(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122673
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20240902BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20240902BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240902BHJP
【FI】
H05K5/06 B
H05K5/03 H
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030346
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児島 慎二
【テーマコード(参考)】
4E360
5H770
【Fターム(参考)】
4E360AB33
4E360BA01
4E360BD02
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA24
4E360EA29
4E360EC04
4E360ED02
4E360ED08
4E360GA07
4E360GA12
4E360GA42
4E360GB91
4E360GC02
4E360GC08
5H770AA21
5H770BA11
5H770QA28
5H770QA33
(57)【要約】
【課題】内部の部品からガスが発生した場合に筐体が大きく破損することが抑制されうる電気機器を提供する。
【解決手段】電気機器1が、筐体2と、筐体2内に収容される内装部品3とを備える。筐体2が、本体21と、カバー22と、本体21に対してカバー22を固定する複数の取付部4とを備える。本体21が、内部に収容空間23を有し、かつ収容空間23に通じる開口24を有する。カバー22が、開口24を塞ぐ。取付部4が、開口24の縁に沿って間隔をあけて配置されている。取付部4が、少なくとも1つの第一取付部41と、第一取付部41よりも低い取付強度で本体21にカバー22を固定する少なくとも1つの第二取付部42とを、含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に収容される内装部品とを備える電気機器であり、
前記筐体が、本体と、カバーと、前記本体に対して前記カバーを固定する複数の取付部とを備え、
前記本体が、内部に収容空間を有し、かつ前記収容空間に通じる開口を有し、
前記カバーが、前記開口を塞ぎ、
前記取付部は、前記開口の縁に沿って間隔をあけて配置され、
前記取付部が、少なくとも1つの第一取付部と、前記第一取付部よりも低い取付強度で前記本体に前記カバーを固定する少なくとも1つの第二取付部とを、含む、
電気機器。
【請求項2】
前記取付部が、2つの前記第一取付部と、2つの前記第二取付部とを、少なくとも含み、
2つの前記第一取付部を結ぶ仮想的な線分と、2つの前記第二取付部を結ぶ仮想的な線分とが、交差する、
請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記第一取付部が、取付具と、前記取付具を前記本体と前記カバーとのうち一方に螺旋止めにより固定する固定具と、前記本体と前記カバーとのうち他方を前記取付具に螺旋止めにより固定する固定具とを備える、
請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記第二取付部が、前記本体と前記カバーとのうち一方にかしめ接続で固定されている取付具と、前記本体と前記カバーとのうち他方を前記取付具に螺旋止めにより固定する固定具とを備える、
請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項5】
電力変換装置である。
請求項1又は2に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に電気機器に関し、より詳細には、筐体と、筐体内に収容される内装部品とを備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気機器が、電気回路が有する回路部品と、回路部品を内部に収容する筐体とを備え、筐体が、回路部品を内部に収容する本体と、本体の開口を塞ぐためのカバーと、本体とカバーとの間に介在するパッキンとを備えることが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、内部の部品からガスが発生した場合に筐体が大きく破損することが抑制されうる電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る電気機器は、筐体と、前記筐体内に収容される内装部品とを備える。前記筐体が、本体と、カバーと、前記本体に対して前記カバーを固定する複数の取付部とを備える。前記本体が、内部に収容空間を有し、かつ前記収容空間に通じる開口を有する。前記カバーが、前記開口を塞ぐ。前記取付部は、前記開口の縁に沿って間隔をあけて配置されている。前記取付部が、少なくとも1つの第一取付部と、前記第一取付部よりも低い取付強度で前記本体に前記カバーを固定する少なくとも1つの第二取付部とを、含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、電気機器の内部の部品からガスが発生した場合に筐体が大きく破損することが抑制されうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る電気機器の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の電気機器の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の電気機器の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の電気機器の要部の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の電気機器の要部の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の電気機器の要部の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の電気機器の要部の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、同上の電気機器の第二取付具の側面図である。
【
図10】
図10は、同上の電気機器の要部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.概要
電力変換装置などの電気機器の筐体の内部には、コンデンサ、端子台などの部品が収容されている。電気機器が屋外に設置される場合、及び電気機器が自動車に搭載される場合などには、電気機器内の部品が水に曝されないようにするため、筐体が密閉されることがある。電気機器の温度が不測の事態により過度に上昇すると、筐体内の部品を構成する材料が分解又は揮発してガスが発生することで、筐体内の圧力が高まるおそれがある。特許文献1に開示されているように筐体が回路部品を内部に収容する本体と本体の開口を塞ぐためのカバーとを備える場合、筐体内の圧力が高まっても本体からカバーが外れないように、カバーは本体に強固に取り付けられる。
【0009】
しかし、万が一、筐体内の圧力が本体に対するカバーの取付強度を上回れば、本体からカバーが脱落してしまい、筐体が大きく破損してしまう可能性がある。
【0010】
そこで、本開示は、内部の部品からガスが発生した場合に筐体が大きく破損することが抑制されうる電気機器を提供する。
【0011】
本開示の一態様に係る電気機器1は、筐体2と、筐体2内に収容される内装部品3とを備える。筐体2が、本体21と、カバー22と、本体21に対してカバー22を固定する複数の取付部4とを備える。本体21が、内部に収容空間23を有し、かつ収容空間23に通じる開口24を有する。カバー22が、開口24を塞ぐ。取付部4は、開口24の縁に沿って間隔をあけて配置されている。取付部4が、少なくとも1つの第一取付部41と、第一取付部41よりも低い取付強度で前記本体21に前記カバー22を固定する少なくとも1つの第二取付部42とを、含む。
【0012】
取付強度とは、取付部4による本体21に対するカバー22の固定を解除するために要する、取付部4に加えられる力の大きさのことである。
【0013】
このため、内装部品3を構成する材料が分解又は揮発するなどして筐体2内の圧力が高まった場合、第一取付部41による本体21に対するカバー22の固定が維持されながら、第二取付部42による本体21に対するカバー22の固定が優先的に解除されうる。このため、第一取付部41によって本体21からのカバー22の脱落を抑制しながら、本体21に対するカバー22の取り付けを部分的に解除して、筐体2内のガスを排出できる。これにより、筐体2の破損の程度を制御して、筐体2が大きく破損することが抑制されうる。
【0014】
2.実施形態
図1から
図11を参照して、実施形態に係る電気機器1について説明する。
【0015】
図1から
図4に電気機器1を示す。
図1から
図3は分解斜視図であり、
図4は電気機器1の斜視図である。電気機器1は、筐体2と、筐体2内に収容される内装部品3とを備える。
【0016】
本実施形態における電気機器1は、電力変換装置である。電力変換装置は、例えば、自家発電設備から出力される電力を変換して、負荷、蓄電設備又は商用電力系統へ出力するパワーコンディショナーとして使用される。あるいは、電力変換装置は、例えば、電気自動車のバッテリーと電気的に接続するパワーステーションに備えられる。この場合、電力変換装置は、例えば、次の第1動作と第2動作とのうち少なくとも一方を行う。第1動作は、電気自動車の外部の蓄電設備、自家発電設備又は商用電力系統から供給される電力を変換して、電気自動車のバッテリーへ出力することである。第2動作は、電気自動車のバッテリーから供給される電力を変換して、負荷、蓄電設備又は商用電力系統へ出力することである。
【0017】
内装部品3は、例えば出力装置、実装基板、制御基板及びリアクトル等を含む。実装基板には、例えばスイッチング素子(メカニカルスイッチ又は半導体スイッチ)、コンデンサ、及び端子台等の実装部品が、実装されている。
【0018】
筐体2は、例えば金属から作製されるが、樹脂等の他の材料から作製されてもよい。筐体2が、本体21と、カバー22と、複数の取付部4とを備える。
【0019】
本体21は、直方体状の容器である。本体21は、内部に収容空間23を有し、かつ収容空間23に通じる開口24を有する。収容空間23内に、内装部品3が収容される。本体21の一面に開口24がある。開口24は矩形状である。本体21は、開口24の全周を取り巻くフランジ25を有する。
【0020】
カバー22は、本体21の開口24を塞ぐ。カバー22は、平坦かつ矩形状である。本体21のフランジ25にカバー22の周縁が重なるようにして、カバー22が本体21の開口24を塞ぐ。
【0021】
本体21とカバー22との間に、パッキン7が介在している。パッキン7は輪状であり、本体21のフランジ25とカバー22の周縁との間に、開口24を取り巻くように配置されている。パッキン7により、本体21とカバー22との間の気密が維持されうる。
【0022】
複数の取付部4は、本体21のフランジ25とカバー22の周縁とが重なる箇所に、開口24の縁に沿って間隔をあけて配置されている。本実施形態では、4つの取付部4が、それぞれ、開口24の4つのコーナーの縁に、配置されている。各取付部4は、パッキン7に対して開口24とは反対側の位置に配置されている。そのため取付部4はパッキン7による本体21とカバー22との間の気密維持を阻害しない。
【0023】
4つの取付部4のうち、対角に位置する2つの取付部4の各々が第一取付部41であり、別の対角に位置する2つの取付部4の各々が第二取付部42である。このため、2つの第一取付部41を結ぶ仮想的な線分L1と、2つの第二取付部42を結ぶ仮想的な線分L1とが、交差している(
図11参照)。
【0024】
第一取付部41が、取付具5(第一取付具51)と、第一取付具51を本体21とカバー22とのうち一方に螺旋止めにより固定する固定具6(第一固定具61)と、本体21とカバー22とのうち他方を第一取付具51に螺旋止めにより固定する固定具6(第二固定具62)とを備える。第二取付部42が、本体21とカバー22とのうち一方にかしめ接続で固定されている取付具5(第二取付具52)と、本体21とカバー22とのうち他方を第二取付具52に螺旋止めにより固定する固定具6(第三固定具63)とを備える。
【0025】
このため、第一取付部41による本体21に対するカバー22の取付強度を適度に高め、かつ第二取付部42による本体21に対するカバー22の取付強度を適度に低めることで、本実施形態の効果が得られる。
【0026】
本実施形態での第一取付部41及び第二取付部42の、より具体的な構成について説明する。
【0027】
第一取付部41における第一取付具51は、例えば金属から作製される。
図5から
図7に示すように、第一取付具51は、第一固定片511、第二固定片512、及び接続片513を有する。第一固定片511及び第二固定片512は、同方向に厚みを有する平坦な形状を有し、第一固定片511と第二固定片512との間には段差がある。接続片513は、第一固定片511の一端と、第二固定片512の一端とを、第一固定片511及び第二固定片512の厚み方向に繋いでいる。第一固定片511は内周面に雌螺旋溝を有する第一固定孔71を有し、第二固定片512は内周面に雌螺旋溝を有する第二固定孔72を有する。第一固定具61と第二固定具62との各々は、頭部と、頭部から延びかつ外周面に雄螺子溝を有する脚部とを有する。第一固定具61と第二固定具62との各々は、例えばビス又はボルトである。
【0028】
図5に示すように、開口24のコーナーの縁における、第一取付部41が設けられる箇所では、本体21のフランジ25が、第一固定孔71に対応する通孔(第一通孔81)、第二固定孔72に対応する通孔(第二通孔82)、及び接続片513に対応するスリット状の通孔(接続通孔86)を有する。
【0029】
図6に示すように、第一取付具51の接続片513が接続通孔86に通され、第二固定片512がフランジ25のカバー22と対向する面側に配置され、第一固定片511がフランジ25のカバー22と対向する面とは反対側に配置され、第一固定片511の第一固定孔71の位置が第一通孔81の位置に合わせられ、かつ第二固定片512の第二固定孔72の位置が第二通孔82の位置に合わせられている。
図7に示すように、第一固定具61がフランジ25のカバー22と対向する面側から第一通孔81に入れられ、第一固定孔71に螺旋込まれている。これにより、第一固定具61によって、第一取付具51が本体21のフランジ25に螺旋止めにより固定されている。カバー22は、その周縁における第二固定孔72及び第二通孔82と対応する位置に、通孔(第三通孔83)を有する。第二固定具62がカバー22に対して本体21とは反対側から、第三通孔83に入れられ、第二固定孔72に螺旋込まれ、更に第二通孔82に入れられている(
図3及び
図4参照)。これにより、第二固定具62によって、カバー22が第一取付具51に螺旋止めにより固定されている。
【0030】
この第一取付部41では、第一取付具51が本体21のフランジ25に螺旋止めにより固定され、かつ第一取付具51にカバー22が螺旋止めにより固定されているので、第一取付部41による取付強度が高められている。また、第一取付部41の第一固定片511が本体21のフランジ25に引っ掛けられているため、取付強度がより高められている。
【0031】
一方、第二取付部42における第二取付具52は、かしめナットである(
図8参照)。このかしめナットは、ナット部521と、かしめ部522とを有する(
図9参照)。第二取付具52は、ナット部521とかしめ部522とを貫通し、内面に雌螺旋溝を有する第三固定孔73を有する。かしめ部522は、ナット部521よりも小さい径を有する。かしめ部522の外周面は、その全周にわたり、複数の凹凸を有する。
【0032】
開口24のコーナーの縁における、第二取付部42が設けられる箇所では、本体21のフランジ25が、かしめ部522に対応する通孔(第四通孔84)を有する(
図8参照)。第四通孔84の径は、ナット部521の径より大きく、かしめ部522の径よりも小さい。
【0033】
第二取付具52のナット部521がフランジ25のカバー22と対向する面の上に配置され、かしめ部522が第四通孔84に押し入れられている(
図10参照)。かしめ部522の凹凸が第四通孔84の内面に押されて潰れることで、かしめ部522が第四通孔84の内面に押圧力を加えている。これにより、第二取付具52が本体21のフランジ25に固定されている。カバー22は、その周縁における第三固定孔73及び第四通孔84と対応する位置に、通孔(第五通孔85)を有する。第三固定具63がカバー22に対して本体21とは反対側から、第五通孔85に入れられ、第三固定孔73に螺旋込まれている。これにより、第三固定具63によって、カバー22が第二取付具52に螺旋止めにより固定されている(
図3及び
図4参照)。
【0034】
第二取付部42では、第二取付具52と本体21との間のかしめ接続が外れると、第二取付部42による本体21に対するカバー22の固定が解除される。前記のかしめ接続は、螺旋止めによる接続よりも弱い力で外れうる。そのため、第二取付部42による取付強度が、第一取付部41による取付強度よりも十分に低い。
【0035】
本実施形態の電気機器1において、内装部品3からガスが発生するなどして筐体2内の圧力が高まり、第二取付部42にその取付強度を上回る力がかけられると、二つの第二取付部42のうちの一方又は両方において、第二取付具52と本体21との間のかしめ接続が外れる。これにより、第二取付部42による本体21に対するカバー22の固定が解除されて、本体21とカバー22との間が部分的に開き、筐体2内のガスが外部へ排出される。第一取付部41による取付強度は第二取付部42よりも高いため、第二取付部42による本体21に対するカバー22の固定が解除されても、第一取付部41による本体21に対するカバー22の固定は維持されうる。そのため、カバー22が本体21から脱落することが抑制され、筐体2が大きく破損することが抑制される。
【0036】
本実施形態では、上述のとおり、対角に位置する2つの取付部4の各々が第一取付部41であり、別の対角に位置する2つの取付部4の各々が第二取付部42であることで、2つの第一取付部41を結ぶ仮想的な線分L1と、2つの第二取付部42を結ぶ仮想的な線分L2とが、交差している(
図11参照)。取付部4がこのような位置関係にあると、筐体2内で局所的に突発的にガスが発生するなどして、筐体2内の圧力が瞬間的かつ局所的に高まった場合には、2つの第二取付部42のうち、圧力が高まった箇所に近い位置にある第二取付部42による固定が速やかに解除されうる。そのため、速やかに筐体2内のガスを外部へ放出することで、筐体2が大きく破損することが、更に抑制されうる。2つの第二取付部42のうち一方の第二取付部42による固定が解除され、ガスが放出されることでカバー22に力が加えられて変形しても、2つの第一取付部41による固定が維持されていると、カバー22の変形の程度が規制されうる。そのため、周囲に与えられる影響が低減されうる。
【0037】
3.変形例
実施形態における電気機器1は電力変換装置であるが、電気機器1は、電力変換装置以外の機器であってもよい。例えば、電気機器1は、ガス給湯器、照明器具、貯湯器、ボイラー、又は電気自動車用充電器等であってよい。
【0038】
実施形態におけるカバー22は平坦な形状であるが、カバー22の形状はこれに限られない。たとえばカバー22も筐体2と同様の形状を有していてもよい。
【0039】
実施形態では第一取付具51が本体21に螺旋止めにより固定され、第一取付具51にカバー22が螺旋止めにより固定されているが、第一取付具51がカバー22に螺旋止めにより固定され、第一取付具51に本体21が螺旋止めにより固定されていてもよい。実施形態では第二取付具52が本体21にかしめ接続により固定され、第二取付具52にカバー22が螺旋止めにより固定されているが、第二取付具52がカバー22にかしめ接続により固定され、第二取付具52に本体21が螺旋止めにより固定されていてもよい。
【0040】
実施形態では、取付具5の数が4つであり、そのうち第一取付具51の数が2つ、第二取付具52の数が2つであるが、取付具5等の数はこれに限られない。取付具5の数が3つでもよく、5つ以上でもよい。第一取付具51の数が1つでもよく、3つ以上でもよい。第二取付具52の数が1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0041】
2つの第一取付部41を結ぶ仮想的な線分L1と、2つの第二取付部42を結ぶ仮想的な線分L2とが交差する場合、線分L1、L2は、平面交差していてもよく、立体交差していてもよい。
【0042】
第一取付部41及び第二取付部42の構造は、第一取付部41による取付強度よりも第二取付部42による取付強度が低いのであれば、実施形態に制限されない。第一取付部41による取付強度よりも第二取付部42による取付強度との間には、明確な差があることが好ましい。例えば実施形態のように、取付具5を螺旋止めで固定する場合とかしめ接続で固定する場合との間には、取付強度に明確な差が生じうる。
【0043】
4.まとめ
第一の態様に係る電気機器(1)は、筐体(2)と、筐体(2)内に収容される内装部品(3)とを備える。筐体(2)が、本体(21)と、カバー(22)と、本体(21)に対してカバー(22)を固定する複数の取付部(4)とを備える。本体(21)が、内部に収容空間(23)を有し、かつ収容空間(23)に通じる開口(24)を有する。カバー(22)が、開口(24)を塞ぐ。取付部(4)が、開口(24)の縁に沿って間隔をあけて配置されている。取付部(4)が、少なくとも1つの第一取付部(41)と、第一取付部(41)よりも低い取付強度で本体(21)にカバー22を固定する少なくとも1つの第二取付部(42)とを、含む。
【0044】
この態様によると、筐体(2)内の圧力が高まった場合、第一取付部(41)による本体(21)に対するカバー(22)の固定が維持されながら、第二取付部(42)による本体(21)に対するカバー(22)の固定が優先的に解除されうる。このため、第一取付部(41)によって本体(21)からのカバー(22)の脱落を抑制しながら、本体(21)に対するカバー(22)の固定を部分的に解除して、筐体(2)内のガスを排出できる。これにより、筐体(2)の破損の程度を制御して、筐体2が大きく破損することが抑制されうる。
【0045】
第二の態様では、第一の態様において、取付部(4)が、2つの第一取付部(41)と、2つの第二取付部(42)とを、少なくとも含む。2つの第一取付部(41)を結ぶ仮想的な線分(L1)と、2つの第二取付部(42)を結ぶ仮想的な線分(L2)とが、交差する。
【0046】
この態様によると、筐体(2)内の圧力が瞬間的かつ局所的に高まった場合には、2つの第二取付部(42)のうち、圧力が高まった箇所に近い位置にある第二取付部(42)による固定が速やかに解除されうる。そのため、速やかに筐体(2)内のガスを外部へ放出することで、筐体(2)が大きく破損することが、更に抑制されうる。
【0047】
第三の態様では、第一又は第二の態様において、第一取付部(41)が、取付具(5)と、取付具(5)を本体(21)とカバー(22)とのうち一方に螺旋止めにより固定する固定具(6)と、本体21とカバー(22)とのうち他方を取付具(5)に螺旋止めにより固定する固定具(6)とを備える。
【0048】
この態様によると、第一取付部(41)による取付強度を適度に高めうる。
【0049】
第四の態様では、第一から第三のいずれか一の態様において、第二取付部(42)が、本体(21)とカバー(22)とのうち一方にかしめ接続で固定されている取付具(5)と、本体(21)とカバー(22)とのうち他方を取付具(5)に螺旋止めにより固定する固定具(6)とを備える。
【0050】
この態様によると、第二取付部(42)による取付強度を適度に低めうる。
【0051】
第五の態様では、第一から第四のいずれか一の態様において、電気機器(1)が、電力変換装置である。
【符号の説明】
【0052】
1 電気機器
2 筐体
21 本体
22 カバー
23 収容空間
24 開口
4 取付部
41 第一取付部
42 第二取付部
5 取付具
6 固定具