IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラピステクノロジー株式会社の特許一覧

特開2024-122696駆動能力制御装置及び駆動能力制御システム
<>
  • 特開-駆動能力制御装置及び駆動能力制御システム 図1
  • 特開-駆動能力制御装置及び駆動能力制御システム 図2
  • 特開-駆動能力制御装置及び駆動能力制御システム 図3A
  • 特開-駆動能力制御装置及び駆動能力制御システム 図3B
  • 特開-駆動能力制御装置及び駆動能力制御システム 図4
  • 特開-駆動能力制御装置及び駆動能力制御システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122696
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】駆動能力制御装置及び駆動能力制御システム
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030375
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 満
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA04
5J056BB12
5J056CC07
5J056CC09
5J056DD13
5J056DD28
5J056FF08
5J056KK01
(57)【要約】
【課題】ドライバから出力される駆動信号の駆動能力の調整を自動化する。
【解決手段】駆動能力制御装置は、ドライバから供給されるパルス列を含む駆動信号を平均化して出力する平均化回路と、平均化回路の出力電圧のレベルと所定の閾値電圧のレベルとを比較した比較結果を出力する比較回路と、比較回路の出力に基づいて、駆動信号の駆動能力を制御するための制御信号を出力する制御回路と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバから供給されるパルス列を含む駆動信号を平均化して出力する平均化回路と、
前記平均化回路の出力電圧のレベルと所定の閾値電圧のレベルとを比較した比較結果を出力する比較回路と、
前記比較回路の出力に基づいて、前記駆動信号の駆動能力を制御するための制御信号を出力する制御回路と、
を含む駆動能力制御装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記駆動信号の駆動能力の調整を開始すべき指示を含む第1の制御信号、前記駆動信号の駆動能力の調整を継続すべき指示を含む第2の制御信号及び前記駆動信号の駆動能力の調整を終了すべき指示を含む第3の制御信号のいずれかを前記制御信号として出力する
請求項1に記載の駆動能力制御装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記平均化回路の出力電圧のレベルが前記閾値電圧のレベルよりも低いことを示す出力が前記比較回路から出力された場合に、前記第2の制御信号を出力し、前記平均化回路の出力電圧のレベルが前記閾値電圧のレベルよりも高いことを示す出力が前記比較回路から出力された場合に、前記第3の制御信号を出力する
請求項2に記載の駆動能力制御装置。
【請求項4】
前記第3の制御信号が出力された後に、前記ドライバから供給される駆動信号を処理する処理回路を更に含む
請求項2に記載の駆動能力制御装置。
【請求項5】
前記駆動信号の前記平均化回路への供給及び非供給を切り替えるスイッチを更に有する
請求項1に記載の駆動能力制御装置。
【請求項6】
前記平均化回路は、ローパスフィルタを含む
請求項1に記載の駆動能力制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の駆動能力制御装置と、
前記ドライバと、を含み、
前記ドライバは、前記制御信号に基づいて、前記駆動信号の駆動能力の調整を行う
駆動能力制御システム。
【請求項8】
前記制御回路は、前記駆動信号の駆動能力の調整を開始すべき指示を含む第1の制御信号、前記駆動信号の駆動能力の調整を継続すべき指示を含む第2の制御信号及び前記駆動信号の駆動能力の調整を終了すべき指示を含む第3の制御信号のいずれかを前記制御信号として出力し、
前記ドライバは、前記制御回路から前記第1の制御信号が出力されてから前記第3の制御信号は出力されるまで、デューティ及び周期が一定のパルス列を含む駆動能力調整用の駆動信号を前記駆動能力制御装置に供給する
請求項7に記載の駆動能力制御システム。
【請求項9】
前記ドライバは、前記制御回路から前記第1の制御信号が出力されてから前記第3の制御信号は出力されるまで、前記駆動信号の駆動能力を段階的に高くする
請求項8に記載の駆動能力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は駆動能力制御装置及び駆動能力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバの出力信号の駆動能力制御に関する技術として以下の技術が知られている。特許文献1には、入力信号に応じて外部負荷に出力電流を供給するドライバの出力電流を調整する方法であって、ドライバが、複数段のPMOSと複数段のNMOSとを備え、ドライバから出力される電流の値に応じた信号を受信し、信号のレベルに応じて、該信号のレベルが所定の範囲内に入るように、PMOSの駆動段数又はNMOSの駆動段数を調整することを特徴とするドライバの出力電流調整方法が記載されている。
【0003】
特許文献2には、設定信号に応じた駆動能力でスイッチ素子を駆動するように構成された出力段と、スイッチ素子の一端に現れる出力電圧のスルーレートに応じた検出信号を生成するように構成されたスルーレート検出部と、不揮発性メモリから読み出された設定信号を検出信号に応じて調整した上で出力段に出力するように構成された調整部と、を有するドライバが記載されている。
【0004】
特許文献3には、ドライバ制御手段とドライバ手段を有するドライバ回路において、ドライバ制御手段は、ドライバの入力信号のデータを1サイクル前のデータと比較し、異なる場合にはドライバ制御信号を出力し、ドライバ手段は、該ドライバ制御信号により駆動能力を増大することを特徴とするドライバ回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/139057号
【特許文献2】特開2022-92887号公報
【特許文献3】特開2007-209030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高速インターフェースに用いられるドライバは、周波数がギガヘルツオーダーの駆動信号を出力する。ドライバから出力される駆動信号の駆動能力は、動作速度(周波数)及び外部負荷等の動作環境に応じて変動する。駆動信号の駆動能力が不十分であると、信号レベルが低い状態となり、2値判定における閾値レベルを超えることができない場合がある。動作環境に応じて駆動信号の駆動能力を調整することが望ましいが、駆動能力の調整を手動で行うことは容易ではない。
【0007】
開示の技術は上記の点に鑑みてなされたものであり、ドライバから出力される駆動信号の駆動能力の調整を自動化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術に係る駆動能力制御装置は、ドライバから供給されるパルス列を含む駆動信号を平均化して出力する平均化回路と、前記平均化回路の出力電圧のレベルと所定の閾値電圧のレベルとを比較した比較結果を出力する比較回路と、前記比較回路の出力に基づいて、前記駆動信号の駆動能力を制御するための制御信号を出力する制御回路と、を含む。
【0009】
開示の技術に係る駆動能力制御システムは、上記の駆動能力制御装置と、前記ドライバと、を含む。前記ドライバは、前記制御信号に基づいて、前記駆動信号の駆動能力の調整を行う。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、ドライバから出力される駆動信号の駆動能力の調整を自動化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】開示の技術の実施形態に係る駆動能力制御システムの構成の一例を示す図である。
図2】開示の技術の実施形態に係るドライブ回路の詳細な構成の一例を示す図である。
図3A】駆動信号の駆動能力が相対的に低い場合の平均化回路の入出力電圧の一例を示す図である。
図3B】駆動信号の駆動能力が相対的に高い場合の平均化回路の入出力電圧の一例を示す図である。
図4】開示の技術の実施形態に係る制御回路によって実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】開示の技術の実施形態に係る駆動能力制御システムの動作の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、開示の技術の実施形態に係る駆動能力制御システム1の構成の一例を示す図である。駆動能力制御システム1は、ドライバ10及びレシーバ20を含んで構成されている。駆動能力制御システム1は、レシーバ20がドライバ10から出力される駆動信号Sを受信して、受信した駆動信号Sを処理する機能と、駆動信号Sの駆動能力を制御する機能を併せ持つ。レシーバ20は開示の技術における「駆動能力制御装置」の一例である。
【0014】
ドライバ10は、ロジック回路11、ドライブ回路12及び駆動能力調整回路13を有する。ドライバ10は、調整モード及び通常モードのいずれかの動作モードで動作する。調整モードは、ドライブ回路12から出力される駆動信号Sの駆動能力を調整する動作モードである。通常モードは、通常時における動作モードである。ドライバ10は、レシーバ20から供給される制御信号Sに基づいて動作モードを切り替える。
【0015】
ロジック回路11は通常モードにおいて有効化され、レシーバ20に供給すべき駆動信号Sを生成し、これをドライブ回路12に供給する。一方、ロジック回路11は、調整モードにおいては無効化され、ドライブ回路12への駆動信号Sの供給を停止させる。
【0016】
駆動能力調整回路13は、レシーバ20から供給される制御信号Sに基づいて、ドライブ回路12から出力される駆動信号Sの駆動能力を調整するための制御を行う。駆動能力調整回路13は、調整モードにおいて、駆動能力調整用の駆動信号Sを生成し、これをドライブ回路12に供給する。駆動能力調整用の駆動信号Sは、デューティ及び周期が一定のパルス列を含むパルス信号である。また、駆動能力調整回路13は、レシーバ20から供給される制御信号Sに基づいて、ドライブ回路12から出力される駆動信号Sの駆動能力の調整値をドライブ回路12に供給する。レシーバ20からの制御信号Sは、入力端子15を介して駆動能力調整回路13に供給される。
【0017】
ドライブ回路12は、通常動作モードにおいてロジック回路11から供給される駆動信号Sについて電力増幅を行って出力し、調整モードにおいて駆動能力調整回路13から供給される駆動能力調整用の駆動信号Sについて電力増幅を行って出力する。
【0018】
図2は、ドライブ回路12の詳細な構成の一例を示す図である。ドライブ回路12は、デコーダ30及び複数の出力回路40を有する。出力回路40の各々は、Pチャネル型のトランジスタ41及びNチャネル型のトランジスタ42を有するCMOS回路43を備えている。複数の出力回路40において、CMOS回路43の入力同士及び出力同士が互いに接続されている。すなわち、複数のCMOS回路43が並列接続されている。CMOS回路43の入力には、通常動作モードにおいてロジック回路11からの駆動信号Sが入力され、調整モードにおいて駆動能力調整回路13からの駆動能力調整用の駆動信号Sが入力される。CMOS回路43の出力からは、電力増幅された駆動信号Sが出力される。CMOS回路43の出力は出力端子14に接続されており、電力増幅された駆動信号Sは、出力端子14を介してレシーバ20に供給される。
【0019】
出力回路40の各々は、デコーダ30によって制御されるPチャネル型のトランジスタ44及びNチャネル型のトランジスタ45を有する。トランジスタ44は、ソースが電源ラインに接続され、ドレインがトランジスタ41のソースに接続されている。トランジスタ45は、ドレインがトランジスタ42のソースに接続され、ソースがグランドラインに接続されている。トランジスタ44のゲートは、インバータ50を介してトランジスタ45のゲートに接続されており、これらの接続ノードは、デコーダ30に接続されている。デコーダ30から出力されるデコード信号は、トランジスタ45のゲートに入力されるとともに、インバータ50を介してトランジスタ44のゲートに入力される。トランジスタ44及び45は、デコーダ30から供給されるデコード信号に応じて一体的にオンオフする。出力回路40の各々において、トランジスタ44及び45がオン状態となることで、当該出力回路40が有効化される。出力回路40は、デコーダ30から供給されるデコード信号に応じて選択的に有効化される。複数の出力回路40のうち、有効化されるものの数が多い程、ドライブ回路12から出力される駆動信号Sの駆動能力が高くなる。
【0020】
デコーダ30は、駆動能力調整回路13から供給される調整値に基づいてデコード信号を生成する。すなわち、複数の出力回路40のうち有効化されるものの数は、駆動能力調整回路13から供給される調整値によって定められる。
【0021】
レシーバ20は、スイッチ21、平均化回路22、比較回路23、制御回路24、受信回路25及びロジック回路26を有する。スイッチ21は、一端がドライバ10からの駆動信号Sが入力される入力端子27に接続され、他端が平均化回路22に接続されている。スイッチ21は、制御回路24からの指示に応じて、駆動信号Sの平均化回路22への供給及び非供給を切り替える。スイッチ21がオン状態となることで、駆動信号Sが平均化回路22に供給され、スイッチ21がオフ状態となることで、駆動信号Sの平均化回路22への供給が遮断される。スイッチ21は、調整モードにおいてオン状態とされ、通常モードにおいてオフ状態とされる。すなわち、平均化回路22には、調整モードにおいて駆動能力調整用の駆動信号Sが供給される。
【0022】
平均化回路22は、パルス列を含む駆動能力調整用の駆動信号Sを平均化して出力する。すなわち、平均化回路22は、駆動能力調整用の駆動信号Sに含まれるパルスの高さ及び駆動信号Sのデューティに応じた一定レベルの電圧を出力する。図3Aは、駆動信号Sの駆動能力が相対的に低い場合の平均化回路22の入出力電圧の一例を示す図である。図3Bは、駆動信号Sの駆動能力が相対的に高い場合の平均化回路22の入出力電圧の一例を示す図である。駆動信号Sの駆動能力が高くなる程、駆動信号Sに含まれるパルスの立ち上がりが急峻となり、パルスの高さが高くなるので、平均化回路22の出力電圧のレベルは高くなる。本実施形態において、平均化回路22は、抵抗素子22a及びキャパシタ22bを含むローパスフィルタによって構成されている。
【0023】
比較回路23は、平均化回路22の出力電圧のレベルと所定の閾値電圧Vrefのレベルとを比較した比較結果を出力するコンパレータである。本実施形態において比較回路23は、平均化回路22の出力電圧のレベルが所定の閾値電圧Vrefのレベルよりも高い場合にハイレベルの出力信号を出力し、それ以外の場合はローレベルの出力信号を出力する。比較回路23は、制御回路24からの指示に応じて有効化される。比較回路23は調整モードにおいて有効化され、通常モードにおいて無効化される。
【0024】
受信回路25は、入力端が入力端子27に接続され、出力端がロジック回路26に接続されている。受信回路25は、ドライバ10から供給される駆動信号Sについて波形整形を行う。ロジック回路26は、受信回路25によって波形整形された駆動信号Sを処理する。ロジック回路26は、開示の技術における「処理回路」の一例である。受信回路25及びロジック回路26は、制御回路24からの指示に応じて有効化される。受信回路25及びロジック回路26は通常モードにおいて有効化され、調整モードにおいて無効化される。
【0025】
制御回路24は、スイッチ21、平均化回路22、比較回路23、受信回路25及びロジック回路26を制御する。また、制御回路24は、ドライバ10から出力される駆動信号Sの駆動能力を制御する。制御回路24は、駆動能力制御システム1の起動時に、ドライバ10及びレシーバ20の動作モードを調整モードに設定する。制御回路24は、調整モードにおいて、スイッチ21をオン状態に制御することにより、駆動能力調整用の駆動信号Sを平均化回路22に供給する状態にする。また、制御回路24は、調整モードにおいて、比較回路23を有効化する一方、受信回路25及びロジック回路26を無効化する。
【0026】
制御回路24は、駆動能力制御システム1の起動時に、駆動信号Sの駆動能力の調整を開始すべき指示を含む第1の制御信号を出力する。制御回路24は、平均化回路22の出力電圧のレベルが閾値電圧Vrefのレベルよりも低いことを示す出力(すなわちローレベル信号)が比較回路23から出力された場合に、駆動信号Sの駆動能力の調整を継続すべき指示を含む第2の制御信号を出力する。制御回路24は、平均化回路22の出力電圧のレベルが閾値電圧Vrefのレベルよりも高いことを示す出力(すなわちハイレベル信号)が比較回路23から出力された場合に、駆動信号Sの駆動能力の調整を終了すべき指示を含む第3の制御信号を出力する。第1乃至第3の制御信号は、出力端子28から出力され、ドライバ10の入力端子15に入力される。
【0027】
図4は、制御回路24によって実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。駆動能力制御システム1が起動されると、制御回路24は処理を開始する。
【0028】
ステップS1において制御回路24はスイッチ21をオン状態に制御する。ステップS2において制御回路24は、比較回路23を有効化する。ステップS3において制御回路24は受信回路25及びロジック回路を無効化する。ステップS4において、制御回路24は、駆動信号Sの駆動能力の調整を開始すべき指示を含む第1の制御信号をドライバ10に供給する。ステップS1からS4までの処理により、ドライバ10及びレシーバ20の動作モードの、調整モードへの移行が完了する。
【0029】
ドライバ10の駆動能力調整回路13は、レシーバ20からの第1の制御信号を受信すると、駆動能力調整用の駆動信号S及び駆動能力の調整値をドライブ回路12に供給する。ドライブ回路12において、駆動能力調整回路13から供給される調整値によって定められる数の出力回路40が有効化される。駆動能力調整用の駆動信号Sは、有効化された出力回路40によって電力増幅され、レシーバ20に供給される。駆動信号Sの駆動能力は、有効化される出力回路40の数が多い程、高くなる。駆動能力調整用の駆動信号Sは、平均化回路22によって平均化される。比較回路23は、平均化回路22の出力電圧のレベルと所定の閾値電圧Vrefのレベルとを比較した比較結果を出力する。
【0030】
ステップS5において制御回路24は、平均化回路22の出力電圧のレベルが閾値電圧Vrefのレベルよりも高いことを示す出力が比較回路23から出力されているか否かを判定する。すなわち、本実施形態において、制御回路24は、比較回路23の出力がハイレベルであるか否かを判定する。平均化回路22の出力電圧のレベルが閾値電圧Vrefのレベルよりも高いことを示す出力(すなわちハイレベル信号)が比較回路23から出力されていないと判定された場合、処理はステップS6に移行される。一方、平均化回路22の出力電圧のレベルが閾値電圧Vrefのレベルよりも高いことを示す出力(すなわちハイレベル信号)が比較回路23から出力されていると判定された場合、処理はステップS7に移行される。
【0031】
ステップS6において制御回路24は、駆動信号Sの駆動能力の調整を継続すべき指示を含む第2の制御信号をドライバ10に供給する。その後、処理はステップS5に戻される。
【0032】
ドライバ10の駆動能力調整回路13は、レシーバ20からの第2の制御信号を受信すると、駆動能力調整用の駆動信号Sのドライブ回路12への供給を維持しつつ、前回よりも大きい調整値をドライブ回路12に供給する。これにより、ドライブ回路12において有効化される出力回路40の数が前回よりも増加する。その結果、駆動信号Sの駆動能力が前回よりも高くなり、平均化回路22の出力電圧のレベルが前回よりも高くなる。
【0033】
制御回路24は、比較回路23の出力がハイレベルとなるまで、所定期間毎に第2の制御信号を継続的にドライバ10に供給する。駆動能力調整回路13は、所定期間毎に供給される第2の制御信号に応じて、調整値を段階的に大きくすることにより駆動信号Sの駆動能力を段階的に高くする。比較回路23から出力されるハイレベル信号は、駆動信号Sの駆動能力が要求水準を満たすことを意味する。
【0034】
ステップS7において、制御回路24は、駆動能力の調整を終了すべき指示を含む第3の制御信号をドライバ10に供給する。ステップS8において制御回路24は、スイッチ21をオフ状態に制御する。ステップS9において制御回路24は、比較回路23を無効化する。ステップS10において制御回路24は、受信回路25及びロジック回路26を有効化する。ステップS7からS10までの処理により、ドライバ10及びレシーバ20の動作モードの、通常モードへの移行が完了する。
【0035】
ドライバ10は、第3の制御信号に応じて動作モードを通常モードに移行し、ロジック回路11が有効化される。ドライバ10は、ロジック回路11によって生成される駆動信号Sを、駆動能力が調整されたドライブ回路12によって電力増幅してレシーバ20に供給する。通常モードにおいて、レシーバ20に供給される駆動信号Sは、受信回路25及びロジック回路26において処理される。
【0036】
図5は、駆動能力制御システム1の動作の一例を示すタイムチャートである。図5には、上から順に、駆動能力の調整値、駆動信号S、制御信号S、スイッチ21及び比較回路23の状態、平均化回路22の出力電圧及び比較回路23の出力が示されている。なお、スイッチ21及び比較回路23の状態は、ハイレベルが、スイッチ21がオン状態且つ比較回路23が有効化されている状態に対応し、ローレベルが、スイッチ21がオフ状態且つ比較回路23が無効化されている状態に対応する。また、図5には、図面の煩雑さを回避するために、1UI(unit interval)に含まれるパルス数が1つのみの駆動信号Sが示されているが、1UIにおいて駆動信号Sに含まれるパルス数は2以上であってもよい。図5には、平均化回路22の出力電圧のレベルが閾値電圧Vrefを超えるまで、調整値が“1”から“4”まで段階的に増加され、駆動信号Sの駆動能力が段階的に高められている様子が示されている。
【0037】
以上のように、開示の技術の実施形態に係るレシーバ20は、ドライバ10から供給される駆動信号Sの駆動能力を制御する駆動能力制御装置として機能する。レシーバ20は、ドライバ10から供給されるパルス列を含む駆動信号Sを平均化して出力する平均化回路22と、平均化回路22の出力電圧のレベルと所定の閾値電圧Vrefのレベルとを比較した比較結果を出力する比較回路23と、比較回路23の出力に基づいて、駆動信号Sの駆動能力を制御するための制御信号Sを出力する制御回路24と、を含む。
【0038】
開示の技術の実施形態に係る駆動能力制御システム1は、レシーバ20と、ドライバ10とを含み、ドライバ10は、レシーバ20から供給される制御信号Sに基づいて、駆動信号Sの駆動能力の調整を行う。
【0039】
開示の技術の実施形態に係るレシーバ20及び駆動能力制御システム1によれば、ドライバ10から出力される駆動信号Sの駆動能力の調整を自動化することが可能となる。
【0040】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
ドライバから供給されるパルス列を含む駆動信号を平均化して出力する平均化回路と、
前記平均化回路の出力電圧のレベルと所定の閾値電圧のレベルとを比較した比較結果を出力する比較回路と、
前記比較回路の出力に基づいて、前記駆動信号の駆動能力を制御するための制御信号を出力する制御回路と、
を含む駆動能力制御装置。
【0041】
(付記2)
前記制御回路は、前記駆動信号の駆動能力の調整を開始すべき指示を含む第1の制御信号、前記駆動信号の駆動能力の調整を継続すべき指示を含む第2の制御信号及び前記駆動信号の駆動能力の調整を終了すべき指示を含む第3の制御信号のいずれかを前記制御信号として出力する
付記1に記載の駆動能力制御装置。
【0042】
(付記3)
前記制御回路は、前記平均化回路の出力電圧のレベルが前記閾値電圧のレベルよりも低いことを示す出力が前記比較回路から出力された場合に、前記第2の制御信号を出力し、前記平均化回路の出力電圧のレベルが前記閾値電圧のレベルよりも高いことを示す出力が前記比較回路から出力された場合に、前記第3の制御信号を出力する
付記2に記載の駆動能力制御装置。
【0043】
(付記4)
前記第3の制御信号が出力された後に、前記ドライバから供給される駆動信号を処理する処理回路を更に含む
付記2又は付記3に記載の駆動能力制御装置。
【0044】
(付記5)
前記駆動信号の前記平均化回路への供給及び非供給を切り替えるスイッチを更に有する
付記1から付記4のいずれか1つに記載の駆動能力制御装置。
【0045】
(付記6)
前記平均化回路は、ローパスフィルタを含む
付記1から付記5のいずれか1つに記載の駆動能力制御装置。
【0046】
(付記7)
付記1から付記6のいずれか1つに記載の駆動能力制御装置と、
前記ドライバと、を含み、
前記ドライバは、前記制御信号に基づいて、前記駆動信号の駆動能力の調整を行う
駆動能力制御システム。
【0047】
(付記8)
前記制御回路は、前記駆動信号の駆動能力の調整を開始すべき指示を含む第1の制御信号、前記駆動信号の駆動能力の調整を継続すべき指示を含む第2の制御信号及び前記駆動信号の駆動能力の調整を終了すべき指示を含む第3の制御信号のいずれかを前記制御信号として出力し、
前記ドライバは、前記制御回路から前記第1の制御信号が出力されてから前記第3の制御信号は出力されるまで、デューティ及び周期が一定のパルス列を含む駆動能力調整用の駆動信号を前記駆動能力制御装置に供給する
付記7に記載の駆動能力制御システム。
【0048】
(付記9)
前記ドライバは、前記制御回路から前記第1の制御信号が出力されてから前記第3の制御信号は出力されるまで、前記駆動信号の駆動能力を段階的に高くする
付記8に記載の駆動能力制御システム。
【符号の説明】
【0049】
1 駆動能力制御システム
10 ドライバ
11 ロジック回路
12 ドライブ回路
13 駆動能力調整回路
20 レシーバ
21 スイッチ
22 平均化回路
23 比較回路
24 制御回路
25 受信回路
26 ロジック回路
30 デコーダ
40 出力回路
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5