(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122629
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20240902BHJP
【FI】
H01L33/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030287
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 光一
(72)【発明者】
【氏名】今関 佳克
(72)【発明者】
【氏名】上條 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 修一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 義史
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142AA12
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB03
5F142CB14
5F142CB22
5F142CD02
5F142CG01
5F142DB02
5F142DB17
5F142DB24
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】不要な光の反射を抑制するとともに、表示面側への光の取り出し効率を向上させることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、基板に配列された複数の発光素子と、表示面である第1主面と、第1主面と反対側の第2主面とを有し、第2主面が基板と対向して配置され、複数の発光素子と重なる領域で、第1主面と第2主面とを貫通する貫通孔を有するカバー部材と、複数の発光素子を覆うとともに基板とカバー部材との間に設けられた保護膜と、カバー部材の第1主面及び第2主面の少なくとも一方に設けられた遮光層と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に配列された複数の発光素子と、
表示面である第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有し、前記第2主面が前記基板と対向して配置され、複数の前記発光素子と重なる領域で、前記第1主面と前記第2主面とを貫通する貫通孔を有するカバー部材と、
複数の前記発光素子を覆うとともに前記基板と前記カバー部材との間に設けられた保護膜と、
前記カバー部材の前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方に設けられた遮光層と、を有する
表示装置。
【請求項2】
前記カバー部材は複数の前記貫通孔を有し、
前記遮光層は、前記第1主面及び前記第2主面の両方に設けられ、
隣り合う前記貫通孔の間で、前記第2主面の前記遮光層の幅は、前記第1主面の前記遮光層の幅よりも大きい
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記貫通孔の内周面は傾斜して設けられ、
前記貫通孔の前記第2主面側の開口幅は、前記貫通孔の前記第1主面側の開口幅よりも小さい
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記遮光層は、さらに前記貫通孔の内周面に設けられる
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記遮光層は、黒色部材である
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方に設けられた前記遮光層は黒色部材であり、
前記貫通孔の内周面に設けられた前記遮光層は白色部材又は金属膜である
請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記保護膜は、前記カバー部材の前記第2主面に設けられた前記遮光層と直接接する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記貫通孔が設けられた領域で、前記保護膜の表面は、前記基板から前記第1主面側に向かう方向に凸となる湾曲面を有する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記発光素子は、異なる色の光を出射する第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子を含み、
1つの前記貫通孔は、前記第1発光素子、前記第2発光素子及び前記第3発光素子と重なる領域に設けられる
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
複数の前記貫通孔は、複数の前記発光素子のそれぞれと重なる領域に設けられ、
複数の前記貫通孔のそれぞれの内部に設けられ、前記発光素子から出射された光の波長を変換する色変換層を有する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記カバー部材は板状のガラスである
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微小サイズの発光ダイオード(マイクロLED(micro LED))を用いた表示装置では、表示特性を向上させるために偏光板等の光学部材が設けられる。例えば、特許文献1では、発光素子の上方に配置された反射抑制層を備えた表示装置が記載されている。反射抑制層は、化学反応により光透過率が変化すると共に、発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような表示装置では、発光素子からの光以外の不要な光の反射を抑制しつつ、表示面側への光の取り出し効率を向上させることが要求される。
【0005】
本発明は、不要な光の反射を抑制するとともに、表示面側への光の取り出し効率を向上させることが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の表示装置は、基板に配列された複数の発光素子と、表示面である第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有し、前記第2主面が前記基板と対向して配置され、複数の前記発光素子と重なる領域で、前記第1主面と前記第2主面とを貫通する貫通孔を有するカバー部材と、複数の前記発光素子を覆うとともに前記基板と前記カバー部材との間に設けられた保護膜と、前記カバー部材の前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方に設けられた遮光層と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る表示装置の画素を示す平面図である。
【
図3】
図3は、複数の発光素子、カバー部材及び遮光層の配置関係を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、第1変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、第2変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、第3変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第4変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、表示装置1は、基板21と、画素Pixと、走査回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、カソード配線60と、を含む。基板21は、各画素Pixを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。
【0011】
図1に示すように、表示装置1は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixと重なって配置され、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。
【0012】
複数の画素Pixは、基板21の表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。なお、第1方向Dx及び第2方向Dyは、基板21の表面に対して平行な方向である。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、例えば、基板21の法線方向に対応する。なお、以下、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0013】
走査回路12は、駆動IC210から引き出される配線を経由して供給される各種制御信号に基づいて複数の画素Pixが有する駆動回路201(
図2参照)を、行ごとに順次選択する回路である。走査回路12は、各行の駆動回路201を順次又は同時に選択し、選択された駆動回路201に制御信号を供給する。これにより、駆動回路201は、複数の画素Pixの発光素子3を駆動する。
【0014】
駆動IC210は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC210から複数の画素Pixが有する駆動回路201へ向かって複数の配線(図示は省略する)が引き出されている。駆動IC210は、走査回路12により選択された各画素Pixの駆動回路201に制御信号(画素信号)を供給する。駆動回路201は駆動IC210からの制御信号に応じて各発光素子3に駆動信号(電流)を供給し、各発光素子3が発光する。駆動IC210は、基板21の周辺領域GAに実装される。これに限定されず、駆動IC210は、基板21の周辺領域GAに接続されたフレキシブルプリント基板やリジット基板の上に実装されてもよい。
【0015】
カソード配線60は、基板21の周辺領域GAに設けられる。カソード配線60は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの走査回路12を囲んで設けられる。複数の発光素子3のカソードは、共通のカソード配線60に電気的に接続され、固定電位(例えば、グランド電位)が供給される。より具体的には、発光素子3のカソード端子32(
図3参照)は、カソード電極34を介して、カソード配線60に接続される。
【0016】
図2は、実施形態に係る表示装置の画素を示す平面図である。
図2に示すように、1つの画素Pixは、複数の画素SPXと、駆動回路201と、を含む。例えば、画素Pixは、画素SPX-Rと、画素SPX-Gと、画素SPX-Bと、を有する。画素SPX-Rは、第1色としての原色の赤色を表示する。画素SPX-Gは、第2色としての原色の緑色を表示する。画素SPX-Bは、第3色としての原色の青色を表示する。
図2に示すように、1つの画素Pixにおいて、画素SPX-R、画素SPX-G及び画素SPX-Bは第1方向Dxで並ぶ。なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。以下において、画素SPX-Rと、画素SPX-Gと、画素SPX-Bと、をそれぞれ区別する必要がない場合、単に画素SPXという。
【0017】
画素SPXは、それぞれ発光素子3と、カソード電極34と、アノード電極35とを有する。表示装置1は、画素SPX-R、画素SPX-G及び画素SPX-Bにおいて、発光素子3R、3G、3Bごとに異なる光を出射することで画像を表示する。発光素子3は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップであり、マイクロLED(micro LED)と呼ばれる。各画素にマイクロLEDを備える表示装置1は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子3の大きさを限定するものではない。
【0018】
なお、複数の発光素子3は、4色以上の異なる光を出射してもよい。また、複数の画素SPXの配置は、
図2に示す構成に限定されない。例えば、複数の画素SPXのうち1つの画素SPXは他の画素SPXと第2方向Dyに隣り合っていてもよい。また、複数の画素SPXは、三角格子状に配置されていてもよい。
【0019】
駆動回路201は、例えばマイクロICで構成され、画素Pixごとに設けられる。
図2に示す例では、3つの画素SPXに対し1つの駆動回路201が設けられる。駆動回路201は、配線61を介して各画素SPXのアノード電極35(発光素子3のアノード)に接続される。また、駆動回路201は、配線62を介して各画素SPXのカソード電極34(発光素子3のカソード)に接続される。駆動回路201は、上述したように走査回路12からの走査信号と、駆動IC210からの制御信号(画素信号)に基づいて、各発光素子3に所定の電流が流れるように制御し、発光素子3を発光させる。
【0020】
図2では、1つの駆動回路201が3つの発光素子3に接続される構成を示したが、これに限定されず、1つの駆動回路201が1つの発光素子3に接続されてもよいし、あるいは1つの駆動回路201が4つ以上の発光素子3に接続されてもよい。
【0021】
次に、表示装置1の詳細な構成について説明する。
図3は、複数の発光素子、カバー部材及び遮光層の配置関係を模式的に示す平面図である。
図4は、
図3のIV-IV’断面図である。なお、
図3では、図面を見やすくするために、カバー部材50の第1主面S1側に設けられた遮光層51、及び、第2主面S2側に設けられた遮光層52にそれぞれ異なるハッチングを付して示している。
【0022】
本明細書において、基板21の表面に垂直な方向において、基板21からカバー部材50に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、カバー部材50から基板21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。
【0023】
図3及び
図4に示すように、発光素子3は、基板21の上に配列される。基板21は絶縁基板であり、例えば、ガラス基板、樹脂基板等が用いられる。基板21の上にカソード電極34、アノード電極35及び配線61、62等の各種配線が設けられる。カソード電極34及びアノード電極35は、基板21の同一面上に設けられ、互いに離隔して配置される。また、カソード電極34及びアノード電極35は、画素SPX(発光素子3)ごとに設けられる。
【0024】
発光素子3のカソード端子32及びアノード端子33は、発光素子3の同一面側に設けられ、基板21の上面と対向する面に設けられる。発光素子3のカソード端子32は、カソード電極34と電気的に接続される。発光素子3のアノード端子33は、アノード電極35と電気的に接続される。
【0025】
複数の発光素子3は、どのような構成であってもよいが、n型半導体層、活性層、p型半導体層の順に積層された構成を採用することができる。半導体層は、例えば、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウム燐(AlInP)、窒化インジウムガリウム(InGaN)等の化合物半導体が用いられる。半導体層は、発光素子3R、3G、3Bごとに異なる材料が用いられてもよい。また、活性層として、高効率化のために数原子層からなる井戸層と障壁層とを周期的に積層させた多重量子井戸構造(MQW構造)が採用されてもよい。
【0026】
図4に示すように、表示装置1は、保護膜22及びカバー部材50を有する。保護膜22は、複数の発光素子3を覆って基板21上に設けられ、基板21とカバー部材50との間に設けられる。また、保護膜22は、カソード電極34、アノード電極35及び配線61、62等の各種配線を覆う。保護膜22は、有機絶縁膜で形成され、例えば感光性アクリル等の有機材料が用いられる。感光性アクリル等の有機材料は、CVD等により形成される無機絶縁材料に比べ、複数の発光素子3及び各種配線で形成される段差のカバレッジ性や、表面の平坦性に優れる。
【0027】
カバー部材50は、基板21と同様に板状であり、基板21と対向して配置される。より詳細には、カバー部材50は、表示面である第1主面S1と、第1主面S1と反対側の第2主面S2と、を有する。カバー部材50の第2主面S2が、保護膜22を間に挟んで基板21と対向して配置される。カバー部材50は、例えば、透光性を有するガラス基板、樹脂基板等を基体として構成される。
【0028】
カバー部材50の、複数の発光素子3と重なる領域に、第1主面S1と第2主面S2とを貫通する貫通孔THが設けられる。貫通孔THの内周面S3は傾斜しており、テーパー状に形成される。すなわち、貫通孔THの第2主面S2側の開口幅は、第1主面S1側の開口幅よりも小さい。
【0029】
複数の発光素子3からの光Lは、貫通孔THを通って観察者側に出射される。すなわち、複数の発光素子3の上には、カバー部材50を構成するガラス等が設けられず、かつ、配線61、62等での光の反射を抑制するための光学機能層(例えば偏光板等)も設けられていない。このため、カバー部材50に貫通孔THが設けられず、カバー部材50や光学機能層が複数の発光素子3を覆って設けられる構成に比べて、本実施形態の表示装置1は、光Lの取り出し効率を向上させることができる。
【0030】
図3及び
図4に示すように、貫通孔THは、画素Pixごとに複数設けられる。言い換えると、発光素子3は、異なる色の光を出射する発光素子3R(第1発光素子)、発光素子3G(第2発光素子)及び発光素子3B(第3発光素子)を含み、1つの貫通孔THは、3つの発光素子3R、3G、3Bと重なる領域に設けられる。あるいは、
図3に示すように、平面視で、3つの画素SPX-R、SPX-G、SPX-B(発光素子3R、3G、3B)は、貫通孔THの内周面S3に囲まれた領域に配置される。
【0031】
これによれば、画素SPXごとに貫通孔THが設けられた場合に比べて、カバー部材50と複数の発光素子3との位置合わせが容易である。言い換えると、カバー部材50と複数の発光素子3との位置ずれが生じた場合であっても、光Lの取り出し効率の低下を抑制することができる。また、画素SPXごとに貫通孔THが設けられた場合に比べて、カバー部材50の貫通孔THの加工が容易であり、カバー部材50が厚い場合であっても精度よく貫通孔THを形成することができる。
【0032】
図3及び
図4に示すように、遮光層51は、カバー部材50の第1主面S1に設けられる。遮光層52は、カバー部材50の第2主面S2に設けられる。より詳細には、遮光層51は、貫通孔THの第1主面S1側の開口部分を除いて、カバー部材50の第1主面S1を覆って連続して形成される。同様に、遮光層52は、貫通孔THの第2主面S2側の開口部分を除いて、カバー部材50の第2主面S2を覆って連続して形成される。
【0033】
上述したように貫通孔THはテーパー状に形成されており、隣り合う貫通孔THの間(すなわち隣り合う画素Pixの間)で、第2主面S2の遮光層52の幅W2は、第1主面S1の遮光層51の幅W1よりも大きい。なお、本実施形態では、貫通孔THの内周面S3には遮光層が設けられていない。
図3に示すように、平面視で、内周面S3と重なる領域には、第2主面S2の遮光層52の一部が枠状に配置される。
【0034】
遮光層51、52は、カバー部材50を構成するガラス基板や樹脂基板よりも光の吸収率が大きい材料で構成される。遮光層51、52は、黒色部材であり、例えば、黒色に着色された樹脂材料が用いられる。遮光層51、52は、第1主面S1及び第2主面S2のそれぞれに塗布形成される。これに限定されず、遮光層51、52は、カーボン又は薄膜干渉により黒色を呈する金属酸化物、炭化物、金属炭化物等の材料を用いることもできる。
【0035】
このように、遮光層51、52は、発光素子3と重なる領域には設けられず、配線61、62等の各種配線及び駆動回路201(
図2参照)と重なって設けられる。これにより、外光は遮光層51、52により遮光され、配線61、62等の各種配線での不要な反射光を抑制することができる。したがって、表示装置1は、表示特性を向上させることができる。
【0036】
遮光層51、52は、カバー部材50の第1主面S1及び第2主面S2のそれぞれに設けられる。これにより、効果的に配線61、62等の各種配線での不要な反射光を抑制することができる。また、発光素子3により近い第2主面S2に遮光層52が設けられている。これにより、遮光層52は、発光素子3から隣接する画素Pixに向かって斜め方向に進行する光Lを遮光することができ、画素Pix間の光Lの混色を抑制することができる。
【0037】
ただし、これに限定されず、遮光層51、52は、カバー部材50の第1主面S1及び第2主面S2の少なくとも一方に設けられていればよい。また、遮光層51、52がカバー部材50の第1主面S1及び第2主面S2に設けられており、カバー部材50は、光の反射を抑制する反射抑制層を兼ねる。これにより、遮光層51、52を、カバー部材50と基板21との間に別体の光学部材として設けた場合に比べて、表示装置1の積層数を少なくすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、保護膜22は複数の発光素子3を保護するとともに、基板21とカバー部材50との接着層を兼ねる。
図4に示すように、カバー部材50の第2主面S2(より詳細には第2主面S2に設けられた遮光層52)は、保護膜22に直接接して基板21と対向する。カバー部材50の第2主面S2側の一部は保護膜22に埋め込まれており、貫通孔THの内周面S3の、第2主面S2側の開口端50aは、保護膜22に覆われている。
【0039】
貫通孔THは、カバー部材50と保護膜22との間の空気を外部に逃がす通気孔としての機能も有する。すなわち、カバー部材50に貫通孔THが設けられているので、カバー部材50と基板21とを貼り合わせる工程で、カバー部材50と保護膜22との間の空気を貫通孔THから外部に逃がすことができる。したがって、表示装置1は、カバー部材50と保護膜22との間の気泡の発生を抑制して、カバー部材50と基板21とを良好に貼り合わせることができる。
【0040】
また、保護膜22がカバー部材50の接着層を兼ねているので、第3方向Dzでのカバー部材50(遮光層51、52)と発光素子3との距離を小さくすることができる。したがって遮光層51、52は、画素Pix間の隔壁としての機能も有し、画素Pix間の混色を良好に抑制することができる。
【0041】
なお、
図3及び
図4は、理解を容易にするために、あくまで模式的に示している。例えば、貫通孔THの内周面S3の傾斜角度は強調して示しており、実際には垂直に近い傾斜角度であってもよい。また、平面視で貫通孔THは矩形状に示しているが、これに限定されず、円形状、長円状、楕円形状等、他の形状であってもよい。
【0042】
また、画素Pixが、駆動回路201としてマイクロICを備える構成を示したが、これに限定されない。例えば、駆動回路201に換えて、複数の薄膜トランジスタを含む画素回路が画素SPXのそれぞれに対応して設けられていてもよい。
【0043】
(第1変形例)
図5は、第1変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、第1変形例に係る表示装置1Aにおいて、保護膜22の一部は、カバー部材50の貫通孔TH内に配置される。貫通孔THが設けられた領域で、保護膜22の表面22aは、基板21から第1主面S1側に向かう方向に凸となる湾曲面を有する。凸状の保護膜22は、カバー部材50と基板21とを貼り合わせる際に、保護膜22の一部が貫通孔TH内に押し出され、表面張力により盛り上がることで形成される。
【0044】
貫通孔TH内の保護膜22は凸レンズの効果を有する。これにより、発光素子3から出射された光Lは、凸状の保護膜22を通って第3方向Dzに集光され、発光素子3から斜め方向に出射された光Lも第3方向Dz側に向けられる。したがって、表示装置1Aは、表示面側(第3方向Dz)での輝度を向上させることができる。
【0045】
(第2変形例)
図6は、第2変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、第2変形例に係る表示装置1Bは、発光素子3から出射された光Lの波長を変換する色変換層23を有する。より詳細には、複数の貫通孔THは、複数の画素SPX-R、SPX-G、SPX-Bごとに設けられる。すなわち、複数の貫通孔THは、複数の発光素子3のそれぞれと重なる領域に設けられる。また、本実施形態では、各画素SPXはそれぞれ同色の光Lを出射する発光素子3(例えば発光素子3B)を備える。
【0046】
色変換層23R、23G、23Bは、複数の貫通孔THのそれぞれの内部に設けられ、複数の画素SPX-R、SPX-G、SPX-Bのそれぞれに対応して設けられる。色変換層23R、23G、23Bは、例えば蛍光体を用いることができる。色変換層23Rは、画素SPX-Rの発光素子3Bから出射された光Lを吸収し、波長変換された赤色の光を出射する。色変換層23Gは、画素SPX-Gの発光素子3Bから出射された光Lを吸収し、波長変換された緑色の光を出射する。色変換層23Bは、画素SPX-Bの発光素子3Bから出射された光Lを吸収し、波長変換された青色の光を出射する。
【0047】
第2変形例では、カバー部材50の貫通孔THを利用して色変換層23R、23G、23Bを設けることができるので、色変換層23R、23G、23Bのパターニングを行う必要がなく、容易に画素SPXごとに色変換層23R、23G、23Bを配置することができる。また、貫通孔TH内に色変換層23R、23G、23Bが設けられるので、カバー部材50とは別層に色変換層23R、23G、23Bが設けられる場合に比べて、表示装置1Bの積層数を少なくすることができる。
【0048】
なお、貫通孔TH内に設けられる色変換層23は、蛍光体に限定されず、カラーフィルタ等、他の光学機能層であってもよい。また、色変換層23に換えて他の光学機能層が、貫通孔THの内部に設けられていてもよい。
【0049】
(第3変形例)
図7は、第3変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。上述した実施形態及び各変形例では、カバー部材50の第1主面S1及び第2主面S2にそれぞれ遮光層51、52が設けられる構成を示したが、これに限定されない。
図7に示すように、第3変形例に係る表示装置1Cは、さらに貫通孔THの内周面S3に設けられる遮光層53を有する。遮光層53は、遮光層51、52と同じ黒色部材であり、例えば、黒色に着色された樹脂材料が用いられる。なお、図示は省略するが、内周面S3に設けられた遮光層53は、平面視で画素Pixが有する複数の発光素子3を囲んで設けられる。
【0050】
このような構成により、第3変形例の表示装置1Cは、より効果的に外光を遮光することができ、配線61、62等の各種配線での不要な反射光を抑制することができる。また、遮光層53は、発光素子3から斜め方向に進行する光Lを遮光することができ、画素Pix間の混色を抑制することができる。
【0051】
(第4変形例)
図8は、第4変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、第4変形例に係る表示装置1Dは、貫通孔THの内周面S3に設けられる遮光層53aを有する。遮光層53aは、遮光層51、52と異なる白色部材であり、例えば、白色に着色された樹脂材料が用いられる。また、第1主面S1及び第2主面S2に設けられた遮光層51、52は上述した例と同様に黒色部材である。
【0052】
第4変形例では、画素Pixの外周に白色の遮光層53aが設けられており、遮光層53aと重なる領域に遮光層52の一部が配置される。これにより、外光の不要な反射を抑制しつつ、画素Pixの見かけの開口率を大きくすることができる。また、白色の遮光層53aは発光素子3から斜め方向に進行する光Lを表示面側へと反射させることもでき、その場合正面輝度を向上させることもできる。また、正面輝度を高めるため、内周面S3に形成する遮光層53aはアルミニウムや銀などの金属膜であってもよい。
【0053】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1、1A、1B、1C、1D 表示装置
3、3R、3G、3B 発光素子
12 走査回路
21 基板
22 保護膜
23、23R、23G、23B 色変換層
32 カソード端子
33 アノード端子
34 カソード電極
35 アノード電極
50 カバー部材
51、52、53、53a 遮光層
AA 表示領域
GA 周辺領域
Pix、SPX、SPX-R、SPX-G、SPX-B 画素
S1 第1主面
S2 第2主面
S3 内周面
TH 貫通孔
W1、W2 幅
201 駆動回路