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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012254
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】プリント回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240123BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K3/28 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084770
(22)【出願日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】10-2022-0088227
(32)【優先日】2022-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 明 熙
(72)【発明者】
【氏名】金 相 勳
(72)【発明者】
【氏名】全 起 洙
(72)【発明者】
【氏名】趙 基 殷
(72)【発明者】
【氏名】成 ミン 宰
【テーマコード(参考)】
5E314
5E338
【Fターム(参考)】
5E314AA25
5E314BB12
5E314DD10
5E314FF05
5E314GG17
5E314GG24
5E338AA03
5E338BB19
5E338CC01
5E338CC04
5E338CC06
5E338EE31
(57)【要約】
【課題】キャビティによって露出する配線パターンの損傷及びキャビティ内のフットを防止することができるプリント回路基板を提供する。
【解決手段】本発明によるプリント回路基板は、第1絶縁層と、第1絶縁層の上側に配置される配線パターンと、第1絶縁層の上面上に配置され、配線パターンを露出させるキャビティを有する第2絶縁層と、第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に配置され、キャビティによって側面の一部が露出し、上面は露出しない絶縁パターンと、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上側に配置される配線パターンと、
前記第1絶縁層の上面上に配置され、前記配線パターンを露出させるキャビティを有する第2絶縁層と、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に配置され、前記キャビティによって側面の一部が露出し、上面は露出しない絶縁パターンと、を有することを特徴とするプリント回路基板。
【請求項2】
前記絶縁パターンは、前記第1絶縁層の上面上に配置され、前記第2絶縁層に少なくとも一部が埋め込まれ、側面の一部が前記第2絶縁層から露出し、側面の残りの一部と上面の全体が前記第2絶縁層で覆われることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記絶縁パターンの前記キャビティによって露出する側面の一部は、前記キャビティの壁面と実質的に共面であることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記絶縁パターンは、前記キャビティを囲むように配置されることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記絶縁パターンの厚さは、前記配線パターンの厚さよりさらに厚いことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記キャビティは、前記第2絶縁層の上面及び下面の間を貫通することを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記キャビティは、前記第1絶縁層の上面の少なくとも一部を露出させることを特徴とする請求項6に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記第1絶縁層の上に、又は内に、それぞれ配置される複数の第1配線層と、
前記第1絶縁層内にそれぞれ配置され、前記複数の第1配線層を互いに電気的に接続する複数の第1ビア層と、をさらに有し、
前記複数の第1配線層の内の最上側に配置された層は、前記配線パターンを含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
前記第2絶縁層の上面上に配置される第2配線層と、
前記第2絶縁層内に配置され、前記第2配線層を前記複数の第1配線層と電気的に接続する第2ビア層と、をさらに有することを特徴とする請求項8に記載のプリント回路基板。
【請求項10】
前記第2絶縁層の上面上に配置され、前記キャビティを露出させる第1開口と、前記第2配線層の少なくとも一部を露出させる第2開口を含む第1レジスト層と、をさらに有することを特徴とする請求項9に記載のプリント回路基板。
【請求項11】
前記キャビティ及び前記第1開口上に配置され、前記配線パターンと電気的に接続される第1電子部品と、
前記第2開口上に配置され、前記第2配線層の露出する少なくとも一部と電気的に接続される第2電子部品と、をさらに有することを特徴とする請求項10に記載のプリント回路基板。
【請求項12】
前記第1及び第2電子部品を埋め込むモールディング材と、
前記モールディング材の外面に配置される金属層と、をさらに有することを特徴とする請求項11に記載のプリント回路基板。
【請求項13】
前記第1絶縁層の下面上に配置される第3絶縁層と、
前記第3絶縁層の下面上に配置される第3配線層と、
前記第3絶縁層内に配置され、前記第3配線層を前記複数の第1配線層と電気的に接続する第3ビア層と、をさらに有することを特徴とする請求項8に記載のプリント回路基板。
【請求項14】
前記第3絶縁層の下面上に配置され、前記第3配線層の少なくとも一部を露出させる第3開口を含む第2レジスト層と、をさらに有することを特徴とする請求項13に記載のプリント回路基板。
【請求項15】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上側に配置される配線パターンと、
前記第1絶縁層の上面上に配置され、前記配線パターンを露出させるキャビティを有する第2絶縁層と、
前記キャビティの壁面に沿って配置され、前記第2絶縁層に少なくとも一部が埋め込まれ、熱硬化性レジスト材料を含む絶縁パターンと、を有することを特徴とするプリント回路基板。
【請求項16】
前記熱硬化性レジスト材料は、水酸化ナトリウム(NaOH)に反応することを特徴とする請求項15に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板に関し、特にキャビティによって露出する配線パターンの損傷及びキャビティ内のフットを防止することができるプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パッケージの全体厚さを減少させるために、プリント回路基板の小型化及び薄型化が持続的に要求されている。
このような要求に合わせて、プリント回路基板にキャビティを形成して電子部品を実装する技術が開発されている。
但し、現在の大半の技術では、キャビティ形成過程で露出するパッドがダメージを受ける可能性があり、また、キャビティにフット(foot)が発生して歩留まり向上に困難がある場合があるため、改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記従来のプリント回路基板における課題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、キャビティによって露出する配線パターンの損傷及びキャビティ内のフットを防止することができるプリント回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明を介して提案する様々な解決手段の一つは、キャビティ形成領域に熱硬化性レジストインクなどの絶縁物質を塗布して配線パターンを保護し、COドリルなどを用いるレーザ加工によりキャビティを形成し、この後、キャビティ内の残存する絶縁物質を除去する方法で基板にキャビティを形成することである。
【0005】
例えば、上記目的を達成するためになされた本発明の一実施形態によるプリント回路基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上側に配置される配線パターンと、前記第1絶縁層の上面上に配置され、前記配線パターンを露出させるキャビティを有する第2絶縁層と、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に配置され、前記キャビティによって側面の一部が露出し、上面は露出しない絶縁パターンと、を有することを特徴とする。
【0006】
また、例えば、上記目的を達成するためになされた本発明の一実施形態によるプリント回路基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上側に配置される配線パターンと、前記第1絶縁層の上面上に配置され、前記配線パターンを露出させるキャビティを有する第2絶縁層と、前記キャビティの壁面に沿って配置され、前記第2絶縁層に少なくとも一部が埋め込まれ、熱硬化性レジスト材料を含む絶縁パターンと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るプリント回路基板によれば、キャビティによって露出する配線パターンの損傷及びキャビティ内のフットを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による電子機器システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態による電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態によるプリント回路基板の概略構成を示す断面図である。
図4図3のプリント回路基板のA-A’線に沿って切断した面を示す平面図である。
図5図3のプリント回路基板の製造工程の一例を説明するための断面図である。
図6図3のプリント回路基板の製造工程の一例を説明するための断面図である。
図7図3のプリント回路基板の製造工程の一例を説明するための断面図である。
図8図3のプリント回路基板の製造工程の一例を説明するための断面図である。
図9図3のプリント回路基板の製造工程の一例を説明するための断面図である。
図10図3のプリント回路基板の製造工程の一例を説明するための断面図である。
図11】本発明の他の実施形態によるプリント回路基板の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係るプリント回路基板を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大、縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0010】
本発明における断面上という意味は、対象物を垂直に切断したときの断面形状、又は対象物をサイドビューから見たときの断面形状を意味する。
また、平面上という意味は、対象物を水平に切断したときの形状、又は、対象物をトップビュー又はボトムビューから見たときの平面形状である。
【0011】
本発明において、下側、下部、下面などは、便宜上、図面の断面を基準として有機インターポーザを含む半導体パッケージの実装面に向かう方向を意味するものとして用い、上側、上部、上面などはその反対方向に用いた。
但し、これは説明の便宜上の方向を定義したものであって、特許請求の範囲の権利範囲がこのような方向に対する記載によって特に限定されない。
【0012】
本発明において、接続されるという意味は、直接接続された場合だけでなく、接着剤層などを介して間接的に接続された場合を含む概念である。
また、電気的に接続されるという意味は、物理的に接続された場合と接続されていない場合の両方を含む概念である。
さらに、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるものであって、該当構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。
場合によっては、権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名され得る。
【0013】
本発明で用いる一例という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。
しかしながら、上記提示された一例は、他の一例の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。
例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一例に関連した説明であると理解することができる。
【0014】
本発明で用いる用語は、単に一例を説明するために用いられたものであり、本発明を限定する意図のものではない。
このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【0015】
〔電子機器〕
図1は、本発明の実施形態による電子機器システムの概略構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、電子機器1000は、メインボード1010を収容する。
メインボード1010には、チップ関連部品1020、ネットワーク関連部品1030、及びその他の部品1040などが物理的及び/又は電気的に接続されている。
これらは、後述する他の電子部品とも結合されて、様々な信号ライン1090を形成する。
【0016】
チップ関連部品1020としては、揮発性メモリ(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリなどのメモリチップと、セントラルプロセッサ(例えば、CPU)、グラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、デジタル信号プロセッサ、暗号化プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどのアプリケーションプロセッサチップと、アナログ-デジタルコンバータ、ASIC(application-specific IC)などのロジックチップなどが含まれるが、これに限定されるものではなく、これ以外にもその他の形態のチップ関連の電子部品が含み得る。
さらに、これらのチップ関連部品1020を互いに組み合わせることもできる。
チップ関連部品1020は、上述したチップや電子部品を含むパッケージ形態でもあり得る。
【0017】
ネットワーク関連部品1030としては、Wi-Fi(IEEE 802.11ファミリなど)、WiMAX(IEEE 802.16ファミリなど)、IEEE 802.20、LTE(long term evolution)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPS、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、5G、及びそれ以降のものとして指定された任意の他の無線及び有線プロトコルが含まれるが、これに限定されず、これ以外にもその他の多数の無線又は有線標準やプロトコルのいずれかが含まれ得る。
また、ネットワーク関連部品1030をチップ関連部品1020とともに互いに組み合わせることもできる。
【0018】
その他の部品1040としては、高周波インダクタ、フェライトインダクタ、パワーインダクタ、フェライトビーズ、LTCC(low Temperature Co-Firing Ceramics)、EMI(Electro Magnetic Interference)filter、MLCC(Multi-Layer Ceramic Condenser)などが含まれる。
但し、これに限定されるものではなく、これ以外にもその他の様々な用途のために用いられるチップ部品の形態の受動素子などが含まれ得る。
また、その他の部品1040をチップ関連部品1020及び/又はネットワーク関連部品1030と互いに組み合わせることもできる。
【0019】
電子機器1000の種類に応じて、電子機器1000は、メインボード1010に物理的及び/又は電気的に接続されるか、又は接続されない他の電子部品を含む。
他の電子部品の例を挙げると、カメラ(モジュール)1050、アンテナ(モジュール)1060、ディスプレイ1070、バッテリー1080などがある。
但し、これに限定されるものではなく、オーディオコーデック、ビデオコーデック、電力増幅器、羅針盤、加速度計、ジャイロスコープ、スピーカー、大容量記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)、CD(compact disk)、DVD(digital versatile disk)なども挙げられる。
これ以外にも、電子機器1000の種類に応じて様々な用途のために用いられるその他の電子部品などが含まれ得る。
【0020】
電子機器1000は、スマートフォン(smart phone)、個人用情報端末機(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピュータ(computer)、モニター(monitor)、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)、ネットブック(netbook)、テレビジョン(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)、オートモーティブ(Automotive)などであり得る。
但し、これに限定されず、これ以外にもデータを処理する任意の他の電子機器であることもできる。
【0021】
図2は、本発明の実施形態による電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
図2を参照すると、電子機器は、例えば、スマートフォン1100である。
スマートフォン1100の内部には、マザーボード1110が収容されており、このようなマザーボード1110には様々な部品1120が物理的及び/又は電気的に接続されている。
さらに、カメラモジュール1130及び/又はスピーカー1140のように、マザーボード1110に物理的及び/又は電気的に接続されるか、又は接続されない他の部品が内部に収容されている。
部品1120の一部は、上述したチップ関連部品であり、例えば、部品パッケージ1121であるが、これに限定されるものではない。
部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品を含む電子部品が表面に実装配置されたプリント回路基板の形態である。
又は、部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品が内蔵されたプリント回路基板の形態であることもできる。
一方、電子機器は必ずスマートフォン1100に限定されるものではなく、上述したように他の電子機器でもあり得る。
【0022】
〔プリント回路基板〕
図3は、本発明の実施形態によるプリント回路基板の概略構成を示す断面図であり、図4は、図3のプリント回路基板のA-A’線に沿って切断した面を示す平面図である。
【0023】
図3を参照すると、本発明の実施形態によるプリント回路基板100は、第1絶縁層111、第1絶縁層111の上側に配置された配線パターンP、第1絶縁層111の上面上に配置され、配線パターンPを露出させるキャビティCを有する第2絶縁層112と、第1及び第2絶縁層111、112との間に配置される絶縁パターンIを含む。
配線パターンPが第1絶縁層111の上側に配置されるのは、配線パターンPが第1絶縁層111の上面上に突出して配置される場合と、配線パターンPが第1絶縁層111の上側に埋め込まれて上面が第1絶縁層111の上面から露出する場合を全て含む。
【0024】
絶縁パターンIは、キャビティCの壁面に沿って配置される。
例えば、絶縁パターンIは、キャビティCを囲むように配置される。
絶縁パターンIは、第2絶縁層112に少なくとも一部が埋め込まれ、キャビティCによって側面の一部が露出し、上面は露出しないことがある。
例えば、絶縁パターンIは、第1絶縁層111の上面上に配置され、第2絶縁層112に埋め込まれ、側面の一部が第2絶縁層112から露出し、側面の残りの一部と上面の全体が第2絶縁層112で覆われる。
【0025】
これは、後述するように、第1絶縁層111上に熱硬化性レジストインクなどの絶縁物質を塗布して配線パターンPを保護し、この後、第1絶縁層111上に第2絶縁層112を形成した後、COドリルなどを用いるレーザ加工によりキャビティCを加工し、この後、キャビティC内の残存する絶縁物質を除去する方法で絶縁パターンIを形成するなどの工程の結果として導出される構造的特徴である。
この場合、キャビティCの加工過程で配線パターンPの損傷を防止することができるため、製品の歩留まりを上げることができ、また浮き上がり現象を防止することができ、さらに、第1絶縁層111と配線パターンPの照度偏差も改善することができる。
また、レーザ加工条件をより強くしてキャビティC内のフットも防止できるため、基板設計デザインの自由度を向上させることができ、また、キャビティC形成のためのレーザ加工の単価を改善することができる。
【0026】
絶縁パターンIは、配線パターンPよりも厚さがさらに厚い。
例えば、配線パターンPは、第1絶縁層111の上面上に配置された突出パターンであり、したがって、これを保護するためには、キャビティCの加工前に絶縁パターンIを配線パターンPより厚く形成することが好ましい。
但し、配線パターンPが、第1絶縁層111の上面内に埋め込まれて上面が露出する埋め込みパターンであるとき、この場合には絶縁パターンIの厚さは、特に限定されない。
厚さは、プリント回路基板100の研磨又は切断断面を基準に走査顕微鏡又は光学顕微鏡、例えば、Olympus社の光学顕微鏡(×1000)を用いて測定することができ、厚さが一定でない場合には、任意の5地点で測定した厚さの平均値で大小関係を判断する。
【0027】
絶縁パターンIのキャビティCによって露出する側面の一部は、キャビティCの壁面と実質的に共面である。
実質的に共面であるということは、完全に共面である場合だけでなく、工程誤差などを考慮して、大略的に共面である場合を含む。
このように、絶縁パターンIは、キャビティCの壁面上に突出しない形態で第2絶縁層112に少なくとも一部が埋め込まれる。
【0028】
絶縁パターンIは、熱硬化性レジスト材料を含む。
例えば、絶縁パターンIは、熱硬化性レジストインクを塗布して形成する。
熱硬化性レジストインクは、NaCO+HOに反応して除去される熱硬化性インクではない、NaOHに反応して除去される熱硬化性インクである。
【0029】
キャビティCは、第2絶縁層112の上面及び下面の間を貫通する貫通キャビティの形態を有する。
したがって、キャビティC内のフットの発生を効果的に防止することができる。
キャビティCがこのような貫通キャビティの形態である場合、キャビティCは、第1絶縁層111の上面の少なくとも一部を露出させる。
【0030】
必要に応じて、本発明の実施形態によるプリント回路基板100は、第1絶縁層111の上に、又は内に、それぞれ配置される複数の第1配線層121、及び第1絶縁層111内にそれぞれ配置され、複数の第1配線層121を互いに電気的に接続する複数の第1ビア層131をさらに含むことができる。
複数の第1配線層121の内の最上側及び/又は最下側に配置された層は、第1絶縁層111上に突出するが、これに限定されず、第1絶縁層111内に埋め込まれることもできる。
複数の第1配線層121の内の最上側に配置された層は、配線パターンPを含む。
第1絶縁層111と複数の第1配線層121と複数の第1ビア層131は、コアレス基板の形態を有するが、これに限定されず、必要に応じて、コア層を有するコア基板の形態を有することもできる。
【0031】
必要に応じて、本発明の実施形態によるプリント回路基板100は、第2絶縁層112の上面上に配置される第2配線層122、及び第2絶縁層112内に配置され、第2配線層122を複数の第1配線層121と電気的に接続する第2ビア層132をさらに含む。
また、第2絶縁層112の上面上に配置され、キャビティCを露出させる第1開口h1及び第2配線層122の少なくとも一部を露出させる第2開口h2を含む第1レジスト層114をさらに含む。
また、第1絶縁層111の下面上に配置される第3絶縁層113、第3絶縁層113の下面上に配置される第3配線層123、及び第3絶縁層113内に配置され、第3配線層123を複数の第1配線層121と電気的に接続する第3ビア層133をさらに含む。
また、第3絶縁層113の下面上に配置され、第3配線層123の少なくとも一部を露出させる第3開口h3を含む第2レジスト層115をさらに含む。
【0032】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態によるプリント回路基板100の構成要素についてより詳細に説明する。
【0033】
第1~第3絶縁層(111、112、113)は、それぞれ絶縁物質を含む。
絶縁物質としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、又はこれらの絶縁樹脂がシリカなどの無機フィラー(Inorganic filler)と混合された材料、又は無機フィラーと共にガラス繊維(Glass Fiber、Glass Cloth、Glass Fabric)などの芯材に含浸された樹脂、例えば、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、プリプレグ(Prepreg)などが用いることができるが、これに限定されない。
第1絶縁層111は、複数の絶縁層から構成され、これらの絶縁層は、境界が互いに区分されるか、一体化して境界が区分されないことがある。
複数の絶縁層の層数は、特に限定されない。
複数の絶縁層は、互いに実質的に同じ絶縁材料を含むが、これに限定されない。
第1絶縁層111の具体的な材料は、第2及び第3絶縁層(112、113)と異なるが、これに限定されない。
第2及び第3絶縁層(112、113)は、互いに実質的に同じ絶縁材料を含むが、これに限定されない。
実質的に同じ絶縁材料は、同じ商品名の絶縁材料であり得る。
【0034】
第1及び第2レジスト層(114、115)は、それぞれプリント回路基板100の最外側に配置され、内部構成要素を保護する。
レジスト160の材料は、特に限定されない。
例えば、絶縁物質が用いられるが、このとき、絶縁物質としては、ソルダーレジスト(Solder Resist)が用いられるが、これに限定されない。
ソルダーレジストとしては、液状タイプ又はフィルムタイプを用いることができる。
【0035】
第1~第3配線層(121、122、123)は、それぞれの該当層の設計デザインに応じて様々な機能を行う。
例えば、グランドパターン、パワーパターン、信号パターンなどを含む。
ここで、信号パターンは、グランドパターン、パワーパターンなどを除いた各種信号、例えば、データ信号などを含む。
これらのパターンは、それぞれライン(line)パターン、プレーン(Plane)パターン、及び/又はパッド(Pad)パターンを含む。
例えば、配線パターンPは、パッドパターンを含む。
【0036】
第1~第3配線層(121、122、123)は、それぞれ金属物質を含む。
金属物質としては、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などを用いることができる。
第1~第3配線層(121、122、123)は、それぞれ無電解めっき層(又は化学銅)及び電解めっき層(又は電気銅)を含み、必要に応じて、銅箔をさらに含み得る。
第1配線層121は、複数の層で構成され得、具体的な層数は、特に制限されない。
【0037】
第1~第3ビア層(131、132、133)は、それぞれ該当層の設計デザインに応じて様々な機能を行う。
例えば、グランドビア、パワービア、信号ビアなどを含む。
ここで、信号ビアは、グランドビア、パワービアなどを除いた各種信号、例えば、データ信号などを伝達するためのビアを含む。
第1~第3ビア層(131、132、133)は、それぞれ金属物質を含み得る。
金属物質としては、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などを用いることができる。
【0038】
第1~第3ビア層(131、132、133)は、それぞれ無電解めっき層(又は化学銅)及び電解めっき層(又は電気銅)を含むが、これに限定されない。
第1~第3ビア層(131、132、133)は、それぞれビアホールが金属物質で充填されたフィールドタイプであるが、これに限定されず、ビアホールの壁面に沿って金属物質が配置されたコンフォーマルタイプであることもできる。
第1~第3ビア層(131、132、133)は、それぞれ断面上で互いに同じ方向に、及び/又は互いに反対方向にテーパー形状を有する。
第1ビア層131は、複数の層で構成され得るが、具体的な層数は、特に制限されない。
【0039】
図5図10は、図3のプリント回路基板の製造工程の一例を説明するための断面図である。
図5を参照すると、まずコアレス工程などを用いて第1絶縁層111に複数の第1配線層121及び複数の第1ビア層131を形成する。
次に、第1絶縁層111の上面上に配線パターンPを覆う絶縁パターンIを形成する。
絶縁パターンIは、熱硬化性レジストインクを塗布して形成する。
熱硬化性レジストは、感光性レジストとは異なって、水酸化ナトリウム(NaOH)に反応して除去が容易である。
【0040】
図6を参照すると、第1絶縁層111の上面及び下面上にそれぞれ第2及び第3絶縁層(112、113)を形成する。
具体的には、第1絶縁層111の上面上に最上側の第1配線層121と絶縁パターンIを覆う第2絶縁層112を形成する。
また、第1絶縁層111の下面上に最下側の第1配線層121を覆う第3絶縁層113を形成する。
第1及び第2絶縁層(112、113)は、上述した絶縁物質を含むRCC(Resin Coated Copper)を積層して形成する。
【0041】
図7を参照すると、第2及び第3絶縁層(112、113)にそれぞれ第2及び第3配線層(122、123)と第2及び第3ビア層(132、133)を形成する。
第2及び第3配線層(122、123)と第2及び第3ビア層(132、133)は、第2及び第3絶縁層(112、113)にそれぞれレーザ加工などでビアホールを加工した後、AP(Additive Process)、SAP(Semi AP)、MSAP(Modified SAP)、TT(Tenting)などの配線形成工程で形成する。
【0042】
図8を参照すると、第2絶縁層112にCOドリルなどのレーザ加工を用いてキャビティCを形成する。
このとき、絶縁パターンIは、配線パターンPを保護する。
したがって、より強い条件でレーザ加工によりキャビティCを貫通キャビティ形態で形成することができ、その結果、フットの発生を効果的に防止することができる。
【0043】
図9を参照すると、絶縁パターンIの内のキャビティCによって露出する部分を除去する。
絶縁パターンIの除去には水酸化ナトリウム(NaOH)を用いる。
絶縁パターンIが、その他の強い剥離薬品ではなく、水酸化ナトリウム(NaOH)を介して剥離されるため、配線パターンPの損傷などを最小化することができる。
【0044】
図10を参照すると、第2及び第3絶縁層(112、113)上にそれぞれ第1及び第2レジスト層(114、115)を形成する。
第1及び第2レジスト層(114、115)は、液状タイプのソルダーレジスト材料を塗布した後に硬化して形成するか、又はフィルムタイプのソルダーレジストを積層して形成する。
また、第1及び第2レジスト層(114、115)にそれぞれ第1及び第2開口(h1、h2)及び第3開口h3を形成する。
第1~第3開口(h1、h2、h3)は、フォトリソグラフィ方法、レーザ加工、機械的ドリルなどの絶縁物質の種類に応じて様々な方法で形成することができる。
【0045】
一連の過程を介して上述した本発明の実施形態によるプリント回路基板100が製造されるが、製造方法はこれに限定されるものではない。
その他の内容は、上述したものと実質的に同一であるため、重複する説明は省略する。
【0046】
図11は、本発明の他の実施形態によるプリント回路基板の概略構成を示す断面図である。
図11を参照すると、本発明の他の実施形態によるプリント回路基板500は、パッケージ形態を有する。
【0047】
例えば、上述した本発明の実施形態によるプリント回路基板100上に複数の電子部品(210、220、230)が実装され、これらの複数の電子部品(210、220、230)がモールディング材140でモールディングされる。
モールディング材140の外面には電磁波遮蔽などの目的で金属層250が配置されるが、これに限定されない。
【0048】
第1電子部品210は、キャビティC及び第1開口h1上に配置される。
第1電子部品210は、配線パターンPと導電性接着剤、例えば、はんだ付けなどを介して電気的に接続される。
第1電子部品210は、高容量の受動部品であり得、例えば、パワーインダクタであるが、これに限定されない。
第1電子部品210は、第2及び第3電子部品(220、230)より厚さがさらに厚く、本発明の他の実施形態によるプリント回路基板500は、このような厚い厚さの第1電子部品210がキャビティCに配置されるため、パッケージの全体厚さを下げることができる。
厚さは、プリント回路基板500の研磨又は切断断面を基準に走査顕微鏡又は光学顕微鏡、例えば、Olympus社の光学顕微鏡(×1000)を用いて測定でき、厚さが一定でない場合には、任意の5地点で測定した厚さの平均値で大小関係を判断する。
【0049】
第2電子部品220は、第2開口h2上に配置される。
第2電子部品220は、第2配線層122の露出する少なくとも一部と導電性部材、例えば、はんだボールなどを介して電気的に接続される。
第2電子部品220は、数百から数百万個以上の素子が一つのチップ内に集積化された集積回路(Integrated Circuit:IC)ダイ(Die)である。
集積回路ダイは、アクティブウエハを基に形成されたものであり、この場合、各本体をなす母材としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウムヒ素(GaAs)などが用いられる。
本体には様々な回路が形成されている。
各本体には、接続パッドが形成され、接続パッドは、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの導電性物質を含む。
集積回路ダイは、ベアダイ(bare die)又はパッケージングダイ(packaged die)であり得る。
【0050】
第3電子部品230は、第3開口h3上に配置される。
第3電子部品230は、第2配線層122の露出する他の少なくとも一部と導電性接着剤、例えば、はんだ付けなどを介して電気的に接続される。
第3電子部品230は、その他の受動部品であり得、例えば、MLCCなどであり得るが、これに限定されない。
【0051】
モールディング材240は、複数の電子部品(210、220、230)を保護する。
モールディング材240の材料は、特に限定されず、EMC(Epoxy Molding Compound)などの公知のモールディング材が用いられる。
【0052】
金属層250は、電磁波遮蔽及び放熱などの機能を有し、このために、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などの金属物質を含み得る。
金属層250は、スパッタめっきなどで薄い厚さで形成することができるが、これに限定されない。
【0053】
その他の内容は、本発明の実施形態によるプリント回路基板100で上述したものと実質的に同一であるため、重複する説明は省略する。
【0054】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
100、500 プリント回路基板
111、112、113 (第1~第3)絶縁層
114、115 (第1、第2)レジスト層
121、122、123 (第1~第3)配線層
131、132、133 (第1~第3)ビア層
210、220、230 (第1~第3)電子部品
240 モールディング材
250 金属層
1000 電子機器
1010 メインボード
1020 チップ関連部品
1030 ネットワーク関連部品
1040 その他の部品
1050 カメラ
1060 アンテナ
1070 ディスプレイ
1080 バッテリー
1090 信号ライン
1100 スマートフォン
1110 マザーボード
1120 部品
1121 部品パッケージ
1130 カメラモジュール
1140 スピーカー
C キャビティ
h1、h2、h3 (第1~第3)開口
I 絶縁パターン
P 配線パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11