(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122659
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】レーザ素子、レーザモジュール、およびレーザ素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02355 20210101AFI20240902BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20240902BHJP
H01S 5/323 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H01S5/02355
H01S5/02253
H01S5/323 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030328
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】宇佐川 元久
(72)【発明者】
【氏名】村川 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】川口 佳伸
(72)【発明者】
【氏名】神川 剛
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AH22
5F173AL03
5F173AL04
5F173AL12
5F173MC30
5F173MD27
5F173ME06
5F173ME47
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】レーザモジュール等の部品に組み立てられる前の段階において半導体レーザ素子の信頼性を評価し易くする。
【解決手段】レーザ素子は、サブマウント基板と、前記サブマウント基板の上方に位置するレーザ体と、前記レーザ体の光出射部を覆うガラス材とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブマウント基板と、
前記サブマウント基板の上方に位置するレーザ体と、
前記レーザ体の光出射部を覆うガラス材とを備える、レーザ素子。
【請求項2】
前記レーザ体は光共振器を含み、
前記ガラス材は、前記光共振器の第1共振器端面を覆う、請求項1に記載のレーザ素子。
【請求項3】
前記サブマウント基板の厚み方向と、前記第1共振器端面の法線方向とが直交する、請求項2に記載のレーザ素子。
【請求項4】
前記ガラス材は、前記第1共振器端面と対となる第2共振器端面を覆う、請求項2に記載のレーザ素子。
【請求項5】
前記ガラス材は、前記第1共振器端面と対向する対向部がフラット形状である、請求項2に記載のレーザ素子。
【請求項6】
前記ガラス材は、前記第1共振器端面と対向する対向部が湾曲形状である、請求項2に記載のレーザ素子。
【請求項7】
前記対向部が光学レンズとして機能する、請求項6に記載のレーザ素子。
【請求項8】
前記対向部の厚みが、1〔μm〕以上である、請求項5に記載のレーザ素子。
【請求項9】
前記ガラス材は、前記サブマウント基板の少なくとも一部に接する、請求項1に記載のレーザ素子。
【請求項10】
前記ガラス材は、前記サブマウント基板の側面全体を覆う、請求項9に記載のレーザ素子。
【請求項11】
前記サブマウント基板は、上面側に位置し、前記レーザ体と電気的に接続する導電性のパッドを含む、請求項1に記載のレーザ素子。
【請求項12】
前記パッドの少なくとも一部は前記ガラス材と接しない、請求項11に記載のレーザ素子。
【請求項13】
前記サブマウント基板は、ビアホールを介して前記パッドと電気的に接続する下面電極を含み、
前記パッドが前記ガラス材で覆われている、請求項11に記載のレーザ素子。
【請求項14】
前記第1共振器端面は、前記サブマウント基板の側面と面一である、請求項2に記載のレーザ素子。
【請求項15】
前記第1共振器端面は、前記サブマウント基板の側面よりも内側に位置する、請求項2に記載のレーザ素子。
【請求項16】
前記サブマウント基板は、切り欠き部を含む、請求項2に記載のレーザ素子。
【請求項17】
前記レーザ体から出射したレーザ光が前記切り欠き部を通る、請求項16に記載のレーザ素子。
【請求項18】
前記切り欠き部に前記ガラス材が充填されている、請求項16に記載のレーザ素子。
【請求項19】
前記第1共振器端面は、前記切り欠き部上に位置する、請求項16に記載のレーザ素子。
【請求項20】
前記レーザ体の少なくとも一部は、前記ガラス材から露出している、請求項1に記載のレーザ素子。
【請求項21】
前記第1共振器端面が誘電体膜を含む、請求項2に記載のレーザ素子。
【請求項22】
前記誘電体膜はシリコン系絶縁膜である、請求項21に記載のレーザ素子。
【請求項23】
前記サブマウント基板は、シリコン基板、窒化アルミニウム基板、および炭化シリコン基板のいずれか1つを含む、請求項1に記載のレーザ素子。
【請求項24】
前記ガラス材は、融点600℃以下の低融点ガラスからなる、請求項1に記載のレーザ素子。
【請求項25】
前記レーザ体に含まれるアノードおよびカソードの少なくとも一方と、前記パッドとがAuで構成されている、請求項11に記載のレーザ素子。
【請求項26】
前記レーザ体は、窒化物半導体層を含み、
前記第1共振器端面は、前記窒化物半導体層のm面である、請求項2に記載のレーザ素子。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1項に記載のレーザ素子と、前記レーザ素子を支持する支持基板とを含む、レーザモジュール。
【請求項28】
前記支持基板は回路基板である、請求項27に記載のレーザモジュール。
【請求項29】
前記支持基板は、トレンチ部を含み、
前記レーザ体から出射したレーザ光が前記トレンチ部を通る、請求項27に記載のレーザモジュール。
【請求項30】
前記支持基板は、前記ガラス材に接しない、請求項27に記載のレーザモジュール。
【請求項31】
複数のレーザ体がサブマウント基板上に設けられた第1基板を成形装置に配置する工程と、
前記成形装置に溶融状態のガラス材を流し込む工程と、
前記ガラス材を冷却し、前記複数のレーザ体それぞれの光出射部が固化したガラス材で覆われた第2基板を形成する工程とを含む、レーザ素子の製造方法。
【請求項32】
前記複数のレーザ体それぞれが光共振器を含み、
前記第2基板では、前記光共振器の第1共振器端面が前記固化したガラス材で覆われている、請求項31に記載のレーザ素子の製造方法。
【請求項33】
前記第1共振器端面が鉛直方向に対して平行となる状態で前記ガラス材を流し込む、請求項32に記載のレーザ素子の製造方法。
【請求項34】
前記第1共振器端面が鉛直方向に対して垂直となる状態で前記ガラス材を流し込む、請求項32に記載のレーザ素子の製造方法。
【請求項35】
前記成形装置は、前記第1共振器端面と向かい合う部分が湾曲している、請求項32に記載のレーザ素子の製造方法。
【請求項36】
前記第2基板を個片化して複数のレーザ素子を得る、請求項31に記載のレーザ素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ素子等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体レーザ部品は、例えば金属製パッケージ(いわゆるCANパッケージ)を用いてレーザ素子が封止された構造を有する。また、発光ダイオード部品は、例えば樹脂または無機材料によって発光ダイオード素子が封止された構造を有する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の半導体レーザを利用した、RGBレーザモジュールの開発が進展している。半導体レーザ素子と、レンズと、レーザ光を合成するための光導波路構造とを包含するように、金属製パッケージによって封止されたRGBレーザモジュールを製造する場合、モジュールサイズの低減に限界がある。
【0005】
また、全体的に封止された後のRGBレーザモジュールに対して信頼性評価を行う場合、仮に不良と判定されれば、そのRGBレーザモジュールの全体を廃棄することになる。その上、RGBレーザモジュールの製造過程において不良が生じた工程を特定することも困難である。
【0006】
レーザモジュール等の部品に組み立てられる前の段階において半導体レーザ素子の信頼性を評価し易い技術が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様におけるレーザ素子は、サブマウント基板と、前記サブマウント基板の上方に位置するレーザ体と、前記レーザ体の光出射部を覆うガラス材とを備える。
【0008】
また、本開示の一態様におけるレーザ素子の製造方法は、複数のレーザ体がサブマウント基板上に設けられた第1基板を成形装置に配置する工程と、前記成形装置に溶融状態のガラス材を流し込む工程と、前記ガラス材を冷却し、前記複数のレーザ体それぞれの光出射部が固化したガラス材で覆われた第2基板を形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
レーザモジュール等の部品に組み立てられる前の段階において半導体レーザ素子の信頼性を評価し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図4】本開示の一実施形態におけるレーザ素子が有するレーザ体の一構成例を示す断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図7】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図である。
【
図8】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例の製造方法について説明するための断面図である。
【
図9】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図である。
【
図10】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図である。
【
図11】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す平面図である。
【
図12】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図および平面図である。
【
図13】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図および平面図である。
【
図14】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図15】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す平面図である。
【
図16】本開示の一実施形態におけるレーザモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
【
図17】本開示の一実施形態におけるレーザモジュールの別構成例を示す断面図である。
【
図18】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図19】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図20】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図21】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図22】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法に用いられるサブマウント基板の一例を示す平面図である。
【
図23】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法に用いられる第1基板の一例を示す斜視図である。
【
図24】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法に用いられる第1基板の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図25】本開示の一実施形態におけるレーザ素子に含まれるレーザ体の一構成例を示す斜視図である。
【
図26】本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法に用いられる第1基板の製造方法の一例を示す断面図である
【
図27】テンプレート基板に含まれるベース基板の構成例を示す断面図である。
【
図28】一構成例における半導体基板の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。但し、以下の記載は本開示の趣旨をよりよく理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本開示を限定するものではない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものであり、公知の技術的事項については、簡潔化のために説明を適宜省略する。また、各図中の部材の形状および寸法は、実際の形状および寸法を必ずしも反映させたものではなく、図面の明瞭化および簡略化のために適宜変更している。
【0012】
〔レーザ素子〕
図1は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の構成を概略的に示す断面図である。
図2は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の構成を概略的に示す斜視図である。
図3は、レーザ体の構成例を示す断面図である。
【0013】
図1~3に示すように、本開示の一実施形態におけるレーザ素子40は、サブマウント基板SMと、サブマウント基板SMの上方に位置するレーザ体LTと、レーザ体LTの光出射部EPを覆うガラス材GMとを備えている。レーザ素子40では、レーザ体LTは光共振器RKを含み、ガラス材GMは光共振器RKの第1共振器端面F1を覆っている。光出射部EPは、第1共振器端面F1に含まれていてよい。
【0014】
レーザ素子40では、サブマウント基板SMからレーザ体LTへの向きを「上向き」とする。サブマウント基板SMの法線方向と平行な視線で対象物を視る(透視的な場合を含む)ことを「平面視」と呼ぶことある。
【0015】
図1および
図2に示す例ではガラス材GMがレーザ体LTおよびサブマウント基板SMの側面を全体的に覆っているが、これは模式的な一例であって、レーザ素子40は、レーザ体LTおよびサブマウント基板SMの側面および上面において、ガラス材GMによって覆われていない部分を有していてよい。
【0016】
レーザ体LTは、活性部9Kを有する光共振器RKを含む、いわゆる端面発光型の半導体レーザチップである。活性部9Kは活性層であってよい。活性部9Kは、例えば、量子井戸構造を有する。レーザ体LTに外部から供給される正孔および電子が活性部9K内で結合して生じた光は、光共振器RK(特に、活性部9K)内に閉じ込められ、活性部9Kにおける誘導放出および帰還作用によってレーザ発振が生じる。レーザ体LTは、レーザ発振可能な構造であればよく、具体的な構造は特に限定されない。レーザ体LTの具体的な一構成例については後述する。
【0017】
レーザ素子40は、第1共振器端面F1におけるレーザ光LBが出射される光出射部EPをガラス材GMが覆う。これにより、ガラス材GMによって第1共振器端面F1が効果的に保護される。一般に、例えば青色または緑色等のレーザ光がレーザ体LTから出射される場合、共振器端面へのシロキサンの分解生成物(SiOx等)の付着および堆積が問題となることがある。レーザ素子40では、ガラス材GMによって封止することにより、そのような問題に対処しつつ、レーザモジュール等の部品に組み立てられる前の段階においてレーザ素子40の信頼性を評価可能とすることができる。レーザ素子40における外部との通電構造(具体例は後述)は特に限定されず、公知の構造が適用されてよい。
【0018】
サブマウント基板SMは、表面実装されたレーザ体LTをガラス材GMによって封止することが可能であればよく、具体的な材質は特に限定されない。例えば、サブマウント基板SMは、シリコン基板、窒化アルミニウム基板、および炭化シリコン基板のいずれか1つを含んでいてよい。サブマウント基板SMの材質は、ガラス材GMの材質に対応して選択されてよく、ガラス含有アルミナ基板であってよい。
【0019】
サブマウント基板SMは、上面側に位置し、レーザ体LTと電気的に接続する導電性のパッドを含んでいてよい。
図1および
図2に示す例では、サブマウント基板SMは、その上面に、第1パッドP1および第2パッドP2を有している。
図1および
図2では図示を一部省略するが、レーザ体LTは、第1電極E1(アノード)および第2電極E2(カソード)を有しており、レーザ素子40では、第1電極E1が第1パッドP1に接続されていてよく、第2電極E2が第2パッドP2に接続されていてよい。
【0020】
レーザ体LTは、サブマウント基板SM側に第1電極E1および第2電極E2の両方が位置する構造(片面2電極構造)であってもよく、上側および下側に電極を有する構造(両面電極構造)であってもよい。
図1および
図2に示す例では、ジャンクションダウン形式(リッジ部がサブマウント基板SM側に位置する実装形式)にてレーザ体LTがサブマウント基板SMにフリップチップ実装されている。レーザ素子40は、ジャンクションアップ形式にてレーザ体LTがサブマウント基板SMに実装されていてもよい。
【0021】
レーザ素子40は、サブマウント基板SMの厚み方向と、第1共振器端面F1の法線方向とが互いに直交していてよい。また、レーザ素子40では、第1共振器端面F1がサブマウント基板SMにおける第1の側面SMS1と互いに面一であってよい。これにより、光出射部EPから出射されるレーザ光LBがサブマウント基板SMによって部分的に遮られる可能性を低減できる。
【0022】
レーザ素子40は、第1共振器端面F1が誘電体膜UFを含んでいてよい。誘電体膜UFは、反射鏡膜であってよい。誘電体膜UFの材料としては、SiO2、Al2O3、AlN、AlON、Nb2O5、Ta2O5、ZrO2等の誘電体を挙げることができる。誘電体膜UFは、多層膜であってもよく、電子ビーム蒸着、電子サイクロトロン共鳴スパッタ、化学蒸着等によって形成することができる。例えば、誘電体膜UFは、シリコン系絶縁膜であってよい。誘電体膜UFにシリコン系絶縁膜等を用いる場合であっても、ガラス材GMによって少なくとも光出射部EPが封止(保護)されることにより、シロキサンの分解生成物がレーザ素子40に悪影響を及ぼす可能性を低減できる。
【0023】
レーザ体LTは、光共振器RKにおける第1共振器端面F1とは反対側の位置に、第2共振器端面F2を有する。レーザ素子40は、第2共振器端面F2が誘電体膜UFを含んでいてよい。光反射面側の第2共振器端面F2の光反射率は、光出射面側の第1共振器端面F1の光反射率よりも大きい。
【0024】
レーザ素子40では、ガラス材GMが、第1共振器端面F1と対となる第2共振器端面F2を覆っていてよい。また、レーザ素子40では、ガラス材GMは、第1共振器端面F1と対向する対向部FPがフラット形状である。これにより、ガラス材GMによるレーザ光LBの散乱を低減して、レーザ体LTの光出射部EPをガラス材GMにより封止することができる。対向部FPの表面は、ガラス材GMが固化した状態のままであってよい。すなわち、対向部FPの表面は、切断されることにより形成された切断面でなくてよい。また、対向部FPの表面は、研磨により形成された研磨面でなくてよい。このような対向部FPを有するレーザ素子40の製造方法について詳しくは後述する。レーザ素子40は、対向部FPの厚みT1が、1〔μm〕以上であってよい。対向部FPの厚みT1は、1〔μm〕以上1000〔μm〕以下であってよい。
【0025】
対向部FPがフラット形状であるとは、対向部FPの外部側の表面が平面状であることを意味する。対向部FPにおける外部側の表面は、レーザ光LBの光軸に対して垂直な面であってよい。本明細書において「平面」との記載は、厳密に平らであることに限定されず、レーザ素子40の製造過程において不可避に生じる程度の凹凸を許容してもよい。
【0026】
レーザ素子40では、ガラス材GMは、サブマウント基板SMの少なくとも一部に接していてよい。例えば、レーザ素子40では、ガラス材GMがサブマウント基板SMの上面の少なくとも一部に接していてよく、第1パッドP1および第2パッドP2の少なくとも何れかの一部に接していてよい。また、レーザ素子40では、ガラス材GMがサブマウント基板SMにおける第1の側面SMS1の少なくとも一部に接していてよく、第1の側面SMS1とは反対側に位置する第2の側面SMS2の少なくとも一部に接していてよい。レーザ素子40は、ガラス材GMがサブマウント基板SMの側面(第1の側面SMS1および第2の側面SMS2の少なくとも何れか)の全体を覆っていてよい。
【0027】
サブマウント基板SMの形状は特に限定されないが、例えば、
図2に示す例では、サブマウント基板SMは平面視において矩形状を有している。レーザ素子40では、サブマウント基板SMにおける第1の側面SMS1および第2の側面SMS2とは異なる別の側面は、少なくとも一部がガラス材GMに接していてよく、ガラス材GMに接していなくてもよい。例えば、レーザ素子40は、ガラス材GMによる封止の後に、ガラス材GMおよびサブマウント基板SMをカットすることにより形成されていてもよい。レーザ素子40は、ガラス材GMの上面GMTが平面状であってよく、凹凸を有する形状となっていてもよい。レーザ素子40は、サブマウント基板SMの下面(底面)がガラス材GMに接していなくてよい。
【0028】
レーザ素子40では、ガラス材GMは、融点600℃以下の低融点ガラスからなっていてよい。低融点ガラスとしては、レーザ素子40の各部の特性に合わせて、かつレーザ体LTを封止できるように、適宜選択されてよく、具体的な材質は特に限定されないが、例えば、P2O5-ZnO系のガラス、TeO2-B2O3系のガラス等が挙げられる。
【0029】
レーザ体LTに含まれる第1電極E1および第2電極E2の少なくとも一方と、第1パッドP1および第2パッドP2の少なくとも一方とが互いにAuで構成されていてよい。レーザ体LTの電極とサブマウント基板SMのパッドとの接合を、はんだ等の接合部を介することなく、Au-Au接合等の金属-金属接合とすることができる。これにより、ガラス材GMを流動させる際の温度(例えば500℃程度)に対する、接合部の耐久性を高めることができる。ガラス材GMの流動温度に対応して、第1電極E1と第1パッドP1とは、はんだ材を介して接続されていてもよく、第2電極E2と第2パッドP2とは、はんだ材を介して接続されていてもよい。はんだ材としては、AuSi、AuSn等が挙げられる。また、はんだ材がAuSnであり、ガラス材GMは、融点300℃以下の低融点ガラスからなっていてよい。これにより、接合部の耐久性を高めることができる。
【0030】
レーザ素子40は、外部電源と電気的に接続可能な通電構造となっていればよく、具体的な通電構造は特に限定されない。例えば、サブマウント基板SMは、スルーホールを有しており、第1パッドP1および第2パッドP2と導通する電極が下面(裏面)に設けられていてよい。サブマウント基板SMの側面を介して、上面から下面にわたって電極パターンが形成されていてもよい。また、レーザ素子40は、第1パッドP1および第2パッドP2の一部が露出するように、ガラス材GMによる封止が行われていてもよい。レーザ素子40は、表面実装またはワイヤボンディング等によってプリント基板等の支持基板に実装されてよい。
【0031】
〔レーザ体の構成例〕
図4は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子が有するレーザ体の一構成例を示す断面図である。
図4に示すように、一構成例におけるレーザ体LTは、ベース半導体部8と、ベース半導体部8よりもサブマウント基板SM側に位置し、光共振器RKを含む化合物半導体部9と、アノードである第1電極E1と、を備えている。また、レーザ体LTは、カソードである第2電極E2(図示省略)を備えている。レーザ体LTにおける光導波路の構造は特に限定されないが、レーザ体LTは、例えば屈折率導波型の半導体レーザチップであってよい。
図4では、リッジストライプ型(リッジ型)のレーザ体LTについて示している。
【0032】
レーザ体LTにおいて、ベース半導体部8および化合物半導体部9の構成材料は特に限定されない。ベース半導体部8および化合物半導体部9は、レーザ体LTの所望の特性に応じて、種々の材料を有していてよい。例えば、ベース半導体部8および化合物半導体部9は、窒化物半導体層(例えばGaN系半導体層)であってよく、ベース半導体部8は、ドナーを含むn型半導体層であってよい。
図4等に示す例では、X方向が窒化物半導体結晶(ウルツ鉱型構造)の<11-20>方向(a軸方向)であってよく、Y方向が窒化物半導体結晶の<1-100>方向(m軸方向)であってよく、Z方向が窒化物半導体結晶の<0001>方向(c軸方向)であってよい。
【0033】
化合物半導体部9は、ドナーを有するn型半導体部9N、活性部9K、およびアクセプタを有するp型半導体部9Pがこの順に形成されて成っていてよい。n型半導体部9Nは、第1コンタクト部9A、第1クラッド部9B、および第1光ガイド部9Cがこの順に形成されて成っていてよい。p型半導体部9Pは、第2光ガイド部9D、電子ブロッキング部9E、第2クラッド部9F、および第2コンタクト部9Gがこの順に形成されて成っていてよい。レーザ体LTは、第2コンタクト部9Gよりもサブマウント基板SM側に位置する第1電極E1(アノード)を有していてよい。第1電極E1は第2コンタクト部9Gと電気的に接続される。化合物半導体部9は、p型半導体部9Pにおいて、第2光ガイド部9Dと電子ブロッキング部9Eとが互いに入れ替わって配置されていてもよい。例えば、p型半導体部9Pは、電子ブロッキング部9E、第2光ガイド部9D、第2クラッド部9F、および第2コンタクト部9Gがこの順に形成されて成っていてもよい。
【0034】
化合物半導体部9は、平面視で第1電極E1と重なるリッジ部RJ(畝部)を含み、リッジ部RJには、第2クラッド部9Fおよび第2コンタクト部9Gが含まれていてよい。リッジ部RJはY方向を長手方向とする形状であり、リッジ部RJの側面を覆うように、絶縁膜DFが設けられていてよい。第1電極E1のX方向の両端部が、平面視で絶縁膜DFと重なっていてもよい。レーザ体LTは、平面視で第1電極E1および絶縁膜DFと重なるように位置する第1補助電極(図示省略)を有していてよい。絶縁膜DFの屈折率は、第2光ガイド部9Dおよび第2クラッド部9Fの屈折率よりも小さい。リッジ部RJおよび絶縁膜DFを設けることで、第1電極E1およびベース半導体部8間の電流経路がアノード側で狭窄され、光共振器RK内で効率的に発光させることができる。
【0035】
〔レーザ素子の製造方法〕
図5は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を示す断面図である。
図5および
図6に示すように、レーザ素子40の製造方法は、光共振器RKを含むレーザ体LTが実装されたサブマウント基板SMを成形装置90(成形型)に配置する工程(S10)と、成形装置90に溶融状態のガラス材MGMを流し込む工程(S20)と、ガラス材MGMを冷却し、レーザ体LTの光出射部EPが固化したガラス材GMで覆われたレーザ素子40を形成する工程(S30)とを含む。
【0036】
ガラス材MGMは、例えば、高粘度状態でホットプレス加工されることにより成形装置90内に流し込まれてよい。一実施形態におけるレーザ素子40の製造方法では、上記S10~S30の工程における雰囲気等が適宜制御されてよい。
【0037】
図5に示す例では、第1共振器端面F1が鉛直方向に対して平行となる状態で溶融状態のガラス材MGMを流し込む。成形装置90は、サブマウント基板SMを配置したときに、レーザ体LTの第1共振器端面F1に向かい合う部分である第1の壁面WS1を有し、当該第1の壁面WS1は平面状である。そして、レーザ体LTのレーザ光LBの光軸が第1の壁面WS1に対して垂直となるように、成形装置90にサブマウント基板SMを配置して、ガラス材MGMを流し込む。サブマウント基板SMは、成形装置90に設置した際のアライメントが維持されるように、成形装置90に仮固定されていてよい。これにより、フラット形状の対向部FPを有するガラス材GMを形成することができる。
【0038】
成形装置90は、サブマウント基板SMを配置したときに、レーザ体LTの第2共振器端面F2に対向する第2の壁面WS2を有し、当該第2の壁面WS2は平面状であってよい。これにより、第2共振器端面F2に対向する、フラット形状の第2の対向部FP2を形成することができる。成形装置90における内壁面は、溶融状態のガラス材MGMおよび固化したガラス材GMとの親和性が小さくてよく、これにより、成形装置90からレーザ素子40を取り出し易くできる。
【0039】
〔別構成例〕
図7の符号7001により示す図は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図であり、
図7の符号7002により示す図は、レーザ素子の他の別構成例を示す断面図である。
図7に示すように、レーザ素子40は、ガラス材GMの対向部FPが湾曲形状であってよい。レーザ素子40は、対向部FPが光学レンズとして機能してよい。
図7の符号7001により示す例では、レーザ素子40における対向部FPは、レーザ光LBを集光(コリメート)させる集光レンズとして機能することができる。
図7の符号7002により示す例では、レーザ素子40における対向部FPは、レーザ光LBを拡散させる拡散レンズとして機能することができる。
【0040】
図8の符号8001により示す図は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例の製造方法について説明するための断面図であり、
図8の符号8002により示す図は、レーザ素子の他の別構成例の製造方法について説明するための断面図である。
図8に示すように、成形装置90は、第1の壁面WS1(第1共振器端面F1に向かい合う部分)が湾曲していてよい。例えば、集光レンズとして機能する対向部FPを形成する場合、第1の壁面WS1が、レーザ体LTに向かって突出する形状を有していてよい。また、例えば、拡散レンズとして機能する対向部FPを形成する場合、第1の壁面WS1が、レーザ体LTから遠ざかる方向に窪んだ形状を有していてよい。
【0041】
図9は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図である。
図9に示すように、レーザ素子40は、ガラス材GMによって光出射部EPが覆われていればよく、レーザ体LTにおける第1共振器端面F1の一部が露出していてもよい。レーザ素子40は、第2共振器端面F2の一部が露出していてもよい。一般に、レーザ体をパッケージ等にて気密実装する場合、レーザ素子の信頼性を確保するために、パッケージ内部の雰囲気に微量の酸素を含ませることがある。
図9に示す例のように、レーザ体LTの一部が露出することによれば、レーザ素子40の信頼性を高め易くできる。また、放熱性を高めることができる。
【0042】
図10の符号1001により示す図は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図であり、
図10の符号1002により示す図は、レーザ素子の別構成例における異なる位置の断面を示す断面図である。
図10に示すように、レーザ素子40では、サブマウント基板SMが、第1のビアホールBH1を介して第1パッドP1と電気的に接続する第1の下面電極BP1を含んでいてよく、第1パッドP1は少なくとも一部がガラス材GMで覆われていてよい。また、サブマウント基板SMは、第2のビアホールBH2を介して第2パッドP2と電気的に接続する第2の下面電極BP2を含んでいてよく、第2パッドP2は少なくとも一部がガラス材GMで覆われていてよい。
【0043】
図11は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す平面図である。
図11に示すように、レーザ素子40では、サブマウント基板SMにおける第1パッドP1および第2パッドP2の少なくとも一部がガラス材GMと接していなくてよい。例えば、
図11の符号1101により示す図のように、レーザ素子40は、サブマウント基板SMがガラス材GMに接していない露出部ESを有している。露出部ESに、第1パッドP1および第2パッドP2の少なくとも一部が含まれてよい。露出部ESにおいて、第1パッドP1および第2パッドP2の少なくとも一部が露出する。第1パッドP1および第2パッドP2の露出した部分を用いることにより、レーザ素子40の表面側(サブマウント基板SMに対してレーザ体LTが表面実装されている側)に、レーザ体LTへの通電構造を形成することができる。
【0044】
また、例えば、
図11の符号1102により示す図のように、レーザ素子40は、サブマウント基板SMの上方においてX方向に延びる露出部ESを有していてよく、例えば、平面視においてレーザ体LTと重ならない位置に露出部ESを有していてよい。
【0045】
露出部ESは、例えば、以下のように形成することができる。すなわち、成形装置90(
図6参照)内において、露出部ESとなる部分に溶融状態のガラス材MGMが流れ込まないように、表面保護部が設けられてよい。表面保護部は、第1パッドP1および第2パッドP2の表面の少なくとも一部を保護する。成形装置90が表面保護部を備えていてもよい。或いは、溶融状態のガラス材MGMを流し込む前に表面保護部を形成してもよく、この場合、成形装置90からレーザ素子40を取り出した後に上記表面保護部を溶解除去してもよい。
【0046】
図12の符号1201により示す図は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図であり、
図12の符号1202により示す図は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す平面図である。
図12に示すように、レーザ素子40では、サブマウント基板SMが切り欠き部NPを含んでいてよい。
図12に示す例では、第1共振器端面F1がサブマウント基板SMの第1の側面SMS1よりも内側に位置していてよい。切り欠き部NPは、例えば方形状のサブマウント基板SMの一部を除去して形成された部分であって、平面視において第1共振器端面F1と重なるように位置していてよい。換言すれば、第1共振器端面F1は、切り欠き部NP上に位置していてよい。また、切り欠き部NPは、平面視において第2共振器端面F2と重なるように位置していてよい。レーザ素子40は、切り欠き部NPにガラス材GMが充填されていてよい。
【0047】
図12に示す例では、切り欠き部NPは、サブマウント基板SMの上面から底面まで貫通しているが、切り欠き部NPの形状は特に限定されない。レーザ素子40では、レーザ体LTから出射したレーザ光LBの一部が切り欠き部NPを通るように、サブマウント基板SMに切り欠き部NPが形成されていてよい。図示の平明化のために模式的に示しているが、実際上、ジャンクションダウン形式でレーザ体LTが実装されたレーザ素子40では、サブマウント基板SMの上面とレーザ体LTの第1共振器端面F1における光出射部EPとは非常に近接している。
【0048】
図13の符号1301により示す図は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す断面図であり、
図13の符号1302により示す図は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す平面図である。
図13に示すように、レーザ素子40では、サブマウント基板SMにトレンチTRが形成されていてよい。トレンチTRは、例えばX方向に延びていてよい。レーザ素子40では、レーザ体LTから出射したレーザ光LBの一部がトレンチTRを通るように、サブマウント基板SMにトレンチTRが形成されていてよい。トレンチTRの内壁面であるサブマウント基板SMの第3の側面SMS3は、第1共振器端面F1と面一であってよい。レーザ素子40は、トレンチTRにガラス材GMが充填されていてよい。
【0049】
図14は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を示す断面図である。
図14に示すように、サブマウント基板SMが切り欠き部NPを有し、レーザ体LTがサブマウント基板SMに表面実装された状態において、レーザ体LTの第1共振器端面F1とサブマウント基板SMの第1の側面SMS1とが面一ではない場合、以下のようにレーザ素子40を製造してもよい。
【0050】
図14に示す例では、第1の側面SMS1が第1共振器端面F1と平行な平面状であり、成形装置90の底面90Bが平面状である。第1の側面SMS1と底面90Bとが接するとともに、サブマウント基板SMの裏面が成形装置90の内壁面と接するように、成形装置90にサブマウント基板SMを配置する。そして、第1共振器端面F1が鉛直方向に対して垂直となる状態で溶融状態のガラス材MGMを流し込む。
【0051】
これにより、底面90Bの形状に対応して、フラット形状の対向部FPを有するガラス材GMを形成することができる。また、サブマウント基板SMの一部が溶融状態のガラス材MGMに浸漬しない場合、前述の露出部ESを形成し易い。上記したことは、サブマウント基板SMがトレンチTRを有する場合においても同じである。
【0052】
図15は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の別構成例を示す平面図である。
図15に示すように、レーザ素子40は、レーザ体LTの少なくとも一部がガラス材GMから露出していてよい。
図15の符号1501により示す例では、レーザ素子40は、平面視においてレーザ体LTの少なくとも一部と重なる位置に露出部ESを有していてよく、露出部ESは、サブマウント基板SMの上方においてY方向に延びる形状を有していてよい。
図15の符号1502により示す例では、レーザ素子40は、ガラス材GMが、平面視においてレーザ体LTの少なくとも一部と重なる位置に空洞部HPを有していてよい。空洞部HPは、平面視における形状は特に限定されない。空洞部HPでは、第1パッドP1および第2パッドP2の少なくとも一部が露出していてもよい。
【0053】
〔レーザモジュール〕
図16は、本開示の一実施形態におけるレーザモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
図16に示すように、本開示の一実施形態におけるレーザモジュール50は、レーザ素子40と、レーザ素子40を支持する支持基板SKとを含む。支持基板SKは、回路基板であってよい。
図16に示す例では、支持基板SKは、本体部BDと、本体部BDの表面に形成された電極パターンELPとを含む。
【0054】
レーザモジュール50では、ガラス材GMによってレーザ体LTが封止されている一方で、支持基板SKはガラス材GMによって封止されていなくてよい。支持基板SKは、少なくとも一部がガラス材GMに接していなくてよい。
図16に示す例では、接合部APを介してレーザ素子40が支持基板SKに実装されていてよく、この場合、支持基板SKとガラス材GMとが互いに接していなくてよい。
【0055】
図17は、本開示の一実施形態におけるレーザモジュールの別構成例を示す断面図である。
図17に示すように、一構成例におけるレーザモジュール50は、支持基板SKがトレンチ部STRを含んでいてよく、この場合、レーザ体LTから出射したレーザ光LBがトレンチ部STRを通ってよい。これにより、レーザ光LBの一部が支持基板SKによって遮られる可能性を低減できる。
【0056】
〔他の実施形態〕
本開示の他の実施形態について、図面に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法では、複数のレーザ体LTが実装されたサブマウント基板SMをガラス材GMによって封止した後、個片化することによってレーザ素子40を形成することができる。
【0057】
図18は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図19は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を説明するための模式図である。
図19において、符号1901にて示す図は平面図であり、符号1902にて示す図はY軸に直交する断面で切ったときの断面図であり、符号1903にて示す図は別断面(X軸に直交する断面)で切ったときの断面図である。
【0058】
図18および
図19に示すように、一実施形態におけるレーザ素子40の製造方法は、複数のレーザ体LTがサブマウント基板SM上に設けられた第1基板FSを成形装置90に配置する工程(S110)と、成形装置90に溶融状態のガラス材MGMを流し込む工程(S120)と、ガラス材MGMを冷却し、複数のレーザ体LTそれぞれの光出射部EPが固化したガラス材GMで覆われた第2基板SSを形成する工程(S130)とを含む。一実施形態におけるレーザ素子40の製造方法では、複数のレーザ体LTそれぞれが光共振器RKを含み、第2基板SSでは、光共振器RKの第1共振器端面F1が固化したガラス材GMで覆われている。
【0059】
例えば、第1共振器端面F1がサブマウント基板SMの第1の側面SMS1と面一となるように、複数のレーザ体LTをサブマウント基板SMに実装し、複数のレーザ体LTのそれぞれの第1共振器端面F1が鉛直方向に対して平行となる状態で溶融状態のガラス材MGMを流し込む。成形装置90における第1の壁面WS1が平面状である場合、フラット形状の対向部FPを有するガラス材GMを形成することができる。また、成形装置90は、第1共振器端面F1と向かい合う部分である第1の壁面WS1が湾曲していてよく、この場合、光学レンズとして機能する対向部FPを有するガラス材GMを形成することができる。
【0060】
図20は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を概略的に示す斜視図である。
図20に示すように、一実施形態におけるレーザ素子40の製造方法では、第2基板SSを個片化することにより、複数のレーザ素子40を得ることができる。第2基板SSを加工する具体的な方法は特に限定されないが、例えば機械的または熱的(レーザ等)に加工することによって、第2基板SSを複数のレーザ素子40に分割することができる。
図20に示す例では、サブマウント基板SMが、第1の側面SMS1および第2の側面SMS2とは異なる切断面CSを有していてよい。切断面CSは、ガラス材GMに接していなくてよい。
【0061】
図21は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法の一例を説明するための模式図である。
図21に示す例では、サブマウント基板SMにトレンチTRが形成されている。サブマウント基板SMの第1の側面SMS1と底面90Bとが接するとともに、サブマウント基板SMの裏面が成形装置90の内壁面と接するように、成形装置90にサブマウント基板SMを配置する(
図14も参照)。そして、複数のレーザ体LTのそれぞれの第1共振器端面F1が鉛直方向に対して垂直となる状態で溶融状態のガラス材MGMを流し込む。これにより、底面90Bの形状に対応して、フラット形状の対向部FPを有するガラス材GMを形成することができる。
【0062】
本開示の一実施形態におけるレーザ素子は、例えば、サブマウント基板SMの具体的な一例として、以下に説明する形状のサブマウント基板SMを備えていてよい。
図22は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法に用いられるサブマウント基板の一例を示す平面図である。
【0063】
図22に示すように、一例におけるサブマウント基板SMは、導電性を有するT字形状の第1パッドP1および第2パッドP2と、第1パッドP1との接合層として機能する第1接合部A1と、第2パッドP2との接合層として機能する第2接合部A2とを備えている。第1接合部A1および第2接合部A2は、例えば、はんだであってよい。サブマウント基板SMは、基板本体部BS上に複数の凹部HLがマトリクス状に設けられ、非凹部に第1パッドP1、第2パッドP2、第1接合部A1、第2接合部A2を設けることにより形成されていてよい。
【0064】
図23は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法に用いられる第1基板の一例を示す斜視図である。
図23の符号2301により示す例のように、サブマウント基板SMに複数のレーザ体LTが実装された、2次元配置型の第1基板FSを形成することができる。また、
図23の符号2302により示す例のように、2次元配置型の第1基板FSを横分断(X方向に伸びる行ごとに分割)し、1次元配置型(バー状)の第1基板FSとすることができる。このように、複数個のレーザ体LTをサブマウント基板SMに実装した後に、第1基板FSを複数に分断してよい。
【0065】
図22および
図23に示す例のサブマウント基板SMは、幅広部SHと載置部SBとを有している。レーザ体LTは、載置部SBの幅方向(Y方向)と共振器長の方向とが一致するように、載置部SBの上方に位置している。第1基板FSでは、平面視において、レーザ体LTの第1共振器端面F1がサブマウント基板SMの側面よりも内側に位置していてよい。載置部SBは、共振器長を規定する方向(Y方向)に向かい合う2つの切り欠き部C1・C2の間に形成されており、共振器端面F1が切り欠き部C1上に位置し、共振器端面F2が切り欠き部C2上に位置する。切り欠き部C1・C2は、分断される前のサブマウント基板SMにおける凹部HLに対応する部分である。切り欠き部C1・C2の形状は、例えば、Z方向に視る平面視において矩形とすることができる。
【0066】
図24は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法に用いられる第1基板の製造方法の一例を示す斜視図である。
図25は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子に含まれるレーザ体の一構成例を示す斜視図である。
【0067】
図24に示すように、先ず、テンプレート基板TS上に結晶成長したストライプ状の複数のベース半導体部8を備えた半導体基板10を準備する。テンプレート基板TSは、成長用基板であってよい。半導体基板10では、テンプレート基板TSからベース半導体部8への向きを「上向き」とする。
【0068】
テンプレート基板TS上において、複数の構造体JTを形成する。例えば、ベース半導体部8の上方に化合物半導体部9、第1電極E1、および第2電極E2等を形成することにより構造体JTを得る(
図4も参照)。次いで、テンプレート基板TS上において、複数の構造体JTを、短手方向(X方向)に平行な端面CFが各構造体JTに形成されるように分割して、複数のレーザ体LTを含む個体群LAを得る。そして、個体群LAに含まれる複数個のレーザ体LTをサブマウント基板SMに転写して、第1基板FSを得る。第1基板FSは、適宜分断して用いることができる。
【0069】
半導体基板10を複数の個片基板10Dに分割した後に、個片基板10Dの複数のレーザ体LTをサブマウント基板SMに転写してもよい。半導体基板とは、半導体部を含む基板という意味であり、テンプレート基板TSが非半導体(例えば、絶縁体)を含んでいてもよい。
【0070】
ストライプ状の複数の構造体JTの分割は、劈開によって行ってもよいし、エッチング(ドライあるいはウェットエッチング)によって行ってもよい。構造体JTの分割によって形成される端面CFは、レーザ体LTの共振器端面(第1共振器端面F1または第2共振器端面F2)を含んでいてよい。
【0071】
図25の符号2501にて示す例のように、レーザ体LTは、片面2電極構造を有していてよく、この場合、第2電極E2は、ベース半導体部8に対して第1電極E1と同じ側に設けられる。或いは、
図25の符号2502にて示す例のように、レーザ体LTは、両面電極構造を有していてよく、この場合、サブマウント基板SMにレーザ体LTを転写した後に第2電極E2が形成されることにより、第2電極E2は、ベース半導体部8に対して第1電極E1とは反対側に設けられる。
【0072】
ベース半導体部8および化合物半導体部9は、窒化物半導体を含む半導体層(例えば、窒化物半導体結晶)であってもよい。窒化物半導体は、例えば、AlxGayInzN(0≦x≦1;0≦y≦1;0≦z≦1;x+y+z=1)と表すことができ、具体例として、GaN系半導体、AlN(窒化アルミニウム)、InAlN(窒化インジウムアルミニウム)、InN(窒化インジウム)を挙げることができる。GaN系半導体とは、ガリウム原子(Ga)および窒素原子(N)を含む半導体であり、典型的な例として、GaN、AlGaN、AlGaInN、InGaNを挙げることができる。ベース半導体部8は、ドープ型(例えば、ドナーを含むn型)でもノンドープ型でもよい。
【0073】
本開示の一実施形態におけるレーザ素子40では、レーザ体LTが窒化物半導体層を含み、第1共振器端面F1は、窒化物半導体層のm面とすることができる。レーザ体LTは、構造体JTを分割する間隔を適宜設定することにより、例えば、第1共振器端面F1と第2共振器端面F2との間の共振器長L1が200〔μm〕以下である構成とすることができ、また、共振器長L1が100〔μm〕以下である構成とすることができる。レーザ体LTよりもサイズが大きいサブマウント基板SMにレーザ体LTを転写することにより、小型のレーザ体LTを直接ハンドリングすることなく、レーザ体LTが実装されたサブマウント基板SMをハンドリングすることができる。そして、ガラス材GMによって封止されたレーザ素子40を形成することができる。第1電極E1および第2電極E2間に例えば200〔mW〕以下の電力が供給される、高効率低出力のレーザ素子40を実現することができる。レーザ素子40をモジュールに実装する前に、第1電極E1および第2電極E2間に通電することで信頼性評価を行うことができる。
【0074】
図26は、本開示の一実施形態におけるレーザ素子の製造方法に用いられる第1基板の製造方法の一例を示す断面図である。
図26に示すように、先ず、テンプレート基板TSと、テンプレート基板TS上に結晶成長したストライプ状の複数のベース半導体部8とを備えた半導体基板10を準備する。テンプレート基板TSは、ベース基板BSを含み、ベース基板BS上にマスクパターン6が形成されていてよい。
【0075】
マスク部5は、ベース半導体部8を横方向成長させる選択成長用マスク(テンプレート基板TSの成長抑制領域)であってもよい。ベース半導体部8の厚み方向はc軸方向(<0001>方向)であってもよい。開口部Kは長手形状であり、その幅方向が、例えば窒化物半導体結晶であるベース半導体部8のa軸方向(<11-20>方向)であって、その長手方向がm軸方向であってもよい。マスクパターン6では、複数の開口部Kが、ベース半導体部8のa軸方向(X方向)に並んでいてもよい。
【0076】
ベース半導体部8は、開口部Kによってベース基板BSが露出した領域(テンプレート基板TSのシード領域)を起点として、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法によって形成することができる。ELO法には、有機金属気相成長、ハイドライド気相成長、分子線気相成長等の気相成長を適用することができる。
【0077】
例えば、マスク部5上を互いに逆方向(a軸方向)に成長する結晶同士が会合する前に成長を止めることで、ストライプ状の複数のベース半導体部8を形成することができる。隣り合うベース半導体部8のギャップGの下方にはマスク部5が位置する。
【0078】
次いで、ベース半導体部8と、ベース半導体部8上に位置する化合物半導体部9とを含む構造体JTを形成する。化合物半導体部9は、n型半導体部9N、活性部9K、およびp型半導体部9Pを含んでいてよい(
図4および
図25を参照)。構造体JTは、絶縁膜DF、第1電極E1、および第2電極E2を含んでいてよい。複数の構造体JTは、ベース半導体部8の結晶方位(例えばm軸方位)に沿ったストライプ形状を有する。化合物半導体部9はリッジRJ(凸状の電流狭窄部)を含んでもよい。ELO法で形成されたベース半導体部8においてはマスク部5上の部分が低欠陥となるため(後述)、リッジRJは、平面視でマスク部5と重なるように、m軸方向を長手方向とする長手形状としてもよい。
【0079】
次いで、テンプレート基板TS上において、複数の構造体JTを、短手方向(X方向)に平行な端面CFが各構造体JTに形成されるように分割して個体群LAを得る。マスク部5を除去した後に、複数のレーザ体LTをサブマウント基板SMに転写することにより、複数のレーザ体LTがマトリクス配置された第1基板FSを得ることができる。レーザ体LTの端面CFに誘電体膜UFを形成した後、サブマウント基板SMを分断する。ここでは、転写前にマスク部5を除去しているが、マスク部5を除去することなく転写を行ってもよい。
【0080】
テンプレート基板TSおよびサブマウント基板SMそれぞれがシリコン基板を含んでいてもよいし、炭化ケイ素基板を含んでもよい。両基板の材料が同一であれば接合精度が高められる。複数のレーザ体LTをサブマウント基板SMに転写する際に、レーザ体LTとテンプレート基板TSとの接続結晶部8Uが自然破断してもよい。もちろん、複数のレーザ体LTをサブマウント基板SMに転写する前に外力によって接続結晶部8Uを破断させてもよい。
【0081】
複数のレーザ体LTサブマウント基板SMに転写すると同時に、各レーザ体LTをサブマウント基板SMの電極パッド(P1・P2)と電気的に接続してもよい。例えば、各レーザ体LTの電極を、半田等からなる接合部(A1・A2)を介して電極パッド(P1・P2)に接続することができる。
【0082】
図27は、テンプレート基板に含まれるベース基板の構成例を示す断面図である。ベース基板BSは、ベース半導体部8と格子定数の異なる異種基板である主基板1を有してもよい。ベース半導体部8がGaN系半導体を含み、異種基板である主基板1がシリコン基板であってもよい。異種基板としては、シリコン基板のほかに、サファイア(Al
2O
3)基板、シリコンカーバイド(SiC)基板等を挙げることができる。主基板1の面方位は、例えば、シリコン基板の(111)面、サファイア基板の(0001)面、SiC基板の6H-SiC(0001)面である。これらは例示であって、ベース半導体部8をELO法で成長させることができる基板および面方位であれば何でもよい。
【0083】
ベース基板BSが、主基板1と主基板1上の下地部4とを含み、ベース半導体部8は、開口部Kに露出する下地部4の上面(シード領域)から成長してもよい。下地部4は、窒化物半導体を含んでよい。下地部4は、バッファ部およびシード部の少なくとも一方を含んでもよい。すなわち、下地部4がシード部で構成されていてもよいし、下地部4がバッファ部(主基板側)およびシード部(半導体部側)で構成されていてもよい。バッファ部としては、GaN系半導体、AlN、SiC等を用いることができる。シード部としては、窒化物半導体(例えば、GaN系半導体)を用いることができる。ベース基板BSが、GaN、SiC等の自立型単結晶基板(例えば、バルク結晶から切り出されたウェハ)で構成され、単結晶基板上にマスクパターン6が配されていてもよい。
【0084】
図28は、一構成例における半導体基板の製造方法を示す断面図である。
図28では、ベース基板BS上に、ストライプ状の複数のマスク部5を含むマスクパターン6が設けられている。マスク部5は、例えば幅52μmの積層絶縁膜(SiOx/SiNx)からなり、ベース半導体部8のm軸方向を長手方向とする。マスク部5のストライプのピッチは55μmとしている。マスクパターン6上に、例えばトリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH
3)を用いた有機金属気相成長(MOCVD)により、ベース半導体部8(窒化物半導体部)を成長させる(ELO法)。
【0085】
初期成長部8pは、ベース半導体部8の横方向成長の起点となる。初期成長部8pは、例えば、30nm~1000nmあるいは50nm~400nm、または70nm~350nmの厚さに形成することができる。初期成長部8pがマスク部5からわずかに突出している状態から横方向成長させることで、ベース半導体部8のc軸方向(厚み方向)への成長を抑え、ベース半導体部8を高速にかつ高結晶性をもって横方向成長させることができ、消費原料も低減する。これにより、低欠陥なベース半導体部8(GaN等の窒化物半導体の結晶体)を薄くかつ広く、低コストで形成することができる。
【0086】
隣り合う2つの開口部Kから逆向きに横方向成長したベース半導体部8同士がマスク部5上で接触(会合)せず、ギャップ(間隙)Gをもつことで、ベース半導体部8の内部応力を低減することができる。これにより、ベース半導体部8に生じるクラック、欠陥(転位)を低減することができる。この効果は、主基板1が異種基板である場合に特に効果的となる。ギャップGの幅は、例えば、10μm以下、5μm以下、3μm以下、または2μm以下とすることができる。
【0087】
ベース半導体部8のうち、初期成長部8p上に位置する部分は、貫通転位が多い転位継承部となり、マスク部5上の部分(ウイング部)は、転位継承部と比較して貫通転位密度が1/10以下である低欠陥部YSとなる。貫通転位とは、ベース半導体部8中を、そのc軸方向(<0001>方向)に延びる転位(欠陥)である。低欠陥部YSの貫通転位密度は、例えば、5×106〔個/cm2〕以下とすることができる。上述のように、ベース半導体部8の上方に発光部(光共振器RK)を含む活性部9Kを形成する場合は、低欠陥部YSの上方に(平面視で低欠陥部YSと重なるように)光共振器RKを配することができる。
【0088】
低欠陥部YSについては、厚みd1に対するa軸方向のサイズW1の比(W1/d1)を、例えば2.0以上とすることができる。W1/d1を、1.5以上、2.0以上、4.0以上、5.0以上、7.0以上、あるいは10.0以上とすることができる。W1/d1を、1.5以上とすることで、後工程においてベース半導体部8の分割工程(例えば、断面がm面となる分割工程)を行い易くできる。また、ベース半導体部8の内部応力が低減し、半導体基板10の反りが低減する。
【0089】
ベース半導体部8のアスペクト比(厚みに対するX方向のサイズの比=WL/d1)は、3.5以上、5.0以上、6.0以上、8.0以上、10以上、15以上、20以上、30以上、あるいは50以上とすることができる。開口部Kの幅WKに対するベース半導体部8のX方向のサイズWLの比(WL/WK)を、3.5以上、5.0以上、6.0以上、8.0以上、10以上、15以上、20以上、30以上、あるいは50以上とすることができ、低欠陥部の比率を高めることができる。
【0090】
〔附記事項〕
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【0091】
〔まとめ〕
本開示の態様1におけるレーザ素子は、サブマウント基板と、前記サブマウント基板の上方に位置するレーザ体と、前記レーザ体の光出射部を覆うガラス材とを備える。
【0092】
本開示の態様2におけるレーザ素子は、前記態様1において、前記レーザ体は光共振器を含み、前記ガラス材は、前記光共振器の第1共振器端面を覆う。
【0093】
本開示の態様3におけるレーザ素子は、前記態様2において、前記サブマウント基板の厚み方向と、前記第1共振器端面の法線方向とが直交する。
【0094】
本開示の態様4におけるレーザ素子は、前記態様2または3において、前記ガラス材は、前記第1共振器端面と対となる第2共振器端面を覆う。
【0095】
本開示の態様5におけるレーザ素子は、前記態様2から4のいずれか一態様において、前記ガラス材は、前記第1共振器端面と対向する対向部がフラット形状である。
【0096】
本開示の態様6におけるレーザ素子は、前記態様2から4のいずれか一態様において、前記ガラス材は、前記第1共振器端面と対向する対向部が湾曲形状である。
【0097】
本開示の態様7におけるレーザ素子は、前記態様6において、前記対向部が光学レンズとして機能する。
【0098】
本開示の態様8におけるレーザ素子は、前記態様5から7のいずれか一態様において、前記対向部の厚みが、1〔μm〕以上である。
【0099】
本開示の態様9におけるレーザ素子は、前記態様1から8のいずれか一態様において、前記ガラス材は、前記サブマウント基板の少なくとも一部に接する。
【0100】
本開示の態様10におけるレーザ素子は、前記態様1から9のいずれか一態様において、前記ガラス材は、前記サブマウント基板の側面全体を覆う。
【0101】
本開示の態様11におけるレーザ素子は、前記態様1から10のいずれか一態様において、前記サブマウント基板は、上面側に位置し、前記レーザ体と電気的に接続する導電性のパッドを含む。
【0102】
本開示の態様12におけるレーザ素子は、前記態様11において、前記パッドの少なくとも一部は前記ガラス材と接しない。
【0103】
本開示の態様13におけるレーザ素子は、前記態様11または12において、前記サブマウント基板は、ビアホールを介して前記パッドと電気的に接続する下面電極を含み、前記パッドが前記ガラス材で覆われている。
【0104】
本開示の態様14におけるレーザ素子は、前記態様2から13のいずれか一態様において、前記第1共振器端面は、前記サブマウント基板の側面と面一である。
【0105】
本開示の態様15におけるレーザ素子は、前記態様2から14のいずれか一態様において、前記第1共振器端面は、前記サブマウント基板の側面よりも内側に位置する。
【0106】
本開示の態様16におけるレーザ素子は、前記態様2から15のいずれか一態様において、前記サブマウント基板は、切り欠き部を含む。
【0107】
本開示の態様17におけるレーザ素子は、前記態様16において、前記レーザ体から出射したレーザ光が前記切り欠き部を通る。
【0108】
本開示の態様18におけるレーザ素子は、前記態様16または17において、前記切り欠き部に前記ガラス材が充填されている。
【0109】
本開示の態様19におけるレーザ素子は、前記態様16から18のいずれか一態様において、前記第1共振器端面は、前記切り欠き部上に位置する。
【0110】
本開示の態様20におけるレーザ素子は、前記態様1から19のいずれか一態様において、前記レーザ体の少なくとも一部は、前記ガラス材から露出している。
【0111】
本開示の態様21におけるレーザ素子は、前記態様2から20のいずれか一態様において、前記第1共振器端面が誘電体膜を含む。
【0112】
本開示の態様22におけるレーザ素子は、前記態様21において、前記誘電体膜はシリコン系絶縁膜である。
【0113】
本開示の態様23におけるレーザ素子は、前記態様1から22のいずれか一態様において、前記サブマウント基板は、シリコン基板、窒化アルミニウム基板、および炭化シリコン基板のいずれか1つを含む。
【0114】
本開示の態様24におけるレーザ素子は、前記態様1から23のいずれか一態様において、前記ガラス材は、融点600℃以下の低融点ガラスからなる。
【0115】
本開示の態様25におけるレーザ素子は、前記態様1から24のいずれか一態様において、前記サブマウント基板は、上面側に位置し、前記レーザ体と電気的に接続する導電性のパッドを含み、前記レーザ体に含まれるアノードおよびカソードの少なくとも一方と、前記パッドとがAuで構成されている。
【0116】
本開示の態様26におけるレーザ素子は、前記態様2から25のいずれか一態様において、前記レーザ体は、窒化物半導体層を含み、前記第1共振器端面は、前記窒化物半導体層のm面である。
【0117】
本開示の態様27におけるレーザモジュールは、前記態様1から26のいずれか一態様におけるレーザ素子と、前記レーザ素子を支持する支持基板とを含む。
【0118】
本開示の態様28におけるレーザモジュールは、前記態様27において、前記支持基板は回路基板である。
【0119】
本開示の態様29におけるレーザモジュールは、前記態様27または28において、前記支持基板は、トレンチ部を含み、前記レーザ体から出射したレーザ光が前記トレンチ部を通る。
【0120】
本開示の態様30におけるレーザモジュールは、前記態様27から29のいずれか一態様において、前記支持基板は、前記ガラス材に接しない。
【0121】
本開示の態様31におけるレーザ素子の製造方法は、複数のレーザ体がサブマウント基板上に設けられた第1基板を成形装置に配置する工程と、前記成形装置に溶融状態のガラス材を流し込む工程と、前記ガラス材を冷却し、前記複数のレーザ体それぞれの光出射部が固化したガラス材で覆われた第2基板を形成する工程とを含む。
【0122】
本開示の態様32におけるレーザ素子の製造方法は、前記態様31において、前記複数のレーザ体それぞれが光共振器を含み、前記第2基板では、前記光共振器の第1共振器端面が前記固化したガラス材で覆われている。
【0123】
本開示の態様33におけるレーザ素子の製造方法は、前記態様32において、前記第1共振器端面が鉛直方向に対して平行となる状態で前記ガラス材を流し込む。
【0124】
本開示の態様34におけるレーザ素子の製造方法は、前記態様32または33において、前記第1共振器端面が鉛直方向に対して垂直となる状態で前記ガラス材を流し込む。
【0125】
本開示の態様35におけるレーザ素子の製造方法は、前記態様32から34のいずれか一態様において、前記成形装置は、前記第1共振器端面と向かい合う部分が湾曲している。
【0126】
本開示の態様36におけるレーザ素子の製造方法は、前記態様31から35のいずれか一態様において、前記第2基板を個片化して複数のレーザ素子を得る。
【符号の説明】
【0127】
40 レーザ素子
E1 第1電極
EP 光出射部
F1 第1共振器端面
F2 第2共振器端面
FP 対向部
GM ガラス材
LB レーザ光
LT レーザ体
P1 第1パッド
SM サブマウント基板
SMS1 第1の側面
SMS2 第2の側面