(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122670
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】床パン及び床パンの製造方法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/20 20060101AFI20240902BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20240902BHJP
B32B 33/00 20060101ALI20240902BHJP
E04F 15/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
E03C1/20 E
B29C63/02
B32B33/00
E04F15/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030342
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】信田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】増川 功一
(72)【発明者】
【氏名】喜多 亮太
【テーマコード(参考)】
2D061
2E220
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
2D061CA02
2D061CB04
2D061CB10
2D061CC05
2D061CC11
2D061CC14
2E220AA08
2E220AA45
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2E220BC06
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4F211SD11
4F211SD21
4F211SH06
4F211SP01
4F211SP21
(57)【要約】
【課題】基材の表面をフィルムで覆い、かつ床パン表面の領域ごとに異なる特性を付与する。
【解決手段】床パン1は、基材2と、基材2を覆うフィルム4と、を備える。フィルム4は、第1部分41と、第2部分42と、を含む。フィルム4の第1部分41の表面には、第1凹凸パターンP1が設けられている。フィルム4の第2部分42の表面には、第2凹凸パターンP2が設けられている。第1凹凸パターンP1と第2凹凸パターンP2は、互いに異なるパターンである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材を覆うフィルムと、を備え、
前記フィルムは、第1部分と、第2部分と、を含み、
前記第1部分の表面には、第1凹凸パターンが設けられており、
前記第2部分の表面には、前記第1凹凸パターンとは異なる第2凹凸パターンが設けられている、
床パン。
【請求項2】
前記基材に重ねられた中間部材を更に備え、
前記フィルムは、前記中間部材の上に張り付けられており、
前記中間部材は、前記フィルムの前記第1部分が張り付けられる第1表面と、前記フィルムの前記第2部分が張り付けられる第2表面と、を含み、
前記中間部材の前記第1表面は、前記フィルムの前記第1部分に前記第1凹凸パターンを現出させるための凹凸を有し、
前記中間部材の前記第2表面は、前記フィルムの前記第2部分に前記第2凹凸パターンを現出させるための凹凸を有する、
請求項1の床パン。
【請求項3】
前記中間部材は、互いに別体である第1中間部材及び第2中間部材を含み、
前記第1中間部材が、前記第1表面を含み、
前記第2中間部材が、前記第2表面を含む、
請求項2の床パン。
【請求項4】
前記フィルムは、前記第1凹凸パターン及び前記第2凹凸パターンが予め成形されたフィルムである、
請求項1の床パン。
【請求項5】
前記フィルムは、前記基材の表面に張り付けられており、
前記基材は、前記フィルムの前記第1部分が張り付けられる第1基材表面と、前記フィルムの前記第2部分が張り付けられる第2基材表面と、を含み、
前記第1基材表面は、前記フィルムの前記第1部分に前記第1凹凸パターンを現出させるための凹凸を有し、
前記第2基材表面は、前記フィルムの前記第2部分に前記第2凹凸パターンを現出させるための凹凸を有する、
請求項1の床パン。
【請求項6】
前記基材は、排水口が設けられた排水領域と、前記排水領域とは別の洗い場領域と、を含み、
前記基材の前記排水領域を、前記フィルムの前記第1部分が覆い、
前記基材の前記洗い場領域を、前記フィルムの前記第2部分が覆う、
請求項1から5のいずれか一項の床パン。
【請求項7】
前記基材は、一対の長辺及び一対の短辺を含んだ矩形状の外形を有し、
前記排水領域は、前記基材の前記一対の長辺の1つに沿って形成されている、
請求項6の床パン。
【請求項8】
基材の上に中間部材を重ねる第1の工程と、
前記中間部材の上にフィルムを張り付ける第2の工程と、を備え、
前記中間部材は、凹凸を有する第1表面と、凹凸を有する第2表面と、を含み、
前記第2の工程において、前記中間部材の前記第1表面に前記フィルムの第1部分を張り付けることで、前記第1部分の表面に第1凹凸パターンを現出させ、前記中間部材の前記第2表面に前記フィルムの第2部分を張り付けることで、前記第2部分の表面に前記第1凹凸パターンとは異なる第2凹凸パターンを現出させる、
床パンの製造方法。
【請求項9】
基材の上にフィルムを張り付けることで床パンを製造する方法であって、
前記基材は、凹凸を有する第1基材表面と、凹凸を有する第2基材表面と、を含み、
前記基材の前記第1基材表面に前記フィルムの第1部分を張り付けることで、前記第1部分の表面に第1凹凸パターンを現出させ、前記基材の前記第2基材表面に前記フィルムの第2部分を張り付けることで、前記第2部分の表面に前記第1凹凸パターンとは異なる第2凹凸パターンを現出させる、
床パンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、床パン及び床パンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室ユニットを構成する床パンの表面に、凹凸を設けることが行われている。特許文献1には、床パンの表面に溝及び凸部を設け、床面の乾燥性を向上させることや、床面を滑り難くすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の床パンは、基材の表面がフィルムで覆われたものではなく、基材自体に凹凸が設けられている。本開示は、基材の表面をフィルムで覆い、かつ床パン表面(つまりフィルム表面)の領域ごとに異なる特性を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る床パンは、基材と、前記基材を覆うフィルムと、を備える。前記フィルムは、第1部分と、第2部分と、を含む。前記第1部分の表面には、第1凹凸パターンが設けられている。前記第2部分の表面には、前記第1凹凸パターンとは異なる第2凹凸パターンが設けられている。
【0006】
本開示の一態様に係る床パンの製造方法は、基材の上に中間部材を重ねる第1の工程と、前記中間部材の上にフィルムを張り付ける第2の工程と、を備える。前記中間部材は、凹凸を有する第1表面と、凹凸を有する第2表面と、を含む。前記第2の工程において、前記中間部材の前記第1表面に前記フィルムの第1部分を張り付けることで、前記第1部分の表面に第1凹凸パターンを現出させ、前記中間部材の前記第2表面に前記フィルムの第2部分を張り付けることで、前記第2部分の表面に前記第1凹凸パターンとは異なる第2凹凸パターンを現出させる。
【0007】
本開示の別態様に係る床パンの製造方法は、基材の上にフィルムを張り付けることで床パンを製造する方法であって、前記基材は、凹凸を有する第1基材表面と、凹凸を有する第2基材表面と、を含む。前記基材の前記第1基材表面に前記フィルムの第1部分を張り付けることで、前記第1部分の表面に第1凹凸パターンを現出させ、前記基材の前記第2基材表面に前記フィルムの第2部分を張り付けることで、前記第2部分の表面に前記第1凹凸パターンとは異なる第2凹凸パターンを現出させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、基材の表面をフィルムで覆い、かつ床パン表面の領域ごとに異なる特性を付与することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の床パンの平面図である。
【
図2】
図2Aは、同上の床パンの要部を拡大した斜視図であり、
図2Bは、同上の床パンの別の要部を拡大した斜視図である。
【
図3】
図3Aは、同上の床パンを製造する第1の工程を概略的に説明する説明図であり、
図3Bは、同上の床パンを製造する第2の工程を概略的に説明する説明図である。
【
図5】
図5は、同上の床パンの変形例を製造する第1の工程を概略的に説明する説明図である。
【
図6】
図6は、同上の床パンの別の変形例の平面図である。
【
図7】
図7は、同上の床パンの更に別の変形例の平面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の床パンの平面図である。
【
図9】
図9Aは、同上の床パンの要部断面図であり、
図9Bは、同上の床パンの別の要部断面図である
【
図11】
図11は、同上の床パンの基材を結合する工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)第1実施形態
第1実施形態の床パン1について、
図1から
図5を参照して説明する。以下の説明において参照する図は、いずれも模式的な図である。したがって、図中の各構成要素の大きさや厚さの比が、必ずしも実際の寸法比を反映している訳ではない。
【0011】
本文中の説明で用いる上下方向は、浴室ユニットを構成するように床パン1が設置されたときを基準とする。本文中の説明で用いる前後方向及び左右方向は、互いに直交する方向であり、それぞれが上下方向と直交する。
【0012】
図1に示されるように、床パン1は、平面視において矩形状の外形を有する。言い換えれば、床パン1は、矩形状の外周縁部15を有する。床パン1の外周縁部15に、図示略の壁パネル及び浴槽が設置されることで浴室ユニットが構成される。
【0013】
本実施形態においては、床パン1の矩形状の外周縁部15に含まれる4辺151,152,153,154のうち1辺151に沿って、浴槽が設置される。床パン1の外周縁部15に含まれる4辺151,152,153,154のうち残り3辺152,153,154の各々に沿って、壁パネルが設置される。
【0014】
浴室ユニットの底壁を構成する床パン1は、平面視において矩形状の外形を有する基材2と、基材2の上に重ねられた中間部材3と、中間部材3及び基材2を覆うように中間部材3の上に張り付けられたフィルム4と、を備える。フィルム4の表面で、床パン1の表面を構成することで、床パン1の表面を加飾することが可能であり、また、床パン1の強度、耐久性、防水性、耐熱性、耐薬品性等の種々の特性を高めることが可能である。
【0015】
(1-1)基材
基材2は、床パン1の主体を構成する部材であって、例えば、繊維強化プラスチックで形成されている。基材2の材質は繊維強化プラスチックに限定される訳でなく、ガラス繊維を含有するSMC(Sheet Molding Compound)で形成されてもよいし、アクリル又はポリエステルを主成分として含む人工大理石で形成されてもよい。
【0016】
基材2は、基材2の主体をなす基材本体部21と、基材本体部21の一部に設けられた排水用の凹部23と、凹部23を上下に貫通する排水口25と、基材本体部21の周縁部から立ち上がった載置部27と、を含む(
図3Aを参照)。
【0017】
基材本体部21は、平面視において矩形状の外形を有する。言い換えれば、基材本体部21は、4辺211,212,213,214を含んだ長方形状の外周縁を有する。基材本体部21の4辺211,212,213,214は、すなわち基材2の4辺211,212,213,214である。4辺211,212,213,214は、一対の長辺211,212と、一対の短辺213,214で構成されている。
【0018】
凹部23は、基材本体部21の他の部分よりも下方に凹むように形成されている。凹部23は、基材本体部21の4辺に含まれる1つの長辺211に沿って、平面視において矩形状に形成されている。基材本体部21の長辺211は、左右方向に直線状に伸びる辺であり、図示略の浴槽は、基材本体部21の長辺211に沿って設置される。
【0019】
本実施形態において、凹部23は、基材本体部21の左右方向の中央部に位置しているが、凹部23の位置はこれに限定されない。凹部23が、例えば長辺211に沿った左端に位置してもよいし、長辺211に沿った右端に位置してもよいし、更に別の部分に位置してもよい。
【0020】
排水口25は、凹部23の中央部を、上下に貫通するように形成されている。排水口25は、水平断面が円形状の内周面を有している。
【0021】
載置部27は、基材本体部21の前後左右の端縁部から、それぞれ立ち上がっている。前後左右の都合4つの載置部27は、平面視において矩形状をなすように連続している。4つの載置部27のうち、互いに隣接する一対の載置部27は、直角のコーナーを形成するように連続している。4つの載置部27のうち、左右及び後側の載置部27にそれぞれ壁パネルが載せられ、前側の載置部27に浴槽の一部が載せられる。
【0022】
本実施形態において、基材2は、排水領域R1と洗い場領域R2とに区分される。
図3Aに示される鎖線は、排水領域R1と洗い場領域R2とを区分けする想像線である。排水領域R1は、凹部23及び排水口25が設けられた領域であって、基材2の長辺211に沿って長方形状に形成されている。排水領域R1は、中央の凹部23を挟んで、第1排水領域R11及び第2排水領域R12に分断されている。第1排水領域R11及び第2排水領域R12は、ともに長辺211に沿った矩形状の領域である。
【0023】
後述するように、基材2の排水領域R1及び洗い場領域R2を覆うように、基材2に中間部材3が重ねられ、この中間部材3を覆うように、中間部材3及び基材2に対してフィルム4が張り付けられる(
図3Bを参照)。
【0024】
(1-2)中間部材
図3Aに示されるように、中間部材3は、基材2の大部分を覆うように基材2の上に重ねられる。中間部材3は、基材2の主体を構成する基材本体部21のうち、凹部23を除いた部分の上に重ねられる。
【0025】
中間部材3は、凹部23に対応する部分が切りかかれた、平板状の部材である。中間部材3の厚みは均一に設けられている。中間部材3の厚みは、例えば1mmから10mmの範囲内で設定されることが好ましい。
【0026】
中間部材3は、例えば樹脂発泡体で形成され、断熱性及び弾性を有している。中間部材3は、断熱材51でありかつ緩衝材52である。中間部材3は、断熱性及び弾性の少なくとも一方を有していればよい。つまり、中間部材3が断熱材51で構成されてもよいし、中間部材3が緩衝材52で構成されてもよい。
【0027】
中間部材3は、フィルム4が張り付けられる表面30を有する。中間部材3の表面30は、中間部材3の上面である。中間部材3の表面30には、複数の異なるパターンで凹凸が設けられている。中間部材3の表面30の凹凸には、第1のパターンの凹凸と、これとは異なる第2のパターンの凹凸と、が含まれている。
【0028】
中間部材3の表面30のうち、第1のパターンの凹凸が設けられている表面が、第1表面301である。中間部材3の表面30のうち、第2のパターンの凹凸が設けられている表面が、第2表面302である。中間部材3が基材2に重ねられたとき、中間部材3の第1表面301が、基材2の排水領域R1の上方に位置し、中間部材3の第2表面302が、基材2の洗い場領域R2の上方に位置する。
【0029】
(1-3)フィルム
フィルム4は、真空圧空成形又は真空成形によって中間部材3の表面30に密着される。フィルム4は、中間部材3にだけ密着されてもよいし、中間部材3と基材2とに跨って密着されてもよい。フィルム4の厚みは均一である。
【0030】
フィルム4は、熱可塑性を有する樹脂材料で形成されている。フィルム4を形成する樹脂材料は、例えば、PMMA(Polymethyl methacrylate)、PVC(polyvinyl chloride)、及びABS(Acrylonitrile butadiene styrene)から選択される1以上の材料である。フィルム4の表面に微細な凹凸が形成されるように、フィルム4に多数の粒材が分散して混合されることも好ましい。
【0031】
図3Bに示されるように、フィルム4は、中間部材3の全部を覆うように中間部材3の上に張り付けられる。フィルム4のうち、中間部材3の第1表面301に張り付けられる部分が第1部分41であり、中間部材3の第2表面302に張り付けられる部分が第2部分42である。
図3Bに示される鎖線は、第1部分41と第2部分42とを区分けする想像線である。
【0032】
図1に示されるように、フィルム4の第1部分41の表面と、第2部分42の表面と、には互いに異なる凹凸パターンが設けられている。第1部分41の表面に設けられた凹凸パターンは、第1凹凸パターンP1である。第1凹凸パターンP1は、高い水捌け性を有する凹凸パターンであり、詳細には、フラッグストーンの表面を模すために格子状の溝部415が設けられた凹凸パターンである(
図2Aを参照)。第1凹凸パターンP1では、格子状の溝部415を除いた部分が、溝部415よりも一段高い複数の長方形状の凸部417を構成している。複数の凸部417は、互いに距離をあけてマトリクス状に配置されている。
【0033】
フィルム4の第2部分42の表面には、第1凹凸パターンP1とは異なる第2凹凸パターンP2が設けられている。第2凹凸パターンP2は、踏み心地が重視された凹凸パターンであり、詳細には、サイザル麻の表面を模すために、上方への突出寸法が大きな複数の第1凸部422と、上方への突出寸法が小さな複数の第2凸部424と、が規則的に配置された凹凸パターンである(
図2Bを参照)。各第1凸部422の突出寸法は、各第2凸部424の突出寸法よりも大きい。
【0034】
各第1凸部422は、平面視において長手方向及び短手方向を有する長方形状の凸部であり、かつ長手方向において緩やかに湾曲した凸状の表面を有している。
【0035】
各第2凸部424は、平面視において長手方向及び短手方向を有する長方形状の凸部であり、各第2凸部424の長手方向は、各第1凸部422の長手方向と直交する。各第2凸部424の表面の突出寸法は、隣接する第1凸部422の表面の中央部分における突出寸法よりも小さく、かつ隣接する第1凸部422の表面の長手方向の両端部における突出寸法よりも大きい。
【0036】
上記の第1凹凸パターンP1は、中間部材3の第1表面301に設けられた凹凸によって、フィルム4の第1部分41に現出される。詳細には、厚みが均一である樹脂製のフィルム4の第1部分41が、真空圧空成形又は真空成形によって中間部材3の第1表面301に密着することで、第1部分41の表面に、第1表面301の第1のパターンの凹凸が転写される。これによって、フィルム4の第1部分41の表面に、フラッグストーンの表面を模した第1凹凸パターンP1が形成される。つまり、中間部材3の第1表面301に設けられた第1のパターンの凹凸は、フラッグストーンの表面を模したパターンの凹凸であり、フィルム4に形成される第1凹凸パターンP1と同様に、格子状の溝部を有し、該溝部を除いた部分が、互いに距離をあけてマトリスクス状に配された複数の長方形状の凸部を構成している。
【0037】
上記の第2凹凸パターンP2は、中間部材3の第2表面302に設けられた凹凸によって、フィルム4の第2部分42に現出される。詳細には、厚みが均一である樹脂製のフィルム4の第2部分42が、真空圧空成形又は真空成形によって中間部材3の第2表面302に密着することで、第2部分42の表面に、第2表面302の第2のパターンの凹凸が転写される。これによって、フィルム4の第2部分42の表面に、サイザル麻の表面を模した第2凹凸パターンP2が形成される。つまり、中間部材3の第2表面302に設けられた第2のパターンの凹凸は、サイザル麻の表面を模したパターンの凹凸であり、フィルム4の第2凹凸パターンP2と同様に、上方への突出寸法が大きな複数の凸部と、上方への突出寸法が小さな複数の凸部と、が規則的に配置されている。これら凸部の形状や配置は、第2凹凸パターンP2と同様である。
【0038】
(1-4)作用効果
上記した構成を備える本実施形態の床パン1では、フィルム4のうち、表面に第1凹凸パターンP1を有する第1部分41が、中間部材3の一部分を介して基材2の排水領域R1を覆い、表面に第2凹凸パターンP2を有する第2部分42が、中間部材3の別の部分を介して基材2の洗い場領域R2を覆う。
【0039】
そのため、本実施形態の床パン1によれば、基材2の表面20が中間部材3及びフィルム4で覆われた床パン1において、床パン1の表面(つまりフィルム4の表面)の領域ごとに、異なる特性を付与することができる。具体的には、フィルム4のうち基材2の排水領域R1を覆う第1部分41では、第1凹凸パターンP1によって高い水捌け性や清掃性を与えることができる。フィルム4のうち基材2の洗い場域R2を覆う第2部分42では、第2凹凸パターンP2によって良好な踏み心地を与えることができ、また、足裏との接触面を抑えることで、足裏から床パン1への熱放散を抑えることができる。
【0040】
(1-5)製造方法
本実施形態の床パン1の製造方法は、基材2の上に中間部材3を重ねる第1の工程と、中間部材3の上にフィルム4を張り付ける第2の工程と、を備える。
【0041】
第1の工程では、基材2の基材本体部21の上に、中間部材3を重ねる。このとき、中間部材3は、基材本体部21のうち凹部23を除いた部分の上に、重ねられる。中間部材3の外周の端面は、4つの載置部27のそれぞれに接触する。
【0042】
第2の工程では、中間部材3が露出することがないように、基材2の上に重ねられた中間部材3の全体にフィルム4を張り付ける。第2の工程では、加熱により軟化させた状態のフィルム4を、真空圧空成形又は真空成形によって中間部材3及び基材2に密着させる。
【0043】
図4Aから
図4Dには、第2の工程の一例が概略的に示されている。本実施形態では、真空圧空成形を用いて、フィルム4を中間部材3及び基材2に密着させる。真空圧成形は、言い換えるとTOM(Three Demension Overlay Method)成形である。
【0044】
第2の工程には、設置工程、減圧工程、加熱工程、押圧工程、密着工程、離型工程、及び除去工程が含まれる。上記の7工程は、この順に行われる。
【0045】
フィルム4は、例えば、
図4Aから
図4Cに示される成形機6を用いた真空圧空成形によって、中間部材3及び基材2に密着される。成形機6は、上チャンバー61と、下チャンバー62と、ヒーター63と、台座64と、昇降装置65と、を備える。
【0046】
上チャンバー61及び下チャンバー62には、図示略の真空タンクがそれぞれ接続されており、上下チャンバー61,62内はそれぞれ独立して真空状態まで減圧可能である。更に、上チャンバー61には図示略の圧空タンクが接続されており、上チャンバー61内は圧空可能である。
【0047】
上チャンバー61は、下チャンバー62との間にフィルム4を挟み込む位置(
図4Bを参照)と、下チャンバー62から離れた位置(
図4Aを参照)と、の間で移動可能である。上チャンバー61は、下方に開口した箱型の形状を有する。上チャンバー61内には、ヒーター63が設置されている。ヒーター63は、フィルム4が軟化する温度まで、フィルム4を加熱する。
【0048】
下チャンバー62は、上方に開口した箱型の形状を有する。下チャンバー62内には、台座64が設置されている。台座64は、昇降装置65によって上下に移動可能である。台座64上には、支持台66が設置される。支持台66は、基材2を支持し、かつ基材2の水平方向の移動を拘束する部材である。
【0049】
第2の工程に含まれる各工程について、詳しく説明する。
【0050】
設置工程では、
図4Aに示されるように、下チャンバー62内の支持台66の上に、中間部材3が重ねられた状態の基材2を設置し、下チャンバー62の開口を塞ぐように、フィルム4を下チャンバー62の上面に載せる。次いで、上チャンバー61を降下させ、上チャンバー61及び下チャンバー62でフィルム4を挟み込む。このとき、上下チャンバー61,62内はそれぞれ密閉状態となる。
【0051】
減圧工程では、真空タンクによって上下チャンバー61,62内をそれぞれ減圧して真空状態とする。
【0052】
加熱工程では、
図4Bに示されるように、ヒーター63によってフィルム4を加熱し、フィルム4を軟化させる。
【0053】
押圧工程では、
図4Cに示されるように、昇降装置65によって台座64を上昇させ、中間部材3及び基材2に対して、軟化した状態のフィルム4を当てる。
【0054】
密着工程では、圧空タンクによって上チャンバー61内を圧空する。これにより、中間部材3及び基材2に対して、軟化した状態のフィルム4が強い圧力で押し当てられ、フィルム4が中間部材3及び基材2に密着する。次いで、フィルム4を冷却して硬化させる。
【0055】
離型工程では、上チャンバー61内及び下チャンバー62内をそれぞれ大気圧にし、上チャンバー61を上昇させて、基材2、中間部材3、及びフィルム4が一体化した仕掛品を、支持台66から取り外す。
【0056】
除去工程では、
図4Dに示されるように、フィルム4のうち不要な部分を切断して除去する。
【0057】
上記の工程を含む第2の工程を経ることで、フィルム4のうち、基材2の第1領域R1を覆う第1部分41の表面には、中間部材3の第1表面301の凹凸が精密に転写することによって第1凹凸パターンP1が現出し、基材2の第2領域R2を覆う第2部分42の表面には、中間部材3の第2表面302の凹凸が精密に転写することによって第2凹凸パターンP2が現出する。これにより、本実施形態の床パン1が製造される。
【0058】
(1-6)変形例
以下に述べる変形例の説明では、上記した本実施形態の構成と同様の構成について、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0059】
図5に示される変形例において、中間部材3は、互いに別体である第1中間部材31及び第2中間部材32を含む。第1中間部材31は、更に2つに分割されている。つまり、第1中間部材31は第1分割体311及び第2分割体312で構成されている。
【0060】
変形例では、第1中間部材31が第1表面301を含み、第2中間部材32が第2表面302を含む。第1中間部材31の第1表面301は、第1分割体311の表面と、第2分割体312の表面と、で構成されている。
【0061】
第1中間部材31の第1分割体311の表面、及び第2分割体312の表面には、フラッグストーンの表面を模した第1のパターンの凹凸が設けられている。第2中間部材32の表面には、サイザル麻の表面を模した第2のパターンの凹凸が設けられている。
【0062】
変形例の床パン1の製造方法では、第1の工程において、基材2の排水領域R1の上に第1中間部材31の第1分割体311及び第2分割体312を重ね、基材2の洗い場領域R2の上に第2中間部材32を重ねる。第1分割体311及び第2分割体312は、基材2の凹部23を挟んだ左右両側に位置する第1及び第2排水領域R11,R12に、重ねられる。
【0063】
第2の工程では、基材2の上に重ねられた第1中間部材31及び第2中間部材32の上に、フィルム4を張り付ける。フィルム4のうち、基材2の第1領域R1を覆う第1部分41の表面には、第1分割体311及び第2分割体312の凹凸が精密に転写することで、第1凹凸パターンP1が現出する。フィルム4のうち、基材2の第2領域R2を覆う第2部分42の表面には、第2中間部材32の凹凸が精密に転写することで第2凹凸パターンP2が現出する。
【0064】
図5に示される変形例は一例に過ぎず、第1中間部材31が一部材で構成されてもよいし、3つ以上に分割されてもよい。また、第2中間部材32が2つ以上に分割されてもよい。
【0065】
図6及び
図7に示される変形例においては、基材2の排水領域R1と洗い場領域R2の形態が、上記の実施形態と相違している。
【0066】
図6の変形例では、排水領域R1が、基材本体部21の一対の長辺211,212及び1つの短辺213に沿ったコ字状に形成されている。洗い場領域R2は、排水領域R1に囲まれた矩形状の領域であって、基材本体部21の1つの短辺214に沿って設けられている。そのため、短辺214の側から出入りする使用者は、排水領域R1に足を載せることなく洗い場領域R1に踏み入ることができ、踏み心地がより高められる。
【0067】
図7の変形例では、排水領域R1が、基材本体部21の一対の長辺211,212及び一対の短辺213,214に沿った矩形枠状に形成されている。洗い場領域R2は、排水領域R1によって全周を囲まれた矩形状の領域である。この変形例によれば、床パン1の表面の清掃性がより高められる。
【0068】
基材2の排水領域R1及び洗い場領域R2は上記に限定されず、例えば、排水領域R1が、基材本体部21の1つの長辺211に沿った長方形状の領域と、もう1つの長辺211に沿った長方形状の領域と、で構成されてもよい。排水領域R1及び洗い場領域R2が更に別の形態を備えることも可能である。
【0069】
フィルム4に設けられる第1凹凸パターンP1及び第2凹凸パターンP2も上記に限定されない。第1凹凸パターンP1としては、排水用の溝部を有することが好ましいが、水捌け性のよいものであれば多様な凹凸パターンを採用することが可能である。第2凹凸パターンP2としては、突出寸法が互いに異なる複数の凸部を規則的に分散配置することや、凸曲面状の表面が設けられた複数の凸部を規則的に分散配置することが好ましいが、良好な踏み心地を与えることができるものや、足裏との接触面を抑えて床パン1への熱放散を抑えることができるものであれば、多様な凹凸パターンを採用することができる。
【0070】
上記の本実施形態や変形例では、フィルム4は一枚物で構成されているが、これに限定されず、複数枚のフィルムを繋ぎ合わせてフィルム4を構成することも可能である。
【0071】
(2)第2実施形態
第2実施形態の床パン1について、
図8から
図9Bを参照して説明する。本実施形態の床パン1の構成のうち、第1実施形態の構成と同様の構成ついては、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0072】
本実施形態の床パン1は、基材2及びこれを覆うフィルム4を備え、中間部材3を備えない。本実施形態では、基材2の平坦な表面20に張り付けられるフィルム4の表面に、第1凹凸パターンP1及び第2凹凸パターンP2が予め成形されている。
【0073】
基材2の表面20は、フィルム4の第1部分41が直接張り付けられる第1基材表面201と、フィルム4の第2部分42が直接張り付けられる第2基材表面202と、を含む。第1基材表面201と第2基材表面202は、前後方向において面一に連続する。
【0074】
第1基材表面201は、基材2の排水領域R1の表面である。第1基材表面201には、凹部23及び排水口25が設けられている。第1基材表面201は、基材2の長辺211に沿って形成されている。第1基材表面201は、中央の凹部23を挟んで2つの平面に分断されている。第2基材表面202は、基材2の洗い場域R2に形成された平坦面である。
【0075】
第2実施形態の床パン1の製造方法では、加熱により軟化させた状態のフィルム4を、真空圧空成形又は真空成形によって基材2の上に張り付けることで床パン1を製造する。真空圧空成形を用いてフィルム4を基材2に密着させるには、第1実施形態と同様の成形機6を用いることが好ましい。
【0076】
本実施形態の床パン1においても、フィルム4のうち、表面に第1凹凸パターンP1を有する第1部分41(
図9Aを参照)が、基材2の排水領域R1を覆い、表面に第2凹凸パターンP2を有する第2部分42(
図9Bを参照)が、基材2の洗い場領域R2を覆う。
【0077】
そのため、本実施形態の床パン1によれば、基材2の表面20がフィルム4で覆われた床パン1において、フィルム4の表面の領域ごとに、異なる特性を付与することができる。具体的には、フィルム4のうち基材2の排水領域R1を覆う第1部分41では、第1凹凸パターンP1によって高い水捌け性や清掃性を与えることができ、基材2の洗い場域R2を覆う第2部分42では、第2凹凸パターンP2によって良好な踏み心地を与えることができ、また、足裏との接触面を抑えて床パン1への熱放散を抑えることができる。
【0078】
なお、本実施形態の床パン1では中間部材3を備えていないが、中間部材3を更に備えることも可能である。この場合、中間部材3の表面30は平坦面であり、中間部材3の表面30に張り付けたフィルム4の第1部分41(つまり表面に予め第1凹凸パターンP1が成形された部分)で基材2の排水領域R1を覆い、フィルム4の第2部分42(つまり表面に予め第2凹凸パターンP2が成形された部分)で基材2の洗い場領域R2を覆うことが好ましい。
【0079】
(3)第3実施形態
第3実施形態の床パン1について、
図10から
図12を参照して説明する。本実施形態の床パン1の構成のうち、第1実施形態の構成と同様の構成ついては、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0080】
本実施形態の床パン1は、基材2及びこれを覆うフィルム4を備え、中間部材3を備えない。本実施形態において、基材2の表面20には、複数の異なるパターンで凹凸が設けられている。基材2の表面20の凹凸には、第1のパターンの凹凸と、これとは異なる第2のパターンの凹凸と、が含まれている。基材2の表面20のうち、第1のパターンの凹凸が設けられている表面が、第1基材表面201である。基材2の表面20のうち、第2のパターンの凹凸が設けられている表面が、第2基材表面202である。第1基材表面201は、基材2の排水領域R1に位置し、第2基材表面202は、基材2の洗い場領域R2に位置する。第1基材表面201と第2基材表面202は、前後方向において面一に連続する。
【0081】
第3実施形態の床パン1の製造方法では、加熱により軟化させた状態のフィルム4を、真空圧空成形又は真空成形によって基材2の上に張り付けることで床パン1を製造する。真空圧空成形を用いてフィルム4を基材2に密着させるには、第1実施形態と同様の成形機6を用いることが好ましい。
【0082】
フィルム4が基材2に密着することで、フィルム4のうち、基材2の第1領域R1を覆う第1部分41の表面には、第1基材表面201の凹凸が転写することで第1凹凸パターンP1が現出し、第2領域R2を覆う第2部分42の表面には、基材2の第2基材表面202の凹凸が転写することで第2凹凸パターンP2が現出する。これにより、本実施形態の床パン1が製造される。
【0083】
本実施形態の床パン1においても、フィルム4のうち、表面に第1凹凸パターンP1を有する第1部分41が、基材2の排水領域R1を覆い、表面に第2凹凸パターンP2を有する第2部分42が、基材2の洗い場領域R2を覆う。そのため、フィルム4のうち基材2の排水領域R1を覆う第1部分41では、第1凹凸パターンP1によって高い水捌け性や清掃性を与えることができ、基材2の洗い場域R2を覆う第2部分42では、第2凹凸パターンP2によって良好な踏み心地を与えることができ、また、足裏との接触面を抑えて床パン1への熱放散を抑えることができる。
【0084】
基材2は、一部材で構成されてもよいし、複数部材で構成されてもよい。
図11及び
図12に示される例では、第1基材表面201を含む分割体28と、第2基材表面202を含む分割体29と、を結合させて基材2を構成している。2つの分割体28,29は、例えばボルト223及びナット225の締結によって機械的に結合させているが、併せて2つの分割体28,29を接着させてもよい。溶着等の別手段で2つの分割体28,29を結合させてもよい。また、分割体28及び分割体29の少なくとも一方が更に複数に分割されていてもよい。
【0085】
図11及び
図12に示される例では、結合された2つの分割体28,29をフィルム4が一括的に覆うことで、床パン1の防水性が確保される。
【0086】
以上、本開示を、添付図面に示される実施形態及び各種の変形例に基づいて説明したが、本開示は前記の実施形態や変形例に限定されない。本開示の意図する範囲内であれば、前記の実施形態や変形例において適宜の設計変更を行うことや、各種の変形例の構成を適宜に組み合わせて適用することが可能である。
【0087】
(4)まとめ
第1の態様の床パン(1)は、基材(2)と、基材(2)を覆うフィルム(4)と、を備える。フィルム(4)は、第1部分(41)と、第2部分(42)と、を含む。第1部分(41)の表面には、第1凹凸パターン(P1)が設けられている。第2部分(42)の表面には、第1凹凸パターン(P1)とは異なる第2凹凸パターン(P2)が設けられている。
【0088】
この態様によれば、基材(2)の表面(20)をフィルム(4)で覆い、かつ床パン(1)の表面すなわちフィルム(4)の表面の領域ごとに、凹凸パターンの違いに対応して異なる特性を付与することができる。
【0089】
第2の態様の床パン(1)は、第1の態様において、基材(2)に重ねられた中間部材(3)を更に備える。フィルム(4)は、中間部材(3)の上に張り付けられている。中間部材(3)は、フィルム(4)の第1部分(41)が張り付けられる第1表面(301)と、フィルム(4)の第2部分(42)が張り付けられる第2表面(302)と、を含む。中間部材(3)の第1表面(301)は、フィルム(4)の第1部分(41)に第1凹凸パターン(P1)を現出させるための凹凸を有する。中間部材(3)の第2表面(302)は、フィルム(4)の第2部分(42)に第2凹凸パターン(P2)を現出させるための凹凸を有する。
【0090】
この態様によれば、中間部材(3)によって例えば断熱性、弾性等の特性を床パン(1)に付与することに加えて、中間部材(3)を利用して、フィルム(4)の表面に第1凹凸パターン(P1)及び第2凹凸パターン(P2)を現出させることができる。
【0091】
第3の態様の床パン(1)では、第2の態様において、中間部材(3)は、互いに別体である第1中間部材(31)及び第2中間部材(32)を含む。第1中間部材(31)が、第1表面(301)を含む。第2中間部材(32)が、第2表面(302)を含む。
【0092】
この態様によれば、第1中間部材(31)及び第2中間部材(32)によって例えば断熱性、弾性等の特性を床パン(1)に付与することができ、更に、第1中間部材(31)及び第2中間部材(32)を利用して、フィルム(4)の表面に第1凹凸パターン(P1)及び第2パターン(P2)を現出させることができる。
【0093】
第4の態様の床パン(1)では、第1の態様において、フィルム(4)は、第1凹凸パターン(P1)及び第2凹凸パターン(P2)が予め成形されたフィルムである。
【0094】
この態様によれば、シンプルな構成で、床パン(1)の表面をなすフィルム(4)の表面に、第1凹凸パターン(P1)及び第2凹凸パターン(P2)を設けることができる。
【0095】
第5の態様の床パン(1)では、第1の態様において、フィルム(4)は、基材(2)の表面(20)に張り付けられている。基材(2)は、フィルム(4)の第1部分(41)が張り付けられる第1基材表面(201)と、フィルム(4)の第2部分(42)が張り付けられる第2基材表面(202)と、を含む。第1基材表面(201)は、フィルム(4)の第1部分(41)に第1凹凸パターン(P1)を現出させるための凹凸を有する。第2基材表面(202)は、フィルム(4)の第2部分(42)に第2凹凸パターン(P2)を現出させるための凹凸を有する。
【0096】
この態様によれば、シンプルな構成で、床パン(1)の表面をなすフィルム(4)の表面に、第1凹凸パターン(P1)及び第2凹凸パターン(P2)を設けることができる。
【0097】
第6の態様の床パン(1)では、第1の態様において、基材(2)は、排水口(25)が設けられた排水領域(R1)と、排水領域(R1)とは別の洗い場領域(R2)と、を含む。基材(2)の排水領域(R1)を、フィルム(4)の第1部分(41)が覆う。基材(2)の洗い場領域(R2)を、フィルム(4)の第2部分(42)が覆う。
【0098】
この態様によれば、フィルム(4)のうち排水領域(R1)を覆う第1部分(41)では、第1凹凸パターン(P1)によって例えば水捌け性を高め、フィルム(4)のうち洗い場領域(R2)を覆う第2部分(42)では、第2凹凸パターン(P2)によって例えば良好な踏み心地を与えることができる。
【0099】
第7の態様の床パン(1)では、第6の態様において、基材(2)は、一対の長辺(211,212)及び一対の短辺(213,214)を含んだ矩形状の外形を有する。排水領域(R1)は、基材(2)の一対の長辺(211,212)の1つに沿って形成されている。
【0100】
この態様によれば、フィルム(4)のうち、基材(2)の長辺(211)に沿った排水領域(R1)を覆う第1部分(41)で、第1凹凸パターン(P1)によって例えば水捌け性を高めることができる。
【0101】
第8の態様の床パン(1)の製造方法は、基材(2)の上に中間部材(3)を重ねる第1の工程と、中間部材(3)の上にフィルム(4)を張り付ける第2の工程と、を備える。中間部材(3)は、凹凸を有する第1表面(301)と、凹凸を有する第2表面(302)と、を含む。第2の工程において、中間部材(3)の第1表面(301)にフィルム(4)の第1部分(41)を張り付けることで、第1部分(41)の表面に第1凹凸パターン(P1)を現出させ、中間部材(3)の第2表面(302)にフィルム(4)の第2部分(42)を張り付けることで、第2部分(42)の表面に第1凹凸パターン(P1)とは異なる第2凹凸パターン(P2)を現出させる。
【0102】
この態様によれば、基材(2)の表面(20)をフィルム(4)で覆い、かつ床パン(1)の表面すなわちフィルム(4)の表面の領域ごとに、凹凸パターンの違いに対応して異なる特性を付与することができる。
【0103】
第9の態様の床パン(1)の製造方法は、基材(2)の上にフィルム(4)を張り付けることで床パン(1)を製造する方法であって、基材(2)は、凹凸を有する第1基材表面(201)と、凹凸を有する第2基材表面(202)と、を含む。基材(2)の第1基材表面(201)にフィルム(4)の第1部分(41)を張り付けることで、第1部分(41)の表面に第1凹凸パターン(P1)を現出させ、基材(2)の第2基材表面(202)にフィルム(4)の第2部分(42)を張り付けることで、第2部分(42)の表面に第1凹凸パターン(P1)とは異なる第2凹凸パターン(P2)を現出させる。
【0104】
この態様によれば、基材(2)の表面(20)をフィルム(4)で覆い、かつ床パン(1)の表面すなわちフィルム(4)の表面の領域ごとに、凹凸パターンの違いに対応して異なる特性を付与することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 床パン
2 基材
20 表面
201 第1基材表面
202 第2基材表面
21 基材本体部
211 長辺
212 長辺
213 短辺
214 短辺
25 排水口
3 中間部材
301 第1表面
302 第2表面
31 第1中間部材
32 第2中間部材
4 フィルム
41 第1部分
42 第2部分
P1 第1凹凸パターン
P2 第2凹凸パターン
R1 排水領域
R2 洗い場領域