(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122549
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】銀粒子含有の導電性ペースト組成物、導電性インキ組成物、及び電子材料物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 27/06 20060101AFI20240902BHJP
C09D 11/52 20140101ALI20240902BHJP
C09D 11/033 20140101ALI20240902BHJP
C09D 11/106 20140101ALI20240902BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20240902BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20240902BHJP
H01B 5/14 20060101ALI20240902BHJP
C08K 3/017 20180101ALI20240902BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20240902BHJP
C08F 214/06 20060101ALI20240902BHJP
C08F 218/08 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
C08L27/06
C09D11/52
C09D11/033
C09D11/106
H01B1/22 A
H01B13/00 503D
H01B5/14 B
C08K3/017
C08K3/08
C08F214/06
C08F218/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030145
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000226666
【氏名又は名称】日信化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】山村 普也
(72)【発明者】
【氏名】三田 安啓
(72)【発明者】
【氏名】内田 敦之
(72)【発明者】
【氏名】上山 智大
【テーマコード(参考)】
4J002
4J039
4J100
5G301
5G323
【Fターム(参考)】
4J002BD081
4J002DA076
4J002FD116
4J002GH00
4J002GQ00
4J002HA03
4J002HA06
4J002HA08
4J039AC01
4J039AD05
4J039BA06
4J039BE12
4J039BE22
4J039BE24
4J039BE28
4J039BE29
4J039CA06
4J039EA24
4J039EA44
4J039GA03
4J100AC03P
4J100AC03R
4J100AG04Q
4J100AL09R
4J100CA04
4J100CA05
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA28
4J100JA07
4J100JA43
5G301DA03
5G301DA42
5G301DA46
5G301DD01
5G301DD02
5G301DE01
5G323CA05
(57)【要約】
【課題】
本発明は、柔軟性、基材との密着性、及び分散安定性が良好であり、好適な導電性を有する塗膜を提供する、銀粒子含有の導電性ペースト組成物、特には導電性ペーストインキ組成物、及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
(I)銀ナノ粒子、(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体、及び(III)水溶性有機溶剤を含有する導電性ペースト組成物であって、
前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体が、
(A)塩化ビニル単位 60~99質量%、
(B)脂肪酸ビニル単位 1~40質量%、及び
(C)上記(A)、(B)成分以外のビニル単位 0~20質量%
(ただし、(A)、(B)及び(C)単位の合計は100質量%である)
からなることを特徴とし、
前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体及び前記(I)銀ナノ粒子の合計質量部に対する前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の質量部の割合が1~9%である、前記導電性ペースト組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)銀ナノ粒子、(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体、及び(III)水溶性有機溶剤を含有する導電性ペースト組成物であって、
前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体が、
(A)塩化ビニル単位 60~99質量%、
(B)脂肪酸ビニル単位 1~40質量%、及び
(C)上記(A)、(B)成分以外のビニル単位 0~20質量%
(ただし、(A)、(B)及び(C)単位の合計は100質量%である)
からなることを特徴とし、
前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体及び前記(I)銀ナノ粒子の合計質量部に対する前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の質量部の割合が1~9%である、前記導電性ペースト組成物。
【請求項2】
前記導電性ペースト組成物の質量に対して、前記銀ナノ粒子を10質量%以上で含み、塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体0.3質量%以上4質量%以下で含み、及び、前記水溶性有機溶剤を10質量%以上60質量%以下で含む、請求項1記載の導電性ペースト組成物。
【請求項3】
前記(C)成分が、ヒドロキシル基含有ビニル、エポキシ基含有ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルニトリル、アルキル(メタ)アクリレート化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、及び塩化ビニリデンからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1記載の導電性ペースト組成物。
【請求項4】
表面エネルギー調整剤を、導電性ペースト組成物の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下でさらに含む、請求項1記載の導電性ペースト組成物。
【請求項5】
前記水溶性有機溶剤が、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アルコール溶剤、グリコール系溶剤、グリコールエステル系溶剤、及び、テルペン系溶剤から選ばれる少なくとも1つである、請求項1記載の導電性ペースト組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の導電性ペースト組成物を含むインキ組成物。
【請求項7】
凹版オフセット印刷用である、請求項6記載のインキ組成物。
【請求項8】
基板と、請求項6記載のインキ組成物から成る銀導電層とを有する物品。
【請求項9】
電子材料である、請求項8記載の物品。
【請求項10】
基板と、請求項6記載のインキ組成物から成る銀導電層とを有する電子材料物品の製造方法であって、前記基板の表面に前記インキ組成物を凹版オフセット印刷法により塗布し、焼成することで銀導電層を形成する工程を含む、前記電子材料物品の製造方法。
【請求項11】
前記焼成を25℃以上200℃以下の温度で行う、請求項10記載の電子材料物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀粒子含有の導電性ペースト組成物に関し、より詳細には導電性インキ組成物に関する。本発明の銀粒子含有導電性インキ組成物は、グラビアオフセット印刷などの凹版オフセット印刷用途に好適である。
【背景技術】
【0002】
銀ナノ粒子は、低温でも焼結させることができる。この性質を利用して、種々の電子素子の製造において、基板上に電極や導電回路パターンを形成するために、銀ナノ粒子を含む銀塗料組成物が用いられている。銀ナノ粒子は、通常、有機溶剤中に分散されている。基板がプラスチックフィルム又はシートの場合には、プラスチック基板の耐熱温度未満の低温(例えば、200℃以下)で銀ナノ粒子を焼結させることが必要である。
【0003】
特に最近では、フレキシブルプリント配線基板として、すでに使用されている耐熱性のポリイミドのみならず、ポリイミドよりも耐熱性は低いが加工が容易で且つ安価なPET(ポリエチレンテレフタレート)やポリプロピレンなどの各種プラスチック製の基板に対しても、微細な金属配線(例えば、銀配線)を形成する試みがなされている。耐熱性の低いプラスチック製の基板を用いた場合には、金属ナノ粒子(例えば、銀ナノ粒子)をさらに低温で焼結させることが必要である。
【0004】
銀ナノ粒子は、数nm~数十nm程度の平均一次粒子径を有しており、ミクロンサイズの粒子に比べ、凝集しやすい。そのため、得られる銀ナノ粒子の表面が有機安定剤で被覆されるなど様々な方法での安定化が試みられている。
【0005】
有機安定剤として特開2008-214695号公報(特許文献1)や特開2010-265543号公報(特許文献2)のように比較的長鎖(例えば、炭素数8以上)の脂肪族アミン化合物及び/又は脂肪族カルボン酸化合物を用いると、個々の銀ナノ粒子同士の互いの間隔が確保されやすいため、銀ナノ粒子が安定化されやすい。しかし、上記特許文献1及び2に記載されるような長鎖の脂肪族アミン化合物及び/又は脂肪族カルボン酸化合物は、焼成の温度が低ければ、除去されないため、導電性が発現しにくい。特開2009-295325号公報(特許文献3)及びWO2020/080049(特許文献4)には、銀ナノ粒子とバインダー樹脂を併用する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-214695号公報
【特許文献2】特開2010-265543号公報
【特許文献3】特開2009-295325号公報
【特許文献4】WO2020/080049
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3及び4に記載した方法では、特許文献1及び2の有機安定化剤と同様に、銀ナノ粒子を安定化させながら低温焼成によって優れた導電性を発現させるのは難しく、改良の余地があった。また、銀ナノ粒子を安定化させながら低温焼成によって導電性を得たとしても、基材との密着性や柔軟性に劣り、より改良が求められている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、柔軟性、基材との密着性、及び分散安定性が良好であり、好適な導電性を有する塗膜を提供する、銀粒子含有の導電性ペースト組成物、特には導電性ペーストインキ組成物、及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(I)銀ナノ粒子と、(II)特定の塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体と、(III)水溶性有機溶剤とを含有する銀粒子含有導電性ペースト組成物は柔軟性及び基材密着性が良好であり、該組成物から得られる塗膜は表面抵抗率が低く導電性に優れることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0010】
すなわち本発明は、(I)銀ナノ粒子、(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体、及び(III)水溶性有機溶剤を含有する導電性ペースト組成物であって、
前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体が、
(A)塩化ビニル単位 60~99質量%、
(B)脂肪酸ビニル単位 1~40質量%、及び
(C)上記(A)、(B)成分以外のビニル単位 0~20質量%
(ただし、(A)、(B)及び(C)単位の合計は100質量%である)
からなることを特徴とし、
前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体及び前記(I)銀ナノ粒子の合計質量部に対する前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の質量部の割合が1~9%である、前記導電性ペースト組成物を提供する。
【0011】
さらに本発明の導電性ペースト組成物は、下記[1]~[4]から選ばれる少なくとも1の構成要件を有する。
[1]前記導電性ペースト組成物の質量に対して、前記銀ナノ粒子を10質量%以上で含み、塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体0.3質量%以上4質量%以下で含み、前記水溶性有機溶剤を10質量%以上60質量%以下で含む、前記導電性ペースト組成物。
[2]前記(C)成分が、ヒドロキシル基含有ビニル、エポキシ基含有ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルニトリル、アルキル(メタ)アクリレート化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、及び塩化ビニリデンからなる群から選ばれる少なくとも一つである、前記導電性ペースト組成物。
[3]表面エネルギー調整剤を、導電性ペースト組成物の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下でさらに含む、前記導電性ペースト組成物。
[4]前記水溶性有機溶剤が、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アルコール溶剤、グリコール系溶剤、グリコールエステル系溶剤、及び、テルペン系溶剤から選ばれる少なくとも1つである、前記導電性ペースト組成物。
【0012】
また本発明は、上記導電性ペースト組成物を含むインキ組成物を提供する。さらに好ましくは本発明は、凹版オフセット印刷用である、前記インキ組成物を提供する。
また本発明は、基板と、上記インキ組成物から成る銀導電層とを有する物品、特には電子材料である該物品を提供する。
【0013】
また本発明は、該銀導電層を形成する方法を提供する。より詳細には、基板と、上記インキ組成物から成る銀導電層とを有する電子材料の製造方法であって、前記基板の表面に前記インキ組成物を凹版オフセット印刷法により塗布し、焼成することで銀導電層を形成する工程を含む、該電子材料物品の製造方法を提供する。
さらには、本発明は、上記焼成を25℃以上200℃以下の温度で行う上記製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の導電性ペースト組成物は、柔軟性、基材との密着性、及び分散安定性が良好である。該導電性ペースト組成物から得られる塗膜は表面抵抗率が低く、好適な導電性を示す塗膜、特には銀導電層を提供するため、本発明の導電性ペースト組成物は特には導電性インキ組成物として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の導電性ペースト組成物は、(I)銀ナノ粒子を含む。
【0016】
「ナノ粒子」とは200nmより小さい、好ましくは150nmより小さい、より好ましくは120nmより小さい、さらに好ましくは100nmより小さい平均粒度又は平均粒径を有する、分散媒に分散された粒子を指す。本発明において言及される平均粒径は、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて決定される。例えば、銀インキは金属ナノ粒子分散系であり一次粒子及び二次粒子を含むことができる。後者は凝集した一次粒子の場合がある。本発明において上記で言及した平均粒径は、一次粒子の粒径である。
【0017】
本発明において銀ナノ粒子は、銀微粉末の単体でもよいが、表面が被覆された銀ナノ粒子であってもよい。表面が被覆された銀ナノ粒子としては、銀錯体のいわゆる熱分解法により調製される。例えば、銀化合物と錯形成剤及び/又は保護剤として機能するアミン化合物を用いると、銀とアミン化合物が錯体を形成する。
【0018】
銀ナノ粒子の製造方法は特に制限されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば特開2013-142172号公報、特開2020-73648号公報、特表2019-505621号公報、及び特表2016-516890号公報に記載の方法により製造できる。例えば、銀ナノ粒子は、銀化合物と、錯形成剤及び/又は保護剤として機能するアミン化合物とを混合して錯化合物とし、該錯化合物を熱分解させることにより、金属銀ナノ粒子を得ることができる。該銀ナノ粒子は前記アミン化合物との錯体を形成していてよい。当該反応に使用する溶媒としては2-ピロリドン、4-ヒドロキシ-2-ピロリドン、δ-バレロラクタムまたはε-カプロラクタムが挙げられる。前記アミン化合物としては、ヒドロキシルアミンまたはその誘導体等が挙げられ、好ましくはN,N-ジエチルヒドロキシルアミンである。
【0019】
上記反応に付する銀化合物は、加熱により容易に分解して、金属銀を生成する銀化合物であればよい。該銀化合物としては、ギ酸銀、酢酸銀、シュウ酸銀、マロン酸銀、安息香酸銀、フタル酸銀などのカルボン酸銀;フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀などのハロゲン化銀;硫酸銀、硝酸銀、炭酸銀等を用いることができる。
【0020】
本発明の銀ナノ粒子は、平均粒径200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは120nm未満、さらに好ましくは100nm未満を有する。下限値は特に制限されないが、通常、1nm以上、好ましくは2nm以上である。平均粒径の測定方法は上記の通りである。また、銀ナノ粒子と分散媒を含む分散体中の、銀の含有量は50~95質量%が好ましい。
【0021】
本発明の導電性ペースト組成物における銀ナノ粒子の量は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であるのがよい。銀ナノ粒子の量の上限は好ましくは80質量%以下がよく、より好ましくは75質量%以下であるのがよい。
【0022】
(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体は、下記(A)~(C)の構成単位からなる。
(A)塩化ビニル単位 60~99質量%、
(B)脂肪酸ビニル単位 1~40質量%、及び
(C)上記(A)、(B)成分以外のビニル単位 0~20質量%
(A)、(B)及び(C)単位の合計は100質量%である。
【0023】
本発明の導電性ペースト組成物における上記塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の量は、導電性ペースト組成物の質量に対して0.1質量%以上15質量%以下であり、好ましくは0.2質量%以上5.0質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上4.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上3.8質量%以下であり、特に好ましくは0.8質量%以上3.0質量%以下であるのがよい。上記下限値未満では銀ナノ粒子を接着できないおそれがある。上記上限値超では銀ナノ粒子の導電性を阻害するおそれがある。
【0024】
ここで(A)塩化ビニル単位は、塗膜に強靭性と高い表面硬度を付与する。共重合体における塩化ビニル単位の構成割合は60~99質量%であり、75~95質量%が好ましい。上記下限値未満であると、印刷インキ塗膜の強度が低下し、上記上限値を超えると、有機溶剤に対する溶解性が低下し、それに伴い分散性が低下する。
【0025】
共重合体における(B)脂肪酸ビニル単位の構成割合は1~40質量%であり、1~25質量%が好ましい。上記下限値未満であると、有機溶剤に対する溶解性の低下と共に印刷インキ用塗料の粘度が高くなって分散性が低下する。上記上限値を超えると、塗膜の強度や耐久性が低下する。脂肪酸ビニルとしては、酢酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられ、酢酸ビニルが好ましい。
【0026】
(C)上記(A)、(B)成分以外のビニル単位としては、ヒドロキシル基含有ビニル、エポキシ基含有ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、塩化ビニリデン等が挙げられる。(C)成分の量は、0~20質量%であり、含有させるのであれば1~15質量%が好ましい。上記上限値を超えると、ガラス転移温度が低下してブロッキング等の問題が発生する。ヒドロキシル基含有ビニルとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノアリルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、(メタ)アリルアルコール、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。また、脂肪酸ビニルの一部をケン化反応させることによってビニルアルコール単位にしても良い。
【0027】
本発明の塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の製造方法は特に限定されない。例えば(a)塩化ビニル単量体60~99質量%、(b)脂肪酸ビニル単量体1~40質量%、及び(c)上記(a)、(b)成分以外のビニル単量体0~20質量%を共重合することによって、上述した塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体が得られる。また、前述の通り、塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の脂肪酸ビニル部分をケン化反応させることによってビニルアルコール単位を含めることもできる。
【0028】
上記共重合において(a)、(b)及び(c)成分の単量体は、重合開始前に一括仕込みしてもよいし、それぞれ重合開始前の初期仕込み分と追加仕込み分に分けて重合反応させてもよい。原料となる(a)塩化ビニルモノマーは、共重合反応の開始前に仕込む分とは別に、共重合反応中に追添加することが好ましく、(a)塩化ビニルモノマーの追添加は、昇温後に行われることが好ましい。なお、原料として使用する(a)塩化ビニルモノマーのうち40~80質量%を追添加する分とすることが好ましい。
【0029】
本発明の塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体は懸濁重合によって得ることが好ましい。即ち、重合器内を窒素置換後にイオン交換水、懸濁剤、重合開始剤、(a)塩化ビニル単量体の全部又は一部、(b)脂肪酸ビニル単量体全部又は一部、(c)上記以外のビニル単量体の全部又は一部を圧入して窒素雰囲気下で反応温度まで昇温して反応をスタートさせ、残りの(a)塩化ビニル単量体、(b)脂肪酸ビニル単量体、(c)上記以外のビニル単量体を所定時間内に追加しながら懸濁重合を行う。
【0030】
連鎖移動剤としては、一般的に使用されるものであればよい。該連鎖移動剤としては、例えばトリクロロエチレン、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素、2-メルカプトエタノール、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、アセトン、n-ブチルアルデヒド等のアルデヒド類、環状有機リン化合物等が挙げられる。これらは、単独でも、2種類以上混合して用いても良い。連鎖移動剤の量は、単量体(a)、(b)及び(c)成分の合計量に対して0.3~0.6質量%であり、0.4~0.5質量%が好ましい。
【0031】
懸濁剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分ケン化物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、マレイン酸-スチレン共重合体、マレイン酸-メチルビニルエーテル共重合体の如き合成高分子、及びデンプン、ゼラチン等の天然高分子、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、オキシエチレン-オキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。重量平均分子量5万~500万の化合物が好ましく、より好ましくは重量平均分子量5万~100万のポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイドである。懸濁剤の量は、単量体(a)、(b)及び(c)成分の合計量に対して0.05~0.3質量%が好ましい。上記懸濁剤は、1種単独であっても2種以上の併用であってもよい。
【0032】
重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ブチルパーオキシネオデカネート、ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2,4-ジメチル)バレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これらのうち1種単独であっても2種以上の併用であってもよい。重合開始剤の量は、単量体(a)、(b)及び(c)成分の合計量に対して0.1~0.3質量%が好ましい。
【0033】
重合媒体としてのイオン交換水は、単量体合計量に対して50~200質量%が好ましい。また、50質量%を超えない範囲でメタノールやイソプロピルアルコール等の水溶性のアルコールを併用することができる。
【0034】
重合温度は50~80℃が好ましく、55~75℃がさらに好ましい。
【0035】
重合に際しては、上記した連鎖移動剤、重合開始剤、懸濁安定剤等を重合開始時に一括して重合系に添加してもよいし、重合中に分割して添加することもできる。
【0036】
上述した懸濁重合にて得られる塩化ビニル・脂肪酸ビニル系樹脂は、その後、水性媒体から分離されて乾燥されることが好ましい。得られた乾燥粉末の塩化ビニル系樹脂の平均粒子径は、好ましくは50~500μmである。塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の平均粒子径は、レーザー回折型の粒子径測定機を用いて測定される体積基準の平均粒子径であればよい。
【0037】
塩化ビニル・脂肪酸ビニル系樹脂のビニル単位の平均重合度は150~750であり、さらに好ましくは200~500である。平均重合度は、試料をニトロベンゼンに溶解し、30.0℃の雰囲気下でウベローデ粘度計にて落下に要する時間を測定して得られた秒数を換算して得た、ビニル単位の平均重合度である。
【0038】
塩化ビニル・脂肪酸ビニル系樹脂の重量平均分子量は20,000以上であることが好ましく、より好ましくは25,000以上である。上限は特に制限されないが、好ましくは150,000以下である。なお、重量平均分子量は、分子量分布測定装置、例えば、日本分光(JASCO)株式会社製の「GPC-900」を用いて測定される値である。
【0039】
塩化ビニル・脂肪酸ビニル系樹脂のガラス転移温度Tgは、50~90℃であることが好ましい。噴霧乾燥で粉体化した塩化ビニル・脂肪酸ビニル系樹脂約20mgについて、島津製作所製のDSC(示差走査熱量計)を用い、5K/分の過熱速度で測定した。第二の加熱曲線を見ると、ベースラインのシフトが見られ、その変曲点の値である。
【0040】
前述したとおり、得られた本発明の塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体は、有機溶剤の存在下でアルカリアルコラートを用いてケン化反応し、脂肪酸ビニルの一部をビニルアルコール単位にしても良い。有機溶剤の使用量は、塩化ビニル脂肪酸ビニル共重合体100質量部に対して100~300質量部が好ましく、150~250質量部が特に好ましい。ケン化反応温度は25~60℃が好ましく、30~55℃がさらに好ましい。また、ケン化反応時間は3~5時間が好ましい。
【0041】
(III)水溶性有機溶剤は、銀ナノ粒子を良好に分散し、塩化ビニル・脂肪酸ビニル共重合体を溶解し得る溶剤であればよい。インキ組成物を得るための有機溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等のような芳香族炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール等のようなアルコール溶剤;グリコール系溶剤;グリコールエステル系溶剤;ターピネオール、ジヒドロターピネオールのようなテルペン系溶剤等が挙げられる。所望の導電性ペースト組成物の濃度や粘性に応じて、有機溶剤の種類や量を適宜定めるとよい。金属ナノ粒子についても同様である。
【0042】
凹版オフセット印刷用途を考慮すると、グリコール系溶剤、グリコールエステル系溶剤を用いることが好ましい。
【0043】
グリコール系溶剤としては、上記の銀ナノ粒子のデカンテーション・洗浄操作の有機溶剤として挙げた、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール:BC)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールモノエーテルが例示される。また、グリコールモノエーテルとして、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルカルビトール:HC)、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル等が例示される。上記グリコール系溶剤として、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記グリコール系溶剤は、銀ナノ粒子のデカンテーション・洗浄操作で用いたものに由来するものであってよい。
【0044】
上記グリコールエステル系溶剤としては、より詳細には、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート:BCA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA;1-メトキシ-2-プロピルアセテート)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)等のグリコールモノエーテルモノエステル;エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート(1,4-BDDA,沸点230℃)、1,6-ヘキサンジオールジアセテート(1,6-HDDA,沸点260℃)、2-エチル-1,6-ヘキサンジオールジアセテート等のグリコールジエステル;が例示される。上記グリコールエステル系溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
上記グリコール系溶剤や上記グリコールエステル系溶剤には、凹版オフセット印刷において、シリコーン製のブランケットに対して浸透する性質がある。ブランケットに溶剤が浸み込むことにより、ブランケット-インキ界面が乾燥して、インキとブランケットとの密着力が低下して、ブランケットから基材へのインキの転写性を良くする効果がある。
【0046】
上記水溶性有機溶剤のうち、200℃以上の沸点を有する高沸点溶剤は揮発性が低く、銀インキの濃度変化が起こりにくいので好ましい。また、作業環境の観点からも好ましい。また、上記水溶性有機溶剤のうちグリコールジエステル(グリコールジアセテート)を少なくとも用いることが好ましい。グリコールジエステル(グリコールジアセテート)は、塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体を溶解させやすくするために用いることが好ましい。
【0047】
上記水溶性有機溶剤の中でも、上記グリコールモノエーテルモノエステルはシリコーン製ブランケットに対する浸透性が一般的に最も高い。ブランケットに浸み込む溶剤量が多くなると、ブランケットを過度に膨潤させてしまい、インキの基材への転写性が損なわれる傾向にある。そこで、上記水溶性有機溶剤のブランケットに対する適切な浸透性を確保するために、グリコールモノエーテルモノエステルよりもシリコーン製ブランケットに対する浸透性が一般的に低いグリコールモノエーテル、及びグリコールジエステル等を用いることが好ましい。
【0048】
上記水溶性有機溶剤の量、導電性ペースト組成物の質量に対して、例えば、10質量%以上60質量%以下、好ましくは15質量%以上50質量%以下、より好ましくは18質量%以上50質量%以下であるのがよい。凹版オフセット印刷用途の観点から、上記水溶性有機溶剤の量が上記下限値未満であると、溶剤量が少なく、印刷時の転写が良好に行われない可能性がある。一方、上記水溶性有機溶剤の量が上記上限値超では、溶剤量が多く、細線印刷が良好に行われない可能性があり、また、低温焼成が良好に行われない可能性がある。
【0049】
本発明の導電性ペースト組成物は表面エネルギー調整剤を含んでもよい。表面エネルギー調整剤は、導電性ペースト組成物の表面張力を低下させる作用を有し、該組成物表面からの溶剤の蒸散を抑制する。凹版オフセット印刷において、表面エネルギー調整剤は、ブランケット表面上の導電性ペースト組成物層のブランケットとの接触面以外の(主として、接触面とは反対側の)空気との気液界面からの溶剤の蒸散を抑制する。そのため、該導電性ペースト組成物層が薄膜であっても、該導電性ペースト組成物層が過度に乾燥してしまうことがない。さらに、表面エネルギー調整剤は、ブランケット表面上の導電性ペースト組成物層のエネルギーを、ブランケット表面における表面エネルギーよりも小さくする。従って、ブランケットから基板への転写性が向上し、細線を描画性よく形成することができる。
【0050】
上記表面エネルギー調整剤としては、特に限定されないが、シリコーン系表面エネルギー調整剤、アクリル系表面エネルギー調整剤、及び各種分散剤が挙げられる。
【0051】
上記シリコーン系表面エネルギー調整剤は、ポリジメチルシロキサンを基本構造とするポリシロキサンである。ジメチルシロキサン単位の側鎖を変性した種々の変性ポリシロキサンが知られている。例えば、側鎖にポリエーテルを導入したポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、側鎖のメチル基の1つを長鎖アルキル基に変性したポリメチルアルキルシロキサン、側鎖にポリエステルを導入したポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、側鎖にアラルキル基を導入したアラルキル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0052】
上記アクリル系表面エネルギー調整剤は、ポリ(メタ)アクリレートを基本構造とする
ものである。ポリ(メタ)アクリレートのエステル部を種々変性したものが知られている。例えば、エステル部のアルキル基を変性したもの、エステル部にポリエステルを導入したもの、エステル部にポリエーテルを導入したもの、エステル部にアミン塩を導入したもの等が挙げられる。
【0053】
分散剤としては、分散性をより高め、かつ凝集をより抑制する観点から、アミン系分散剤を用いることが好ましい。アミン系分散剤に含まれるアミン塩としては、アミドアミン塩、脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アルカノールアミン塩、多価アミン塩等がある。より詳細には、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルアミノエタノール等が挙げられる。
【0054】
表面エネルギー調整剤の添加量は、導電性ペースト組成物の質量を基準として、例えば、0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下程度である。当該範囲で表面エネルギー調整剤を添加することにより、該組成物表面からの溶剤の蒸散を抑制しやすい。詳細には、凹版オフセット印刷において、ブランケット表面における銀塗料組成物層のブランケットとの接触面以外の空気との気液界面からの溶剤の蒸散を抑制しやすい。表面エネルギー調整剤の添加量が0.01質量%未満であると、溶剤蒸散の抑制効果が得られにくい。一方、表面エネルギー調整剤の添加量が10質量%を超えると、転写された銀塗料組成物層と基板との密着性が低下する傾向にある。また、焼結後に余分な残存樹脂として残り、配線の導電性を悪化させる問題が生じることがある。
【0055】
本発明の導電性ペースト組成物は、本発明の目的に沿うように、上記以外の成分をさらに含んでもよい。上記以外の分散剤や、消泡剤、接着剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、帯電防止剤、可塑剤などの有機溶剤、他の樹脂等を添加してもよい。
【0056】
本発明の導電性ペースト組成物の粘度は、凹版オフセット印刷用途を考慮すると、印刷時の環境温度条件(例えば、25℃)において、例えば0.1Pa・s以上30Pa・s以下の範囲であり、好ましくは5Pa・s以上25Pa・s以下の範囲である。インキの粘度が上記下限値未満であると、インキの流動性が高すぎるため、凹版からブランケットへのインキの受理や、ブランケットから印刷すべき基板へのインキの転写に不具合が生じるおそれがある。一方、インキの粘度が上記上限値を超えると、インキの流動性が低すぎるため、凹版の凹部への充填性が悪くなるおそれがある。凹部への充填性が悪くなると、基板上に転写されたパターンの精度が低下して、細線の断線等の不具合が生じる。
【0057】
上記(I)銀ナノ粒子と、(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体、(III)水溶性有機溶剤、任意的な表面エネルギー調整剤とを混合攪拌することにより、懸濁状態の銀粒子を含有するインキを調製することができる。上記銀粒子は、使用目的にもよるが、本発明の導電性ペースト組成物中に銀ナノ粒子として、例えば10質量%以上、あるいは25質量%以上、好ましくは30質量%以上の割合で含まれるようにするとよい。上記銀粒子の含有量の上限は制限されないが80質量%以下が目安である。(I)銀ナノ粒子と、(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体、(III)水溶性有機溶剤、表面エネルギー調整剤との混合・分散は、1回で行っても良いし、数回にて行っても良い。
【0058】
本発明により得られた導電性ペースト組成物は、分散安定性に優れている。
【0059】
調製された導電性ペースト組成物はより詳細には導電性インキ組成物として好適である。該導電性インキ組成物は、基板上に、公知の塗布法により、例えば凹版オフセット印刷法により塗布し、その後、焼成することで導電性インキ塗布層を作成する。該凹版オフセット印刷法によりパターン化された導電性インキ塗布層を得て、導電性インキ塗布層を焼成することにより、パターン化された銀導電層(銀焼成膜)を得る。
【0060】
焼成は、200℃以下、例えば室温(25℃)以上150℃以下、好ましくは室温(25℃)以上120℃以下の温度で行うことができる。しかしながら、短い時間での焼成によって、銀の焼結を完了させるためには、60℃以上200℃以下、例えば80℃以上150℃以下、好ましくは90℃以上120℃以下の温度で行うことがよい。焼成時間は銀インキの塗布量、焼成温度などを考慮して、適宜定めるとよく、例えば3時間以内でよく、2時間以内でよく、好ましくは1時間以内、より好ましくは30分間以内、さらに好ましくは10分間~30分間とするとよい。
【0061】
銀ナノ粒子は上記のように構成されているので、このような低温短時間での焼成工程によっても、銀粒子の焼結が十分に進行する。その結果、低い抵抗率(例えば15μΩcm以下、範囲としては5~15μΩcm)を有する銀導電層が形成され、該銀導電層には優れた導電性(低い抵抗率)が発現する。なお、バルク銀の抵抗率は1.6μΩcmである。
【0062】
本発明の導電性ペースト組成物は、低温での焼成が可能であるので、基板として、ガラス製基板、ポリイミド系フィルムのような耐熱性プラスチック基板の他に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなどのポリエステル系フィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルムのような耐熱性の低い汎用プラスチック基板をも好適に用いることができる。特に、耐熱温度が200℃以下の、耐熱性の低い基板にも好適に用いることができる。また、短時間での焼成は、これら耐熱性の低い汎用プラスチック基板に対する負荷を軽減し、生産効率を向上させる。
【0063】
本発明の導電性ペースト組成物から得られる銀導電層は、各種の電子デバイス、例えば、電磁波制御材、回路基板、アンテナ、放熱板、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、ICカード、ICタグ、太陽電池、LED素子、有機トランジスタ、コンデンサー(キャパシタ)、電子ペーパー、フレキシブル電池、フレキシブルセンサ、メンブレンスイッチ、タッチパネル、EMIシールド等に適用することができる。とりわけ、表面平滑性が要求される電子素材に有効であり、例えば、液晶ディスプレイにおける薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極として有効である。
【0064】
銀導電層の厚みは、目的とする用途に応じて適宜定めるとよい。特に限定されることなく、例えば5nm~20μm、好ましくは100nm~10μm、より好ましくは300nm~8μmの範囲から選択するとよい。用途に応じて、例えば1μm~5μm、好ましくは1μm~3μm、あるいは1μm~2μmとしてもよい。
【0065】
導電性ペースト組成物の総質量に対する(1)銀ナノ粒子の含有量10質量%以上、好ましくは25質量%~80質量%、さらに好ましくは30質量%~70質量%である。銀ナノ粒子の含有量が上記範囲内であると、導電性ペースト組成物から形成される塗膜の導電性を向上できる。
【0066】
本発明の導電性ペースト組成物において、前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体及び前記(I)銀ナノ粒子の合計質量部に対する前記(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の質量部の割合、すなわち[(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体]/([(I)銀ナノ粒子の含有量]+[(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の含有量])×100で表される配合比は1~9が好ましく、2~8がより好ましい。当該質量比が上記範囲内であると、導電性ペースト組成物から形成される塗膜の可撓性と導電性とを両立しやすくなる。
【実施例0067】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0068】
下記にて行った塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の平均重合度、重量平均分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び平均粒子径の測定方法、及び導電性ペースト組成物から成る塗膜の表面抵抗値の測定方法は下記の通りである。
【0069】
・平均重合度
塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体をニトロベンゼンに溶解し、試料を作製する。この試料について、ウベローデ粘度計を用いて、30.0℃において試料が落下に要する時間を測定し、その結果から平均重合度を算出する。
【0070】
・重量平均分子量Mw
塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体50mgをテトラヒドロフラン5mLに溶解した試料について、GPC-900(日本分光株式会社製)、分離カラム:KF-806M(Shodex、株式会社島津ジーエルシー社製)、KF-802(Shodex、株式会社島津ジーエルシー社製)、測定温度40℃にて測定を行って、その結果から重量平均分子量を算出する。
【0071】
・ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度Tgは、50~90℃であることが好ましい。噴霧乾燥で粉体化した塩化ビニル・脂肪酸ビニル系樹脂約20mgについて、島津製作所製のDSC(示差走査熱量計)を用い、5K/分の過熱速度で測定した。第二の加熱曲線の変曲点の温度を測定した。
【0072】
・平均粒子径
塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の平均粒子径の測定には、レーザー回折型の粒子径測定機(株式会社堀場製作所 LA-950V2)を用いた。樹脂屈折率1.54、メタノール屈折率1.329の設定を用い、製造例II-1~II-4で得た粉体をそのまま機器内のメタノールを攪拌しているところに投入し、樹脂の体積基準の平均粒子径を測定した。
【0073】
・表面抵抗値
導電性ペースト組成物を、アプリケーター2mil(50.8μm)を用いてPETフィルム上に塗布した。その後、乾燥機で、120℃で30分乾燥し、塗膜を得た。アプリケーター2milを用いて塗膜(乾燥後の膜厚:25μm)の抵抗値を抵抗率計Loresta GP MCP-T610(三菱ケミカル株式会社製)で測定した。表面抵抗値(mΩ/sq/25μm)の値が低いほど導電性が高い。特に好ましくは100mΩ/sq/25μm未満がよい。
【0074】
[製造例I-1]
(I)銀ナノ粒子
酸化銀78.0部を、ペンタン酸275.0部及び2-ピロリドン401.0部を含む、撹拌機及び温度計を備えた反応容器中に、攪拌しながら、緩徐に添加した。混合物の温度は25℃に維持された。酸化銀の添加完了後、懸濁物を25℃で1晩攪拌した。次に、懸濁物にN,N-ジエチルヒドロキシルアミン300部を1.5時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌しながら、25℃を維持した。撹拌停止後1晩静置した後、上澄み液を除去した。得られた沈殿物は銀化合物とアミン化合物の錯体である。該沈殿物を547部のプロピレングリコールモノエチルエーテルで2回、さらに、547部のエチレングリコールモノブチルエーテルで2回洗浄し、エチレングリコールモノブチルエーテルを使用する最後の工程後、沈殿物を0.5時間、3000rpmで、遠心分離デカンター中で遠心分離し、銀のペーストを得た。該ペースト中の銀はアミン化合物との錯体であり、分散媒はエチレングリコールモノブチルエーテルである。得られた銀粒子の平均粒径は50~100nmであり、ペースト(分散体)中の銀含有量は70~75質量%である。銀粒子の平均粒径は電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)により測定される。
【0075】
[製造例II-1]
(II)塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体
撹拌装置を備えたオートクレーブに、脱イオン水2500部、ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量25万~40万)5部、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.5部、ジベンゾイルパーオキサイド7部、ジ(3,5,5-トリメリルヘキサノイル)パーオキサイド15部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイドを投入した。窒素置換した後、塩化ビニルモノマー390部、酢酸ビニルモノマー430部をオートクレーブに投入し、攪拌した。その後、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら75℃まで昇温し、75℃に到達直後から塩化ビニルモノマー1500部を7時間かけて連続圧入し、共重合反応を進行させた。オートクレーブ内圧が0.22MPaになった時点で残圧を抜き、冷却して樹脂スラリーを取り出した。当該樹脂スラリーを濾過、乾燥して、粉末状の塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体を得た。得られた共重合体について、上述した方法により平均重合度、重量平均分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
[製造例II-2]
撹拌装置を備えたオートクレーブに、脱イオン水1000部、メタノール880部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1部、ジベンゾイルパーオキサイド3部、t-ブチルパーオキシピバレート3部を投入した。窒素置換した後、塩化ビニルモノマー825部、酢酸ビニルモノマー440部をオートクレーブに投入し、攪拌した。その後、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら68.5℃まで昇温し、68.5℃に到達直後から塩化ビニルモノマー1430部を7時間かけて連続圧入し、共重合反応を進行させた。オートクレーブ内圧が0.22MPaになった時点で重合を終了し、後処理(脱気、脱液及び乾燥)を行い、白色粉体を得た。
次いで、撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた反応容器中にメタノール1400部、アセトン350部、水酸化ナトリウム17部を攪拌溶解した後、得られた白色粉体1000部を投入し、攪拌した。その後、攪拌しながら35℃まで昇温し、ケン化反応を開始した。反応開始3時間後に反応を終了し、後処理(洗浄、脱液及び乾燥)を行い、塩化ビニル系共重合体を得た。得られた共重合体について、上述した方法により平均重合度、重量平均分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
【0077】
[製造例II-3]
撹拌装置を備えたオートクレーブに、脱イオン水1150部、メタノール1000部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2部、ジベンゾイルパーオキサイド3部、ジラウロイルパーオキサイド1部を投入した。窒素置換した後、塩化ビニルモノマー1150部、酢酸ビニルモノマー560部をオートクレーブに投入し、攪拌した。その後、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら74℃まで昇温し、74℃に到達直後から塩化ビニルモノマー1330部を7時間かけて連続圧入し、共重合反応を進行させた。オートクレーブ内圧が0.22MPaになった時点で重合を終了し、後処理(脱気、脱液及び乾燥)を行い、白色粉体を得た。
次いで、撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた反応容器中にメタノール10800部、アセトン320部、水酸化ナトリウム32部を攪拌溶解した後、得られた白色粉体1000部とN,N-ジメチルアミノエタノール12部を投入し、攪拌した。その後、攪拌しながら50℃まで昇温し、ケン化反応を開始した。反応開始8時間後に反応を終了し、後処理(洗浄、脱液及び乾燥)を行い、塩化ビニル系共重合体を得た。得られた共重合体について、上述した方法により平均重合度、重量平均分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
[製造例II-4]
撹拌装置を備えたオートクレーブに、脱イオン水1030部、メタノール1030部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド9部、t-ブチルパーオキシピバレート3部を投入した。窒素置換した後、塩化ビニルモノマー644部、酢酸ビニルモノマー100部をオートクレーブに投入し、攪拌した。その後、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら63℃まで昇温し、63℃に到達直後から塩化ビニルモノマー970部とヒドロキシプロピルアクリレート315部を7時間かけて連続圧入し、共重合反応を進行させた。オートクレーブ内圧が0.22MPaになった時点で重合を終了し、後処理(脱気、脱液及び乾燥)を行い、白色粉体を得た。
得られた共重合体について、上述した方法により平均重合度、重量平均分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
製造例II-2と製造例II-3におけるその他のビニル単位とは、脂肪酸ビニルの一部をケン化反応させることによって得たビニルアルコール単位である。
【0080】
[実施例1]
製造例1-1で得られた銀ナノ粒子を2部、製造例II-1で得た塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体0.105部に、水溶性有機溶剤としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル2部を加え、高せん断均一化し導電性ペースト組成物を得た。
【0081】
[実施例2]
実施例1において用いた塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体を、製造例II-2で得た塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体に変更した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表2に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0082】
[実施例3]
実施例1において用いた塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体を、製造例II-3で得た塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体に変更した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表2に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0083】
[実施例4]
実施例1において用いた塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体を、製造例II-4で得た塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体に変更した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表2に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0084】
[実施例5]
実施例1の組成に、エネルギー調整剤としてN,N-ジメチルアミノエタノール0.001部を追加した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表2に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0085】
[実施例6]
実施例1の組成にN,N-ジメチルアミノエタノール0.005部を追加した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表3に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0086】
[実施例7]
実施例1の組成にN,N-ジメチルアミノエタノール0.010部を追加した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表3に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0087】
[実施例8]
実施例1の組成に、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製、ポリアミン系分散剤)0.001部を追加した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表3に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0088】
[実施例9]
実施例1の組成に、アジスパーPB821 0.005部を追加した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表3に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0089】
[実施例10]
実施例1において用いた塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体を、製造例II-1で得た塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体に代え、アジスパーPB821 0.01部を追加した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表3に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0090】
[比較例1]
実施例1において用いた塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体を、ポリメタクリル樹脂(DEGALAN P24、エボニックインダストリーズ社製)に代えた以外は、実施例1の方法を繰り返して、表4に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0091】
[比較例2]
実施例1において用いた塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体を、ポリウレタン樹脂(TA24-537Q、レゾナック社製)に変更した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表4に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0092】
[比較例3]
製造例Iで得られた銀粒子を2部、水溶性有機溶剤としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル1部、ノナノール1部を加え、高せん断均一化し、表4に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0093】
[比較例4]
実施例1において用いた塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体の量を変更した以外は、実施例1の方法を繰り返して、表4に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0094】
[比較例5]
実施例1において用いた塩化ビニル・脂肪酸ビニル系共重合体を配合しない組成とした以外は、実施例1の方法を繰り返して、表4に記載の導電性ペースト組成物を得た。
【0095】
上記実施例及び比較例で得た導電性ペースト組成物から成る塗膜の抵抗値を上述した方法にて測定した。結果を表2~4に示す。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
上記表2~4に記載の実施例1~10及び比較例1~6の対比にて示す通り、本発明の導電性ペースト組成物から成る塗膜は表面抵抗値が低い。本発明の導電性ペースト組成物は、インク組成物の柔軟性、基材との密着性、及び分散安定性が良好であり、上記の通り基材へ良好に塗工され塗膜を形成できる。本発明の導電性ペースト組成物から得られる塗膜は、表2及び3に示す通り低い表面抵抗値を有し、優れた導電性を有することができる。これに対し、比較例1~5の導電性ペースト組成物から得られる塗膜は表面抵抗値が高く、塗膜の導電性に劣る。
【0100】
本発明の銀粒子含有導電性ペースト組成物は、柔軟性、基材との密着性、及び分散安定性が良好であり、優れた導電性を示す塗膜、特には銀導電層を提供することができる。