(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122615
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ヒートシンク、実装基板、LED照明装置、および半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240902BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20240902BHJP
【FI】
H01L23/36
H01L33/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030269
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】390032573
【氏名又は名称】丸茂電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】榎本 實
(72)【発明者】
【氏名】山田 涼
【テーマコード(参考)】
5F136
5F142
【Fターム(参考)】
5F136BB01
5F136BC00
5F136BC01
5F136BC02
5F136BC06
5F136DA33
5F136EA02
5F136EA13
5F136EA23
5F136FA02
5F136FA03
5F142AA42
5F142CB14
5F142CB17
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD18
5F142CF13
5F142CF23
5F142CF32
5F142EA02
5F142EA34
(57)【要約】
【課題】半導体素子で生じた熱を高効率で放熱可能なヒートシンク、実装基板、LED照明装置および半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体素子12が搭載された実装基板11を有する半導体モジュール10に取り付けられるヒートシンク20であって、実装基板11と当接する側に設けられた平らな搭載面23を有する本体部21と、搭載面23から突出する多数の伝熱ピラー22と、を備え、搭載面23に実装基板11を取り付ける際に多数の伝熱ピラー22が変形する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が搭載された実装基板を有する半導体モジュールに取り付けられるヒートシンクであって、
前記実装基板と当接する側に設けられた平らな搭載面を有する本体部と、
前記搭載面から突出する複数の伝熱ピラーと、を備え、
前記搭載面に前記実装基板を取り付ける際に前記複数の伝熱ピラーが変形するヒートシンク。
【請求項2】
前記複数の伝熱ピラーが、数十本以上の伝熱ピラーからなる、請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記伝熱ピラーが、φ4~40μmと同等の最大断面積を有する、請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記複数の伝熱ピラーの高さが、前記実装基板の反りの1.5~2.5倍の長さである、請求項3に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記複数の伝熱ピラーが、前記搭載面の面積の10%以上を占めるように設けられている、請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記複数の伝熱ピラーが、金、金合金、銀、銀合金、銅または銅合金により構成される、請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項7】
複数のLED発光素子が搭載された実装基板を有するLED照明モジュールと、
請求項1ないし6のいずれに記載のヒートシンクと、
前記LED照明モジュールと前記ヒートシンクとを押圧した状態で固定する固定具と、を備え、
前記実装基板と前記ヒートシンクの搭載面とが変形した前記複数の伝熱ピラーを介して接続されているLED照明装置。
【請求項8】
半導体素子が搭載された実装基板を有する半導体モジュールと、
請求項1ないし6のいずれに記載のヒートシンクと、
前記半導体モジュールと前記ヒートシンクとを押圧した状態で固定する固定具と、を備え、
前記実装基板と前記ヒートシンクの搭載面とが変形した前記複数の伝熱ピラーを介して接続されている半導体装置。
【請求項9】
半導体素子を上面に搭載可能であり、下面に平らな搭載面を有するヒートシンクを取り付けて使用される実装基板であって、
複数の伝熱ピラーを当該実装基板の下面に有しており、
前記下面に前記ヒートシンクを取り付ける際に、前記複数の伝熱ピラーが変形する実装基板。
【請求項10】
請求項9に記載の実装基板、および、当該実装基板の上面に搭載された複数のLED発光素子を有するLEDモジュールと、
前記実装基板の下面に取り付けられる平らな搭載面を有するヒートシンクと、
前記LEDモジュールと前記ヒートシンクとを押圧した状態で固定する固定具と、を備え、
前記LEDモジュールと前記ヒートシンクとが、変形した前記複数の伝熱ピラーを介して接続されているLED照明装置。
【請求項11】
請求項9に記載の実装基板、および、当該実装基板の上面に搭載された半導体素子を有する半導体モジュールと、
前記実装基板の下面に取り付けられる平らな搭載面を有するヒートシンクと、
前記半導体モジュールと前記ヒートシンクとを押圧した状態で固定する固定具と、を備え、
前記半導体モジュールと前記ヒートシンクの搭載面とが変形した前記複数の伝熱ピラーを介して接続されている半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクおよび実装基板、並びに、それらヒートシンクまたは実装基板を備えるLED照明装置および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装基板上に搭載されたLED発光素子で発生した熱を、ヒートシンクまで伝導させて放熱するLED照明装置が知られている。また、このようなLED照明装置においては、特許文献1や特許文献2のように、実装基板とヒートシンクとの間に放熱グリースや放熱性絶縁シートを介在させることで、実装基板からヒートシンクへと熱伝導を高効率で行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-102678号公報
【特許文献2】特開2016-143622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体素子の高密度実装に伴い、熱密度の問題が生じている。たとえば、多色LED照明装置など多数のLED発光素子を搭載した実装基板では発生する熱の熱量が多く、LED発光素子が高温となった場合には、温度により発色が変化してしまい所望する色を調光できない場合や、高温により劣化が進み装置が短寿命となってしまう場合があった。
また、従来は、実装基板やヒートシンクの表面に製造上凹凸が存在し、また、実装基板が反りを有している場合もあり、このような凹凸や反りの影響を吸収するために、特許文献1のように、放熱グリースを100μm程度の厚さで介在させることが一般的であるが、放熱グリースの熱伝導率は4W/m・K程度であり、半導体素子がたとえば2mm角である場合には、グリース部の熱抵抗は6℃/W程度と大きくなり、十分な放熱効率を実現することができなかった。
そのため、より高効率の放熱が可能な放熱手段を有するヒートシンク、実装基板、LED照明装置、および半導体装置が希求されていた。
【0005】
本発明の課題は、半導体素子で生じた熱を高効率で放熱することができるヒートシンク、実装基板、LED照明装置、および半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るヒートシンクは、半導体素子が搭載された実装基板を有する半導体モジュールに取り付けられるヒートシンクであって、前記実装基板と当接する側に設けられた平らな搭載面を有する本体部と、前記搭載面から突出する複数の伝熱ピラーと、を備え、前記搭載面に前記実装基板を取り付ける際に前記複数の伝熱ピラーが変形するヒートシンク。
上記ヒートシンクにおいて、前記複数の伝熱ピラーが、数十本以上の伝熱ピラーからなる構成とすることができる。
上記ヒートシンクにおいて、前記伝熱ピラーが、φ4~40μmと同等の最大断面積を有する構成とすることができる。
上記ヒートシンクにおいて、前記複数の伝熱ピラーの高さが、前記実装基板の反りの1.5~2.5倍の長さである構成とすることができる。
上記ヒートシンクにおいて、前記複数の伝熱ピラーが、前記搭載面の面積の10%以上を占めるように設けられている構成とすることができる。
上記ヒートシンクにおいて、前記複数の伝熱ピラーが、金、金合金、銀、銀合金、銅または銅合金により構成される構成とすることができる。
本発明の第1の観点に係るLED照明装置は、複数のLED発光素子が搭載された実装基板を有するLED照明モジュールと、上記ヒートシンクと、前記LED照明モジュールと前記ヒートシンクとを押圧した状態で固定する固定具と、を備え、前記実装基板と前記ヒートシンクの搭載面とが変形した前記複数の伝熱ピラーを介して接続されている。
本発明の第1の観点に係る半導体装置は、半導体素子が搭載された実装基板を有する半導体モジュールと、上記ヒートシンクと、前記半導体モジュールと前記ヒートシンクとを押圧した状態で固定する固定具と、を備え、前記実装基板と前記ヒートシンクの搭載面とが変形した前記複数の伝熱ピラーを介して接続されている。
本発明に係る実装基板は、半導体素子を上面に搭載可能であり、下面に平らな搭載面を有するヒートシンクを取り付けて使用される実装基板であって、複数の伝熱ピラーを当該実装基板の下面に有しており、前記下面に前記ヒートシンクを取り付ける際に、前記複数の伝熱ピラーが変形する。
本発明の第2の観点に係るLED照明装置は、上記実装基板と、当該実装基板の上面に搭載された複数のLED発光素子とを有するLEDモジュールと、前記実装基板の下面に取り付けられる平らな搭載面を有するヒートシンクと、前記LEDモジュールと前記ヒートシンクとを押圧した状態で固定する固定具と、を備え、前記LEDモジュールと前記ヒートシンクとが変形した前記複数の伝熱ピラーを介して接続されている。
本発明の第2の観点に係る半導体装置は、上記実装基板と、当該実装基板の上面に搭載された半導体素子を有する半導体モジュールと、前記実装基板の下面に取り付けられる平らな搭載面を有するヒートシンクと、前記半導体モジュールと前記ヒートシンクとを押圧した状態で固定する固定具と、を備え、前記半導体モジュールと前記ヒートシンクとが変形した前記複数の伝熱ピラーを介して接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、半導体素子で生じた熱を高効率で放熱可能なヒートシンク、実装基板、LED照明装置および半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るLED照明装置の側面図である。
【
図2】本実施形態に係るLED照明装置の平面図である。
【
図3】第1実施形態に係るLEDモジュールとヒートシンクの側面図である。
【
図4】第1実施形態に係るヒートシンクの平面拡大図である。
【
図5】
図1に示すLED照明装置のA部分の側面拡大図であって、実装基板に反りや歪みが生じていない場合の例を説明する図である。
【
図6】
図1に示すLED照明装置のA部分の側面拡大図であって、反りのある実装基板をヒートシンクに押し付ける前の状態を説明するための図である。
【
図7】
図1に示すLED照明装置のA部分の側面拡大図であって、反りのある実装基板をヒートシンクに押し付けた場合の、伝熱ピラーの状態を説明するための図である(その1)。
【
図8】
図1に示すLED照明装置のA部分の側面拡大図であって、反りのある実装基板をヒートシンクに押し付けた場合の、伝熱ピラーの状態を説明するための図である(その2)。
【
図9】第2実施形態に係るLED照明装置の側面図である。
【
図10】第2実施形態に係るLEDモジュールの側面図である。
【
図11】第2実施形態に係るヒートシンクの側面図である。
【
図12】
図9のB部分の側面拡大図であって、(A)はLEDモジュールをヒートシンクに押し付ける前の状態を示す図であり、(B)および(C)はLEDモジュールをヒートシンクに押し付けた場合の、伝熱ピラーの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態をLED照明装置の例で説明する。なお、 本発明は、パワー半導体チップなどの半導体素子が実装基板に搭載された半導体装置や、パワーデバイスにおけるTCM(Thermal Conduction Module)にも適用が可能である。また、本発明に係る実装基板は、半導体素子が実装された基板だけではなく、半導体素子が実装される前の基板も含むものとする。さらに、本発明においては、LED発光素子が実装基板に搭載された半導体装置をLEDモジュールと称して説明する。また、本発明では、複数の伝熱ピラー、特に、多数の伝熱ピラーを有することを特徴とするが、「多数」とは、たとえば数十本以上、より好ましくは数百本以上の伝熱ピラーを有する構成とする。
【0010】
《第1実施形態》
第1実施形態は、放熱が必要な半導体装置がLEDモジュール10である場合の構成例である。
図1は、第1実施形態に係るLED照明装置1の側面図あり、
図2は、第1実施形態に係るLED照明装置1の平面図である。
図1および
図2に示すように、第1実施形態に係るLED照明装置1は、LEDモジュール10と、ヒートシンク20とを有する。
【0011】
本実施形態において、LEDモジュール10は、実装基板11上にCOB実装およびSMT実装された多色のLED発光素子12を有しており、所望する色を調光可能となっている。具体的には、
図1に示すように、実装基板11の上に、異なる波長域の光を照射する4色のLED発光素子12(赤色LED発光素子121、緑色LED発光素子122、青色LED発光素子123および黄色LED発光素子124)と、外部電極13(131~134),14(141~144)が形成されている。なお、本実施形態において、赤色LED発光素子121および青色LED発光素子123は赤色LEDチップおよび青色LEDチップをそのまま発光させており、緑色LED発光素子122および黄色LED発光素子124は、青色LEDチップの発光を蛍光体で波長変換することで緑色および黄色の光を発光するように構成している。また、赤色LED発光素子121も、青色LEDチップの発光を蛍光体で波長変換することで赤色の光を発光するように構成することができる。ただし、赤色LED発光素子121および青色LED発光素子123も蛍光体で波長変換することで赤色および青色の光を発光するように構成してもよいし、緑色LED発光素子122および黄色LED発光素子124も緑色LEDチップおよび黄色LEDチップをそのまま発光させる構成としてもよい。
【0012】
4色のLED発光素子12は、実装基板11の発光面にマトリックス状に配置されており、実質的に円形の面光源を構成する。また、各LED発光素子12は、同じ色のLED発光素子12と直並列に接続するとともに、LED発光素子12にそれぞれ対応する外部電極13,14と電気的に接続している。具体的には、本実施形態に係るLED照明装置1では、実装基板11上に30個の赤色LED発光素子121が配設されているが、これら複数の赤色LED発光素子121は図示しない配線により全て直並列に接続されており、赤色LED発光素子群を構成する。赤色LED発光素子群の両端を構成する赤色LED発光素子121は、赤色LED発光素子121に対応する外部電極131,141に接続している。同様に、30個の緑色LED発光素子122、青色LED発光素子123、黄色LED発光素子124も、それぞれ同じ色同士が全て直並列に接続され、緑色LED発光素子群、青色LED発光素子群、黄色LED発光素子群を構成する。緑色LED発光素子群、青色LED発光素子群、黄色LED発光素子群の両端は緑色LED発光素子122、青色LED発光素子123、黄色LED発光素子124にそれぞれ対応する外部電極132,142,133,143,134,144が接続される。外部電極13,14は、図示しない可変定電流電源と接続し、可変定電流電源から出力された電圧が外部電極13,14を介して、各LED発光素子12に印加される。可変定電流電源により印加される順方向電流の電流値は、図示しない制御装置により制御されており、LED発光素子12ごとに、印加する電流値を変えることができる。なお、本実施形態では、同色のLED発光素子12を全て直並列に接続したが、同色のLED発光素子12を全て直列または全て並列に接続した構成としてもよい。
【0013】
また、本実施形態では、LEDモジュール10のLED発光素子12が設置されている側の面と反対側の面(以下、下面15という)が、ヒートシンク20に近接するように、ヒートシンク20の上にLEDモジュール10が搭載されて、LED照明装置1が構成されている。
【0014】
本実施形態では、実装基板11を放熱性に優れた窒化アルミニウム基板により構成している。実装基板11は、市販の基板を用いることができるが、実装基板11の下面15は、僅かな反りや歪みが生じていることが通常である。本実施形態に係るLED照明装置1では、実装基板11に反りや歪みが生じている場合でも、以下に説明するように、実質的に全ての伝熱ピラー22との接触を確保することで熱伝導率を高くすることが可能である。
【0015】
次に、ヒートシンク20について説明する。ヒートシンク20は、LED発光素子12で発生した熱を放熱するための部材であり、本実施形態では本体部21を直方体状の金属部材(たとえば、銅、アルミニウム)により構成している。ここで、
図3は、第1実施形態に係るLEDモジュール10およびヒートシンク20の側面図であり、LEDモジュール10とヒートシンク20とを接合する前を示す。また、
図4は第1実施形態に係るヒートシンク20の部分平面図である。
図3および
図4に示すように、ヒートシンク20は、LEDモジュール10に近接する本体部21と、本体部21の上面23に形成された複数の伝熱ピラー22と、本体部21の下面24に形成された複数の放熱フィン25とを有している。なお、本実施形態では、自然空冷タイプのヒートシンクを例示しているが、空冷ファンを備えたヒートシンクや水冷タイプのヒートシンクにも本発明の技術思想は適用可能である。
【0016】
複数の伝熱ピラー22は、
図3に示すように、上面23から上方に真っ直ぐに突出して形成されているとともに、
図4に示すように、上面23上において、マトリックス状に配設されている。また、伝熱ピラー22は、
図5に示すように、LEDモジュール10の下面15と接触することで、LEDモジュール10で生じた熱をヒートシンク20に伝熱する機能を有する。
【0017】
ここで、
図5は、
図1に示すLED照明装置1のA部分の側面拡大図であって、実装基板11に反りや歪みが生じていない場合の例を示す図である。
図5に示すように、伝熱ピラー22同士の間には、放熱グリースGが入り込んでいる。放熱グリースGによってもLEDモジュール10が発した熱はヒートシンク20に伝達されるが、放熱グリースGの熱伝導率は4W/m・K程度であり、伝熱ピラー22を銅で構成した場合には伝熱ピラー22の熱伝導率は400W/m・K程度であるため、伝熱ピラー22と比べると大幅に熱伝導率が悪く、実装基板11と伝熱ピラー22との当接面積ができるだけ大きくなるようにすることが重要である。本実施形態では、放熱グリースGを伝熱ピラー22の上に塗布してから、LEDモジュール10とヒートシンク20とを荷重をかけて押し付け合わせることで、放熱グリースGが伝熱ピラー22の隙間に広がって充填される。放熱グリースGは、LEDモジュール10とヒートシンク20とを接着する機能を有するとともに、LEDモジュール10とヒートシンク20との間に熱伝導率の低い空気(熱伝導率0.026W/m・K)が入り込むことを防止し熱伝導率の低下を防ぐ機能を有する。
【0018】
また、LEDモジュール10によっては、
図6および
図7に示すように、実装基板11に歪みや反りが生じている場合がある。ここで、
図6および
図7は、実装基板11が歪んでいる場合の伝熱ピラー22を説明するための図であり、
図6はLEDモジュール10をヒートシンク20に押し付ける前の状態を示しており、
図7は、LEDモジュール10をヒートシンク20に押し付けた場合の、伝熱ピラー22の状態を示している。
図6に示すように、実装基板11が中央側において下側(ヒートシンク20側)に撓んでいることから、LEDモジュール10とヒートシンク20とを組み合わせて押圧する前の状態では、LEDモジュール10の下面15からヒートシンク20の上面23までの距離が不均一となり、下面15と接触しない伝熱ピラー22が存在する。具体的に、
図6に示す例では、実装基板11が中央側において下側(ヒートシンク20側)に撓んでいるため、伝熱ピラー22aが形成されている中央側の位置においては、伝熱ピラー22bが形成されている端側の位置と比べて、LEDモジュール10の下面15からヒートシンク20の上面23までの距離が短くなるため、伝熱ピラー22の高さを均一にした場合に、下面15と接触しない伝熱ピラー22が生じることとなる。
【0019】
しかしながら、本実施形態において、伝熱ピラー22は、LEDモジュール10とヒートシンク20とを荷重をかけて押し付け合わせた際の荷重により変形可能な構成とされる。そのため、LEDモジュール10とヒートシンク20とを荷重をかけて押し付け合わせた場合に、
図7に示すように、LEDモジュール10の下面15からヒートシンク20の上面23までの距離が短い位置に形成された伝熱ピラー22aが、実装基板11に押し潰されて変形し、端側に形成された伝熱ピラー22bも実装基板11の下面15と接触することができる。このように、本実施形態では、伝熱ピラー22を、LEDモジュール10とヒートシンク20とを荷重をかけて押し付け合わせた際の荷重で変形可能な構成とすることで、伝熱ピラー22を実装基板11と接触させることが可能となり、熱伝導性をより高めることができる。
【0020】
ここで、仮に、伝熱ピラー22が比較的硬い金属で構成されており、あるいは、伝熱ピラー22の直径が大きく構成されているなどして、LEDモジュール10とヒートシンク20とを荷重をかけて押し付け合わせただけでは伝熱ピラー22が変形しない場合には、
図6に示すように、中央側の伝熱ピラー22a周辺のみがLEDモジュール10の下面15と接することとなり、端側の伝熱ピラー22bはLEDモジュール10の下面15とは接しなくなる。この状態から必要以上に荷重をかけると実装基板11が破損することにもなりかねない。これに対して、本実施形態では、
図7に示すように、LEDモジュール10とヒートシンク20とを荷重をかけて押し付け合わせた際に、伝熱ピラー22側が変形するので、実装基板11の反りを一定程度矯正することも可能である。
【0021】
なお、
図7に示す例では、伝熱ピラー22aが実装基板11に押されて変形する際に、伝熱ピラー22が押し潰され、伝熱ピラー22の径が太くなる態様を例示したが、伝熱ピラー22の変形はこのような態様の変形だけではなく、たとえば、
図8に示すように、伝熱ピラー22の一部が不規則に屈折することで、屈折した伝熱ピラー22aが実装基板11と接触した状態となる場合もある。なお、
図8も、
図7と同様に、LEDモジュール10をヒートシンク20に押し付けた場合の、伝熱ピラー22の状態を説明するための図である。
【0022】
このように、本実施形態では、実装基板11に反りがある場合に、LEDモジュール10とヒートシンク20とを荷重をかけて押し付け合わせた際の荷重によって、少なくても一部の伝熱ピラー22が変形された状態とされる。そのため、伝熱ピラー22は、製造工程においてLEDモジュール10とヒートシンク20とを放熱グリースGを介して接合する際に一般的に付与される荷重により変形可能な構成(素材や形状)とされる。具体的には、伝熱ピラー22は、以下のような構成とすることができる。
【0023】
すなわち、本実施形態において、伝熱ピラー22は、熱伝導性が高い金属であることに加えて、比較的変形しやすい金属であることが好ましい。たとえば、銅、銀、金、アルミニウム、亜鉛などの比較的低い荷重(応力)で変形が生じる金属またはそれらいずれかの合金であることが好ましく、また、伝熱ピラー22が400MPa以下の荷重で変形する金属またはその合金であることが好ましい。また、伝熱ピラー22の形状は、変形しやすい円柱状、角柱状、円錐状、角錐状など、幅方向よりも突出方向に長い形状とすることが好ましい。このように比較的柔らかい金属を用い、変形しやすい形状とすることで、後述するように、伝熱ピラー22が実装基板11の反りや歪みに合わせて変形することが可能となり、多数の伝熱ピラー22が実装基板11に接触することができるため、実装基板11の歪みによる熱伝導性の低下を抑制することができる。
【0024】
また、伝熱ピラー22は、押圧時に変形を生じさせるために断面積を一定以下とすることが必要であり、たとえばφ4~40μmまたはφ5~30μmと同等の最大断面積を有する形状とすることができる。一方で、実装基板11と伝熱ピラー22との当接面積を確保することも必要であることから、数十~数百本以上設けることが好ましく、数百本~数千本以上設けることがより好ましい。さらに、伝熱ピラー22が変形するためには伝熱ピラー22同士が一定以上の間隔を有することが好ましい。伝熱ピラー22同士の間隔Wは、変形に支障がない範囲であれば特に限定されないが、一定とすることが好ましく、たとえば数十μm~数百μmとすることができる。なお、本実施形態では、伝熱ピラー22の直径を20μm、伝熱ピラー22同士の間隔Wを40μmとしている。また、伝熱ピラー22の実装面積密度も、伝熱ピラー22が変形可能な密度であれば特に限定されず、たとえば、ヒートシンク20の本体部21の搭載面の面積の10~60%、より好ましくは15~50%を占める伝熱ピラー22を設けることが好ましい。伝熱ピラー22の実装面積密度が10%未満の場合は放熱性改善効果が少なくなる一方、60%を超える場合には変形時に伝熱ピラー22同士が接触していまい変形しにくくなってしまうおそれがあるためである。
【0025】
このように複数の伝熱ピラー22を配置することで、高い熱伝導率を実現することが可能となる。たとえば、円柱状の伝熱ピラー22を、直径の3倍のピッチで配置した場合、伝熱ピラー22の実装面積密度は配置面積の30%程度となり、
図7に示すように伝熱ピラー22が変形した場合には、伝熱ピラー22の実装面積密度はさらに高くなる。仮に、伝熱ピラー22を銅で構成した場合には伝熱ピラー22の熱伝導率は400W/m・K程度となるため、伝熱ピラー22の実装面積密度が配置面積の30%である場合は、120W/m・K以上の熱伝導率が得られることとなる。これは、熱伝導率が4W/m・Kの放熱グリースGと比べると30倍の熱伝導率となり、このことからも、伝熱ピラー22により、LED照明装置1の放熱性を大幅に改善することができることが分かる。
【0026】
また、本実施形態において、各伝熱ピラー22は、略同一の高さで形成することが好ましい。伝熱ピラー22の高さは、特に限定されないが、たとえば実装基板11の反りの1.5~2.5倍の長さ、あるいは、伝熱ピラー22の配置ピッチの2~3倍の長さとすることができる。たとえば、実装基板11の反りが50μmである場合、伝熱ピラー22の高さを75~125μm程度とすることができる。一例として、
図7に示す例において、実装基板11の反りが50μmあり、LEDモジュール10の下面15からヒートシンク20の上面23までの距離が、最も反りの小さい部分(撓みの最も小さい部分、あるいは、LEDモジュール10の下面15からヒートシンク20の上面23までの距離が最も長い部分。たとえば、
図7に示す例では、伝熱ピラー22bが形成されている位置。)で100μmであり、最も反りの大きい部分(撓みの最も大きい部分、あるいは、LEDモジュール10の下面15からヒートシンク20の上面23までの距離が最も短い部分。たとえば、
図7に示す例では、伝熱ピラー22aが形成されている位置。)で50μmであるとする。この場合、伝熱ピラー22の高さが反りの2倍の100μmであり、伝熱ピラー22の直径が20μmである場合には、最も反りの大きい部分にある伝熱ピラー22は高さが50μmとなるまで押し潰され、伝熱ピラー22の直径は28μmとなる。この場合、隣接する伝熱ピラー22同士が接触しないようにするためには、伝熱ピラー22の配置間隔は28μm(伝熱ピラー22の直径の1.4倍)よりも大きくすることが好ましい。なお、実装基板11の反りは、設計仕様や試験成績書などで予め把握することができる。
【0027】
また、伝熱ピラー22は、LEDモジュール10の下面15と接触する先端部に半田キャップを設ける構成としてもよい。たとえば、円柱状に形成した伝熱ピラー22の先端に、スズ、銀、アルミニウム、銅などを半田により半球状などの形態で接合することで、伝熱ピラー22の先端部に半田キャップを形成することができる。このように、伝熱ピラー22の先端部に半田キャップを設けることで、本体部が比較的硬い伝熱ピラー22でも、先端部が変形しやいため、実装基板11に撓みや反りがある場合に、実装基板11の下面15に接触しやすくなる。また、放熱グリースGを用いずに、高温圧縮成形を行う場合も半田キャップが溶解して実装基板11の反りを矯正することができる。
【0028】
加えて、伝熱ピラー22は、LEDモジュール10の下面15全域に形成する必要はなく、
図3に示すように、LEDモジュール10のうちLED発光素子12が配置される領域に対応する範囲で形成する構成とすることが好ましい。熱源であるLED発光素子12に対応する範囲内で伝熱ピラー22を形成することで、高効率な熱伝導率を得られるとともに、伝熱ピラー22を変形するための荷重を少なくすることができる。
【0029】
次に、第1実施形態に係るLED照明装置1の製造方法について説明する。まず、第1実施形態に係るLEDモジュール10を準備する。LEDモジュール10は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で別途製作したものを使用してもよい。次に、第1実施形態に係るヒートシンク20を製作する。ヒートシンク20において、伝熱ピラー22の形成方法は、特に限定されないが、たとえば、伝熱ピラー22の位置に合わせてレジストを形成し、ヒートシンク20の本体部21の上面23にめっきを施すことで、所望する高さの伝熱ピラー22を形成することができる。また、無電解UBMめっき法でチタンや銅などのUBM層を形成した後に、めっきを施すことで、伝熱ピラー22を構成とすることもできる。さらに、エッチングにより伝熱ピラー22を形成する構成とすることもでき、スタッドバンプを用いて伝熱ピラー22を形成する構成とすることもできる。なお、伝熱ピラー22は、たとえば金、金合金、銀、銀合金、銅または銅合金を用いて構成することができる。
【0030】
そして、製造したヒートシンク20の伝熱ピラー22の上に、放熱グリースGを塗布し、ヒートシンク20とLEDモジュール10とを荷重をかけて押し合わせた状態で、たとえば、LEDモジュール10とヒートシンク20とを、ネジやビスあるいは半田付けなどの固定具で連結する。なお、ヒートシンク20とLEDモジュール10とを荷重をかけて押し合わせて連結する際に、
図6に示すように、LEDモジュール10が撓んでいる場合には、ヒートシンク20の伝熱ピラー22の一部(たとえば
図6に示す例では伝熱ピラー22a)に大きな荷重がかかり、
図7および
図8に示すように、少なくとも一部の伝熱ピラー22が変形した状態で、LED照明装置1が製造されることとなる。このように、本実施形態のヒートシンク20によれば、LEDモジュール10の撓みに応じて伝熱ピラー22が変形することで、より多くの数の伝熱ピラー22がLEDモジュール10の下面15と接触することができ、熱伝導率の高いLED照明装置1を製造することが可能となる。
【0031】
次に、本実施形態に係るLED照明装置1の効果について説明する。まず、比較例として、従来の伝熱ピラー22を有しないLED照明装置の熱伝導率のシミュレーションを行った。具体的には、下面が平坦なLEDモジュールと、上面が平坦なヒートシンクとが近接しており、これらLEDモジュールとヒートシンクとの間に放熱グリースが介在しているものとする。なお、LEDモジュールには、2mm2のLED発光素子またはLED発光素子パッケージが搭載されているとともに、放熱グリースは100μmの厚さで塗布されているものとする。この場合、放熱グリースの熱伝導率である4W/m・Kが、実装基板とヒートシンクとの間の熱伝導率に相当する。また、放熱グリースを2mm2(0.002m×0.002m)おいて100μm(高さ0.0001m)の厚さで塗布した場合、放熱グリース全体での熱伝導率は、4W/m・K×(0.002m×0.002m)/高さ0.0001m=0.16W/Kとなり、放熱グリース全体での熱抵抗は6.25℃/Wとなる。
【0032】
これに対して、本実施例として、銅製(熱伝導率380W/m・K)であり、直径20μm(半径0.00001m)かつ高さ100μm(高さ0.0001m)の円柱状の伝熱ピラー22が、ヒートシンク20の本体部21の上面23に、40μmピッチで50×50=2500個配設されているとともに、それらの隙間には放熱グリースGが充填されているLED照明装置1の熱伝導率をシミュレーションした。この場合、伝熱ピラー22の全体での熱伝導率は、380W/m・K×(半径0.00001m×半径0.00001m×3.14)/高さ0.0001m×2500個=2.985W/Kとなり、伝熱ピラー22全体での熱抵抗は0.34℃/Wとなる。また、放熱グリースGが塗布される面積は、2mm2の面積のうち伝熱ピラー22の隙間部分に充填されているとして、2mm×2mm-(半径0.01mm×0.01mm×3.14)×2500個=3.215mm2(0.000003215m2)と算出される。そうすると、厚さ100μmの放熱グリースG全体での熱伝導率は、4W/m・K×面積0.000003215m2/厚さ0.0001m=0.1285W/Kとなり、放熱グリース全体での熱抵抗は7.78℃/Wとなる。この場合、LED照明装置1における伝熱ピラー22および放熱グリースG全体の熱抵抗(並列抵抗)は0.33℃/Wとなる。
【0033】
このように、本実施例では、ヒートシンク20の本体部21の上面23にLEDモジュール10の下面15と接触する2500本の伝熱ピラー22を有することで、実装基板11とヒートシンク20との間に放熱グリースGだけが介在する比較例と比べて、熱伝導率を20倍以上向上することができ、LED発光素子12で生じた熱を高効率にヒートシンク20へと伝導することが可能となる。
【0034】
以上のように、第1実施形態に係るLED照明装置1は、複数のLED発光素子12を有するLEDモジュール10と、LED発光素子12で発生した熱を放熱するヒートシンク20と、を有し、ヒートシンク20は、LEDモジュール10側に突出し、LEDモジュール10と接する複数の伝熱ピラー22を有する。このように、第1実施形態に係るLED照明装置1では、ヒートシンク20に伝熱ピラー22を有するため、LEDモジュール10で発生した熱を、熱伝導性が高い伝熱ピラー22を介してヒートシンク20に高効率で伝導することができ、LED照明装置1全体としての放熱性能を高めることができる。
【0035】
また、本実施形態に係るLED照明装置1では、複数の伝熱ピラー22が金、金合金、銀、銀合金、銅または銅合金などの変形しやすい金属で構成され、あるいは、変形しやすい形状で構成されているため、
図6に示すように、LEDモジュール10の実装基板11に歪みや反りがある場合でも、LEDモジュール10とヒートシンク20とを荷重をかけて押し合わせた際に、少なくとも一部の伝熱ピラー22が歪みや反りに合わせて変形することで、より多数の伝熱ピラー22がLEDモジュール10の下面15と接触することができ、熱伝導性をより高めることができる。また、本実施形態に係るLED照明装置1では、複数の伝熱ピラー22が変形することで、LEDモジュール10をヒートシンク20に押し付けて、実装基板11の反りを矯正する際に生じ得る実装基板11の破損を防ぐことが可能となる。
【0036】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図9は、第2実施形態に係るLED照明装置1aを示す側面図である。
図9に示すように、第2実施形態に係るLED照明装置1aは、LEDモジュール10aとヒートシンク20aとから構成される。
【0037】
また、
図10は第2実施形態に係るLEDモジュール10aを示す側面図、
図11は第2実施形態に係るヒートシンク20aを示す側面図である。
図10に示すように、第2実施形態に係るLEDモジュール10aは、伝熱ピラー16が形成された実装基板11aを有する。具体的には、実装基板11aのヒートシンク20aに近接する側の面(LED発光素子12が載置される面と反対側の面)である下面15に、複数の伝熱ピラー16が、ヒートシンク20a側に突出するように形成されている。なお、伝熱ピラー16の構成(長さ、径、ピッチ、本数、材質、構造)や製造方法は、第1実施形態に係る伝熱ピラー22と同様の構成及び製造方法とすることができる。一方、
図11に示すように、第2実施形態に係るヒートシンク20aでは、本体部21の上面23は平坦となっており、伝熱ピラー22は形成されていない。
【0038】
ここで、
図12は、
図9に示すLED照明装置1aのB部分の側面拡大図である。具体的には、
図12において、(A)はLEDモジュール10aをヒートシンク20aに押し付ける前の状態を示しており、(B)および(C)は、LEDモジュール10aをヒートシンク20aに押し付けた場合の、伝熱ピラー16の状態を示している。第2実施形態においても、
図12(A)に示すように、LEDモジュール10aの実装基板11aに反りがある場合でも、LEDモジュール10aをヒートシンク20aに押し付けることで、
図12(B)に示すように、一部の伝熱ピラー16がヒートシンク20aの上面23に押し潰されて変形することで、あるいは、
図12(C)に示すように、一部の伝熱ピラー16が屈折して変形することで、大部分の伝熱ピラー22をヒートシンク20aの上面23と接触させることが可能となり、熱伝導性をより高めることができる。
【0039】
以上のように、第2実施形態に係るLED照明装置1aでは、LEDモジュール10aの下面15に、ヒートシンク20a側に突出し、ヒートシンク20aと接する複数の伝熱ピラー16が形成され、伝熱ピラー16の先端がヒートシンク20aの本体部21の上面23に接している。このように、第2実施形態に係るLED照明装置1aでは、LEDモジュール10aに伝熱ピラー22を有するため、第1実施形態に係るLED照明装置1と同様に、LEDモジュール10aのLED発光素子12で発生した熱を、放熱グリースGよりも熱伝導性が高い伝熱ピラー16を介してヒートシンク20aに高効率で伝導することができ、LED照明装置1a全体としての放熱性能を高めることができる。また、ヒートシンク20aにLEDモジュール10aと押し付けて実装基板11aの反りを矯正する際に生じ得る実装基板11aの破損を防ぐことが可能となる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0041】
たとえば、上述した実施形態では、ヒートシンク20またはLEDモジュール10aに伝熱ピラー22,16が形成される構成を例示したが、この構成に代えて、ヒートシンク20およびLEDモジュール10aの両方に伝熱ピラー22,16を形成する構成としてもよい。この場合、伝熱ピラー22および伝熱ピラー16の両方を合わせて、第1実施形態に係る伝熱ピラー22または第2実施形態に係る伝熱ピラー16と同程度の本数およびピッチで形成し、伝熱ピラー22および伝熱ピラー16が櫛歯となるように配置するとともに、伝熱ピラー22および伝熱ピラー16がそれぞれ実装基板11の下面15およびヒートシンク20の上面23に接するように構成することが好ましい。また、上述した実施形態では、ヒートシンク20の本体部21の面積がLEDモジュール10よりも大きい例を図示したが、ヒートシンク20の本体部21の面積がLEDモジュール10と同等以下となるように構成してもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、赤色LED発光素子121、緑色LED発光素子122、青色LED発光素子123および黄色LED発光素子124の4色のLED発光素子12を有する構成を例示したが、この構成に限定されず、3色以下または5色以上のLED発光素子12を有する構成とすることができる。また、黄色LED発光素子群を、アンバー色LED発光素子群または白色LED発光素子群に置き換えても本発明の技術的思想は実現可能である。さらに、上述した実施形態では、LED照明装置1は、実質的に円形の発光面を有する構成としたが、発光面の形状はこれに限定されず、多角形(好ましくは、六角形、八角形十角形などの偶数角を有する多角形)としてもよいし、楕円形としてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、ヒートシンク20とLEDモジュール10とを荷重をかけて押し合わせた状態で、LEDモジュール10とヒートシンク20とをネジやビスあるいは半田付けなどの固定具で連結する構成を例示したが、バネなどの付勢手段を用いて、ヒートシンク20とLEDモジュール10とを押し合わせた状態で保持する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0044】
1,1a…LED照明装置
10,10a…LEDモジュール
11…実装基板
12…LED発光素子
13,14…外部電極
15…下面
16…伝熱ピラー
20,20a…ヒートシンク
21…本体部
22…伝熱ピラー
23…上面
24…下面
25…放熱フィン
G…グリース