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特開2024-122595音響振動発生システム及びその音響振動発生システムを構成する音波情報配信サーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122595
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】音響振動発生システム及びその音響振動発生システムを構成する音波情報配信サーバ
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A61H23/02 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030219
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】509070485
【氏名又は名称】マナーズインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】平田 さゆり
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健吾
【テーマコード(参考)】
4C074
【Fターム(参考)】
4C074BB05
4C074CC03
4C074DD04
4C074EE03
(57)【要約】
【課題】音波を構成する複数の正弦波の情報からなる音波情報の複製を防止でき音波情報の管理を確実に行える音響振動発生システム及びその音響振動発生システムを構成する音波情報配信サーバを提供することである。
【解決手段】この音響振動発生システム1は、可聴域の5個の周波数で構成される音波を人体に当てることにより人体の状態を正常化させる音響振動処置に用いられる音波を発生させるものであり、音波情報配信サーバ2と、スピーカ5を有する音波生成端末3を含んでいる。音波情報配信サーバ2は、5個の周波数の組合せを複数組記憶しており、その5個の周波数の組合せと一対一に対応する符号情報を受け付けると、対応する5個の周波数の組合せを通知する。音波生成端末3は、取得した5個の周波数の組合せからなる5個の正弦波を合成して合成波を構成し、その合成波の音波をスピーカ5から発生させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数で構成される音波を人体に当てることにより該人体の状態を正常化させる音響振動処置に用いられる前記音波を発生させる音響振動発生システムであって、
音波情報配信サーバと、音波発生器を有する音波生成端末とを備え、
前記音波情報配信サーバは、
複数の周波数の組合せが複数組記憶されている記憶部と、
前記複数の周波数の組合せと一対一に対応する符号情報を受け付ける受付部と、
該受付部で受け付けた前記符号情報に一対一に対応する前記複数の周波数の組合せを前記記憶部から読み出して、読み出した前記複数の周波数の組合せを通知する音波情報通知部とを有し、
前記音波生成端末は、
前記符号情報を通知することにより該符号情報に対応する前記複数の周波数の組合せを要求する要求部と、
該要求部から要求した前記符号情報に対応する前記複数の周波数の組合せを取得する取得部と、
該取得部で取得した前記複数の周波数の組合せからなる複数の正弦波を合成して合成波を構成する合成部と、
該合成部で構成された前記合成波の音波を前記音波発生器から発生させる音波発生部とを有し、
前記要求部から通知される前記符号情報が前記受付部で受け付けられると、前記複数の周波数の組合せが前記記憶部から読み出されて前記音波情報通知部から通知され、
通知された前記複数の周波数の組合せが前記取得部で受け取られると、前記合成部で前記合成波が構成され、前記音波発生部が前記合成波からなる音波を前記音波発生器から発生させることを特徴とする音響振動発生システム。
【請求項2】
前記合成部は、
前記複数の周波数の組合せからなる前記複数の正弦波のそれぞれを量子化ビット数32ビット、かつ、サンプリング周波数192キロヘルツでサンプリングして複数の正弦波デジタルデータを生成し、生成された前記複数の正弦波デジタルデータを合成して合成波デジタルデータを生成して、
前記音波発生部は、
生成された前記合成波デジタルデータをデジタル-アナログ変換させて、合成波アナログ信号を生成させ、該合成波アナログ信号を前記音波発生器に入力させて、該音波発生器から前記合成波の音波を発生させることを特徴とする請求項1に記載の音響振動発生システム。
【請求項3】
前記音波情報配信サーバは、
前記複数の周波数の組合せからなる前記複数の正弦波の位相角に位相ゆらぎを付加する位相ゆらぎ成分が記憶されている位相ゆらぎ記憶部を有し、
前記音波情報通知部は、
前記記憶部から読み出した前記複数の周波数の組合せと、前記位相ゆらぎ記憶部から読み出した前記位相ゆらぎ成分とを通知し、
通知された前記複数の周波数の組合せと前記位相ゆらぎ成分とが前記取得部で受け取られると、前記合成部では、前記複数の正弦波の位相角に前記位相ゆらぎ成分を付加してから前記合成波を構成し、前記音波発生部が構成された前記合成波からなる音波を前記音波発生器から発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響振動発生システム。
【請求項4】
前記音波生成端末は、
人の心拍数または血中酸素飽和度を含む生体情報を検出する検出部と、
該検出部で検出された前記生体情報に基づいて、不調が疑われる人体の部位を推定する推定部と、
該推定部で推定された不調が疑われる人体の部位に対応する前記符号情報を選択する選択部とを有し、
前記選択部で選択された前記符号情報が前記要求部から通知され、前記音波情報通知部から通知される前記符号情報に対応する前記複数の周波数の組合せが前記取得部で取得されると、前記合成部で前記合成波が構成されて、前記合成波の音波が前記音波発生器から発生されることを特徴とする請求項3に記載の音響振動発生システム。
【請求項5】
前記音波生成端末は、
前記複数の周波数の組合せからなる前記複数の正弦波の振幅と前記位相ゆらぎ成分の調整値を受け付ける正弦波調整受付部を有し、
前記合成部は、
前記正弦波調整受付部で受け付けた前記振幅と前記位相ゆらぎ成分に基づいて前記複数の正弦波を調整し、調整された前記複数の正弦波を合成して前記合成波を構成することを特徴とする請求項4に記載の音響振動発生システム。
【請求項6】
複数の周波数で構成される音波を人体に当てることにより該人体の状態を正常化させる音響振動処置に用いられる前記音波を発生させる音響振動発生システムを構成する音波情報配信サーバであって、
複数の周波数の組合せが複数組記憶されている記憶部と、
前記複数の周波数の組合せと一対一に対応する符号情報を受け付ける受付部と、
該受付部で受け付けた前記符号情報に一対一に対応する前記複数の周波数の組合せを前記記憶部から読み出して、読み出した前記複数の周波数の組合せを、該複数の周波数の組合せからなる複数の正弦波を合成した合成波の音波を発生する音波発生器を有する音波生成端末に向けて通知する音波情報通知部とを有することを特徴とする音波情報配信サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の周波数で構成される音波を人体に当てることにより人体の状態を正常化させる音響振動処置に用いられる音波を発生させる音響振動発生システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の周波数から構成される音波を人体に当て、その音波の振動を人体の部位に与えることにより、人体を正常な状態に回復させる処置が従来から行われている。人体に当てる音波を発生する装置として、従来、下記特許文献1に記載されている医療装置が知られている。この医療装置は、音波の周波数情報が記録されているCD(compact disc)、CDプレーヤ及び医療用振動装置(音波発生器)で構成されており、そのCDをCDプレーヤで再生し、再生音を音波発生器から出力し音波を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-15012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の医療装置は、音源データがCDに記録されているため、CDの紛失により装置が使用できなくなるおそれや、CDのデータが無断でコピーされ複製されたCDが出回ってしまうおそれなどがあり、供給者側での音源の管理が困難という問題が生じていた。また、再生音は音楽CDの規格である量子化ビット数16ビット、サンプリング周波数44.1kHz(キロヘルツ)で再生され、高解像度の音波の発生に対応できていなかった。このような問題が生じていたため、音源の管理を供給者側で確実に行うことができ、また、高解像度の音波の発生を実現できる音響振動発生システムが求められていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、音波を構成する複数の正弦波の情報からなる音波情報の複製を防止でき音波情報の管理を確実に行える音響振動発生システム及びその音響振動発生システムを構成する音波情報配信サーバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の周波数で構成される音波を人体に当てることにより該人体の状態を正常化させる音響振動処置に用いられる前記音波を発生させる音響振動発生システムであって、音波情報配信サーバと、音波発生器を有する音波生成端末とを備え、前記音波情報配信サーバは、複数の周波数の組合せが複数組記憶されている記憶部と、前記複数の周波数の組合せと一対一に対応する符号情報を受け付ける受付部と、該受付部で受け付けた前記符号情報に一対一に対応する前記複数の周波数の組合せを前記記憶部から読み出して、読み出した前記複数の周波数の組合せを通知する音波情報通知部とを有し、前記音波生成端末は、前記符号情報を通知することにより該符号情報に対応する前記複数の周波数の組合せを要求する要求部と、該要求部から要求した前記符号情報に対応する前記複数の周波数の組合せを取得する取得部と、該取得部で取得した前記複数の周波数の組合せからなる複数の正弦波を合成して合成波を構成する合成部と、該合成部で構成された前記合成波の音波を前記音波発生器から発生させる音波発生部とを有し、前記要求部から通知される前記符号情報が前記受付部で受け付けられると、前記複数の周波数の組合せが前記記憶部から読み出されて前記音波情報通知部から通知され、通知された前記複数の周波数の組合せが前記取得部で受け取られると、前記合成部で前記合成波が構成され、前記音波発生部が前記合成波からなる音波を前記音波発生器から発生させることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記合成部は、前記複数の周波数の組合せからなる前記複数の正弦波のそれぞれを量子化ビット数32ビット、かつ、サンプリング周波数192キロヘルツでサンプリングして複数の正弦波デジタルデータを生成し、生成された前記複数の正弦波デジタルデータを合成して合成波デジタルデータを生成して、前記音波発生部は、生成された前記合成波デジタルデータをデジタル-アナログ変換させて、合成波アナログ信号を生成させ、該合成波アナログ信号を前記音波発生器に入力させて、該音波発生器から前記合成波の音波を発生させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記音波情報配信サーバは、前記複数の周波数の組合せからなる前記複数の正弦波の位相角にゆらぎを付加する位相ゆらぎ成分が記憶されている位相ゆらぎ記憶部を有し、前記音波情報通知部は、前記記憶部から読み出した前記複数の周波数の組合せと、前記位相ゆらぎ記憶部から読み出した前記位相ゆらぎ成分とを通知し、通知された前記複数の周波数の組合せと前記位相ゆらぎ成分とが前記取得部で受け取られると、前記合成部では、前記複数の正弦波の位相角に前記位相ゆらぎ成分を付加してから前記合成波を構成し、前記音波発生部が構成された前記合成波からなる音波を前記音波発生器から発生させることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の構成に加えて、前記音波生成端末は、人の心拍数または血中酸素飽和度を含む生体情報を検出する検出部と、該検出部で検出された前記生体情報に基づいて、不調が疑われる人体の部位を推定する推定部と、該推定部で推定された不調が疑われる人体の部位に対応する前記符号情報を選択する選択部とを有し、前記選択部で選択された前記符号情報が前記要求部から通知され、前記音波情報通知部から通知される前記符号情報に対応する前記複数の周波数の組合せが前記取得部で取得されると、前記合成部で前記合成波が構成されて、前記合成波の音波が前記音波発生器から発生されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の構成に加えて、前記音波生成端末は、前記複数の周波数の組合せからなる前記複数の正弦波の振幅と前記位相ゆらぎ成分の調整値を受け付ける正弦波調整受付部を有し、前記合成部は、前記正弦波調整受付部で受け付けた前記振幅と前記位相ゆらぎ成分に基づいて前記複数の正弦波を調整し、調整された前記複数の正弦波を合成して前記合成波を構成することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、複数の周波数で構成される音波を人体に当てることにより該人体の状態を正常化させる音響振動処置に用いられる前記音波を発生させる音響振動発生システムを構成する音波情報配信サーバであって、複数の周波数の組合せが複数組記憶されている記憶部と、前記複数の周波数の組合せと一対一に対応する符号情報を受け付ける受付部と、該受付部で受け付けた前記符号情報に一対一に対応する前記複数の周波数の組合せを前記記憶部から読み出して、読み出した前記複数の周波数の組合せを、該複数の周波数の組合せからなる複数の正弦波を合成した合成波の音波を発生する音波発生器を有する音波生成端末に向けて通知する音波情報通知部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、人体に当てる音波を構成する複数の周波数の組合せが音波情報配信サーバに記憶されており、音波生成端末からの要求に基づいて、記憶されている複数の周波数の組合せを読み出して、音波生成端末に通知するように構成されている。このように、複数の周波数の組合せが音波情報配信サーバに記憶されており、音波生成端末には保持されていないため、音波情報配信サーバを重点的に管理することにより、ユーザによる無断複製を防止できる。すなわち、音波を構成する複数の正弦波の情報からなる音波情報の複製を防止でき音波情報の管理を確実に行える。
【0013】
また、ユーザや施術者が複数の周波数の組合せのデータを管理する必要がなくなるため、ユーザ等の負担が軽減され、データの紛失などの問題も解消される。
【0014】
請求項2の発明によれば、複数の周波数の組合せからなる複数の正弦波のそれぞれを量子化ビット数32ビット、かつ、サンプリング周波数192キロヘルツでサンプリングして複数の正弦波デジタルデータを生成し、生成された複数の正弦波デジタルデータを合成して合成波デジタルデータを生成し、音波発生器から合成波の音波を発生させるため、高解像度の音波の発生を実現できる。
【0015】
請求項3の発明によれば、複数の正弦波の位相角に位相ゆらぎが付加され、位相ゆらぎが付加された複数の正弦波を合成した合成波からなる音波にもゆらぎが生じる。この音波のゆらぎにより施術効果の促進が期待されるとともに、ゆらぎのある音波を聞くことで、被施術者はリラックスして施術を受けることができる。また、音波のゆらぎにより、音響振動発生システムが正常に動作していることを確認することもできる。
【0016】
請求項4の発明によれば、検出された生体情報に基づいて、不調が疑われる人体の部位が推定され、その部位に対応する複数の周波数の組合せが選択されて、合成波が構成される。このように、施術の際の人体に適した複数の周波数の組合せによる音波を不調が疑われる人体の部位に当てることができる。被施術者(ユーザ)が不調を自覚する前に適切な施術を行うことができ、不調の悪化を防ぐことができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、複数の周波数の組合せからなる複数の正弦波の振幅と位相ゆらぎ成分の調整値を受け付けて、振幅と位相角の位相ゆらぎが調整された複数の正弦波を合成して合成波が構成される。このようになっているため、ぞれぞれのユーザに適した調整値に設定でき、複数の正弦波のバランスについてユーザ毎にカスタマイズできる。
【0018】
請求項6の発明によれば、人体に当てる音波を構成する複数の周波数の組合せが音波情報配信サーバに記憶されており、記憶させている複数の周波数の組合せを読み出して、音波生成端末に通知するように構成されている。このように、複数の周波数の組合せが音波情報配信サーバに記憶されており、音波生成端末には保持されていないため、音波情報配信サーバを重点的に管理することにより、ユーザによる無断複製を防止できる。すなわち、音波を構成する複数の正弦波の情報からなる音波情報の複製を防止でき音波情報の管理を確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施の形態に係る音響振動発生システムの構成ブロック概略図である。
図2】同実施の形態に係る音波情報配信サーバの機能ブロック概略図である。
図3】同実施の形態に係る音響振動発生システムにおいて、対象部位、符号、音波を構成する周波数(音波構成周波数)及び位相ゆらぎ成分の関係を説明する図である。
図4】同実施の形態に係る音波生成端末の機能ブロック概略図である。
図5】同実施の形態に係る音響振動発生システムにおけるコース情報の内容の例を説明する図である。
図6】同実施の形態に係る音波生成端末に表示される施術画面の概略図の一例である。
図7】同実施の形態に係るユーザ情報サーバの機能ブロック概略図である。
図8】同実施の形態に係る音響振動発生システムの動作を説明する図であり、施術の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[発明の実施の形態]
この発明の実施の形態について、図1図8を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る音響振動発生システム1の構成ブロック概略図である。この音響振動発生システム1は、可聴域の複数の周波数で構成される音波を人体に当てることによりその人体の状態を正常化させる音響振動処置に用いられる音波を発生させる。
【0022】
この音響振動発生システム1は、音波情報配信サーバ2、複数の音波生成端末3,3,・・・,3、及び、ユーザ情報サーバ7を含むように構成され、それぞれがインターネットなどの通信回線9で接続されている。また、音波生成端末3,3,・・・,3は、D/A(Digital-Analog)変換基板4,4,・・・,4、「音波発生器」としてのスピーカ5,5,・・・,5、及び、心拍数・血中酸素飽和度センサ6,6,・・・,6を有しており、音波生成端末3,3,・・・,3には、D/A変換基板4,4,・・・,4と心拍数・血中酸素飽和度センサ6,6,・・・,6が接続され、D/A変換基板4,4,・・・,4にはスピーカ5,5,・・・,5が接続されている。
【0023】
音波生成端末3,3,・・・,3の中の1台の音波生成端末3が、音波を構成する正弦波の情報を音波情報配信サーバ2に要求すると、正弦波の情報が音波情報配信サーバ2から音波生成端末3に向けて送信される。その正弦波の情報を受信した音波生成端末3は、複数の正弦波から合成波を生成し、その合成波で構成される音波をスピーカ5から発生させる。ユーザ又は施術者は、スピーカ5から発生される音波をユーザの身体に当て、その音波による振動を身体に与えるように使用する。
【0024】
本実施形態において、合成波を構成する正弦波の数は5個である。すなわち、5個の周波数により構成される。また、この5個の周波数は、すべて可聴域の周波数で構成されている。
【0025】
人体の各部位はそれぞれ固有の周波数で振動しており、器官や臓器ごとに健康なときに発している可聴域の音(周波数)がすでに解明されている。また、この健康なときに発している音は、各部位で異なっており、部位ごとに複数の周波数を有している。例えば、「胃」であれば、正常で健康な「胃」の可聴域の音が複数の周波数として発見されている。この健康な「胃」の音に対応する周波数により5個の周波数の組合せが構成される。健康な状態で発する音は、「胃」、「肝臓」、「腎臓」などでそれぞれ相違するため、これに伴い、5個の周波数の組合せも部位ごとにすべて異なっている。また、この5個の周波数の組合せは、人種、年齢、遺伝などの違いに依存せず、万人に適用できるように決められている。
【0026】
人体の各部位はそれぞれ固有の振動数を有しているため、各部位にその固有振動数の振動を与えるとその部位が共振・共鳴する。正常で健康な状態のときに発せられる5個の周波数の組合せから構成される音波の振動を、健康の状態にない部位に与えることにより、その部位を共振・共鳴させて健康な状態に回復させる。言い換えると、人体の部位が病気などで不調になりその振動の周波数が乱れていても、正常のときの周波数の振動をその部位に与えることで共振・共鳴を起こして元の正常な周波数に戻していく。
【0027】
以下の説明では、複数の音波生成端末3,3,・・・,3を代表して、音波生成端末3という符号を付して表し、その音波生成端末3に接続されているD/A変換基板4,4,・・・,4、スピーカ5,5,・・・,5、心拍数・血中酸素飽和度センサ6,6,・・・,6を代表してそれぞれD/A変換基板4、スピーカ5、心拍数・血中酸素飽和度センサ6という符号を付して表す。
【0028】
図2は、音波情報配信サーバ2の機能ブロック概略図である。この音波情報配信サーバ2は、制御部20、記憶部21、受付部22、位相ゆらぎ記憶部23、音波情報通知部24及び通信部29を含むように構成されており、サーバ装置やPC(Personal Computer)などを用いることができる。
【0029】
制御部20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、不揮発性記憶装置である補助記憶装置、揮発性メモリのRAM(Random Access Memory)を含むように構成される。CPUは、プログラムの実行、演算処理、この音波情報配信サーバ2を構成する各要素の制御などを行う。補助記憶装置には、CPUが実行するプログラムや登録データなどが記憶され、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが用いられる。RAMは、CPUによるプログラムの実行や演算処理のワークエリアとして使用される。
【0030】
記憶部21には、音波を構成する5個の周波数の組合せが複数組、あらかじめ記憶されている。
【0031】
図3は、対象部位200、符号202、音波を構成する周波数(音波構成周波数204)及び位相ゆらぎ成分206の関係を説明する図である。この図3に示す対象部位200、符号202及び音波構成周波数204のデータが図2に示す記憶部21に記憶される。また、位相ゆらぎ成分206のデータが位相ゆらぎ記憶部23に記憶される。
【0032】
図3の左端の列には人体の部位を示す対象部位200が表示され、左端から2番目の列には符号202、その右側には音波構成周波数204である5個の周波数が表示されている。対象部位200に対応する符号202は一意に割り当てられており、また、対象部位200に対応する5個の周波数の組合せも一対一に対応し、この5個の周波数は対象部位200ごとにすべて異なっている。5個の周波数のそれぞれは、対象部位200の正常な状態での固有の周波数であり、20Hz(ヘルツ)以上20kHz(キロヘルツ)以下の可聴域の周波数となっている。このように、対象部位200、符号202、音波構成周波数204である5個の周波数の組合せが、それぞれ一対一に対応付けられているため、符号202を指定すれば、対応する5個の周波数の組合せを取り出すことができる。
【0033】
なお、対象部位200としては、「胃」や「肝臓」などの人体の器官や臓器だけでなく、「自律神経を整える」、「デトックス」、「アンチエージング」などについても設定されており、それぞれ音波構成周波数204として5個の周波数の組合せが割り当てられている。図3に示す5個の周波数の組合せは、過去に先人により研究が積み重ねられ、実証的に求められたものである。
【0034】
図2に示す受付部22は、制御部20の制御に基づいて、5個の周波数の組合せと一対一に対応する符号情報を受け付ける。符号情報とは、図3に示した対象部位200や5個の周波数の組合せに対応する符号202の内容を示す情報である。符号情報が示す符号202の内容を検出することより、その符号202に対応する対象部位200や5個の周波数の組合せを記憶部21から読み出すことができる。
【0035】
図2に示す位相ゆらぎ記憶部23は、5個の周波数の組合せからなる5個の正弦波の位相角に位相ゆらぎを付加する位相ゆらぎ成分206があらかじめ記憶されている。位相ゆらぎ成分206は、正弦波の位相角のゆらぎ周波数であるfL、正弦波の位相角のゆらぎの大きさであるα、正弦波の位相角のゆらぎの初期位相であるゆらぎ初期位相ηにより構成される。ここで、ゆらぎ周波数fLは、1Hz以上20Hz未満の範囲の可聴域よりも低い周波数に設定される。また、正弦波の位相角のゆらぎの大きさαとゆらぎ初期位相ηを固定値として、ゆらぎ周波数fLのみで位相ゆらぎ成分を構成してもよいし、ゆらぎ初期位相ηを固定値として、ゆらぎ周波数fLとゆらぎの大きさαとにより位相ゆらぎ成分を構成してもよい。ゆらぎの大きさαの単位はラジアンであり、ゆらぎ周波数fLの単位はHz、ゆらぎ初期位相ηの単位はラジアンである。そして、時間をtとすると、正弦波の位相角の位相ゆらぎはα・sin(2π・fL・t+η)となり、この位相角の位相ゆらぎが、正弦波の位相角に加算される。この位相ゆらぎにより、正弦波の位相角が、ゆらぎ周波数fLとして設定される1Hz~20Hzの低い周波数で-α[rad]~α[rad]の範囲を周期的に変動する。
【0036】
図3に示す位相ゆらぎ成分206のように、音波構成周波数204である5個の周波数f1~f5のそれぞれについて、ゆらぎ周波数fL、ゆらぎの大きさα及びゆらぎ初期位相ηが設定される。すなわち、音波構成周波数204の周波数f1に対しては、ゆらぎ周波数fL1、ゆらぎの大きさα1及びゆらぎ初期位相η1が設定され、周波数f2に対しては、ゆらぎ周波数fL2、ゆらぎの大きさα2及びゆらぎ初期位相η2が設定される。また、位相ゆらぎ成分206は、対象部位200、符号202毎に、異なる数値が設定される。
【0037】
音波情報通知部24は、制御部20の制御に基づいて、受付部22で受け付けた符号情報に含まれる符号202に一対一に対応する5個の周波数の組合せ(音波構成周波数204)を記憶部21から読み出して、読み出した5個の周波数の組合せの情報を音波情報として、符号情報を送信してきた音波生成端末3に向けて通知する。また、読み出した5個の周波数の組合せに対応する位相ゆらぎ成分206を位相ゆらぎ記憶部23から読み出し、読み出したゆらぎ周波数fL、ゆらぎの大きさα及びゆらぎ初期位相ηの5個の組合せを音波情報に含めて通知する。
【0038】
ここで、音波情報とは、音波を構成する周波数(音波構成周波数204)である5個の周波数の組合せと、それら5個の周波数を示すそれぞれの正弦波の振幅と初期位相を含むように構成される。すなわち、音波を構成する5個の正弦波の周波数、振幅、初期位相の情報である。5個の正弦波の振幅は、音波情報配信サーバ2にあらかじめ登録されており、初期値として5個の振幅はそれぞれ同一の振幅に設定されている。また、5個の正弦波の初期位相も、音波情報配信サーバ2にあらかじめ登録されており、初期値としては5個の初期位相がゼロラジアンなどそれぞれ同一の初期位相に設定されている。
【0039】
また、5個の正弦波の位相角に位相ゆらぎを生じさせる設定が「有効」の状態に設定されていると、音波情報には、位相ゆらぎ記憶部23から読み出される位相ゆらぎ成分206が含まれるように構成される。一方、位相ゆらぎを生じさせる設定が「無効」の状態に設定されている場合、位相ゆらぎ成分206がすべてゼロに設定される。この位相ゆらぎを生じさせる設定(「有効」又は「無効」)の情報は、符号情報を構成する一項目として符号情報の中に追加するように含めてもよい。
【0040】
通信部29は、通信回線9を介して外部の端末やサーバなどとデータの送受信を行う。
【0041】
以上のように、この音波情報配信サーバ2は、人体に当てる音波を構成する5個の周波数の組合せを記憶部21に記憶しており、音波生成端末3による要求に基づいて、記憶している5個の周波数の組合せを読み出して、音波生成端末3に通知するように構成されている。このように、5個の周波数の組合せが音波情報配信サーバ2に記憶されており、音波生成端末3には保持されていないため、システム管理者が音波情報配信サーバ2を重点的に管理することにより、ユーザや施術者による無断複製を防止できる。すなわち、音波を構成する5個の正弦波の情報からなる音波情報の複製を防止でき音波情報の管理を確実に行える。
【0042】
図4は、音波生成端末3の機能ブロック概略図である。この音波生成端末3には、音波を構成するデジタルデータをアナログ電気信号に変換するD/A変換基板4が接続されており、そのD/A変換基板4には、アナログ電気信号に基づいて音波を発生するスピーカ5が接続されている。D/A変換基板4は、量子化ビット数32ビットかつサンプリング周波数192kHzでサンプリングされたデジタルデータをアナログ電気信号に変換するとともにその電気信号を増幅する。また、スピーカ5はD/A変換基板4から入力されるアナログ電気信号を正確に音波として再生するように構成されている。スピーカ5の構造は、通常のスピーカと同様であり、入力される電気信号を振動に変換して音を発生させる。スピーカ5の内部には、巻回されたボイスコイル(図示せず)と、磁石(図示せず)が配設され、ボイスコイルに電流が流れると、磁石による磁界によりボイスコイルに上下方向の力が作用し、ボイスコイルが上下に振動する。そして、このボイスコイルと一体になっている振動板が振動して空気の振動が発生し、音が出力される。
【0043】
スピーカ5は、把持部を有するハンディタイプの外観(図示せず)をなし、小型・軽量化されている。また、スピーカ5とD/A変換基板4とを一体化した構造にしてもよく、D/A変換基板4と音波生成端末3との間を長いケーブルで接続することにより、スピーカ5の位置を自由に移動させることができる。このような構造を採用することでユーザや施術者がユーザの身体の部位にスピーカ5を接近させ音波を当てることができる。また、D/A変換基板4と音波生成端末3との間を有線でなく、無線で接続することにより、スピーカ5の操作性をさらに向上できる。
【0044】
また、音波生成端末3には、心拍数・血中酸素飽和度センサ6が接続されている。心拍数・血中酸素飽和度センサ6は、皮膚を通して動脈血酸素飽和度(SpO、経皮的動脈血酸素飽和度)と脈拍数を測定する。この心拍数・血中酸素飽和度センサ6として、パルスオキシメータなどを用いることができ、プローブを指にはさむことで測定する。
【0045】
音波生成端末3は、音波情報配信サーバ2に5個の周波数の組合せを要求し、音波情報配信サーバ2から取得した音波情報に基づいて5個の正弦波を合成して、接続されているスピーカ5からその音波を発生させる。音波生成端末3によるこれら一連の動作は、この端末3にインストールされているアプリケーションソフトウェアにより実行される。
【0046】
図4に示すように音波生成端末3は、制御部30、ユーザID通知部31、ユーザ情報受付部32、要求部33、取得部34、合成部35、音波発生部36、表示部37、正弦波調整受付部38、検出部39、推定部40、選択部41、入力部48及び通信部49を含むように構成されており、PCやスマートフォンなどの情報通信端末を用いることができる。
【0047】
制御部20は、図示しないCPU、不揮発性記憶装置である補助記憶装置、揮発性メモリのRAMを含むように構成され、音波生成端末3を構成する各要素を制御して動作させる。補助記憶装置には、5個の正弦波を合成してスピーカ5から出力させるアプリケーションソフトウェアなどが記憶されている。
【0048】
ユーザID(Identification)通知部31は、ユーザ情報サーバ7に向けてユーザIDなどを通知する。
【0049】
ユーザ情報受付部32は、ユーザ情報サーバ7から送信されてくるユーザ情報を受け付ける。ユーザ情報は、そのユーザが過去に測定した心拍数や血中酸素飽和度などの生体情報や、そのユーザ向けに音波の発生順序がプログラムされているコース情報を含むように構成される。
【0050】
図5は、コース情報の内容の例を示す図である。コース情報は、音波の発生順序210、対象部位200、音波を構成する周波数の組合せを示す符号202、及び、その音波が連続して発生する時間212を含むように構成されており、一連の施術の流れが設定されている。
【0051】
左端の列の発生順序210は、施術の際にスピーカ5から出力される音波の順序であり、施術のコースとして1から昇順に連続的に発生する。その右側の列の対象部位200と符号202は、図3と同様に、音波を構成する周波数(音波構成周波数204)である5個の周波数の組み合わせと一対一に対応している。このように構成されているため、コース情報に含まれる符号202の内容を符号情報として音波情報配信サーバ2に通知することにより、音波情報配信サーバ2ではその符号202に対応する5個の周波数の組合せを読み出すことができる。図5の右端の列の時間212は符号202に対応する音波の発生時間であり、時間212の列に設定されている時間が経過すると、次の発生順序210の音波がスピーカ5から出力される。コース情報の内容は、ユーザごとに設定することもできるが、基本的な内容で構成される基本コースも用意されている。
【0052】
図4に示す要求部33は、符号202の内容を含む符号情報を音波情報配信サーバ2に向けて通知して、その符号情報に対応する5個の周波数の組合せを要求する。この要求部33から送信される符号202は、ユーザ情報受付部32で取得したコース情報に含まれる発生順序210の順番の内容となる。
【0053】
取得部34は、符号情報に対応する5個の周波数の組合せと位相ゆらぎ成分206を含む音波情報を取得する。
【0054】
合成部35は、取得部34で取得した音波情報に基づいて合成波を生成する。すなわち、音波情報に含まれる5個の正弦波を合成して合成波を構成する。
【0055】
振幅をA、周波数をf、初期位相をφ、時間をtとすると、正弦波は次式のように表される。
【0056】
【数1】
また、5個の正弦波のそれぞれについて、振幅をA1、A2、A3、A4、A5、周波数をf1、f2、f3、f4、f5、初期位相をφ1、φ2、φ3、φ4、φ5として、この5個の正弦波を加算により合成すると、合成波は下記(式2)のようになる。なお、音波情報配信サーバ2にあらかじめ登録されている振幅A1、A2、A3、A4、A5の初期値はすべて一定の大きさとなっている。初期位相φ1、φ2、φ3、φ4、φ5も音波情報配信サーバ2に初期値が登録されている。
【0057】
【数2】
合成部35では、5個の正弦波であるA1・sin(2π・f1・t+φ1)、A2・sin(2π・f2・t+φ2)、A3・sin(2π・f3・t+φ3)、A4・sin(2π・f4・t+φ4)、及び、A5・sin(2π・f5・t+φ5)のそれぞれについて、量子化ビット数32ビット、かつ、サンプリング周波数192kHzでサンプリングして5個の正弦波デジタルデータを生成し、各サンプリング位置における5個の正弦波デジタルデータを加算する。その後、D/A変換基板4の入力レンジである32ビットの分解能になるように加算した正弦波デジタルデータを調整して、量子化ビット数32ビットの合成波としての合成波デジタルデータを生成する。
【0058】
なお、合成波デジタルデータの生成方法として、上記(式2)に示す合成波を量子化ビット数32ビット、かつ、サンプリング周波数192kHzでサンプリングして合成波デジタルデータを算出するようにしてもよい。
【0059】
上記の(式1)と(式2)は、正弦波の位相角に位相ゆらぎが付加されていない場合を示しているが、ゆらぎ周波数fL、ゆらぎの大きさα及びゆらぎ初期位相ηとなる位相ゆらぎ成分206が位相角に付加される場合には、(式1)の正弦波は次式のように表される。
【0060】
【数3】
また、5個の周波数であるf1~f5に対する位相ゆらぎ成分206を、それぞれ、ゆらぎ周波数fL1~fL5、ゆらぎの大きさα1~α5、ゆらぎ初期位相η1~η5として、5個の正弦波を加算により合成すると、合成波は下記(式4)のようになる。
【0061】
【数4】
また、合成波として、5個の周波数であるf1~f5のそれぞれについて、位相角の位相ゆらぎを付加しない正弦波と位相ゆらぎを付加した正弦波を加算して次式のように算出してもよい。
【0062】
【数5】
上記の(式4)又は(式5)について、合成部35で合成波デジタルデータを生成するには、5個の周波数f1~f5からなる5個の正弦波のそれぞれについて、量子化ビット数32ビット、かつ、サンプリング周波数192kHzでサンプリングして5個の正弦波デジタルデータを生成し、各サンプリング位置における5個の正弦波デジタルデータを加算する。そして、D/A変換基板4の入力レンジである32ビットの分解能になるように加算した正弦波デジタルデータを調整して、量子化ビット数32ビットの合成波としての合成波デジタルデータを生成する。
【0063】
従来のように音源データをCDに記録する場合、再生音は音楽CDの規格である量子化ビット数16ビット、サンプリング周波数44.1kHzとなる。本実施形態では、量子化ビット数32ビット、サンプリング周波数192kHzでサンプリングすることにより高解像度の音波を発生できる。
【0064】
また、5個の正弦波の位相角に位相ゆらぎを付加するように構成されているため、位相角に位相ゆらぎが付加された5個の正弦波を合成した合成波からなる音波にもゆらぎが生じる。この音波のゆらぎにより施術効果の促進が期待されるとともに、ゆらぎのある音波を聞くことにより、ユーザはリラックスして施術を受けることができる。また、音波のゆらぎを聞くことにより、音響振動発生システム1が正常に動作していることを確認することもできる。
【0065】
音波発生部36は、合成部35で構成された合成波デジタルデータをD/A変換基板4に入力し、D/A変換基板4にデジタル-アナログ変換と信号の増幅をさせて、アナログ電気信号である合成波アナログ信号を出力させる。そして、この合成波アナログ信号は、スピーカ5に入力されて、スピーカ5から合成波の音波が出力される。
【0066】
表示部37は、施術画面300などを表示する。ユーザや施術者は、表示部37を介して施術の設定や経過状況などを確認する。
【0067】
図6は、音波生成端末3の表示部37に表示される施術画面300の概略図の一例である。この施術画面300は、5個の正弦波の波形が表示される音波情報表示部301、5個の正弦波の振幅をそれぞれ調整する振幅調整部302、5個の正弦波の位相角の位相ゆらぎ成分206をそれぞれ調整する位相ゆらぎ調整部304、スピーカ5から出力される音波の音量を調整する音量調整部306、及び、コース情報を表示するコース内容表示部308を含むように構成されている。
【0068】
振幅調整部302に表示される5本のバーの長さとそのバーの下部に表示される数値が、それぞれの正弦波の振幅の大きさを示している。ユーザや施術者が画面を操作してバーの長さや数値を変更することにより、対応する正弦波の振幅が調整される。
【0069】
位相ゆらぎ調整部304に表示される5個の円形のつまみの回転位置とそのつまみの下部に表示される数値が、正弦波のそれぞれのゆらぎ周波数fLを示している。ユーザ等が画面を操作してつまみの回転位置や数値を変更することにより、対応する正弦波のゆらぎ周波数fLが調整される。図6では、位相ゆらぎ成分206のうちのゆらぎ周波数fLのみが入力できるようになっているが、この他の位相ゆらぎ成分206であるゆらぎの大きさαやゆらぎ初期位相ηを入力できるように構成してもよい。
【0070】
なお、振幅調整部302や位相ゆらぎ調整部304にユーザ等が入力する前の状態では、音波情報配信サーバ2から送られてくる音波情報に含まれる5個の正弦波とそれらの位相ゆらぎ成分206の設定で動作しているため、振幅調整部302や位相ゆらぎ調整部304には、送られてくる音波情報に含まれる設定が表示される。
【0071】
音量調整部306に表示される1本のバーの長さは、スピーカ5からの音量を示している。ユーザ等が画面を操作してバーの長さを変更することにより、スピーカ5から発生される音波の大きさが調整される。
【0072】
このように振幅調整部302や位相ゆらぎ調整部304への入力により、各周波数の振幅や位相ゆらぎ成分206をリアルタイムに調整し出力させることができる。
【0073】
また、心拍数・血中酸素飽和度センサ6によって検出される心拍数や血中酸素飽和度を施術画面300に表示させるようにしてもよい。
【0074】
図4に示す正弦波調整受付部38は、施術画面300から入力される5個の正弦波の振幅や位相ゆらぎ成分206の調整値を受け付ける。合成部35では、正弦波調整受付部38で受け付けた振幅や位相ゆらぎ成分206に基づいて各周波数の正弦波を調整し、合成することにより合成波が構成される。
【0075】
検出部39は、心拍数・血中酸素飽和度センサ6により測定される人の心拍数や血中酸素飽和度を含む生体情報を検出する。検出部39では、心拍数や血中酸素飽和度以外にも、例えば、カメラ、温度カメラ、赤外線センサ、音センサ、脳波センサなどの各種センサを用いて、表情、姿勢、体形、体温、呼吸音、脳波などの生体情報を検出するようにしてもよい。また、施術の前後の生体情報の変化を表示部37に表示して確認できるようにしてもよい。
【0076】
推定部40は、検出部39で検出された心拍数や血中酸素飽和度を含む生体情報に基づいて、不調が疑われる人体の部位を推定する。例えば、そのユーザについて過去に測定した生体情報のデータと、そのデータを測定したときの体調等の状態を記録しておき、その記録に基づいて、そのユーザの不調が疑われる部位を推定するようにしてもよい。また、多数のユーザの生体情報の測定データと、そのユーザの不調や病気の状態などの記録とを用いて、機械学習を行い、学習済み生成モデルを生成しておき、検出部39で検出された生体情報のデータをこの学習済み生成モデルに入力して演算させることにより、不調が疑われる人体の部位を推定するようにしてもよい。このように、人工知能を利用して、検出部39で検出された生体情報に基づいて、不調が疑われる部位を推定することも可能である。
【0077】
また、表情、姿勢、体形、体温、呼吸音、脳波などの生体情報を用いて不調が疑われる部位を推定するようにしてもよい。
【0078】
選択部41は、推定部40で推定された不調が疑われる人体の部位に対応する符号202の内容を図3に示す対象部位200と符号202の関係に基づいて選択して、この符号202の内容を含む符号情報を作成する。
【0079】
選択部41で作成された符号情報が要求部33から音波情報配信サーバ2に向けて通知される。そして、音波情報配信サーバ2の音波情報通知部24から送信されてくる音波情報が取得部34で取得されると、合成部35で合成波が構成されて、合成波の音波がスピーカ5から発生される。
【0080】
また、不調が疑われる部位に対応する対象部位200と符号202を、そのユーザのコース情報に自動的に追加するようにしてもよい。不調が疑われる部位が複数あるような場合には、それらの部位に対応する対象部位200と符号202との関係に基づいて、そのユーザのための新規のコース情報を自動的に生成するようにしてもよい。また、このコース情報の自動生成の処理に人工知能を使用するようにしてもよい。生成されたコース情報は、次回以降も、再度利用できるようにユーザ情報サーバ7に記憶される。また、次回以降の施術の際に、生体情報の検出結果に基づいて不調の疑いが解消されたと推定部40が推定した場合、その対象部位200と符号202をコース情報から削除するようにしてもよい。
【0081】
入力部48は、ユーザや施術者が音波生成端末3にデータなどを入力するときの入力手段である。例えば、音波情報配信サーバ2において位相ゆらぎ記憶部23から位相ゆらぎ成分206を読み出して、その位相ゆらぎ成分206を音波情報に含めて通知させる設定である、正弦波の位相角に位相ゆらぎを生じさせる設定(「有効」又は「無効」)の入力を行う。
【0082】
なお、入力された正弦波の位相角に位相ゆらぎを生じさせる設定は、符号情報を構成する一項目として符号情報に含められて、音波情報配信サーバ2に通知される。
【0083】
通信部49は、通信回線9を介して外部の端末やサーバなどとデータの送受信を行う。
【0084】
図7は、ユーザ情報サーバ7の機能ブロック概略図である。このサーバ7は、各ユーザの過去の生体情報の測定データや、各ユーザのコース情報を記憶し、外部からの求めに応じて、ユーザのそれらの情報を送信する。
【0085】
このユーザ情報サーバ7は、制御部70、生体情報記憶部71、コース情報記憶部72、ユーザID受付部73、ユーザ情報通知部74及び通信部79を含むように構成されており、サーバ装置やPCなどを用いることができる。
【0086】
制御部70は、図示しないCPU、不揮発性記憶装置である補助記憶装置、揮発性メモリのRAMを含むように構成され、ユーザ情報サーバ7を構成する各要素を制御して動作させる。
【0087】
生体情報記憶部71は、ユーザごとの生体情報の過去に測定されたデータを記憶する。コース情報記憶部72は、図5に示すようなユーザごとのコース情報を記憶する。
【0088】
ユーザID受付部73は、音波生成端末3から送信されてくるユーザIDを受け付ける。ユーザ情報通知部74は、ユーザID受付部73で受け付けたユーザIDに対応するユーザの生体情報の過去のデータを生体情報記憶部71から読み出し、また、そのユーザのコース情報をコース情報記憶部72から読み出して、読み出した生体情報とコース情報をまとめてユーザ情報とし、ユーザIDを通知してきた音波生成端末3に向けて通知する。
【0089】
なお、ユーザIDを送信する音波生成端末3は固定されておらず、どの音波生成端末3からでも送信可能となっている。
【0090】
通信部79は、通信回線9を介して外部の端末やサーバなどとデータの送受信を行う。
【0091】
次に、本実施の形態に係る音響振動発生システム1の動作について説明する。
【0092】
図8は、本実施の形態に係る音響振動発生システム1の動作を説明する図であり、施術の流れの一例を示す図である。
【0093】
まず、ユーザ又は施術者が、音波生成端末3を操作して、ユーザ情報サーバ7にアクセスして、ユーザIDを通知する(ステップS300)。
【0094】
ユーザIDを受け付けたユーザ情報サーバ7(ステップS700)は、そのユーザIDに対応するユーザの生体情報の過去のデータとそのユーザのコース情報(図5参照)をそれぞれ生体情報記憶部71とコース情報記憶部72から読み出して、それらの情報をユーザ情報として音波生成端末3に通知する(ステップS701)。
【0095】
このユーザ情報を音波生成端末3が受け付ける(ステップS301)と、音波生成端末3はユーザ情報に含まれるコース情報を取得する(ステップS302)。音波生成端末3は、このコース情報の中から発生順序210が最初となる符号202の内容を読み取り(ステップS303)、この符号202の内容を含む符号情報を要求部33から音波情報配信サーバ2に向けて通知する(ステップS304)。また、この符号情報には、音波情報配信サーバ2において位相ゆらぎ成分206を音波情報に含めて通知させるか否かの設定である、正弦波の位相角に位相ゆらぎを生じさせるか否かの設定も含まれる。
【0096】
この符号情報が音波情報配信サーバ2の受付部22で受け付けられる(ステップS200)と、音波情報配信サーバ2の音波情報通知部24は、符号情報に含まれる符号202の内容に一対一に対応する5個の周波数の組合せ(図3参照)を記憶部21から読み出すとともに、音波情報配信サーバ2にあらかじめ登録されている5個の正弦波の振幅と初期位相の初期値を読み出す。また、符号情報に含まれる位相ゆらぎを生じさせる設定が「有効」の場合、5個の周波数の組合せのそれぞれに対応する位相ゆらぎ成分206(図3参照)を位相ゆらぎ記憶部23から読み出す。そして、5個の正弦波の周波数、振幅、初期位相、及び、位相ゆらぎ成分206の情報などで構成される音波情報を音波情報通知部24から音波生成端末3に向けて通知する(ステップS201)。
【0097】
この音波情報を音波生成端末3の取得部34で受け取る(ステップS305)と、合成部35では音波情報に含まれる5個の正弦波を合成した合成波の合成波デジタルデータが生成される(ステップS306)。そして、生成された合成波デジタルデータが音波発生部36からD/A変換基板4に入力され、アナログ電気信号の合成波アナログ信号が生成され、この合成波アナログ信号が入力されるスピーカ5から合成波の音波が発生する(ステップS307)。
【0098】
コース情報の発生順序210として次に発生される音波の情報が設定されておらずコースが終了する場合(ステップS308のYesの場合)、スピーカ5からの音波の出力を停止し動作を終了する。一方、コース情報の発生順序210として次に発生される音波の情報が設定されていれば(ステップS308のNoの場合)、その符号202の内容を読み取り(ステップS303)、符号情報を構成して音波情報配信サーバ2に通知する(ステップS304)などの一連の動作を実行して、スピーカ5から音波を出力させる(ステップS305~ステップS307)。
【0099】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0100】
本実施の形態によれば、人体に当てる音波を構成する5個の周波数の組合せが音波情報配信サーバ2に記憶されており、音波生成端末3からの要求に基づいて、記憶されている5個の周波数の組合せを読み出して、音波生成端末3に通知するように構成されている。このように、5個の周波数の組合せが音波情報配信サーバ2に記憶されており、音波生成端末3には保持されていないため、音波情報配信サーバ2を重点的に管理することにより、ユーザや施術者による無断複製を防止できる。すなわち、音波を構成する5個の正弦波の情報からなる音波情報の複製を防止でき音波情報の管理を確実に行える。
【0101】
また、ユーザや施術者が5個の周波数の組合せのデータを管理する必要がなくなるため、ユーザ等の負担が軽減され、データの紛失などの問題も解消される。
【0102】
また、本実施の形態によれば、5個の周波数の組合せからなる5個の正弦波のそれぞれを量子化ビット数32ビット、かつ、サンプリング周波数192kHzでサンプリングして5個の正弦波デジタルデータを生成し、生成された5個の正弦波デジタルデータを合成して合成波デジタルデータを生成し、スピーカ5から合成波の音波を発生させるため、高解像度の音波の発生を実現できる。
【0103】
また、本実施の形態によれば、検出された生体情報に基づいて、不調が疑われる人体の部位が推定され、その部位に対応する5個の周波数の組合せが選択されて、合成波が構成される。このように、施術の際の人体に適した5個の周波数の組合せによる音波を不調が疑われる人体の部位に当てることができる。被施術者(ユーザ)が不調を自覚する前に適切な施術を行うことができ、不調の悪化を防ぐことができる。
【0104】
また、本実施の形態によれば、5個の正弦波の位相角に位相ゆらぎが付加され、位相ゆらぎが付加された複数の正弦波を合成した合成波からなる音波にもゆらぎが生じる。この音波のゆらぎにより施術効果の促進が期待されるとともに、ゆらぎのある音波を聞くことにより、被施術者はリラックスして施術を受けることができる。また、音波のゆらぎにより、音響振動発生システム1が正常に動作していることを確認することもできる。
【0105】
また、本実施の形態によれば、5個の周波数の組合せからなる5個の正弦波の振幅と位相ゆらぎ成分の調整値を受け付けて、振幅と位相角の位相ゆらぎが調整された5個の正弦波を合成して合成波が構成される。このようになっているため、ぞれぞれのユーザに適した調整値に設定でき、5個の正弦波のバランスについてユーザ毎にカスタマイズできる。
【0106】
[発明のその他の実施の形態]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、適宜変更可能である。例えば、音波情報配信サーバ2とユーザ情報サーバ7を一台のサーバとして構成してもよい。また、音波情報配信サーバ2とユーザ情報サーバ7をそれぞれ複数設けてもよい。また、合成波を構成する周波数は、5個でなくてもよく、1個以上の周波数で構成するようにしてもよい。また、通信回線9は、インターネット以外の、専用回線、バーチャルプライベートネットワーク(VPN:Virtual Private Network)回線、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、ワイドエリアネットワーク(WAN:Wide Area Network)などで構成してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…音響振動発生システム、2…音波情報配信サーバ、3,3,3,3,3…音波生成端末、4,4,4,4,4…D/A変換基板、5,5,5,5,5…スピーカ(音波発生器)、6,6,6,6,6…心拍数・血中酸素飽和度センサ、7…ユーザ情報サーバ、9…通信回線、20…制御部、21…記憶部、22…受付部、23…位相ゆらぎ記憶部、24…音波情報通知部、29…通信部、30…制御部、31…ユーザID通知部、32…ユーザ情報受付部、33…要求部、34…取得部、35…合成部、36…音波発生部、37…表示部、38…正弦波調整受付部、39…検出部、40…推定部、41…選択部、48…入力部、49…通信部、70…制御部、71…生体情報記憶部、72…コース情報記憶部、73…ユーザID受付部、74…ユーザ情報通知部、79…通信部、300…施術画面、301…音波情報表示部、302…振幅調整部、304…位相ゆらぎ調整部、306…音量調整部、308…コース内容表示部
図1
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図8