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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122553
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】メモリシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20240902BHJP
   G11C 16/10 20060101ALI20240902BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G06F12/00 560B
G06F12/00 597U
G11C16/10 160
G11C16/04 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030150
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】竹山 嘉和
【テーマコード(参考)】
5B160
5B225
【Fターム(参考)】
5B160CB01
5B160MM01
5B225DB02
5B225DE19
5B225EA05
5B225EE19
5B225EF11
5B225EF15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コントローラ内の揮発メモリの容量を削減できる。
【解決手段】メモリシステムは、第1ダイ5aと、第2ダイ5bと、第1ダイ及び第2ダイに対するデータの書込及び読出を制御するコントローラとを備える。第1ダイは、第1不揮発メモリ23aと、第1不揮発メモリに記憶するデータ及び読み出されたデータを一時的に記憶する第1揮発メモリ24aと、を有する。第2ダイは、第2不揮発メモリ23bと、第2不揮発メモリに記憶するデータ及び読み出されたデータを一時的に記憶する第2揮発メモリ24bと、を有する。コントローラは、第1ダイに記憶されるべきデータ及び第1ダイから読み出されたデータを一時的に記憶する第3揮発メモリ11と、を有し、第1ダイにデータを書き込む際には、第3揮発メモリに記憶されている第1ダイに記憶されるべきデータを、第1ダイの第1揮発メモリと、第2ダイの第2揮発メモリと、に並行して書き込む。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ダイと、
第2ダイと、
前記第1ダイ及び前記第2ダイに対するデータの書込及び読出を制御するコントローラと、を備え、
前記第1ダイは、第1不揮発メモリと、前記第1不揮発メモリに記憶されるべきデータ及び前記第1不揮発メモリから読み出されたデータを一時的に記憶する第1揮発メモリと、を有し、
前記第2ダイは、第2不揮発メモリと、前記第2不揮発メモリに記憶されるべきデータ及び前記第2不揮発メモリから読み出されたデータを一時的に記憶する第2揮発メモリと、を有し、
前記コントローラは、前記第1ダイに記憶されるべきデータ及び前記第1ダイから読み出されたデータを一時的に記憶する第3揮発メモリと、を有し、
前記コントローラは、前記第1ダイにデータを書き込む際には、前記第3揮発メモリに記憶されている前記第1ダイに記憶されるべきデータを、前記第1ダイの前記第1揮発メモリと、前記第2ダイの前記第2揮発メモリと、に並行して書き込む、
メモリシステム。
【請求項2】
前記第1ダイは、前記第3揮発メモリから前記第1揮発メモリに書き込まれたデータを前記第1不揮発メモリに書き込む、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリに同じデータを複数回書き込むことにより、前記第1不揮発メモリの各メモリセルに2値より多い多値のデータを書き込む、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリに2回目以降に同じデータを書き込む際には、前記第2揮発メモリから読み出されて前記第3揮発メモリに書き込まれたデータを前記第1揮発メモリに書き込む、
請求項3に記載のメモリシステム。
【請求項5】
前記第1不揮発メモリに対して複数回の書込が終了するまで、前記同じデータは前記第2揮発メモリに保持される、
請求項3に記載のメモリシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリに書き込むべき前記第3揮発メモリのデータを前記第1揮発メモリ及び前記第2揮発メモリに書き込んだ後、前記第3揮発メモリのデータを更新する、
請求項5に記載のメモリシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリに書き込むべき前記第3揮発メモリのデータを前記第1揮発メモリ及び前記第2揮発メモリに書き込んだ後、前記第1揮発メモリから前記第1不揮発メモリへのデータの書込が完了したか否かを示すステータス情報が書込完了になる前に、又は、前記ステータス情報が書込失敗を示していても、前記第3揮発メモリのデータ更新を可能にする、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項8】
前記第1不揮発メモリ及び前記第2不揮発メモリは、書込及び読出の単位であるメモリ領域を複数有し、
前記第1揮発メモリ、前記第2揮発メモリ、及び前記第3揮発メモリは、1つ以上の前記メモリ領域に対応する記憶容量を有する、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリの所定のメモリ領域に書き込まれるべきデータを、前記第3揮発メモリから前記第1揮発メモリと前記第2揮発メモリに書き込んだ後、前記第3揮発メモリのデータを更新可能にする、
請求項8に記載のメモリシステム。
【請求項10】
前記第1ダイは、前記第1不揮発メモリの所定のメモリ領域に前記第1揮発メモリのデータを書き込んだ後、前記第1不揮発メモリの前記所定のメモリ領域以外のメモリ領域に前記第1揮発メモリのデータを書き込む動作を複数回行い、その後に、前記第1不揮発メモリの前記所定のメモリ領域に前記第1揮発メモリのデータを再度書き込む、
請求項8に記載のメモリシステム。
【請求項11】
前記第1揮発メモリ、前記第2揮発メモリ、及び前記第3揮発メモリのそれぞれは、複数のメモリ領域を有し、
前記コントローラは、前記第3揮発メモリにおける前記複数のメモリ領域内のデータを、前記第1揮発メモリ及び前記第2揮発メモリに並行して書き込む、
請求項1に記載のメモリシステム。
請求項10に記載のメモリシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、ホスト装置からのデータ読出命令に応答して、読出対象データが前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリに記憶されている場合には、前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリから読出対象データを読み出し、読出対象データが前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリに記憶されていない場合には、前記第1不揮発メモリ又は前記第2不揮発メモリから読出対象データを読み出す、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、ホスト装置からデータの書込命令に応答して、前記第3揮発メモリに書込対象データを書き込み、その後、前記第3揮発メモリから前記第1揮発メモリ及び前記第2揮発メモリに並行して書込対象データを書き込む、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、ホスト装置のアクセス頻度が所定の基準を超える書込対象データを優先して前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリに書き込み、アクセス頻度が前記所定の基準に満たない書込対象データを、前記第1揮発メモリから前記第1不揮発メモリに追い出すか、又は前記第2揮発メモリから前記第2不揮発メモリに追い出す、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項15】
前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリに書き込まれたデータは、前記コントローラがアクセスしない期間内に前記第1揮発メモリから前記第1不揮発メモリに書き込まれるか、又は前記第2揮発メモリから前記第2不揮発メモリに書き込まれる、
請求項13に記載のメモリシステム。
【請求項16】
前記第1ダイ及び前記第2ダイは、それぞれ、センスアンプ及びローデコーダを有する、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項17】
前記第1揮発メモリ、前記第2揮発メモリ及び前記第3揮発メモリは、SRAM(Static Random Access Memory)である、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項18】
前記第1不揮発メモリ及び前記第2不揮発メモリは、NANDフラッシュメモリである、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項19】
前記第1ダイと、前記第2ダイとを含む複数のダイを備え、
前記複数のダイは、積層されており、
前記コントローラは、前記複数のダイのそれぞれに対して、それぞれ異なるタイミングでアクセスする、
請求項1に記載のメモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、メモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリでは、セル間相互干渉を避けるため、コントローラが書込対象のメモリセルに順にデータを書き込んだ後、再び書込対象のメモリセルに順にデータを再書込むといった二度書きが行われる。このため、コントローラは、再書き込みが完了するまでデータをコントローラ内の揮発メモリ(RAM:Random Access Memory)に保持しておく必要がある。
【0003】
NAND型フラッシュメモリでは、記憶容量を増やすために、1つのメモリセルに多値データを書き込むのが一般的であり、近年では4ビットからなるデータを書き込むQLC(Quadruple Level Cell)が主流となりつつある。QLCでは、書込対象のメモリセルにデータを書き込んだ後、同じメモリセルに二度書きするまでの間に、多数のメモリセルにデータを書き込むため、コントローラ内の揮発メモリの必要容量が増大し、集積度の向上のために障害になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-100222号公報
【特許文献2】特許第5060574号公報
【特許文献3】特許第5536255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一態様では、コントローラ内の揮発メモリの容量を削減できるメモリシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、第1ダイと、
第2ダイと、
前記第1ダイ及び前記第2ダイに対するデータの書込及び読出を制御するコントローラと、を備え、
前記第1ダイは、第1不揮発メモリと、前記第1不揮発メモリに記憶されるべきデータ及び前記第1不揮発メモリから読み出されたデータを一時的に記憶する第1揮発メモリと、を有し、
前記第2ダイは、第2不揮発メモリと、前記第2不揮発メモリに記憶されるべきデータ及び前記第2不揮発メモリから読み出されたデータを一時的に記憶する第2揮発メモリと、を有し、
前記コントローラは、前記第1ダイに記憶されるべきデータ及び前記第1ダイから読み出されたデータを一時的に記憶する第3揮発メモリと、を有し、
前記コントローラは、前記第1ダイにデータを書き込む際には、前記第3揮発メモリに記憶されている前記第1ダイに記憶されるべきデータを、前記第1ダイの前記第1揮発メモリと、前記第2ダイの前記第2揮発メモリと、に並行して書き込む、
メモリシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1の実施形態によるメモリシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】ダイの内部構成の一例を示すブロック図である。
図3】NANDアレイの一例を示す回路図である。
図4】2つのステージに分けてプログラムを行う場合の書き込み順序の一例を示す図である。
図5A】本開示の第1の実施形態のメモリシステムにおける1st Programを示す模式図である。
図5B】本開示の第1の実施形態のメモリシステムにおける2nd Programを示す模式図である。
図6】本開示の第1の実施形態のメモリシステムの詳細な構成を示すブロック図である。
図7】一比較例に係るメモリシステムの書込動作を説明する図である。
図8】本開示の第2の実施形態のダイの構成を示すブロック図である。
図9】本開示の第3の実施形態のメモリシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は本開示の第1の実施形態によるメモリシステム1の概略構成を示すブロック図である。図1のメモリシステム1は、コントローラ2とNANDフラッシュメモリ(以下、NANDメモリと呼ぶこともある)3とを備える。図1のメモリシステム1は、ホスト機器(以下、単にホストと呼ぶ)4と接続可能である。ホスト4は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末などの電子機器である。
【0010】
NANDメモリ3は半導体記憶装置の一例である。NANDメモリ3は、例えば1以上のメモリチップを有し、各メモリチップは、積層された複数のダイを有する。各ダイは、ウエハから切り出されて個片化された単位である。コントローラ2は、複数のダイ5のそれぞれに対して、個別のタイミングでアクセスする。アクセスとは、データの書込み、読出し、又は消去を指す。
【0011】
コントローラ2は、ダイ5に設けられる不揮発性メモリに対し同じデータを複数回書き込むことにより、メモリセルに2値より多い多値のデータを書き込みできるような仕様を採用する。本実施形態は、ダイ5がメモリセルあたり4ビットのデータを記憶可能な4ビット/Cell(QLC:Quad Level Cell)の不揮発性メモリを有する例を主に説明する。
【0012】
コントローラ2は、例えばSoC(System on Chip)であり、ホスト4からの命令に応答して、NANDメモリ3に対する読み出し、書き込み、及び消去等を命令する。また、コントローラ2は、例えば、バッファメモリ11、バッファインターフェイス回路(バッファI/F)12、CPU(Central Processing Unit)13、ホストインターフェイス回路(ホストI/F)14、ECC(Error Correction Code)回路15、NANDインターフェイス回路(NAND_I/F)16、及びRAM(Random Access Memory)18を含んでいる。
【0013】
バッファメモリ11は、コントローラ2の記憶領域として使用される揮発性メモリである。バッファメモリ11は、例えばホスト4から受信した書き込みデータを一時的に記憶する高速の揮発メモリである。バッファメモリ11は、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成可能である。
【0014】
バッファI/F12は、バッファメモリ11に接続され、CPU13とバッファメモリ11との間の通信を司る。
【0015】
CPU13は、コントローラ2全体の動作を制御する。CPU13は、例えばホスト4から受信した書き込み命令に応答して、書き込みコマンドを発行する。また、CPU13は、例えばウェアレベリング等、NANDメモリ3のメモリ空間を管理するための様々な処理を実行する。
【0016】
ホストI/F14は、ホストバスを介してホスト4と接続され、コントローラ2及びホスト4間のデータ、コマンド、及びアドレスの転送を制御する。ホストI/F14は、例えばSATA(Serial Advanced Technology Attachment)、SAS(Serial Attached SCSI)、PCIe(PCI Express)(登録商標)等の通信インターフェイス規格をサポートし得る。
【0017】
ECC回路15は、データのエラー訂正処理を実行する。例えば、書き込み動作時においてECC回路15は、ホスト4から受信した書き込みデータに基づいてパリティを生成し、生成したパリティを書き込みデータに付与してもよい。読み出し動作時においてECC回路15は、NANDメモリ3から受信した読み出しデータに基づいてシンドロームを生成し、生成したシンドロームに基づいて読み出しデータのエラーを検出及び訂正してもよい。なお、ECC回路15の処理動作には種々の変形例が考えられ、特定の処理動作に限定されるものではない。
【0018】
NAND_I/F16は、コントローラ2及びNANDメモリ3間におけるデータ、コマンド、及びアドレスの転送を制御し、NANDメモリ3内の各ダイ5を独立に制御し得る。NAND_I/F16は、NANDインターフェイス規格をサポートしている。
【0019】
RAM18は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM18は、CPU13の作業領域として使用され、例えばNANDメモリ3を管理するためのファームウェアや各種管理テーブル等を保持する。
【0020】
CPU13は、ホスト4からのコマンドに従って、NANDメモリ3にアクセスする。例えば、ホスト4からコントローラ2に対して、NANDメモリ3への書込のコマンドが発行されると、コントローラ2内のCPU13は、書き込むべきデータをいったんバッファメモリ11に記憶する。バッファメモリ11は、NANDメモリ3の書込の単位であるページ分のメモリ容量を少なくとも有する。コントローラ2は、バッファメモリ11に書き込まれたデータを複数回にわたってNANDメモリ3の書込対象のダイ5に書き込む。また、ホスト4からコントローラ2に対して、NANDメモリ3の読出のコマンドが発行されると、CPU13は、NANDメモリ3の読出対象のダイ5からページ単位でデータを読み出して、バッファメモリ11に記憶する。CPU13は、バッファメモリ11に記憶された読出データを、ホストI/F14を介してホスト4に送信する。
【0021】
ECC回路15は、バッファメモリ11に格納されたデータを符号化して、符号語を生成する。また、ECC回路15は、ダイ5から読み出されたデータの誤り検出を行う。ECC回路15は、誤りが検出された場合に、誤り訂正できる程度の誤りであれば、誤りを訂正し、誤り訂正が不可能な誤りであれば、所定のエラー処理を行う。
【0022】
バッファメモリ11は、ホスト4からの書込データをダイ5に書き込む前に一時的に記憶する。また、バッファメモリ11は、ダイ5から読み出したデータをホスト4へ送信する前に一時的に記憶する。バッファメモリ11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の高速の揮発メモリである。バッファメモリ11は、NANDメモリ3内のNANDアレイよりも、アクセス速度が速い。バッファメモリ11は、上述したように、書込又は読出の単位であるページ分以上のメモリ容量を有する。
【0023】
図1は、コントローラ2が、ECC回路15とNAND IF16をそれぞれ備える構成例を示す。ECC回路15は、NAND IF16に内蔵されてもよい。また、ECC回路15が、NANDメモリ3に内蔵されてもよい。
【0024】
なお、図1に示すコントローラ2の構成は一例であり、様々な派生的な構成をとりうる。例えば、内部バス17が分割構造又は階層構造でもよいし、あるいはコントローラ2に付加的な機能ブロックが内蔵又は接続されてもよい。
【0025】
図2は、NANDメモリ3内の1つのダイ5の内部構成の一例を示すブロック図である。ダイ5は、NAND_I/F16、制御部22、NANDメモリセルアレイ(以下、単にNANDアレイと呼ぶ)23、及びページバッファ24を備える。NAND_I/F16、制御部22、NANDアレイ23、及びページバッファ24は、例えば半導体基板(例えば、シリコン基板)上に形成されてチップ化される。
【0026】
制御部22は、NAND_I/F16経由でコントローラ2からのコマンド等に基づいて、ダイ5の動作を制御する。具体的には、制御部22は、書込要求が入力された場合、書き込みが要求されたデータをNANDアレイ23上の指定されたアドレスへ書き込むよう制御する。また、制御部22は、読出要求が入力された場合、読み出しが要求されたデータをNANDアレイ23から読み出して、NAND_I/F16経由でコントローラ2へ出力するよう制御する。ページバッファ24は、NANDアレイ23の書き込み時にコントローラ2のバッファメモリ11から転送されたデータを一時的に格納するバッファであるとともに、NANDアレイ23から読み出したデータを一時的に格納するバッファである。
【0027】
制御部22は、発振器31と、シーケンサ32と、コマンドユーザインターフェイス33と、電圧供給部34と、カラムカウンタ35と、シリアルアクセスコントローラ36とを有する。NANDアレイ23は、ローデコーダ37とセンスアンプ38を有する。
【0028】
NAND_I/F16は、コントローラ2との間でIO信号及び制御入力を送受信するための回路である。コマンドユーザインターフェイス33は、コントローラ2からIO信号線を介して受信したコマンド、アドレス、及びデータのうちの、コマンド及びアドレスを、制御入力に基づいて取得する。コマンドユーザインターフェイス33は、取得したコマンド及びアドレスをシーケンサ32に渡す。なお、IO信号線で送受される信号の種類は任意であり、また、アドレス、コマンド、データ、及び各種制御信号の送受方法も種々のバリエーションを適用可能であり、上述した説明に限定されるものではない。
【0029】
発振器31は、クロックを生成する回路である。発振器31によって生成されたクロックは、シーケンサ32などに供給される。シーケンサ32は、発振器31から供給されるクロックによって駆動されるステートマシンである。シーケンサ32は、NANDアレイ23へのアクセスなどの制御を実行する。例えば、シーケンサ32は、コマンドユーザインターフェイス33から受信したコマンドに応じて、各種の内部電圧や動作タイミング等を制御するための指令を出す。また、シーケンサ32は、コマンドユーザインターフェイス33から受信したアドレスに含まれるブロックアドレス及びページアドレスをローデコーダ37に供給する。さらに、シーケンサ32は、コマンドユーザインターフェイス33から受信したアドレスに含まれるカラムアドレスをカラムカウンタ35に供給する。
【0030】
電圧供給部34は、ワード線に供給される各種の内部電圧やビット線に供給される各種の内部電圧を生成して、ローデコーダ37及びセンスアンプ38へ供給する。カラムカウンタ35は、プログラム動作又はリード動作の際には、シーケンサ32から供給されたカラムアドレスを先頭として、シリアルアクセスコントローラ36から供給される信号に従ってカラムアドレスを順次進める。
【0031】
ページバッファ24は、後述するように、コントローラ2のバッファメモリ11から転送された書込対象のデータを一時的に保持する。ページバッファ24に保持された書込対象のデータは、書込対象のダイ5のNANDアレイ23にページ単位で書き込まれる。また、ページバッファ24は、読出対象のダイ5のNANDアレイ23からページ単位で読み出されたデータを一時的に保持する。ページバッファ24は、例えばSRAMで構成されるが、DRAMで構成されてもよい。
【0032】
シリアルアクセスコントローラ36は、プログラム動作の際には、NAND_I/F16からIO信号線のビット幅毎にシリアルに受信したデータを、ページバッファ24に格納する。また、シリアルアクセスコントローラ36は、リード動作の際にはページバッファ24からIO信号線のビット幅毎にシリアルに受信したデータをNAND_I/F16に送る。
【0033】
ローデコーダ37は、プログラム動作及びリード動作の際、ブロックアドレス及びページアドレスをデコードして、アクセス先のブロックに含まれるアクセス対象となるページに対応するワード線を選択する。そして各ローデコーダ37は、選択ワード線及び非選択ワード線に適切な電圧を印加する。
【0034】
センスアンプ38は、プログラム動作の際には、ページバッファ24に格納された対応するデータをメモリセルトランジスタに転送する。また、センスアンプ38は、リード動作の際には、選択ワード線からビット線に読み出されたデータをセンスして、得られたデータを、ページバッファ24に格納する。ページバッファ24に格納されたデータは、シリアルアクセスコントローラ36及びNAND_I/F16を介してコントローラ2に送られる。
【0035】
図3はNANDアレイ23の一例を示す回路図である。図3は、NANDアレイ23の一部である1ブロックの回路構成を示す。1ブロックは、NANDメモリ3の消去の単位である。ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。
【0036】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLmにそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。
【0037】
メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含み、データを不揮発に記憶する。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0038】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7は、直列接続される。直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端と、関連付けられたビット線BLとの間には、選択トランジスタST1が接続される。直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の他端には、選択トランジスタST2のドレインが接続される。選択トランジスタST2のソースには、ソース線CELSRC及びウェル線CPWELL(図示せず)のそれぞれが接続される。
【0039】
同一のブロックBLKにおいて、ストリングユニットSU0~SU3に含まれた複数の選択トランジスタST1のそれぞれのゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に接続される。複数のメモリセルトランジスタMT0~MT7のそれぞれの制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。複数の選択トランジスタST2のそれぞれのゲートは、それぞれ選択ゲート線SGS0~SGS3に接続される。
【0040】
ビット線BL0~BLmは、複数のブロックBLK間で共有される。同じカラムアドレスに対応するNANDストリングNSには、同じビット線BLが接続される。ワード線WL0~WL7のそれぞれは、ブロックBLK毎に設けられる。ソース線CELSRC及びウェル線CPWELL(図示せず)のそれぞれは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0041】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと称される。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0042】
尚、以上で説明したメモリセルアレイ17の回路構成はあくまで一例であり、これに限定されない。例えば、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2のそれぞれの個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。
【0043】
上述した通り、同一のブロックBLK内にあるメモリセル(メモリセルトランジスタMT)のデータは、一括して消去される。一方、データの読み出し及び書き込みは、同一のワード線に接続される複数のメモリセルからなるメモリセルグループ単位で行われ、1つのメモリセルグループMGが1つのページを構成する。本実施形態では、1つのメモリセルに2値より多い多値のデータを書き込むことを想定しており、この場合は、1ページが複数の階層ページからなる。例えば、QLCの場合、1つのメモリセルグループは4ビット×ビット数分のデータ量を有し、Lowerページ、Middleページ、Upperページ、及びTopページの計4つの階層ページが設けられる。本明細書では、1つのメモリセルグループに対応する複数の階層ページを総称して単にページと呼ぶことがある。また、本明細書では、書込及び読出の単位であるページをメモリ領域と呼ぶことがある。
【0044】
より詳細には、コントローラ2は、一つのストリングユニット内の1本のワード線WLiに接続されている全NANDストリングNSを単位として、書込みを行う。コントローラ2がプログラムを行うデータ量の単位は、4ビット×ビット線数である。
【0045】
リード動作及びプログラム動作時において、物理アドレスに応じて、1本のワード線WLi及び1本のセレクトゲート線が選択され、メモリセルグループが選択される。なお、本明細書では、メモリセルグループにデータを書き込むことを、必要に応じてプログラムと呼ぶ。
【0046】
4ビット/CellのNANDメモリは、セル間相互干渉が1ビット/Cellや2ビット/CellのNANDメモリと比較して大きい。このため、近年の微細化が進んだ世代のNANDメモリでは、セル間相互干渉の抑制のため、2つ以上のステージに分けて、メモリセルのフローティングゲートに少しずつ電荷を注入するプログラム動作が行われる。2つ以上のステージに分けて行われるプログラム動作としては、例えばFoggy-Fineプログラム、又はLM-Foggy-Fineプログラム等が知られている。
【0047】
図4は、2つのステージに分けてプログラムを行う場合の書き込み順序の一例を示す図である。コントローラ2は、まずワード線WL0に対し、第1のステージの書込み(1st Program)を行う。すなわち、コントローラ2は、ワード線WL0に接続されているメモリセルグループのページに対し、1st Programを行う。コントローラ2は、続いて、ワード線WL0に隣接するワード線WL1に接続されているページに対し、同様に1st Programを行う。コントローラ2は、ワード線WL2、WL3に接続されているページに対しても順次1st Programを行う。
【0048】
コントローラ2は、ワード線WL3に接続されているページに対する1st Programの後、ワード線WL0に接続されているページに対する第2のステージの書込み(2nd Program)を行う。その後、コントローラ2は、ワード線WL3に隣接するワード線に接続されているページに対する1st Programと、1st Programが済んだワード線(例えば、ワード線WL1)に接続されているページに対する2nd Programとを、順に行う。
【0049】
上述の通り、本実施形態のコントローラ2は、個々のページ(メモリ領域)に対して少なくとも2回のプログラム(1st Program及び2nd Program)を行う。また、1つのページに対する1st Programと2nd Programとの間には、隣接するページに対する1st Programが、複数回行われる。また、1つのページに対する1st Programと2nd Programとの間に、1st Programが済んだページに対する2nd Programが行われる場合もありうる。
【0050】
図5A及び図5Bは、本開示の第1の実施形態のメモリシステム1におけるダイ5への書き込み処理を説明する図である。第1の実施形態に係るコントローラ2は、バッファメモリ11に記憶された書込データを、NANDメモリ3内の書込対象のダイ(第1ダイ)5aと書込非対象のダイ(第2ダイ)5bに転送することを特徴とする。
【0051】
書込対象のダイ5aは、NANDアレイ(第1不揮発メモリ)23aと、ページバッファ(第1揮発メモリ)24aと、を備える。書込非対象のダイ5bは、NANDアレイ(第2不揮発メモリ)23bと、ページバッファ(第2揮発メモリ)24bと、を備える。NANDアレイ23a及び23bは、ページ単位でデータの書込を行う。
【0052】
図5Aは、書込対象のダイ5aへの1st Programを示す。コントローラ2は、ホスト4から書込命令を受信すると、書込データをページ単位でいったんバッファメモリ11に記憶する。その後、コントローラ2は、バッファメモリ11に記憶されたデータを書込対象のダイ5aのページバッファ24aと、書込非対象のダイ5bのページバッファ24bとに並行して転送する。コントローラ2は、バッファメモリ11に記憶された書込データが書込対象のダイ5a内のページバッファ24aと書込非対象のダイ5b内のページバッファ24bに転送された後は、バッファメモリ11のデータを消去可能となる。これにより、コントローラ2は、バッファメモリ11を他のページの書込データを記憶するために使用できる。
【0053】
続いて、コントローラ2は、書込対象のダイ5aに対して所定の書込コマンドを送信する。ダイ5aは、書込コマンドに従って、ページバッファ24a内のデータをNANDアレイ23a内の該当ページ(例えば、図5AのページPG)に書き込む。これが該当ページの1st Programである。該当ページの1st Programが完了すると、書込対象のダイ5aのページバッファ24aの保持データは消去可能になる。よって、ダイ5aは、他のページの書込のためにページバッファ24aを使用できる。一方、コントローラ2は、書込非対象のダイ5bに対しては、所定の書込コマンドを送信しないため、書込非対象のダイ5bのページバッファ24bは、書込対象のダイ5aへの1st Programが完了後も、データを保持し続ける。
【0054】
図4に示すように、あるページへの1st Programが終わった後、そのページへの2nd Programを行う前に、他の複数のページへの1st Programが行われる。コントローラ2内のバッファメモリ11のデータ及び書込対象のダイ5a内のページバッファ24aのデータは、他のページへの1st Programごとに、他のページへの書込データに更新される。書込非対象のダイ5b内のページバッファ24bは、他のページの1st Programを行っている最中も、書込データを保持し続ける。
【0055】
図5Aに示すように、コントローラ2は、1st Program時にバッファメモリ11から書込対象のダイ5aのページバッファ24aに書込データを転送する際に、書込非対象のダイ5bのページバッファ24bにも同じ書込データを転送する。その後、書込対象のダイ5aのページバッファ24aからNANDアレイ23aの該当ページにデータが書き込まれた後も、書込対象のダイ5bのページバッファ24bは書込データを保持し続けるため、バッファメモリ11とページバッファ24aに記憶された書込データを消去して、他のページの書込等に使用できる。
【0056】
図5Bは、図5Aで1st Programを行ったページPGの2nd Programを示している。コントローラ2は、書込非対象のダイ5b内のページバッファ24bから図5Aで転送されたデータを読み出して、バッファメモリ11に書き込む。コントローラ2は、バッファメモリ11のデータを、ダイ5内のページバッファ24aに転送する。その後、コントローラ2は、ダイ5に対して所定の書込コマンドを送信する。ダイ5は、書込コマンドに従って、ページバッファ24a内のデータを該当するページに書き込む。
【0057】
図5A図5Bに示すように、コントローラ2は、書込対象のダイ5aへの書込データを、書込対象のダイ5aのページバッファ24aに記憶するだけでなく、書込非対象のダイ5bのページバッファ24bにも並行して記憶する。その後、書込対象のダイ5aのページバッファ24aに記憶された書込データをNANDアレイ23aの該当するページに書き込んだ後は、バッファメモリ11とページバッファ24a内の書込データを消去可能となり、他のページへの書込データの記憶に使用できる。一方、書込非対象のダイ5bのページバッファ24b内の書込データは、そのまま記憶される。その後、書込対象のダイ5aの該当ページへの2nd programを行う際には、書込非対象のダイ5bのページバッファ24bからコントローラ2のバッファメモリ11に書込データが転送される。その後、バッファメモリ11から書込対象のダイ5aのページバッファ24aに書込データが転送されて、該当するページに2nd Programが行われる。これにより、コントローラ2のバッファメモリ11と書込対象のダイ5aのページバッファ24aは、書込対象のダイ5aの該当ページの1st Programが終わった段階で、書込データを消去でき、他のページの書込などに使用できるため、バッファメモリ11とページバッファ24aの記憶容量を削減できる。
【0058】
図5A及び図5Bでは、1st Programと2nd Programの2回でダイ5への書込動作を完了させる例を示したが、第1の実施形態に係るメモリシステム1は、3回以上の書込動作を行う場合にも適用可能である。3回以上の書込動作が完了するまで、書込非対象のダイ5bのページバッファ24bに書込データを記憶し続けるようにすれば、バッファメモリ11の記憶容量を削減できる。
【0059】
コントローラ2は、書込対象のダイ5aのページバッファ24aからNANDアレイ23aに書込データが正常に書き込まれたか否かを記録するステータス情報を確認して、ステータス情報がpassであれば、正常に書き込まれたと判断して、バッファメモリ11の書込データを消去できる。また、本実施形態に係るメモリシステム1では、書込非対象のダイ5bのページバッファ24bに書込データが書き込まれる。そのため、ステータス情報がfailであったとしても、コントローラ2はページバッファ24bの書込データを用いて、書込対象のダイ5aのページバッファ24aに書込データを再書込することができる。つまり、コントローラ2はステータス情報がfailであったとしても、バッファメモリ11の書込みデータを消去することができる。よって、本実施形態のコントローラ2は、書込対象のダイ5aのページバッファ24aと書込非対象のダイ5bのページバッファ24bに書込データを書き込んだ後は、ステータス情報を確認することなく、バッファメモリ11の書込データを消去することができる。よって、バッファメモリ11に書込データを保持する期間を短縮でき、バッファメモリ11を有効利用できる。
【0060】
なお、4ビット/CellのNANDメモリは、通常は複数のページバッファを有する。図6は、本開示の第1の実施形態のメモリシステム1の詳細な構成を示すブロック図である。例えば、図6のNANDメモリ3内の各ダイ5(5a、5b)は、1つのページが4つの階層ページ(Lowerページ、Middleページ、Upperページ、Topページ)を有する。この場合各ダイ5には、4つの階層ページのそれぞれごとにページバッファが設けられる。なお各ダイ5に、階層ページのそれぞれごとにページバッファのほか、余剰のページバッファが設けられてもよい。
【0061】
コントローラ2は、ホスト4からの書込データをいったんバッファメモリ11に記憶し、バッファメモリ11に記憶された書込データを書込対象のダイ5aのページバッファ24aに転送する。例えば、バッファメモリ11が一つの階層ページ分の記憶容量しか持たない場合、バッファメモリ11は4つの階層ページ分の書込データを4回に分けて、書込対象のダイ5aの4つのページバッファ24aに順に転送する。これに並行して、書込非対象のダイ5bの4つのページバッファ24bにもバッファメモリ11から順に書込データが転送される。
【0062】
コントローラ2は、すべての階層ページの書込データが各ページバッファ24aに転送された後に書込コマンドをダイ5aに送る。書込対象のダイ5aは、書込コマンドに従って、すべてのページバッファの書込データを該当するページPGに並行して書き込む。
【0063】
図7は一比較例に係るNANDメモリ30の書込動作を説明する図である。図7では、コントローラ2のバッファメモリ11から書込対象のダイ5aのページバッファ24に、1st Program用の書込データが転送され、その後、ページバッファ24に記憶された書込データがNANDアレイ23の該当ページに書き込まれる。図4に示すように、あるページへの1st Programを行った後、そのページへの2nd Programを行うまでに、他の複数のページへの1st Program(又は2nd Program)が行われる。よって、図7の一比較例では、あるページへの1st Programを行ってから2nd Programが完了するまでの間、バッファメモリ11は書込データを保持し続けなければならない。よって、バッファメモリ11には、複数のページの書込データを同時に記憶し続けなければならず、バッファメモリ11の記憶容量が大きくなる。
【0064】
一比較例のNANDメモリ30に対して、第1の実施形態に係るメモリシステム1は、バッファメモリ11から書込対象のダイ5aのページバッファ24aと書込非対象のダイ5bのページバッファ24bに並行して書込データが転送され、該当ページへの2nd Programが終わるまではページバッファ24bに書込データを記憶され続けるため、バッファメモリ11から書込データを消去されても、2nd Program時にページバッファ24bからバッファメモリ11に書込データが転送されて2nd Programを行えるため、バッファメモリ11の記憶容量を削減できる。
【0065】
(第2の実施形態)
ダイ5が複数のページバッファを有する場合に、そのうちの一部のページバッファのみ、コントローラ2がアクセスできるようにする構成が考えられる。この場合、コントローラ2は、複数のページバッファに自由にアクセスできず、複数のページバッファを有効に活用できない。第2の実施形態では、コントローラ2がダイ5の一部のページバッファにしかアクセスできない場合に、第1の実施形態と同様に、コントローラ2のバッファメモリ11の記憶容量を削減できることを特徴とする。
【0066】
図8は、本開示の第2の実施形態のダイ41の構成を示すブロック図である。図8のダイ41は、図5A及び図5Bのダイ5a及び5bに適用可能なダイである。
【0067】
図8のダイ41は、NANDアレイ23と、複数のページバッファ43と、演算器42を有する。複数のページバッファ43のうち、ページバッファ43aはコントローラ2が直接アクセス可能であるのに対し、ページバッファ43bはコントローラ2が直接アクセスできない。ページバッファ43aと43bは、コントローラ2からのコマンドに従って、互いにデータの転送を行うことができる。ページバッファ43aと43b同士のデータの転送は、例えば演算器42により制御される。
【0068】
演算器42は、コントローラ2からのコマンドに従って、複数のページバッファ43(43a、43b)のうち、1つ又は複数のページバッファの保持データに対して所定の演算を行い、その演算結果を別のページバッファに格納することができる。所定の演算とは、例えば、2つのページバッファ間のビット加算又はビット乗算などである。
【0069】
また、演算器42は、コントローラ2からのコマンドに従って、コントローラ2がアクセス可能なページバッファ43aに、他のページバッファ43bの保持データを転送することができる。これにより、コントローラ2は、コマンドの発行により、実質的に任意のページバッファ43(43a、43b)にアクセスすることができる。また、コントローラ2は、ダイ41の演算器42で演算した結果を取得することもできる。
【0070】
例えば、コントローラ2は、1st Program時に、L/M/U/T(Lowerページ、Middleページ、Upperページ、Topページ)のどれに書き込むかにより、書込対象のダイ5aのどのページバッファ43に記憶されるべきデータであるかを指定する。これにより、書込対象のダイ5aの演算器42は、コントローラ2から特定のページバッファ43aに転送されたデータを、別のページバッファ43bに転送する。
【0071】
また、コントローラ2は、第1の実施形態と同様に、書込非対象のダイ5bのページバッファ43にも、書込対象のダイ5aと同じデータを書き込む。コントローラ2は、L/M/U/Tのどれに書き込むかにより、書込非対象のダイ5bのどのページバッファ43に記憶されるべきデータであるかを指定する。これにより、書込非対象のダイ5bの演算器42は、コントローラ2から特定のページバッファ43aに転送されたデータを、別のページバッファ43bに転送する。
【0072】
コントローラ2は、2nd Program時に、コマンドによって、書込非対象のダイ5bのページバッファ43からバッファメモリ11にデータの転送を指示する。これにより、書込非対象のダイ5bの演算器42は、コマンドに従って、コントローラ2が直接アクセスできないページバッファ43bのデータを順にページバッファ43aに転送し、ページバッファ43aを介してバッファメモリ11にデータを転送する。コントローラ2は、1st Program時と同様に、書込対象のダイ5aのページバッファ43aを介して、書込非対象のダイ5bから転送されたデータを順に転送する。
【0073】
このように、第2の実施形態では、ダイ41が有する複数のページバッファ43のうち、一部のページバッファ43aしかコントローラ2がアクセスできない場合でも、ページバッファ43aを介して他のページバッファ43bにデータを転送できるため、書込非対象のダイ5bのページバッファ43にも書込データを書き込むことで、第1の実施形態と同様に、コントローラ2のバッファメモリ11に書込データを保持する期間を短縮でき、バッファメモリ11を有効活用できる。
【0074】
(第3の実施形態)
NANDメモリ3は、微細化及び集積化が進んでおり、1つのNANDメモリチップに積層されるダイの数も増える傾向にある。また、NANDメモリ3を搭載するSSDなどの記憶装置の記憶容量は増大し続けている。このため、コントローラ2が書込を行う書込対象のダイ以外に、膨大な数の書込非対象のダイが存在することになり、これら書込非対象のダイに設けられるページバッファを有効に活用することが望ましい。
【0075】
そこで、第3の実施形態に係るメモリシステムでは、複数のダイが備えるページバッファをホスト4がキャッシュメモリとして使用できるようにしたことを特徴とする。図9は、本開示の第3の実施形態のメモリシステム1aを示すブロック図である。図9のページバッファ24a、24bは、キャッシュメモリ11aを構成する。
【0076】
第3の実施形態に係るメモリシステムは、第1又は第2の実施形態のメモリシステムの機能を備える。具体的には、複数のダイ5のうち、書込対象のダイ5aにデータを書き込む際には、書込対象のダイ5aのページバッファ24aと、書込非対象のダイ5bのページバッファ24bにともに、コントローラ2のバッファメモリ11のデータを転送する。また、ページバッファ24a(24b)に保持された書込対象のデータは、コントローラ2がダイ5a(5b)にアクセスしないタイミングで、NANDアレイ23a(23b)に書き込まれる。
【0077】
書込対象又は書込非対象のダイ5a、5bのページバッファ24a、24bに書込データが保持されている状態で、その書込データに対してホスト4から読出命令が発行された場合、コントローラ2は、ページバッファ24a、24b内の保持データを高速に読み出してホスト4に返すことができる。なお、コントローラ2は、ページバッファ24a又は24bに書込データが保持されていないときは、NANDアレイ23a又は23bから保持データを読み出す。
【0078】
ダイ5a、5bは、ホスト4からのアクセス頻度が所定の基準に満たない書込データを優先してNANDアレイ23a、23bに書き込むようにするのが望ましい。これにより、アクセス頻度が所定の基準を超える書込データはページバッファ24aに保持されるため、コントローラ2はNANDアレイ23a、23bから書込データを読み出すよりも、高速にページバッファ24a、24b内の保持データを読み出すことができる。
【0079】
あるいは、ダイ5a、5bは、ページバッファ24a、24bに保持された書込データを、FIFO(First In First Out)方式で、NANDアレイ23a、23bに書き込むようにしてもよい。コントローラ2は、ホスト4からの読出命令があったデータがダイ5aのページバッファ24aに存在しない場合は、書込対象のダイ5bのページバッファ24bを参照し、ページバッファ24bにもデータが存在しない場合のみ、NANDアレイ23a、23bからデータを読み出すようにしてもよい。
【0080】
このように、第3の実施形態のメモリシステム1aは、各ダイ5(5a、5b)のページバッファ24a、24bをキャッシュメモリとして用いるため、書込対象のダイ5aのページバッファ24aだけでなく、書込非対象のダイ5bのページバッファ24bを有効活用して、ホスト4によるNANDメモリ3のアクセス速度を向上できる。
【0081】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその
要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示
されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。ま
た例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考
えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0082】
[付記]
[項目1]
第1ダイと、
第2ダイと、
前記第1ダイ及び前記第2ダイに対するデータの書込及び読出を制御するコントローラと、を備え、
前記第1ダイは、第1不揮発メモリと、前記第1不揮発メモリに記憶されるべきデータ及び前記第1不揮発メモリから読み出されたデータを一時的に記憶する第1揮発メモリと、を有し、
前記第2ダイは、第2不揮発メモリと、前記第2不揮発メモリに記憶されるべきデータ及び前記第2不揮発メモリから読み出されたデータを一時的に記憶する第2揮発メモリと、を有し、
前記コントローラは、前記第1ダイに記憶されるべきデータ及び前記第1ダイから読み出されたデータを一時的に記憶する第3揮発メモリと、を有し、
前記コントローラは、前記第1ダイにデータを書き込む際には、前記第3揮発メモリに記憶されている前記第1ダイに記憶されるべきデータを、前記第1ダイの前記第1揮発メモリと、前記第2ダイの前記第2揮発メモリと、に並行して書き込む、
メモリシステム。
[項目2]
前記第1ダイは、前記第3揮発メモリから前記第1揮発メモリに書き込まれたデータを前記第1不揮発メモリに書き込む、
項目1に記載のメモリシステム。
[項目3]
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリに同じデータを複数回書き込むことにより、前記第1不揮発メモリの各メモリセルに2値より多い多値のデータを書き込む、
項目1又は2に記載のメモリシステム。
[項目4]
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリに2回目以降に同じデータを書き込む際には、前記第2揮発メモリから読み出されて前記第3揮発メモリに書き込まれたデータを前記第1揮発メモリに書き込む、
項目3に記載のメモリシステム。
[項目5]
前記第1不揮発メモリに対して複数回の書込が終了するまで、前記同じデータは前記第2揮発メモリに保持される、
項目3に記載のメモリシステム。
[項目6]
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリに書き込むべき前記第3揮発メモリのデータを前記第1揮発メモリ及び前記第2揮発メモリに書き込んだ後、前記第3揮発メモリのデータを更新する、
項目5に記載のメモリシステム。
[項目7]
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリに書き込むべき前記第3揮発メモリのデータを前記第1揮発メモリ及び前記第2揮発メモリに書き込んだ後、前記第1揮発メモリから前記第1不揮発メモリへのデータの書込が完了したか否かを示すステータス情報が書込完了になる前に、又は、前記ステータス情報が書込失敗を示していても、前記第3揮発メモリのデータ更新を可能にする、
項目1に記載のメモリシステム。
[項目8]
前記第1不揮発メモリ及び前記第2不揮発メモリは、書込及び読出の単位であるメモリ領域を複数有し、
前記第1揮発メモリ、前記第2揮発メモリ、及び前記第3揮発メモリは、1つ以上の前記メモリ領域に対応する記憶容量を有する、
項目1乃至7のいずれか一項に記載のメモリシステム。
[項目9]
前記コントローラは、前記第1不揮発メモリの所定のメモリ領域に書き込まれるべきデータを、前記第3揮発メモリから前記第1揮発メモリと前記第2揮発メモリに書き込んだ後、前記第3揮発メモリのデータを更新可能にする、
項目8に記載のメモリシステム。
[項目10]
前記第1ダイは、前記第1不揮発メモリの所定のメモリ領域に前記第1揮発メモリのデータを書き込んだ後、前記第1不揮発メモリの前記所定のメモリ領域以外のメモリ領域に前記第1揮発メモリのデータを書き込む動作を複数回行い、その後に、前記第1不揮発メモリの前記所定のメモリ領域に前記第1揮発メモリのデータを再度書き込む、
項目8又は9に記載のメモリシステム。
[項目11]
前記第1揮発メモリ、前記第2揮発メモリ、及び前記第3揮発メモリのそれぞれは、複数のメモリ領域を有し、
前記コントローラは、前記第3揮発メモリにおける前記複数のメモリ領域内のデータを、前記第1揮発メモリ及び前記第2揮発メモリに並行して書き込む、
項目1乃至10のいずれか一項に記載のメモリシステム。
[項目12]
前記コントローラは、ホスト装置からのデータ読出命令に応答して、読出対象データが前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリに記憶されている場合には、前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリから読出対象データを読み出し、読出対象データが前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリに記憶されていない場合には、前記第1不揮発メモリ又は前記第2不揮発メモリから読出対象データを読み出す、
項目1乃至11のいずれか一項に記載のメモリシステム。
[項目13]
前記コントローラは、ホスト装置からデータの書込命令に応答して、前記第3揮発メモリに書込対象データを書き込み、その後、前記第3揮発メモリから前記第1揮発メモリ及び前記第2揮発メモリに並行して書込対象データを書き込む、
項目1乃至11のいずれか一項に記載のメモリシステム。
[項目14]
前記コントローラは、ホスト装置のアクセス頻度が所定の基準を超える書込対象データを優先して前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリに書き込み、アクセス頻度が前記所定の基準に満たない書込対象データを、前記第1揮発メモリから前記第1不揮発メモリに追い出すか、又は前記第2揮発メモリから前記第2不揮発メモリに追い出す、
項目1乃至11のいずれか一項に記載のメモリシステム。
[項目15]
前記第1揮発メモリ又は前記第2揮発メモリに書き込まれたデータは、前記コントローラがアクセスしない期間内に前記第1揮発メモリから前記第1不揮発メモリに書き込まれるか、又は前記第2揮発メモリから前記第2不揮発メモリに書き込まれる、
項目13又は14に記載のメモリシステム。
[項目16]
前記第1ダイ及び前記第2ダイは、それぞれ、センスアンプ及びローデコーダを有する、
項目1乃至15のいずれか一項に記載のメモリシステム。
[項目17]
前記第1揮発メモリ、前記第2揮発メモリ及び前記第3揮発メモリは、SRAM(Static Random Access Memory)である、
項目1乃至16のいずれか一項に記載のメモリシステム。
[項目18]
前記第1不揮発メモリ及び前記第2不揮発メモリは、NANDフラッシュメモリである、
項目1乃至17のいずれか一項に記載のメモリシステム。
[項目19]
前記第1ダイと、前記第2ダイとを含む複数のダイを備え、
前記複数のダイは、積層されており、
前記コントローラは、前記複数のダイのそれぞれに対して、それぞれ異なるタイミングでアクセスする、
項目1乃至18のいずれか一項に記載のメモリシステム。
【符号の説明】
【0083】
1、1a、100 メモリシステム、2 コントローラ、3 NANDメモリ、4 ホスト、5、5a、5b、41 ダイ、11 バッファメモリ、11a キャッシュメモリ、12 バッファインターフェイス、13 プロセッサ、14 ホストインターフェイス回路、15 ECC回路、16 NANDインターフェイス回路、18 RAM、22 制御部、23、23a、23b NANDアレイ、24、24a、24b、43、43a、43b ページバッファ、31 発振器、32 シーケンサ、33 コマンドユーザインターフェイス、34 電圧供給部、35 カラムカウンタ、36 シリアルアクセスコントローラ、37 ローデコーダ、38 センスアンプ、42 演算器
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9