いで、荷役システムSは、修正された荷役情報を有人搬送車1に送信し、モニタ13によって修正された位置をオペレータOに報知する(
図6のS10)。これにより、オペレータOは、正しい荷役位置を認識できるので、間違った荷役が行われていても、荷役を中止することなく荷役を続行することができる。
【0062】
以上、本発明の荷役システムに係る一実施形態について説明してきたが、本発明の荷役システムおよび管理プログラムは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る荷役システムSは、以下の変形例によって実施されてもよい。
【0063】
<変形例>
【0064】
・カメラ21は、無人飛行体2の下方を撮影するよう構成されていてもよい。この場合、ルート画像は、上方から路面を撮像した画像であって、施設画像も上方から路面を撮像した画像であり、スコア出力部34は、これら画像に基づいて、スコアを出力するよう予め学習させられる。
【0065】
・有人搬送車1は、受信したスコアを音声によって報知する報知部を備えていてもよい。この場合、有人搬送車1は、モニタ13によってスコアを表示させず、報知部のみによってスコアをオペレータOに報知してもよい。
【0066】
・荷役システムSは、例えば、荷Wを特定するための識別子が記載されたラベルが荷Wに貼付されるとともに棚画像からこの識別子を認識可能に構成されており、荷特定部39は、識別子によって各収納空間SSに対応する特定の荷Wが配置されているか否かを認識することにより、間違って荷Wが配置された位置を特定するよう構成されていてもよい。
【0067】
・荷役システムSは、例えば、入替部38を備えていなくてもよい。この場合、荷役システムSは、間違って荷Wが配置された位置と正しい位置とをオペレータOに報知するよう構成される。これにより、オペレータOは、この報知に従って、予定位置SPに配置された荷Wを正しい位置に配置しなおしたり、予定位置SPになかった荷Wを別の位置から荷W取りすることにより、荷役作業を継続することができる。
【0068】
・荷役システムSは、必ずしも一時記憶部36および書込部35を備えていなくてもよい。この場合、荷特定部39は、荷役記憶部30に記憶されている各荷Wの位置を参照して間違って荷Wが配置された位置を特定する。
【符号の説明】
【0069】
S 荷役システム
1 有人搬送車
10 車体
11 フォーク
12 ヘッドガード
13 モニタ
2 無人飛行体
20 飛行制御部
21 カメラ
3 管理装置
30 荷役記憶部
31 マップ記憶部
32 荷役管理部
33 施設画像記憶部
34 スコア出力部
340 第1ニューラルネット
35 書込部
36 一時記憶部
38 入替部
39 荷特定部
SP 予定位置
AP 隣接位置
W 荷
O オペレータ
R 棚
SS 収納空間