(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122547
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】債権債務管理装置、債権債務管理方法および債権債務管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240902BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030142
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 尚志
(72)【発明者】
【氏名】池田 隼人
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB44
5L040BB63
5L055BB44
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】作業の軽減を図るとともに、入力間違いを防止し、誤った相殺処理を防止することができる債権債務管理装置、債権債務管理方法および債権債務管理プログラムを提供する。
【解決手段】本実施形態の債権債務管理装置であって、支払予定データおよび相殺申請データの各々から、外部から入力される支払予定日に応じた該当データを抽出し、該当データに基づいて、支払先毎に支払予定金額と相殺金額との大小を比較し、比較結果に基づいて、組み合わせコード毎に、支払先、支払予定日、請求先、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けた相殺結果データを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える債権債務管理装置であって、
伝票番号毎に、支払区分、取引区分、支払方法、支払予定日、支払事業所、支払部門、支払先、支払予定金額および支払通知番号を対応付けた支払予定データと、
相殺申請番号毎に、支払予定日、支払先、債権事業所、債権部門、債権科目、請求先、相殺金額、相殺消費税額を対応付けた相殺申請データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記支払予定データおよび前記相殺申請データの各々から、外部から入力される支払予定日に応じた該当データを抽出する抽出部と、
前記該当データに基づいて、支払先毎に支払予定金額と相殺金額との大小を比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基づいて、組み合わせコード毎に、支払先、支払予定日、請求先、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けた相殺結果データを生成する生成部と、
を備えること、
を特徴とする債権債務管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の債権債務管理装置であって、
前記制御部は、
前記相殺結果データをモニタに表示させる表示制御部をさらに備えること、
を特徴とする債権債務管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の債権債務管理装置であって、
前記生成部は、
前記比較部によって支払予定金額が相殺金額より大きい買勝ちとした場合、債権側の相殺する金額分の入金データであって、組合せコードに、請求先、債権事業所、債権部門、入金予定日、取引区分および入金金額を対応付けた入金データを生成する一方、
前記比較部によって支払予定金額が相殺金額より小さい売勝ちとした場合、債権側の相殺する金額分および相殺する金額分を差し引いた分の入金データであって、組合せコードに、請求先、債権事業所、債権部門、入金予定日、取引区分および入金金額を対応付けた入金データを生成すること、
を特徴とする債権債務管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の債権債務管理装置であって、
前記生成部は、
前記比較部によって前記買勝ちとした場合、債務側の相殺する金額分の前記支払予定データの支払方法を相殺に変更し、かつ、相殺する金額分を差し引いた分の新たな支払予定データを生成する一方、
前記比較部によって前記売勝ちとした場合、債務側の相殺する金額分の前記支払予定データの支払方法を相殺に変更すること、
を特徴とする債権債務管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の債権債務管理装置であって、
定義番号に、データ、取引区分、借方および貸方を対応付けた仕訳定義マスタにさらにアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記仕訳定義マスタを参照し、前記入金データおよび前記支払予定データそれぞれの仕訳データを作成する仕訳データ作成処理部をさらに備えること、
を特徴とする債権債務管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の債権債務管理装置であって、
組合せコードに、支払先および請求先を対応付けた相殺相手設定マスタにさらにアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記相殺申請データを取り込む相殺申請データ取込部をさらに備える、
前記相殺申請データ取込部は、
前記相殺申請データを外部から取り込む場合または外部入力に応じた前記相殺申請データを取り込む場合において、前記相殺相手設定マスタを参照し、支払先と請求先とが紐付かない組合せの前記相殺申請データのとき、前記相殺申請データの取込を中止すること、
を特徴とする債権債務管理装置。
【請求項7】
制御部を備える債権債務管理装置で実行される債権債務管理方法であって、
前記債権債務管理装置は、
伝票番号毎に、支払区分、取引区分、支払方法、支払予定日、支払事業所、支払部門、支払先、支払予定金額および支払通知番号を対応付けた支払予定データと、
相殺申請番号毎に、支払予定日、支払先、債権事業所、債権部門、債権科目、請求先、相殺金額、相殺消費税額を対応付けた相殺申請データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部で実行される、
前記支払予定データおよび前記相殺申請データの各々から、外部から入力される支払予定日に応じた該当データを抽出する抽出ステップと、
前記該当データに基づいて、支払先毎に支払予定金額と相殺金額との大小を比較する比較ステップと、
前記比較ステップの比較結果に基づいて、組み合わせコード毎に、支払先、支払予定日、請求先、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けた相殺結果データを生成する生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする債権債務管理方法。
【請求項8】
制御部を備える債権債務管理装置に実行されるための債権債務管理プログラムであって、
前記債権債務管理装置は、
伝票番号毎に、支払区分、取引区分、支払方法、支払予定日、支払事業所、支払部門、支払先、支払予定金額および支払通知番号を対応付けた支払予定データと、
相殺申請番号毎に、支払予定日、支払先、債権事業所、債権部門、債権科目、請求先、相殺金額、相殺消費税額を対応付けた相殺申請データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部に実行させるための、
前記支払予定データおよび前記相殺申請データの各々から、外部から入力される支払予定日に応じた該当データを抽出する抽出ステップと、
前記該当データに基づいて、支払先毎に支払予定金額と相殺金額との大小を比較する比較ステップと、
前記比較ステップの比較結果に基づいて、組み合わせコード毎に、支払先、支払予定日、請求先、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けた相殺結果データを生成する生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする債権債務管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、債権債務管理装置、債権債務管理方法および債権債務管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分散台帳を用いて、債務記録情報の正当性を確認できる基盤システムを利用して、効率的な清算を行う技術が開示されている。この技術では、各金融機関サーバから取得した支払情報を用いてネッティングを行なうことにより、同じ金融機関についての債権と債務とを相殺して、金融機関による支払または送金の金額を算出後、この算出出結果を分散台帳に記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商社における売掛買掛の相殺処理は、経理部等が相殺の実態をつかめないため、営業部等の現場に、その都度、確認する必要があり手間が生じている。この場合、経理部は、営業部等の現場に確認した相殺の実態内容に基づいて、手動で相殺処理を行う必要があるうえ、相殺処理の内容が正しいか否かの判断も求められるため、膨大な手間と確認作業が発生するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業の軽減を図るとともに、入力間違いを防止し、誤った相殺処理を防止することができる債権債務管理装置、債権債務管理方法および債権債務管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る債権債務管理装置は、制御部を備える債権債務管理装置であって、伝票番号毎に、支払区分、取引区分、支払方法、支払予定日、支払事業所、支払部門、支払先、支払予定金額および支払通知番号を対応付けた支払予定データと、相殺申請番号毎に、支払予定日、支払先、債権事業所、債権部門、債権科目、請求先、相殺金額、相殺消費税額を対応付けた相殺申請データと、にアクセス可能であり、前記制御部は、前記支払予定データおよび前記相殺申請データの各々から、外部から入力される支払予定日に応じた該当データを抽出する抽出部と、前記該当データに基づいて、支払先毎に支払予定金額と相殺金額との大小を比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づいて、組み合わせコード毎に、支払先、支払予定日、請求先、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けた相殺結果データを生成する生成部と、を備えること、を特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る債権債務管理方法は、制御部を備える債権債務管理装置で実行される債権債務管理方法であって、前記債権債務管理装置は、伝票番号毎に、支払区分、取引区分、支払方法、支払予定日、支払事業所、支払部門、支払先、支払予定金額および支払通知番号を対応付けた支払予定データと、相殺申請番号毎に、支払予定日、支払先、債権事業所、債権部門、債権科目、請求先、相殺金額、相殺消費税額を対応付けた相殺申請データと、にアクセス可能であり、前記制御部で実行される、前記支払予定データおよび前記相殺申請データの各々から、外部から入力される支払予定日に応じた該当データを抽出する抽出ステップと、前記該当データに基づいて、支払先毎に支払予定金額と相殺金額との大小を比較する比較ステップと、前記比較ステップの比較結果に基づいて、組み合わせコード毎に、支払先、支払予定日、請求先、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けた相殺結果データを生成する生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る債権債務管理プログラムは、制御部を備える債権債務管理装置に実行されるための債権債務管理プログラムであって、前記債権債務管理装置は、伝票番号毎に、支払区分、取引区分、支払方法、支払予定日、支払事業所、支払部門、支払先、支払予定金額および支払通知番号を対応付けた支払予定データと、相殺申請番号毎に、支払予定日、支払先、債権事業所、債権部門、債権科目、請求先、相殺金額、相殺消費税額を対応付けた相殺申請データと、にアクセス可能であり、前記制御部に実行させるための、前記支払予定データおよび前記相殺申請データの各々から、外部から入力される支払予定日に応じた該当データを抽出する抽出ステップと、前記該当データに基づいて、支払先毎に支払予定金額と相殺金額との大小を比較する比較ステップと、前記比較ステップの比較結果に基づいて、組み合わせコード毎に、支払先、支払予定日、請求先、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けた相殺結果データを生成する生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業の軽減を図るとともに、入力間違いを防止し、誤った相殺処理を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る債権債務管理装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る債権債務管理装置の相殺相手設定マスタにおける相殺相手設定マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る債権債務管理装置の仕訳定義マスタにおける仕訳定義マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る債権債務管理装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る債権債務管理装置の支払予定データにおける支払予定データテーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る債権債務管理装置の請求予定データにおける請求予定データテーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る債権債務管理装置の相殺申請データにおける相殺申請データテーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る債権債務管理装置のモニタが表示する相殺申請入力画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る債権債務管理装置の相殺申請入力部が入力を受け付けた相殺申請データにおける相殺申請データテーブルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る債権債務管理装置のモニタが表示する相殺申請データ取込画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る債権債務管理装置の抽出部によって支払予定日で抽出された支払予定データにおける支払予定データテーブルの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る債権債務管理装置の抽出部によって支払予定日で抽出された相殺申請データにおける相殺申請データテーブルの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る債権債務管理装置の比較部が比較した比較結果データテーブルの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、自社と取引先Aとの2社間の相殺処理の概要を示す図である。
【
図15】
図15は、自社と取引先Aとの相殺処理結果の概要を示す図である。
【
図16】
図16は、自社と支払先Bおよび自社と請求先Xの3社間の相殺処理の概要を示す図である。
【
図17】
図17は、自社と支払先Bおよび自社と請求先Xの3社間の相殺処理結果の概要を示す図である。
【
図18】
図18は、自社と支払先Cおよび自社と請求先Yの3社間の相関処理の概要を示す図である。
【
図19】
図19は、自社と支払先Cおよび自社と請求先Yの3社間の相関処理結果の概要を示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態に係る債権債務管理装置の生成部が生成する入金データの入金データテーブルの一例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態に係る債権債務管理装置の生成部が生成する支払予定データの支払予定データテーブルの一例を示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態に係る債権債務管理装置の生成部が生成する入金データの入金データテーブルの一例を示す図である。
【
図23】
図23は、実施形態に係る債権債務管理装置の生成部が生成する支払予定データの支払予定データテーブルの一例を示す図である。
【
図24】
図24は、実施形態に係る債権債務管理装置のモニタが表示する相殺結果の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、債権側の仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図26】
図26は、債務側の仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図27】
図27は、債務側において既に仕入入力で作成された仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図28】
図28は、債権側の仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図29】
図29は、債権側において既に仕入入力で作成された仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図30】
図30は、債務側の仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る債権債務管理装置、債権債務管理方法および債権債務管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
[1.構成]
本実施形態に係る債権債務管理装置の構成の一例について、
図1等を参照して説明する。
図1は、債権債務管理装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
【0013】
図1に示す債権債務管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、債権債務管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0014】
債権債務管理装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108と、を備えている。債権債務管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0015】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、債権債務管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と、通信回線と、を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、債権債務管理装置100と、サーバ200と、を相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0016】
入出力インターフェース部108には、入力装置112と、出力装置114と、が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0017】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、相殺相手設定マスタ106aと、仕訳定義マスタ106bと、支払予定データ106cと、請求予定データ106dと、相殺申請データ106eと、を記憶している。
【0018】
相殺相手設定マスタ106aは、組合せCD(コード)毎に、支払先および請求先を対応付けて記憶している。
【0019】
図2は、相殺相手設定マスタ106aにおける相殺相手設定マスタテーブルの一例を示す図である。
図2に示す相殺相手設定マスタテーブルT1の1行目に示すように、組合せCD「1001」に、支払先「取引先A」と請求先「取引先A」とを対応付けて記憶している。
【0020】
仕訳定義マスタ106bは、定義番号毎に、データ、取引区分、借方および貸方を対応付けて記憶している。
【0021】
図3は、仕訳定義マスタ106bにおける仕訳定義マスタテーブルの一例を示す図である。
図3に示す仕訳定義マスタテーブルT2の1行目に示すように、定義番号「1」に、データ「入金データ」、取引区分「相殺」、借方「相殺仮勘定」および貸方「売掛金」を対応付けて記憶している。
【0022】
なお、支払予定データ106c、請求予定データ106dおよび相殺申請データ106eの詳細は、後述する。
【0023】
図1に戻り、債権債務管理装置100の構成の説明を続ける。
制御部102は、債権債務管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、仕入入力部102aと、売上入力部102bと、相殺内容作成処理部102cと、相殺申請入力部102dと、相殺申請データ取込部102eと、抽出部102fと、比較部102gと、生成部102hと、表示制御部102iと、仕訳データ作成処理部102jと、を備える。
【0024】
仕入入力部102aは、営業部等の現場のユーザが入力装置112を介して入力した仕入入力の操作内容に従って支払予定データ106cを作成する仕入入力処理を実行する。
【0025】
売上入力部102bは、営業部等の現場のユーザが入力装置112を介して入力した売上入力の操作内容に従って請求予定データ106dを作成する売上入力処理を実行する。
【0026】
相殺内容作成処理部102cは、営業部等の現場のユーザが入力装置112を介して入力した相殺申請の内容に従って、相殺申請データを作成する相殺内容作成処理を実行する。
【0027】
相殺申請入力部102dは、相殺相手設定マスタ106aを参照し、経理部のユーザが入力装置112を介して営業部からの送付された相殺申請データに対応する相殺支払情報や印刷物に見ながら入力する相殺視線入力画面をモニタ114に表示させ、相殺申請データの入力を受け付ける相殺申請入力処理を実行する。
【0028】
相殺申請データ取込部102eは、相殺相手設定マスタ106aを参照し、経理部のユーザが入力装置112を介して営業部からの送付された相殺申請データの取込を行うための相殺申請データ取込画面をモニタ114に表示させ、取込ファイルを指定する相殺申請データ取込処理を実行する。
【0029】
抽出部102fは、支払予定データ106cおよび相殺申請データ106eから、経理部のユーザが入力装置112を介して入力される支払予定日に応じた支払予定データ106cおよび相殺申請データ106eを抽出する。
【0030】
比較部102gは、抽出部102fが抽出した支払先に対して、支払予定金額と相殺金額(相殺消費税額込)との大小比較を行う。
【0031】
生成部102hは、比較部102gによって大小比較された比較結果に基づいて、入金データを生成する。具体的には、生成部102hは、債権側の入金データおよび債務側の支払予定データを生成する。
【0032】
表示制御部102iは、相殺結果をモニタ114に表示させる相殺結果確認出力処理を実行する。
【0033】
仕訳データ作成処理部102jは、仕訳定義マスタ106b、生成部102hが生成した入金データおよび支払予定データの仕訳データに基づいて、相殺研鑽処理された結果の仕訳データを作成する仕訳データ作成処理を実行する。
【0034】
[2.債権債務管理装置が実行する処理]
次に、債権債務管理装置100が実行する処理について説明する。
図4は、債権債務管理装置100が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0035】
図4に示すように、まず、仕入入力部102aは、営業部等の現場のユーザが入力装置112を介して入力した仕入入力の操作内容に従って支払予定データ106cを作成する仕入入力処理を実行する(ステップS1)。
【0036】
図5は、支払予定データ106cにおける支払予定データテーブルの一例を示す図である。
図5に示す支払予定データテーブルT3には、伝票番号に、行、支払区分、取引区分、支払方法、支払予定日、支払事業所、支払部門、支払先、支払予定金額および支払通知番号を対応付けて記憶されている。
【0037】
具体的には、支払予定データテーブルT3の1行目には、伝票番号「SIH0001」に、行「1」、支払区分「締支払」、取引区分「仕入」、支払方法「売掛相殺」、支払予定日「2022/3/15」、支払事業所「A01:経理本部」、支払先「取引先A」、支払予定金額「120,000」および支払通知番号「A0LQ0111」を対応付けて記憶されている。
【0038】
なお、
図5に示す支払予定データテーブルT3では、全てのデータに支払通知番号が採番されているが、これに限定されることなく、通常、承認されたデータに採番され、支払(相殺含む)の対象データとなる。
【0039】
図4に戻り、ステップS2以降の説明を続ける。
ステップS2において、売上入力部102bは、営業部等の現場のユーザが入力装置112を介して入力した売上入力の操作内容に従って請求予定データ106dを作成する売上入力処理を実行する。
【0040】
図6は、請求予定データ106dにおける請求予定データテーブルの一例を示す図である。
図6に示す請求予定データテーブルT4には、伝票番号に、行、請求区分、取引区分、回収方法、回収予定日、入金事業者、入金部門、請求先、税抜金額および消費税額を対応付けて記憶されている。
【0041】
具体的には、
図6に示す請求予定データテーブルT4の1行目には、伝票番号「SEI0001」に、行「1」、請求区分「請求」、取引区分「請求計上」、回収方法「振込」、回収予定日「2022/3/31」、入金事業者「B01:宇都宮営業所」、入金部門「B0100:宇都宮1課」、請求先「取引先A」、税抜金額「100,000」および消費税額「10,000」を対応付けて記憶している。
【0042】
図4に戻り、ステップS3以降の説明を続ける。
ステップS3において、相殺内容作成処理部102cは、営業部等の現場のユーザが入力装置112を介して入力した相殺申請の内容に従って、相殺申請データを作成する相殺内容作成処理を実行する。
【0043】
図7は、相殺申請データにおける相殺申請データテーブルの一例を示す図である。
図7に示す相殺申請データテーブルT5には、支払予定日に、支払先、債権事業所、債権部門、債権科目、請求先、相殺金額、相殺消費税額および備考を対応付けて記憶している。
【0044】
具体的には、
図7に示す相殺申請データテーブルT5の1行目には、支払予定日「2022/3/15」に、支払先「取引先A」、債権事業所「宇都宮営業所」、債権部門「宇都宮1課」、債権科目「売掛金」、請求先「取引先A」、相殺金額「100,000」および相殺消費税額「10,000」を対応付けて記憶している。同様に、相殺申請データテーブルT5の4行目には、支払予定日「2022/3/15」に、支払先「支払先B」、債権事業所「中国支店」、債権部門「広島1課」、債権科目「受取報奨金」、請求先「請求先X」、相殺金額「3,000」、相殺消費税額「300」および備考「セール 中国分」を対応付けて記憶している。
【0045】
図4に戻り、ステップS4以降の説明を続ける。
ステップS4において、制御部102は、経理部のユーザが入力装置112を介して入力する操作内容が営業部等の現場から提出される相殺申請が入力であるか否かを判断する。制御部102によって経理部のユーザが入力装置112を介して入力する操作内容が営業部等の現場から提出される相殺申請が入力であると判断された場合(ステップS4:Yes)、債権債務管理装置100は、ステップS5へ移行する。これに対して、制御部102によって経理部のユーザが入力装置112を介して入力する操作内容が営業部等の現場から提出される相殺申請が入力でないと判断された場合(ステップS4:No)、債権債務管理装置100は、ステップS6へ移行する。
【0046】
ステップS5において、相殺申請入力部102dは、相殺相手設定マスタ106aを参照し、経理部のユーザが入力装置112を介して営業部からの送付された相殺申請データに対応する相殺支払情報や印刷物に見ながら入力する相殺視線入力画面をモニタ114に表示させ、相殺申請データの入力を受け付ける相殺申請入力処理を実行する。
【0047】
図8は、モニタ114が表示する相殺申請入力画面の一例を示す図である。
図8に示す相殺申請入力画面P1には、経理部のユーザが入力装置112を介して相殺申請の内容を入力する入力エリアB1と、入力結果を反映する明細テーブルB2と、が含まれる。
【0048】
図8に示すように、相殺申請入力部102dは、入力装置112を介して入力エリアB1に入力された相殺申請の内容の入力を受け付け、この受け付けた内容を明細テーブルB2に反映する。入力エリアB1には、支払予定日、支払先、債権事業所、債権部門、債権科目、請求先、相殺金額、相殺消費税額および備考それぞれの各項目が入力される。これにより、相殺申請入力部102dは、相殺申請データ106eの入力を受け付ける。
【0049】
図9は、相殺申請入力部102dが入力を受け付けた相殺申請データにおける相殺申請データテーブルの一例を示す図である。
図9に示す相殺申請データテーブルT6に示すように、相殺申請入力部102dは、
図7で説明した相殺申請データテーブルT5と同様の内容が入力する。ステップS5の後、債権債務管理装置100は、
図4のステップS7へ移行する。
【0050】
図4に戻り、ステップS6以降の説明を続ける。
ステップS6において、相殺申請データ取込部102eは、相殺相手設定マスタ106aを参照し、経理部のユーザが入力装置112を介して営業部からの送付された相殺申請データの取込を行うための相殺申請データ取込画面をモニタ114に表示させ、取込ファイルを指定する相殺申請データ取込処理を実行する。
【0051】
図10は、モニタ114が表示する相殺申請データ取込画面の一例を示す図である。
図10に示す相殺申請データ取込画面P2には、取込ファイルのパス(アドレス)を指定する取込ファイルパスセルB3と、取込を指示する取込ボタンB4と、が含まれる。
【0052】
図10に示す場合、相殺申請データ取込部102eは、取込ファイルパスセルB3で指定されたファイル、例えば
図7の相殺申請データ(上述した
図9の相殺申請データテーブルT6を参照)の取込を行う。この場合、相殺申請データ取込部102eは、相殺相手設定マスタ106aを参照し、支払先と請求先とが紐付かない組合せの相殺申請データ106eのとき、相殺申請データ106eの取込を中止する。このとき、表示制御部102iは、相殺申請データ106eが取り込めない旨の警告や支払先と請求先とが紐付かない旨のエラー警告をモニタ114に表示してもよい。ステップS6の後、債権債務管理装置100は、
図4のステップS7へ移行する。
【0053】
図4に戻り、ステップS7以降の説明を続ける。
ステップS7において、債権債務管理装置100は、相殺申請データ106eに基づいて、支払予定データ106cと請求予定データ106dとの相殺する相殺計算処理を実行する。
【0054】
[2.1 抽出の概要]
まず、相殺計算処理における抽出部102fによる抽出内容について説明する。
抽出部102fは、支払予定データ106cおよび相殺申請データ106eから、経理部のユーザが入力装置112を介して入力される支払予定日に応じた支払予定データ106cおよび相殺申請データ106eを該当データとして抽出する。
【0055】
図11は、抽出部102fによって支払予定日で抽出された支払予定データにおける支払予定データテーブルの一例を示す図である。
図12は、抽出部102fによって支払予定日で抽出された相殺申請データにおける相殺申請データテーブルの一例を示す図である。
【0056】
図11に示す支払予定データテーブルT21および
図12に示す相殺申請データテーブルT22に示すように、抽出部102fは、指定された支払予定日を基準に支払予定データ106cおよび相殺申請データ106eから各項目を抽出する。なお、
図11および
図12では、上述した
図5の支払予定データテーブルT3および
図7の相殺申請データテーブルT5と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0057】
[2.2 大小比較の概要]
次に、相殺計算処理における比較部102gが比較する比較内容について説明する。
比較部102gは、抽出部102fが抽出した抽出結果の支払先に対して、支払予定金額と相殺金額(相殺消費税額込)との大小比較を行う。
【0058】
図13は、比較部102gが比較した比較結果データテーブルの一例を示す図である。
図13に示す比較結果データテーブルT23には、組合せCD(コード)に、支払先、支払予定日、請求先、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けて記憶されている。
【0059】
具体的には、比較結果データテーブルT23の1行目には、組合せCD「1001」に、支払先「取引先A」、支払予定日「2022/3/15」、請求先「取引先A」、支払予定金額「6,620,000」、相殺金額「5,610,000」および差引支払額「1,010,000」を対応付けて記憶されている(以下、「その1」という)。
【0060】
また、比較結果データテーブルT23の2行目には、組合せCD「1002」に、支払先「支払先B」、支払予定日「2022/3/15」、請求先「請求先X」、支払予定金額「5,000」、相殺金額「3,300」および差引支払額「1,700」を対応付けて記憶されている(以下、「その2」という)。
【0061】
さらに、比較結果データテーブルT23の3行目には、組合せCD「1003」に、支払先「支払先C」、支払予定日「2022/3/15」、請求先「請求先Y」、支払予定金額「10,500」、相殺金額「22,440」および差引支払額「-11,940」を対応付けて記憶している(以下、「その3」という)。
【0062】
比較部102gは、相殺計算処理において、支払先の支払予定金額を基本とし、請求先の相殺金額(税込)との間で大小比較を行う。
【0063】
具体的には、比較結果データテーブルT23の1行目より、取引先Aは、支払予定金額の合計額が6,620,00円であり、相殺金額の合計額が5,610,000円であるため、支払予定金額>相殺金額(6,620,00円>5,610,000円)となるので、「買勝ち」となる。
【0064】
また、比較結果データテーブルT23の2行目より、支払先Bは、支払予定金額の合計額が5,000円であり、相殺金額の合計額が3,300円であるため、支払予定金額>相殺金額(5,000円>3,300円)となるので、「買勝ち」となる。
【0065】
さらに、比較結果データテーブルT23の3行目より、支払先Cは、支払予定金額の合計額が10,500円であり、相殺金額の合計額が22,440円であるため、支払予定金額<相殺金額(10,500円<22,440円)となるので、「売勝ち」となる。
【0066】
ここで、2社間相殺および3者間相殺の概要について説明する。
[2.2-1 その1の概要]
まず、比較結果における「その1」である自社と取引先A社との2社間の相殺処理の概要について説明する。
図14は、自社と取引先Aとの2社間の相殺処理の概要を示す図である。
図15は、自社と取引先Aとの相殺処理結果の概要を示す図である。
【0067】
図14の2社間の取引状況に示すように、自社は、取引先Aに対する債権が5,610,000円であり、取引先Aに対する債務が6,620,000円である。即ち、2社間の相殺処理では、自社が取引先Aに対して、6,620,000円の支払予定があり、自社が取引先Aに対して、5,610,000円の回収予定がある。このため、相殺処理では、5,610,000円を相殺することで、自社と取引先Aに対して自動的に相殺を実施することができる。
【0068】
この結果、
図15に示すように、自社は、取引先Aに対する債権が0円となり、自社の取引先Aに対する債務が1,010,000円となり、相殺が5,610,000円となり、取引先Aに対して、1,010,000円が支払予定となる。
【0069】
[2.2-2 その2の概要]
次に、比較結果における「その2」である自社と支払先Bおよび自社と請求先Xの3社間の相殺処理の概要について説明する。
図16は、自社と支払先Bおよび自社と請求先Xの3社間の相殺処理の概要を示す図である。
図17は、自社と支払先Bおよび自社と請求先Xの3社間の相殺処理結果の概要を示す図である。
【0070】
図16に示す3社間の取引状況に示すように、自社は、請求先Xに対する債権が3,300円であり、支払先Bに対する債務が5,000円である。さらに、
図16に示す3社間の取引状況に示すように、請求先X(X社)と支払先B(B社)の2社間では、債権債務4,000円が存在するが、自社の債権債務管理装置100で管理していないため、把握することができない。即ち、自社は、支払先B(B社)に対して、5,000円の支払予定があり、請求先X(X社)に対して、3,300円の回収予定がある。さらに、B社とX社との2社間で、債権債務管理装置100で管理できていないが、4,000円の債権債務がある。このため、相殺処理では、3,300円を相殺する。
【0071】
この結果、
図17に示すように、自社は、請求先X(X社)に対する債権が0円となり、支払先B(B社)に対する債務が1,700円となる。さらに、請求先X(X社)と支払先B(B社)の2社間では、債権債務700円となるが、自社の債権債務管理装置100で管理していないため、把握することができない。この債権債務700円は、自社にとって重要でない。
【0072】
[2.2-3 その3の概要]
次に、比較結果における「その3」である自社と支払先Cおよび自社と請求先Yの3社間の相関処理の概要について説明する。
図18は、自社と支払先Cおよび自社と請求先Yの3社間の相関処理の概要を示す図である。
図19は、自社と支払先Cおよび自社と請求先Yの3社間の相関処理結果の概要を示す図である。
【0073】
図18に示す3社間の取引状況に示すように、自社は、請求先Y(Y社)に対する債権が22,440円であり、支払先C(C社)に対する債務が10,500円である。さらに、
図18に示す3社間の取引状況に示すように、請求先Y(Y社)と支払先C(C社)の2社間では、債権債務15,000円が存在するが、自社の債権債務管理装置100で管理していないため、把握することができない。即ち、自社は、支払先C(C社)に対して、10,500円の支払予定があり、請求先Y(Y社)に対して、22,440円の回収予定がある。さらに、Y社とC社との2社間で、債権債務管理装置100で管理できていないが、15,000円の債権債務がある。このため、相殺処理では、10,500を相殺する。
【0074】
この結果、
図19に示すように、自社は、支払先C(C社)に対する債権が0円となり、請求先Y(Y社)に対する債権が11,940円となる。さらに、請求先Y(Y社)と支払先C(C社)の2社間では、債権債務4,500円となるが、自社の債権債務管理装置100で管理していないため、把握することができない。この債権債務4,500円は、自社にとって重要でない。
【0075】
[2.3 入金データの概要]
次に、相殺計算処理における生成部102hが生成する入金データの内容について説明する。生成部102hは、比較部102gによって大小比較された比較結果に基づいて、入金データを生成する。なお、以下においては、買勝ちの場合と売勝ちの場合とを分けてそれぞれ説明する。
【0076】
[2.3-1 買勝ちの場合]
まず、比較部102gの比較結果が買勝ちの場合について説明する。この場合、生成部102hは、債権側の入金データおよび債務側の支払予定データを生成する。なお、買勝ちの例として、支払先Bを一例として説明するが、取引先Aであっても買勝ちのため、同様の処理を行う。
【0077】
[2.3-1-1 買勝ちの場合における債権側]
まず、債権側について説明する。生成部102hは、債権側について相殺する金額分の入金データを生成する。
図20は、生成部102hが生成する入金データの入金データテーブルの一例を示す図である。
【0078】
図20に示すように、生成部102hは、比較部102gが比較した比較結果データおよび相殺申請データに基づいて、組合せCD(コード)に、請求先、債権事業所、債権部門、入金予定日、取引区分および入金金額を対応付けた入金データを生成する。
【0079】
具体的には、入金データテーブルT31には、組合せCD「1002」に、請求先「請求先X」、債権事業所「中国支店」、債権部門「広島1課」、入金予定日「2022/3/31」、取引区分「相殺」および入金金額「3,300」を対応付けて記憶されている。より具体的には、生成部102hは、組合せCD、請求先、入金金額を比較結果データから設定し、債権事業所および債権部門を相殺申請データから設定するとともに、入金予定日を請求予定データから設定し、かつ、取引区分を相殺に設定して入金データテーブルT31を生成する。
【0080】
[2.3-1-2 買勝ちの場合における債務側]
次に、債務側について説明する。生成部102hは、支払予定データに基づいて、債務側について支払予定データの支払方法「相殺」および「振込」それぞれの支払予定データを生成する。
図21は、生成部102hが生成する支払予定データの支払予定データテーブルの一例を示す図である。
【0081】
図21に示すように、生成部102hは、支払予定データを用いて、相殺する金額分の支払予定データの支払方法を「相殺」に変更し、かつ、相殺する金額を差し引いた分の支払予定データであって支払方法を「振込」とする支払予定データを生成する。
【0082】
具体的には、
図21に示す支払予定データテーブルT32の1行目に示すように、伝票番号「SIH0004」に、行「1」、支払区分「締支払」、取引区分「経費計上」、支払方法「相殺」、支払予定部「2022/3/15」、支払事業所「A01:経理本部」、支払部門「A0100:経理本部」、支払先「支払先B」、支払予定金額「3,300」および支払通知番号「A0LQ0114」を対応付けて記憶している。
【0083】
同様に、
図21に示す支払予定データテーブルT32の2行目に示すように、伝票番号「SIH0004」に、行「2」、支払区分「締支払」、取引区分「経費計上」、支払方法「振込」、支払予定部「2022/3/15」、支払事業所「A01:経理本部」、支払部門「A0100:経理本部」、支払先「支払先B」、支払予定金額「1,700」および支払通知番号「A0LQ0114」を対応付けて記憶している。
【0084】
[2.4-1 売勝ちの場合]
次に、売勝ちの場合について説明する。この場合、生成部102hは、債権側の入金データおよび債務側の支払予定データを生成する。なお、売勝ちの例として、支払先Cを一例として説明する。
【0085】
[2.4-1-1 売勝ちの場合における債権側]
まず、債権側について説明する。生成部102hは、債権側について相殺する金額分の入金データを生成する。
図22は、生成部102hが生成する入金データの入金データテーブルの一例を示す図である。
【0086】
図22に示すように、生成部102hは、比較部102gが比較した比較結果データおよび相殺申請データに基づいて、組合せCD(コード)に、請求先、債権事業所、債権部門、入金予定日、取引区分および入金金額を対応付けた入金データを生成する。
【0087】
具体的には、入金データテーブルT33の1行目には、組合せCD「1003」に、請求先「請求先Y」、債権事業所「東北支店」、債権部門「東北1課」、入金予定日「2022/3/31」、取引区分「相殺」および入金金額「440」を対応付けて記憶されている。より具体的には、生成部102hは、組合せCD、請求先を比較結果データから設定し、債権事業所および債権部門を相殺申請データから設定するとともに、生成部102hは、入金予定日を請求予定データから設定し、かつ、入金金額を相殺申請データから設定し、取引区分を相殺に設定して入金データテーブルT33を生成する。
【0088】
同様に、入金データテーブルT33の2行目には、組合せCD「1003」に、請求先「請求先Y」、債権事業所「北東北1課」、債権部門「北東北1課」、入金予定日「2022/3/31」、取引区分「相殺」および入金金額「10,060」を対応付けて記憶されている。この場合、生成部102hは、1行目と同様に、組合せCD、請求先を比較結果データから設定し、債権事業所および債権部門を相殺申請データから設定するとともに、生成部102hは、入金予定日を請求予定データから設定し、かつ、入金金額を相殺申請データから設定し、取引区分を相殺に設定して入金データテーブルT33を生成する。
【0089】
さらに、入金データテーブルT33の3行目には、組合せCD「1003」に、請求先「請求先Y」、債権事業所「北東北1課」、債権部門「北東北1課」、入金予定日「2022/3/31」、取引区分「振込」および入金金額「11,940」を対応付けて記憶されている。この場合、生成部102hは、1行目と同様に、組合せCD、請求先を比較結果データから設定し、債権事業所および債権部門を相殺申請データから設定するとともに、生成部102hは、入金予定日を請求予定データから設定し、かつ、入金金額を相殺申請データから設定し、取引区分を相殺に設定して入金データテーブルT33を生成する。
【0090】
[2.4-1-2 売勝ちの場合における債務側]
次に、債務側について説明する。生成部102hは、支払予定データに基づいて、債務側について支払予定データの支払方法を「相殺」に変更した支払予定データを生成する。
図23は、生成部102hが生成する支払予定データの支払予定データテーブルの一例を示す図である。
【0091】
図23に示すように、生成部102hは、元々の支払予定データの支払方法を「相殺」に変更した支払予定データを生成する。
【0092】
具体的には、
図23に示す支払予定データテーブルT34の1行目に示すように、伝票番号「SIH0005」に、行「1」、支払区分「締支払」、取引区分「経費計上」、支払方法「相殺」、支払予定部「2022/3/15」、支払事業所「A01:経理本部」、支払部門「A0100:経理本部」、支払先「支払先C」、支払予定金額「500」および支払通知番号「A0LQ0115」を対応付けて記憶している。
【0093】
同様に、
図23に示す支払予定データテーブルT34の2行目に示すように、伝票番号「SIH0006」に、行「1」、支払区分「締支払」、取引区分「経費計上」、支払方法「相殺」、支払予定部「2022/3/15」、支払事業所「A01:経理本部」、支払部門「A0100:経理本部」、支払先「支払先C」、支払予定金額「10,000」および支払通知番号「A0LQ0116」を対応付けて記憶している。
【0094】
このように生成部102hは、債権側の入金データおよび債務側の支払予定データを生成する。
【0095】
図4に戻り、ステップS8以降の説明を続ける。
ステップS8において、表示制御部102iは、相殺結果をモニタ114に表示させる相殺結果確認出力処理を実行する。
【0096】
図24は、モニタ114が表示する相殺結果の一例を示す図である。
図24に示す相殺結果テーブルT35には、組合せCDに、支払先、支払予定日、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けて記憶されている。これにより、経理部のユーザは、直感的に把握することができる。ステップS8の後、債権債務管理装置100は、ステップS9へ移行する。
【0097】
図4に戻り、ステップS9以降の説明を続ける。
ステップS9において、仕訳データ作成処理部102jは、仕訳定義マスタ106b、生成部102hが生成した入金データおよび支払予定データの仕訳データに基づいて、相殺研鑽処理された結果の仕訳データを作成する仕訳データ作成処理を実行する。
【0098】
[2.5-1 仕訳データの買勝ちの場合の概要]
まず、仕訳データ作成処理部102jが買勝ちの場合の仕訳データの作成内容について説明する。なお、買勝ちの例として、支払先Bを一例として説明するが、取引先Aであっても買勝ちのため、同様の処理を行う。
【0099】
[2.5-1-1 買勝ちの場合]
図25は、債権側の仕訳データテーブルの一例を示す図である。
図26は、債務側の仕訳データテーブルの一例を示す図である。
図27は、債務側において既に仕入入力で作成された仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【0100】
図25に示すように、仕訳データ作成処理部102jは、仕訳定義マスタ106bを参照し、入金データの取引区分と仕訳定義マスタ106bの取引区分とが合致するパターンとして、定義番号1を用いて仕訳データテーブルH1を作成する。
【0101】
また、
図26に示すように、仕訳データ作成処理部102jは、仕訳定義マスタ106bを参照し、支払予定データの取引区分と仕訳定義マスタ106bの取引区分とが合致するパターンとして、定義番号11および定義番号12を用いて、仕訳データH2を生成する。
【0102】
また、
図27に示すように、仕訳データ作成処理部102jは、支払予定データの伝票番号「SIH0004」から流用して仕訳データテーブルH3を作成する。
【0103】
[2.5-1-2 売勝ちの場合]
図28は、債権側の仕訳データテーブルの一例を示す図である。
図29は、債権側において既に仕入入力で作成された仕訳データテーブルの一例を示す図である。
図30は、債務側の仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【0104】
図28に示すように、仕訳データ作成処理部102jは、仕訳定義マスタ106bを参照し、入金データの取引区分と仕訳定義マスタ106bの取引区分とが合致するパターンとして、定義番号1および定義番号2を用いて仕訳データテーブルH4を作成する。
【0105】
また、
図29に示すように、仕訳データ作成処理部102jは、売上入力「22,440」から流用して仕訳データテーブルH5を作成する。
【0106】
さらに、
図30に示すように、仕訳データ作成処理部102jは、
図23に示す支払予定データテーブルT34の取引区分と仕訳定義マスタ106bの取引区分とが合致するパターンとして、定義番号11を用いて、仕訳データテーブルH6を作成する。
【0107】
このように、仕訳データ作成処理部102jは、仕訳定義マスタ106b、生成部102hが生成した入金データおよび支払予定データの仕訳データに基づいて、相殺処理された結果の仕訳データを作成する。ステップS8の後、債権債務管理装置100は、本処理を終了する。
【0108】
以上説明した実施形態によれば、生成部102hが比較部102gの比較結果に基づいて、組み合わせコード毎に、支払先、支払予定日、請求先、支払予定金額、相殺金額および差引支払額を対応付けた相殺結果データを生成するため、作業の軽減を図るとともに、入力間違いを防止し、誤った相殺処理を防止することができる。
【0109】
また、実施形態によれば、表示制御部102iが生成部102hによって生成された相殺結果データをモニタ114に表示させるため、ユーザは直感的に把握することができる。
【0110】
また、実施形態によれば、生成部102hが組合せコードに、請求先、債権事業所、債権部門、入金予定日、取引区分および入金金額を対応付けた入金データを自動的に生成するため、手作業による相殺金額の入力間違いを防止することができる。
【0111】
また、実施形態によれば、相殺する金額分を差し引いた分の新たな支払予定データを生成する一方、債務側の相殺する金額分の支払予定データの支払方法を相殺に変更するため、誤った相殺処理を防止することができる。
【0112】
また、実施形態によれば、仕訳データ作成処理部102jが仕訳データを作成するため、作業の軽減を図るとともに、入力間違いを防止し、誤った相殺処理を防止することができる。
【0113】
また、実施形態によれば、相殺申請データ取込部102eは、相殺申請データを外部から取り込む場合または外部入力に応じた相殺申請データを取り込む場合において、相殺相手設定マスタ106aを参照し、支払先と請求先とが紐付かない組合せの相殺申請データのとき、相殺申請データの取込を中止するため、誤った相殺申請データの取込を防止することができる。
【0114】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0115】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0116】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0117】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0118】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0119】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメーターを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0120】
また、債権債務管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0121】
例えば、債権債務管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて債権債務管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0122】
また、このコンピュータプログラムは、債権債務管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0123】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0124】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0125】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0126】
また、債権債務管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、債権債務管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0127】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、債権債務管理を行っている業界において有用である。
【符号の説明】
【0129】
100 債権債務管理装置
102 制御部
102a 仕入入力部
102b 売上入力部
102c 相殺内容作成処理部
102d 相殺申請入力部
102e 相殺申請データ取込部
102f 抽出部
102g 比較部
102h 生成部
102i 表示制御部
102j 仕訳データ作成処理部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 相殺相手設定マスタ
106b 仕訳定義マスタ
106c 支払予定データ
106d 請求予定データ
106e 相殺申請データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク