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特開2024-122695データ伝送装置、及びデータ伝送方法
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  • 特開-データ伝送装置、及びデータ伝送方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122695
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】データ伝送装置、及びデータ伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030374
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹之下 忠
(72)【発明者】
【氏名】市川 知行
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA05
5K033CA08
5K033CB06
(57)【要約】
【課題】データ信号衝突を回避するデータ伝送装置、及びデータ伝送方法を提供する。
【解決手段】映像データを伝送するタイミングである映像期間に第1装置10から第2装置50に映像データを伝送させる映像送信回路24と、非映像データを伝送するタイミングである映像ブランキング期間に第1装置10と第2装置50との間で非映像データを伝送させる送信部32、72と、映像ブランキング期間において、非映像データを伝送する区間に先行して設けられた衝突判定期間に、第1装置10からの信号が存在する場合は第2装置50から第1装置10への非映像データの伝送を、第2装置50からの信号が存在する場合は第1装置10から第2装置50への非映像データの伝送を、各々停止するように送信部32、72を制御する監視部30、68と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを伝送するタイミングである映像期間に第1装置から第2装置に前記映像データを伝送させる映像データ送信部と、
非映像データを伝送するタイミングである映像ブランキング期間に前記第1装置と前記第2装置との間で前記非映像データを伝送させる非映像データ送信部と、
前記映像ブランキング期間において、前記非映像データを伝送する区間に先行して設けられた衝突判定期間を前記第1装置だけが信号を送出できる第1期間とし、前記第1装置からの信号が存在する場合は前記第2装置から前記第1装置への前記非映像データの伝送を停止するように前記非映像データ送信部を制御する監視部と、
を含むデータ伝送装置。
【請求項2】
前記衝突判定期間を前記第2装置だけが信号を送出できる第2期間とし、前記衝突判定期間に前記第2装置からの信号が存在する場合は、前記第1装置から前記第2装置への前記非映像データの伝送を停止するように、前記非映像データ送信部を制御する監視部を含む請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項3】
前記監視部は、前記衝突判定期間に、前記第1装置からの信号が存在しない場合は前記第2装置から前記第1装置への前記非映像データの伝送を、前記第2装置からの信号が存在しない場合は前記第1装置から前記第2装置への前記非映像データの伝送を、各々実行するように前記非映像データ送信部を制御する請求項2に記載のデータ伝送装置。
【請求項4】
前記映像ブランキング期間において、前記衝突判定期間と前記非映像データを伝送する区間との間に、信号を伝送しない空白の期間と、前記第1装置と前記第2装置との間の伝送を同期させるための期間を設けた請求項3に記載のデータ伝送装置。
【請求項5】
前記衝突判定期間は、データ信号衝突の回避を優先する場合は、前記非映像データの伝送に用いる帯域の確保を優先する場合よりも長く設定される請求項1~4のいずれか1項に記載のデータ伝送装置。
【請求項6】
映像データを伝送するタイミングである映像期間に第1装置から第2装置に前記映像データを伝送させる映像データ送信工程と、
非映像データを伝送するタイミングである映像ブランキング期間において、前記非映像データを伝送する区間に先行して設けられた衝突判定期間に、前記第1装置からの信号が存在する場合は前記第2装置から前記第1装置への前記非映像データの伝送を、前記第2装置からの信号が存在する場合は前記第1装置から前記第2装置への前記非映像データの伝送を、各々停止させる監視工程と、
前記監視工程で、前記衝突判定期間に、前記第1装置からの信号が存在しない場合は前記第2装置から前記第1装置への前記非映像データの伝送を、前記第2装置からの信号が存在しない場合は前記第1装置から前記第2装置への前記非映像データの伝送を、各々実行する非映像データ送信工程と、
を含むデータ伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ信号衝突を回避するデータ伝送装置、及びデータ伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の周辺監視システム又はドライブレコーダ等、車両にカメラが搭載される場合が少なくない。これらのカメラの各種制御やファームウェアの更新等をカメラが接続されている制御装置側から行うことが要求されている。
【0003】
アナログ映像データの伝送において、アナログ信号に映像以外にI2C(Inter-Integrated Circuit)データ等の非映像データを重畳させる方式が用いられており、非映像データは、映像信号に影響を及ぼさないように映像ブランキング期間に送受信を行っている。しかしながら、非映像データを伝送する際の規格は定義されていないので、非映像データの送信時は、双方向通信によるデータ伝送時の信号衝突を発生させず、安全に通信を行う必要がある。
【0004】
特許文献1には、差動クロック信号の発生する最大差動電圧が、当該クロック送信モジュールの最大差動電圧よりも小さい、動的な稼働状態にあるデータ伝送周期時に、当該クロックパルス列の最初のクロック周期の最初のクロック期間の長さを、後続するクロック周期の最初のクロック期間よりも長く、かつ当該最大差動電圧に達するために必要な期間よりも短く設定する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2022-546947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、信号に他のデータを重畳させることを考慮しておらず、双方向通信によるデータ伝送時に信号衝突をおこすおそれがあった。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、データ信号衝突を回避するデータ伝送装置、及びデータ伝送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、映像データを伝送するタイミングである映像期間に第1装置から第2装置に前記映像データを伝送させる映像データ送信部と、非映像データを伝送するタイミングである映像ブランキング期間に前記第1装置と前記第2装置との間で前記非映像データを伝送させる非映像データ送信部と、前記映像ブランキング期間において、前記非映像データを伝送する区間に先行して設けられた衝突判定期間を前記第1装置だけが信号を送出できる第1期間とし、前記第1装置からの信号が存在する場合は前記第2装置から前記第1装置への前記非映像データの伝送を停止するように前記非映像データ送信部を制御する監視部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
非映像データを伝送する区間に先行して設けられた衝突判定期間に相手方からの信号が存在する場合に、非映像データの伝送を停止することによりデータ信号衝突を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る第1装置、及び第2装置の構成の一例を示したブロック図である。
図2】映像データと非映像データとの伝送タイミングの一例を示した説明図である。
図3】非映像データ伝送によるカメラモジュール制御の一例を示した説明図である。
図4】Rxデータ送受信回路の詳細な構成の一例を示したブロック図である。
図5】Txデータ送受信回路の監視部、又はRxデータ送受信回路の監視部における非映像データの送受信制御の処理の一例を示したフローチャートである。
図6】(A)は、映像データ受信側である第2装置から映像データ送信側である第1装置への非映像データの伝送タイミングの一例を示した説明図であり、(B)は、第2装置から第1装置への非映像データの伝送イメージを示した概略図であり、(C)は、映像データ送信側である第1装置から映像データ受信側である第2装置への非映像データの伝送タイミングの一例を示した説明図であり、(D)は、第1装置から第2装置への非映像データの伝送イメージを示した概略図である。
図7】(A)は、第2実施形態において、映像データ受信側である第2装置から映像データ送信側である第1装置への非映像データの伝送タイミングの一例を示した説明図であり、(B)は、第2実施形態において、映像データ送信側である第1装置から映像データ受信側である第2装置への非映像データの伝送タイミングの一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る第1装置10、及び第2装置50の構成の一例を示したブロック図である。第1装置10は、例えばカメラ等の撮像装置であり、第2装置50は、例えばカーナビゲーション装置、又は車両の自動運転装置等である。第1装置10は監視カメラでもよいし、第2装置50は監視カメラの制御装置でもよい。第1装置10及び第2装置50は、アナログ伝送ケーブル40を介して接続されている。アナログ伝送ケーブル40は、第1装置10で取得した映像データを第2装置50に伝送すると共に、第1装置10と第2装置50の間の制御信号等の非映像データの伝送に用いられる。
【0012】
第1装置10は、対象物から発した光を受光し、光の明暗を電気信号に変換することにより対象物の映像データを取得するイメージセンサ12と、フラッシュメモリ等の記憶装置であるメモリ14と、イメージセンサ12で取得した映像データを、アナログ伝送ケーブル40を介して第2装置50に伝送するTxシステム20と、を含む
【0013】
Txシステム20は、アナログ信号である映像データを送信する映像送信回路24と、第2装置50とI2Cデータ等のデジタル信号である非映像データを送受信するTxデータ送受信回路26とを備え、映像送信回路24及びTxデータ送受信回路26の各々は、Tx制御部22によって制御される。
【0014】
Tx制御部22は、映像送信回路24及びTxデータ送受信回路26の各々を制御するための制御信号を、映像送信回路24及びTxデータ送受信回路26の各々に出力すると共に、送受信制御を行うための送受信タイミング設定信号を、映像送信回路24及びTxデータ送受信回路26の各々に出力する。本実施形態では、伝送タイミングに、映像データを伝送する映像期間と、非映像データを伝送する映像ブランキング期間とがあり、Tx制御部22が出力する送受信タイミング設定信号は、伝送タイミングにおける映像期間と映像ブランキング期間とを設定している。
【0015】
Txデータ送受信回路26は、第2装置50から送信されたデジタル信号を受信する受信部28と、デジタル信号を第2装置50に送信する送信部32とを含む。受信部28は、伝送タイミング中に衝突判定期間を設け、衝突判定期間中に送信側からデータが送られた場合、受信側から送信側へのデータ転送を停止し、信号衝突の回避を行うように送信部32を制御する監視部30を備える。本実施形態では、前述のように、Tx制御部22が出力する送受信タイミング設定信号で映像データを伝送する映像期間と非映像データを伝送する映像ブランキング期間とを設定しているが、後述するように衝突判定期間は映像ブランキング期間に設けられ、衝突判定期間で信号衝突を回避するように伝送を制御する。
【0016】
メモリ14には、例えば、第1装置10の撮像機能を制御するファームウェア等のプログラムが格納されている。メモリ14に格納されるファームウェア等のプログラムは、第2装置50からのデジタル信号によってアップデートされる。
【0017】
第2装置50は、映像データを受信するRxシステム60と、受信した映像データを表示するディスプレイ52と、Rxシステム60を制御するMCU(Micro Control Unit)54と、を含む
【0018】
Rxシステム60は、アナログ信号である映像データを受信する映像受信回路62と、第1装置10とI2Cデータ等のデジタル信号を送受信するRxデータ送受信回路66と、受信した映像データをディスプレイ52に表示可能な状態に処理する映像処理回路64と、MCU54の下位の制御装置であるRx制御部74とを備え、映像受信回路62、映像処理回路64及びRxデータ送受信回路66の各々は、Rx制御部74によって制御される。
【0019】
Rx制御部74は、映像受信回路62、映像処理回路64及びRxデータ送受信回路66の各々を制御するための制御信号を、映像受信回路62、映像処理回路64及びRxデータ送受信回路66の各々に出力する。また、映像受信回路62は、第1装置10から映像信号を受信した時間から、第2装置50のRxシステム60における映像期間と映像ブランキング期間との別を示す同期信号を生成し、Rxデータ送受信回路66に出力する。
【0020】
Rxデータ送受信回路66は、第1装置10から送信されたデジタル信号を受信する受信部68と、デジタル信号を第1装置10に送信する送信部72とを含む。受信部68は、伝送タイミング中に衝突判定期間を設け、衝突判定期間中に送信側からデータが送られた場合、受信側から送信側へのデータ転送を停止し、信号衝突の回避を行うように送信部72を制御する監視部70を備える。
【0021】
図2は、映像データと非映像データとの伝送タイミングの一例を示した説明図である。図2に示したように、アナログ映像信号の伝送において、アナログ信号に映像以外のデータ(I2Cデータなどの非映像データ)を重畳させる方式が用いられており、映像信号に影響を及ぼさないように映像ブランキング期間に非映像データの送受信を行っている。非映像データを伝送する際の規格は定義されておらず伝送を行う際はデータ信号の衝突回避を行って安全に通信を行う必要がある。本実施形態では、非映像データの伝送時、双方向通信による信号衝突が発生することがないよう送信側(Tx)と受信側(Rx)でデータ信号の伝送タイミングをあらかじめ決めておき、データ信号衝突を回避する。さらに、受信側(Rx)は、想定されたタイミング以外のデータ信号を検知するとデータ信号の伝送を停止しデータ衝突を回避する。
【0022】
図3は、非映像データ伝送によるカメラモジュール制御の一例を示した説明図である。図2に示したように、アナログ映像信号の伝送では、アナログ信号にI2Cデータなどのデジタル信号である非映像データを重畳させる方式が用いられている。第1装置10が備えるイメージセンサ12で取得したアナログ映像信号は送信側であるTxシステム20からアナログ伝送ケーブル40を介して第2装置50の受信側であるRxシステム60に伝送され、表示装置であるディスプレイ52に表示される。なお、MCU15やメモリ14及びMCU54は第1装置10及び第2装置20にそれぞれ含まれずバスを介して接続されても良く、図3図1の構成とは異なりMCU15やメモリ14及びMCU54を第1装置10及び第2装置20にそれぞれ含まない構成を示している。
【0023】
また、非映像データとしてI2Cデータは、例えばイメージセンサ12とTxシステム20とで構成されるカメラモジュールへの指令信号であり、例えばMCU15に対する通知信号である。より具体的には、MCU54の制御により、Rx制御部74を介してカメラモジュールの制御信号、及びカメラモジュールのファーム書き換え等の信号、MCU15に通信するコマンドなど、が第2装置50から第1装置10に伝送される。I2Cデータは、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)等のシリアルバスを介して伝送され、例えば、I2Cデータがカメラモジュールのファーム書き換えの信号の場合、MCU54の制御により、新たなファーム書き換えの信号が非映像データとして第2装置50から第1装置10に伝送され、メモリ14に格納され、例えばMCU15へのコマンドであればシリアルバスなどを介してMCU15に通知される。
【0024】
カメラモジュールへの指令、ファームの書き換え、MCU15へのコマンド通知、等が完了した場合、必要に応じて、第1装置10のTxシステム20からは、第2装置50のMCU54に対して、ファーム書き換えが完了した旨の信号がSPI等のシリアルバスを介してI2Cデータとして伝送される。
【0025】
図4は、Rxデータ送受信回路66の詳細な構成の一例を示したブロック図である。Rxデータ送受信回路66は、第1装置10から送信されたデジタル信号を受信する受信部68と、デジタル信号を第1装置10に送信する送信部72とを含む。
【0026】
受信部68は、ファーム書き換えが完了した旨の信号等のI2Cデータである入力信号を受信する受信回路68Aと、受信したI2CデータをRx制御部74で解釈可能なフォーマットに変換する受信フォーマット68Bと、非映像データの伝送タイミングである映像ブランキング期間に衝突判定期間を設け、衝突判定期間中に送信側からデータが送られた場合に衝突判定を行う監視部70と、を備える。衝突判定を行った監視部70は、受信側から送信側へのデータ転送を停止する停止制御の信号を送信部72に出力し、信号衝突の回避を行うように送信部72を制御する。
【0027】
送信部72は、MCU54の制御によるカメラモジュールの制御信号、及びカメラモジュールのファーム書き換え等の信号がRx制御部74を介して入力される。Rx制御部74を介して入力された信号は、送信フォーマット72CでI2Cデータのフォーマットに変換されて送信回路72Aに出力される。送信回路72Aは、送信判定72Bから送信停止がなされない場合、入力されたI2Cデータを第1装置10に送信する。
【0028】
送信回路72A、及び受信回路68Aの各々には、映像受信回路62からの同期信号が入力される。本実施形態では、前述のように映像データを伝送する映像期間と非映像データを伝送する映像ブランキング期間とが設定され、映像受信回路62は、映像期間に第1装置10から映像データを受信する。映像受信回路62が送信回路72A、及び受信回路68Aの各々に出力する同期信号は、第2装置50のRxシステム60における映像期間と映像ブランキング期間との別を示し、送信回路72A、及び受信回路68Aの各々は、入力された同期信号に示された映像ブランキング期間に非映像データであるI2Cデータの伝送を行うことにより、映像データと非映像データとの信号衝突を回避する。
【0029】
本実施形態において、映像データは、第1装置10から第2装置50への一方向な伝送であるが、非映像データは、第1装置10と第2装置50との間の双方向で伝送される。前述のように、本実施形態では、受信部68の監視部70は、映像ブランキング期間における衝突判定期間中に送信側からデータが送られた場合に衝突判定を行い、受信側から送信側へのデータ転送を停止する停止制御の信号を送信部72の送信判定72Bに出力する。停止制御の信号が入力された送信判定72Bは、送信回路72Aの送信を停止させて、信号衝突を回避する。
【0030】
図5は、Txデータ送受信回路26の監視部30又はRxデータ送受信回路66の監視部70における非映像データの送受信制御の処理の一例を示したフローチャートである。図5に示した処理は、第1装置10、及び第2装置50の各々が通信可能な状態になると開始される。
【0031】
ステップS100では、映像ブランキング期間の衝突判定期間中に他方(Txデータ送受信回路26が受信側の場合はRxデータ送受信回路66、Rxデータ送受信回路66が受信側の場合はTxデータ送受信回路26)からのデータ受信を検知したか否かを判定する。ステップS100で、データ受信を検知した場合は手順をステップS102に移行し、データ受信を検知しなかった場合は手順をステップS104に移行する。
【0032】
ステップS102では、衝突判定を行い受信側から送信側へのデータ転送を停止する停止指示を送信部32、又は送信部72を出力して処理を終了する。
【0033】
ステップS104では、衝突判定は行わず、受信側から送信側へのデータ転送を送信回路停止する停止指示を出力せず、送信部32、又は送信部72によるI2Cデータの送信を許可して処理を終了する。
【0034】
図2及び図5に示したように、第1装置10及び第2装置50との間でアナログ映像信号を伝送し、かつ映像以外のデータ(I2Cデータなどの非映像データ)を映像ブランキング期間内に重畳して双方向伝送する伝送システムにおいて、各装置は非映像データの送信回路、受信回路をそれぞれ備え、予め設定された非映像データの送受信タイミングで伝送を行うように制御される。
【0035】
さらに受信側の受信回路は信号衝突監視部(監視部30、又は監視部70)を備え、衝突判定期間に送信側からデータ信号を検知したとき信部32又は送信部72による伝送を停止させ、送信側からのデータ信号が無い時、送信部32又は送信部72による伝送を許可する。
【0036】
図6(A)は、映像データ受信側である第2装置50から映像データ送信側である第1装置10への非映像データの伝送タイミングの一例を示した説明図であり、図6(B)は、第2装置50から第1装置10への非映像データの伝送イメージを示した概略図であり、図6(C)は、映像データ送信側である第1装置10から映像データ受信側である第2装置50への非映像データの伝送タイミングの一例を示した説明図であり、図6(D)は、第1装置10から第2装置50への非映像データの伝送イメージを示した概略図である。
【0037】
本実施形態では、非映像データの送信及び受信は、図6(B)及び図6(D)に示したように、どちらからでも可能である。
【0038】
図6(A)及び図6(C)に示したように、本実施形態では、映像ブランキング期間のライン転送の最初に衝突判定期間を設け、衝突判定の結果により送信側と受信側とのデータ信号伝送を行う。本実施形態では、あらかじめ優先される装置を決めておき衝突判定期間に信号を送出できるのは優先される装置のみとする。図6(A)、図6(C)は、第1装置10から第2装置50への非映像データの伝送を優先する場合を示しており、衝突判定期間に信号を送出するのは第1装置10のみである。
【0039】
図6(A)に示したように、衝突判定期間に信号がない(Blank)と第2装置50の監視部70が判定した場合、第2装置50の送信部72は、図6(A)の映像データ受信側データ伝送区間において第1装置10への非映像データのデータ伝送を実行する。
【0040】
図6(C)に示したように、衝突判定期間に第1装置10から映像データ送信側データ転送通知等の信号があると第2装置50の監視部70が判定した場合、第1装置10からのデータ伝送を優先し、第2装置50からの非映像データのデータ伝送は、図6(C)の映像データ送信側データ転送区間が終了してから行う。
【0041】
図6(A)、図6(C)は、第1装置10から第2装置50への非映像データの伝送を優先する場合を示しているが、第2装置50から第1装置10への非映像データの伝送を優先する場合も同様の方法で実現できる。第2装置50から第1装置10への非映像データの伝送を優先する場合は衝突判定期間に信号を送出するのは第2装置50のみである。衝突判定期間に第2装置50からデータ転送通知等の信号があると第1装置10の監視部30が判定した場合、第2装置50からのデータ伝送を優先し、第1装置10からの非映像データのデータ伝送は、映像データ受信側データ転送区間が終了してから行う。
【0042】
図6(A)及び図6(C)における衝突判定期間は、映像データ受信側データ伝送区間、及び映像データ送信側データ伝送区間の各々よりも短く設定される。衝突判定期間を長めに設定すると、送信側と受信側との信号衝突をより確実に回避できるが、非映像データの伝送に用いる帯域が衝突判定期間によって損なわれるおそれがある。衝突判定期間を短めに設定すると、非映像データの伝送に用いる帯域は確保されるが、確実な信号衝突の回避が困難になるおそれがある。衝突判定期間の長短は、信号衝突の回避を優先するか、非映像データの伝送に用いる帯域の確保を優先するかによって決定する。
【0043】
以上説明したように本実施形態によれば、映像データ受信側データ伝送区間、又は映像データ送信側データ伝送区間に先行して設けた衝突判定期間においてデータ伝送の相手側からの信号の有無を判定し、衝突判定期間に信号が存在しない場合に相手方へのデータ伝送を行う。その結果、非映像データのデータ伝送におけるデータ信号衝突を回避することができる。
【0044】
本実施形態では、伝送タイミングにおける映像期間と映像ブランキング期間とを設定した送受信タイミング設定信号を第1装置10のTx制御部22が出力したが、これに限定されない。第2装置50のRx制御部74が送受信タイミング設定信号をRxデータ送受信回路66に出力し、Rxデータ送受信回路66が送受信タイミング設定信号をI2Cデータとして第1装置10に伝送してもよい。かかる場合は、第1装置10は伝送された送受信タイミング設定信号に設定された映像期間と映像ブランキング期間とに従って、映像データと非映像データの伝送を制御する。
【0045】
[第2実施形態]
続いて第2実施形態について説明する。本実施形態は、非映像データのより安定した伝送を行う点で第1実施形態と相違するが、その他の構成等については第1実施形態と同じなので、第1実施形態と同一の構成には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
図7(A)は、映像データ受信側である第2装置50から映像データ送信側である第1装置10への非映像データの伝送タイミングの一例を示した説明図であり、図7(B)は、映像データ送信側である第1装置10から映像データ受信側である第2装置50への非映像データの伝送タイミングの一例を示した説明図である。
【0047】
図7(A)及び図7(B)に示したように、本実施形態では、映像ブランキング期間のライン転送の最初に衝突判定期間を設ける点は第1実施形態と共通するが、衝突判定期間に後続して切替時間とBIAS安定期間とを設ける点で第1実施形態と相違する。切替時間は、後続する映像データ受信側データ伝送区間、又は映像データ送信側データ伝送区間への切替えを円滑に行うために設けられた信号を伝送しない空白の期間であり、BIAS安定期間は、信号が不安定となる場合、又は送信側と受信側との各々の処理遅延が生じる場合を想定して送信側と受信側との各々を同期させるための期間である。
【0048】
図7(A)に示したように、衝突判定期間に信号がない(Blank)と第2装置50の監視部70が判定した場合、第2装置50の送信部72は、切替期間とBIAS安定期間とに後続する図7(A)の映像データ受信側データ伝送区間において第1装置10への非映像データのデータ伝送を実行する。図7(A)は、第2装置50から第1装置10への非映像データの伝送を示しているが、第1装置10から第2装置50への非映像データの伝送の場合も同様で、衝突判定期間に信号がない(Blank)と第1装置10の監視部30が判定した場合、第1装置10の送信部32は、切替期間とBIAS安定期間とに後続する映像データ送信側データ伝送区間において第2装置50への非映像データのデータ伝送を実行する。
【0049】
図7(B)に示したように、衝突判定期間に第1装置10から映像データ送信側データ転送通知等の信号があると第2装置50の監視部70が判定した場合、第1装置10からのデータ伝送を優先し、第2装置50からの非映像データのデータ伝送は、図7(B)の映像データ送信側データ転送区間が終了後の切替時間とBIAS安定期間とが経過してから行う。
【0050】
図7(B)は、第1装置10から第2装置50への非映像データの伝送を優先する場合を示しているが、第2装置50から第1装置10への非映像データの伝送を優先する場合も同様で、衝突判定期間に第2装置50からデータ転送通知等の信号があると第1装置10の監視部30が判定した場合、第2装置50からのデータ伝送を優先し、第1装置10からの非映像データのデータ伝送は、映像データ受信側データ転送区間が終了後の切替時間とBIAS安定期間とが経過してから行う。
【0051】
以上説明したように本実施形態によれば、衝突判定期間に後続して、映像データ受信側データ伝送区間、又は映像データ送信側データ伝送区間への切替えを円滑に行うための切替時間、及び信号が不安定となる場合、又は送信側と受信側との各々の処理遅延が生じる場合を想定して送信側と受信側との各々を同期させるためのBIAS安定期間を各々設けることにより、より安定した非映像データの伝送が可能となる。
【符号の説明】
【0052】
10 第1装置
12 イメージセンサ
14 メモリ
20 Txシステム
22 Tx制御部
24 映像送信回路
26 Txデータ送受信回路
28 受信部
30 監視部
32 送信部
40 アナログ伝送ケーブル
50 第2装置
60 Rxシステム
62 映像受信回路
66 Rxデータ送受信回路
68 受信部
68A 受信回路
68B 受信フォーマット
70 監視部
72 送信部
72A 送信回路
72B 送信判定
72C 送信フォーマット
74 Rx制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7