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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122555
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20240902BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20240902BHJP
   A01D 67/02 20060101ALI20240902BHJP
   A01D 41/02 20060101ALI20240902BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B60H1/00 102S
A01D67/00 G
A01D67/02
A01D41/02 D
B60H1/00 102N
B60H1/34 651C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030153
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五島 一実
(72)【発明者】
【氏名】三宅 達也
(72)【発明者】
【氏名】西崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】森本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】山本 次郎
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大器
(72)【発明者】
【氏名】仙波 篤志
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
(72)【発明者】
【氏名】藤井 克朋
【テーマコード(参考)】
2B074
2B076
3L211
【Fターム(参考)】
2B074AA01
2B074AB01
2B074AC02
2B074BA07
2B074DE03
2B074DE09
2B074GE05
2B076AA03
2B076BA07
2B076BC08
2B076CD01
2B076CD08
3L211AA09
3L211BA42
3L211BA55
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】キャビンにエアコンユニットを搭載したトラクタがある。然しながら、エアコンユニットがキャビンの座席の下部側に配置され空調ダクト等が座席下部側から配置されているので、キャビンの居住空間が狭くなる課題があった。そこで、居住空間を広く確保できるキャビンを装備した作業車両を提供する。
【解決手段】キャビン23の上部左右一側に設けたエアコンユニット30から放出される空調エアをキャビン23内の前部側の前エア吹き出し口34a,34b及びエアコンユニット30を設けた側と反対側の左右他側の側部エア吹き出し口34c,34dに案内するフロントダクト33Fと空調エアをキャビン23内のエアコンユニット30を設けた側の側部エア吹き出し口34e及び後部側の後エア吹き出し口34fに案内するリヤダクト33Rを設ける。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(4)及び操縦者が搭乗するキャビン(23)を装備した作業車両において、キャビン(23)の上部左右一側に設けたエアコンユニット(30)から放出される空調エアをキャビン(23)内の前部側の前エア吹き出し口(34a,34b)及びエアコンユニット(30)を設けた側と反対側の左右他側の側部エア吹き出し口(34c,34d)に案内するフロントダクト(33F)と空調エアをキャビン(23)内のエアコンユニット(30)を設けた側の側部エア吹き出し口(34e)及び後部側の後エア吹き出し口(34f)に案内するリヤダクト(33R)を設け、フロントダクト(33F)のフロント吸入口(33Fa)をリヤダクト(33R)のリヤ吸入口(33Ra)よりも広く構成したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
リヤダクト(33R)にてペットボトル(30a,30b)や缶ボトル等を保冷及び/または保温する保存庫(32)に空調エアを案内し、保存庫(32)に後エア吹き出し口(34f)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
保存庫(32)がキャビン(23)の後部側に配置され、その底部がエアコンユニット(30)の底部よりも上方に位置し、保存庫(32)の開閉ドア(32a)に後エア吹き出し口(34f)を設け、保存庫(32)の開閉ドア(32a)が下部に設けた枢支軸にて上側が手前下方に向けて開く構成とし、保存庫(32)及び後エア吹き出し口(34f)が操作席(21)よりも後側に位置することを特徴とする請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
エアコンユニット(30)の後方でキャビン(23)の室内側に偏倚したリヤダクト(33R)の後方に保存庫(32)を配置し、エアコンユニット(30)の左右幅内の後方位置でエアコンユニット(30)と保存庫(32)にて形成される空間部に機体の位置情報を取得する位置情報取得装置(31)を配置したことを特徴とする請求項2記載の作業車両。
【請求項5】
保存庫(32)の内部底面にボトル(30a)が転がるのを防止する凹部(32c)を設け、保存庫(32)とキャビンルーフ(25)の間に空間(25a)を設けたことを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項6】
フロントダクト(33F)を湾曲させてキャビン(23)の室内空間を広くした部位にモニタ(35)を配置し、フロントガラス窓(28)上部に位置する前エア吹き出し口(34a,34b)がフロントガラス窓(28)下方に向けて空調エアを吹き出すことを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項7】
キャビン(23)前部のフロントガラス窓(28)よりも前方にキャビンルーフ(25)を突出させ、該キャビンルーフ(25)の前部突出部下面内にフロントガラス窓(28)のワイパー(40)が非作動時に収納されることを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビンを装備した作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、操縦者が搭乗するキャビンにエアコンユニットを搭載したトラクタがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-224278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、エアコンユニットがキャビンの座席の下部側に配置されており、空調ダクト等を座席下部側から配置すると、キャビンの居住空間が狭くなり、操縦者の車体操作性が低下すると共に閉塞感や圧迫感を感じやすくなって操縦者の肉体的及び精神的な疲労が増す課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、居住空間を広く確保できるキャビンを装備した作業車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行装置4及び操縦者が搭乗するキャビン23を装備した作業車両において、キャビン23の上部左右一側に設けたエアコンユニット30から放出される空調エアをキャビン23内の前部側の前エア吹き出し口34a,34b及びエアコンユニット30を設けた側と反対側の左右他側の側部エア吹き出し口34c,34dに案内するフロントダクト33Fと空調エアをキャビン23内のエアコンユニット30を設けた側の側部エア吹き出し口34e及び後部側の後エア吹き出し口34fに案内するリヤダクト33Rを設け、フロントダクト33Fのフロント吸入口33Faをリヤダクト33Rのリヤ吸入口33Raよりも広く構成した作業車両である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、キャビン23上部にエアコンユニット30、フロントダクト33F、リヤダクト33R及び複数のエア吹き出し口34a,34b,34c,34d,34e,34fを設けたので、キャビン23内の居住空間を広く確保できる。
【0008】
また、送風距離が長いフロントダクト33Fのフロント吸入口33Faを送風距離の短いリヤダクト33Rのリヤ吸入口33Raよりも広くすることにより、エアコンユニット30からキャビン23内周囲の複数のエア吹き出し口34a,34b,34c,34d,34e,34fに均等に空調エアを送ることができ、キャビン23内の温度をできるだけ均一に変化させることができ、作業しやすい環境を実現できる。
【0009】
請求項2記載の発明は、リヤダクト33Rにてペットボトル30a,30bや缶ボトル等を保冷及び/または保温する保存庫32に空調エアを案内し、保存庫32に後エア吹き出し口34fを設けた請求項1記載の作業車両である。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、リヤダクト33Rにてペットボトル30a,30bや缶ボトル等を保冷及び/または保温する保存庫32に空調エアを案内し、保存庫32に後エア吹き出し口34fを設けたので、空調エアの案内経路を活用して保存庫32を配置ができキャビン23内の居住空間を広く確保できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、保存庫32がキャビン23の後部側に配置され、その底部がエアコンユニット30の底部よりも上方に位置し、保存庫32の開閉ドア32aに後エア吹き出し口34fを設け、保存庫32の開閉ドア32aが下部に設けた枢支軸にて上側が手前下方に向けて開く構成とし、保存庫32及び後エア吹き出し口34fが操作席21よりも後側に位置する請求項2記載の作業車両である。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、保存庫32がキャビン23の後部側に配置され、その底部がエアコンユニット30の底部よりも上方に位置するので、キャビン23内の居住空間を広く確保できる。
【0013】
また、開閉ドア32aに後エア吹き出し口34fを設けたので、空調装置をさらに省スペース化することができる。
【0014】
また、保存庫32の開閉ドア32aが下部に設けた枢支軸にて上側が手前下方に向けて開く構成とし、保存庫32及び後エア吹き出し口34fが操作席21よりも後側に位置するので、操作席21の後方に空調エアを送ることができ、キャビン23の快適性が向上し、開閉ドア32aが意図せず開いて内部のペットボトル30a,30b等が落下しても、操作席21に着座した操縦者に当たり難い配置で、安全性が確保される。
【0015】
請求項4記載の発明は、エアコンユニット30の後方でキャビン23の室内側に偏倚したリヤダクト33Rの後方に保存庫32を配置し、エアコンユニット30の左右幅内の後方位置でエアコンユニット30と保存庫32にて形成される空間部に機体の位置情報を取得する位置情報取得装置31を配置した請求項2記載の作業車両である。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、キャビン23の上部空間を活かしてエアコンユニット30、リヤダクト33R、保存庫32及び位置情報取得装置31をコンパクトに配置することできてキャビン23内の居住空間を広く確保できる。
【0017】
請求項5記載の発明は、保存庫32の内部底面にボトル30aが転がるのを防止する凹部32cを設け、保存庫32とキャビンルーフ25の間に空間25aを設けた請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の作業車両である。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、保存庫32の内部底面にボトル30aが転がるのを防止する凹部32cを設けたので、収納しているボトル30aが機体の移動や振動によって転がることを防止でき、開閉ドア32aを押し開けてキャビン23内に落下することが防止できる。
【0019】
また、保存庫32とキャビンルーフ25の間に空間25aを設けたので、キャビンルーフ25の熱が直接保存庫32に伝熱しない。
【0020】
請求項6記載の発明は、フロントダクト33Fを湾曲させてキャビン23の室内空間を広くした部位にモニタ35を配置し、フロントガラス窓28上部に位置する前エア吹き出し口34a,34bがフロントガラス窓28下方に向けて空調エアを吹き出す請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の作業車両である。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、フロントダクト33Fを湾曲させてキャビン23の室内空間を広くした部位にモニタ35を配置したので、キャビン23の居住空間を広く確保できると共に、視認しやすい箇所にモニタ35を配置することができて能率の良い作業が可能になる。
【0022】
また、フロントガラス窓28上部に位置する前エア吹き出し口34a,34bがフロントガラス窓28下方に向けて空調エアを吹き出すので、フロントガラス窓28の曇り防止機能(デフロスター)を兼用させて視認性の低下を防止できる。
【0023】
請求項7記載の発明は、キャビン23前部のフロントガラス窓28よりも前方にキャビンルーフ25を突出させ、該キャビンルーフ25の前部突出部下面内にフロントガラス窓28のワイパー40が非作動時に収納される請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の作業車両である。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、キャビン23前部のフロントガラス窓28よりも前方にキャビンルーフ25を突出させ、該キャビンルーフ25の前部突出部下面内にフロントガラス窓28のワイパー40が非作動時に収納されるので、前方視認性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明における実施の形態のコンバインの左側面図である。
図2】本発明における実施の形態のコンバインの右側面図である。
図3】本発明における実施の形態のコンバインの平面図である。
図4】本発明における実施の形態のコンバインのキャビンの平断面図である。
図5】本発明における実施の形態のコンバインのキャビンの右側断面図である。
図6】本発明における実施の形態のコンバインのキャビン要部の正断面図である。
図7】本発明における実施の形態のコンバインのキャビン要部の右側断面図である。
図8】本発明における実施の形態のコンバインの温冷庫の作用説明用の断面図である。
図9】本発明における実施の形態のコンバインのキャビン要部の正断面図である。
図10】本発明における実施の形態のコンバインのキャビンの底断面図である。
図11】本発明における実施の形態のコンバインのキャビン要部の正断面図である。
図12】本発明における実施の形態のコンバインのキャビン要部の右側断面図である。
図13】本発明における実施の形態のコンバインのキャビン要部の左側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態である作業車両の一例であるコンバイン1について添付図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0027】
<コンバインの全体構成>
図1図3に示すように、コンバイン1は、車台2の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3を張設した走行装置4を配設すると共に、該車台2上の左右に、フィードチェン5に挟持して搬送供給される穀稈を脱穀選別処理する脱穀装置6と、その穀粒を一時貯留する貯留装置としてのグレンタンク7と、このグレンタンク7に貯留された穀粒を機外へ排出する排穀オーガ8を載置配設し、この脱穀装置6の後端部に排藁処理装置9を装架する。排穀オーガ8は、穀粒の排出時にオーガ昇降シリンダを作動して起伏する。
【0028】
脱穀装置6の前方に、前端側から未刈穀稈を分草する分草体11と、分草した穀稈を引き起こす引起部12と、引き起こした穀稈を刈り取る刈刃部13と、刈り取った穀稈を掻き込むと共に搬送途中において扱深さを調節して前記フィードチェン5へ引き継ぎを行う供給調節搬送部等を有する刈取装置15を、刈取昇降シリンダにより土壌面に対して昇降自在なるよう車台2の前端部へ懸架配設して構成する。
【0029】
前記刈取装置15の後側上部にコンバイン1の操作制御を行う操作装置と、操縦者が座る操作席21を設け、この操作席21の下方側にエンジン22を搭載し、後方側に前記グレンタンク7を配置すると共に、該操作装置と操作席21を覆うキャビン23を設け、これら走行装置4,脱穀装置6,刈取装置15,操作装置,エンジン22,キャビン23等をコンバインの車台2に装着する。
【0030】
また、キャビン23内に設けたモニタ35には、満杯センサがグレンタンク7内に穀粒が満杯になったことを検出するとグレンタンク満杯の警報や燃料切れセンサが燃料タンク内の燃料が残り少なくなったことを検出すると燃料切れの警報や制御装置からの各種支持事項等が表示される。
【0031】
操作装置は、操作席21に着座した操縦者による前後操作により前後進及び停止の切換えと主変速切換えを行う変速アクチュエータを作動させる主変速レバーと、左右側への傾倒操作により左右走行クローラ3,3の左右サイドクラッチ及び左右サイドブレーキを操作する左右走行アクチュエータを作動させて直進時の左右操向及び各種旋回モードによる旋回を行わせ、前後方向の操作で刈取昇降シリンダを作動させて刈取装置15を昇降させる操向レバーと、刈脱クラッチアクチュエータを作動させて刈取装置15と脱穀装置6の駆動を入り切りする刈脱レバーと、排穀オーガ8先端部の排出口8aの位置をオーガ昇降シリンダの作動にて上下方向に移動し、左右旋回用アクチュエータの作動にて左右方向に移動させるオーガ操作レバーと、排穀オーガ8の駆動を入り切りするオーガ駆動電磁クラッチを作動させてグレンタンク7内の穀粒を排出口8aから機外に排出させるオーガ駆動切換えレバー等の各種操作具を備える。
【0032】
<キャビン23>
図1図3に示すように、キャビン23は、車台2に基部が固定されたキャビンフレーム24の上部にキャビンルーフ25を設けて箱状に構成し、右側面に右ガラス窓26aを設けた前側が開閉するドア26、左側面に左ガラス窓27,前側面にフロントガラス窓28及び後側面にリヤガラス窓29を装備する。
【0033】
図4図7に示すように、キャビン23内の上部左側の前後中央位置にエアコンユニット30を設け、該エアコンユニット30の後方に位置情報取得装置としてのGNSSユニット31及びペットボトル30a,30bや缶ボトル等を保冷及び保温する保存庫としての温冷庫32を設けている。
【0034】
GNSSユニット31は、エアコンユニット30の左右幅内に配置され、温冷庫32は左側部がエアコンユニット30の右側部とオーバーラップする位置に配置されている。
【0035】
また、GNSSユニット31を温冷庫32の前後幅内に配置することにより、キャビン23後方に突出することなく配置できる。
【0036】
従って、キャビン23内の上部左側空間にエアコンユニット30、GNSSユニット31及び温冷庫32をコンパクトに配置することができる。
【0037】
また、エアコンユニット30後方のデッドスペースを活用してGNSSユニット31及び温冷庫32を配置し、エアコンユニット30と温冷庫32を左右方向で重なる位置に配置したので、キャビン23内の空間を有効活用することができ、キャビン23内の居住空間に大きく張り出すことやキャビン23外に張り出すことが防止できる。
【0038】
また、GNSSユニット31をキャビン23内に設けることにより、外観が良くなる。
【0039】
GNSSユニット31の下面は、温冷庫32の下面よりも高い位置になるように構成され、後方視界を良くしている。
【0040】
GNSSユニット31は、操作席21左端よりも左側方にはみ出して配置しており、室内空間を広く確保している。
【0041】
エアコンユニット30の右側面前側からキャビン23内上部を前方に向けてフロントダクト33Fを延設してエアコンユニット30の前方で左側に張り出すように湾曲(迂回)させた後に、キャビン23内前部を左側から右側に向けて延設し、更に、キャビン23内右側を後方に向けて操作席21右側に至るまで延設している。
【0042】
そして、フロントダクト33Fには、キャビン23内前部に左右前エア吹き出し口34a,34bを設け、更に、キャビン23内右部に側部エア吹き出し口としての前後右エア吹き出し口34c,34dを設けている。
【0043】
なお、キャビン23内前部に設けた左右前エア吹き出し口34a,34bは、下方に向けて空調エアを噴出する構成としており、フロントガラス窓28の曇り防止機能(デフロスター)を兼用させている。
【0044】
そして、フロントダクト33F前左部を湾曲(迂回)させてキャビン23の室内空間を広くした部位には、モニタ35を配置している。
【0045】
モニタ35は、内装パネル36の室内側面に食い込むような状態で取り付けられ、あたかも内装パネル36に埋め込まれたように一体感があって外観が良い。
【0046】
また、モニタ35は、内装パネル36の下面よりも上方に配置し、光の映り込みを防止し、前部左右中央位置に設けたバックミラー(バックモニタでも良い)37の左側にあり、操作席21に着座した操縦者が見やすい。
【0047】
また、エアコンユニット30の右側面後側からキャビン23内上部を二股状に前方及び後方に向けてリヤダクト33Rを延設して、前方に向けて延設したリヤダクト33Rが操作席21左側に至った部位に側部エア吹き出し口としての左前エア吹き出し口34eを設け、後方に向けて延設した端部を温冷庫32内の上部に開口して、温冷庫32内に空調エアを噴出すると共に、その開閉ドア32aに後エア吹き出し口としての左後エア吹き出し口34fを設けて操作席21後側に空調エアを吹き出して操縦者の背中側を空調できるようにしている。
【0048】
そして、エアコンユニット30の右側面前側に接続されているフロントダクト33F基部のフロント吸入口33Faは、エアコンユニット30の右側面後側に接続されているリヤダクト33R基部のリヤ吸入口33Raよりも広くなっている。
【0049】
従って、フロントダクト33Fは、4つの左右前エア吹き出し口34a,34b及び前後右エア吹き出し口34c,34dが設けられたキャビン23内を左部から前部を経由して右部に至る長いダクトであるが、エアコンユニット30から広いフロント吸入口33Faにて十分な空調エアの風量を確保できて、良好な空調が行なえる。
【0050】
また、リヤダクト33Rは、エアコンユニット30の近くにある左前エア吹き出し口34e及び温冷庫32を経由した左後エア吹き出し口34fから空調エアを噴出する比較的に短い経路なので、エアコンユニット30から狭いリヤ吸入口33Raを介してでも十分な空調効果が得られる。
【0051】
また、エアコンユニット30からリヤダクト33Rにて温冷庫32に空調エアを送風し、温冷庫32内に新鮮な空調エアを噴出した後に左後エア吹き出し口34fから噴き出す経路としたので、常に新鮮な空調エアにて温冷庫32内を冷やしたり温めたりすることができる。
【0052】
また、エアコンユニット30からリヤダクト33Rにて温冷庫32内の上方位置に空調エアを噴出させて下方の左後エア吹き出し口34fからキャビン23内に噴き出す経路としたので、温冷庫32の冷却効率や加熱効率が良い。
【0053】
また、温冷庫32の開閉ドア32aに左後エア吹き出し口34fを設けたので、吹き出し口のスペースを別に設けることなく配置できて簡潔で安価な構成となる。
【0054】
なお、フロントダクト33Fとリヤダクト33Rは、合成樹脂で一体形成してあり、フロントとリヤに分けたダクトであるが一体形成することにより部品点数を増加することなく製造コストの削減が行なえる。
【0055】
温冷庫32の下面は、エアコンユニット30の下面よりも上方に配置され、キャビン23内の空間を広く確保できる。
【0056】
温冷庫32は、キャビン23内左後上部に配置されており、操作席21に着座した操縦者の前方視界を妨げない。
【0057】
温冷庫32は、操作席21よりも後方に配置されている。従って、温冷庫32内のペットボトル30a,30b等が落下しても操作席21に着座している操縦者に当たらない。
【0058】
温冷庫32は、その前面と操作席21の背凭れが一致する付近に配置されている。従って、温冷庫32が操縦席である操作席21から遠く離れていないので使いやすい。
【0059】
温冷庫32の開閉ドア32aは、下端部に前後方向の枢支軸を設けて上部が手前下方に向けて開く構成としており、内部に入れているペットボトル30a,30b等が開閉ドア32aを開けても転げ出ない。なお、開閉ドア32a上部には、外から操作できるフック32bが設けられており、閉じた状態を保持する。
【0060】
温冷庫32の下側にエアコンユニット30のホース30c類を配策し、温冷庫32下側のスペースを有効活用している。
【0061】
左ガラス窓27の後方に配設した左後方ガラス窓27aは、温冷庫32下面位置まで設けてあり、左後方視界を良くしている。
【0062】
図8に示すように、温冷庫32は、500mlのペットボトル30aなら横にして2本収容でき、350mlのペットボトル30bなら縦にして3本収容できる。
【0063】
図9に示すように、温冷庫32は、500mlのペットボトル30aを横にして収納した際に転がるのを防止する凹部32cを内部底面に設けている。
【0064】
温冷庫32の上面とキャビンルーフ25の間には、空間25aが設けられており、キャビンルーフ25の温度が直接温冷庫32に伝熱しないように構成されている。
【0065】
また、図10に示すように、モニタ35は、その取付け部35aの基部が内装パネル36下面に設けたモニタ取付用ホール35bに取付けられ、外観が奇麗である。
【0066】
温冷庫32は、その底面部が内装パネル36下面に設けた保冷庫取付ホール32dに取付けられ、外観が奇麗である。
【0067】
なお、上記実施形態では保存庫として温冷庫32の例を示したが、エアコンユニット30からの冷風にて機能する保冷庫としても良く、また、エアコンユニット30からの温風にて機能する保温庫としても良い。
【0068】
以上要するに、キャビン23上部にエアコンユニット30、フロントダクト33F、リヤダクト33R及び複数のエア吹き出し口34a,34b,34c,34d,34e,34fを設けたので、キャビン23内の居住空間を広く確保できる。
【0069】
また、送風距離が長いフロントダクト33Fのフロント吸入口33Faを送風距離の短いリヤダクト33Rのリヤ吸入口33Raよりも広くすることにより、エアコンユニット30からキャビン23内周囲の複数のエア吹き出し口34a,34b,34c,34d,34e,34fに均等に空調エアを送ることができ、キャビン23内の温度をできるだけ均一に変化させることができ、作業しやすい環境を実現できる。
【0070】
また、リヤダクト33Rにてペットボトル30a,30bや缶ボトル等を保冷または保温する温冷庫32に空調エアを案内し、温冷庫32に後エア吹き出し口34fを設けたので、空調エアの案内経路を活用して温冷庫32を配置ができキャビン23内の居住空間を広く確保できる。
【0071】
また、温冷庫32がキャビン23の後部側に配置され、その底部がエアコンユニット30の底部よりも上方に位置するので、キャビン23内の居住空間を広く確保できる。
【0072】
また、開閉ドア32aに後エア吹き出し口34fを設けたので、空調装置をさらに省スペース化することができる。
【0073】
また、温冷庫32の開閉ドア32aが下部に設けた枢支軸にて上側が手前下方に向けて開く構成とし、温冷庫32及び後エア吹き出し口34fが操作席21よりも後側に位置するので、操作席21の後方に空調エアを送ることができ、キャビン23の快適性が向上し、開閉ドア32aが意図せず開いて内部のペットボトル30a,30b等が落下しても、操作席21に着座した操縦者に当たり難い配置で、安全性が確保される。
【0074】
また、キャビン23の上部空間を活かしてエアコンユニット30、リヤダクト33R、温冷庫32及び位置情報取得装置31をコンパクトに配置することできてキャビン23内の居住空間を広く確保できる。
【0075】
また、フロントダクト33Fを湾曲させてキャビン23の室内空間を広くした部位にモニタ35を配置したので、キャビン23の居住空間を広く確保できると共に、視認しやすい箇所にモニタ35を配置することができて能率の良い作業が可能になる。
【0076】
また、フロントガラス窓28上部に位置する前エア吹き出し口34a,34bがフロントガラス窓28下方に向けて空調エアを吹き出すので、フロントガラス窓28の曇り防止機能(デフロスター)を兼用させて視認性の低下を防止できる。
【0077】
図11図13に示すように、フロントガラス窓28外面上部には、ワイパー40が装備されている。
【0078】
キャビンルーフ25は、キャビン23前部のフロントガラス窓28よりも前方に突出している。
【0079】
ワイパー40は、キャビンルーフ25の前部突出部に固定されたオフセットプレート39に基部が回動自在に支持された一般的な構成で、非作動時にはキャビンルーフ25の前部突出部下面内に水平な姿勢で停止して収納される。
【0080】
従って、キャビンルーフ25の前部突出部下面内にワイパー40が非作動時に収納されるので、前方視認性の向上が図れる。
【0081】
キャビンルーフ25前端部内方には、ワイパー40を駆動するワイパーモータ41が設けられており、ワイパーモータ41の駆動軸41aがオフセットプレート39を貫通して設けられ、ワイパー40の回動リンク機構を作動させてワイパー40が水平な非作動位置と下方垂直方向に向く位置に往復回動してフロントガラス窓28外面に付着した水滴や汚れ等を拭き落とす。
【0082】
オフセットプレート39の左右中央部には、ウォッシャーノズル42が設けられており、操作装置の操作にてウォッシャーポンプが作動してフロントガラス窓28外面に洗浄水を噴射する。
【符号の説明】
【0083】
4 走行装置
21 操作席
23 キャビン
25 キャビンルーフ
25a 空間
28 フロントガラス窓
30 エアコンユニット
30a ペットボトル
30b ペットボトル
31 位置情報取得装置(GNSSユニット)
32 保存庫(温冷庫)
32a 開閉ドア
32c 凹部
33F フロントダクト
33Fa フロント吸入口
33R リヤダクト
33Ra リヤ吸入口
34a 前エア吹き出し口(左前エア吹き出し口)
34b 前エア吹き出し口(右前エア吹き出し口)
34c 側部エア吹き出し口(前右エア吹き出し口)
34d 側部エア吹き出し口(後右エア吹き出し口)
34e 側部エア吹き出し口(左前エア吹き出し口)
34f 後エア吹き出し口(左後エア吹き出し口)
35 モニタ
40 ワイパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13