(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012263
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】冷却要素及び冷却要素を製造する方法
(51)【国際特許分類】
F28F 3/00 20060101AFI20240123BHJP
F28F 9/04 20060101ALI20240123BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20240123BHJP
F28F 21/06 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
F28F3/00 301Z
F28F9/04
F28F21/08
F28F21/08 A
F28F21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023112153
(22)【出願日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】10 2022 117 863.3
(32)【優先日】2022-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2023 115 116.9
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520335691
【氏名又は名称】エルヴィン・クヴァルダー・ジステームテヒニク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ハイトブリンク
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・ジーヴェルト
(57)【要約】
【課題】冷却要素を改良する。
【解決手段】冷却ボディ11と接続部分12とを備える、冷却要素において、接続部分は、プラスチック製であり、好適にはプラスチック射出成形部品として構成されていて、冷却ボディの、特に端に位置する第1の接続領域が、それぞれ特に物理的及び/又は化学的なナノ構造化又はマイクロ構造化の方法によって加工される三次元のナノ構造及び/又はマイクロ構造を具備する複数の接続面を有し、接続部分と冷却ボディとを接続するために、冷却ボディの第1の接続領域は、接続部分の収容部の収容空間内に挿入されていて、そこで、冷却ボディ(11)の各接続面が収容部の、対応付けられた接続面にそれぞれ対向し、収容部の接続面に加圧されることによって、収容部に流体連通されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製又は合金製、特にアルミニウム製の特に長細い、好ましくは被覆された冷却ボディ(11)であって、冷却ボディ(11)によって、対象物を冷却でき、冷却ボディ(11)は、好ましくは平行の、特に細長い及び/又は直線状の、冷却媒体の通流のための1つ又は複数の媒体チャネルを有する、冷却ボディ(11)と、
冷却ボディ(11)に流体密に接続された接続部分(12)であって、接続部分(12)を介して、冷却ボディ(11)に冷却媒体が供給可能である、及び/又は接続部分(12)を介して、冷却ボディ(11)から冷却媒体が排出可能である、接続部分(12)と、を備える、冷却要素において、
接続部分(12)は、プラスチック製であり、好適にはプラスチック射出成形部品として構成されていて、
冷却ボディ(11)の、特に端に位置する第1の接続領域が、それぞれ特に物理的及び/又は化学的なナノ構造化又はマイクロ構造化の方法によって加工される三次元のナノ構造及び/又はマイクロ構造を具備する複数の接続面を有し、接続部分(12)と冷却ボディ(11)とを接続するために、冷却ボディ(11)の第1の接続領域は、接続部分(12)の収容部の収容空間内に挿入されていて、そこで、冷却ボディ(11)の各接続面が収容部の、対応付けられた接続面にそれぞれ対向し、収容部の接続面に加圧されることによって、収容部に流体連通されている
ことを特徴とする、冷却要素。
【請求項2】
冷却ボディ(11)は、外壁部を形成する複数の成形体壁部を有する、好ましくは細長い、特に押出成形された、好適には直方体状の、好ましくは一体的な成形体、特にポケット成形体であって、好ましくは、特に平坦な、カーブした又は波形の第1の大面積の壁部と、第1の大面積の壁部から間隔を置いた、第1の大面積の壁部に対して特に平行に延在する、特に平坦な、カーブした又は波形の第2の大面積の壁部と、相互に間隔を置いた、第1の大面積の壁部と第2の大面積の壁部とをそれぞれ相互に接続する、特に平坦な、カーブした又は波形の2つの狭い側壁部とを有することを特徴とする、請求項1に記載の冷却要素。
【請求項3】
接続面は、成形体壁部の外側の(端に位置する)領域によって形成されている及び/又はそのような領域に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の冷却要素。
【請求項4】
収容部は、収容空間を画定する収容壁部を有し、収容壁部の内側に収容部の接続面が配置されている及び/又は収容壁部の内側が接続面を形成することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つ又は複数の項に記載の冷却要素。
【請求項5】
接続部分(12)は、流入開口を具備する流入チャンバを有し、流入チャンバには、第1の媒体チャネル群の媒体チャネルの開口又は開いた側面、特に開いた短辺側面が配置されていて、開口又は開いた側面を介して、第1の媒体チャネル群の媒体チャネルに冷却媒体が供給可能であり、冷却媒体は、流入開口と流入チャンバとを介して冷却要素に供給可能である、及び/又は
接続部分(12)は、特に流入チャンバから分離された、流出開口を具備する流出チャンバを有し、流出チャンバには、第2の媒体チャネル群の媒体チャネルの開口又は開いた側面、特に開いた短辺側面が配置されていて、開口又は開いた側面を介して、冷却媒体が、第2の媒体チャネル群から排出チャンバに流れることができ、冷却媒体は、次いで流出開口を介して冷却要素から排出可能である
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つ又は複数の項に記載の冷却要素。
【請求項6】
第1の接続領域、ひいては接続部分(12)は、冷却ボディ(11)の一方の端部に配置されていて、他方の端部に又は他方の第2の端部には、複数の接続面を有する冷却ボディ(11)の第2の接続領域が配置されていて、第2の接続領域は、特に物理的及び/又は化学的なナノ構造化又はマイクロ構造化の方法によってそれぞれ加工された三次元のナノ構造及び/又はマイクロ構造を有し、第2の接続領域は、プラスチック製の方向転換キャップ(13)の収容部の収容空間又はプラスチック製の別の接続部分の収容部の収容空間に挿入されていて、別の接続部分を介して冷却ボディ(11)に冷却媒体が供給可能である及び/又は別の接続部分を介して冷却ボディ(11)から冷却媒体が排出可能であり、そこでは、冷却ボディ(11)の各接続面が、収容部の、対応付けられた接続面にそれぞれ対向し、収容部の接続面に加圧されていることによって、方向転換キャップ(13)の収容部又は別の接続部分の収容部に流体連通されていてことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つ又は複数の項に記載の冷却要素。
【請求項7】
第1の媒体チャネル群及び第2の媒体チャネル群は、冷却ボディ(11)の他方の端部の領域にも開いた側面又は開口を有し、開いた側面又は開口は、方向転換キャップ(13)の方向転換空間内に配置されていて、方向転換キャップ(13)は、第1の媒体チャネル群の媒体チャネルの、他方の端部の領域に配置された開いた側面又は開口から方向転換空間内に流れる又は流れることができる冷却媒体は、方向転換空間内で、第2の媒体チャネル群の媒体チャネルの開いた側面又は開口へ向けて方向転換され、開いた側面又は開口に進入できることを特徴とする、請求項6に記載の冷却要素。
【請求項8】
流入チャンバ内の冷却媒体の主流れ方向は、媒体チャネルに対して角度をなして、好ましくは横方向に延在し、流入チャンバ内に、特に流入開口から媒体チャネルへ向かう冷却剤の流れを最適化するために、特に一体的に接続部分(12)に、特に接続部分(12)の収容部に接続された、少なくとも部分的に、特に流入開口の方向に湾曲した、主流れ方向に対して角度をなして延在する流体ガイド壁部が突出する、及び/又は
流出チャンバ内の冷却媒体の主流れ方向は、媒体チャネルに対して(場合によってはそれぞれ)角度をなして、好ましくは横方向に延在し、流出チャンバ内に、特に媒体チャネルから流出開口へ向かう冷却剤の流れを最適化するために、特に一体的に接続部分(12)に、特に接続部分(12)の収容部に接続された、少なくとも部分的に、特に流出開口の方向に湾曲した、主流れ方向に対して角度をなして延在する流体ガイド壁部が突出する
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つ又は複数の項に記載の、少なくとも請求項5に記載の冷却要素。
【請求項9】
流入開口は、流入チャンバの一方の端部に位置し、他方の端部には、接続開口が位置し、接続開口には、同一の別の冷却要素の接続部分(12)が、特に別の冷却要素の流入開口と接続開口とを接続するために接続可能である、及び/又は
流出開口は、流出チャンバの一方の端部に位置し、他方の端部には、接続開口が位置し、接続開口には、同一の別の冷却要素の接続部分(12)が、特に別の冷却要素の流出開口と接続開口とを接続するために接続可能である
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つ又は複数の項に記載の、少なくとも請求項5に記載の冷却要素。
【請求項10】
流入開口及び/又は接続開口は、流入チャンバ内の主流れ方向に対して横向き又は流入チャンバの主延伸方向に対して横向きの一平面内に延在する、及び/又は
流出開口及び/又は接続開口は、流出チャンバ内の主流れ方向に対して横向き又は流出チャンバの主延伸方向に対して横向きの一平面内に延在する
ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一つ又は複数の項に記載の、少なくとも請求項5に記載の冷却要素。
【請求項11】
冷却要素は、冷却要素と同一の別の冷却要素とを着脱自在に接続するために、接続手段、特に係止手段を有し、これにより、特に、接続後、流入チャンバの接続開口は、別の冷却要素の流入チャンバの流入開口と、これらの開口の間で流体連通しながら整合する、及び/又は接続後、流出チャンバの接続開口は、別の冷却要素の流出チャンバの流出開口と、これらの開口の間で流体連通しながら整合することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一つ又は複数の項に記載の冷却要素。
【請求項12】
(細長い)各媒体チャネルは、(全ての)長辺側面で、媒体チャネル壁部によって、特にそれぞれ間隔を置いて対向する二対の媒体チャネル壁部によって画定されていて、一対の媒体チャネル壁部は、それぞれ冷却要素の第1の大面積の壁部又は第2の大面積の壁部によって形成される、及び/又は短辺側面で開いていて、好ましくは、開いた短辺側面は、流出チャンバ又は流入チャンバ又は方向転換空間内に配置された開いた側面を形成することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つ又は複数の項に記載の冷却要素。
【請求項13】
別の接続部分は、第1の接続部分の1つ、複数又は全ての特徴を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一つ又は複数の項に記載の、少なくとも請求項6に記載の冷却要素。
【請求項14】
冷却要素、特に請求項1から13のいずれか一つ又は複数の項に記載の冷却要素を製造する方法であって、
冷却要素は、金属製又は合金製、特にアルミニウム製の冷却ボディ(11)を有し、冷却ボディ(11)によって、対象物を冷却でき、冷却ボディ(11)は、冷却媒体の通流のための1つ又は複数の、好ましくは平行の媒体チャネルと、冷却ボディ(11)に流体密に接続された接続部分(12)とを有し、接続部分(12)を介して冷却ボディ(11)に冷却媒体が供給可能であり、及び/又は接続部分(12)を介して冷却ボディ(11)から冷却媒体を排出可能であり、以下の
a)前製作された、特に押出成形によって製造された、特に一体的に製作された冷却ボディ(11)の、特に端に位置する接続領域を、冷却ボディ(11)に対する、前製作された、特にプラスチック射出成形により製作された接続部分(12)の収容部の収容空間内に、冷却ボディ(11)と接続部分(12)との間の相対移動によって挿入し、これにより、それぞれ特に物理的及び/又は化学的なナノ構造化又はマイクロ構造化の方法によって加工された三次元のナノ構造及び/又はマイクロ構造を有する、冷却ボディ(11)の接続領域の、それぞれ特に平行に対向する複数の接続面のそれぞれが、接続部分(12)の収容部の、特に収容部の壁部の内側に配置された、対応付けられた接続面にそれぞれ対向する、ステップ
b)特に冷却ボディ(11)の接続領域を収容部の収容空間内に挿入する前に、及び/又は接続領域が収容空間内に位置する間に、特に誘導を用いて、接続部分(12)のプラスチックの少なくとも軟化温度及び/又は溶融温度に相応する温度へ冷却ボディ(11)の接続面を加温する、ステップ
c)冷却ボディ(11)の加温された全ての接続面と接続部分(12)のそれぞれ対向する接続面とを、冷却ボディ(11)の接続面を加温することによって接続部分(12)の接続面を溶融しながら、これらの対向する接続面を加圧することによって、流体連通する、ステップ
を有する、方法。
【請求項15】
それぞれ1つのプレス機構が、接続部分(12)のそれぞれの接続面を、冷却ボディ(11)の、接続部分(12)の接続面にそれぞれ対向する接続面に押圧することによって、冷却ボディ(11)の全ての接続面、又は冷却ボディ(11)の、特に相互に間隔を置いて対向する一対の接続面だけが、接続部分(12)のそれぞれ対向する接続面に加圧されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
冷却ボディ(11)の対向する接続面同士の間隔が、接続部分(12)の対向する接続面同士の間隔に合わせて調整されている又は調整されることによって、冷却ボディ(11)の全ての接続面又は冷却ボディ(11)の特に対向する一対の接続面だけが、接続部分(12)のそれぞれ対向する接続面に加圧され、その結果、冷却ボディ(11)の接続面の加温によって、冷却ボディ(11)の接続領域が接続部分(12)の収容空間内に挿入された状態で、冷却ボディ材料の熱膨張に基づいてプレス嵌めが生じ、その経過において、冷却ボディ(11)のそれぞれの接続面は、接続部分(12)のそれぞれ対向する接続面に押圧されることを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
冷却ボディ(11)は、第1の大面積の壁部と、第1の大面積の壁部から間隔を置いた、第1の大面積の壁部に対して特に平行に延在する第2の大面積の壁部と、第1の大面積の壁部と第2の大面積の壁部とをそれぞれ相互に接続する、相互間隔を置いた2つの狭い側壁部とを有する成形体であり、冷却ボディ(11)の接続面は、成形体壁部の外側の(端に位置する)領域であることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
それぞれのプレス機構によって、第1の大面積の壁部又は第2の大面積の壁部にそれぞれ対向する、接続部分(12)の接続面は、冷却ボディ(11)の、それぞれ対向する接続面に押圧される、及び/又は
冷却ボディ(11)の狭い側壁の接続面にそれぞれ対向する、接続部分(12)の接続面は、プレス嵌めによって、冷却ボディ(11)のそれぞれの接続面に接続されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
冷却ボディ(11)の全ての壁部の接続面が、接続部分(12)のそれぞれ対向する接続面に、接続部分(12)の接続面をそれぞれの壁部に押圧するそれぞれのプレス機構によって接続されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
冷却ボディ(11)のそれぞれ対向する接続面に対する、接続部分(12)のそれぞれの接続面の押圧は、それぞれのプレス機構によって、それぞれの接続面が配置された、収容部の壁部に、特に壁部の外側に圧力を及ぼすことによって行われることを特徴とする、請求項14から19のいずれか一つ又は複数の項に記載の方法。
【請求項21】
冷却要素が、請求項1~13の特徴のうちの1つ又は複数を有することを特徴とする、請求項14から20のいずれか一つ又は複数の項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製又は合金製、特にアルミニウム製の特に長細い、好ましくは被覆された冷却ボディであって、冷却ボディによって、対象物を冷却でき、冷却ボディは、好ましくは平行の、特に細長い及び/又は直線状の、冷却媒体の通流のための1つ又は複数の媒体チャネルを有する、冷却ボディと、冷却ボディに流体密に接続された接続部分であって、接続部分を介して、冷却ボディに冷却媒体が供給可能である、及び/又は接続部分を介して、冷却ボディから冷却媒体が排出可能である、接続部分とを備える、冷却要素に関する。本発明は、さらに、そのような冷却要素を製造する方法に関する。
【0002】
冷却されるべき対象物から熱を放出するための冷却要素は、熱交換器とも称され、多くの技術分野において使用される。そのような冷却要素は、とりわけ電気自動車用の電池システム又は蓄電池システムやパワーエレクトロニクス、バスバー又はプロセッサチップの冷却に際して特に重要である。この場合、冒頭で述べた冷却要素は、通常、例えば水又はその類似物などの冷却媒体が連続的に冷却要素を通ってガイドされるように配慮された上位の冷却装置の構成である。
【0003】
冷却ボディは、動作中、通常、冷却されるべき対象物に当接するが、少なくとも対象物の直ぐ近くに配置されている。冷却ボディは、金属製又は合金(例えば鋼)製の個々の要素を、手間をかけて互いに溶接又はろう接することによって製造されることが多い。この場合、冷却媒体を供給及び/又は排出するための、冷却ボディに接続された接続部分は、冷却ボディと同一の金属又は同一の合金からなり、冷却ボディに同様に手間をかけて溶接又はろう接されている。しかし、そのような接続部分品は、通常、冷却される対象物から冷却要素への直接の熱伝導を意図していないので、実際には、高い熱伝導性を有する金属材料から接続部分品を製造する必要もない。機能的には、これは実際には非生産的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた冷却要素を改良すること及びそのように改良された冷却要素を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する冷却要素と、請求項14に記載の特徴を有する製造方法とによって解決される。
【0006】
したがって、本発明に係る冷却要素は、接続部分が、プラスチック製であり(好適にはプラスチック射出成形部品として構成されていて)、接続部分と好ましくはアルミニウムから製造された又はアルミニウムからなる冷却ボディとを接続するために、冷却ボディの、特に端に位置する第1の接続領域が、接続部分の収容部の収容空間内に挿入されていて、そこで収容部に液密に接続されていて、冷却ボディの第1の接続領域は、それぞれ特に物理的及び/又は化学的なナノ構造化又はマイクロ構造化の方法によって加工される三次元のナノ構造及び/又はマイクロ構造を具備する複数の接続面を有することを特徴とする。この場合、冷却ボディの接続領域は、冷却ボディの各接続面がそれぞれ収容部の、対応付けられた接続面に対向し、接続面に(熱的なダイレクト接合を行いつつ)加圧されることによって、収容部に流体密に接続されている。
【0007】
冒頭で述べた、そのような冷却要素を製造する方法は、本発明によれば、以下の
a)前製作された、特に押出成形によって製造された、特に一体的に製作された又は一体的に形成された冷却ボディの、特に端に位置する接続領域を、冷却ボディに対する、前製作された、特にプラスチック射出成形により製作された接続部分の収容部の収容空間内に、冷却ボディと接続部分との間の相対移動によって挿入し、これにより、それぞれ特に物理的及び/又は化学的なナノ構造化又はマイクロ構造化の方法によって加工された三次元のナノ構造及び/又はマイクロ構造を有する、冷却ボディの接続領域の、それぞれ特に平行に対向する複数の接続面のそれぞれが、接続部分の収容部の、特に収容部の壁部の内側に配置された、対応付けられた接続面にそれぞれ対向する、
b)特に冷却ボディの接続領域を収容部の収容空間内に挿入する前に、及び/又は接続領域が収容空間内に位置する間に、特に誘導を用いて、接続部分のプラスチックの少なくとも溶融温度に相応する温度へ冷却ボディの接続面を加温する、
c)冷却ボディの特に加温された接続面と接続部分のそれぞれ対向する接続面とを、冷却ボディの接続面を加温することによって接続部分の接続面を溶融しながら、これらの対向する接続面を加圧することによって、流体連通する
手段を有する。
【0008】
プラスチック製の接続部分の本発明に係る使用は、一方では、金属又は合金製の接続部分の使用よりも大幅に低コストであり、他方では、プラスチックの比較的低い熱伝導率は、上記関連において、機能的に、例えば接続部分の領域における冷却媒体への所望されない熱伝導を防止するために有利であり得る。
【0009】
プラスチック部分は、本発明によれば、冷却ボディ又は冷却ボディの接続領域のための収容空間を含む収容部を有するので、ナノ構造及びマイクロ構造を用いながら、熱的なダイレクト接合によって、有利には特に位置正確な製造プロセスの範囲内で、金属製の冷却ボディ(「金属製」とは本願の範囲内では分かりやすくするために金属と合金との両方が含まれる)とプラスチック製の接続部分との間の安定した流体密な接続が確立され得る。
【0010】
有利には、冷却ボディは、細長い、特に押出成形された、好適には直方体状の、好ましくは一体的な又は一体的に製造された、外側又は外側の外壁部を形成する複数の成形体壁部を有する成形体であってよい。この場合、成形体は、いわゆるポケット成形体であってよい。
【0011】
外側の冷却ボディ壁部に関して述べると、大面積の第1の壁部及び第1の壁部から間隔を置いた、第1の大面積の壁部に対して特に平行に延在する大面積の第2の壁部が設けられてよい。さらに、第1の大面積の壁部と第2の大面積の壁部とをそれぞれ互いに接続する、相互に間隔を置いた2つの狭い側壁部が設けられてよい。
【0012】
1つ、複数又は全ての冷却ボディ外壁部は、平坦に(又は湾曲せず)、カーブして(又は湾曲して)又は波形に形成されてよい。
【0013】
この場合、そのような湾曲した又は波形の1つ又は複数の冷却ボディ外壁部の使用は、例えば同様に湾曲した外壁部を有する、冷却されるべき対象物への当接、例えばいわゆる電池又は蓄電池の丸いセルへの当接を改善する又ははじめて可能にすることができる。
【0014】
金属製の冷却ボディ、特に冷却ボディの1つ、複数又はそれぞれの冷却ボディ外壁部は、さらに全体的又は部分的に、1つ、複数又は全ての外側で、特に(場合によってはそれぞれ)電気的な絶縁層で被覆されてもよい。このことは、冷却ボディが、電気的に絶縁されていない、冷却されるべき対象物に当接されるときに例えば短絡を防止するためのものである。この電気的な絶縁層又はそれぞれの電気的な絶縁層は、例えば(適切な)塗料層、箔層、パウダーコーティング層などであってよい。
【0015】
冷却ボディの接続面に関して述べると、接続面は、この場合、成形体壁部の外側の(端に位置する)領域を形成してよい又はこの外側の(端に位置する)領域に配置されてよい。
【0016】
他に、合目的には、接続部分の収容部は、収容空間を画定する収容壁部を有し、収容壁部の内側に収容部の接続面又は収容部が配置されている、又は収容部の内側が収容部の接続面を形成する。
【0017】
本発明の別の構成では、接続部分は、冷却要素へ冷却媒体を供給するための流入開口を具備する流入チャンバを有してよい。
【0018】
有利には、流入チャンバに、第1の媒体チャネル群の媒体チャネルの開口又は開いた端部又は開いた側面(特に開いた短辺側面)が通じる又は配置されていて、開口、開いた端部又は開いた側面を介して、第1の媒体チャネル群に、冷却媒体が供給可能であり、冷却媒体は、流入開口と流入チャンバとを介して冷却要素に供給可能であることがさらに想定され得る。
【0019】
本発明のさらなる構成では、接続部分は、特に流入チャンバから分離された、冷却媒体を冷却要素から排出するための流出開口を具備する流出チャンバをさらに有してよい。
【0020】
この場合、流出チャンバには、(別の)第2の媒体チャネル群の開口、開いた端部又は側面が通じる又は配置されていて、開口、開いた端部又は側面を介して、冷却媒体が、特に第1の群から分離された第2の媒体チャネル群の媒体チャネルから排出チャンバに流れることができ、冷却媒体は、そこから流出開口を介して冷却要素から排出可能であることが想定され得る。
【0021】
さらに、第1の接続領域が、冷却ボディの1つの端部に配置されていて、冷却ボディの1つの又は第2の別の端部に、複数の接続面を有する冷却ボディの第2の接続領域が配置されていて、特に物理的及び/又は化学的なナノ構造化又はマイクロ構造化の方法によってそれぞれ加工された三次元のナノ構造及び/又はマイクロ構造を有し、第2の接続領域は、方向転換キャップの収容部の収容空間に挿入されていて又はプラスチック製の別の接続部分の収容部の収容空間に挿入されていて、別の接続部分を介して冷却ボディに冷却媒体が供給可能であり及び/又は別の接続部分を介して冷却ボディから冷却媒体が排出可能であり、そこで、冷却ボディの各接続面が収容部の対応付けられた接続面にそれぞれ対向し、この接続面に(熱的なダイレクト接合を行いつつ)加圧されていることによって、方向転換キャップの収容部又は別の接続部分の収容部に流体密に接続されている。
【0022】
この場合、別の接続部分は、機能的に前述の(第1の)接続部分と全く同様に又は類似して形成されてよい。したがって、例えば冷却要素の一方の端部に(第1の)接続部分が配置されていて、接続部分を介して、冷却要素に冷却媒体が供給され、他方の接続部分には、別の又は第2の接続部分が配置されていて、この場合、別の又は第2の接続部分を介して冷却要素から冷却媒体が排出されることが考えられる。ここでは、様々な構成が考えられる。
【0023】
冷却要素が、2つ以上の収容空間を具備する接続部分を有し、この場合、冷却要素は、本願に記載されているように、相応に複数の冷却ボディ(収容空間ごとに1つ)をも有し、この場合、冷却ボディの一方の端部は、第1の接続領域をそれぞれ有し、この場合、第1の接続領域は、対応付けられた収容空間と、本願に記載された形で流体密に接続されている。この場合、それぞれの冷却ボディのそれぞれ別の第2の端部は、第2の接続領域をそれぞれ有してよく、第2の接続領域は、この場合、それぞれ記述の形で、そのような方向転換キャップ及び/又はそれぞれそのような別の接続部分に接続されていることも考えられる。
【0024】
この場合、第1の媒体チャネル群及び第2の媒体チャネル群の媒体チャネルは、冷却ボディの他方の端部の領域にも、開いた側面、端部又は開口を有し、開いた側面/端部又は開口は、方向転換キャップの方向転換空間内に配置されている又はこれに通じる。この場合、方向転換キャップの構成によれば、第1の媒体チャネル群の媒体チャネルの、そこに配置された開いた側面/端部又は開口から方向転換空間内に流入する又は流入可能である冷却媒体は、方向転換空間内で、第2の媒体チャネル群の媒体チャネルの開いた側面/端部又は開口へ向けて方向転換され、開いた側面/端部又は開口に進入可能であり、その後で、第2の媒体チャネル群の媒体チャネルを通って流れ、さらに流出チャンバ内に配置された、媒体チャネルの開いた側面/端部又は開口を介して流出空間に流れる。
【0025】
他に、媒体チャネル又は全ての媒体チャネルは、細長くそして直線状に形成されてよく、冷却ボディ内で相並んで配置されて冷却ボディの主延在方向に対して平行に延在してよい。
【0026】
好ましくは、各(細長い)媒体チャネルは、2つの(反対側の)短辺側面又は端部で開いてよい。
【0027】
(細長い)各媒体チャネルは、さらに(媒体チャネルの主延伸方向に対して)(全ての)長辺側面で媒体チャネル壁部によって画定されてよい。このことは、特に一対又は二対のそれぞれ間隔を置いて対向する媒体チャネル壁部によって得られ、この場合、対のうちの1つ又は一対の媒体チャネル壁部は、冷却要素の第1の大面積の壁部又は第2の大面積の壁部によってそれぞれ形成される。
【0028】
付加的又は代替的に、(細長い)各媒体チャネルは、さらに(媒体チャネルの主延伸方向に対して)その短辺側面で開いてよく、この場合、好ましくは、開いた短辺側面は、流出チャンバ又は流入チャンバ又は方向転換空間内に配置された開いた側面を形成する。
【0029】
さらに好ましくは、対のうちの1つ又は一対、特に他方の対の媒体チャネル壁部は、互いに平行に及び/又は第1の大面積の壁部又は第2の大面積の壁部に対して垂直に延在する。
【0030】
さらに好ましくは、それぞれ隣り合う媒体チャネル(側方)は、長手側面で冷却ボディの共通の媒体チャネル壁面を共有する。
【0031】
他に、(列状に)相並んで配置された媒体チャネルの両方の外側の媒体チャネルでは、媒体チャネル壁部の1つが、冷却ボディの狭い側壁の1つによって形成されてよい。
【0032】
さらに好ましくは、媒体チャネルは、一方では端に位置する接続領域に接続された接続部分と、他方では端に位置する別の接続領域に接続された方向転換キャップとの間でそれぞれ特に直線状に延在する。
【0033】
上述の構成では、例えば、冷却媒体は、接続部分を介して、特に流入開口又は流入チャンバを介して、第1の媒体チャネル群の媒体チャネルに、流入チャンバ内に配置された媒体チャネルの開いた側面/端部又は開口を介して供給され、冷却媒体は、次いで媒体チャネルを通流し、冷却ボディの他方の端部で、方向転換空間内に配置された、第1の媒体チャネル群の他方の開いた側面/端部又は開口から流出し、方向転換キャップに流れ、次いでそこに配置された、第2の媒体チャネル群の開いた側面/端部又は開口を介して、この第2の群の媒体チャネルへと方向転換され、次いでこれらの媒体チャネルにおいて接続部分へと(戻るように)流れ、次いで流出チャンバ内に配置された開いた側面/端部又は開口から流出チャンバ内に流入し、これに続いて接続部分から排出される。この場合、冷却ボディ内の記述の経路上で、冷却媒体は、冷却されるべき対象物の余熱を(その外壁又は外側を介して)吸収し、これを導出してよい。
【0034】
他に、冷却媒体の主流れ方向は、流入チャンバ内で、媒体チャネル又は媒体チャネルの主延伸方向に対して又は媒体チャネル内の主流れ方向に対して角度をなして、好ましくは横方向に延在してよい。この場合、流入チャンバ内に、特に流入開口から媒体チャネルへ向かう冷却剤の流れを最適化するために、好適には一体的に接続部分に、特に接続部分の収容部に接続された、少なくとも部分的に、流入チャンバ内の主流れ方向に対して角度をなして延在する(そして特に流入開口の方へ少なくとも部分的に湾曲した)流体ガイド壁部が突出し、流体ガイド壁部は、流体ガイド壁部に沿って流れる又は流体ガイド壁部と衝突する冷却媒体を適切に媒体チャネルの方へ導く/ガイドする。
【0035】
代替的又は付加的に、流出チャンバ内の冷却媒体の主流れ方向は、媒体チャネルに対して又は媒体チャネルの主延伸方向に対して又は媒体チャネル内の主流れ方向に対して(場合によってはそれぞれ)角度をなして、好ましくは横方向に延在し、(場合によっては付加的に)流出チャンバ内に、特に一体的に接続部分に、特に接続部分の収容部に接続された、少なくとも部分的に流出チャンバ内の主流れ方向に対して角度をなして延在する(そして特に少なくとも部分的に流出開口の方へ湾曲した)流体ガイド壁部が突出する。このことは、同様に、確かに特に媒体チャネルから外へ流出開口へ向かう冷却剤の流れを最適化するためのものである。
【0036】
好適には、流入開口は、流入チャンバの一方の端部に位置し、他方の端部には、接続開口が位置し、接続開口には、同一の又は同種の別の冷却要素の接続部分が、特に別の冷却要素の流入開口と接続開口とを接続するために接続可能である。
【0037】
付加的又は代替的に、流出開口は、流出チャンバの一方の端部に位置し、他方の端部には、接続開口が位置し、接続開口には、同一の又は同種の別の冷却要素の接続部分が、特に別の冷却要素の流出開口と接続開口とを接続するために接続可能であることが想定され得る。
【0038】
他に、流入開口及び/又は接続開口は、流入チャンバ内の主流れ方向に対して又は流入チャンバの主延伸方向に対して角度をなして、好ましくは横向きに延在する一平面内に延在してよい。付加的及び/又は代替的に、流出開口及び/又は接続開口は、流出チャンバ内の主流れ方向に対して又は流出チャンバの主延伸方向に対して角度をなして、好ましくは横向きに延在する一平面内に延在してよい。
【0039】
本発明の別の構成によれば、冷却要素は、冷却要素と同一の別の冷却要素とを着脱自在に接続するために、接続手段、特に係止手段を有することが想定され得る。
【0040】
このことは、特に、そのような接続後、冷却要素の流入チャンバの接続開口は、別の冷却要素の流入チャンバの流入開口と、これらの開口の間で流体連通しながら整合する、及び/又は接続後、冷却要素の流出チャンバの接続開口は、別の冷却要素の流出チャンバの流出開口と、これらの開口の間で流体連通しながら整合するように行われる。
【0041】
本発明に係る製造方法に関して述べると、プレス機構が、接続部分のそれぞれの接続面を、接続面にそれぞれ対向する、冷却ボディの接続面にそれぞれ押圧することによって、冷却ボディの全ての接続面又は冷却ボディの、特に相互に間隔を置いて対向する一対の接続面だけが、接続部分の、それぞれ対向する接続面に加圧されることがさらに想定され得る。
【0042】
さらに、一般的に、冷却ボディの対向する接続面同士の間隔が、接続部分の対向する接続面同士の間隔に合わせて調整されている又は調整されることによって、冷却ボディの全ての接続面又は冷却ボディの特に対向する一対の接続面だけが、接続部分のそれぞれ対向する接続面に加圧され、その結果、冷却ボディの接続面の加温によって、冷却ボディの接続領域が接続部分の収容空間内に挿入された状態で、冷却ボディ材料の熱膨張に基づいてプレス嵌めが生じ、その経過において、冷却ボディのそれぞれの接続面は、接続部分のそれぞれ対向する接続面に押し付けられることが想定され得る。
【0043】
それぞれのプレス機構によって、冷却体の第1の大面積の壁部又は第2の大面積の壁部にそれぞれ対向する、接続部分の接続面は、冷却ボディの、それぞれ対向する接続面に押圧される、及び/又は冷却ボディの狭い側壁のうちの1つの接続面にそれぞれ対向する、接続部分の接続面は、プレス嵌めによって、冷却ボディのそれぞれの接続面に接続されることがさらに想定され得る。
【0044】
さらに、冷却ボディの全ての壁部の接続面が、接続部分のそれぞれ対向する接続面に、接続部分の接続面をそれぞれの壁部に押圧するそれぞれのプレス機構によって接続されることが想定され得る。
【0045】
さらに、冷却ボディのそれぞれ対向する接続面に対する、接続部分のそれぞれの接続面の押圧は、それぞれのプレス機構によって、その圧力がそれぞれの接続面が配置された、収容部の壁部に、特に壁部の外側に及ぼされることによって行われる。
【0046】
本発明のさらなる特徴は、添付の特許請求の範囲、後続の好適な実施例の説明及び添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】冷却ボディと接続部分(冷却ボディの一方の端部)と方向転換キャップ(冷却ボディの他方の端部)とを有する、本発明に係る冷却要素の一実施形態を斜め下から見た斜視図を示す。
【
図4】
図1の冷却要素の長手方向断面図(水平)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図面には、各々の電池又は個々のセルを冷却するために、例えば電気自動車の電池システム又は蓄電池システムの冷却の範囲内で使用される冷却要素10が示されている。
【0049】
この場合、そのような冷却要素10は、通常、冷却要素10を通って冷却媒体が連続的にガイドされるように配慮された上位の冷却装置の構成部材である。冷却要素10は、その際、冷却されるべき対象物の余熱を吸収し、次いでこれを放出する。このために必要とされる冷却装置の要素、例えば適切なポンプ、冷却媒体用の流入管路及び流出管路などは、従来技術において公知であり、したがって詳しい説明はしない。
【0050】
本形態の場合、冷却要素10は、使用時に、冷却装置の(図示されてない)同一の別の冷却要素に接続されてよく、この場合、別の冷却要素は、同時に、冷却されるべき複数の対象物、例えば複数の電池又は電池セルを冷却できる。
【0051】
冷却要素10は、金属製、本形態ではアルミ製の冷却ボディ11を有し、この冷却ボディ11は、使用時に、冷却されるべき対象物に当接する又は対象物の少なくともすぐ隣に配置される。
【0052】
冷却ボディ11は、細長く、本形態では本質的に(極めて)平坦な直方体である。
【0053】
冷却要素10又は冷却ボディ11の主延伸方向に関して、冷却要素10又は冷却ボディ11の一方の端部に接続部分12が配置されていて、接続部分12を介して、冷却要素10に、例えば冷却水又はその同等物などの冷却媒体を供給でき、冷却媒体は、この場合、細長い第1の媒体チャネル群14a内で、冷却ボディ11の主延伸方向又は長手方向で冷却ボディ11の他方の端部へガイドされ、次いで、冷却要素10又は冷却ボディ11の他方の端部に配置された方向転換キャップ13において方向転換され、逆向きに細長い第2の媒体チャネル群14を通って、冷却媒体が再び接続部分12に到達し、接続部分12を介して冷却要素10から排出又は放出されるまで、逆向きに冷却ボディ10を通って流れる。
【0054】
冷却媒体は、冷却装置又は冷却要素10の動作中、冷却ボディ11又は媒体チャネル14を通過する途中で、冷却されるべき対象物を冷却しながら冷却されるべき対象物の余熱を吸収し、これを運び出す。
【0055】
本形態では、冷却ボディ11は、一体的に製作されている。この場合、(アルミ)押出成形法で製造された成形体又は成形部材(ポケット成形体)であってよい。
【0056】
冷却ボディ11は、本形態では、4つの冷却ボディ外壁部15、すなわち第1の大面積の上側の壁部15aと、上側の壁部に対して平行に間隔を置いて対向する第2の大面積の下側の壁部15bと、互いに平行に延在する上側の壁部15aと下側の壁部15bとをそれぞれ互いに接続する2つの狭い側壁部15c又は15dとを有する。
【0057】
(細長い)媒体チャネル14は、冷却ボディ11の内部に、すなわちボディ外壁部15によって包囲された空間の内部に配置されている。この場合、媒体チャネル14は、冷却ボディ11の主延伸方向に対して平行に又は狭い側壁部15c又は15dに対して平行に延在する。冷却ボディ11の横断面を基準として、個々の媒体チャネル14は、列状に相並んで配置されている。
【0058】
(細長い)各媒体チャネル14は、さらに(それぞれの媒体チャネル14の主延伸方向を基準として)その(全ての)長辺側面で媒体チャネル壁部16によって画定されている。このことは、本形態では、それぞれ具体的にはそれぞれ間隔を置いて対向する二対の媒体チャネル壁部16によって得られる。
【0059】
この場合、各媒体チャネル14は、対向する2つの(大面積の上側の壁部15a及び下側の壁部15bに対して直角又は垂直に延在する)長辺側面で、すなわち冷却ボディ11の主延伸方向に対して横方向又は垂直に互いに間隔を置いて配置された、それぞれ互いに平行に冷却ボディの主延伸方向に延在するそれぞれ2つの媒体チャネル壁部16の第1の対によって画定される。
【0060】
この場合、外側の2つの媒体チャネル14.1及び14.2において、この第1の対の媒体チャネル壁部16のうちの1つは、冷却ボディ11のそれぞれのボディ外壁部15、本形態では狭い側壁部15c又は狭い側壁部15dによってそれぞれ形成される。
【0061】
(細長い)各媒体チャネル14は、さらに、別の両方のその長辺側面で、媒体チャネル壁部16のそれぞれ1つの別の対によって画定されていて、この場合、この対の一方の媒体チャネル壁部16は、大面積の上側の壁部15aによって形成され、この対の他方の媒体チャネル壁部16は、大面積の下側の壁部15bによって形成される。
【0062】
本形態では、各媒体チャネル14は、さらにその両方の端部又は短辺側面で、すなわち短辺側面17a及び17bで開いている。換言すると、そこには壁部が存在しないので、短辺側面17a及び17bを通って、冷却媒体は、媒体流路14に流入又は媒体流路14から流出できる。
【0063】
接続部分12に関して述べると、接続部分12は、(上側の)流入開口19を具備する流入チャンバ18を有し、流入開口19を介して、冷却媒体が、第1の媒体チャネル群14aの媒体チャネル14に供給可能である。そのために、第1の媒体チャネル群14aの媒体チャネル14の開いた短辺側面17aは、流入チャンバ18内に配置されているので、冷却媒体は、直接、流入チャンバ18から、開いた短辺側面17aに/開いた短辺側面17aを介して、この第1の媒体チャネル群14aに流れることができる。
【0064】
接続部分12は、さらに流入チャンバ18から分離した、流出開口21を具備する流出チャンバ20を有し、流出開口21を介して、冷却媒体が、第2の媒体チャネル群14bの媒体チャネル14から排出可能である。そのために、第2の媒体チャネル群14bの媒体チャネル14の開いた短辺側面17aは、流出チャンバ20内に配置されているので、冷却媒体は、直接、流出チャンバ18から、開いた短辺側面17に/開いた短辺側面17を介してこの第2の群14bの媒体チャネル14に流れることができる。
【0065】
例えば
図5において看取されるように、本形態の場合、媒体チャネル14の主延伸方向は、流入チャンバ18又は流出チャンバ20の主延伸方向又は主流れ方向に対してそれぞれ垂直に延在する。
【0066】
それにもかかわらず、流入開口19を介して流入チャンバ18に供給される冷却媒体が、効率的に、媒体チャネル14に、すなわち第1の媒体チャネル群14aに導かれることを可能にするために、流入チャンバ18内に、本形態では接続部分12に一体的に接続された、流入チャンバ18の主流れ方向又は主延伸方向に対して少なくとも部分的に角度をなして延在する(そして特に少なくとも部分的に流入開口19の方へ湾曲した)流体ガイド壁部22が配置されている。
【0067】
流体ガイド壁部22は、接続部分12に一体的に接続されたその端部を起点として、流入開口19の方へ湾曲しつつ流入チャンバ18内に突出し、(
図5では上方から)流体ガイド壁部22に衝突する媒体が、第1の群14aの媒体チャネル14へ向けられるように配慮されている。
【0068】
ほとんど同等の形(図示されていない)で、流出チャンバ20にも相応の流体ガイド壁部が存在し、流体ガイド壁部は、そこで、第2の群14bの媒体チャネル14から流出チャンバ20に流れる冷却媒体が流出開口21へ向けられるように配慮されている。
【0069】
他に、流入開口19は、本形態では、流入チャンバ18の一方の端部に位置し、他方の端部には、接続開口33が位置し、接続開口33には、特に別の冷却要素の流入開口と接続開口33とを接続するために、(図示されていない)同一の別の冷却要素の接続部分が接続可能である。
【0070】
流出開口21は、同様に、流出チャンバ20の一方の端部に位置し、他方の端部には、流出チャンバ20の接続開口34が位置し、接続開口34には、特に別の冷却要素の流出開口21と接続開口34とを接続するために、同一の別の冷却要素の接続部分が接続可能である。
【0071】
冷却要素10又は本形態では接続部分12は、冷却要素と同一の別の冷却要素とを着脱自在に接続するための接続手段35、特に係止手段をさらに有する。このことは、特に、接続後、流入チャンバ18の接続開口33が、別の冷却要素の流入チャンバ18の流入開口と、これらの開口の間で流体連通しながら整合する、又は接続後、流出チャンバ20の接続開口34が、別の冷却要素の流出チャンバの流出開口と、これらの開口の間で流体連通しながら整合するように行われる。
【0072】
ここで、冷却ボディ11とは異なり、接続部分12と方向転換キャップ13との両方が、金属(又は場合によっては合金)製ではなく、プラスチック製であることが特に重要である。この場合、これらの要素は、本形態では、それぞれ一体的に構成されていて、例えば熱可塑性樹脂のプラスチック射出成形部品として製造されている。
【0073】
特に、一方では冷却ボディ11と、他方では接続部分12又は方向転換キャップ13とは、それぞれ互いに堅固にかつ液密に接続されている。
【0074】
したがって、接続部分12と冷却ボディ11とを接続するために、冷却ボディ11の、端に位置する第1の接続領域23aが、接続部分12の(中空円筒状の)収容部25の(本形態では冷却ボディ11の略直方体状の第1の接続領域23aに適合する略直方体状の)収容空間24に挿入され、そこで収容部25の内側に、具体的には内側に配置された、収容部25の接続面27に流体密に接続されている。
【0075】
金属製の冷却ボディ11は、(同様に)接続面、具体的には第1の接続領域23aに接続面26を有する。この場合、冷却ボディ11のこれらの(金属製の)接続面26のそれぞれは、それぞれ物理的な及び/又は化学的なナノ構造化又はマイクロ構造化の方法(例えば化学的エッチング又はレーザビーム構造化など)によって、それぞれの表面に加工された三次元のナノ構造及び/又はマイクロ構造を有する。
【0076】
冷却ボディ11の接続面26は、本形態の場合、具体的にはボディ外壁部15の外側に配置されていて、具体的には、前述のように、それぞれ第1の接続領域23aに配置されていて、すなわち収容部25の収容空間24内に挿入されているとともに、収容部25を形成する壁部28に又は収容空間24を形成する又は画定する壁部28に直接に隣接/当接する、冷却ボディ11の端部領域又は端部部分に配置されている。
【0077】
この場合、前述の形で構造化された、冷却ボディ11の各接続面26は、対応付けられた収容部25の接続面27にそれぞれ対向するとともに接続面27に接続されていて、具体的には、以下にさらに詳しく述べるように(熱的なダイレクト接合を行いつつ)加圧される。
【0078】
他に、同様に、方向転換キャップ13も冷却ボディ11に接続されている。そのために、冷却ボディ11は、方向転換キャップ13が装着された他方の端部で第2の接続領域23bを有し、同様に複数の接続面26が設けられていて、並びに特に前述の物理的な及び/又は化学的なナノ構造化又はマイクロ構造化の方法によってそれぞれの表面に加工された三次元のナノ構造及び/又はマイクロ構造がそれぞれ設けられている。
【0079】
この場合、方向転換キャップ13は、接続部分12と同等に、収容空間30を含む収容部31を同様に有し、収容空間30には、冷却ボディ11の第2の接続領域23bが挿入されていて、そこで、冷却ボディ11と接続部分12の収容部25との接続について前述したのと同様の形で、冷却ボディ11の各接続面26は、対応付けられた収容部31の接続面にそれぞれ対向し、収容部31に前述した形で加圧されていることによって、方向転換キャップ13の収容部31に流体連通されている。
【0080】
他に、媒体チャネル14は、既に前述したように、冷却ボディ11の他方の端部の領域にも開いた短辺側面17bを有し、この場合、これらの開いた短辺側面17bは、方向転換キャップ13の方向転換空間36内に配置されている。方向転換キャップ13は、この場合、他方の端部のこの領域に配置された、第1の媒体チャネル群14aの開いた短辺側面17bから方向転換空間36に流れる冷却媒体が、方向転換空間36内で、第2の媒体チャネル群14bの媒体チャネル14の開いた側面17bの方へ方向転換され、側面17bに進入し、次いで逆向きに、第2の媒体チャネル群14bにおいて、冷却ボディ11を通って接続部分12へ戻るように流れるように構成されている。
【0081】
冷却要素10の具体的な製造と、特に金属製の冷却要素10とプラスチック製の接続部分12及びプラスチック製の方向転換キャップ13との前述の接続とは、この場合、特別な形で行われる。
【0082】
まず、冷却ボディ11と接続部分12と方向転換キャップ13とが別々に前製作される。
【0083】
これに続いて、前述の要素11、12、13は、互いに接続される。これについては、以下、例示的に接続部分12と冷却ボディ11との接続で述べる。冷却ボディ11と方向転換キャップ13との接続は、同様の形で行われる。
【0084】
冷却ボディ11と接続部分12を接続するために、これらの2つの要素は、まず互いに対して動かされる。例えば、接続部分12が位置固定に保持され、冷却ボディ11が適切な送り機構によって接続部分12の方へ動かされる。もちろん、この工程は、逆に進行してよい又は両方の要素を互いに接近移動させてもよい。
【0085】
前述の相対移動の範囲内で、冷却ボディ11は、次いで接続部分12に対して相対的に動かされ、その際、冷却ボディの第1の接続領域23aが収容部25又は収容空間24内にぴったり嵌合するように配設され、冷却ボディ11の第1の接続領域23aの各接続面26が、接続部分12の収容部25の、対応付けられた接続面27にそれぞれ対向する。
【0086】
この場合、その後で、その間に及び/又はその前に、金属製の冷却ボディ11、少なくとも冷却ボディ11の第1の接続領域23aの接続面26は、特に従来技術から公知の誘導加熱によって(別の加温技術も当然考えられる)、接続部分12又は接続部分12の収容部25のプラスチックの少なくとも軟化温度又は溶融温度に相当する温度へと加熱又は加温される。
【0087】
冷却ボディ11の熱は、冷却ボディ11の第1の接続領域23aが収容部25内の所望の最終ポジションに位置すると、接続部分12又はその接続面27へと伝達され、これにより、次いで接続面27が溶融するようになる。
【0088】
例えば、外側から、収容部25の、接続されるべき壁部28へとそれぞれ押圧する、例えばプレスジョー(図示されていない)などの1つのプレス機構又はそれぞれ1つのプレス機構によって、溶融の間に及び/又は溶融の直前に及び/又は溶融の直後に、収容部25の、それぞれの壁部28の内側に配置された、収容部25のそれぞれの接続面27は、冷却ボディ11のそれぞれの(構造化された)接続面26に対して押圧又は加圧され、そうして接続面26に流体密に接続される(熱的なダイレクト接合)。
【0089】
他に、接続されるべき1つ又は複数の表面について、冷却ボディ11の、間隔を置いてそれぞれ対向する接続面26のそれぞれ一対が、代替的なプレス嵌めによって、対応する対向する壁部に接続されることも想定され得る。
【0090】
例えば、狭い側壁部15c、15dの接続面26又は狭い側壁部15c、15dに配置された接続面26は、接続部分12の収容部25の壁部28の、接続面26にそれぞれ対向する接続面27に加圧されよく、加圧は、接続前に、狭い側壁部15c、15dの接続面26の相互間隔が、接続部分12の対向する接続面27の間隔に合わせて調整されている又は調整されることによって行われ、これにより、接続面26が後で既に位置正確に又はその都度の接続面26の終了ポジションで接続部分12の収容空間24内に位置するとき、接続面26は、冷却ボディ11の接続面26の(まずはこのポジションで行われる)加温によって、熱膨張し、これにより、(すなわち外部のプレス機構なしに)、接続面26は、それぞれ対向する、収容部25の接続面27又は収容部25の壁部28に押圧/加圧され、その際、収容部25の接続面27は加温される又は溶融するので、(後の冷却後に)相応のプレス嵌めが生じる。
【0091】
例えば、冷却ボディ11の第1の大面積の壁部15a又は第2の大面積の壁部15bにそれぞれ対向する、収容部25の接続面27だけが、それぞれのプレス機構によって、冷却ボディ11の、対向する接続面26に加圧され、冷却ボディ11のそれぞれの狭い側壁部15c又は15dの接続面26にそれぞれ対向する、収容部25の他の接続面27は、前述のプレス嵌めによって、冷却ボディ11のそれぞれの接続面26に接続されることも想定され得る。
【符号の説明】
【0092】
10 冷却要素
11 冷却ボディ
12 接続部分
13 方向転換キャップ
14 媒体チャネル
14.1 外側の媒体チャネル
14.2 外側の媒体チャネル
14a 第1の媒体チャネル群
14b 第2の媒体チャネル群
15 冷却ボディ外壁部
15a 第1の大面積の壁部
15b 第2の大面積の壁部
15c 狭い側壁部
15d 狭い側壁部
16 媒体チャネル壁部
17a 開いた短辺側面
17b 開いた短辺側面
18 流入チャンバ
19 流入開口
20 流出チャンバ
21 流出開口
22 流体ガイド壁部
23a 第1の接続領域(冷却ボディ)
23b 第2の接続領域(冷却ボディ)
24 収容空間(接続部分)
25 収容部(接続部分)
26 接続面(冷却ボディ)
27 接続面(収容部、接続部分)
28 壁部(収容部)
30 収容空間(方向転換キャップ)
31 収容部(方向転換キャップ)
32 接続面(収容部、方向転換キャップ)
33 接続開口(流入チャンバ)
34 接続開口(流出チャンバ)
35 接続手段
36 方向転換空間(方向転換キャップ)
【外国語明細書】