(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122666
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】表示システム、表示方法、表示体および表示体の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240902BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240902BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240902BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240902BHJP
H10K 59/90 20230101ALI20240902BHJP
H10K 50/856 20230101ALI20240902BHJP
H10K 50/858 20230101ALI20240902BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240902BHJP
G02B 25/00 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/30
H10K50/10
H10K59/10
H10K59/90
H10K50/856
H10K50/858
G09F9/00 313
G02B25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030338
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南原 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】後藤 周作
【テーマコード(参考)】
2H087
2H149
2H199
3K107
5G435
【Fターム(参考)】
2H087KA00
2H087LA12
2H087RA45
2H087TA01
2H087TA03
2H149AA01
2H149AA02
2H149AA18
2H149BA04
2H149DA04
2H149DA12
2H149FA03W
2H149FA05X
2H149FA12Y
2H149FA12Z
2H149FA13Y
2H149FC07
2H149FD01
2H149FD02
2H149FD05
2H149FD47
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA63
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2H199CA82
2H199CA87
3K107AA01
3K107BB01
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3K107FF15
5G435BB05
5G435BB12
5G435FF03
5G435FF05
5G435GG02
5G435GG09
(57)【要約】
【課題】VRゴーグルの軽量化、高精細化を実現し得る表示システムを提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態による表示システムは、ユーザに対して画像を表示する表示システムであって、偏光部材を介して画像を表す光を前方に出射する表示面を有する表示素子と、前記表示素子の前方に配置され、反射型偏光部材を含み、前記表示素子から出射された光を反射する反射部と、前記表示素子と前記反射部との間の光路上に配置される第一レンズ部と、前記表示素子と前記第一レンズ部との間に配置され、前記表示素子から出射された光を透過させ、前記反射部で反射された光を前記反射部に向けて反射させるハーフミラーと、前記表示素子と前記ハーフミラーとの間の光路上に配置される第1のλ/4部材と、前記ハーフミラーと前記反射部との間の光路上に配置される第2のλ/4部材と、を備え、前記反射部で反射させる偏光の楕円率は0.01以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して画像を表示する表示システムであって、
偏光部材を介して画像を表す光を前方に出射する表示面を有する表示素子と、
前記表示素子の前方に配置され、反射型偏光部材を含み、前記表示素子から出射された光を反射する反射部と、
前記表示素子と前記反射部との間の光路上に配置される第一レンズ部と、
前記表示素子と前記第一レンズ部との間に配置され、前記表示素子から出射された光を透過させ、前記反射部で反射された光を前記反射部に向けて反射させるハーフミラーと、
前記表示素子と前記ハーフミラーとの間の光路上に配置される第1のλ/4部材と、
前記ハーフミラーと前記反射部との間の光路上に配置される第2のλ/4部材と、を備え、
前記反射部で反射させる偏光の楕円率は0.01以下である、
表示システム。
【請求項2】
前記第1のλ/4部材と前記第2のλ/4部材との間には空間が形成されている、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記表示素子と前記第1のλ/4部材とは一体である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記第一レンズ部と前記第2のλ/4部材とは一体である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項5】
前記第1のλ/4部材の面内位相差(a)と前記第2のλ/4部材の面内位相差(b)との差の絶対値は3.5nm以下である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項6】
前記第1のλ/4部材の遅相軸と前記第2のλ/4部材の遅相軸とのなす角度が7°以下または83°~97°となるように配置されている、請求項1に記載の表示システム。
【請求項7】
前記第1のλ/4部材および前記第2のλ/4部材のISC値は、それぞれ、50以下である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項8】
前記第1のλ/4部材および前記第2のλ/4部材の厚みは、それぞれ、100μm以下である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項9】
前記第1のλ/4部材および前記第2のλ/4部材の厚みのばらつきは、それぞれ、1μm以下である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項10】
前記第1のλ/4部材および前記第2のλ/4部材の単位厚みあたりのISC値は、それぞれ、1以下である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項11】
前記表示素子に含まれる前記偏光部材の吸収軸と前記第1のλ/4部材の遅相軸とのなす角度は40°~50°であり、
前記表示素子に含まれる前記偏光部材の吸収軸と前記第2のλ/4部材の遅相軸とのなす角度は40°~50°である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の表示システムを具備する表示体。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の表示システムを具備する表示体の製造方法。
【請求項14】
偏光部材を介して出射された画像を表す光を、第1のλ/4部材を通過させるステップと、
前記第1のλ/4部材を通過した光を、ハーフミラーおよび第一レンズ部を通過させるステップと、
前記ハーフミラーおよび前記第一レンズ部を通過した光を、第2のλ/4部材を通過させるステップと、
前記第2のλ/4部材を通過した光を、反射型偏光部材を含む反射部で前記ハーフミラーに向けて反射させるステップと、
前記反射部および前記ハーフミラーで反射させた光を、前記第2のλ/4部材により前記反射部を透過可能にするステップと、を有し、
前記反射部で反射させる偏光の楕円率は0.01以下である、
表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システム、表示方法、表示体および表示体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置およびエレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置)に代表される画像表示装置が急速に普及している。画像表示装置においては、画像表示を実現し、画像表示の性能を高めるために、一般的に、偏光部材、位相差部材等の光学部材が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
近年、画像表示装置の新たな用途が開発されている。例えば、Virtual Reality(VR)を実現するためのディスプレイ付きゴーグル(VRゴーグル)が製品化され始めている。VRゴーグルは様々な場面での利用が検討されていることから、その軽量化、高精細化等が望まれている。軽量化は、例えば、VRゴーグルに用いられるレンズを薄型化することで達成され得る。一方で、薄型レンズを用いた表示システムに適した光学部材の開発も望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み、本発明はVRゴーグルの軽量化、高精細化を実現し得る表示システムの提供を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.本発明の実施形態による表示システムは、ユーザに対して画像を表示する表示システムであって、偏光部材を介して画像を表す光を前方に出射する表示面を有する表示素子と、上記表示素子の前方に配置され、反射型偏光部材を含み、上記表示素子から出射された光を反射する反射部と、上記表示素子と上記反射部との間の光路上に配置される第一レンズ部と、上記表示素子と上記第一レンズ部との間に配置され、上記表示素子から出射された光を透過させ、上記反射部で反射された光を上記反射部に向けて反射させるハーフミラーと、上記表示素子と上記ハーフミラーとの間の光路上に配置される第1のλ/4部材と、上記ハーフミラーと上記反射部との間の光路上に配置される第2のλ/4部材と、を備え、上記反射部で反射させる偏光の楕円率は0.01以下である。
2.上記1に記載の表示システムにおいて、上記第1のλ/4部材と上記第2のλ/4部材との間には空間が形成されていてもよい。
3.上記1または2に記載の表示システムにおいて、上記表示素子と上記第1のλ/4部材とは一体であってもよい。
4.上記1から3のいずれかに記載の表示システムにおいて、上記第一レンズ部と上記第2のλ/4部材とは一体であってもよい。
5.上記1から4のいずれかに記載の表示システムにおいて、上記第1のλ/4部材の面内位相差(a)と上記第2のλ/4部材の面内位相差(b)との差の絶対値は3.5nm以下であってもよい。
6.上記1から5のいずれかに記載の表示システムにおいて、上記第1のλ/4部材の遅相軸と上記第2のλ/4部材の遅相軸とのなす角度が7°以下または83°~97°となるように配置されていてもよい。
7.上記1から6のいずれかに記載の表示システムにおいて、上記第1のλ/4部材および上記第2のλ/4部材のISC値は、それぞれ、50以下であってもよい。
8.上記1から7のいずれかに記載の表示システムにおいて、上記第1のλ/4部材および上記第2のλ/4部材の厚みは、それぞれ、100μm以下であってもよい。
9.上記1から8のいずれかに記載の表示システムにおいて、上記第1のλ/4部材および上記第2のλ/4部材の厚みのばらつきは、それぞれ、1μm以下であってもよい。
10.上記1から9のいずれかに記載の表示システムにおいて、上記第1のλ/4部材および上記第2のλ/4部材の単位厚みあたりのISC値は、それぞれ、1以下であってもよい。
11.上記1から10のいずれかに記載の表示システムにおいて、上記表示素子に含まれる上記偏光部材の吸収軸と上記第1のλ/4部材の遅相軸とのなす角度は40°~50°であってもよく、上記表示素子に含まれる上記偏光部材の吸収軸と上記第2のλ/4部材の遅相軸とのなす角度は40°~50°であってもよい。
【0007】
12.本発明の実施形態による表示体は、上記1から11のいずれかに記載の表示システムを具備する。
13.本発明の実施形態による表示体の製造方法は、上記1から11のいずれかに記載の表示システムを具備する表示体の製造方法である。
【0008】
14.本発明の実施形態による表示方法は、偏光部材を介して出射された画像を表す光を、第1のλ/4部材を通過させるステップと、上記第1のλ/4部材を通過した光を、ハーフミラーおよび第一レンズ部を通過させるステップと、上記ハーフミラーおよび上記第一レンズ部を通過した光を、第2のλ/4部材を通過させるステップと、上記第2のλ/4部材を通過した光を、反射型偏光部材を含む反射部で上記ハーフミラーに向けて反射させるステップと、上記反射部および上記ハーフミラーで反射させた光を、上記第2のλ/4部材により上記反射部を透過可能にするステップと、を有し、上記反射部で反射させる偏光の楕円率は0.01以下である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態による表示システムによれば、VRゴーグルの軽量化、高精細化を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る表示システムの概略の構成を示す模式図である。
【
図2】(a)は
図1に示す表示システムにおける光の進行の一例を説明する概略図であり、(b)は
図1に示す表示システムにおける光の偏光状態の変化の一例を説明する概略図である。
【
図3】(a)は
図1に示す表示システムにおける光の進行の別の一例を説明する概略図であり、(b)は
図1に示す表示システムにおける光の偏光状態の変化の別の一例を説明する概略図である。
【
図4】厚みのばらつきの測定方法を説明するための図である。
【
図5】ISC値の測定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、図面については、同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。
【0012】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、特段の言及がない限り、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。また、本明細書において、「略平行」は、0°±10°の範囲を包含し、好ましくは0°±5°の範囲内であり、より好ましくは0°±3°の範囲内であり、さらに好ましくは0°±1°の範囲内である。「略直交」は、90°±10°の範囲を包含し、好ましくは90°±5°の範囲内であり、より好ましくは90°±3°の範囲内であり、さらに好ましくは90°±1°の範囲内である。
【0013】
図1は本発明の1つの実施形態に係る表示システムの概略の構成を示す模式図である。
図1では、表示システム2の各構成要素の配置および形状等を模式的に図示している。表示システム2は、表示素子12と、反射型偏光部材を含む反射部14と、第一レンズ部16と、ハーフミラー18と、第一位相差部材20と、第二位相差部材22と、第二レンズ部24とを備えている。反射部14は、表示素子12の表示面12a側である前方に配置され、表示素子12から出射された光を反射し得る。第一レンズ部16は表示素子12と反射部14との間の光路上に配置され、ハーフミラー18は表示素子12と第一レンズ部16との間に配置されている。第一位相差部材20は表示素子12とハーフミラー18との間の光路上に配置され、第二位相差部材22はハーフミラー18と反射部14との間の光路上に配置されている。
【0014】
表示素子12は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであり、画像を表示するための表示面12aを有している。表示面12aから出射される光は、例えば、表示素子12に含まれ得る偏光部材(代表的には、偏光フィルム)を通過して出射され、第1の直線偏光とされている。
【0015】
第一位相差部材20は、第一位相差部材20に入射した第1の直線偏光を第1の円偏光に変換し得るλ/4部材である(以下、第一位相差部材を第1のλ/4部材と称する場合がある)。なお、第一位相差部材20は、表示素子12に一体に設けられてもよい。
【0016】
ハーフミラー18は、表示素子12から出射された光を透過させ、反射部14で反射された光を反射部14に向けて反射させる。ハーフミラー18は、第一レンズ部16に一体に設けられている。
【0017】
第二位相差部材22は、反射部14およびハーフミラー18で反射させた光を、反射型偏光部材を含む反射部14を透過させ得るλ/4部材である(以下、第二位相差部材を第2のλ/4部材と称する場合がある)。なお、第二位相差部材22は、第一レンズ部16に一体に設けられてもよい。
【0018】
第1のλ/4部材20から出射された第1の円偏光は、ハーフミラー18および第一レンズ部16を通過し、第2のλ/4部材22により第2の直線偏光に変換される。第2のλ/4部材22から出射された第2の直線偏光は、反射部14に含まれる反射型偏光部材を透過せずにハーフミラー18に向けて反射される。このとき、反射部14に含まれる反射型偏光部材に入射した第2の直線偏光の偏光方向は、反射型偏光部材の反射軸と同方向である。そのため、反射部14に入射した第2の直線偏光は、反射型偏光部材で反射される。
【0019】
反射部14で反射させる偏光(具体的には、上記第2の直線偏光)の楕円率は0.01以下であり、好ましくは0.009以下であり、より好ましくは0.007以下である。このような楕円率によれば、例えば、光漏れを抑制し、高精細化に寄与し得る。楕円率は、円偏光の短軸/長軸の比であり、例えば、完全に円偏光のときの楕円率は1であり、完全に直線偏光のときの楕円率は0である。1つの実施形態においては、楕円率は、視感度が高い(例えば、人の目が光を認識しやすい)波長550nmにて測定される。
【0020】
反射部14で反射された第2の直線偏光は第2のλ/4部材22により第2の円偏光に変換され、第2のλ/4部材22から出射された第2の円偏光は第一レンズ部16を通過してハーフミラー18で反射される。ハーフミラー18で反射された円偏光は、第一レンズ部16を通過し、第2のλ/4部材22により第3の直線偏光に変換される。第3の直線偏光は、反射部14に含まれる反射型偏光部材を透過する。このとき、反射部14に含まれる反射型偏光部材に入射した第3の直線偏光の偏光方向は、反射型偏光部材の透過軸と同方向である。そのため、反射部14に入射した第3の直線偏光は、反射型偏光部材を透過する。
【0021】
反射部14を透過した光は、第二レンズ部24を通過して、ユーザの目26に入射する。
【0022】
例えば、表示素子12に含まれる偏光部材の吸収軸と反射部14に含まれる反射型偏光部材の反射軸とは、互いに略平行に配置されてもよいし、略直交に配置されてもよい。表示素子12に含まれる偏光部材の吸収軸と第一位相差部材20の遅相軸とのなす角度は、例えば40°~50°であり、42°~48°であってもよく、約45°であってもよい。表示素子12に含まれる偏光部材の吸収軸と第二位相差部材22の遅相軸とのなす角度は、例えば40°~50°であり、42°~48°であってもよく、約45°であってもよい。
【0023】
第一位相差部材20の面内位相差Re(550)は、例えば100nm~190nmであり、110nm~180nmであってもよく、130nm~160nmであってもよく、135nm~155nmであってもよい。
【0024】
第一位相差部材20は、好ましくは、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示す。第一位相差部材20のRe(450)/Re(550)は、例えば1未満であり、0.95以下であってよく、さらには0.90未満、さらには0.85以下であってもよい。第一位相差部材20のRe(450)/Re(550)は、例えば0.75以上である。
【0025】
1つの実施形態において、第一位相差部材20は、Re(400)/Re(550)<0.85、Re(650)/Re(550)>1.03、およびRe(750)/Re(550)>1.05を全て満たす。第一位相差部材20は、0.65<Re(400)/Re(550)<0.80(好ましくは、0.7<Re(400)/Re(550)<0.75)、1.0<Re(650)/Re(550)<1.25(好ましくは、1.05<Re(650)/Re(550)<1.20)、および1.05<Re(750)/Re(550)<1.40(好ましくは、1.08<Re(750)/Re(550)<1.36)から選択される少なくとも1つを満たすことが好ましく、より好ましくは少なくとも2つを満たし、さらに好ましくは全てを満たす。
【0026】
第一位相差部材20は、好ましくは屈折率特性がnx>ny≧nzの関係を示す。ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny<nzとなる場合があり得る。第一位相差部材20のNz係数は、好ましくは0.9~3、より好ましくは0.9~2.5、さらに好ましくは0.9~1.5、特に好ましくは0.9~1.3である。
【0027】
第一位相差部材20のISC値は、例えば50以下であり、好ましくは40以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは20以下である。第一位相差部材20がこのようなISC値を満足することにより、視認性に優れた表示システムを実現することができる。例えば、このようなISC値を満足することにより、面内位相差の均一性を向上させることができ、結果として、後述する反射部での光漏れ等を抑制することができる。ISC値は、平滑性またはムラの指標となり得る。
【0028】
第一位相差部材20の厚みのばらつきは、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.8μm以下であり、さらに好ましくは0.6μm以下であり、さらにより好ましくは0.4μm以下である。このような厚みのばらつきによれば、例えば、上記ISC値を良好に達成し得る。ここで、厚みのばらつきは、位相差部材の面内に位置する第一部位の厚みと、第一部位から任意の方向(例えば、上方向、下方向、左方向および右方向)に、所定の間隔(例えば、5mm~15mm)をあけた位置の厚みを測定することにより求めることができる。
【0029】
第一位相差部材20の単位厚みあたりのISC値は、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.7以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。単位厚みあたりのISC値は、例えば、ISC値を厚み(単位:μm)で除することにより求めることができる。
【0030】
第一位相差部材20は、上記特性を満足し得る任意の適切な材料で形成される。第一位相差部材20は、例えば、樹脂フィルムの延伸フィルムまたは液晶化合物の配向固化層であり得る。なお、樹脂フィルムの延伸フィルムを位相差フィルムと称する場合がある。
【0031】
上記樹脂フィルムに含まれる樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、組み合わせて(例えば、ブレンド、共重合)用いてもよい。第一位相差部材20が逆分散波長特性を示す場合、ポリカーボネート系樹脂またはポリエステルカーボネート系樹脂(以下、単にポリカーボネート系樹脂と称する場合がある)を含む樹脂フィルムが好適に用いられ得る。
【0032】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切なポリカーボネート系樹脂を用いることができる。例えば、ポリカーボネート系樹脂は、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジオール、脂環式ジメタノール、ジ、トリまたはポリエチレングリコール、ならびに、アルキレングリコールまたはスピログリコールからなる群から選択される少なくとも1つのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、を含む。好ましくは、ポリカーボネート系樹脂は、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジメタノールに由来する構造単位ならびに/あるいはジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含み;さらに好ましくは、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、ジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含む。ポリカーボネート系樹脂は、必要に応じてその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。なお、第一位相差部材に好適に用いられ得るポリカーボネート系樹脂および第一位相差部材の形成方法の詳細は、例えば、特開2014-10291号公報、特開2014-26266号公報、特開2015-212816号公報、特開2015-212817号公報、特開2015-212818号公報に記載されており、これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0033】
上記液晶化合物の配向固化層は、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層である。なお、「配向固化層」は、後述のように液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。第一位相差部材においては、代表的には、棒状の液晶化合物が第一位相差部材の遅相軸方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。棒状の液晶化合物として、例えば、液晶ポリマーおよび液晶モノマーが挙げられる。液晶化合物は、好ましくは、重合可能である。液晶化合物が重合可能であると、液晶化合物を配向させた後に重合させることで、液晶化合物の配向状態を固定できる。
【0034】
上記液晶化合物の配向固化層(液晶配向固化層)は、所定の基材の表面に配向処理を施し、当該表面に液晶化合物を含む塗工液を塗工して当該液晶化合物を上記配向処理に対応する方向に配向させ、当該配向状態を固定することにより形成され得る。配向処理としては、任意の適切な配向処理が採用され得る。具体的には、機械的な配向処理、物理的な配向処理、化学的な配向処理が挙げられる。機械的な配向処理の具体例としては、ラビング処理、延伸処理が挙げられる。物理的な配向処理の具体例としては、磁場配向処理、電場配向処理が挙げられる。化学的な配向処理の具体例としては、斜方蒸着法、光配向処理が挙げられる。各種配向処理の処理条件は、目的に応じて任意の適切な条件が採用され得る。
【0035】
液晶化合物の配向は、液晶化合物の種類に応じて液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶化合物が液晶状態をとり、基材表面の配向処理方向に応じて当該液晶化合物が配向する。
【0036】
配向状態の固定は、1つの実施形態においては、上記のように配向した液晶化合物を冷却することにより行われる。液晶化合物が重合性または架橋性である場合には、配向状態の固定は、上記のように配向した液晶化合物に重合処理または架橋処理を施すことにより行われる。
【0037】
上記液晶化合物としては、任意の適切な液晶ポリマーおよび/または液晶モノマーが用いられる。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせてもよい。液晶化合物の具体例および液晶配向固化層の作製方法は、例えば、特開2006-163343号公報、特開2006-178389号公報、国際公開第2018/123551号公報に記載されている。これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0038】
第一位相差部材20の厚みは、好ましくは100μm以下である。具体的には、樹脂フィルムの延伸フィルムで構成される第一位相差部材20の厚みは、例えば10μm~100μmであり、好ましくは10μm~70μm、より好ましくは10μm~60μm、さらに好ましくは20μm~50μmである。また、液晶配向固化層で構成される第一位相差部材20の厚みは、例えば1μm~10μmであり、好ましくは1μm~8μm、より好ましくは1μm~6μm、さらに好ましくは1μm~4μmである。
【0039】
第二位相差部材22の面内位相差Re(550)は、例えば100nm~190nmであり、110nm~180nmであってもよく、130nm~160nmであってもよく、135nm~155nmであってもよい。
【0040】
第二位相差部材22は、好ましくは、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示す。第二位相差部材22のRe(450)/Re(550)は、例えば1未満であり、0.95以下であってよく、さらには0.90未満、さらには0.85以下であってもよい。第二位相差部材22のRe(450)/Re(550)は、例えば0.75以上である。
【0041】
1つの実施形態において、第二位相差部材22は、Re(400)/Re(550)<0.85、Re(650)/Re(550)>1.03、およびRe(750)/Re(550)>1.05を全て満たす。第二位相差部材22は、0.65<Re(400)/Re(550)<0.80(好ましくは、0.7<Re(400)/Re(550)<0.75)、1.0<Re(650)/Re(550)<1.25(好ましくは、1.05<Re(650)/Re(550)<1.20)、および1.05<Re(750)/Re(550)<1.40(好ましくは、1.08<Re(750)/Re(550)<1.36)から選択される少なくとも1つを満たすことが好ましく、より好ましくは少なくとも2つを満たし、さらに好ましくは全てを満たす。
【0042】
第二位相差部材22は、好ましくは屈折率特性がnx>ny≧nzの関係を示す。ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny<nzとなる場合があり得る。第二位相差部材22のNz係数は、好ましくは0.9~3、より好ましくは0.9~2.5、さらに好ましくは0.9~1.5、特に好ましくは0.9~1.3である。
【0043】
第二位相差部材22のISC値は、例えば50以下であり、好ましくは40以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは20以下である。第二位相差部材22がこのようなISC値を満足することにより、視認性に優れた表示システムを実現することができる。例えば、このようなISC値を満足することにより、面内位相差の均一性を向上させることができ、結果として、後述する反射部での光漏れ等を抑制することができる。ISC値は、平滑性またはムラの指標となり得る。
【0044】
第二位相差部材22の厚みのばらつきは、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.8μm以下であり、さらに好ましくは0.6μm以下であり、さらにより好ましくは0.4μm以下である。このような厚みのばらつきによれば、例えば、上記ISC値を良好に達成し得る。
【0045】
第二位相差部材22の単位厚みあたりのISC値は、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.7以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。
【0046】
第二位相差部材22は、上記特性を満足し得る任意の適切な材料で形成される。第二位相差部材22は、例えば、樹脂フィルムの延伸フィルムまたは液晶化合物の配向固化層であり得る。樹脂フィルムの延伸フィルムまたは液晶化合物の配向固化層で構成される第二位相差部材22については、第一位相差部材20と同様の説明を適用することができる。第一位相差部材20と第二位相差部材22とは、同じ構成(形成材料、厚み、光学特性等)の部材であってもよく、異なる構成の部材であってもよい。
【0047】
第二位相差部材22の厚みは、好ましくは100μm以下である。具体的には、樹脂フィルムの延伸フィルムで構成される第二位相差部材22の厚みは、例えば10μm~100μmであり、好ましくは10μm~70μm、より好ましくは10μm~60μm、さらに好ましくは20μm~50μmである。また、液晶配向固化層で構成される第二位相差部材22の厚みは、例えば1μm~10μmであり、好ましくは1μm~8μm、より好ましくは1μm~6μm、さらに好ましくは1μm~4μmである。
【0048】
上述の反射部14で反射させる偏光の楕円率は、例えば、表示素子12に含まれ得る偏光部材と、第一位相差部材20と、第二位相差部材22との積層物の楕円率として評価することができる。
【0049】
一方で、表示システム2において、第一位相差部材20と第二位相差部材22との間には空間が形成され得る。具体的には、第一位相差部材20と第二位相差部材22とは、接着剤および/または粘着剤を用いて一体化されず、第一位相差部材20と第二位相差部材22との間には空間が形成され得る。空間を介するので、例えば、第一位相差部材20の遅相軸と第二位相差部材22の遅相軸との軸合わせは困難となり得る。1つの実施形態においては、表示システム2において上記楕円率を管理することにより、高精細化、視認性の向上に大きく寄与し得る。
【0050】
上記楕円率は、例えば、第一位相差部材の面内位相差(a)と第二位相差部材の面内位相差(b)との差を調整することにより達成され得る。第一位相差部材の面内位相差(a)と第二位相差部材の面内位相差(b)との差の絶対値は、例えば3.5nm以下であり、好ましくは3.0nm以下であり、より好ましくは2.5nm以下であり、さらに好ましくは2.0nm以下であり、特に好ましくは1.5nm以下であり、最も好ましくは1.0nm以下である。1つの実施形態においては、(a)および(b)は、Re(590)の値である。
【0051】
第一位相差部材の面内位相差(a)と第二位相差部材の面内位相差(b)とは、下記式(I)を満たすことが好ましい。
((a)-(b))/((a)+(b)/2)≦0.02・・・(I)
より好ましくは((a)-(b))/((a)+(b)/2)≦0.015であり、さらに好ましくは((a)-(b))/((a)+(b)/2)≦0.01である。
【0052】
反射部14は、反射型偏光部材に加え、吸収型偏光部材を含んでいてもよい。吸収型偏光部材は、反射型偏光部材の前方に配置され得る。反射型偏光部材の反射軸と吸収型偏光部材の吸収軸とは互いに略平行に配置され得、反射型偏光部材の透過軸と吸収型偏光部材の透過軸とは互いに略平行に配置され得る。反射部14が吸収型偏光部材を含む場合、反射部14は反射型偏光部材と吸収型偏光部材とを有する積層体を含んでいてもよい。
【0053】
上記反射型偏光部材は、その透過軸に平行な偏光(代表的には、直線偏光)をその偏光状態を維持したまま透過させ、それ以外の偏光状態の光を反射し得る。反射型偏光部材の直交透過率(Tc)は、例えば0.01%~3%であり得る。反射型偏光部材の単体透過率(Ts)は、例えば43%~49%、好ましくは45%~47%であり得る。反射型偏光部材の偏光度(P)は、例えば92%~99.99%であり得る。反射型偏光部材としては、代表的には、多層構造を有するフィルム(反射型偏光フィルムと称する場合がある)で構成される。反射型偏光フィルムの市販品として、例えば、3M社製の商品名「DBEF」、「APF」、日東電工社製の商品名「APCF」が挙げられる。
【0054】
上記吸収型偏光部材は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルム(吸収型偏光膜と称する場合がある)を含み得る。吸収型偏光膜の厚みは、例えば1μm以上20μm以下であり、2μm以上15μm以下であってもよく、12μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。
【0055】
上記吸収型偏光膜は、単層の樹脂フィルムから作製してもよく、二層以上の積層体を用いて作製してもよい。
【0056】
単層の樹脂フィルムから作製する場合、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理等を施すことにより吸収型偏光膜を得ることができる。中でも、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られる吸収型偏光膜が好ましい。
【0057】
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。
【0058】
上記二層以上の積層体を用いて作製する場合の積層体としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる吸収型偏光膜は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を吸収型偏光膜とすること;により作製され得る。本実施形態においては、好ましくは、樹脂基材の片側に、ハロゲン化物とポリビニルアルコール系樹脂とを含むポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。加えて、本実施形態においては、好ましくは、積層体は、長手方向に搬送しながら加熱することにより幅方向に2%以上収縮させる乾燥収縮処理に供される。代表的には、本実施形態の製造方法は、積層体に、空中補助延伸処理と染色処理と水中延伸処理と乾燥収縮処理とをこの順に施すことを含む。補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂上にPVAを塗布する場合でも、PVAの結晶性を高めることが可能となり、高い光学特性を達成することが可能となる。また、同時にPVAの配向性を事前に高めることで、後の染色工程や延伸工程で水に浸漬された時に、PVAの配向性の低下や溶解などの問題を防止することができ、高い光学特性を達成することが可能になる。さらに、PVA系樹脂層を液体に浸漬した場合において、PVA系樹脂層がハロゲン化物を含まない場合に比べて、ポリビニルアルコール分子の配向の乱れ、および配向性の低下が抑制され得る。これにより、染色処理および水中延伸処理など、積層体を液体に浸漬して行う処理工程を経て得られる吸収型偏光膜の光学特性は向上し得る。さらに、乾燥収縮処理により積層体を幅方向に収縮させることにより、光学特性を向上させることができる。得られた樹脂基材/吸収型偏光膜の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を吸収型偏光膜の保護層としてもよく)、樹脂基材/吸収型偏光膜の積層体から樹脂基材を剥離した剥離面に、もしくは、剥離面とは反対側の面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような吸収型偏光膜の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0059】
吸収型偏光部材(吸収型偏光膜)の直交透過率(Tc)は、0.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.05%以下である。吸収型偏光部材(吸収型偏光膜)の単体透過率(Ts)は、例えば41.0%~45.0%であり、好ましくは42.0%以上である。吸収型偏光部材(吸収型偏光膜)の偏光度(P)は、例えば99.0%~99.997%であり、好ましくは99.9%以上である。
【0060】
図2は、
図1に示す表示システムにおける光の進行と偏光状態の変化の一例を説明する概略図である。具体的には、
図2(a)は当該表示システムにおける光の進行の一例を説明する概略図であり、
図2(b)は当該表示システムにおいて各部材を透過することまたは各部材に反射されることによる光の偏光状態の変化の一例を説明する概略図である。
図2中、表示素子12に付された実線の矢印は表示素子12に含まれる偏光部材の吸収軸方向を示し、第一位相差部材20および第二位相差部材22に付された矢印は遅相軸方向を示し、反射部14に含まれる反射型偏光部材14aに付された実線の矢印は反射軸方向を示し、破線の矢印は各偏光部材の透過軸方向を示す。図示例では、第一位相差部材20と第二位相差部材22とは、互いの遅相軸が略平行に配置されている。表示素子12に含まれる偏光部材の吸収軸と反射部14に含まれる反射型偏光部材14aの反射軸とは互いに略平行に配置されている。換言すれば、表示素子12に含まれる偏光部材を介して出射された光の偏光方向と反射部14に含まれる反射型偏光部材14aの反射軸とは互いに略直交とされている。
【0061】
表示素子12から偏光部材を介して第1の直線偏光として出射される光Lは、第1のλ/4部材20によって第1の円偏光に変換される。第1の円偏光は、ハーフミラー18および第一レンズ部16(
図2では図示せず)を通過し、第2のλ/4部材22により第1の直線偏光と偏光方向が直交する第2の直線偏光に変換される。第2の直線偏光は、その偏光方向が反射部14に含まれる反射型偏光部材14aの反射軸と同方向(略平行)である。よって、反射部14に入射した第2の直線偏光は、反射型偏光部材14aによってハーフミラー18に向けて反射される。
【0062】
反射部14で反射された第2の直線偏光は第2のλ/4部材22により第2の円偏光に変換される。第2の円偏光の回転方向は、第1の円偏光の回転方向と同方向である。第2のλ/4部材22から出射された第2の円偏光は第一レンズ部16を通過してハーフミラー18で反射されて、第2の円偏光と逆方向に回転する第3の円偏光に変換される。ハーフミラー18で反射された第3の円偏光は、第一レンズ部16を通過し、第2のλ/4部材22により第3の直線偏光に変換される。第3の直線偏光の偏光方向は、第2の直線偏光の偏光方向と直交しており、反射型偏光部材14aの透過軸と同方向(略平行)である。よって、第3の直線偏光は、反射型偏光部材14aを透過することができる。また、図示しないが、反射部が吸収型偏光部材を含む場合、その吸収軸が反射型偏光部材14aの反射軸と略平行になるように配置されることから、反射型偏光部材14aを透過した第3の直線偏光は、そのまま吸収型偏光部材を透過することができる。反射部14を透過した光は、第二レンズ部24を通過して、ユーザの目26に入射する。
【0063】
上述のとおり、本発明の実施形態による表示システムにおいては、表示素子12から偏光部材を介して出射された第1の直線偏光は、第1のλ/4部材20によって第1の円偏光に変換され、第2のλ/4部材22により第2の直線偏光に変換され、反射部14で反射され得る。ここで、反射部14で反射させる偏光の楕円率を0.01以下とすることにより、反射部14における光漏れを極めて良好に抑制することができ、結果として、反射部14で反射または吸収されるべき光が残像(ゴースト)としてユーザに視認されることを好適に抑制することができる。
【0064】
図2に示す例では、表示素子12側から見た場合に、第一位相差部材20および第二位相差部材22の遅相軸がともに表示素子12に含まれる偏光部材の吸収軸に対して反時計回りに所定の角度(例えば、40°~50°)をなすように配置されているが、これらが時計回りに所定の角度(例えば、40°~50°)をなすように配置されていてもよい。この場合にも、上記と同様の説明が適用できる。第一位相差部材20と第二位相差部材22とは、互いの遅相軸のなす角度が、例えば7°以下、好ましくは6°以下、より好ましくは5°以下、さらに好ましくは4°以下、さらにより好ましくは3°以下となるように配置される。第一位相差部材20の遅相軸と第二位相差部材22の遅相軸とがこのような関係を満足することにより、上記楕円率を良好に達成し得る。
【0065】
図2に示す例では、第一位相差部材20の遅相軸と第二位相差部材22の遅相軸とは互いに略平行に配置されているが、
図3に示すように略直交に配置されていてもよい。例えば、第一位相差部材20の遅相軸と第二位相差部材22の遅相軸のいずれか一方が表示素子12に含まれる偏光部材の吸収軸に対して反時計回りに所定の角度(例えば、40°~50°)をなすように配置され、他方が偏光部材の吸収軸に対して時計回りに所定の角度(例えば、40°~50°)をなすように配置されてもよい。この場合、
図2に示す例とは異なり、表示素子12に含まれる偏光部材の吸収軸と反射部14に含まれる反射型偏光部材14aの反射軸とは互いに略直交に配置され得る。そして、第一位相差部材20と第二位相差部材22とは、互いの遅相軸のなす角度が、例えば83°~97°、好ましくは84°~96°、より好ましくは85°~95°、さらに好ましくは86°~94°、さらにより好ましくは87°~93°となるように配置される。第一位相差部材20の遅相軸と第二位相差部材22の遅相軸とがこのような関係を満足することにより、上記楕円率を良好に達成し得る。
【実施例0066】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
【0067】
(1)厚み
10μm以下の厚みは、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、製品名「JSM-7100F」)を用いて測定した。10μmを超える厚みは、デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
(2)面内位相差Re(λ)
位相差フィルムの幅方向中央部および両端部を、一辺が当該フィルムの幅方向と平行となるようにして幅50mm、長さ50mmの正方形状に切り出して試料を作製した。この試料を、ミュラーマトリクス・ポラリメーター(Axometrics社製、製品名「Axoscan」)を用いて、23℃における各波長での面内位相差を測定した。
(3)偏光フィルムの単体透過率および偏光度
分光光度計(大塚電子社製、「LPF-200」)を用いて、偏光フィルムの単体透過率Ts、平行透過率Tp、直交透過率Tcを測定した。これらのTs、TpおよびTcは、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。得られたTpおよびTcから、下記式を用いて偏光フィルムの偏光度を求めた。
偏光度(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}
1/2×100
(4)厚みのばらつき
位相差フィルムを100mm×100mmのサイズに切り出して測定サンプルとした。
図4に示すように、測定サンプルの中心と中心から上下左右に各々10mm離れた4点との計5点における厚みを測定し、最大値と最小値との差を厚みのばらつきとした。
(5)ISC値
位相差フィルムについて、株式会社アイ・システム製のEyeScale-4Wを用いてISC値を測定した。具体的には、測定装置の仕様に基づいて、3CCDイメージセンサーのISC測定モードにて、面内のムラをISC値として算出した。
図5は、ISC値の測定方法を説明するための図であり、光源、位相差フィルム、スクリーン、CCDカメラの配置を上から見た概略図である。
図5に示すように、光源L、位相差フィルムM、および、スクリーンSをこの順に配置して、スクリーンSに投影された透過画像を、CCDカメラCにより測定した。なお、位相差フィルムMは、無アルカリガラス板(コーニング社製、1737)に貼り付けられ、そのガラス板が光源L側となるように配置した状態で測定に供した。
光源Lから位相差フィルムMまでのX軸方向における距離は10~60cmになるように配置した。光源LからスクリーンSまでのX軸方向における距離は70~130cmになるように配置した。CCDカメラCから位相差フィルムMまでのY軸方向における距離は3~30cmになるように配置した。CCDカメラCからスクリーンSまでのX軸方向における距離は70~130cmになるように配置した。
【0068】
[製造例1-1:位相差フィルム1の作製]
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置に、ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン29.60重量部(0.046mol)、イソソルビド(ISB)29.21重量部(0.200mol)、スピログリコール(SPG)42.28重量部(0.139mol)、ジフェニルカーボネート(DPC)63.77重量部(0.298mol)、および、触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2重量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネート系樹脂を水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。
得られたポリエステルカーボネート系樹脂(ペレット)を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み130μmの長尺状の樹脂フィルムを作製した。得られた長尺状の樹脂フィルムを、幅方向に、延伸温度140℃、延伸倍率2.7倍で延伸した。
こうして、厚みが47μmで、Re(590)が143nmであり、Nz係数が1.2である位相差フィルム1を得た。得られた位相差フィルム1のRe(450)/Re(550)は0.856であった。また、位相差フィルム1のISC値および厚みのばらつきを表1に示す。
【0069】
[製造例1-2:位相差フィルム2の作製]
延伸温度を変更した以外は製造例1-1と同様にして、位相差フィルム2を得た。得られた位相差フィルム2の厚みは47μmであり、Re(590)が147nmであり、Nz係数は1.2であり、Re(450)/Re(550)は0.856であった。また、位相差フィルム2のISC値および厚みのばらつきを表1に示す。
【0070】
【0071】
[製造例2:偏光フィルムの作製]
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用い、樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(三菱ケミカル社製、商品名「ゴーセネックスZ410」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加したものを水に溶かし、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、130℃のオーブン内で縦方向(長手方向)に2.4倍に一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる吸収型偏光膜の単体透過率(Ts)が所望の値となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
その後、約90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が約75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに接触させた(乾燥収縮処理)。乾燥収縮処理による積層体の幅方向の収縮率は5.2%であった。
このようにして、樹脂基材上に厚み約5μmの吸収型偏光膜を形成した。
得られた吸収型偏光膜の表面(樹脂基材とは反対側の面)に、保護層としてのシクロオレフィン系樹脂フィルム(厚み:25μm)を、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。具体的には、硬化型接着剤の総厚みが約1μmになるように塗工し、ロール機を使用して貼り合わせた。その後、UV光線をシクロオレフィン系樹脂フィルム側から照射して接着剤を硬化させた。次いで、樹脂基材を剥離した。
これによって、シクロオレフィン系樹脂フィルム/吸収型偏光膜の構成を有する偏光フィルムを得た。偏光フィルムの単体透過率(Ts)は43.4%であり、偏光度は99.993%であった。
【0072】
[実施例1]
λ/4部材1およびλ/4部材2として、製造例1-1で得た位相差フィルム1を2枚準備し、これらを重ね合わせ、さらに、製造例2で得た偏光フィルムを重ねて積層体1および積層体2を得た。積層体1は、偏光フィルム、λ/4部材1、λ/4部材2の順で重ね合わせた積層体であり、積層体2は、λ/4部材1、λ/4部材2、偏光フィルムの順で重ね合わせた積層体である。
隣り合うフィルムは、アクリル系粘着剤層(日東電工社製、厚み5μm)を介して重ね合わせた。重ね合せにおいて、各位相差フィルムの遅相軸と偏光フィルムの吸収軸との関係は、積層体をλ/4部材2よりもλ/4部材1側から見たときの偏光フィルムの吸収軸方向を基準(0°)とした場合、λ/4部材1の遅相軸方向の角度は-45°とし、λ/4部材2の遅相軸方向の角度は+45°とした。ここで、「+」は時計回りを意味し、「-」は反時計回りを意味する。
【0073】
[実施例2]
λ/4部材1およびλ/4部材2として、それぞれ、製造例1-1で得た位相差フィルム1のかわりに、製造例1-2で得た位相差フィルム2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0074】
[実施例3]
λ/4部材2の遅相軸方向の角度を+45°から+49°に変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0075】
[比較例1]
λ/4部材2として、製造例1-1で得た位相差フィルム1のかわりに、製造例1-2で得た位相差フィルム2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0076】
[比較例2]
λ/4部材2の遅相軸方向の角度を+45°から+53°に変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0077】
<評価>
各実施例および各比較例について、下記の評価を行った。評価結果を表2にまとめる。
1.楕円率
各実施例および各比較例の積層体1の楕円率を測定した。具体的には、ミュラーマトリクス・ポラリメーター(Axometrics社製、製品名「Axoscan」)を用いて、23℃において、波長550nmの光を積層体1の偏光フィルム側から入射させ、楕円率を測定した。
2.直交透過率Tc
各実施例および各比較例の積層体2の直交透過率を測定した。具体的には、分光光度計(大塚電子社製、「LPF-200」)を用いて、積層体2のλ/4部材1側から、偏光方向が偏光フィルムの吸収軸方向と平行である直線偏光を入射させ、直交透過率Tcを測定した。なお、Tcは、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。
【0078】
なお、実施例および比較例で作製した積層体1および積層体2は、本発明の実施形態による表示システムの簡易評価モデルである。具体的には、積層体1によれば、本発明の実施形態による表示システムにおいて、反射部14に入射するときの偏光の状態を再現し得る。上記直交透過率の評価における積層体2によれば、本発明の実施形態による表示システムにおいて、例えば、表示素子12から出射された光が第1のλ/4部材20および第2のλ/4部材22を経て反射部14に反射されずに、ゴーストの原因となり得る光の度合いを評価することができる。
【0079】
【0080】
実施例では比較例に比べて直交透過率Tcが格段に低く、このような表示システムによれば、光漏れが好適に抑制され得る。表示システムのレンズ部において(例えば、凸レンズにより)画像が拡大され得ることから、直交透過率の違いは視認性に大きく影響し得る。
【0081】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。