(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012267
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】搬送システムを有する無線綴じされた印刷製品を製造するための装置
(51)【国際特許分類】
B42C 19/08 20060101AFI20240123BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B42C19/08
B42B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114927
(22)【出願日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】10 2022 117 920.6
(32)【優先日】2022-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502200092
【氏名又は名称】ミュラー・マルティニ・ホルディング・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ロールフィング
(57)【要約】 (修正有)
【課題】クランプ要素の開放運動を選択的に可変に設定することができ、出口ゾーンでの、特にブロック厚さに関して異常なフォーマットを有する印刷製品の支持を改善する。
【解決手段】印刷製品3に応じて開放及び/又は閉鎖運動に有利に影響を与え得るために、装置2が、選択的に作動可能な第2の調整装置18を備え、この第2の調整装置が、作動位置で、旋回アーム7に作用する第2の運動成分M2を発生させ、第2の運動成分が、第1の運動成分M1によって誘起されるリンクアーム14の旋回運動とは逆方向に向いており、互いに逆方向に向いた運動成分が、旋回アームをリンクアームに対して支持する第2の機械式バネを介して補償される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送システムを有する無線綴じされた印刷製品(3)を製造するための装置(2)であって、搬送システム内で、それぞれ1つの搬送クランプ(4)内に挟持された印刷製品(3)を搬送するための複数の搬送クランプ(4)が、カムトラック(6)内を無限に循環し、各搬送クランプ(4)が、旋回アーム(7)に保持されたクランプ要素(8)を備え、このクランプ要素が、旋回アーム(7)を介して開放位置とクランプ位置の間を往復するように可動であり、装置が、リンクアーム(14)を有し、このリンクアームが、第1の終端でバネボックス(24)を介して旋回アーム(7)と結合され、第2の終端で第1の調整装置(10)と結合され、リンクアーム(14)が、第1の調整装置(10)によって発生された第1の運動成分(M1)を、バネボックス(24)を介して旋回アーム(7)に伝達し、第1の運動成分(M1)は、調整可能なクランプ要素(8)が閉鎖位置から開放位置に旋回される方向に向いており、バネボックス(24)内に、第1の機械式バネ(26)が配置され、この第1の機械式バネが、クランプ要素(8)のクランプ位置で、バネボックス(24)内に配置されたタイロッド(23)と旋回アーム(7)を介してクランプ力を挟持された印刷製品(3)に加え、タイロッド(23)が、クランプ要素(8)のクランプ位置で、旋回アーム(7)と結合された連結ロッド(22)を介して、第1の機械式バネ(26)の圧縮又は伸長によって、挟持された印刷製品(3)の異なる厚さ寸法を、旋回アーム(7)とリンクアーム(14)の間で補償するものにおいて、
装置(2)が、選択的に作動可能な第2の調整装置(18)を備え、この第2の調整装置が、作動位置で、旋回アーム(7)に作用する第2の運動成分(M2)を発生させ、第2の運動成分(M2)が、第1の運動成分(M1)によって誘起されるリンクアーム(14)の旋回運動とは逆方向に向いており、互いに逆方向に向いた運動成分(M1,M2)が、旋回アーム(7)をリンクアーム(14)に対して支持する第2の機械式バネ(28)を介して補償されること、を特徴とする装置(2)。
【請求項2】
第2の機械式バネ(28)が、バネボックス(24)内に配置され、第2の調整装置(18)が、作動位置において、旋回アーム(7)を介して、その第1の終端で第2の機械式バネ(28)と結合され、第2の機械式バネ(28)が、第2の終端においてタイロッド(23)の支持プレート(30)を介して第1の機械式バネ(26)と結合されていること、を特徴とする請求項1に記載の装置(2)。
【請求項3】
タイロッド(23)が、連結ロッド(22)を備え、この連結ロッドが、支持プレート(30)とは反対側のその終端で、ピボットジョイント(25)を介して旋回アーム(7)と不動に結合され、ピボットジョイント(25)が、ジョイントヘッド(29)に保持され、このジョイントヘッドが、旋回アーム(7)と不動に結合され、このジョイントヘッドの空間的位置が、リンクアーム(14)と旋回アーム(7)の間の相対運動時にバネボックス(24)に対して変化し、第1の機械式バネ(26)が、ジョイントヘッド(29)の側を、その外縁でバネボックス(24)の壁と不動に結合された穴付きディスク(32)よってその取付け位置に保持され、連結ロッド(22)が、穴付きディスク(32)内に存在する穴を経て案内され、第2の機械式バネ(28)が、ジョイントヘッド(29)の側を、スリーブ(31)に支持され、このスリーブが、穴付きディスク(32)内に存在する穴を貫通し、連結ロッド(22)に沿って移動可能に保持され、スリーブ(31)が、第2の調整装置(18)の不作動位置で第2の機械式バネ(28)によって穴付きディスク(32)の内縁に支持されるように保持され、スリーブ(31)が、第2の調整装置(18)の作動位置で、ジョイントヘッド(29)によって穴付きディスク(32)の内縁から持ち上げられ、第2の機械式バネ(28)のバネ力に抗してバネボックス(24)の内部空間に押し込まれるように保持されていること、を特徴とする請求項2に記載の装置(2)。
【請求項4】
機械式バネ(26,28)が、異なる力-変位曲線を備えること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項5】
第2の調整装置(18)が、ガイドトラック(20)として形成され、このガイドトラックが、循環方向の搬送クランプ(4)の循環運動の部分区間にわたってのみ延在し、旋回アーム(7)と不動に結合された制御ローラ(19)と協働すること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項6】
第2の調整装置(18)のガイドトラック(20)が、保持装置内に調整可能に保持され、調整位置の少なくとも1つで、搬送クランプ(4)の旋回アーム(7)と結合された制御ローラ(19)が、ガイドトラック(20)を接触することなく通過すること、を特徴とする請求項5に記載の装置(2)。
【請求項7】
保持装置(38)が、モータ式の駆動装置(40)を備え、このモータ式の駆動装置により、第2の調整装置(18)が可動であること、を特徴とする請求項6に記載の装置(2)。
【請求項8】
モータ式の駆動装置(40)が、電子式の遠隔制御装置(42)と接続されていること、を特徴とする請求項7に記載の装置(2)。
【請求項9】
ガイドトラック(20)の走行面が、少なくとも開始領域内を耐衝撃性のプラスチックから構成されていること、を特徴とする請求項8に記載の装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムを有する無線綴じされた印刷製品を製造するための装置であって、搬送システム内で、それぞれ1つの搬送クランプ内に挟持された印刷製品を搬送するための複数の搬送クランプが、カムトラック内を無限に循環し、各搬送クランプが、旋回アームに保持されたクランプ要素を備え、このクランプ要素が、旋回アームを介して開放位置とクランプ位置の間を往復するように可動であり、装置が、リンクアームを有し、このリンクアームが、第1の終端でバネボックスを介して旋回アームと結合され、第2の終端で第1の調整装置と結合され、リンクアームが、第1の調整装置によって発生された第1の運動成分を、バネボックスを介して旋回アームに伝達し、第1の運動成分は、調整可能なクランプ要素が閉鎖位置から開放位置に旋回される方向に向いており、バネボックス内に、第1の機械式バネが配置され、この第1の機械式バネが、クランプ要素のクランプ位置で、バネボックス内に配置されたタイロッドと旋回アームを介してクランプ力を挟持された印刷製品に加え、タイロッドが、クランプ要素のクランプ位置で、旋回アームと結合された連結ロッドを介して、第1の機械式バネの圧縮又は伸長によって、挟持された印刷製品の異なる厚さ寸法を、旋回アームとリンクアームの間で補償するものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な装置は、欧州特許出願公開第3954542号明細書から知られている。そこには、無線綴じされた印刷製品、特にブックブロックを製造するための機械が開示されている。装置は、無限に循環するクランプチェーンに多数の搬送クランプが固定されている、搬送システムを有する。各搬送クランプは、旋回可動なクランプ要素を構成するクランプジョーを有する。クランプジョーは、印刷製品が搬送クランプに収容される導入ゾーンの領域で、搬送クランプへの印刷製品の導入後、閉鎖位置で印刷製品を挟持するために閉鎖される。次に、搬送システムにより、搬送クランプに挟持された印刷製品は、装置によって搬送され、印刷製品は、搬送経路上で適当な機械によって加工される。印刷製品が、装置内に存在する全ての加工ステーションを通過したら、印刷製品は、導出ゾーン内で装置から再び搬出することができる。このため、クランプジョーが開放されるので、導出ゾーン内の印刷製品は、もはや搬送クランプに挟持されていない。
【0003】
クランプジョーの運動は、第1の調整装置の例としてのカムトラックを介して制御され、このカムトラック上を、各搬送クランプのために、リンクアームを介してそれぞれの搬送クランプに属するクランプジョーと結合された少なくとも1つのローラが転動する。カムトラックが、装置を経る印刷製品の搬送区間に沿ったその移動中に、搬送チェーン又はクランプカムトラックの推移に対してその向き及び/又はその空間的位置を変化させることによって、カムトラックは、搬送チェーンの循環運動中に、搬送チェーンの推移に対してその向き及び/又はその区間的位置が変化する箇所で、カムトラック上を移動するローラとこのローラと結合されたリンクアームに対して調整パルスを発生させる。運動成分としての調整パルスにより、クランプジョーの旋回位置は、調整装置によって設定された所望の方向に変化する。その推移に沿ったカムトラックの向き及び空間的位置を介して、クランプジョーの開放運動及び閉鎖運動を正確に制御することができるだけでなく、クランプジョーをその開放位置又は閉鎖位置に保持することもできる。導入ゾーンと導出ゾーンの間で、それぞれのクランプジョーは、関連する搬送クランプ内に存在する付加的なロック装置を介してその閉鎖位置に保持することもできるので、印刷製品は、装置を経るその搬送経路に沿って及び特に装置での加工中に、搬送クランプに挟持されている。搬送中、印刷製品は、搬送クランプによって両側から良好に支持及び案内されている。
【0004】
クランプジョーの閉鎖位置は、印刷製品のそれぞれの寸法に個々に適合させることができる。いずれにしてもそのために搬送クランプを適切な寸法に適合させる必要なく、装置内で異なる厚さを有する印刷製品を処理し得るため、欧州特許出願公開第3954542号明細書には、リンクアームと、クランプジョーが固定された旋回アームとの間に、機械式の締付けバネを長さ可変のコネクタとして配置することが開示されているが、この締付けバネの締付け力は、クランプジョーの閉鎖運動とは反対方向に向いており、従って、締付けバネは、挟持すべき印刷製品上へのクランプジョーの配置以降に締付け力を増大させ、この締付け力により、印刷製品は、搬送クランプ内に保持されている。即ち、回転軸上の旋回アームの回転可能な支承と、旋回アームとリンクアームと不動に結合されたバネボックスとの間のピボットジョイントは、リンクアームに対して相対的に旋回アームを回転させることを可能にするのに対し、機械式の締付けバネは、旋回アームをその締付け力を介して初期位置に保持するが、クランプ要素が印刷製品に押し付けられると、圧縮運動も許容する。印刷製品が特に厚いために、クランプジョーが閉鎖運動中に挟持すべき印刷製品に早期に当接すると、それにもかかわらず、リンクアームは、更に、カムトラックによって設定されたその最大の閉鎖位置に旋回されるが、それは、その場合、旋回アームは、この旋回アームに固定されたクランプジョーと共に、もはや更に印刷製品に向かって移動するのではなく、リンクアームの旋回運動が機械式の締付けバネに導入されるからであり、この機械式の締付けバネの長さは、クランプ要素から旋回アームの回転軸までの旋回アームのレバーアームと、旋回アームの回転軸からバネボックスとの結合部までの旋回アームのレバーアームとに関する、リンクアームによって発生される運動成分の伝達比に一致するように、変化する。この場合、締付けバネは、例えば1mmから30mmの間のブロック厚さに対して所望の締付け力をほぼ同じに保つように寸法設定されている。即ち、このようにして、締付けバネは、その圧縮ストロークを介して印刷製品の異なる厚さを補償することができる。締付けバネの他の設計も可能である。その場合、この厚さ範囲で、設定の個々の再調整は必要ない。長さ可変のコネクタは、クランプ要素の閉鎖位置で、クランプ力を印刷製品に加える。
【0005】
印刷製品のフォーマット、厚さ及び紙種類に応じて、クランプジョーの開放後に印刷製品がもはや十分にまとまりを保てず、後続の搬送システムによって引き取られ、支持され、搬出される前に、搬送クランプから非制御で抜け出得ることが、完全には排除されていない。この問題は、特に、印刷製品を搬送クランプに収容すること又は印刷製品を再び引き渡すことができるように、クランプジョーがより長い調整経路にわたって移動される搬送システムの場合に生じ得るが、それは、このような搬送システムにおけるクランプジョーは、比較的大きい調整経路を進まなければならないからであり、この調整経路は、このような装置で普通の搬送速度では強制的に案内されるカムトラック制御を含めて任意に設定することができない。クランプジョーが厚い印刷製品を未だ挟持しているのに対し、旋回アームに対するリンクアームの開放運動が機械式バネを介して補償されるために、第1の調整装置はリンクアームを既に開放位置に移動させるので、薄い印刷製品の場合の開放位置の方向のリンクアームの同じ運動は、ほぼ直接的に、クランプ要素が、印刷製品から持ち上げられ、これにより、印刷製品の薄い厚さが機械式バネを介して補償されていないために、印刷製品が、更なる解放運動時にもはや挟持されていないことを生じさせる。従って、強制的に制御を行なうカムトラックを設定する運動プロファイルは、機械式バネを介して印刷製品の異なる厚さの一般的な補償をする際に、常に、印刷製品のそれぞれ異なるフォーマットのための最適な運動である異なる可能な運動プロファイルの間の妥協点を表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3954542号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の根底にある課題は、クランプ要素の開放運動を選択的に可変に設定することができ、これにより、出口ゾーンでの、特にブロック厚さに関して異常なフォーマットを有する印刷製品の支持を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、装置が、選択的に作動可能な第2の調整装置を備え、この第2の調整装置が、作動位置で、旋回アームに作用する第2の運動成分を発生させ、第2の運動成分が、第1の運動成分によって誘起されるリンクアームの旋回運動とは逆方向に向いており、互いに逆方向に向いた運動成分が、旋回アームをリンクアームに対して支持する第2の機械式バネを介して補償されること、によって解決される。
【0009】
本発明による装置では、リンクアームの、これにより回転軸及びバネボックスを介して結合された、クランプ要素が固定された旋回アームの開閉運動の制御は、従来技術から既に知られているのと同様に第1の調整要素を介して行なわれる。この場合、旋回アームは、既知のように、バネボックス内に存在する機械式バネに抗して圧縮することができ、これにより、搬送クランプに保持された印刷製品の異なる厚さを補償する。しかしながら、第2の調整装置は、1次開放運動が第1の調整装置によって常に強制的に制御され、可変でない場合であっても、第1の調整装置によって誘起されるリンクアームの開放運動を、旋回アームの実際の開放運動への、これによりクランプ要素の運動へのその影響に関して可変であるように設定する可能性を提供する。即ち、リンクアームは、常に、第1の調整装置によって設定されたように移動し、リンクアームと結合された旋回アームの運動は、第2の調整装置が作動しているか否かに、従ってそれに第2の運動成分が作用するか否かに依存する。
【0010】
特に、薄い印刷製品又は非常に平滑な表面を有する印刷製品の場合、開放運動は、印刷製品が搬送クランプに不動に挟持及び支持されていない時相を短縮するために、第1の調整装置によって発生された第1の運動成分とは反対の第2の運動成分によって相殺するか、少なくとも減速させることができる。クランプ要素がもはや印刷製品に押し付けられてはいないが、印刷製品に対して僅かな間隔を置いて保持されているように、第2の運動成分を設定することも可能であり、これにより、印刷製品が後続の搬出機構に引き渡される前に、印刷製品の良好な支持が依然として得られる。このため、第2の調整装置によって発生された運動成分は、適切な値に設定され、これは、旋回アームの開放運動の過程にわたって可変であり得る。
【0011】
両調整装置の運動成分は、その形態に応じて、ある程度の時相にわたって少なくとも部分的に互いに相殺するので、第2の調整装置が、第2の調整装置によって発生された第2の運動成分を、クランプ要素を固定した旋回アームの運動プロセスに導入する場合及びその限りにおいて、クランプ要素が、全く開かないか、少なくともゆっくりと開く。搬送クランプがその循環中にクランプ力を減少させ、部分的に開き、これにより、印刷製品が搬出機構によって引き取られる前に少なくとも少量だけ印刷製品から持ち上げられるか、第1の調整要素によって設定された最大の幅まで完全に開く時点は、第2の調整装置の運動成分によって後方に移動されるか、他の方法で有利に影響受けることができる。
【0012】
第2の調整装置が選択的に作動可能であることにより、第2の運動成分は、所望であれば、旋回アームの開放運動に導入することができる。例えば薄い印刷製品が装置内で処理される場合、第2の運動成分は、それぞれの印刷製品を、後続の搬出機構に引き渡す前に、搬送クランプ内により長く保持するために使用される。これは、搬送クランプがいずれにしても薄い印刷製品に対して非常に遅く開く厚い印刷製品の場合には異なり、ここで、開放運動の更なる遅延は無意味であり、おそらく、後続の搬出機構に印刷製品を問題なく引き渡すために逆効果となる。第2の調整装置が停止されている場合、第1の調整装置による旋回アームの開放運動の制御は、完全に十分である。第2の調整装置の作動は、オペレータによる操作コマンドの入力によって行なうことができるか、第2の調整装置は、例えば、加工される印刷製品のブロック厚さにより、第2の調整装置を作動させるか否かを決定するソフトウエアプログラムによって、ソフトウエア制御及び自動化されて作動される。
【0013】
第2の調整装置は、任意に、例えばベース機械と不動に結合されたリンクトラックとして形成することができ、このリンクトラック上を、支持ローラが転動し、この支持ローラが、旋回アームと不動に結合されたレバーアームを操作し、このレバーアームが、その旋回位置の変更時に運動成分を旋回アームに導入する。この場合、第2の調整装置は、薄い印刷製品及び/又は平滑な紙を含む印刷製品の改善された引渡しを達成するため、必要に応じて、第2の運動成分を搬送クランプの開放プロセスに導入するように形成される。
【0014】
第1と第2の運動成分は、第1の運動成分がリンクアームを上に旋回させ、第2の運動成分が旋回アームを閉鎖位置の方向に移動させることにより、互いに対向するように向けられているので、これら対向運動は、搬送クランプの部品への損傷を回避するために可動の構成要素によって補償されなければならない。これは、旋回アームをリンクアームに対して支持する第2の機械式バネを介して可能である。機械式バネは、対向運動を長さ変化によって補償するために適した長さ可変の構成要素である。機械式バネは、そのバネ特性によってそれぞれの適用例に正確に適合するように設計することができる。これらは、ほぼメンテナンスフリーで動作し、別個の駆動装置を必要としない。これらは、コンパクトで、それぞれの搬送クランプに容易に取り付けることができる。
【0015】
長さ変化時、機械式バネには、第2の運動成分がなくなった時に、旋回アームを自動的に再びその初期位置に戻すために利用することができる復元力が構成される。配置方式に応じて、第2のバネは、第2の運動成分によってその取付け位置で圧縮又は伸長される。
【0016】
基本的に、本発明を実現するため、機械式バネの代わりに他の長さ可変の要素を、例えば能動的に、例えば強力な磁石、電気モータ又は油圧モータによって力で操作されて長さを調整可能な要素を、コネクタとして使用すること、油圧式又は空気圧式の室に連結された調整シリンダ又は電気的に駆動されるアクチュエータを、ホース又は弾性的な材料から成る他の物体として使用すること、も可能である。しかしながら、この場合、バネの代わりに使用される要素に駆動力を提供することは、困難であり得る。
【0017】
本発明の1つの形態によれば、第2の機械式バネが、バネボックス内に配置され、第2の調整装置が、作動位置において、旋回アームを介して、その第1の終端で第2の機械式バネと結合され、第2の機械式バネが、第2の終端でタイロッドの支持プレートを介して第1の機械式バネと結合されている。第2の調整装置が非作動位置にあるとき、第2の調整装置は、旋回アームに対して運動成分を発生させず、従って、第2の機械式バネとも結合されていない。第2の調整装置が作動位置にあり、これにより運動成分を旋回アームの旋回運動に導入すると、両機械式バネは、第1と第2の調整装置がそれぞれ発生させる運動成分をバネボックス内で互いに合計する。互いに結合された機械式バネは、長さ可変であるので、バネボックス内のバネの伸び及び/又は縮みを介して、第1と第2の調整装置によって発声される運動成分の合計から成るクランプ要素の調整運動を発生させる。第1の調整装置によって発生される閉鎖及び開放運動時に、機械式バネは、旋回アームがリンクアームに対して相対的に移動する限り、タイロッドを介して同じ方向に移動する。第2の調整装置が、開放運動の範囲内で第2の運動成分を発生させる場合、第2の機械式バネは、第2の運動成分を旋回アーム作用させる程度の分だけ、場合によっては旋回アームによる伝達比の分だけ補正して、第1の機械式バネに依存せずに移動する。
【0018】
本発明の1つの形態によれば、タイロッドが、連結ロッドを備え、この連結ロッドが、支持プレートとは反対側のその終端で、ピボットジョイントを介して旋回アームと不動に結合され、ピボットジョイントが、ジョイントヘッドに保持され、このジョイントヘッドが、旋回アームと不動に結合され、このジョイントヘッドの空間的位置が、リンクアームと旋回アームの間の相対運動時にバネボックスに対して変化し、第1の機械式バネが、ジョイントヘッドの側を、その外縁でバネボックスの壁と不動に結合された穴付きディスクよってその取付け位置に保持され、連結ロッドが、穴付きディスク内に存在する穴を経て案内され、第2の機械式バネが、ジョイントヘッドの側を、スリーブに支持され、このスリーブが、穴付きディスク内に存在する穴を貫通し、連結ロッドに沿って移動可能に保持され、スリーブが、第2の調整装置の不作動位置で第2の機械式バネによって穴付きディスクの内縁に支持されるように保持され、スリーブが、第2の調整装置の作動位置で、ジョイントヘッドによって穴付きディスクの内縁から持ち上げられ、第2の機械式バネのバネ力に抗してバネボックスの内部空間に押し込まれるように保持されている。バネボックスを介する旋回アームとリンクアームの結合のこの形態の場合、バネボックスの旋回アーム側の部分は、第1の調整装置がリンクアームを旋回アームとこの旋回アームに固定されたクランプ要素と共に印刷製品に配置した時に、タイロッドが、両機械式バネの締付け力を旋回アームに伝達し、ジョイントヘッドが、スリーブを、第2の運動成分に応じた調整経路の分だけバネボックスの内部空間に押し込み、これにより、バネボックスが線カーアームをリンクアームに保持するレバーを短縮するように、形成されている。短縮された調整経路を介して、第1の運動成分は、部分的に又は完全に補償され、しかも、これは、ジョイントヘッドによってスリーブに伝達される第2の運動成分による。第1の運動成分と、存在するのであれば第2の運動成分の旋回アームへのバネボックスを介して組み合わされたこの伝達は、技術的に簡単であるが安価な、機械的に確実に機能しかつほぼメンテナンスフリーの方法で可能である。
【0019】
本発明の1つの形態によれば、機械式バネが、異なる力-変位曲線を備える。異なる力-変位曲線により、機械式バネが、調整装置の運動成分-この運動成分に、このバネは反応すべきでない-に反応することが防止される。従って、第1の機械式バネだけが第1の調整装置によって発生された運動成分に基づいてその長さを変化させる場合は望ましくないが、その操作時に、第2の機械式バネも共に移動し、その長さを変化させる。例えば、第2の機械式バネが、第1の機械式バネの操作力よりも著しく小さい操作力を有するバネ特性を備える場合、第2の機械式バネは、第2の調整装置によって作動される時にだけその長さを変化させる。このようにして、異なる力-変位曲線から、運動成分に応じて望まれたバネだけがその長さを変化させる一義的な運動特性が得られる。特に、異なる力-変位曲線の場合、第2の機械式バネに小さいバネ力を備えさせることも可能であり、これにより、第2の調整装置は、第2の運動成分を旋回アームの運動プロセスに導入するために、相応に小さい操作力しか発生させる必要がない。小さい操作力により、第2の調整装置は、僅かな摩耗にさらされ、より軽量にかつより安価に構成することができ、より僅かな質量しか移動させかつより僅かな力しか発生させる必要がないので、調整運動はより正確になる。
【0020】
本発明の1つの形態によれば、第2の調整装置が、ガイドトラックとして形成され、このガイドトラックが、循環方向の搬送クランプの循環運動の部分区間にわたってのみ延在し、旋回アームと不動に結合された制御ローラと協働する。第2の調整装置は、特に、装置の出口ゾーンの領域にのみ配置することができる。これにより、搬送クランプは、残りの部分区間内では、第1の調整装置を介してのみ制御することができる。制御ローラは、第2の調整装置が作動された時にのみガイドトラック上を転動する。ガイドトラック上を転動する制御ローラを介して、簡単で、確実で、正確に第2の運動成分を発生させ、旋回アームに伝達することができる。制御ローラを含めたガイドトラックは、低メンテナンスで、長い耐用年数を備える。
【0021】
本発明の1つの形態によれば、第2の調整装置のガイドトラックが、保持装置内に調整可能に保持され、調整位置の少なくとも1つで、搬送クランプの旋回アームと結合された制御ローラが、ガイドトラックを接触することなく通過する。第2の調整装置の調整可能な保持により、第2の調整装置は、特に、第2の調整装置が調整位置の少なくとも1つで運動成分を発生させず、これにより非作動である異なる調整位置の間を往復するように移動させることができる。非作動の調整位置で、第2の調整装置は、第2の運動成分を発生させない。このような設定により、例えば、平均的な又は平均以上の厚さのブロック厚さを有する印刷製品を製造することができる。重要な印刷製品、例えば非常に薄いブロック厚さを有する印刷製品が装置によって処理される場合、第2の調整装置は、第1の長さ可変のコネクタの移動運動が少なくとも部分的に補償される調整位置に移動することができる。第2の調整装置の調整は、段階的に又は無段階に行なうことができる。所定の位置への第2の調整装置の移動を介して、第2の調整装置をクランプ要素の運動プロセスに導入する運動成分の大きさに影響を与えることができる。第1の調整装置が発生させる運動成分に加えて、第2の調整装置の適切な位置決め時に、それぞれ処理される印刷製品の機能的な要求に最適に適合したクランプ要素の運動プロファイルが得られる。
【0022】
本発明の1つの形態によれば、保持装置が、モータ式の駆動装置を備え、このモータ式の駆動装置により、第2の調整装置が可動である。駆動装置は、電気式のスピンドル機構、油圧式のピストン駆動装置等であり得る。モータ式の駆動装置は、特に、利用中に第2の調整装置用の支持装置として使用することもできる。モータ式の駆動装置により、第2の調整装置、特にガイドトラックは、それぞれ処理される印刷製品の機能的な要求に正確に適合したクランプ要素の運動プロファイルを提供する所定の運動成分を発生させる位置にもたらすことができる。
【0023】
本発明の1つの形態によれば、モータ式の駆動装置が、電子式の遠隔制御装置と接続されている。遠隔制御装置は、例えば、印刷製品の処理時に、この印刷製品にとって特に適した第2の調整装置の調整位置用の所定の目標値を設定することができる。遠隔制御装置は、制御電子機器に目標値用の値をマニュアルで入力することによって作動させることができるが、目標値は、例えば遠隔制御装置と接続された適切なセンサシステムのセンサ値によって、又は、印刷製品の前の加工から生じた又は目盛から取得したb印刷製品用のフォーマット情報によって、自動的に決定することもできる。装置が印刷製品の製造における部分機能をカバーする、装置又は機械チェーンの制御及び調整全体への遠隔制御装置の相応の統合時、モータ式の駆動装置の相応の調整は、稼働中の機械でも、ロットサイズ1まで、装置の運転中断なく行なうことができる。
【0024】
本発明の1つの形態によれば、ガイドトラックの走行面が、少なくとも開始領域内を耐衝撃性のプラスチックから構成されている。耐衝撃性のプラスチックは、金属材料から成る表面よりも少ない運転騒音を発生させる。しかしながらまた、耐衝撃性のプラスチックは、表面材料内の振動又は連結ロッドの運動が生じるほど弾性的でない。耐衝撃性のプラスチックは、繊維強化して形成することができる。
【0025】
前記の形態のそれぞれは、技術的に実施可能である限り、本願の請求項1対象と単独で組み合わせることも、互いに任意に組み合わせて組み合わせることもできることは言うまでもない。
【0026】
本発明の別の変容及び形態は、後続の具体的な説明、特許請求の範囲及び図面から読み取ることができる。
【0027】
本発明を、実施例により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】バネボックスの断面図を含めた搬送クランプの断面図
【
図4】
図3に図示したバネボックスの上及び下の終端の部分拡大図(4A及び4B)
【
図5】第1の調整装置の調整位置が変化した
図3による断面図
【
図6】
図4に図示したバネボックスの上及び下の終端の部分拡大図(6A及び6B)
【
図7】第1の調整装置の調整位置が更に変化したかつ第2の調整装置による第2の運動成分を付加した
図3による断面図
【
図8】
図7に図示したバネボックスの上及び下の終端の部分拡大図(8A及び8B)
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、搬送システムを有する無線綴じされた印刷製品を製造するための装置2を示し、搬送システム内で、それぞれ1つの搬送クランプ4内に挟持された印刷製品3を搬送するための複数の搬送クランプ4が、カムトラック6内を無限に循環し、各搬送クランプ4が、調整可能なクランプ要素8を備え、このクランプ要素が、開放位置とクランプ位置の間を往復するように可動である。
【0030】
クランプ要素8の旋回は、
図2に示したリンクアーム14によって継続的に制御され、このリンクアームは、その第1の終端で、バネボックス24と結合されている。回転軸16上に、旋回アーム7は、リンクアーム14に依存せずに回転可動に支承されている。旋回アーム7は、プレート-その終端にジョイントヘッド29が存在する-とピボットジョイントを介してバネボックス24と結合されている。旋回アーム7の下端に、クランプ要素8が配置されている。その第2の終端で、リンクアーム14は、ローラ12を備えており、このローラは、カムトラック6の周囲を搬送クランプ4が循環する際に、カムトラック6に沿って循環する。カムトラック6とローラ12は、この実施例では共に第1の調整装置10を構成する。リンクアーム14の旋回可動性は、二重矢印によって示されている。関連する搬送クランプ4の移動経路から逸脱する方向にローラ12が移動すると、これは、第1の運動成分M1を発生させ、この第1の運動成分は、リンクアーム14とバネボックス24を介して旋回アーム7に伝達され、旋回アームが、運動成分M1を旋回運動に変換する。
【0031】
クランプ要素8は、
図2には、部分的に開放された位置で示され、この位置で、クランプ要素8は、いまだ印刷製品3の表面に載っていない。この位置から、搬送クランプ4なーで搬送される印刷製品3を図面で詳細には図示してない搬出機構に引き渡すために、矢印方向に開放運動が継続されると右方に更に旋回させることができる。
【0032】
装置2は、クランプ要素8の空間的な位置に影響を与えるための第2の調整装置18を備える。第2の調整装置18は、第1の調整装置10によって発生された運動成分の運動方向とは反対の方向の第2の運動成分M2を発生させる。この運動成分を発生し得るために、第2の調整装置18は、ガイドトラック20を有し、このガイドトラックは、搬送クランプ4の搬送方向に、搬送クランプ4の循環運動の部分区間にわたってのみ形成され、これにより、この部分区間にのみ、相応の第2の運動成分M2を発生させる。これは、制御ローラ19が、ガイドトラック20へのその接近時に、このガイドトラック上に乗り上げ、この場合、搬送クランプ4の搬送方向に対して横に位置する方向に押されることによって行なわれる。制御ローラ19は、制御ローラ19によって発生された第2の運動成分を旋回アーム7に伝達するレバーアーム21と不動に結合されている。
【0033】
図3は、バネボックス24の断面図を含めた搬送クランプ4の断面図を示し、
図4A及び4Bは、
図3に図示したバネボックス24の上及び下の終端の部分拡大図を示す。
図3で、第2の調整装置18は、非作動位置に存在し、これは、ガイドトラック20と制御ローラ19の間のスペースにて認められる。従って、旋回アーム7の旋回運動の制御に、第2の運動成分M2は導入されない。
図3に示した旋回アーム7の旋回位置は、第1の調整装置10による第1の運動成分M1だけによって決定されている。
【0034】
図3に示した旋回アーム7の旋回位置で、クランプ要素8は、印刷製品3の表面に押し付けられるように保持されている。搬送クランプ4の対向する当接面に対するクランプ要素8の間隔は、位置Iで、印刷製品3の厚さ寸法34に一致する。クランプ要素8を印刷製品3上に保持する押付け圧力は、タイロッド23が機械式バネ26,28を圧縮する力から得られる。タイロッド23の機能性は、
図4A及び4Bにより良好に理解可能である。リンクアーム14の押付け運動の第1の部分により、クランプ要素8は、まず、単に印刷製品3の表面上に配置される。しかしながら、第2の部分で、リンクアーム14がその押付け運動を継続すると、旋回アーム7は、リンクアーム14に対する搬送クランプ4の回転軸16を中心とする回転運動によって折れ、内側に2つの機械式バネ26,28の終端を支持する支持プレート30は、旋回アーム7によって、ジョイントヘッド29と、ピボットジョイント25と、連結ロッド22を介して、その座から内方にバネボックス24内に引き込まれる。連結ロッド22は、ピボットジョイント25を介して回転可動であるが、ジョイントヘッド29を介して旋回アーム7と結合されている。支持プレート30が、引き込まれたその位置でその座から有する間隔は、
図4Bの拡大
図Bの位置IVにて認められる。印刷製品3が、
図3に示したよりも大きい厚さ寸法34を有する場合、タイロッド23は、クランプ要素8が印刷製品3上に配置した後、リンクアーム14がその終端位置に達するまで、リンクアーム14のより大きい残りの移動区間を吸収しなければならず、これにより、支持プレート30は、バネボックス24内に深く引き込まれる。薄い印刷製品3の場合、支持プレート30は、搬送クランプ4が閉じた時に、バネボックス24内に入り込む深さが小さくなるか全く入り込まない。
【0035】
この場合、支持プレート30がその座から有する間隔は、ジョイントヘッド29がスリーブ31から有しかつ
図4Aの位置IIにて認められる間隔に一致する。スリーブ31は、軸方向に可動に連結ロッド22に取り付けられている。スリーブは、
図4Aに示したその位置で、第2の機械式バネ28によって穴付きディスク32の内側に押し付けられるように保持されるので、穴付きディスク32の無い表面に対するスリーブ31の外側のシートリングの間隔は、
図4Aの位置IIIにて示したようにゼロに等しい。
図3に示した旋回アーム7の旋回位置の場合、第2の運動成分は作用しないので、第1と第2の運動成分の間の短縮された調整経路を補償する必要はない。
【0036】
図5は、搬送クランプ4を開放する方向の第1の運動成分M1により第1の調整装置10の調整位置が
図3に対して変化した
図3による断面図を示す。この場合、第2の調整装置18は、更に、制御ローラ19とガイドトランク20の間のギャップからわかるように、非作動である。リンクアーム14が第1の調整装置10及びこの第1の調整装置によって誘起される第1の運動成分M1によって制御されて再び開放されると、まず、タイロッド23の支持プレート30は、搬送クランプ4の閉鎖時に、旋回アーム7がその開放運動を開始する前にその座から離れた時に、その座上に再び戻る。その際に旋回アーム7が存在する旋回位置が、
図5に示されている。クランプ要素8は、位置Iで、依然として印刷製品3の表面に載っており、旋回アーム7の位置は、
図3に示した位置に対して、
図5に示した位置において未だ変化していない。しかしながら
図6A及び6Bの拡大図が示すように、支持プレート30は、
図6Bの位置IVで示したように、バネボックス24内のその座上に再び戻っており、ジョイントヘッド29とスリーブ31の端面との間の間隔も、
図6Aの位置IIからわかるように、ゼロに減少している。
図6Aの位置IIIに記入された間隔から認められるように、スリーブ31は、移動しておらず、このスリーブは、そのシートリングによって更に穴付きディスク32に対してゼロの間隔で保持されている。
【0037】
図7は、第1の調整装置10の調整位置が更に変化したかつ第2の調整装置18による第2の運動成分M2を付加した
図3による断面図を示す。
図7では、制御ローラ19が、ガイドトラック20上に配置され、これにより、第2の調整装置18が第2の運動成分M2を旋回アーム7の運動に導入することが認められる。第1の調整装置10も、
図5の位置に対して更に搬送クランプ4を開放する方向に移動している。支持プレート30が
図5で既に再びバネボックス24内のその座に達しており、これを、
図8Bの位置IVにて認められるように
図7に示した旋回位置に維持するので、旋回アーム7は、リンクアーム7の更に進んだ開放運動によって、
図7で位置Ibにて記入した印刷製品3の表面からのクランプ要素8のその間に達した間隔から認められるように、少なくとも部分的に更に開放されている。しかしながら特に
図8Bから認められるように、ジョイントヘッド29は、第2の運動成分M2による旋回アーム7の更なる旋回運動時に、スリーブ31の端面を内方にバネボックス24内に押し込んでいるので、スリーブ31のシートリングは、
図8Aの位置IIIに記入した間隔寸法が示すように、穴付きディスク32からバネボックス24内に持ち上げられている。スリーブ31がバネボックス24内に押し込まれた寸法の分だけ、旋回運動7の開放運動小さくなり、この場合、更に、旋回アーム7のレバーアームの長さが異なることから差が生じ得る。従って、第2の調整装置18は、作動している限り、旋回アーム7に作用する第2の運動成分M2を発生させ、第2の運動成分M2は、第1の運動成分M1によって誘起されるリンクアーム14の旋回運動とは逆方向に向いている。互いに逆方向に向いた運動成分M1,M2は、旋回アーム7をリンクアーム14に対して支持する第2の機械式バネ28を介して補償される。
【0038】
図7には、第2の調整装置18が保持装置38内に調整可能に保持されていることが示されている。ガイドトラック20がもはや制御ローラ19と接触しなくなるまで、第2の調整装置18が引き戻されると、それは、第2の調整装置が、搬送クランプ4の通過時に、位置に起因して運動成分を発生させない調整位置にある。その際、装置2は、第1の調整装置10による運動成分だけで運転することができる。保持装置38は、モータ式の駆動装置40を備え、この駆動装置によって、第2の調整装置18は可動である。モータ式の駆動装置40は、電子式の遠隔制御装置42と接続されている。
【0039】
本発明は、前記の実施例に限定されていない。当業者は、前記実施例を、具体的な用途に適合させるために、使用可能なその専門知識を利用して有効であると思われる方法で変容させることができる。
【符号の説明】
【0040】
2 装置
3 印刷製品
4 搬送クランプ
6 カムトラック
7 旋回アーム
8 クランプ要素
10 第1の調整装置
12 ローラ
14 リンクアーム
16 回転軸
18 第2の調整装置
19 制御ローラ
20 ガイドトラック
21 レバーアーム
22 連結ロッド
23 タイロッド
24 バネボックス
25 回転ジョイント
26 第1の機械式バネ
28 第2の機械式バネ
29 ジョイントヘッド
30 支持プレート
31 スリーブ
32 穴付きディスク
33 シートリング
34 厚さ寸法
38 保持装置
40 モータ式の駆動装置
42 電子式の遠隔制御装置
M1 第1の運動成分
M2 第2の運動成分