(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122625
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】文書回覧装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0633 20230101AFI20240902BHJP
【FI】
G06Q10/0633
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030281
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】503473367
【氏名又は名称】株式会社トヨタエンタプライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】市川 雅一
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA07
5L049AA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回覧ルートの自由度、新たな回覧ルートの構築の手間を改善する文書回覧装置を提供すること。
【解決手段】回覧レールメモリ31、回覧制御テーブルメモリ33及び回覧制御部5を備える文書回覧装置1であって、回覧レールメモリ31に処理項目を規定する複数のステーション及びステーションの回覧順序を規定する回覧レールを保存させる。ステーションには処理項目を処理するためのFショップを設定可能であり、回覧制御テーブルメモリ33に回覧制御テーブルを保存させ、Fショップを担当する役職を割り付け、回覧制御部5に回覧レールで第n順序のステーションにアクセスして、ステーションのFショップに役職が割り付けられているときは当該役職に対して処理項目の実行を依頼させ、実行が完了した後、第n+1順序のステーションにアクセスさせ、役職が割り付けられていないときは、第n+1順序のステーションにアクセスさせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理項目を規定する複数のステーション及び前記ステーションの回覧順序を規定する回覧レールを保存する回覧レールメモリと、前記ステーションには前記処理項目を処理するためのFショップを設定可能であり、
回覧制御テーブルを保存する回覧制御テーブルメモリと、該回覧制御テーブルは、前記Fショップを担当する役職を割り付け、
回覧制御部であって、前記回覧レールで第n順序の前記ステーションにアクセスして、該ステーションのFショップに役職が割り付けられているときは当該役職に対して前記処理項目の実行を依頼し、実行が完了した後、第n+1順序の前記ステーションにアクセスし、役職が割り付けられていないときは、前記第n+1順序の前記ステーションにアクセスする、回覧制御部と、
を備えてなる文書回覧装置。
【請求項2】
前記回覧レールのステーションは、役職を直接指定できる指定シートを備え、該指定シートに役職が指定されているステーションにはEショップが設定される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記役職に対応する個人を特定する役職-個人テーブルを保存する役職-個人テーブルメモリが更に備えられ、
前記回覧制御部は、前記役職-個人テーブルに基づき、前記役職に対応する個人に対して、前記処理項目の実行を依頼する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のステーションがその回覧順序に従って第1の列に記載された回覧ルート指示表を保存する回覧ルート指示表保存部と、
前記回覧ルート指示表の前記第1の列を参照して前記回覧レールを構築する回覧レール生成部と、が更に備えられる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記回覧ルート指示表の第2の列には、前記第1の列に記載のステーションに対応した役職が、これと同じ行に記載され、
該第1の列及び前記第2の列の記載に基づき、前記回覧制御テーブルを生成する回覧制御テーブル生成部が更に備えられる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
回覧レールメモリ、回覧制御テーブルメモリ及び回覧制御部を備えた回覧制御装置を用いる文書の回覧方法であって、
前記回覧レールメモリに、処理項目を規定する複数のステーション及び前記ステーションの回覧順序を規定する回覧レールを保存させ、前記ステーションには前記処理項目を処理するためのFショップを設定可能であり、
前記回覧制御テーブルメモリに、回覧制御テーブルを保存させ、該回覧制御テーブルは、前記Fショップを担当する役職を割り付け、
前記回覧制御部に、前記回覧レールで第n順序の前記ステーションにアクセスして、該ステーションのFショップに役職が割り付けられているときは当該役職に対して前記処理項目の実行を依頼させ、実行が完了した後、第n+1順序の前記ステーションにアクセスさせ、役職が割り付けられていないときは、前記第n+1順序の前記ステーションにアクセスさせる、文書回覧方法。
【請求項7】
回覧レールメモリ、回覧制御テーブルメモリ及び回覧制御部を備えた回覧制御装置のコンピュータ用のコンピュータプログラムであって、
前記回覧レールメモリに、処理項目を規定する複数のステーション及び前記ステーションの回覧順序を規定する回覧レールを保存させ、前記ステーションには前記処理項目を処理するためのFショップを設定可能であり、
前記回覧制御テーブルメモリに、回覧制御テーブルを保存させ、該回覧制御テーブルは、前記Fショップを担当する役職を割り付け、
前記回覧制御部に、前記回覧レールで第n順序の前記ステーションにアクセスして、該ステーションのFショップに役職が割り付けられているときは当該役職に対して前記処理項目の実行を依頼させ、実行が完了した後、第n+1順序の前記ステーションにアクセスさせ、役職が割り付けられていないときは、前記第n+1順序の前記ステーションにアクセスさせる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は文書回覧装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
会社、行政機関その他の組織において稟議書などの文書は担当する役職の間で回覧され、役職の権限において処理が行われる。
昨今の文書は電子化されており、電子ファイルとしてネットワークを介して役職へ送付され、またその役職から次の役職へ送付される。
文書の回覧ルートは、文書の内容に応じて定められており、多種多様となる。
この発明に関連する先行技術文献として特許文献1~3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-301575号公報
【特許文献2】特開2003-85335号公報
【特許文献3】特開平11-143962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述のように、組織内における文書の回覧ルートは文書の内容に応じて、更には組織の構成に応じて多種多様である。また、組織変更がなされたときは、回覧先もまた変更になる。組織変更には組織を構成する役職の改変のほか、役職を担当する人員自体の変更もある。
ネットワークを介して文書を回覧するソフトウエアが提案されているが、回覧ルートの自由度が小さかったり、また、回覧ルートに自由度が確保されていても新たな回覧ルートの構築に手間がかかったりしていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はかかる課題を解決すべくなされたものである。この発明の第1局面は次のように規定される。即ち、
処理項目を規定する複数のステーション及び前記ステーションの回覧順序を規定する回覧レールを保存する回覧レールメモリと、前記ステーションには前記処理項目を処理するためのFショップを設定可能であり、
回覧制御テーブルを保存する回覧制御テーブルメモリと、該回覧制御テーブルは、前記Fショップを担当する役職を割り付け、
回覧制御部であって、前記回覧レールで第n順序の前記ステーションにアクセスして、該ステーションのFショップに役職が割り付けられているときは当該役職に対して前記処理項目の実行を依頼し、実行が完了した後、第n+1順序の前記ステーションにアクセスし、役職が割り付けられていないときは、前記第n+1順序の前記ステーションにアクセスする、回覧制御部と、
を備えてなる文書回覧装置。
【0006】
このように規定される文書回覧装置によれば、回覧レールにおいて文書データは一方通行である。即ち、第n順位のステーションの次は第n+1順位のステーションへ文書が送付される。各ステーションには実行すべき処理項目が予め規定されている。処理項目には、「起案」、「受付」、「合議」、「確認」、「審議」、「決裁」、「許可」及び「連絡」などがあり、必要に応じて任意に規定できる。
このように処理項目が規定されたステーションにFショップが設定される。Fショップは、例えば鉄道の駅の店舗のようなものであり、駅には多種の店舗があるように、Fショップも任意に設定が可能である。そして、店舗の店員は、鉄道会社ではなく、店舗の運営会社が管理するように、Fショップを担当する役職は、回覧レールとは独立した、回覧制御テーブルで管理される。
【0007】
ステーションの数は特に制限されないので、これにマージンを持たせ、かつ不要なステーションをスキップすることで、各ステーションへ設定するFショップの選択幅が広がる。これにより、回覧ルートの自由度が向上する。
回覧制御テーブルにおいて、Fショップに役職を割り付けなければ、かかるFショップが設定されたステーションは回覧レールにおいてスキップされることとなる。
【0008】
回覧レールのステーションにはその処理項目が規定されている。このステーションに到着した文書には、当該処理項目のタグが付けられて役職へ回覧されることとなる。例えば、後述する実施形態の回覧レールでは、第1~第2ステーションを「起案」用とし、第3ステーションを「受付」用とし、第4~第5ステーションを「合議」用とし、第6ステーションを「確認」用とし、第7ステーションを「審議」用とし、第8ステーションを「決裁」用とし、第9ステーションを「許可」用とし、第10~第11ステーションを「連絡」用としている。複数の役職が関係する処理項目としての「起案」と「合議」に複数のステーションが含まれている。
【0009】
なお、合議の開催が3つ以上必要となった場合は、新たな回覧レールを作成することもできるが、既存の回覧レールにおいて、第1~第2ステーションはそのまま「起案」用とし、第3ステーションはそのまま「受付」用とし、第4~第6ステーションは「合議」用とし、第7ステーションは「確認」用とし、第8ステーションは「審議」用とし、第9ステーションは「決裁」用とし、第10ステーションは「許可」用とし、第11~第12ステーションは「連絡」用とすることもできる。
【0010】
このように回覧レールの管理とFショップによる処理項目の担当役職の管理とを独立することで、文書回覧装置のメンテナンスが容易になる。例えば、第nステーションのFnショップを担当する役職が変更されたとき(例えば、課長から部長へ)、回覧制御テーブルにおいて、その役職を変更すればよいからである。これにより、第nステーションに到達した文書はFnショップを介して、変更後の役職へ送付される。
【0011】
この発明の第2局面の文書回覧装置は次のように規定される。即ち、
第1局面に規定の文書回覧装置において、前記回覧レールのステーションは、役職を直接指定できる指定シートを備え、該指定シートに役職が指定されているステーションにはEショップが設定され、
前記回覧制御テーブルは、前記Fショップに割り付けられる役職は第1部門に属する役職とし、該Eショップに対しては、前記第1部門とは異なる第2部門の役職を割り付ける、
前記回覧制御部は、前記Eショップにアクセスしたとき、前記第2部門に属し、かつ前記指定シートで指定されている役職に対して前記処理項目の実行を依頼する。
【0012】
文書の回覧は、一般的には単一指揮系統の部門(グループ、事業所、組織)内で行われる。従って、Fショップに割り付けられる役職は、これを単一の部門(第1部門)に属する役職群から選択することとすれば、回覧制御テーブルがFショップに割り付ける役職のリストが限定される。同様に、Fショップに割り付けられる役職が第n部門となったとしても、第n部門の役職も限定される。
他方、第1~第n部門に属する全ての役職を対象とすると、これから割り付けるべき役職を指定することには手間がかかる。
【0013】
他方、文書によっては、他の部門の協力が必要な場合がある。かかる処理が必要な段階に該当するステーションにおいてEショップと当該Eショップに属する役職を指定できるようにした。このEショップは、Fショップ用の第1部門の役職リストと異なる第2部門の役職リストを指定する機能を有する。
回覧レールにおいて、Fショップには同一の部門の役職が割り付けられ、Eショップには他の部門の役職が割り付けられるので前者をFamily ショップ、後者をExternal ショップと呼ぶことがある。
【0014】
この発明の第3局面の文書回覧装置は次のように規定される。即ち、
第1局面に規定の文書回覧装置であって、各部署の役職に対応する個人を特定する役職-個人テーブルを保存する役職-個人テーブルメモリが更に備えられ、
前記回覧制御部は、前記役職-個人テーブルに基づき、前記役職に対応する個人に対して、前記処理項目の実行を依頼する。
このように規定される第3局面の文書回覧装置によれば、役職-個人テーブルの内容を更新することで、回覧制御テーブルがFショップに割り付ける役職である個人のIDが更新され、当該役職である個人へ処理項目の依頼が円滑に通知される。
【0015】
この発明の第4局面は次のように規定される。即ち、
第1局面に規定の文書回覧装置において、前記複数のステーションがその回覧順序に従って第1の列に記載された回覧ルート指示表を保存する回覧ルート指示表保存部と、
前記回覧ルート指示表の前記第1の列を参照して前記回覧レールを構築する回覧レール生成部と、が更に備えられる。
このように規定される第4局面の文書回覧装置によれば、回覧ルート指示表を用いて回覧レールのステーションを設定できる。よって、回覧レールの設計自由度が向上する。
【0016】
この発明の第5局面は次のように規定される。即ち、
第4局面に規定の文書回覧装置において、前記回覧ルート指示表の第2の列には、前記第1の列に記載のステーションに対応した役職が、これと同じ行に記載され、
該第1の列及び前記第2の列の記載に基づき、前記回覧制御テーブルを生成する回覧制御テーブル生成部が更に備えられる。
このように規定される第5局面の文書回覧装置によれば、回覧ルート指示表を用いて手間なく回覧制御テーブルを生成することができる。
【0017】
この発明の第6の局面は、第1局面の文書回覧装置を用いた文書回覧方法を規定する。即ち、
回覧レールメモリ、回覧制御テーブルメモリ及び回覧制御部を備えた回覧制御装置を用いる文書の回覧方法であって、
前記回覧レールメモリに、処理項目を規定する複数のステーション及び前記ステーションの回覧順序を規定する回覧レールを保存させ、前記ステーションには前記処理項目を処理するためのFショップを設定可能であり、
前記回覧制御テーブルメモリに、回覧制御テーブルを保存させ、該回覧制御テーブルは、前記Fショップを担当する役職を割り付け、
前記回覧制御部に、前記回覧レールで第n順序の前記ステーションにアクセスして、該ステーションのFショップに役職が割り付けられているときは当該役職に対して前記処理項目の実行を依頼させ、実行が完了した後、第n+1順序の前記ステーションにアクセスさせ、役職が割り付けられていないときは、前記第n+1順序の前記ステーションにアクセスさせる、文書回覧方法。
【0018】
この発明の第7局面は、第1局面に規定の文書回覧装置のコンピュータに適用されるコンピュータプログラムを規定する。即ち、
回覧レールメモリ、回覧制御テーブルメモリ及び回覧制御部を備えた回覧制御装置のコンピュータ用のコンピュータプログラムであって、
前記回覧レールメモリに、処理項目を規定する複数のステーション及び前記ステーションの回覧順序を規定する回覧レールを保存させ、前記ステーションには前記処理項目を処理するためのFショップを設定可能であり、
前記回覧制御テーブルメモリに、回覧制御テーブルを保存させ、該回覧制御テーブルは、前記Fショップを担当する役職を割り付け、
前記回覧制御部に、前記回覧レールで第n順序の前記ステーションにアクセスして、該ステーションのFショップに役職が割り付けられているときは当該役職に対して前記処理項目の実行を依頼させ、実行が完了した後、第n+1順序の前記ステーションにアクセスさせ、役職が割り付けられていないときは、前記第n+1順序の前記ステーションにアクセスさせる、コンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1はこの発明の実施形態の文書回覧装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は
図1の文書回覧装置に適用される各種のテーブルを示す。
【
図5】
図5は
図1の文書回覧装置に適用されるコンピュータシステムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照しながら、説明する。
図1は、この発明の一の実施形態の文書回覧装置1の構成を示すブロック図である。
文書回覧装置1はメモリ部3、回覧制御部5、文書解析部6、更新部7、回覧レール指示表保存部8及び入力部9を備えている。
メモリ部3は回覧レールメモリ31、回覧制御テーブルメモリ33及び役職-個人テーブルメモリ35を備える。
【0021】
回覧レールメモリ31には回覧レールが保存される。この回覧レールの例を
図2Aに示す。回覧レールは11のステーション(ST.1~ST.11)を備え、各ステーションには2つのエリアがある。一方のエリアにはFショップB~Gを受入れ、他方のエリアは役職シートを受け入れる(ST.4,ST.5参照)。
回覧レールの各ステーションにはFショップが設定されており、Fショップには任意の役職が割り付けられる。
【0022】
Fショップへ割り付ける役職を規定する機能が回覧制御テーブルによってなされる。回覧制御テーブルは回覧制御テーブルメモリ33に保存されている。この回覧制御テーブルの例を
図2Eに示す。回覧制御テーブルには、文書毎に、回覧レールの各Fショップに割り付けるべき役職が定められている。
図2Eに示す回覧制御テーブルの各数字は例えば、1:係長、2:課長、3:部長、4:役員、5:社長を指している(役職-個人テーブル
図2F参照)。
役職とその役職を務める個人との関係が役職-個人テーブルに規定され(
図2F)、役職-個人テーブルメモリ35に保存されている。
図2Fにおける「ああ」、「ええ」等は個人のID若しくは氏名を示し、このID若しくは氏名に対して回覧の通知がなされる。
【0023】
回覧制御部5は回覧レール・制御テーブル選択部51、実行回覧レール構築部53及び回覧実行部55を備える。
回覧レール・制御テーブル選択部51は、文書解析部6の解析結果に基づき、回覧レールメモリから回覧レールを読み出し、回覧制御テーブルから回覧制御テーブルを読み出す。
文書解析部6の解析ついては後述する。
実行回覧レール構築部53は、回覧レール・制御テーブル選択部51が選択した回覧レールに回覧制御テーブルを適合させ、更に役職-個人テーブルを参照して、実行回覧レールを構築する。
【0024】
図2Bに実行回覧レールの一例を示す。この実行回覧レールは、文書1に適合させたものである。
図2Bの上段には、文書1について、回覧制御テーブルに基づき各ステーションのFショップに割り付けられた役職が記載されている。
図2Bの下段には、役職-個人テーブルを参照して、役職に対応する個人のIDが記載されている。
図2Cの実行回覧レールは、文書3に適合させたものであり、
図2Cの上段には、文書について、回覧制御テーブルに基づき各ステーションのFショップに割り付けられた役職が記載されている。
図Cの下段には、役職-個人テーブルを参照して、役職に対応する個人のIDが記載されている。
【0025】
文書1に対応して
図2Bに示す実行回覧レールが構築されたとき、回覧実行部55は次の様に動作する。
まず、ステーションST.1においてFショップに割り付けられた係長「ああ」に対して、ステーションST.1より、その処理項目である「起案」の依頼が送られる。
係長「ああ」が起案(案)を作成して、所定のサーバへアップした後、処理済の連絡を回覧実行部55へ送信すると、回覧実行部55は、ステーションST.1での処理を終了して、ステーションST.2へ移る。
ステーションST.2に設定されている処理項目は「起案」であり、Fショップには課長「ええ」が割り付けられている。よって、回覧実行部55は、課長「ええ」に対して処理項目である「起案」をするように依頼する。このとき、一つ前のステーションにおいて処理された文書の存在を併せて通知する。
【0026】
課長「ええ」が起案を纏めて所定のサーバへアップした後、処理済の連絡を回覧実行部55へ送信すると、回覧実行部55は、ステーションST.2での処理を終了して、ステーションST.3へ移る。
ステーションST.3に設定されている処理項目は「受付」であり、Fショップには部長「いい」が割り付けられている。よって、回覧実行部55は、部長「いい」に対して処理項目である「受付」をするように依頼する。このとき、一つ前のステーションにおいて処理された文書の存在を併せて通知する。
【0027】
部長「いい」が、起案文書をチェックした結果、起案を実行すべきものと判断したとき、必要に応じてコメントを付加して、所定のサーバへ文書をアップする。その後、処理済の連絡を回覧実行部55へ送信すると、回覧実行部55は、ステーションST.3での処理を終了して、ステーションST.4へ移る。
ステーションST.4では、何ら役職が割り付けられていないので、そのままステップST.5へ移る。ここにおいても何ら役職が割り付けられていないので、そのままステップST.6へ移る。
ステーションST.6に設定されている処理項目は「確認」であり、Fショップには役員「きき」が割り付けられている。よって、回覧実行部55は、役員「きき」に対して処理項目である「確認」をするように依頼する。このとき、一つ前のステーションにおいて処理された文書の存在を併せて通知する。
【0028】
役員「きき」が、起案文書をチェックした結果、起案を実行すべきものと判断したとき、必要に応じてコメントを付加して、所定のサーバへ文書をアップする。その後、処理済の連絡を回覧実行部55へ送信すると、回覧実行部55は、ステーションST.6での処理を終了して、ステーションST.7へ移る。
ステーションST.7に設定されている処理項目は「審議」であり、Fショップには部長「いい」が割り付けられている。よって、回覧実行部55は、部長「いい」に対して処理項目である「審議」をするように依頼し、誤字脱字、書式間違い、他部門とのコンフリクトなどを再確認させる。このとき、一つ前のステーションにおいて処理された文書の存在を併せて通知する。
【0029】
部長「いい」が、「審議」として、起案文書を最終チェックした結果、問題がないと判断したとき、必要に応じてコメントを付加して、所定のサーバへ文書をアップする。その後、処理済の連絡を回覧実行部55へ送信すると、回覧実行部55は、ステーションST.7での処理を終了して、ステーションST.8へ移る。
ステーションST.8に設定されている処理項目は「決裁」であり、Fショップには社長「たた」が割り付けられている。よって、回覧実行部55は、社長「たた」に対して処理項目である「決裁」をするように依頼する。このとき、一つ前のステーションにおいて処理された文書の存在を併せて通知する。
【0030】
社長「たた」が、起案文書を決裁した結果、起案内容が実行されるものとなったとき、必要に応じてコメントを付加して、所定のサーバへ文書をアップする。その後、処理済の連絡を回覧実行部55へ送信すると、回覧実行部55は、ステーションST.8での処理を終了して、ステーションST.9へ移る。
ステーションST.9では、何ら役職が割り付けられていないので、そのままステップST.10へ移る。
ステーションST.10に設定されている処理項目は「連絡」であり、Fショップには起案者である係長「ああ」が割り付けられている。よって、回覧実行部55は、係長「ああ」に対して処理項目である「連絡」をする、即ち、起案が決裁された旨が連絡される。
ステーションST.10においても同一の処理が繰り返される。
なお、「連絡」は、複数の担当者へ同時に行うこともできる。
【0031】
文書3に対応して
図2Cに示す実行回覧レールが構築されたとき、回覧実行部55の実行は、ステーションST.1,3,6,8,10において、
図2Bの実行回覧ルートと同じ処理になる。
【0032】
このように構成される文書回覧装置1によれば、回覧レールのステーションが、Fショップとともに、固定されていたとしても、回覧制御テーブルにより、文書毎に任意の役職をFショップへ割り付けられる。
【0033】
文書5に対応して
図2Dに示す実行回覧レールが構築されときについて説明する。
Fショップが設定されたステーションの動作は、
図2B及び
図2Cの場合と、同様である。
図2Dに示す実行回覧レールでは、ステーションST.4,5においてEショップが有効になる。Eショップにより割り付けられる役職は、Fショップ用の回覧制御テーブルに割り付けられていない。部門が異なるからである。そこで、Eショップを用いて、他の部門(□□部門)を指定し、指定シートに記載されている役職を直接割り付けられるようにする。
【0034】
ここに、□□部門においても、文書毎に、独自の回覧制御テーブルが作成されている。回覧レールは
図2Aのものを利用してもよいし、□□部門の独自の回覧レールを用いることもできる。□□部門用の回覧制御テーブルにおいて、〇〇部門の役職への文書の回覧が必要なときは、
図2Eと同様に、Eショップを設けて〇〇部門の役職を直接割り付けることとなる。
このように、部門ごとに役職を纏めることにより、回覧制御テーブルのメンテナンスが容易になる。
【0035】
図1に戻って、文書解析部6の動作について説明する。
文書解析部6は、
図3に示す文書特定テーブルを保存している。例えば、係長「ああ」がクライアント1の文書入力部100を用いて所定のフォーマットに従い文書を作成する。この文書のフォーマットには、
図3の項目1~項目8へデータが入力されているものとする。
【0036】
ネットワークNを介して、係長「ああ」の作成文書が文書解析部6へ入力されると、文書解析部6はその文書の各項目を
図3の項目と比較し、対応する文書No.を特定する。
このように特定された文書No.について、
図2Eの回覧制御テーブルが適用されることとなる。
なお、この文書は〇〇部門内のものであるので、
図2Aの回覧レールは同じものが用いられる。
部門が異なれば、異なる回覧レールを採用し得る。
【0037】
図1に戻り、更新部7について説明する。
更新部7は、回覧レール更新部71、回覧制御テーブル更新部73、役職-個人テーブル更新部75を備えている。
回覧レール更新部71は回覧レールを更新する。回覧レールのステーションを増加若しくは削除したり、ステーションに設置するFステーションの種類を変更したりすることもできる。Eステーションを変更する場合は回覧ルート指示表で設定する役職も見直すものとする。
【0038】
回覧制御テーブル更新部73は回覧制御テーブルを更新する。Fショップへ割り付ける役職を変更、削除する。新たに文書が作成されたときは、その文書を回覧すべきルートを検討して、検討したルートに文書が回覧されるように、新たに回覧制御テーブルを構築する(
図2Eでは行を増やすこととなる)。
【0039】
役職-個人テーブル更新部75は役職-個人テーブルを更新する。定期的に役職に任じられる人員は交代されるので、役職人事が執行される毎に、役職-個人テーブルを更新する。
更新の方法は特に制限されるものではないが、キーボード等の汎用的な入力装置(入力部9)を用いることができる。
【0040】
回覧レール指示表保存部8には、例えば、
図4に示す回覧ルート指示表を備える。
回覧ルート指示表の作成、更新は、マニュアルにて、入力部9から行われる。
回覧レール更新部71は、回覧ルート生成部として、
図4の第1列「ステーション番号」と第2列「ショップNo.」とに基づき、回覧レールを新たに作成したり、それを更新したりすることができる。
【0041】
回覧制御テーブル更新部73は、
図4の第3列、4列に基づき、役職を割り付けたり、削除したりすることができる。
図4の例は、
図2Aの回覧レールと、
図2Eにおける文書1に対応する回覧制御テーブルに対応するものである。
このように、回覧レール及び/又は回覧制御テーブルを作成若しくは変更を表形式の入力で行えるようにすることにより、その作業が容易になる。
【0042】
図5に、
図1に示した文書回覧装置1のハード構成を示す。
演算部300はCPU301、ROM303及びRAM305を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、回覧制御部5、文書解析部6、更新部7の演算部分をつかさどる。ROM303は、演算部300を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM305はCPU301に対してワーキングエリアを提供する。演算部300を制御する制御プログラムはROM303に限らずRAM305や第1記憶装置340に格納されていてもよい。ディスプレイ等で構成される出力装置320を介して各種のデータが出力される。更新部7や回覧レール指示表保存部8に対する入力が入力部9を介して実行される。
【0043】
第1記憶装置340はメモリ部3、回覧レール指示表保存部8として機能する。
第1記憶装置340はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
一時的に保存されるデータ用保存部としての、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。ネットワークには通信インターフェース360でつながれる。
コンピュータを構成する各装置はシステムバス370で連結されている。
【0044】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 文書回覧装置
3 メモリ部
5 回覧制御部
7 更新部
8 回覧レール指示表保存部
31 回覧レールメモリ
33 回覧制御テーブルメモリ
35 役職-個人テーブルメモリ