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特開2024-122647ステータコアユニット、モータ及びコイルの巻き付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122647
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ステータコアユニット、モータ及びコイルの巻き付け方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20240902BHJP
   H02K 15/06 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H02K3/04 E
H02K15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030308
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三神 洸介
【テーマコード(参考)】
5H603
5H615
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB03
5H603CC05
5H603CC17
5H603CD02
5H603CD05
5H603CD22
5H603CD33
5H603CE05
5H603EE01
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP14
5H615QQ03
5H615QQ07
5H615QQ12
5H615QQ27
5H615SS04
5H615SS16
(57)【要約】
【課題】コイルエンド部の軸方向の位置精度を向上すること。
【解決手段】ステータコアユニットは、ステータコアと、複数のスロットと、U相コイルとV相コイルとWコイルとを含むコイルとを備え、U相コイルとV相コイルとWコイルとは、スロットに5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aと、スロットに6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bと、スロットに7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dとを組み合わせてそれぞれ構成され、コイルセグメント50は、コイル本体部51とコイルエンド部52とを備えた平角線によってU字形状に形成され、第1中間部525の軸方向に向いた面は、他の第1中間部525の軸方向に向いた面と接触し、第2中間部526の軸方向に向いた面は、他の第2中間部526の軸方向に向いた面と接触する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
前記ステータコアの周方向に配置された複数のスロットと、
U相コイルとV相コイルとWコイルとを含むコイルと、
を備え、
前記U相コイルと前記V相コイルと前記Wコイルとは、前記スロットに5スロットピッチで配置されたコイルセグメントと、前記スロットに6スロットピッチで配置されたコイルセグメントと、前記スロットに7スロットピッチで配置されたコイルセグメントとを組み合わせてそれぞれ構成され、
前記コイルセグメントは、コイル本体部とコイルエンド部とを備えた平角線によってU字形状に形成され、
前記コイルエンド部は、第1屈曲部と、第2屈曲部と、第3屈曲部と、第4屈曲部と、第1屈曲部と第2屈曲部とを接続する第1中間部と、第3屈曲部と第4屈曲部とを接続する第2中間部とを有し、
前記第1中間部の軸方向に向いた面は、他の第1中間部の軸方向に向いた面と接触し、
前記第2中間部の軸方向に向いた面は、他の第2中間部の軸方向に向いた面と接触する、
ステータコアユニット。
【請求項2】
7スロットピッチで配置された前記コイルセグメントは、同相の5スロットピッチで配置された前記コイルセグメントと軸方向一方側に重なるように配置され、
7スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の一方側を向いた面は、異なる相の6スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の他方側を向いた面と接触し、
7スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の他方側を向いた面は、同相の5スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触し、
5スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の他方側を向いた面は、さらに異なる相の6スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触し、
さらに異なる相の6スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の他方側を向いた面は、異なる相の6スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触する、
請求項1に記載のステータコアユニット。
【請求項3】
7スロットピッチで配置された前記コイルセグメントは、同相の5スロットピッチで配置された前記コイルセグメントと軸方向一方側に重なるように配置され、
7スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の一方側を向いた面は、異なる相の6スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の他方側を向いた面と接触し、
7スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の他方側を向いた面は、同相の5スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触し、
5スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の他方側を向いた面は、さらに異なる相の6スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触し、
さらに異なる相の6スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の他方側を向いた面は、異なる相の6スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触する、
請求項1に記載のステータコアユニット。
【請求項4】
前記第3屈曲部は、前記コイルエンド部において軸方向の一方側における頂部である、
請求項1に記載のステータコアユニット。
【請求項5】
前記コイルエンド部は、前記第2屈曲部から前記第3屈曲部までの間で、径方向の外側から内側に捻じれている、
請求項1に記載のステータコアユニット。
【請求項6】
7スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第3屈曲部と、6スロットピッチで配置された前記コイルセグメントの前記第3屈曲部とは、軸方向の一方側において同じ高さに位置する、
請求項1に記載のステータコアユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のステータコアユニットと、
前記ステータコアに対向するロータと、
を備える、モータ。
【請求項8】
ステータコアの周方向に配置された複数のスロットに、
U相コイルとV相コイルとWコイルとを、前記スロットに5スロットピッチで配置されたコイルセグメントと、前記スロットに6スロットピッチで配置されたコイルセグメントと、前記スロットに7スロットピッチで配置されたコイルセグメントとを組み合わせてそれぞれ構成する、コイルの巻き付け方法であって、
前記コイルセグメントは、コイル本体部とコイルエンド部とを備えた平角線によってU字形状に形成され、
前記コイルエンド部は、第1屈曲部と、第2屈曲部と、第3屈曲部と、第4屈曲部と、第1屈曲部と第2屈曲部とを接続する第1中間部と、第3屈曲部と第4屈曲部とを接続する第2中間部とを有し、
前記スロットに絶縁紙を挿入し、 前記コイルセグメントを前記スロットに挿入して、前記第1中間部の軸方向に向いた面が、他の前記コイルセグメントの第1中間部の軸方向に向いた面と接触し、前記第2中間部の軸方向に向いた面が、他の前記コイルセグメントの第2中間部の軸方向に向いた面と接触するように軸方向に押し込む、
コイルの巻き付け方法。
【請求項9】
7スロットピッチで配置される前記コイルセグメントは、同相の5スロットピッチで配置される前記コイルセグメントと軸方向一方側に重なるように配置され、
7スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の一方側を向いた面は、異なる相の6スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の他方側を向いた面と接触し、
7スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の他方側を向いた面は、同相の5スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触し、
5スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の他方側を向いた面は、さらに異なる相の6スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触し、
さらに異なる相の6スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の他方側を向いた面は、異なる相の6スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第1中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触する、
請求項8に記載のコイルの巻き付け方法。
【請求項10】
7スロットピッチで配置される前記コイルセグメントは、同相の5スロットピッチで配置される前記コイルセグメントと軸方向一方側に重なるように配置され、
7スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の一方側を向いた面は、異なる相の6スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の他方側を向いた面と接触し、
7スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の他方側を向いた面は、同相の5スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触し、
5スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の他方側を向いた面は、さらに異なる相の6スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触し、
さらに異なる相の6スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の他方側を向いた面は、異なる相の6スロットピッチで配置される前記コイルセグメントの前記第2中間部の軸方向の一方側を向いた面と接触する、
請求項8に記載のコイルの巻き付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステータコアユニット、モータ及びコイルの巻き付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータコアとコイルとを含むステータと、ロータとを備えたモータについて、コイルエンド長を低減する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-189020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
平角線で構成されたコイルをステータのスロットに配置する際に、コイルエンド部において、軸方向に隣接する平角線の間に隙間が生じる。このため、コイルエンド部が軸方向にずれるおそれがある。コイルエンド部の位置精度が低下すると、溶接の品質が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、コイルエンド部の軸方向の位置精度を向上したステータコアユニット、モータ及びコイルの巻き付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、ステータコアと、前記ステータコアの周方向に配置された複数のスロットと、U相コイルとV相コイルとWコイルとを含むコイルと、を備え、前記U相コイルと前記V相コイルと前記Wコイルとは、前記スロットに5スロットピッチで配置されたコイルセグメントと、前記スロットに6スロットピッチで配置されたコイルセグメントと、前記スロットに7スロットピッチで配置されたコイルセグメントとを組み合わせてそれぞれ構成され、前記コイルセグメントは、コイル本体部とコイルエンド部とを備えた平角線によってU字形状に形成され、前記コイルエンド部は、第1屈曲部と、第2屈曲部と、第3屈曲部と、第4屈曲部と、第1屈曲部と第2屈曲部とを接続する第1中間部と、第3屈曲部と第4屈曲部とを接続する第2中間部とを有し、前記第1中間部の軸方向に向いた面は、他の第1中間部の軸方向に向いた面と接触し、前記第2中間部の軸方向に向いた面は、他の第2中間部の軸方向に向いた面と接触する、ステータコアユニットが提供される。
【0007】
本開示に従えば、上記のステータコアユニットと、前記ステータコアに対向するロータと、を備えるモータが提供される。
【0008】
本開示に従えば、ステータコアの周方向に配置された複数のスロットに、U相コイルとV相コイルとWコイルとを、前記スロットに5スロットピッチで配置されたコイルセグメントと、前記スロットに6スロットピッチで配置されたコイルセグメントと、前記スロットに7スロットピッチで配置されたコイルセグメントとを組み合わせてそれぞれ構成する、コイルの巻き付け方法であって、前記コイルセグメントは、コイル本体部とコイルエンド部とを備えた平角線によってU字形状に形成され、前記コイルエンド部は、第1屈曲部と、第2屈曲部と、第3屈曲部と、第4屈曲部と、第1屈曲部と第2屈曲部とを接続する第1中間部と、第3屈曲部と第4屈曲部とを接続する第2中間部とを有し、前記スロットに絶縁紙を挿入し、前記コイルセグメントを前記スロットに挿入して、前記第1中間部の軸方向に向いた面が、他の前記コイルセグメントの第1中間部の軸方向に向いた面と接触し、前記第2中間部の軸方向に向いた面が、他の前記コイルセグメントの第2中間部の軸方向に向いた面と接触するように軸方向に押し込む、コイルの巻き付け方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、コイルエンド部の軸方向の位置精度を向上したステータコアユニット、モータ及びコイルの巻き付け方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係るモータを模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るステータコア及びコイルを模式的に示す平面図である。
図3図3は、本実施形態に係るコイルのコイルエンド部を模式的に示す図である。
図4図4は、図2のコイルエンド部の一部を拡大した図である。
図5図5は、図2のコイルエンド部の一部を拡大した斜視図である。
図6図6は、コイルエンド部の一部を拡大した斜視図である。
図7図7は、コイルエンド部の一部を拡大した斜視図である。
図8図8は、コイルの巻き付け方法の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0012】
[実施形態]
<モータ>
図1は、本実施形態に係るモータ1を模式的に示す図である。本実施形態において、モータ1は、3相のセグメント型永久磁石モータである。モータ1は、円筒形状のステータ2と、ステータ2の内側に配置されたロータ3とを備える。ステータ2は、円筒形状のステータコア4と、ステータコア4に支持されるコイル5とを有する。ステータ2の内周面とロータ3の外周面とは間隔を空けて対向する。ロータ3は、ステータコア4に対向する。ロータ3は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ3の回転軸AXとステータ2の中心軸とは同一である。ロータ3は、シャフト8を介して対象物Eに接続される。対象物Eは、例えば、建設機械の一種であるハイブリッドショベルに搭載される旋回減速機である。モータ1は、車体を旋回運動させるモータとして機能する。
【0013】
以下の説明において、回転軸AXと平行な方向を軸方向という。軸方向における一方側を軸方向一方側といい、軸方向一方側の反対側を軸方向他方側という。また、回転軸AXの周囲を周回する方向を周方向という。周方向おける回転方向の一方側を周方向一方側といい、周方向一方側の反対側を周方向他方側という。さらに、回転軸AXの放射方向を径方向という。径方向において中心軸AXから離れる方向側を径方向外側といい、径方向外側の反対側を径方向内側という。本実施形態では、軸方向の一方が、コイルセグメント50の挿入側である。
【0014】
ロータ3は、ステータコア4と対向可能に配置される。ロータ3は、ロータホルダ6と、ロータホルダ6に保持されるロータコア7とを有する。ロータホルダ6は、非磁性体で形成される。ロータコア7は、磁性体で形成され、ロータコア7の中には永久磁石が埋め込まれている。
【0015】
ステータコア4は、コイル5を収容するスロット9を有する。スロット9は、ステータコア4の内周面から径方向外側に凹んだ凹部である。スロット9は、ステータコア4の内周面において周方向に複数配置される。スロット9は、軸方向に延在する。
【0016】
ステータコア4は、周方向において隣接するスロット9の間に配置された、複数のティース10を有する。ティース10は、コイル5を支持する。
【0017】
<ステータコアユニット>
図2は、本実施形態に係るステータコア4及びコイル5を模式的に示す平面図である。ステータコアユニット100は、ステータコア4と、複数のスロット9と、コイル5とを備える。
【0018】
<コイル>
図3は、本実施形態に係るコイル5のコイルエンド部52を模式的に示す図である。図4は、図2のコイルエンド部52の一部を拡大した図である。図5は、図2のコイルエンド部52の一部を拡大した斜視図である。図6は、コイルエンド部52の一部を拡大した斜視図である。図7は、コイルエンド部52の一部を拡大した斜視図である。図4では、ステータコア4を円筒形状ではなく模式的に平面状にして図示している。図6では、ステータコア4の図示を省略して、一部のコイルセグメント50のコイルエンド部52を図示している。
【0019】
コイル5は、絶縁材が被覆された平角線により構成される。
【0020】
コイル5は、U相コイル(第1相コイル)5Uと、V相コイル(第2相コイル)5Vと、W相コイル(第3相コイル)5Wとを含む。U相コイル5U、V相コイル5V及びW相コイル5Wの区別を特に要しない場合、コイル5と記載する。
【0021】
コイル5は、スロット9に5スロットピッチ、6スロットピッチ、又は、7スロットピッチの分布波巻で配置される。コイル5は、一部がスロット9に収容されて、ティース10によって支持される。
【0022】
本実施形態では、U相コイル5UとV相コイル5VとW相コイル5Wとは、5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50A、6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50B、及び、7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dを任意に組み合わせてそれぞれ構成されている。
【0023】
5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aと7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dとは、1組となって軸方向に重なるように配置される。コイルセグメント50A、コイルセグメント50B、及び、コイルセグメント50Dの区別を特に要しない場合、コイルセグメント50と記載する。
【0024】
<コイルセグメント>
コイルセグメント50は、平角線によってU字形状に加工されている。コイルセグメント50は、スロット9に収容されるコイル本体部51と、コイルエンド部52とを備える。コイルセグメント50の説明においては、コイルセグメント50をスロット9に挿入する際の方向、後述する工程のステップST12における方向を用いて説明する。具体的には、ステータコア4の、軸方向の一方側を上方に、他方側を下方に向けた方向として説明する。
【0025】
コイル本体部51は、軸方向に沿って延びている。コイル本体部51は、周方向に離間して向かい合って一対として配置されたコイル本体部511とコイル本体部512とである。コイル本体部511とコイル本体部512とは、スロットピッチに応じて、異なるスロットに配置される。コイル本体部511の軸方向の一方の端部と、コイル本体部512の軸方向の一方の端部とを接続して、コイルエンド部52が配置されている。
【0026】
コイル本体部511の軸方向の他方の端部と、コイル本体部512の軸方向の他方の端部とは、ステータコア4から軸方向に突出する。コイル本体部511の軸方向の他方の端部は、当該コイルセグメント50が挿入されたスロット9と異なるスロット9に挿入された他のコイルセグメント50のコイル本体部512の軸方向の他方の端部と電気的に接続される。コイル本体部512の軸方向の他方の端部は、当該コイルセグメント50が挿入されたスロット9と異なるスロット9に挿入された他のコイルセグメント50のコイル本体部511の軸方向の他方の端部と電気的に接続される。このようにして、複数のコイルセグメント50が周方向に接続されて、コイル5が形成される。
【0027】
コイルエンド部52は、コイルセグメント50の軸方向の一方の端部に配置される。コイルエンド部52は、ステータコア4から軸方向に突出する。コイルエンド部52は、第1屈曲部521と、第2屈曲部522と、第3屈曲部523と、第4屈曲部524と、第1屈曲部521と第2屈曲部522とを接続する第1中間部525と、第3屈曲部523と第4屈曲部524とを接続する第2中間部526とを有する。
【0028】
第1屈曲部521は、コイル本体部511の軸方向の一方の端部に配置されている。第1中間部525は、第1屈曲部521から第2屈曲部522に向かうにつれて、軸方向の一方側に傾いている。第2屈曲部522は、第1中間部525の端部に配置されている。第3屈曲部523は、第2屈曲部522より軸方向の一方側に配置されている。第3屈曲部523は、コイルセグメント50において、最も軸方向の一方側に位置する。第3屈曲部523は、コイルセグメント50の幅方向の中心線CLよりコイル本体部511側に位置している。第2中間部526は、第3屈曲部523から第4屈曲部524に向かうにつれて、軸方向の他方側に傾いている。第4屈曲部524は、第2中間部526の端部に配置されている。第4屈曲部524は、コイル本体部512の軸方向の一方の端部に配置されている。
【0029】
コイルエンド部52は、第2屈曲部522から第3屈曲部523までの間で、径方向の外側から内側に捻じれている。コイルセグメント50をスロット9に挿入した状態において、コイル本体部511、第1屈曲部521及び第1中間部525は、径方向の外側に位置する。コイルセグメント50をスロット9に挿入した状態において、第2中間部526、第4屈曲部524及びコイル本体部512は、径方向の内側に位置する。
【0030】
コイルセグメント50の第1中間部525の一方の面525a及び第2中間部526の一方の面526aは、軸方向の一方側を向いている。コイルセグメント50の第1中間部525の他方の面525b及び第2中間部526の他方の面526bは、軸方向の他方側を向いている。
【0031】
コイルセグメント50は、接触対象の他のコイルセグメント50と面で接触した状態でスロット9に配置される。コイルセグメント50の第1中間部525の軸方向に向いた面は、接触対象の他のコイルセグメント50の第1中間部525の軸方向に向いた面と接触し、第2中間部526の軸方向に向いた面は、接触対象の他のコイルセグメント50の第2中間部526の軸方向に向いた面と接触する。コイルセグメント50と、接触対象の他のコイルセグメント50とが面で接触していることにより、コイルセグメント50の軸方向における位置のずれが抑えられる。
【0032】
<コイルセグメントの接触状態>
各コイルセグメント50がスロット9に配置された状態における、各コイルセグメント50と接触対象の他のコイルセグメント50との接触状態について説明する。
【0033】
7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dは、同相の5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aと軸方向一方側に重なるように配置されている。
【0034】
7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第1中間部525Dの軸方向の一方側を向いた面525Daは、異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第1中間部525Bの軸方向の他方側を向いた面525Bbと接触する。
【0035】
7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第1中間部525Dの軸方向の他方側を向いた面525Dbは、同相の5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aの第1中間部525Aaの軸方向の一方側を向いた面525Aaと接触する。
【0036】
5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aの第1中間部525Aの軸方向の他方側を向いた面525Abは、さらに異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第1中間部525Bの軸方向の一方側を向いた面525Baと接触する。
【0037】
さらに異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第1中間部525Bの軸方向の他方側を向いた面525Bbは、異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第1中間部525Bの軸方向の一方側を向いた面525Baと接触する。
【0038】
7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第2中間部526Dの軸方向の一方側を向いた面526Daは、異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第2中間部526Bの軸方向の他方側を向いた面526Bbと接触する。
【0039】
7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第2中間部526Dの軸方向の他方側を向いた面526Dbは、同相の5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aの第2中間部526Aの軸方向の一方側を向いた面526Aaと接触する。
【0040】
5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aの第2中間部526Aの軸方向の他方側を向いた面526Abは、さらに異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第2中間部526Bの軸方向の一方側を向いた面526Baと接触する。
【0041】
さらに異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第2中間部526Bの軸方向の他方側を向いた面526Bbは、異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第2中間部526Bの軸方向の一方側を向いた面526Baと接触する。
【0042】
6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第3屈曲部523B、及び、7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第3屈曲部523Dは、軸方向の一方側において同じ高さ、言い換えると、ステータコア4から同じ距離に位置している。
【0043】
<コイルの巻付け方法>
次に、図8を用いて、コイル5のステータコア4への巻付け方法の一例を説明する。図8は、コイルの巻き付け方法の工程を示すフローチャートである。ステータコア4は、軸方向の一方側を上方に、他方側を下方に向けて配置される。
【0044】
まず、スロット9に、軸方向の一方側から絶縁紙を挿入する(ステップST11)。
【0045】
絶縁紙が挿入されたスロット9に、軸方向の一方側からコイル5を挿入する(ステップST12)。より詳しくは、絶縁紙が挿入されたスロット9に、軸方向の一方側からコイルセグメント50を挿入する。複数のコイルセグメント50Aは、スロット9に5スロットピッチで配置される。複数のコイルセグメント50Bは、スロット9に6スロットピッチで配置される。複数のコイルセグメント50Dは、スロット9に7スロットピッチで配置される。コイルセグメント50の第1中間部525の一方の面525a及び第2中間部526の一方の面526aは、軸方向の一方側を向いている。コイルセグメント50の第1中間部525の他方の面525b及び第2中間部526の他方の面526bは、軸方向の他方側を向いている。コイルセグメント50のコイル本体部51の軸方向の一方の端部であるコイルエンド部52は、ステータコア4から軸方向の一方側に突出する。コイル本体部51の軸方向の他方の端部は、ステータコア4から軸方向の他方側に突出する。
【0046】
各コイルセグメント50は、接触対象の他のコイルセグメント50と面で接触するように、スロット9の軸方向の他方側に向けて押し込まれながら挿入される。
【0047】
コイルセグメント50をスロット9に挿入して、第1中間部525の軸方向に向いた面が、他のコイルセグメント50の第1中間部525の軸方向に向いた面と接触し、第2中間部526の軸方向に向いた面が、他のコイルセグメント50の第2中間部526の軸方向に向いた面と接触するように軸方向に押し込まれながら挿入される。
【0048】
スロット9に挿入された6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第3屈曲部523B、及び、7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第3屈曲部523Dは、軸方向の一方側において同じ高さである。
【0049】
ステップST12の実行後、言い換えると、すべてのコイルセグメント50を挿入した後、ステータコア4の上下を逆にする。ステータコア4は、軸方向の一方側を下方に、他方側を上方に向けて配置される。コイルセグメント50同士が面で接触していることにより、コイルセグメント50の軸方向における位置のずれが抑えられる。これらにより、軸方向の他方の端部は、ステータコア4から軸方向の他方側において同じ高さ、言い換えると、ステータコア4から同じ距離に位置している。
【0050】
コイル5間を拡張する(ステップST13)。より詳しくは、スロット9に挿入されたコイルセグメント50間を拡張する。径方向の外側に位置するコイルセグメント50のコイル本体部51の軸方向の他方の端部を、径方向の外側に捻じって引き出す。
【0051】
コイル5を捻じる(ステップST14)。より詳しくは、接続対象のコイルセグメント50のコイル本体部51の軸方向の他方の端部同士が互いに近づく方向に向けて、コイル本体部51の軸方向の他方の端部を捻じる。コイル本体部511の軸方向の他方の端部と、当該コイルセグメント50が挿入されたスロット9と異なるスロット9に挿入された他のコイルセグメント50のコイル本体部512の軸方向の他方の端部とを、互いに近づく方向に向けて捻じる。コイル本体部512の軸方向の他方の端部と、当該コイルセグメント50が挿入されたスロット9と異なるスロット9に挿入された他のコイルセグメント50のコイル本体部511の軸方向の他方の端部とを、互いに近づく方向に向けて捻じる。互いに近づく方向とは、実質的に周方向である。
【0052】
コイル5の端部を溶接する(ステップST15)。より詳しくは、ステップST14にいて近づくように捻じった、コイル本体部51の軸方向の他方の端部同士を、例えば、溶接して接続する。コイル本体部511の軸方向の他方の端部と、当該コイルセグメント50が挿入されたスロット9と異なるスロット9に挿入された他のコイルセグメント50のコイル本体部512の軸方向の他方の端部とを電気的に接続する。コイル本体部512の軸方向の他方の端部と、当該コイルセグメント50が挿入されたスロット9と異なるスロット9に挿入された他のコイルセグメント50のコイル本体部511の軸方向の他方の端部とを電気的に接続する。コイル5の端部同士の接続は、溶接には限定されず、圧接など他の方法でもよい。
【0053】
絶縁処理を行う(ステップS16)。より詳しくは、ステップST15において接続した溶接部である、コイル本体部51の軸方向の他方の端部を、例えば、ワニス及び粉体により塗装して絶縁処理を行う。
【0054】
このようにして、コイル5がステータコア4へ巻付けられる。
【0055】
<効果>
以上説明したように、本実施形態では、コイルセグメント50の第1中間部525の軸方向に向いた面は、他のコイルセグメント50の第1中間部525の軸方向に向いた面と接触する。本実施形態では、コイルセグメント50の第2中間部526の軸方向に向いた面は、他のコイルセグメント50の第2中間部526の軸方向に向いた面と接触する。このように、本実施形態は、コイルセグメント50同士が面で接触している。本実施形態によれば、コイルセグメント50の軸方向における位置のずれを抑えることができる。本実施形態は、コイルエンド部の軸方向の位置精度を向上することができる。
【0056】
本実施形態によれば、コイルエンド部52の位置精度が向上するので、コイルエンド部52を容易かつ適切に溶接して接続することができる。本実施形態は、コイルエンド部52の接続精度を向上することができる。本実施形態によれば、溶接の品質を向上することができる。
【0057】
本実施形態では、7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dは、同相の5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aと軸方向一方側に重なるように配置されている。7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第1中間部525Dの軸方向の一方側を向いた面525Daは、異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第1中間部525Bの軸方向の他方側を向いた面525Bbと接触する。7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第1中間部525Dの軸方向の他方側を向いた面525Dbは、同相の5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aの第1中間部525Aaの軸方向の一方側を向いた面525Aaと接触する。5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aの第1中間部525Aの軸方向の他方側を向いた面525Abは、さらに異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第1中間部525Bの軸方向の一方側を向いた面525Baと接触する。さらに異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第1中間部525Bの軸方向の他方側を向いた面525Bbは、異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第1中間部525Bの軸方向の一方側を向いた面525Baと接触する。このように、本実施形態は、コイルセグメント50の第1中間部525同士が面で接触している。本実施形態によれば、コイルセグメント50の軸方向における位置のずれを抑えることができる。
【0058】
本実施形態では、7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第2中間部526Dの軸方向の一方側を向いた面526Daは、異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第2中間部526Bの軸方向の他方側を向いた面526Bbと接触する。7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第2中間部526Dの軸方向の他方側を向いた面526Dbは、同相の5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aの第2中間部526Aの軸方向の一方側を向いた面526Aaと接触する。5スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Aの第2中間部526Aの軸方向の他方側を向いた面526Abは、さらに異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第2中間部526Bの軸方向の一方側を向いた面526Baと接触する。さらに異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第2中間部526Bの軸方向の他方側を向いた面526Bbは、異なる相の6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第2中間部526Bの軸方向の一方側を向いた面526Baと接触する。このように、本実施形態は、コイルセグメント50の第2中間部526同士が面で接触している。本実施形態によれば、コイルセグメント50の軸方向における位置のずれを抑えることができる。
【0059】
本実施形態では、コイルセグメント50の第3屈曲部523は、コイルエンド部52において軸方向の一方側における頂部である。本実施形態によれば、コイルセグメント50同士がコイルエンド部52において干渉せずに、巻き付けることができる。
【0060】
本実施形態では、コイルエンド部52は、第2屈曲部522から第3屈曲部523までの間で、径方向の外側から内側に捻じれている。本実施形態によれば、コイルセグメント50同士がコイルエンド部52において干渉せずに、巻き付けることができる。
【0061】
本実施形態では、スロット9に挿入された6スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Bの第3屈曲部523B、及び、7スロットピッチで配置されたコイルセグメント50Dの第3屈曲部523Dは、軸方向の一方側において同じ高さに位置する。本実施形態によれば、コイル5の端部を容易かつ適切に溶接して接続することができる。本実施形態は、コイル5の端部の接続精度を向上することができる。本実施形態によれば、溶接の品質を向上することができる。
【0062】
上述の実施形態において、ロータ3がステータコア4の内側(内周側)に配置され、モータ1がインナロータ側モータであることとした。ロータ3はステータコア4に対向する位置に配置されていればよい。モータ1は、ロータ3がステータコア4の外周側に配置されるアウタロータ型モータでもよいし、ロータ3がステータコア4の内周側及び外周側の両方に配置されるデュアルロータ型モータでもよいし、ロータ3がステータコア4の軸方向側に配置されるアキシャルギャップ型モータでもよい。
【0063】
なお、上述の実施形態においては、モータ1がセグメント型永久磁石モータであることとした。モータ1は極歯が設けられたスイッチトリラクタンスモータ(Switched Reluctance Motor)でもよいし、シンクロナスリラクタンスモータ(Synchronous Reluctance Motor)でもよいし、フラックススイッチングモータ(Flux Switching Motor)でもよいし、誘導モータ(Induction Motor)でもよいし、アキシャルギャップモータでもよいし、リニアアクチュエータでもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…モータ、2…ステータ、3…ロータ、4…ステータコア、5…コイル、5U…U相コイル(第1相コイル)、5V…V相コイル(第2相コイル)、5W…W相コイル(第3相コイル)、6…ロータホルダ、7…ロータコア、8…シャフト、9…スロット、10…ティース、50…コイルセグメント、50A…コイルセグメント、50B…コイルセグメント、50D…コイルセグメント、51…コイル本体部、52…コイルエンド部、511…コイル本体部、512…コイル本体部、521…第1屈曲部、522…第2屈曲部、523…第3屈曲部、524…第4屈曲部、525…第1中間部、526…第2中間部、AX…回転軸、E…対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8