(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122693
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ポンプ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B65D83/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030370
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC04
3E014PC16
3E014PD11
3E014PF01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リサイクル性の向上とポンプの小型化とを両立し易いポンプ容器を提供する。
【解決手段】ポンプ容器1は、口部2a、胴部2b、底部2cをこの順に連ねて有する容器本体2と、ポンプ3とを有し、ポンプ3は、進退動作部5を有し、進退動作部5は、進退動作をすることで、容器本体2内からポンプ室6内に内容物を吸い込んで下流側流路5bを通して吐出口7から吐出させ、容器本体2の底部2cは弾性変形部8を有し、弾性変形部8は、進退動作部5への操作によって生じるシリンダ4に対する進退動作部5の前進動作により、延長部5cによって弾性変形させられ、進退動作部5への操作の解除により、弾性変形からの復元力によって延長部5cを介して進退動作部5を後退動作させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、胴部、底部をこの順に連ねて有する容器本体と、ポンプとを有し、
前記ポンプは、前記口部によって保持されるシリンダと、進退動作部とを有し、
前記進退動作部は、前記シリンダ上を摺動するピストンと、前記シリンダと前記ピストンとによって形成されるポンプ室よりも下流側に位置する下流側流路と、前記シリンダの内部から前記容器本体の前記底部に向けて伸びる延長部とを有し、前記シリンダに対する進退動作をすることで、前記容器本体内から前記ポンプ室内に内容物を吸い込んで前記下流側流路を通して吐出口から吐出させ、
前記容器本体の前記底部は弾性変形部を有し、
前記弾性変形部は、前記進退動作部への操作によって生じる前記シリンダに対する前記進退動作部の前進動作により、前記延長部によって弾性変形させられ、前記進退動作部への前記操作の解除により、弾性変形からの復元力によって前記延長部を介して前記進退動作部を後退動作させる、ポンプ容器。
【請求項2】
前記前進動作は前記口部の側から前記底部の側に向かう動作であり、前記後退動作は前記底部の側から前記口部の側に向かう動作である、請求項1に記載のポンプ容器。
【請求項3】
前記延長部は、前記シリンダに対する前記進退動作部の前記進退動作によって前記容器本体内から前記ポンプ室内に内容物を吸い込む上流側流路を有する、請求項1に記載のポンプ容器。
【請求項4】
前記進退動作部は、押し下げ式のノズルヘッドを有する、請求項1に記載のポンプ容器。
【請求項5】
前記弾性変形部は、接地部から上方に伸びる立ち上がり壁と、前記立ち上がり壁の上端から径方向内側に向かい下方に伸びる環状壁と、前記環状壁の内端に連なり上方に凸となる形状のドーム壁とを有し、
前記接地部からの前記ドーム壁の上面視中央部の高さは、前記シリンダに対する前記進退動作部の前記進退動作の最大ストロークよりも大きい、請求項1に記載のポンプ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
環境に配慮しリサイクル性を向上するために金属製のスプリングを樹脂製のスプリングに変更したポンプ容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に樹脂製のスプリングは、金属製のスプリングよりも付勢力(押圧力)が低いことから、必要な付勢力を確保するためのスプリングの大型化により、ポンプの大型化を招く場合がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、リサイクル性の向上とポンプの小型化とを両立し易いポンプ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
口部、胴部、底部をこの順に連ねて有する容器本体と、ポンプとを有し、
前記ポンプは、前記口部によって保持されるシリンダと、進退動作部とを有し、
前記進退動作部は、前記シリンダ上を摺動するピストンと、前記シリンダと前記ピストンとによって形成されるポンプ室よりも下流側に位置する下流側流路と、前記シリンダの内部から前記容器本体の前記底部に向けて伸びる延長部とを有し、前記シリンダに対する進退動作をすることで、前記容器本体内から前記ポンプ室内に内容物を吸い込んで前記下流側流路を通して吐出口から吐出させ、
前記容器本体の前記底部は弾性変形部を有し、
前記弾性変形部は、前記進退動作部への操作によって生じる前記シリンダに対する前記進退動作部の前進動作により、前記延長部によって弾性変形させられ、前記進退動作部への前記操作の解除により、弾性変形からの復元力によって前記延長部を介して前記進退動作部を後退動作させる、ポンプ容器。
【0008】
[2]
前記前進動作は前記口部の側から前記底部の側に向かう動作であり、前記後退動作は前記底部の側から前記口部の側に向かう動作である、[1]に記載のポンプ容器。
【0009】
[3]
前記延長部は、前記シリンダに対する前記進退動作部の前記進退動作によって前記容器本体内から前記ポンプ室内に内容物を吸い込む上流側流路を有する、[1]又は[2]に記載のポンプ容器。
【0010】
[4]
前記進退動作部は、押し下げ式のノズルヘッドを有する、[1]~[3]の何れか1項に記載のポンプ容器。
【0011】
[5]
前記弾性変形部は、接地部から上方に伸びる立ち上がり壁と、前記立ち上がり壁の上端から径方向内側に向かい下方に伸びる環状壁と、前記環状壁の内端に連なり上方に凸となる形状のドーム壁とを有し、
前記接地部からの前記ドーム壁の上面視中央部の高さは、前記シリンダに対する前記進退動作部の前記進退動作の最大ストロークよりも大きい、[1]~[4]の何れか1項に記載のポンプ容器。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リサイクル性の向上とポンプの小型化とを両立し易いポンプ容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態のポンプ容器を操作前の状態で示す断面図である。
【
図2】
図1に示すポンプ容器を操作時の状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0015】
図1~
図3に示すように、本発明の一実施形態においてポンプ容器1は、口部2a、胴部2b、底部2cをこの順に連ねて有する容器本体2と、ポンプ3とを有し、ポンプ3は、口部2aによって保持されるシリンダ4と、進退動作部5とを有し、進退動作部5は、シリンダ4上を摺動するピストン5aと、シリンダ4とピストン5aとによって形成されるポンプ室6よりも下流側に位置する下流側流路5bと、シリンダ4の内部から容器本体2の底部2cに向けて伸びる延長部5cとを有し、シリンダ4に対する進退動作をすることで、容器本体2内からポンプ室6内に内容物(不図示)を吸い込んで下流側流路5bを通して吐出口7から吐出させ、容器本体2の底部2cは弾性変形部8を有し、弾性変形部8は、進退動作部5への操作によって生じるシリンダ4に対する進退動作部5の前進動作により、延長部5cによって弾性変形させられ、進退動作部5への操作の解除により、弾性変形からの復元力によって延長部5cを介して進退動作部5を後退動作させる。
【0016】
上記構成によれば、ポンプ3のための付勢力を容器本体2の弾性変形部8によって得ることができるので、ポンプ3に金属製又は樹脂製のスプリングを設ける必要をなくすことができる。したがって上記構成によれば、リサイクル性の向上とポンプ3の小型化とを両立し易いポンプ容器1を実現できる。
【0017】
前進動作は口部2aの側から底部2cの側に向かう動作であり、後退動作は底部2cの側から口部2aの側に向かう動作である。上記構成によれば、簡単な構造でポンプ3を形成できる。前進動作が底部2cの側から口部2aの側に向かう動作となり、後退動作が口部2aの側から底部2cの側に向かう動作となる構成としてもよい。
【0018】
延長部5cは、シリンダ4に対する進退動作部5の進退動作によって容器本体2内からポンプ室6内に内容物を吸い込む上流側流路5dを有し、上流側流路5dの上流端は容器本体2の底部2c付近に位置する。上記構成によれば、容器本体2内の内容物を底部2c付近から延長部5cを通して吸い込むことができる。
【0019】
進退動作部5は、吐出口7を有する押し下げ式のノズルヘッド5eを有する。上記構成によれば、リサイクル性の向上とポンプ3の小型化とを両立し易い押し下げ式のポンプ容器1を実現できる。ポンプ3は、吐出口7を有するノズルと、シリンダ4に対する進退動作部5の前進動作を生じさせるための牽曳操作を受けるトリガーとをさらに有するトリガー式のポンプ3として構成してもよい。
【0020】
弾性変形部8は、接地部2c1から上方に伸びる立ち上がり壁8aと、立ち上がり壁8aの上端から径方向内側に向かい下方に伸びる環状壁8bと、環状壁8bの内端に連なり上方に凸となる形状のドーム壁8cとを有し、接地部2c1からのドーム壁8cの上面視中央部の高さHは、シリンダ4に対する進退動作部5の進退動作の最大ストロークMよりも大きい。上記構成によれば、簡単な構造で弾性変形部8を形成できる。
【0021】
ドーム壁8cの上面視中央部は、下方に凸となる形状の窪み壁8c1を有する。上記構成によれば、延長部5cの進退動作の安定性を向上できる。窪み壁8c1と延長部5cとが一体に動作するように互いに引っ掛かる構成としてもよい。
【0022】
シリンダ4の下端には軸線Oを中心とするシール筒9が同軸に連なり、延長部5cはシール筒9の内周面上を摺動するシール部5c1を有する。上記構成によれば、内容物の搬送効率を向上できる。
【0023】
ポンプ3は、ポンプ室6内に設けられシリンダ4に一体に取り付けられる閉塞部材10を有し、閉塞部材10は、シリンダ4に対する進退動作部5の後退動作によって上流側流路5dの下流端を上流側逆流抑制部5fよりも下流側で閉塞する。上記構成によれば、流通時などにおける内容物の漏出を抑制できる。より確実に内容物の漏出を抑制するために、シリンダ4に対する進退動作部5の進退動作を規制するためにポンプ3に取り付けられる着脱式ストッパを設けてもよい。
【0024】
ポンプ3は、ピストン5aを有し上端部がノズルヘッド5eに一体に取り付けられるピストン部材11と、閉塞部材10を進退方向にそれぞれ貫通する複数(本実施形態では2つ)の脚部12aを有し上端部がピストン部材11に一体に取り付けられ下端部が延長部5cの上端部に一体に取り付けられる脚部材12とを有する。上記構成によれば、簡単な構造で閉塞部材10をポンプ室6内に設けることができる。
【0025】
延長部5cは、上端部が脚部材12に一体に取り付けられる接続部材13と、シール部5c1を有し接続部材13に一体に取り付けられるシール部材14と、上端が接続部材13の下端部に一体に取り付けられるパイプ部材15とを有する。上記構成によれば、簡単な構造で延長部5cを形成できる。
【0026】
進退動作部5は、上流側流路5d内に上流側逆流抑制部5fを有する。上記構成によれば、内容物の搬送効率を向上できる。上流側逆流抑制部5fは玉弁で構成されるが、これに限らない。
【0027】
進退動作部5は、下流側流路5b内に下流側逆流抑制部5gを有する。上記構成によれば、内容物の搬送効率を向上できる。下流側逆流抑制部5gは、弁本体と弾性連結部からなる例えば3点弁などの弾性弁で構成されるが、これに限らない。
【0028】
シリンダ4に対する進退動作部5の前進動作により、上流側逆流抑制部5fが閉じた状態で下流側逆流抑制部5gが開き、内容物がポンプ室6内から下流側流路5bを通して吐出口7へ送られる一方、シリンダ4に対する進退動作部5の後退動作により、下流側逆流抑制部5gが閉じた状態で上流側逆流抑制部5fが開き、内容物が容器本体2内からポンプ室6内へ吸い込まれる。上記構成によれば、簡単な構造でポンプ3を形成できる。
【0029】
ポンプ容器1を構成する全ての部品は合成樹脂製である。上記構成によれば、良好なリサイクル性を実現できる。
【0030】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 ポンプ容器
2 容器本体
2a 口部
2b 胴部
2c 底部
2c1 接地部
3 ポンプ
4 シリンダ
5 進退動作部
5a ピストン
5b 下流側流路
5c 延長部
5c1 シール部
5d 上流側流路
5e ノズルヘッド
5f 上流側逆流抑制部
5g 下流側逆流抑制部
6 ポンプ室
7 吐出口
8 弾性変形部
8a 立ち上がり壁
8b 環状壁
8c ドーム壁
8c1 窪み壁
9 シール筒
10 閉塞部材
11 ピストン部材
12 脚部材
12a 脚部
13 接続部材
14 シール部材
15 パイプ部材
H 高さ
M 最大ストローク
O 軸線