(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122618
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/08 20060101AFI20240902BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F04D29/08 F
F04D29/58 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030274
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】竹内 花帆
(72)【発明者】
【氏名】森 英文
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB07
3H130AB12
3H130AB27
3H130AB47
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC13
3H130BA32G
3H130BA52D
3H130BA52F
3H130CA06
3H130CA21
3H130DA02X
3H130DC12X
3H130DD01X
3H130DJ01X
3H130EA07A
3H130EA07D
3H130EB01A
3H130EB01D
(57)【要約】
【課題】回転軸の振れを抑えつつも、シール性の向上を図ること。
【解決手段】遠心圧縮機10は、径路82を備えている。固定部材73は、径路衝突壁83を有している。第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を通過した空気が径路82に流れ込む。径路82に流れ込んだ空気は径路衝突壁83に衝突する。これにより、空気の圧力が減圧されるため、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を介してモータ室S1内に空気が侵入してしまうことが抑制される。シール性の向上を図るために、溝77の数を増やす必要が無いため、溝77の数を増やすことによって第2挿通孔26の軸方向の長さが長くなってしまうといったことが無い。よって、回転軸41の軸方向の長さが長くなってしまうといったことが無く、回転軸41の振れが大きくなってしまうといった問題が回避される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸と一体的に回転することで流体を圧縮するインペラと、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室と前記モータ室とを仕切るとともに前記回転軸が挿通される挿通孔が形成されている仕切壁を有するハウジングと、
前記仕切壁における前記挿通孔を形成する孔形成面、及び前記回転軸における前記孔形成面と対向する対向面の少なくとも一方に形成されるとともに前記回転軸の軸方向に並んで配置される複数の溝と、を備え、
前記複数の溝は、前記インペラの背面と前記仕切壁との間の空隙からの前記挿通孔を介した前記モータ室への流体の洩れを減少させるラビリンスシールを構成している遠心圧縮機であって、
前記回転軸と共に一体回転する流路形成部材と前記仕切壁とで画定され、前記挿通孔に連通するとともに前記挿通孔に対して前記回転軸の径方向に延びることで前記モータ室に形成される径路を備え、
前記流路形成部材及び前記仕切壁の少なくとも一方は、前記挿通孔から前記径路に流れ込んだ流体の前記径方向への流れを衝突により堰き止めることで前記流体の流れの方向を変更する径路衝突壁を有していることを特徴とする遠心圧縮機。
【請求項2】
前記流路形成部材と前記仕切壁とで画定され、前記径路における前記挿通孔とは反対側の端部に連通するとともに前記回転軸の軸方向に延び、且つ、前記挿通孔と前記回転軸の径方向で重なる位置に配置される軸路を備え、
前記流路形成部材及び前記仕切壁の少なくとも一方は、前記径路から前記軸路に流れ込んだ流体の前記軸方向への流れを衝突により堰き止めることで前記流体の流れの方向を変更する空気が衝突する軸路衝突壁を有していることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記径路には、前記径路衝突壁が前記回転軸の径方向に並んで複数配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記軸路には、前記軸路衝突壁が前記回転軸の軸方向に並んで複数配置されていることを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記径路を流れた流体の流れが淀む径路淀み部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記軸路を流れた流体の流れが淀む軸路淀み部を備えていることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の遠心圧縮機。
【請求項7】
前記モータは、前記回転軸と一体的に回転するモータロータを有し、
前記回転軸に固定されるレゾルバロータ、及び前記レゾルバロータを前記回転軸に固定する固定部材を有するとともに前記モータロータの回転角を検出するレゾルバを備え、
前記モータ室は、前記レゾルバを収容するレゾルバ室と、前記モータロータを収容するモータ収容室と、を含み、
前記仕切壁は、
前記インペラ室と前記レゾルバ室とを仕切る第1壁構成体と、
前記レゾルバ室と前記モータ収容室とを仕切る第2壁構成体と、を有し、
前記第1壁構成体には、前記挿通孔が形成されており、
前記第2壁構成体は、前記回転軸を回転可能に支持する軸受を保持する筒状の軸受保持部を有し、
前記軸受保持部の内側は、前記モータ収容室と前記レゾルバ室とを連通しており、
前記径路は、前記流路形成部材である前記固定部材と前記第1壁構成体とで画定されており、
前記固定部材は、前記径路衝突壁を有していることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項8】
前記インペラは、
前記回転軸の第1端に連結される第1インペラと、
前記回転軸の第2端に連結されるとともに前記第1インペラの回転によって圧縮された後の流体を圧縮するために回転する第2インペラと、を含み、
前記インペラ室は、
前記第1インペラを収容する第1インペラ室と、
前記第2インペラを収容する第2インペラ室と、を含み、
前記仕切壁は、
前記第1インペラ室と前記モータ室とを仕切る第1仕切壁と、
前記第2インペラ室と前記モータ室とを仕切る第2仕切壁と、を含み、
前記挿通孔は、
前記第1仕切壁に形成されるとともに前記回転軸が挿通される第1挿通孔と、
前記第2仕切壁に形成されるとともに前記回転軸が挿通される第2挿通孔と、を含み、
前記複数の溝は、前記第2インペラの背面と前記第2仕切壁との間の空隙からの前記第2挿通孔を介した前記モータ室への流体の洩れを減少させるラビリンスシールを構成しており、
前記径路は、前記流路形成部材と前記第2仕切壁とで画定され、前記第2挿通孔に連通するとともに前記第2挿通孔に対して前記回転軸の径方向に延びており、
前記流路形成部材及び前記第2仕切壁の少なくとも一方は、前記径路衝突壁を有し、
前記径路衝突壁は、前記第2挿通孔から前記径路に流れ込んだ流体の前記径方向への流れを衝突により堰き止めることで前記流体の流れの方向を変更することを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機は、回転軸と、インペラと、を備えている。インペラは、回転軸と一体的に回転することで流体を圧縮する。遠心圧縮機は、モータと、ハウジングと、を備えている。モータは、回転軸を回転させる。ハウジングは、インペラ室、モータ室、及び仕切壁を有している。インペラ室は、インペラを収容する。モータ室は、モータを収容する。仕切壁は、インペラ室とモータ室とを仕切る。仕切壁には、回転軸が挿通される挿通孔が形成されている。
【0003】
ところで、このような遠心圧縮機においては、インペラの背面と仕切壁との間の空隙に流体が流れ込む場合がある。すると、インペラの背面と仕切壁との間の空隙に流れ込んだ流体が、挿通孔を介してモータ室内に侵入してしまう虞がある。インペラの背面と仕切壁との間の空隙を流れる流体は、インペラの回転によって圧縮された空気であるため温度が高い。したがって、インペラの背面と仕切壁との間の空隙に流れ込んだ流体が、挿通孔を介してモータ室内に侵入してしまうと、モータ室内に侵入した流体によってモータが暖められてしまう。その結果、遠心圧縮機の耐久性が低下する。
【0004】
そこで、例えば特許文献1のように、仕切壁における挿通孔を形成する孔形成面、及び回転軸における孔形成面と対向する対向面の少なくとも一方に形成されるとともに回転軸の軸方向に並んで配置される複数の溝を備えている場合がある。複数の溝は、インペラの背面と仕切壁との間の空隙からの挿通孔を介したモータ室への流体の洩れを減少させるラビリンスシールを構成している。これによれば、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔を介してモータ室内に流体が侵入してしまうことが抑制されるため、モータが暖められてしまうことが抑制される。その結果、遠心圧縮機の耐久性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなラビリンスシールのシール性を向上させるためには、ラビリンスシールを構成する溝の数を増やすことが考えられる。しかしながら、溝の数を増やすほど、挿通孔における回転軸の軸方向の長さが長くなる。その結果、回転軸の軸方向の長さも長くなるため、回転軸の振れが大きくなる要因となる。回転軸の振れが大きくなると、インペラがハウジングに干渉する等の不具合が生じる虞がある。したがって、回転軸の振れを抑えつつも、シール性の向上を図ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する遠心圧縮機は、回転軸と、前記回転軸と一体的に回転することで流体を圧縮するインペラと、前記回転軸を回転させるモータと、前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室と前記モータ室とを仕切るとともに前記回転軸が挿通される挿通孔が形成されている仕切壁を有するハウジングと、前記仕切壁における前記挿通孔を形成する孔形成面、及び前記回転軸における前記孔形成面と対向する対向面の少なくとも一方に形成されるとともに前記回転軸の軸方向に並んで配置される複数の溝と、を備え、前記複数の溝は、前記インペラの背面と前記仕切壁との間の空隙からの前記挿通孔を介した前記モータ室への流体の洩れを減少させるラビリンスシールを構成している遠心圧縮機であって、前記回転軸と共に一体回転する流路形成部材と前記仕切壁とで画定され、前記挿通孔に連通するとともに前記挿通孔に対して前記回転軸の径方向に延びることで前記モータ室に形成される径路を備え、前記流路形成部材及び前記仕切壁の少なくとも一方は、前記挿通孔から前記径路に流れ込んだ流体の前記径方向への流れを衝突により堰き止めることで前記流体の流れの方向を変更する径路衝突壁を有している。
【0008】
これによれば、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔を通過した流体が、径路に流れ込む。そして、径路に流れ込んだ流体が径路衝突壁に衝突する。これにより、流体における回転軸の径方向への流れが堰き止められるとともに流体の流れの方向が変更される。よって、流体の圧力が減圧されるため、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔を介してモータ室内に流体が侵入してしまうことを抑制することができる。その結果、遠心圧縮機においてシール性の向上を図ることができる。
【0009】
また、シール性の向上を図るために、ラビリンスシールを構成する溝の数を増やす必要が無いため、溝の数を増やすことによって挿通孔における回転軸の軸方向の長さが長くなってしまうといったことが無い。よって、挿通孔における回転軸の軸方向の長さが長くなることによって、回転軸の軸方向の長さが長くなってしまうといったことが無く、回転軸の振れが大きくなってしまうといった問題を回避することができる。以上により、回転軸の振れを抑えつつも、シール性の向上を図ることができる。
【0010】
上記遠心圧縮機において、前記流路形成部材と前記仕切壁とで画定され、前記径路における前記挿通孔とは反対側の端部に連通するとともに前記回転軸の軸方向に延び、且つ、前記挿通孔と前記回転軸の径方向で重なる位置に配置される軸路を備え、前記流路形成部材及び前記仕切壁の少なくとも一方は、前記径路から前記軸路に流れ込んだ流体の前記軸方向への流れを衝突により堰き止めることで前記流体の流れの方向を変更する空気が衝突する軸路衝突壁を有しているとよい。
【0011】
これによれば、径路から軸路に流れ込んだ流体が軸路衝突壁に衝突することにより、流体における回転軸の軸方向への流れが堰き止められるとともに流体の流れの方向が変更される。よって、流体の圧力が減圧されるため、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔を介してモータ室内に流体が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。その結果、ラビリンスシールを構成する溝の数を増やすことなく、遠心圧縮機においてシール性の向上をさらに図ることができる。軸路は、挿通孔と回転軸の径方向で重なる位置に配置されている。したがって、遠心圧縮機が軸路を備えている構成であっても、挿通孔における回転軸の軸方向の長さが長くなることは無い。よって、挿通孔における回転軸の軸方向の長さが長くなることによって、回転軸の軸方向の長さが長くなってしまうといったことが無く、回転軸の振れが大きくなってしまうといった問題を回避することができる。以上により、回転軸の振れを抑えつつも、シール性の向上をさらに図ることができる。
【0012】
上記遠心圧縮機において、前記径路には、前記径路衝突壁が前記回転軸の径方向に並んで複数配置されているとよい。
これによれば、挿通孔から径路に流れ込んだ流体が各径路衝突壁に衝突する度に流体の圧力が減圧される。したがって、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔を介してモータ室内に流体が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【0013】
上記遠心圧縮機において、前記軸路には、前記軸路衝突壁が前記回転軸の軸方向に並んで複数配置されているとよい。
これによれば、径路から軸路に流れ込んだ流体が各軸路衝突壁に衝突する度に流体の圧力が減圧される。したがって、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔を介してモータ室内に流体が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【0014】
上記遠心圧縮機において、前記径路を流れた流体の流れが淀む径路淀み部を備えているとよい。
これによれば、径路を流れた流体の流れが径路淀み部で淀むことにより、流体の圧力が減圧される。したがって、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔を介してモータ室内に流体が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【0015】
上記遠心圧縮機において、前記軸路を流れた流体の流れが淀む軸路淀み部を備えているとよい。
これによれば、軸路を流れた流体の流れが軸路淀み部で淀むことにより、流体の圧力が減圧される。したがって、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔を介してモータ室内に流体が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【0016】
上記遠心圧縮機において、前記モータは、前記回転軸と一体的に回転するモータロータを有し、前記回転軸に固定されるレゾルバロータ、及び前記レゾルバロータを前記回転軸に固定する固定部材を有するとともに前記モータロータの回転角を検出するレゾルバを備え、前記モータ室は、前記レゾルバを収容するレゾルバ室と、前記モータロータを収容するモータ収容室と、を含み、前記仕切壁は、前記インペラ室と前記レゾルバ室とを仕切る第1壁構成体と、前記レゾルバ室と前記モータ収容室とを仕切る第2壁構成体と、を有し、前記第1壁構成体には、前記挿通孔が形成されており、前記第2壁構成体は、前記回転軸を回転可能に支持する軸受を保持する筒状の軸受保持部を有し、前記軸受保持部の内側は、前記モータ収容室と前記レゾルバ室とを連通しており、前記径路は、前記流路形成部材である前記固定部材と前記第1壁構成体とで画定されており、前記固定部材は、前記径路衝突壁を有しているとよい。
【0017】
レゾルバ室に収容されているレゾルバの固定部材は、レゾルバ室が比較的広いスペースであるため、第1壁構成体に対する位置が調整し易い。したがって、固定部材における第1壁構成体に対する位置の調整を行うことで、径路の寸法を精度良く設定することができる。
【0018】
上記遠心圧縮機において、前記インペラは、前記回転軸の第1端に連結される第1インペラと、前記回転軸の第2端に連結されるとともに前記第1インペラの回転によって圧縮された後の流体を圧縮するために回転する第2インペラと、を含み、前記インペラ室は、前記第1インペラを収容する第1インペラ室と、前記第2インペラを収容する第2インペラ室と、を含み、前記仕切壁は、前記第1インペラ室と前記モータ室とを仕切る第1仕切壁と、前記第2インペラ室と前記モータ室とを仕切る第2仕切壁と、を含み、前記挿通孔は、前記第1仕切壁に形成されるとともに前記回転軸が挿通される第1挿通孔と、前記第2仕切壁に形成されるとともに前記回転軸が挿通される第2挿通孔と、を含み、前記複数の溝は、前記第2インペラの背面と前記第2仕切壁との間の空隙からの前記第2挿通孔を介した前記モータ室への流体の洩れを減少させるラビリンスシールを構成しており、前記径路は、前記流路形成部材と前記第2仕切壁とで画定され、前記第2挿通孔に連通するとともに前記第2挿通孔に対して前記回転軸の径方向に延びており、前記流路形成部材及び前記第2仕切壁の少なくとも一方は、前記径路衝突壁を有し、前記径路衝突壁は、前記第2挿通孔から前記径路に流れ込んだ流体の前記径方向への流れを衝突により堰き止めることで前記流体の流れの方向を変更するとよい。
【0019】
第2インペラの回転によって圧縮された流体は、第1インペラの回転によって圧縮された後の流体を再び圧縮した流体であるため、第1インペラの回転によって圧縮された後の流体に比べると温度が高い。ここで、第2インペラの背面と第2仕切壁との間の空隙から第2挿通孔を通過した流体が、径路に流れ込む。そして、径路に流れ込んだ流体が径路衝突壁に衝突する。これにより、流体における回転軸の径方向への流れが堰き止められるとともに流体の流れの方向が変更される。よって、流体の圧力が減圧される。したがって、第1インペラの回転によって圧縮された後の流体よりも温度が高い流体が、第2インペラの背面と第2仕切壁との間の空隙から第2挿通孔を介してモータ室内に侵入してしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、回転軸の振れを抑えつつも、シール性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態における遠心圧縮機の断面図である。
【
図2】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
【
図3】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
【
図4】別の実施形態における遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
【
図5】別の実施形態における遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
【
図6】別の実施形態における遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、遠心圧縮機を具体化した一実施形態を
図1~
図3にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態の遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。遠心圧縮機は、燃料電池スタックに供給される流体としての空気を圧縮する。
【0023】
<遠心圧縮機の基本構成>
図1に示すように、遠心圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、金属材料製である。ハウジング11は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング11は、モータハウジング12、第1コンプレッサハウジング13、第2コンプレッサハウジング14、第1プレート15、第2プレート16、及び第3プレート17を有している。ハウジング11は、モータ室S1を有している。モータ室S1は、モータ収容室18、レゾルバ室61、及びスラスト軸受収容室24を含む。
【0024】
モータハウジング12は、端壁12aと、周壁12bと、を有している。端壁12aは、板状である。周壁12bは、端壁12aの外周部から筒状に延びている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口側の端部に連結されている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口を閉塞している。そして、モータハウジング12及び第1プレート15によってモータ収容室18が区画されている。したがって、ハウジング11は、モータ収容室18を有している。
【0025】
第2プレート16は、モータハウジング12の端壁12aの外面に連結されている。第2プレート16は、第2プレート16の厚み方向がモータハウジング12の端壁12aの厚み方向に一致した状態で、モータハウジング12の端壁12aに取り付けられている。
【0026】
遠心圧縮機10は、モータ20を備えている。モータ20は、モータ収容室18に収容されている。したがって、モータ室S1は、モータ20を収容する。モータハウジング12は、モータ20を取り囲んでいる。
【0027】
遠心圧縮機10は、第1軸受保持部21を備えている。第1軸受保持部21は、第1プレート15の中央部からモータ収容室18内に突出している。したがって、第1プレート15は、第1軸受保持部21を有している。第1軸受保持部21は、円筒状である。第1軸受保持部21の内側は、モータ収容室18に連通している。
【0028】
第1プレート15は、室形成凹部22を有している。室形成凹部22は、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面に形成されている。室形成凹部22は、円孔状である。第1軸受保持部21の内側は、第1プレート15を貫通して室形成凹部22の底面に開口している。室形成凹部22の軸線と第1軸受保持部21の軸線とは一致している。
【0029】
第3プレート17は、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面に連結されている。第3プレート17は、第3プレート17の厚み方向が第1プレート15の厚み方向に一致した状態で、第1プレート15に取り付けられている。第3プレート17は、第1挿通孔23を有している。第1挿通孔23は、第3プレート17の中央部に形成されている。第1挿通孔23の軸線は、室形成凹部22の軸線、及び第1軸受保持部21の軸線と一致している。そして、室形成凹部22と第3プレート17とによって、スラスト軸受収容室24が区画されている。スラスト軸受収容室24は、第1軸受保持部21の内側に連通している。また、スラスト軸受収容室24は、第1挿通孔23に連通している。したがって、第1軸受保持部21は、スラスト軸受収容室24を介して第1挿通孔23に連通している。
【0030】
遠心圧縮機10は、第2軸受保持部25を備えている。第2軸受保持部25は、モータハウジング12の端壁12aの中央部からモータ収容室18内に突出している。したがって、モータハウジング12は、第2軸受保持部25を有している。第2軸受保持部25は、円筒状である。第2軸受保持部25の内側は、モータ収容室18に連通している。
【0031】
ハウジング11は、第2挿通孔26を有している。第2挿通孔26は、第2プレート16の中央部を貫通している。第2挿通孔26の軸線は、第2軸受保持部25の軸線と一致している。
【0032】
第1コンプレッサハウジング13は、空気が吸入される円孔状の第1吸入口27を有する筒状である。第1コンプレッサハウジング13は、第1吸入口27の軸線が、第1挿通孔23の軸線と一致した状態で第3プレート17における第1プレート15とは反対側の端面に連結されている。第1吸入口27は、第1コンプレッサハウジング13における第3プレート17とは反対側の端面に開口している。第1吸入口27には、図示しないエアクリーナによって清浄化された空気が流れる。
【0033】
遠心圧縮機10は、第1インペラ室28、第1吐出室29、及び第1ディフューザ流路30を備えている。第1インペラ室28、第1吐出室29、及び第1ディフューザ流路30は、第1コンプレッサハウジング13と第3プレート17との間に形成されている。したがって、ハウジング11は、第1インペラ室28を有している。第1プレート15及び第3プレート17は、第1インペラ室28とモータ室S1とを仕切る第1仕切壁を構成している。第1インペラ室28は、第1吸入口27に連通している。第1吐出室29は、第1インペラ室28の周囲で第1吸入口27の軸線周りに延びている。第1ディフューザ流路30は、第1インペラ室28と第1吐出室29とを連通している。第1インペラ室28は、第1挿通孔23に連通している。
【0034】
遠心圧縮機10は、第1吐出通路31を有している。第1吐出通路31の第1端は、第1吐出室29に連通している。第1吐出通路31の第2端は、第1コンプレッサハウジング13の外周面に開口している。
【0035】
第2コンプレッサハウジング14は、空気が吸入される円孔状の第2吸入口32を有する筒状である。第2コンプレッサハウジング14は、第2吸入口32の軸線が、第2挿通孔26の軸線と一致した状態で第2プレート16におけるモータハウジング12とは反対側の端面に連結されている。第2吸入口32は、第2コンプレッサハウジング14における第2プレート16とは反対側の端面に開口している。
【0036】
遠心圧縮機10は、第2インペラ室33、第2吐出室34、及び第2ディフューザ流路35を備えている。第2インペラ室33、第2吐出室34、及び第2ディフューザ流路35は、第2コンプレッサハウジング14と第2プレート16との間に形成されている。したがって、ハウジング11は、第2インペラ室33を有している。モータハウジング12の端壁12a、及び第2プレート16は、第2インペラ室33とモータ室S1とを仕切る第2仕切壁を構成している。第2インペラ室33は、第2吸入口32に連通している。第2吐出室34は、第2インペラ室33の周囲で第2吸入口32の軸線周りに延びている。第2ディフューザ流路35は、第2インペラ室33と第2吐出室34とを連通している。第2インペラ室33は、第2挿通孔26に連通している。
【0037】
モータハウジング12は、室形成凹部60を有している。室形成凹部60は、モータハウジング12の端壁12aの外面に形成されている。室形成凹部60は、円孔状である。室形成凹部60の軸線は、第2軸受保持部25の軸線及び第2挿通孔26の軸線と一致している。そして、室形成凹部60と第2プレート16とによって、レゾルバ室61が区画されている。したがって、ハウジング11は、レゾルバ室61を有している。
【0038】
レゾルバ室61は、第2軸受保持部25の内側に連通している。したがって、第2軸受保持部25の内側は、モータ収容室18とレゾルバ室61とを連通している。また、レゾルバ室61は、第2挿通孔26に連通している。したがって、第2挿通孔26は、レゾルバ室61及び第2軸受保持部25の内側を介してモータ収容室18内に連通している。第2プレート16は、第2インペラ室33とレゾルバ室61とを仕切る第1壁構成体である。モータハウジング12の端壁12aは、レゾルバ室61とモータ収容室18とを仕切る第2壁構成体である。したがって、第2仕切壁は、第1壁構成体と、第2壁構成体と、を有している。第1壁構成体には、第2挿通孔26が形成されている。
【0039】
遠心圧縮機10は、第2吐出通路36を有している。第2吐出通路36の第1端は、第2吐出室34に連通している。第2吐出通路36の第2端は、第2コンプレッサハウジング14の外周面に開口している。第2吐出通路36には、供給配管37が接続されている。供給配管37は、燃料電池スタック38に接続されている。供給配管37の第1端は、第2吐出通路36に接続されている。供給配管37の第2端は、燃料電池スタック38に接続されている。第2吐出室34は、第2吐出通路36及び供給配管37を介して燃料電池スタック38に接続されている。
【0040】
遠心圧縮機10は、接続配管39を備えている。接続配管39の第1端は、第1吐出通路31に連通している。接続配管39の第2端は、第2吸入口32に連通している。接続配管39内には、第1吐出室29から第1吐出通路31に吐出された空気が流れる。そして、接続配管39内を通過した空気は、第2吸入口32を介して第2インペラ室33に吸入される。
【0041】
遠心圧縮機10は、回転体40を備えている。回転体40は、回転軸41、第1インペラ42、第2インペラ43、及び支持部44を含む。したがって、遠心圧縮機10は、回転軸41を備えている。回転軸41は、ハウジング11内に収容されている。
【0042】
回転軸41は、モータハウジング12の軸線に沿って延びた状態で、モータ収容室18を横切っている。回転軸41の軸方向は、モータハウジング12の軸方向に一致している。回転軸41の第1端部は、モータ収容室18から第1軸受保持部21の内側、スラスト軸受収容室24、及び第1挿通孔23を通過して、第1インペラ室28内に突出している。したがって、第1挿通孔23は、第1仕切壁に形成されるとともに回転軸41が挿通される挿通孔である。
【0043】
回転軸41の第2端部は、モータ収容室18から第2軸受保持部25の内側、レゾルバ室61、及び第2挿通孔26を通過して、第2インペラ室33内に突出している。したがって、第2挿通孔26は、第2仕切壁に形成されるとともに回転軸41が挿通される挿通孔である。挿通孔は、第1挿通孔23と、第2挿通孔26と、を含む。レゾルバ室61は、回転軸41の軸方向でモータ収容室18と第2インペラ室33との間に配置されている。
【0044】
第1インペラ42は、回転軸41の第1端に連結されている。第1インペラ42は、第1インペラ室28に収容されている。したがって、第1インペラ室28は、第1インペラ42を収容する。第1インペラ42は、回転軸41と一体的に回転することで第1インペラ室28に吸入された空気を圧縮する。したがって、第1インペラ42は、回転軸41と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラである。よって、第1インペラ室28は、インペラを収容するインペラ室である。ハウジング11は、第1インペラ室28とモータ収容室18とを仕切るとともに回転軸41が挿通される第1挿通孔23が形成されている仕切壁を有している。
【0045】
第2インペラ43は、回転軸41の第2端に連結されている。第2インペラ43は、第2インペラ室33に収容されている。したがって、第2インペラ室33は、第2インペラ43を収容する。第2インペラ43は、回転軸41と一体的に回転することで第2インペラ室33に吸入された空気を圧縮する。したがって、第2インペラ43は、回転軸41と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラである。インペラは、第1インペラ42と、第2インペラ43と、を含む。よって、第2インペラ室33は、インペラを収容するインペラ室である。したがって、ハウジング11は、インペラを収容するインペラ室を有している。インペラ室は、第1インペラ室28と、第2インペラ室33と、を含む。ハウジング11は、第2インペラ室33とモータ収容室18とを仕切るとともに回転体40が挿通される第2挿通孔26が形成されている仕切壁を有している。仕切壁は、第1仕切壁と、第2仕切壁と、を含む。第2インペラ43は、第1インペラ42の回転によって圧縮された後の空気を圧縮するために回転する。
【0046】
支持部44は、回転軸41の外周面から環状に突出している。支持部44は、円板状である。支持部44は、回転軸41の外周面から径方向外側へ環状に突出した状態で、回転軸41の外周面に固定されている。したがって、支持部44は、回転軸41とは別体である。支持部44は、スラスト軸受収容室24内に配置されている。支持部44は、回転軸41と一体的に回転する。
【0047】
モータ20は、筒状のモータロータ47と、筒状のモータステータ48と、を有している。モータ収容室18は、モータロータ47を収容する。モータロータ47は、回転軸41に固定されている。モータステータ48は、ハウジング11に固定されている。モータロータ47は、モータステータ48の径方向内側に配置されている。モータロータ47は、回転軸41と一体的に回転する。モータロータ47は、回転軸41に固定された円筒状のロータコア49と、ロータコア49に設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。モータステータ48は、モータロータ47を取り囲んでいる。モータステータ48は、円筒状のステータコア50と、モータコイル51と、を有している。ステータコア50は、モータハウジング12の内周面に固定されている。モータコイル51は、ステータコア50に巻回されている。
【0048】
回転軸41は、図示しないバッテリからモータコイル51に電流が流れることによって、モータロータ47と一体的に回転する。したがって、モータ20は、回転軸41を回転させる。モータ20は、回転軸41の軸方向において、第1インペラ42と第2インペラ43との間に配置されている。
【0049】
遠心圧縮機10は、第1ラジアル軸受52を備えている。第1ラジアル軸受52は円筒状である。第1ラジアル軸受52は、第1軸受保持部21に保持されている。第1ラジアル軸受52は、回転軸41におけるモータ20よりも回転軸41の第1端部寄りに位置する部位を回転可能に支持する。したがって、第1ラジアル軸受52は、回転軸41を回転可能に支持する軸受である。そして、第1軸受保持部21は、軸受を保持する軸受保持部である。
【0050】
遠心圧縮機10は、第2ラジアル軸受53を備えている。第2ラジアル軸受53は円筒状である。第2ラジアル軸受53は、第2軸受保持部25に保持されている。第2ラジアル軸受53は、回転軸41におけるモータ20よりも回転軸41の第2端部寄りに位置する部位を回転可能に支持する。したがって、第2ラジアル軸受53は、回転軸41を回転可能に支持する軸受である。そして、第2軸受保持部25は、軸受を保持する軸受保持部である。第2壁構成体であるモータハウジング12の端壁12aは、軸受保持部を有している。
【0051】
第1ラジアル軸受52及び第2ラジアル軸受53は、モータ20を回転軸41の軸方向で挟んだ両側の位置で回転軸41をラジアル方向で回転可能に支持する。なお、「ラジアル方向」とは、回転軸41の軸方向に対して直交する方向である。
【0052】
遠心圧縮機10は、スラスト軸受54を備えている。スラスト軸受54は、スラスト軸受収容室24に収容されている。したがって、スラスト軸受収容室24は、スラスト軸受54を収容する。スラスト軸受54は、支持部44をスラスト方向で回転可能に支持する。したがって、スラスト軸受54は、支持部44を介して回転軸41を回転可能に支持する。なお、「スラスト方向」とは、回転軸41の軸線方向に対して平行な方向である。
【0053】
第1吸入口27を介して第1インペラ室28に吸入された空気は、第1インペラ42の回転によって加速されながら、第1ディフューザ流路30に送り込まれて、第1ディフューザ流路30を通過することにより昇圧される。そして、第1ディフューザ流路30を通過した空気は、第1吐出室29に吐出される。第1吐出室29に吐出された空気は、第1吐出通路31に吐出される。第1吐出通路31に吐出された空気は、接続配管39及び第2吸入口32を介して第2インペラ室33に吸入される。第2インペラ室33に吸入された空気は、第2インペラ43の回転によって加速されながら、第2ディフューザ流路35に送り込まれて、第2ディフューザ流路35を通過することにより昇圧される。そして、第2ディフューザ流路35を通過した空気は、第2吐出室34に吐出される。第2吐出室34に吐出された空気は、第2吐出通路36に吐出される。第2吐出通路36に吐出された空気は、供給配管37を介して燃料電池スタック38に供給される。したがって、遠心圧縮機10は、燃料電池スタック38に対して空気を供給する。燃料電池スタック38に供給された空気に含まれる酸素は、燃料電池スタック38の発電に寄与する。
【0054】
回転体40は、回転軸41、及び回転軸41と一体的に回転することで空気を圧縮する第1インペラ42及び第2インペラ43を含む。したがって、回転体40は、インペラを含む。
【0055】
遠心圧縮機10は、導入通路56を備えている。導入通路56は、第1プレート15に形成されている。導入通路56の第1端は、第1プレート15の外周面に開口している。導入通路56の第2端は、スラスト軸受収容室24に連通している。
【0056】
導入通路56の第1端には、分岐配管57が接続されている。分岐配管57は、供給配管37の途中から分岐されている。分岐配管57の第1端は、供給配管37に接続されている。分岐配管57の第2端は、導入通路56の第1端に接続されている。分岐配管57の途中には、インタークーラ58が設けられている。インタークーラ58は、分岐配管57内を流れる空気を冷却する。
【0057】
供給配管37を流れる空気の一部は、分岐配管57に流れ込む。分岐配管57を流れる空気は、インタークーラ58によって冷却される。これにより、インタークーラ58を通過した空気は、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度となる。そして、インタークーラ58によって冷却された空気は、導入通路56、スラスト軸受収容室24、及び第1軸受保持部21の内側を通過してモータ収容室18内へ導入される。したがって、導入通路56は、第2インペラ43によって圧縮された空気の一部を、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ収容室18内へ導入する。
【0058】
遠心圧縮機10は、排出路59を備えている。排出路59は、モータハウジング12の端壁12aに形成されている。排出路59の第1端は、レゾルバ室61内に連通している。排出路59の第2端は、モータハウジング12の端壁12aの外周面に開口している。したがって、排出路59は、ハウジング11の外部に連通している。そして、モータ収容室18内の空気は、第2軸受保持部25の内側、レゾルバ室61、及び排出路59を介してハウジング11の外部へ排出される。
【0059】
図2に示すように、第2インペラ43は、背面43aから先端に向かうに従って徐々に縮径した筒状である。第2インペラ43の背面43aは、第2プレート16に対向している。よって、第2プレート16は、第2インペラ43の背面43aに対向する対向面16aを有している。第2インペラ43は、貫通孔43hを有している。貫通孔43hの軸線は、第2インペラ43の回転軸線に一致している。なお、第2インペラ43の回転軸線は、回転軸41の軸線でもある。回転軸41の軸線は、回転体40の回転軸線L1である。
【0060】
室形成凹部60は、小径孔62と、大径孔63と、を有している。小径孔62は、第2軸受保持部25の内側に連通している。大径孔63は、小径孔62における第2軸受保持部25の内側とは反対側の端部に連通している。大径孔63における小径孔62とは反対側の開口は、室形成凹部60の開口である。大径孔63の開口は、第2プレート16により閉塞されている。
【0061】
回転軸41は、第1軸部64と、第2軸部65と、第3軸部66と、第4軸部67と、を有している。第1軸部64の外径は、第2軸部65、第3軸部66、及び第4軸部67それぞれの外径よりも大きい。第1軸部64は、モータ収容室18から第2軸受保持部25の内側を通過するとともに室形成凹部60の小径孔62の内側に至るまで延びている。第1軸部64は、第2ラジアル軸受53に回転可能に支持されている。
【0062】
第2軸部65は、第1軸部64に連続している。第1軸部64の外周面と第2軸部65の外周面とは、環状の第1段差面68aによって接続されている。第2軸部65の外径は、第3軸部66及び第4軸部67それぞれの外径よりも大きい。第2軸部65は、小径孔62の内側から大径孔63の内側に至るまで延びている。
【0063】
第3軸部66は、第2軸部65における第1軸部64とは反対側の端部に連続している。第2軸部65の外周面と第3軸部66の外周面とは、環状のテーパ面68bによって接続されている。第3軸部66の外径は、第4軸部67の外径よりも大きい。第3軸部66の外径は、第2挿通孔26の孔径よりも小さい。第3軸部66は、大径孔63の内側から第2挿通孔26の内側に挿入されている。第3軸部66における第2挿通孔26の内側に位置する部分は、回転体40における第2挿通孔26の内側に位置する部分である。
【0064】
第4軸部67は、第3軸部66における第2軸部65とは反対側の端部に連続している。第3軸部66の外周面と第4軸部67の外周面とは、環状の第2段差面68cによって接続されている。第4軸部67は、第2インペラ43の貫通孔43hを貫通した状態で、第2インペラ43に連結されている。したがって、第2インペラ43は、第4軸部67に連結されている。
【0065】
<レゾルバ>
遠心圧縮機10は、レゾルバ70を備えている。レゾルバ70は、モータロータ47の回転角を検出する。レゾルバ70は、レゾルバ室61に収容されている。したがって、レゾルバ室61は、レゾルバ70を収容する。レゾルバ70は、筒状のレゾルバロータ71、筒状のレゾルバステータ72、及び固定部材73を有している。固定部材73は、レゾルバロータ71を回転軸41に固定する。したがって、レゾルバロータ71は、回転軸41に固定されている。レゾルバロータ71は、回転軸41と一体的に回転する。
【0066】
レゾルバステータ72は、レゾルバコイル74を有している。レゾルバコイル74からは図示しないレゾルバ配線が引き出されている。レゾルバ配線は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。そして、レゾルバロータ71の回転によって、レゾルバロータ71の回転を検出した2相出力からなるレゾルバ信号がレゾルバコイル74からレゾルバ配線を介して制御装置に送信される。
【0067】
レゾルバステータ72は、小径孔62の内側に配置されている。レゾルバステータ72は、室形成凹部60における小径孔62を画定する部分の内周面に圧入されている。レゾルバステータ72は、モータハウジング12に固定されている。
【0068】
レゾルバロータ71は、小径孔62の内側に配置されている。レゾルバロータ71は、レゾルバステータ72の径方向内側に配置されている。レゾルバロータ71は、第2軸部65に対して第2軸部65の径方向外側に配置されている。したがって、第2軸部65は、レゾルバロータ71の内側を貫通している。レゾルバロータ71は、第1段差面68aに当接している。
【0069】
<固定部材>
固定部材73は、筒状である。固定部材73は、第1端面73a及び第2端面73bを有している。第1端面73aは、固定部材73における軸方向の一方に位置する端面である。第1端面73aは、平坦面状である。第2端面73bは、固定部材73における軸方向の他方に位置する端面である。第2端面73bは、平坦面状である。
【0070】
第2軸部65は、固定部材73の内側を貫通している。固定部材73は、第2軸部65の外周面に圧入されている。固定部材73は、第1端面73aがレゾルバロータ71に当接した状態で、第2軸部65に対して配置されている。固定部材73は、回転軸41の第1段差面68aと共にレゾルバロータ71を回転軸41の軸方向で挟み込んでいる。レゾルバロータ71は、回転軸41の第1段差面68aと固定部材73とによって挟み込まれることにより、回転軸41に固定されている。このようにして、固定部材73は、レゾルバロータ71を回転軸41に固定している。レゾルバロータ71及び固定部材73は、回転体40の一部を構成している。固定部材73は、回転軸41と共に一体回転する。
【0071】
図3に示すように、固定部材73は、筒状の突出壁75を有している。突出壁75は、第2端面73bから突出している。突出壁75は、第2端面73bの外周部から第2プレート16に向けて突出している。突出壁75の先端面と第2プレート16との間には隙間76が形成されている。隙間76は、回転軸41の径方向に延びている。
【0072】
<ラビリンスシール>
遠心圧縮機10は、複数の溝77を備えている。複数の溝77は、第2プレート16における第2挿通孔26を形成する孔形成面78に形成されている。なお、第3軸部66における第2挿通孔26の内側に位置する部分の外周面は、孔形成面78と対向する対向面79である。本実施形態では、孔形成面78に2つの溝77が形成されている。複数の溝77は、回転軸41の軸方向に並んで配置されている。そして、複数の溝77は、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80からの第2挿通孔26を介したモータ室S1への空気の洩れを減少させるラビリンスシールを構成している。
【0073】
なお、
図1に示すように、第3プレート17における第1挿通孔23を形成する孔形成面にも複数の溝77が形成されている。複数の溝77は、第1インペラ42の背面と第3プレート17との間の空隙からの第1挿通孔23を介したモータ室S1への空気の洩れを減少させるラビリンスシールを構成している。
【0074】
<径路>
図3に示すように、第2プレート16は、環状壁81を有している。環状壁81は、第2プレート16におけるレゾルバ室61側の内面161から突出している。環状壁81は、第2プレート16の内面161における第2挿通孔26の周囲に設けられている。環状壁81の内周面は、孔形成面78の一部を構成している。したがって、環状壁81の内側は、第2挿通孔26の一部である。環状壁81は、第2プレート16の内面161から固定部材73の突出壁75の内側に突出している。環状壁81は、第2プレート16の内面161から固定部材73の第2端面73bに向けて突出している。
【0075】
遠心圧縮機10は、径路82を備えている。径路82は、固定部材73の第2端面73bと環状壁81の先端面81aとの間に形成されている。したがって、径路82は、固定部材73と第2プレート16とで画定されている。固定部材73は、回転軸41と共に一体回転する流路形成部材である。径路82は、回転軸41の径方向に延びている。径路82の径方向内側の端部は、第2挿通孔26に連通している。したがって、径路82は、第2挿通孔26に連通するとともに第2挿通孔26に対して回転軸41の径方向に延びることでモータ室S1に形成されている。
【0076】
<径路衝突壁>
固定部材73は、径路衝突壁83を有している。径路衝突壁83は、突出壁75における径路82と回転軸41の径方向で重なる部分である。径路衝突壁83には、第2挿通孔26から径路82に流れ込んだ空気が衝突する。
【0077】
<軸路>
遠心圧縮機10は、軸路84を備えている。軸路84は、突出壁75の内周面と環状壁81の外周面との間に形成されている。したがって、軸路84は、固定部材73と第2プレート16とで画定されている。軸路84は、回転軸41の軸方向に延びている。軸路84は、径路82における第2挿通孔26とは反対側の端部に連通している。軸路84は、径路82における第2挿通孔26とは反対側の端部から回転軸41の軸方向に延びている。軸路84は、第2挿通孔26と回転軸41の径方向で重なる位置に配置されている。したがって、軸路84は、回転軸41の軸方向に延び、且つ、第2挿通孔26と回転軸41の径方向で重なる位置に配置されている。
【0078】
<軸路淀み部>
遠心圧縮機10は、軸路淀み部85を備えている。軸路淀み部85は、第2プレート16の内面161における環状壁81の周囲に環状に形成される凹部である。軸路淀み部85の一部分は、軸路84と回転軸41の軸方向で重なっている。軸路淀み部85の内側には、軸路84を流れた空気が流れ込む。そして、軸路84から軸路淀み部85の内側に流れ込んだ空気の流れが軸路淀み部85の内側で淀む。したがって、軸路淀み部85では、軸路84を流れた空気の流れが淀む。
【0079】
<軸路衝突壁>
軸路84から軸路淀み部85の内側に流れ込んだ空気は、軸路淀み部85の底面に衝突する。よって、第2プレート16における軸路淀み部85の底面を形成する壁は、径路82から軸路84に流れ込んだ空気が衝突する軸路衝突壁86である。したがって、第2プレート16は、径路82から軸路84に流れ込んだ空気が衝突する軸路衝突壁86を有している。
【0080】
[実施形態の作用]
次に、実施形態の作用について説明する。
スラスト軸受54は、導入通路56からスラスト軸受収容室24内に導入された空気によって冷却される。スラスト軸受収容室24内の空気は、第1軸受保持部21の内側を通過する。第1ラジアル軸受52は、第1軸受保持部21の内側を通過する空気によって冷却される。第1軸受保持部21の内側を通過した空気は、モータ収容室18内へ導入される。モータ20は、モータ収容室18に導入された空気によって冷却される。モータ収容室18内に導入された空気は、第2軸受保持部25の内側を通過する。第2ラジアル軸受53は、第2軸受保持部25の内側を通過する空気によって冷却される。第2軸受保持部25の内側を通過した空気はレゾルバ室61内に導入される。レゾルバ70は、レゾルバ室61内に導入された空気によって冷却される。レゾルバ室61内に導入された空気は、排出路59を介してハウジング11の外部へ排出される。
【0081】
ところで、第2インペラ43の回転によって圧縮された空気の一部が、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80に流れ込む。そして、空隙80に流れ込んだ空気は、空隙80から第2挿通孔26の内側に流れ込む。第2挿通孔26の内側に流れ込んだ空気は、各溝77の内側に流れ込むことにより空気の流れが淀む。これにより、第2挿通孔26の内側を流れる空気の圧力が減圧される。
【0082】
第2挿通孔26を通過した空気は、径路82に流れ込む。そして、径路82に流れ込んだ空気が径路衝突壁83に衝突する。これにより、空気における回転軸41の径方向への流れが堰き止められるとともに空気の流れの方向が変更される。よって、空気の圧力が減圧される。したがって、径路衝突壁83は、第2挿通孔26から径路82に流れ込んだ空気の回転軸41の径方向への流れを衝突により堰き止めることで空気の流れの方向を変更する。
【0083】
さらに、径路82から軸路84に流れ込んだ空気が、軸路衝突壁86に衝突することにより、空気における回転軸41の軸方向への流れが堰き止められるとともに空気の流れの方向が変更される。よって、空気の圧力が減圧される。したがって、軸路衝突壁86は、径路82から軸路84に流れ込んだ空気の回転軸41の軸方向への流れを衝突により堰き止めることで空気の流れの方向を変更する。
【0084】
また、軸路84を流れた空気の流れが軸路淀み部85で淀むことにより、空気の圧力が減圧される。このように、空気の圧力が減圧されていくことにより、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を介してモータ室S1内に空気が侵入してしまうことが抑制されている。
【0085】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)遠心圧縮機10は、第2挿通孔26に連通するとともに第2挿通孔26に対して回転軸41の径方向に延びることでモータ室S1に形成される径路82を備えている。固定部材73は、第2挿通孔26から径路82に流れ込んだ空気の回転軸41の径方向への流れを衝突により堰き止めることで空気の流れの方向を変更する径路衝突壁83を有している。これによれば、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を通過した空気が、径路82に流れ込む。そして、径路82に流れ込んだ空気が径路衝突壁83に衝突する。これにより、空気における回転軸41の径方向への流れが堰き止められるとともに空気の流れの方向が変更される。よって、空気の圧力が減圧されるため、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を介してモータ室S1内に空気が侵入してしまうことを抑制することができる。その結果、遠心圧縮機10においてシール性の向上を図ることができる。
【0086】
また、シール性の向上を図るために、ラビリンスシールを構成する溝77の数を増やす必要が無いため、溝77の数を増やすことによって第2挿通孔26における回転軸41の軸方向の長さが長くなってしまうといったことが無い。よって、第2挿通孔26における回転軸41の軸方向の長さが長くなることによって、回転軸41の軸方向の長さが長くなってしまうといったことが無く、回転軸41の振れが大きくなってしまうといった問題を回避することができる。以上により、回転軸41の振れを抑えつつも、シール性の向上を図ることができる。
【0087】
(2)遠心圧縮機10は、径路82における第2挿通孔26とは反対側の端部に連通するとともに回転軸41の軸方向に延び、且つ、第2挿通孔26と回転軸41の径方向で重なる位置に配置される軸路84を備えている。第2プレート16は、径路82から軸路84に流れ込んだ空気の回転軸41の軸方向への流れを衝突により堰き止めることで空気の流れの方向を変更する軸路衝突壁86を有している。これによれば、径路82から軸路84に流れ込んだ空気が軸路衝突壁86に衝突することにより、空気における回転軸41の軸方向への流れが堰き止められるとともに空気の流れの方向が変更される。よって、空気の圧力が減圧されるため、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を介してモータ室S1内に空気が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。その結果、ラビリンスシールを構成する溝77の数を増やすことなく、遠心圧縮機10においてシール性の向上をさらに図ることができる。軸路84は、第2挿通孔26と回転軸41の径方向で重なる位置に配置されている。したがって、遠心圧縮機10が軸路84を備えている構成であっても、第2挿通孔26における回転軸41の軸方向の長さが長くなることは無い。よって、第2挿通孔26における回転軸41の軸方向の長さが長くなることによって、回転軸41の軸方向の長さが長くなってしまうといったことが無く、回転軸41の振れが大きくなってしまうといった問題を回避することができる。以上により、回転軸41の振れを抑えつつも、シール性の向上をさらに図ることができる。
【0088】
(3)遠心圧縮機10は、軸路84を流れた空気の流れが淀む軸路淀み部85を備えている。これによれば、軸路84を流れた空気の流れが軸路淀み部85で淀むことにより、空気の圧力が減圧される。したがって、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を介してモータ室S1内に空気が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【0089】
(4)レゾルバ室61に収容されているレゾルバ70の固定部材73は、レゾルバ室61が比較的広いスペースであるため、第2プレート16に対する位置が調整し易い。したがって、固定部材73における第2プレート16に対する位置の調整を行うことで、径路82の寸法を精度良く設定することができる。
【0090】
(5)第2インペラ43の回転によって圧縮された空気は、第1インペラ42の回転によって圧縮された後の空気を再び圧縮した空気であるため、第1インペラ42の回転によって圧縮された後の空気に比べると温度が高い。ここで、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を通過した空気が、径路82に流れ込む。そして、径路82に流れ込んだ空気が径路衝突壁83に衝突する。これにより、空気における回転軸41の径方向への流れが堰き止められるとともに空気の流れの方向が変更される。よって、空気の圧力が減圧される。したがって、第1インペラ42の回転によって圧縮された後の空気よりも温度が高い空気が、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を介してモータ室S1内に侵入してしまうことを抑制することができる。
【0091】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0092】
○
図4に示すように、遠心圧縮機10は、径路淀み部87を備えていてもよい。径路淀み部87は、突出壁75の内周面における径路82と回転軸41の径方向で重なる部分に環状に形成される凹部である。径路淀み部87の内側には、径路82を流れた空気が流れ込む。そして、径路82から径路淀み部87の内側に流れ込んだ空気の流れが径路淀み部87の内側で淀む。したがって、径路淀み部87では、径路82を流れた空気の流れが淀む。なお、この場合、径路82から径路淀み部87の内側に流れ込んだ空気は、径路淀み部87の内周面に衝突する。よって、突出壁75における径路淀み部87の内周面を形成する壁は、第2挿通孔26から径路82に流れ込んだ空気が衝突する径路衝突壁83である。
【0093】
これによれば、径路82を流れた空気の流れが径路淀み部87で淀むことにより、空気の圧力が減圧される。したがって、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を介してモータ室S1内に空気が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。なお、
図4に示すように、遠心圧縮機10は、軸路淀み部85を備えていない構成であってもよい。
【0094】
○
図5に示すように、径路82には、径路衝突壁83a,83bが回転軸41の径方向に並んで複数配置されていてもよい。固定部材73の第2端面73bには、径路衝突壁83aが複数突出している。各径路衝突壁83aは、円環状である。各径路衝突壁83aは、回転軸41の径方向に並んで配置されている。各径路衝突壁83aは、固定部材73の軸線を中心とした同心円上に配置されている。各径路衝突壁83aは、固定部材73の第2端面73bから環状壁81の先端面81aに向けて突出している。各径路衝突壁83aの先端と環状壁81の先端面81aとの間には隙間が形成されている。
【0095】
環状壁81の先端面81aには、径路衝突壁83bが複数突出している。各径路衝突壁83bは、円環状である。各径路衝突壁83bは、回転軸41の径方向に並んで配置されている。各径路衝突壁83bは、環状壁81の軸線を中心とした同心円上に配置されている。各径路衝突壁83bは、環状壁81の先端面81aから固定部材73の第2端面73bに向けて突出している。各径路衝突壁83bの先端と固定部材73の第2端面73bとの間には隙間が形成されている。
【0096】
各径路衝突壁83a,83bは、回転軸41の径方向で交互に配置されている。これにより、径路82は、第2挿通孔26に対して回転軸41の径方向に蛇行しながら延びている。これによれば、第2挿通孔26から径路82に流れ込んだ空気が各径路衝突壁83a,83bに衝突する度に空気の圧力が減圧される。したがって、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を介してモータ室S1内に空気が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。なお、
図5に示すように、遠心圧縮機10は、軸路84を備えていない構成であってもよい。
【0097】
○
図5に示す実施形態において、例えば、環状壁81の先端面81aに径路衝突壁83bが突出していなくてもよい。また、
図5に示す実施形態において、例えば、固定部材73の第2端面73bに径路衝突壁83aが突出していなくてもよい。さらには、
図5に示す実施形態において、固定部材73が突出壁75を有していなくてもよい。要は、固定部材73及び第2プレート16の少なくとも一方が径路衝突壁を有していればよい。
【0098】
○
図6に示すように、軸路84には、軸路衝突壁86a,86bが回転軸41の軸方向に並んで複数配置されていてもよい。突出壁75の内周面には、軸路衝突壁86aが複数突出している。各軸路衝突壁86aは、円環状である。各軸路衝突壁86aは、回転軸41の軸方向に並んで配置されている。各軸路衝突壁86aは、突出壁75の内周面から回転軸41の径方向に延びている。各軸路衝突壁86aは、突出壁75の内周面から環状壁81の外周面に向けて突出している。各軸路衝突壁86aの先端と環状壁81の外周面との間には隙間が形成されている。
【0099】
環状壁81の外周面には、軸路衝突壁86bが複数突出している。各軸路衝突壁86bは、円環状である。各軸路衝突壁86bは、回転軸41の軸方向に並んで配置されている。各軸路衝突壁86bは、環状壁81の外周面から回転軸41の径方向に延びている。各軸路衝突壁86bは、環状壁81の外周面から突出壁75の内周面に向けて突出している。各軸路衝突壁86bの先端と突出壁75の内周面との間には隙間が形成されている。
【0100】
各軸路衝突壁86a,86bは、回転軸41の軸方向で交互に配置されている。これにより、軸路84は、径路82における第2挿通孔26とは反対側の端部から回転軸41の軸方向に蛇行しながら延びている。これによれば、径路82から軸路84に流れ込んだ空気が各軸路衝突壁86に衝突する度に空気の圧力が減圧される。したがって、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙80から第2挿通孔26を介してモータ室S1内に空気が侵入してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【0101】
○
図6に示す実施形態において、例えば、環状壁81の外周面に軸路衝突壁86bが突出していなくてもよい。また、
図6に示す実施形態において、例えば、突出壁75の内周面に軸路衝突壁86aが突出していなくてもよい。さらには、
図6に示す実施形態において、第2プレート16が軸路衝突壁86を有していなくてもよい。要は、固定部材73及び第2プレート16の少なくとも一方が軸路衝突壁を有していればよい。
【0102】
○ 実施形態において、例えば、孔形成面78に加えて、対向面79にも溝77が複数形成されていてもよい。また、孔形成面78に溝77が形成されておらず、対向面79に溝77が複数形成されていてもよい。要は、孔形成面78及び対向面79の少なくとも一方に複数の溝77が形成されていればよい。
【0103】
○ 実施形態において、孔形成面78に形成されている溝77の数は複数であればよく、その数は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、固定部材73は、第2軸部65の外周面に圧入されていたが、これに限らず、例えば、固定部材73がナットであり、第2軸部65の外周面に形成された雌ねじにねじ込まれていてもよい。
【0104】
○ 実施形態において、例えば、第2インペラ43の背面43aの中央部からボス部が突出しており、ボス部が第2挿通孔26の内側に挿入されていてもよい。この場合、第2インペラ43のボス部は、回転体40における第2挿通孔26の内側に位置する部分である。第2インペラ43において、ボス部は、回転軸41の一部を構成しているとも言える。そして、第2インペラ43において、ボス部を除く部位は、回転軸41と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラとして機能する部分と言える。
【0105】
○ 実施形態において、導入通路56は、第1インペラ42によって圧縮された空気の一部をモータ室S1内へ導入してもよい。第1インペラ42によって圧縮された空気の温度は、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の温度よりも低い。要は、導入通路56は、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ室S1内へ空気を導入すればよい。
【0106】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、第2インペラ43を備えていない構成であってもよい。この場合、径路82は、例えば、支持部44等の回転軸41とは別部材である流路形成部材と第3プレート17とで画定され、第1挿通孔23に連通するとともに第1挿通孔23に対して回転軸41の径方向に延びている。また、支持部44及び第3プレート17の少なくとも一方は、径路衝突壁83を有している。そして、径路衝突壁83には、第1挿通孔23から径路82に流れ込んだ空気が衝突する。
【0107】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、第2インペラ43に代えて、タービンホイールを備えている構成であってもよい。
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、遠心圧縮機10は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
【0108】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、燃料電池スタック38に供給される空気を圧縮するために用いられるものに限らない。要は、遠心圧縮機10は、流体を圧縮するものであればよい。
【0109】
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
<付記1>
回転軸と、
前記回転軸と一体的に回転することで流体を圧縮するインペラと、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室と前記モータ室とを仕切るとともに前記回転軸が挿通される挿通孔が形成されている仕切壁を有するハウジングと、
前記仕切壁における前記挿通孔を形成する孔形成面、及び前記回転軸における前記孔形成面と対向する対向面の少なくとも一方に形成されるとともに前記回転軸の軸方向に並んで配置される複数の溝と、を備え、
前記複数の溝は、前記インペラの背面と前記仕切壁との間の空隙からの前記挿通孔を介した前記モータ室への流体の洩れを減少させるラビリンスシールを構成している遠心圧縮機であって、
前記回転軸と共に一体回転する流路形成部材と前記仕切壁とで画定され、前記挿通孔に連通するとともに前記挿通孔に対して前記回転軸の径方向に延びることで前記モータ室に形成される径路を備え、
前記流路形成部材及び前記仕切壁の少なくとも一方は、前記挿通孔から前記径路に流れ込んだ流体の前記径方向への流れを衝突により堰き止めることで前記流体の流れの方向を変更する径路衝突壁を有していることを特徴とする遠心圧縮機。
【0110】
<付記2>
前記流路形成部材と前記仕切壁とで画定され、前記径路における前記挿通孔とは反対側の端部に連通するとともに前記回転軸の軸方向に延び、且つ、前記挿通孔と前記回転軸の径方向で重なる位置に配置される軸路を備え、
前記流路形成部材及び前記仕切壁の少なくとも一方は、前記径路から前記軸路に流れ込んだ流体の前記軸方向への流れを衝突により堰き止めることで前記流体の流れの方向を変更する空気が衝突する軸路衝突壁を有していることを特徴とする<付記1>に記載の遠心圧縮機。
【0111】
<付記3>
前記径路には、前記径路衝突壁が前記回転軸の径方向に並んで複数配置されていることを特徴とする<付記1>又は<付記2>に記載の遠心圧縮機。
【0112】
<付記4>
前記軸路には、前記軸路衝突壁が前記回転軸の軸方向に並んで複数配置されていることを特徴とする<付記2>に記載の遠心圧縮機。
【0113】
<付記5>
前記径路を流れた流体の流れが淀む径路淀み部を備えていることを特徴とする<付記1>~<付記4>のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【0114】
<付記6>
前記軸路を流れた流体の流れが淀む軸路淀み部を備えていることを特徴とする<付記2>又は<付記4>に記載の遠心圧縮機。
【0115】
<付記7>
前記モータは、前記回転軸と一体的に回転するモータロータを有し、
前記回転軸に固定されるレゾルバロータ、及び前記レゾルバロータを前記回転軸に固定する固定部材を有するとともに前記モータロータの回転角を検出するレゾルバを備え、
前記モータ室は、前記レゾルバを収容するレゾルバ室と、前記モータロータを収容するモータ収容室と、を含み、
前記仕切壁は、
前記インペラ室と前記レゾルバ室とを仕切る第1壁構成体と、
前記レゾルバ室と前記モータ収容室とを仕切る第2壁構成体と、を有し、
前記第1壁構成体には、前記挿通孔が形成されており、
前記第2壁構成体は、前記回転軸を回転可能に支持する軸受を保持する筒状の軸受保持部を有し、
前記軸受保持部の内側は、前記モータ収容室と前記レゾルバ室とを連通しており、
前記径路は、前記流路形成部材である前記固定部材と前記第1壁構成体とで画定されており、
前記固定部材は、前記径路衝突壁を有していることを特徴とする<付記1>~<付記6>のいずれか1つに記載の遠心圧縮機。
【0116】
<付記8>
前記インペラは、
前記回転軸の第1端に連結される第1インペラと、
前記回転軸の第2端に連結されるとともに前記第1インペラの回転によって圧縮された後の流体を圧縮するために回転する第2インペラと、を含み、
前記インペラ室は、
前記第1インペラを収容する第1インペラ室と、
前記第2インペラを収容する第2インペラ室と、を含み、
前記仕切壁は、
前記第1インペラ室と前記モータ室とを仕切る第1仕切壁と、
前記第2インペラ室と前記モータ室とを仕切る第2仕切壁と、を含み、
前記挿通孔は、
前記第1仕切壁に形成されるとともに前記回転軸が挿通される第1挿通孔と、
前記第2仕切壁に形成されるとともに前記回転軸が挿通される第2挿通孔と、を含み、
前記複数の溝は、前記第2インペラの背面と前記第2仕切壁との間の空隙からの前記第2挿通孔を介した前記モータ室への流体の洩れを減少させるラビリンスシールを構成しており、
前記径路は、前記流路形成部材と前記第2仕切壁とで画定され、前記第2挿通孔に連通するとともに前記第2挿通孔に対して前記回転軸の径方向に延びており、
前記流路形成部材及び前記第2仕切壁の少なくとも一方は、前記径路衝突壁を有し、
前記径路衝突壁は、前記第2挿通孔から前記径路に流れ込んだ流体の前記径方向への流れを衝突により堰き止めることで前記流体の流れの方向を変更することを特徴とする<付記1>~<付記7>のいずれか1つに記載の遠心圧縮機。
【符号の説明】
【0117】
10…遠心圧縮機、11…ハウジング、12a…第2壁構成体である端壁(仕切壁及び第2仕切壁)、15…第1プレート(仕切壁及び第1仕切壁)、16…第1壁構成体である第2プレート(仕切壁及び第2仕切壁)、17…第3プレート(仕切壁及び第1仕切壁)、18…モータ収容室、20…モータ、21…第1軸受保持部(軸受保持部)、23…第1挿通孔(挿通孔)、25…第2軸受保持部(軸受保持部)、26…第2挿通孔(挿通孔)、28…第1インペラ室(インペラ室)、33…第2インペラ室(インペラ室)、40…回転体、41…回転軸、42…第1インペラ(インペラ)、43…第2インペラ(インペラ)、43a…背面、47…モータロータ、52…第1ラジアル軸受(軸受)、53…第2ラジアル軸受(軸受)、61…レゾルバ室、70…レゾルバ、71…レゾルバロータ、73…流路形成部材である固定部材、77…溝、78…孔形成面、79…対向面、80…空隙、82…径路、83,83a,83b…径路衝突壁、84…軸路、85…軸路淀み部、86,86a,86b…軸路衝突壁、87…径路淀み部、S1…モータ室。