(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122594
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】釣り用錘
(51)【国際特許分類】
A01K 95/00 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A01K95/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030218
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】520240339
【氏名又は名称】RUDIE’S株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】金丸 竜児
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307JA08
2B307JA12
2B307JA15
(57)【要約】
【課題】管部材が錘本体から脱落しにくく、かつ、着脱作業しやすい釣り用錘を提供することを目的とする。
【解決手段】釣り用錘(1)は、錘本体(2)と、釣り糸を通すための管部材(3)とを備え、錘本体(2)には、管部材(3)を着脱可能に挿通させるための貫通穴(6)と、貫通穴(6)に沿って延び、貫通穴(6)に連通するとともに錘本体(2)の表面で開口するスリット(7)とが形成される。管部材(3)には、管部材(3)の径方向に延出する係止部(4)が設けられる。係止部(4)をスリット(7)内で移動させながら、管部材(3)を貫通穴(6)に挿通させて、係止部(4)が貫通穴(6)の開口(6b)から出た状態で、管部材(3)を軸まわりに回転させることにより、係止部(4)が錘本体(2)に係止する構成になっている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錘本体と、
釣り糸を通すための管部材とを備え、
前記錘本体には、前記管部材を着脱可能に挿通させるための貫通穴と、前記貫通穴に沿って延び、前記貫通穴に連通するとともに前記錘本体の表面で開口するスリットとが形成されており、
前記管部材には、前記管部材の径方向に延出する係止部が設けられており、
前記係止部を前記スリット内で移動させながら、前記管部材を前記貫通穴に挿通させて、前記係止部が前記貫通穴の開口から出た状態で、前記管部材を軸まわりに回転させることにより、前記係止部が前記錘本体に係止する構成にしたことを特徴とする釣り用錘。
【請求項2】
前記管部材に先端部に、前記係止部が設けられ、前記管部材の後端部に、大径部が設けられており、前記管部材を前記貫通穴に挿通させて、前記係止部が前記貫通穴の開口から出た状態で、前記大径部が前記錘本体に当接することを特徴とする請求項1に記載の釣り用錘。
【請求項3】
前記錘本体は、上端部から下端部に向かって太くなる棒状であり、
前記貫通穴は、前記上端部において、前記錘本体の幅方向に延びることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣り用錘。
【請求項4】
前記錘本体には、前記貫通穴よりも下部に、前記貫通穴と同じ方向に貫通する別の貫通穴が形成されることを特徴とする請求項3に記載の釣り用錘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用錘に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り用錘に関して、特許文献1には、釣り糸を挿通しうる釣り糸保持部材と、釣り糸保持部材が着脱可能に挿通固定される挿通凹部が形成された球状の錘本体とを備える構成が開示されている。特許文献1に開示された釣り用錘では、釣り糸保持部材が錘本体から脱落しないようにするために、釣り糸保持部材は円筒状に形成されると共に係止凸部が形成されている一方、錘本体の挿通凹部には、係止凸部が着脱可能に係合する係合凹部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された釣り用錘では、係止凸部と係合凹部との係合の度合いが強いと、釣り糸保持部材が錘本体から脱落しにくくなるが、釣り糸保持部材を挿通凹部に着脱する着脱作業に力が必要になり、着脱作業しにくいものになる。逆に、係止凸部と係合凹部との係合の度合いが弱いと、着脱作業に必要な力が小さくて済み、着脱作業しやすいものになるが、釣り糸保持部材が錘本体から脱落しやすくなる。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、管部材が錘本体から脱落しにくく、かつ、着脱作業しやすい釣り用錘を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の釣り用錘は、錘本体と、釣り糸を通すための管部材とを備え、前記錘本体には、前記管部材を着脱可能に挿通させるための貫通穴と、前記貫通穴に沿って延び、前記貫通穴に連通するとともに前記錘本体の表面で開口するスリットとが形成されており、前記管部材には、前記管部材の径方向に延出する係止部が設けられており、前記係止部を前記スリット内で移動させながら、前記管部材を前記貫通穴に挿通させて、前記係止部が前記貫通穴の開口から出た状態で、前記管部材を軸まわりに回転させることにより、前記係止部が前記錘本体に係止する構成にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、管部材が錘本体から脱落しにくく、かつ、着脱作業しやすい釣り用錘を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るシンカーを構成する錘本体の斜視図である。
【
図2】実施形態に係るシンカーを構成する管部材の斜視図である。
【
図5】実施形態に係るシンカーを使用したリグの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
本実施形態では、ルアーフィッシングのリグ(仕掛け)を構成する、シンカーと呼ばれる釣り用錘を説明する。
図1(a)、(b)は、実施形態に係るシンカー1を構成する錘本体2の斜視図である。
図2(a)、(b)は、実施形態に係るシンカー1を構成する管部材3の斜視図である。
図3は、錘本体2の断面図である。
図4(a)、(b)は、実施形態に係るシンカー1の斜視図であり、錘本体2と管部材3との着脱作業を説明するための図である。
図5は、実施形態に係るシンカー1を使用したリグの例を示す図である。
【0010】
実施形態に係るシンカー1は、錘本体2(
図1を参照)と、釣り糸を通すための管部材3(
図2を参照)とを備え、以下に詳述するように、錘本体2に管部材3を着脱可能に組み付けることができる。
【0011】
まず、管部材3について説明する。
図2に示すように、管部材3は、合成樹脂製のパイプ状の部材である。管部材3の先端部3aには、管部材3の一の径方向に延出する係止部4が一体成形される。係止部4は、所定の厚みhを有する板状に延出する。また、管部材3の後端部3bには、フランジ状の大径部5が一体成形される。
【0012】
次に、錘本体2について説明する。
図1、
図3に示すように、錘本体2は、金属製(例えば鉛や鉛合金等)であり、上端部から下端部に向かって太くなる棒状である。本実施形態では、錘本体2は、ティアドロップタイプ(ナス型)と呼ばれるものである。錘本体2において上下に延びる軸C(
図3を参照)に直交する方向を幅方向と呼ぶ。
【0013】
錘本体2の上端部には、錘本体2の幅方向に延びるようにして第1の貫通穴6が形成される。第1の貫通穴6は、管部材3を着脱可能に挿通させるための貫通穴であり、本発明でいう貫通穴に相当する。また、錘本体2の上端部には、第1の貫通穴6に沿って延び、第1の貫通穴6に連通するとともに錘本体2の表面で開口するスリット7が形成される。スリット7の幅Hは、その内側を管部材3の係止部4が移動できるように、係止部4の厚みhと略同程度とされる。以下では、錘本体2において、管部材3の先端部3aを入れる側(
図1(b)に示す側、
図3の右側)を一端、管部材3の先端部3aが出る側(
図1(a)に示す側、
図3の左側)を他端と呼ぶ。錘本体2において、第1の貫通穴6の一端側には、その開口6aまわりに位置する円環状の平面部8が形成される。また、錘本体2において、第1の貫通穴6の他端側には、その開口6bの下部に延びる平面部9aを有する凹部9が形成される。凹部9には、第1の貫通穴6と同軸で、第1の貫通穴6よりも大径の円弧面となる壁部9bが形成される。壁部9bは、スリット7から第1の貫通穴6の真下付近までの範囲に形成される。
【0014】
また、錘本体2には、第1の貫通穴6よりも下部に、第2の貫通穴10が形成される。第2の貫通穴10は、水を取り込んで排出するための貫通穴であり、本発明でいう別の貫通穴に相当する。
図3に示すように、第2の貫通穴10は、第1の貫通穴6と同じ方向に貫通し、第1の貫通穴6よりも大径である。また、第2の貫通穴10は、一端側の開口10aから他端側の開口10bに向けて縮径する先細り形状を有する。
【0015】
なお、錘本体2の上端には、ラインアイ11が取り付けられる。本実施形態に係るシンカー1は、管部材3に釣り糸を通して使用するだけでなく、一般的なシンカーと同様、ラインアイ11に釣り糸を結んで使用することも可能である。
【0016】
図4を参照して、錘本体2と管部材3との着脱作業を説明する。
錘本体2に管部材3を組み付けるときは、第1の貫通穴6の一端側の開口6aから管部材3の先端部3aを入れる。そして、
図4(a)に示すように、係止部4をスリット7内で移動させながら、管部材3を第1の貫通穴6に挿通させる。管部材3を第1の貫通穴6に挿通させると、係止部4が第1の貫通穴6の他端側の開口6bから出た状態になる。この状態で、
図4(b)に示すように、管部材3を軸まわりに時計回り方向に回転させることにより、係止部4を凹部9内で移動させて、スリット7の位置からずらすことができ、係止部4が錘本体2に係止する。また、管部材3を第1の貫通穴6に挿通させて、係止部4が第1の貫通穴6の他端側の開口6bから出た状態で、大径部5が平面部8に当接する。このように、第1の貫通穴6の両端で、管部材3の係止部4が錘本体2に係止し、かつ、大径部5が錘本体2に当接することにより、管部材3の脱落を確実に防ぐことができる。
なお、錘本体2と管部材3とを取り外すときは、逆の動きになり、その説明は省略する。
図4では、釣り糸を図示していないが、管部材3に釣り糸を通した状態で、錘本体2と管部材3との着脱を行うことができる。同じ着脱構造を有し、サイズの異なる複数の錘本体2を用意しておけば、釣り糸を切らずに好みの錘本体2に交換することができる。この着脱作業の際に、第2の貫通穴10の開口10a、10bに指を掛ければ、錘本体2をしっかりと保持することができる。
【0017】
図5を参照して、実施形態に係るシンカー1を使用したリグの例を説明する。
本例のリグは、釣り糸103に結び付けたフック101にワーム102を付けて、フック101よりも前方(釣り人側)にシンカー1をセットするリグになっている。シンカー1の管部材3には、釣り糸103が通されている。シンカー1は、一端側が前方に、他端側が後方(ワーム102側)に位置するようにセットされる。
このようなリグにおいては、水中で釣り糸103を引っ張って、ワーム102の前方にシンカー1が位置する状態で、第2の貫通穴10の一端側の開口10aから取り込まれた水が、他端側の開口10bからワーム102に向けて排出される(図中の矢印Aを参照)。その際、第2の貫通穴10は一端側の開口10aから他端側の開口10bに向けて縮径する先細り形状を有するので、第2の貫通穴10を流れる水の流速が高められ、開口10bから勢いよく排出される。このようにワーム102に向けて水が排出されることにより、ワーム102に複雑な動きを加えることができる。
【0018】
以上述べたように、本発明を適用したシンカー1において、管部材3の径方向に延出する係止部4が錘本体2に係止する構成にしたので、係止部4のサイズ(径方向への延出長さ等)を適宜設定することで、管部材3が錘本体2から脱落しないようにしっかりと係止させることができる。一方で、管部材3を第1の貫通穴6に挿通させ、或いは第1の貫通穴6から抜く着脱時には、係止部4をスリット7内で移動させればよく、それに必要な力は係止部4のサイズにほぼ影響を受けず、例えば係止部4のサイズを大きくしたとしても、着脱作業しにくくなることはない。
このように、管部材3が錘本体2から脱落しにくく、かつ、着脱作業しやすい釣り用錘を提供することができる。
【0019】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
例えば、本発明を適用するに際して、錘本体2の形状(タイプ)やサイズは限定されるものではない。また、本実施形態では、第2の貫通穴10を形成する例を述べたが、第2の貫通穴10はなくてもよい。
また、本発明を適用するに際して、管部材3の形状やサイズは限定されるものではない。例えば、係止部4が管部材3の一の径方向に延出する形状を説明したが、例えば、複数の径方向に延出する形状にしてもよい。錘本体2においては、係止部4の数に合わせて、スリット7の数を増やせばよい。また、大径部5としてフランジ状のものを説明したが、例えば、管部材3の一又は複数の径方向に延出する形状にしてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1:シンカー、2:錘本体、3:管部材、3a:先端部、3:後端部、4:係止部、5:大径部、6:第1の貫通穴、6a、6b:開口、7:スリット、8:平面部、9:凹部、9a:平面部、9b:壁部、10:第2の貫通穴、10a、10b:開口、11:ラインアイ