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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122574
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】キャビネット
(51)【国際特許分類】
   A47B 77/04 20060101AFI20240902BHJP
   A47B 67/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A47B77/04 Z
A47B67/02 502L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030181
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000108661
【氏名又は名称】タカラスタンダード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福原 信子
(72)【発明者】
【氏名】林 優花
(72)【発明者】
【氏名】黒川 將平
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260EC01
3B260EC03
(57)【要約】
【課題】オープンスペースへのアクセス性の向上と、収容部の収納高の確保を図る。
【解決手段】キャビネットは、収容部の下側にオープンスペースを有するキャビネットであって、上記収容部は、上記キャビネットの手前側に位置する前板と、上記オープンスペース側に位置する底板と、を有し、上記底板は、上記前板の下縁より下側に位置し、上記底板の前縁は、上記前板より上記キャビネットの奥側に位置し、上記オープンスペースの上側、上記前板の下縁より下側、及び上記底板の前縁より手前側に、アクセススペースを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部の下側にオープンスペースを有するキャビネットであって、
前記収容部は、
前記キャビネットの手前側に位置する前板と、
前記オープンスペース側に位置する底板と、を有し、
前記底板は、前記前板の下縁より下側に位置し、
前記底板の前縁は、前記前板より前記キャビネットの奥側に位置し、
前記オープンスペースの上側、前記前板の下縁より下側、及び前記底板の前縁より手前側に、アクセススペースを有する、
キャビネット。
【請求項2】
前記キャビネットは、前記キャビネットの幅方向において、前記収容部と隣接する第2収容部を有し、
前記第2収容部は、前記キャビネットの手前側に位置する第2前板を有し、
前記前板の下縁と前記第2前板の下縁は、前記キャビネットの高さ方向の位置が合うように構成されている、
請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記収容部及び前記第2収容部が閉ざされた状態において、前記前板と前記第2前板は、前記キャビネットの奥行方向の手前側の面の位置が合うように構成されている、請求項2に記載のキャビネット。
【請求項4】
前記収容部は、引き出し型の収容部である、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項5】
前記底板は、前記前板の下縁より30~250mm下側に位置し、
前記底板の前縁は、前記前板より50~300mm奥側に位置する、
請求項1に記載のキャビネット。
【請求項6】
前記前板から前記底板の前縁までの間をカバーするカバー部を有し、
前記カバー部は、前記前板の上縁と下縁との間に、小物載置面を有する、
請求項1に記載のキャビネット。
【請求項7】
前記小物載置面は、前記前板の上縁より30~350mm下側に位置する、請求項6に記載のキャビネット。
【請求項8】
前記アクセススペースは、使用者が、前記底板の前縁より手前側の、前記オープンスペースの上側にアクセスするためのスペースである、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項9】
前記キャビネットが、キッチンキャビネット、又は洗面キャビネットである、請求項1に記載のキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
収容部の下側にオープンスペースを有するキャビネットが知られている。上記オープンスペースは、ゴミ箱やテーブルワゴン等の配置スペースや、使用者が椅子に座った際に脚部を入れるスペースとして利用されている。例えば、特許文献1には、収容部の下側にテーブルワゴンを配置するためのオープンスペースを有する、システムキッチンが開示されている。非特許文献1及び非特許文献2には、収容部の下側にオープンスペースを有する、コンロ付き流し台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-320504号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】意匠登録第1622083号
【非特許文献2】意匠登録第1622084号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記オープンスペースにゴミ箱を配置する場合、キャビネットの手前側から突き出る奥行を有するゴミ箱を採用すると、上記キャビネット近傍における使用者の移動が阻害される場合がある。そのため、オープンスペース内に収まる大きさのゴミ箱が、通常採用される。ここで、上記オープンスペースに配置するゴミ箱の容量の確保に着目した場合、上記オープンスペース内に丁度収まる大きさのゴミ箱の採用が考えられる。この場合、上記収容部とゴミ箱の間のスペースが狭くなる。そのため、使用者は、ゴミを捨てる際、上記オープンスペース外にゴミ箱の開口の少なくとも一部が出る位置まで、ゴミ箱を移動させる必要がある。
【0006】
一方、ゴミ箱へのアクセス性に着目した場合、低い高さのゴミ箱の採用が考えられる。これにより、上記収容部とゴミ箱の間のスペースが確保される。そのため、使用者は、オープンスペースにゴミ箱を配置した状態で、上記スペースから、ゴミを捨てることができる。しかし、ゴミ箱の容量が小さくなるため、使用者のゴミ処理の頻度が増加する。また、上記収容部の前板を上記キャビネットの奥側に配置することも考えられる。しかし、この場合、上記収容部の収納量が低下すると共に、上記収容部へのアクセス性が低下する。また、上記キャビネットとゴミ箱の一体感が損なわれ、美観が低下する。
【0007】
上記オープンスペースにテーブルワゴンを配置する場合も、上述のゴミ箱と同様、オープンスペース内に収まるテーブルワゴンが採用される。テーブルワゴンは、使用者のテーブル利用を考慮した高さに設定される。ここで、上記収容部の収納高に着目した場合、上記収容部の底板を、テーブルワゴンが丁度収まる高さの位置に設定することが考えられる。この場合、上記収容部とテーブルの間のスペースが狭くなる。そのため、使用者は、テーブルワゴンのテーブルを使用する際、上記オープンスペース外に上記テーブルの少なくとも一部が出る位置まで、テーブルワゴンを移動させる必要がある。
【0008】
一方、テーブルワゴンのテーブルへのアクセス性に着目した場合、上記収容部の収納高を低くすることが考えられる。これにより、上記収容部と上記テーブルの間のスペースが確保される。そのため、使用者は、オープンスペースにテーブルワゴンを配置した状態で、上記スペースから、上記テーブルに物品を載置することができる。しかし、この場合、上記収容部の収納量が低下すると共に、上記収容部に収容できる物品の高さが制限される。また、上記収容部の前板を上記キャビネットの奥側に配置することも考えられるが、上記収容部へのアクセス性、及び美観が低下する。
【0009】
上記オープンスペースが、椅子に座った使用者の脚部を入れるスペースとして利用される場合、上記収容部の底板は、オープンスペースに入れられる上記脚部の高さを考慮した位置に設定される。ここで、上記収容部の収納高に着目した場合、上記収容部の底板を、使用者の脚部が丁度入る高さの位置に設定することが考えられる。この場合、上記収容部と脚部の間のスペースが狭くなり、オープンスペースへの脚部挿入のアクセス性が低下する。また、使用者が、オープンスペースに脚部を入れた際、圧迫感を感じてしまう。一方、オープンスペースへの脚部挿入のアクセス性に着目し、上記収容部の収納高を低くすると、上記収容部の収納量が低下し、上記収容部に収容できる物品の高さが制限される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るキャビネットは、収容部の下側にオープンスペースを有するキャビネットであって、上記収容部は、上記キャビネットの手前側に位置する前板と、上記オープンスペース側に位置する底板と、を有し、上記底板は、上記前板の下縁より下側に位置し、上記底板の前縁は、上記前板より上記キャビネットの奥側に位置し、上記オープンスペースの上側、上記前板の下縁より下側、及び上記底板の前縁より手前側に、アクセススペースを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、収容部の下側にオープンスペースを有するキャビネットにおいて、オープンスペースへのアクセス性の向上と、収容部の収納高の確保を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】キッチンキャビネットの構成を示す斜視図である。
図2図1に示されるキッチンキャビネットの正面図である。
図3図2に示されるキッチンキャビネットのA-A断面図である。
図4】第1収容部の斜視図である。
図5】キッチンキャビネットのオープンスペースに、ゴミ箱が配置された場合の使用例を示す斜視図である。
図6】変形例1のキッチンキャビネットを示す断面図である。
図7】変形例2のキッチンキャビネットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の実施形態の概要>
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
【0014】
(1)本実施形態に係るキャビネットは、収容部の下側にオープンスペースを有するキャビネットであって、
上記収容部は、
上記キャビネットの手前側に位置する前板と、
上記オープンスペース側に位置する底板と、を有し、
上記底板は、上記前板の下縁より下側に位置し、
上記底板の前縁は、上記前板より上記キャビネットの奥側に位置し、
上記オープンスペースの上側、上記前板の下縁より下側、及び上記底板の前縁より手前側に、アクセススペースを有する。
【0015】
上記の構成により、上記キャビネットの手前側から上記オープンスペースへのアクセス性が向上する。また、上記キャビネットの奥側において、上記収容部の収納高が確保される。
【0016】
(2)本実施形態に係るキャビネットは、その幅方向において、上記収容部と隣接する第2収容部を有し、
上記第2収容部は、上記キャビネットの手前側に位置する第2前板を有し、
上記前板の下縁と上記第2前板の下縁は、上記キャビネットの高さ方向の位置が合うように構成されてもよい。
【0017】
上記の構成により、上記収容部と上記第2収容部との一体感が生じ、上記キャビネットの美観が向上する。
【0018】
(3)本実施形態に係るキャビネットは、上記収容部及び上記第2収容部が閉ざされた状態において、上記前板と上記第2前板が、上記キャビネットの奥行方向の面の位置が合うように構成されてもよい。
【0019】
上記の構成により、上記収容部及び上記第2収容部へのアクセスにおいて、奥行方向の違いが生じないため、上記収容部及び上記第2収容部へのアクセス性が向上する。また、上記収容部と上記第2収容部との一体感が生じ、上記キャビネットの美観が向上する。
【0020】
(4)本実施形態に係るキャビネットは、上記収容部が、引き出し型の収容部として構成されてもよい。
【0021】
上記の構成により、上記収容部の奥側への物品収納が容易となり、上記キャビネットの利便性が向上する。
【0022】
(5)本実施形態に係るキャビネットは、
上記底板が、上記前板の下縁より30~250mm下側に位置し、
上記底板の前縁が、上記前板より50~300mm奥側に位置するように構成されてもよい。
【0023】
上記の構成により、上記アクセススペースが十分に確保され、上記キャビネットの手前側から上記オープンスペースへのアクセス性がさらに向上する。また、上記収容部の奥側の収納高が十分に確保される。
【0024】
(6)本実施形態に係るキャビネットは、
上記前板から上記底板の前縁までの間をカバーするカバー部を有し、
上記カバー部は、上記前板の上縁と下縁との間に、小物載置面を有する、
ように構成されてもよい。
【0025】
上記の構成により、上記前板から上記底板の前縁までの奥行方向のスペースが、収納スペースとして活用できる。これにより、上記収容部の収納量が増加する。
【0026】
(7)本実施形態に係るキャビネットは、上記小物載置面が、上記前板の上縁より30~350mm下側に位置するように構成されてもよい。
【0027】
上記の構成により、上記小物載置面における収納高が確保される。
【0028】
(8)本実施形態に係るキャビネットは、上記アクセススペースが、使用者が、上記底板の前縁より手前側の、上記オープンスペースの上側にアクセスするためのスペースとして構成されてもよい。
【0029】
上記アクセススペースは、上記オープンスペースに配置される、上述のゴミ箱やテーブルワゴン等の配置物上側へのアクセスに好適である。
【0030】
(9) 本実施形態に係るキャビネットは、キッチンキャビネット、又は洗面キャビネットであってもよい。
【0031】
本実施形態に係るキャビネットは、キッチンキャビネットや洗面キャビネットに好適である。
【0032】
<本発明の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0033】
[キッチンキャビネット100]
本発明に係るキャビネットが、キッチンキャビネット100に適用された場合の一例を説明する。図1は、キッチンキャビネット100の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示されるキッチンキャビネット100の正面図である。
【0034】
図1及び図2に示されるキッチンキャビネット100は、オープンスペースOS、第1収容部110、第2収容部120、第3収容部130、第4収容部140、第5収容部150、第6収容部160、第7収容部170、及びテーブル180を備えている。上記各収容部は、その手前側に、第1前板111、第2前板121、第3前板131、第4前板141、第5前板151、第6前板161、及び第7前板171を有している。また、上記各収容部は、いずれも引き出し型の収容部である。
【0035】
図1における両矢印は、キッチンキャビネット100の幅方向、高さ方向、及び奥行方向を示している。図2における両矢印は、キッチンキャビネット100の幅方向、及び高さ方向を示している。幅方向は、オープンスペースOS及び第1収容部110からなる中列MCを基準とし、第3収容部130、第5収容部150、及び第7収容部170からなる左列LCが配置されている方向が左側であり、第2収容部120、第4収容部140、及び第6収容部160からなる右列RCが配置されている方向が右側である。奥行方向は、キッチンキャビネット100の正面が手前側であり、背面が奥側である。オープンスペースOSは、床面FSの上側、第1収容部110の下側、及び左列LC及び右列RCの間に位置している。
【0036】
図2に示されるように、第1収容部110は、その右側で第2収容部120と、その左側で第3収容部130と隣接している。本実施形態において、左列LCの各収容部の側縁は、幅方向の位置が合うように構成されている。また、右列RCの各収容部の側縁は、幅方向の位置が合うように構成されている。これにより、左列LC及び右列RCのそれぞれにおいて、一体感が生じ、キャビネット100の美観が向上する。
【0037】
キッチンキャビネット100は、第1収容部110、第2収容部120、及び第3収容部130からなる上段US、第4収容部140、及び第5収容部150からなる中段MS、並びに第6収容部160、及び第7収容部170からなる下段LSを有している。キッチンキャビネット100において、上段USの第1前板111、第2前板121、及び第3前板131の下縁は、高さ方向の位置が合うように構成されている。これにより、上段USの一体感が生じ、キャビネット100の美観が向上する。
【0038】
キッチンキャビネット100では、上段USの各前板の上縁も、高さ方向の位置が合うように構成されている。これにより、キャビネット100の美観がより向上する。また、中段MSの各前板の上縁及び下縁も、高さ方向の位置が合うように構成されている。さらに、下段LSの各前板の上縁及び下縁も、高さ方向の位置が合うように構成されている。これにより、キャビネット100の美観がさらに向上する。
【0039】
上段USの各収容部が閉ざされた状態において、上段USの各前板は、奥行方向の面の位置が合うように構成されている。これにより、上段USの各収容部へのアクセスにおいて、奥行方向の違いが生じない。そのため、上段USの各収容部へのアクセス性が向上する。また、上段USの各収容部の一体感が生じ、キャビネット100の美観が向上する。なお、キッチンキャビネット100では、全収容部が閉ざされた状態において、全前板の奥行方向の面の位置が合うように構成されている。これにより、キッチンキャビネット100の各収容部へのアクセス性がさらに向上する。また、キッチンキャビネット100の全体の一体感が生じ、キッチンキャビネット100の美観がさらに向上する。
【0040】
第1収容部110は、第1前板111から、後述する底板113の手前側の前縁までの間をカバーする、カバー部112を備えている。カバー部112は、テーパー面112aを有している。テーパー面112aは、上側から下側に向かって、手前側から奥側へ傾斜している。キッチンキャビネット100では、テーパー面112aの下側の下縁は、中段MSに位置している。これにより、後述のアクセススペースASが、テーパー面112aより下側、オープンスペースOSより上側に形成される。
【0041】
上述の各収容部の前板の幅方向の長さは、適宜設定すれば良く、特に制限されない。キッチンキャビネット100では、左列LC及び右列RCの、各収容部の前板の幅方向の長さが、同じ長さに構成されている。中列MCの第1前板111の幅方向の長さは、左列LC及び右列RCの、各収容部の前板の幅方向の長さよりも小さく構成されている。キッチンキャビネット100において、オープンスペースOSの幅方向の長さは、第1前板111の幅方向の長さと略同じとなる。
【0042】
第1前板111の幅方向の長さは、オープンスペースOSの利用態様により、適宜設定される。例えば、オープンスペースOSに、後述のゴミ箱200を配置する場合、第1前板111の幅方向の長さは、オープンスペースOSに配置するゴミ箱200の大きさや数等を考慮し、適宜設定される。本実施形態における第1前板111の幅方向の長さは、150~900mmに設定されている。なお、これにより、後述のアクセススペースASが、十分に確保される。そのため、キャビネット100の手前側からオープンスペースOSへのアクセス性も向上する。
【0043】
[第1収容部110]
図3は、図2に示されるキッチンキャビネット100のA-A断面図である。図3における両矢印は、キッチンキャビネット100の高さ方向及び奥行方向を示している。図4は、第1収容部110の斜視図である。図3に示されるように、キッチンキャビネット100は、第1収容部110、テーブル180、及び背板190を有している。図3及び図4に示されるように、第1収容部110は、第1前板111、カバー部112、底板113、転び止め114、第1側板115、第2側板116、及び向こう板117を備えている。
【0044】
底板113は、第1前板111の下縁より下側に位置している。また、底板113の前縁は、カバー部112の下縁近傍に接合している。そのため、底板113は、第1収容部110が、キッチンキャビネット100に設置されている状態において、上述の中段MSに位置している。また、底板113の前縁は、第1前板111より奥側に位置している。テーパー面112aは、第1前板111下側の下縁近傍から、底板113の前縁に向かって、手前側から奥側へ傾斜している。
【0045】
カバー部112は、テーパー面112a、及び小物載置面112bを有している。小物載置面112bは、第1前板111の上縁と下縁の間に位置している。小物載置面112bにより、カバー部112の奥行が、収納スペースとして活用できる。そのため、第1収容部110の収容量が増加する。なお、キッチンキャビネット100において、小物載置面112bの奥行の長さは、後述のアクセススペース奥行ADと同じである。図3に示されるように、第1収容部110は、第1収納高SH1と、第2収納高SH2の、二つの収納高を有している。なお、第1収納高SH1は、第1前板111の上縁から、底板113までの高さ方向の長さを示す。第2収納高SH2は、第1前板111の上縁から、小物載置面112bまでの高さ方向の長さを示す。
【0046】
第1収納高SH1は、第2収納高SH2よりも大きい。すなわち、底板113には、小物載置面112bより、高さの高い物品が載置できる。第1収納高SH1は、底板113に載置される物品の高さや、オープンスペースOSの利用態様等を考慮し、適宜設定される。図3に示されるように、カバー部112は、第1前板111下側の下縁近傍で、第1前板111と接合されている。カバー部112と第1前板111との接合面は、高さ方向において、小物載置面112bから第1前板111の下縁の間に位置している。第1前板111の前面高さFLは、第1前板111の上縁から下縁までの高さ方向の長さを示す。第2収納高SH2は、前面高さFLよりも小さい。第2収納高SH2及び前面高さFLは、小物載置面112bに載置される物品の高さや、上記接合面等を考慮し、適宜設定される。
【0047】
図3及び図4に示されるように、第1収容部110は、小物載置面112bの奥側の縁近傍に転び止め114を有している。転び止め114は、第1収容部110が、キッチンキャビネット100から出し入れされる際、小物載置面112bに載置された物品が、底板113側に落下することを、防止する。本実施形態の転び止め114は、その両端に、第2側板116の上縁へ固定するための、引掛け部を有している。転び止め114の固定位置は、引掛け部の第2側板116における固定位置により調整できる。そのため、例えば、小物載置面112bに載置されている物品が少ない場合、転び止め114の固定位置を、上記物品近傍の第2側板116の手前側に調整することで、小物載置面112b上における物品の転倒が低減できる。
【0048】
[アクセススペースAS]
上述のように、テーパー面112aは、第1前板111の下縁近傍から、底板113の前縁に向かって、手前側から奥側へ傾斜している。そのため、図3に示されるように、キッチンキャビネット100では、アクセススペースASが、第1前板111の下縁より下側、底板113の前縁より手前側、テーパー面112aより下側に形成される。これにより、キッチンキャビネット100の手前側から、オープンスペースOSへのアクセス性が向上する。また、使用者は、キッチンキャビネット100の手前側から、アクセススペースASを介して、底板113の前縁より手前側の、オープンスペースOSの上側にアクセスすることができる。そのため、オープンスペースOSに配置されている、後述のゴミ箱200やテーブルワゴン等の配置物の上側へのアクセス性が向上する。
【0049】
図3に示されるように、アクセススペースASは、アクセススペース高さAH、アクセススペース奥行ADを有している。アクセススペース高さAHは、第1前板111の下縁から、底板113までの高さ方向の長さを示す。アクセススペース奥行ADは、第1前板111から、底板113の前縁までの奥行方向の長さを示す。底板113の底板奥行BDは、底板113の前縁から奥側の縁までの奥行方向の長さを示す。アクセススペース高さAH及びアクセススペース奥行ADは、第1収容部110の大きさや、オープンスペースOSの利用態様等を考慮し、適宜設定される。
【0050】
[オープンスペースOS]
図3に示されるように、オープンスペースOSは、床面FSより上側、底板113及びアクセススペースASより下側、第1前板111より奥側、背板190より手前側に形成される空間である。オープンスペースOSは、オープンスペース高さOH、及びオープンスペース奥行ODを有している。オープンスペース高さOHは、底板113から、床面FSまでの高さ方向の長さを示す。オープンスペース奥行ODは、第1前板111から、背板190までの奥行方向の長さを示す。オープンスペース奥行ODは、アクセススペース奥行ADと底板奥行BDとを合わせた奥行方向の長さより、10~50mm大きく設定されている。オープンスペース高さOHやオープンスペース奥行ODは、第1収容部110、キッチンキャビネット100、及びオープンスペースOSに配置される後述のゴミ箱200等の配置物の大きさを考慮し、適宜設定される。
【0051】
[キッチンキャビネット100の各種寸法]
上述のように、前面高さFL、アクセススペース高さAH、オープンスペース高さOH、第1収納高SH1、第2収納高SH2、アクセススペース奥行AD、底板奥行BD、及びオープンスペース奥行ODは、適宜設定すれば良く、特に制限されない。本実施形態のキッチンキャビネット100では、前面高さFLは、130~360mmに、設定することができる。アクセススペースASは、アクセススペース高さAHが30~250mm、アクセススペース奥行ADが50~300mmに、設定することができる。これにより、アクセススペースASが十分に確保される。そのため、キャビネット100の手前側からオープンスペースOSへのアクセス性が向上する。
【0052】
上述のように、キッチンキャビネット100において、アクセススペース奥行ADは、小物載置面112bの奥行の長さと同じである。そのため、小物載置面112bに物品を載置するためのスペースも十分に確保される。底板奥行BDは、300~600mmに設定することができる。これにより、底板113に物品を載置するためのスペースが十分に確保できる。オープンスペースOSは、オープンスペース高さOHが450~600mm、オープンスペース奥行ODが360~950mmに設定することができる。これにより、十分なゴミ収容量を有するゴミ箱を、オープンスペースOSに配置することができる。
【0053】
第1収納高SH1は、150~600mmに設定することができる。これにより、液体洗剤の容器等を収容するための収納高が十分に確保できる。第2収納高SH2は、30~350mmに設定することができる。これにより、スポンジや粉洗剤の容器等を収容するための収納高が十分に確保できる。また、カバー部112と第1前板111との接合面が十分に確保される。
【0054】
[キッチンキャビネット100の使用例]
図5は、キッチンキャビネット100のオープンスペースOSに、ゴミ箱200が配置された場合の使用例を示す斜視図である。なお、図5では、ゴミ箱200が配置されたオープンスペースOS近傍が、拡大して示されている。図5における両矢印は、キッチンキャビネット100の高さ方向及び奥行方向を示している。
【0055】
ゴミ箱200は、オープンスペースOSに丁度収まる大きさを有している。図5に示されるゴミ箱200は、オープンスペース高さOHより10~20mm低い高さを有している。なお、本実施形態のゴミ箱200は、蓋無しのゴミ箱であるが、オープンスペースOSに配置されるゴミ箱の種類は、特に限定されない。例えば、足踏みペダル式の蓋を有するゴミ箱を、オープンスペースOSに配置することもできる。この場合、オープンスペースOS内での蓋の開閉を考慮した大きさのゴミ箱が、オープンスペースOSに配置される。
【0056】
上述のように、キッチンキャビネット100は、その手前側から、オープンスペースOS上側へのアクセスを可能とする、アクセススペースASを有している。そのため、図5に示されるように、ゴミ箱200がオープンスペースOSに配置されている状態において、カバー部112のテーパー面112aの下縁の手前側に、ゴミ箱200上側の開口部210へのゴミの投入が可能な、投入領域IAが存在する。そのため、キッチンキャビネット100の使用者は、ゴミ箱200をオープンスペースOSの外側に移動することなく、投入領域IAからゴミをゴミ箱200へ投入することができる。これにより、使用者の負担が軽減される。
【0057】
図5に示されるように、テーパー面112aの下縁は、ゴミ箱200の開口部210に隣接する位置にある。上述のように、底板113は、カバー部112の下縁近傍で接合している。すなわち、第1収容部110の第1収納高SH1の下側は、ゴミ箱200の開口部210に隣接する位置に、設定することができる。そのため、第1収納高SH1が十分に確保される。このように、キッチンキャビネット100では、オープンスペースOSに配置されているゴミ箱200へのアクセス性の向上と、第1収容部の第1収納高SH1の確保を図ることができる。
【0058】
[効果]
以上のように、キッチンキャビネット100は、オープンスペースOSへのアクセス性の向上と、第1収容部の収納高の確保を図ることができる。
【0059】
[変形例1]
図6は、キッチンキャビネット100の中列MCの変形例を示す、キッチンキャビネット1000の断面図である。キッチンキャビネット1000は、カバー部112が、小物載置面112bを上側の面とする小物載置板1010と、小物載置板1010の奥側の縁から底板113の前縁までをカバーするカバー板1020とを有する構成となっている。また、キッチンキャビネット1000は、底板113の下側に中仕切り板1030を備えている。キッチンキャビネット1000のその他の構成は、上述のキャビネット100と同様のため、説明を省略する。
【0060】
図6に示されるように、キッチンキャビネット1000は、小物載置板1010とカバー板1020が垂直に接合されたカバー部112を有している。これにより、アクセススペース高さAHと、奥行方向にアクセススペース奥行ADとで囲まれる領域が、アクセススペースASとして形成される。そのため、キッチンキャビネット1000は、上述のテーパー面112aを有するキッチンキャビネット100より、広いアクセススペースASを確保することができる。
【0061】
中仕切り板1030は、底板113の下側近傍に配置されている。中仕切り板1030は、背板190、及び中列MCの左右に配置されている仕切り板(図示せず)に接続されている。これにより、キッチンキャビネット1000の強度が向上し、キッチンキャビネット1000の内寸法の変化が抑制される。その結果、内寸法の変化による、各収容部の開閉障害の発生が低減される。また、第1収容部110が閉ざされた状態において、底板113の底面は、中仕切り板1030によりカバーされる状態となる。これにより、底板113の底面が、キッチンキャビネット1000の使用者の視界に入ることを、防ぐことができる。その結果、キッチンキャビネット1000の美観が向上する。
【0062】
中仕切り板1030の配置位置は、キッチンキャビネット1000の強度、美観、及びオープンスペースOS等の確保の観点から、適宜設定される。例えば、キッチンキャビネット1000において、中仕切り板1030の底面から、底板113の底面までの高さPHは、10~30mmに設定することができる。これにより、第1収容部110近傍における、キッチンキャビネット1000の内寸法の変化が、効果的に抑制される。キッチンキャビネット1000において、中仕切り板1030の前縁と底板113の前縁は、奥行方向において略同じ位置にある。中仕切り板奥行PDは、中仕切り板1030の前縁から、背板190までの長さとなる。中仕切り板奥行PDは、250~590mmに設定することができる。これにより、第1収容部110が閉ざされた状態において、底板113の底面が、キッチンキャビネット1000の使用者の視界に入ることを、十分に防ぐことができる。キッチンキャビネット1000のオープンスペース高さOHは、中仕切り板1030から、床面FSまでの高さ方向の長さとなる。キッチンキャビネット1000のオープンスペース高さOHは、420~590mmに設定することができる。これにより、オープンスペースOSが十分に確保される。
【0063】
[変形例2]
キッチンキャビネット100は、複数の収容部を有しているが、これに限られない。第1収容部110とオープンスペースOSの構成を有するキャビネットであれば良よく、第1収容部110以外の収容部やテーブル180等の構成は、適宜変更することができる。例えば、図7は、キッチンキャビネット100の各収容部の構成の変形例を示す、キッチンキャビネット2000の斜視図である。キッチンキャビネット2000は、キッチンキャビネット100の右列RC及び中段MSが省かれた構成となっている。キッチンキャビネット2000では、中段MSが省かれたことに伴い、キッチンキャビネット100の第7収容部170より、大型の下段収容部2010が採用されている。なお、キッチンキャビネット2000の下段収容部2010は、食洗機に変更することもできる。キッチンキャビネット2000のその他の構成は、上述のキャビネット100と同様のため、説明を省略する。
【0064】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、本発明のキャビネット適用の一事例として、キッチンキャビネット100が説明されたが、これに限られない。例えば、本発明のキャビネットは、洗面キャビネットに適用することもできる。キッチンキャビネット100は、オープンスペースOSの下側が床面FSとなっているが、これに限られない。例えば、オープンスペースOSの下段LSを、収容部とすることもできる。キッチンキャビネット100では、各収容部が、引き出し型の収容部だが、これに限られない。例えば、収容部を、扉型の収容部とすることもできる。
【0065】
上述のように、本発明のキャビネットは、第1収容部110とオープンスペースOSの構成を有するキャビネットであれば、特に制限されない。例えば、キッチンキャビネット100の、上段US以外の各収容部を無くし、中段MS及び下段LSをオープンスペースOSとして構成することもできる(図示せず)。この場合、オープンスペースOSへのアクセス性の向上と、各収容部の収納高の確保の観点から、第2収容部120及び第3収容部130も、第1収容部110と同様、アクセススペースASを有する構成とすることが好ましい。
【0066】
上述のキッチンキャビネット100の使用例では、オープンスペースOSに、ゴミ箱200が配置される使用例が説明されたが、これに限られない。例えば、オープンスペースOSに、テーブルワゴンが配置されても良い。これにより、使用者は、物品をテーブルワゴンに載置する際、テーブルワゴンをオープンスペースOS外に移動せずに、アクセススペースASを介して、アクセススペース奥行ADに存在するテーブル領域に物品を載置できる。そのため、使用者の負担が軽減される。オープンスペースOSの大きさは、配置されるテーブルワゴンの大きさを考慮し、適宜設定される。また、オープンスペースOSは、使用者が椅子に座った際の、脚部を入れるスペースとして利用することもできる。この際、オープンスペースOS及びアクセススペースASの大きさは、オープンスペースOSに入る脚部の位置等を考慮し、適宜設定される。
【0067】
[補記]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上説明された、収容部の下側にオープンスペースを有するキャビネットにおける、オープンスペースへのアクセス性の向上と、収容部の収納高の確保を図る技術は、種々のキャビネットに適用されうる。
【符号の説明】
【0069】
100、1000、2000 キッチンキャビネット
110 第1収容部
111 第1前板
112 カバー部
112a テーパー面
112b 小物載置面
113 底板
114 転び止め
115 第1側板
116 第2側板
117 向こう板
120 第2収容部
121 第2前板
130 第3収容部
131 第3前板
140 第4収容部
141 第4前板
150 第5収容部
151 第5前板
160 第6収容部
161 第6前板
170 第7収容部
171 第7前板
180 テーブル
190 背板
200 ゴミ箱
210 開口部
1010 小物載置板
1020 カバー板
1030 中仕切り板
2010 下段収容部
OS オープンスペース
FS 床面
AS アクセススペース
LC 左列
MC 中列
RC 右列
US 上段
MS 中段
LS 下段
FL 前面高さ
SH1 第1収納高
SH2 第2収納高
OH オープンスペース高さ
OD オープンスペース奥行
AH アクセススペース高さ
AD アクセススペース奥行
BD 底板奥行
PH 中仕切り板の底面から底板の底面までの高さ
PD 中仕切り板奥行

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7