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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122697
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】繰出し容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240902BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20240902BHJP
   A45D 40/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B65D83/00 B
A45D40/00 H
A45D40/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030376
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014AC04
(57)【要約】
【課題】キャップの開閉と固形内容物の繰り出しを容易に行うことが可能な繰出し容器を提供することである。
【解決手段】ケース体10と、内容物支持体20と、ねじ軸30と、ベース体40とを有し、ケース体10がベース体40に対して相対回転すると内容物支持体20が上下方向に移動するように構成された繰出し容器1であって、ケース体10に設けられた雄ねじ15にねじ結合してケース体10に装着されたキャップ50と、キャップ50にヒンジ61を介して連結され、ケース体10の外側に相対回転自在に装着された操作筒体60と、ケース体10の外周面に設けられ、キャップ50が雄ねじ15から離脱したときに操作筒体60に設けられた突起62に当接するストッパ70と、ストッパ70に対して締付け方向に間隔を空けてケース体10の外周面に設けられ、突起62が乗越え可能な逆回し用凸部80と、を有する繰出し容器1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が繰出し口となる円筒状のケース体と、
前記ケース体の内部に回り止めされた状態で上下方向に移動自在に配置された内容物支持体と、
前記ケース体の内部に配置され、前記内容物支持体に設けられたねじ孔にねじ結合するねじ軸と、
前記ケース体の下端側に装着され、前記ねじ軸とともに前記ケース体に対して相対回転可能なベース体と、を有し、
前記ケース体が前記ベース体に対して相対回転すると前記内容物支持体が上下方向に移動するように構成された繰出し容器であって、
前記ケース体の外周面に設けられた雄ねじにねじ結合して前記ケース体に装着され、前記繰出し口を覆うキャップと、
前記キャップにヒンジを介して連結され、前記ケース体の外側に前記キャップとともに相対回転自在に装着された操作筒体と、
前記ケース体の外周面に設けられ、前記キャップが前記雄ねじから離脱したときに前記操作筒体の内周面に設けられた突起に当接して前記操作筒体の緩み方向への回転を規制するストッパと、
前記ストッパに対して締付け方向に間隔を空けて前記ケース体の外周面に設けられ、前記突起が乗越え可能な逆回し用凸部と、を有することを特徴とする繰出し容器。
【請求項2】
前記ケース体の下端側の外周面が前記ベース体により覆われ、前記操作筒体の下端が前記ベース体の上端よりも下方に配置されている、請求項1に記載の繰出し容器。
【請求項3】
前記ケース体の外周面に、前記ストッパの上端に連なる環状凸部が設けられている、請求項1または2に記載の繰出し容器。
【請求項4】
前記キャップが、前記ケース体の内周面に嵌合するシール筒部を備えている、請求項1に記載の繰出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状の固形内容物を収納する繰出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、口紅、リップクリーム、スティックアイシャドー等の化粧料、薬剤、スティック糊などの、塗布対象物に塗布可能な棒状の固形内容物を収納する容器として、繰出し容器が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、一端が繰出し口となる円筒状のケース体と、ケース体の内部に回り止めされた状態で軸線方向に移動自在に配置された内容物支持体と、ケース体の内部に配置されて内容物支持体に設けられたねじ孔にねじ結合するねじ軸と、ケース体の他端側に相対回転自在に装着されてねじ軸と一体に回転するベース体と、を有し、ケース体がベース体に対して相対回転すると内容物支持体が上下方向に移動するように構成された繰出し容器が記載されている。このような繰出し容器によれば、ケース体をベース体に対して緩み方向に相対回転させることで、内容物支持体を上方に移動させてケース体の内部に収納されている固形内容物を繰出し口から繰り出すことができるとともに、使用後には、ケース体をベース体に対して締付け方向に相対回転させることで、固形内容物をケース体の内部に引き込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-34652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の繰出し容器は、不使用時に繰出し口を閉塞するために、ケース体にキャップが装着されるのが一般的である。
【0006】
しかし、従来の繰出し容器では、キャップはケース体の上端側にその軸線方向に沿って差し込まれる構成であるので、使用の際には、キャップをケース体に対して軸線方向に引き抜いて繰出し口を開放し、次いでケース体をベース体に対して回転させる必要があり、その操作が煩雑であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、キャップの開閉と固形内容物の繰り出しを容易に行うことが可能な繰出し容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の繰出し容器は、上端が繰出し口となる円筒状のケース体と、前記ケース体の内部に回り止めされた状態で上下方向に移動自在に配置された内容物支持体と、前記ケース体の内部に配置され、前記内容物支持体に設けられたねじ孔にねじ結合するねじ軸と、前記ケース体の下端側に装着され、前記ねじ軸とともに前記ケース体に対して相対回転可能なベース体と、を有し、前記ケース体が前記ベース体に対して相対回転すると前記内容物支持体が上下方向に移動するように構成された繰出し容器であって、前記ケース体の外周面に設けられた雄ねじにねじ結合して前記ケース体に装着され、前記繰出し口を覆うキャップと、前記キャップにヒンジを介して連結され、前記ケース体の外側に前記キャップとともに相対回転自在に装着された操作筒体と、前記ケース体の外周面に設けられ、前記キャップが前記雄ねじから離脱したときに前記操作筒体の内周面に設けられた突起に当接して前記操作筒体の緩み方向への回転を規制するストッパと、前記ストッパに対して締付け方向に間隔を空けて前記ケース体の外周面に設けられ、前記突起が乗越え可能な逆回し用凸部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記ケース体の下端側の外周面が前記ベース体により覆われ、前記操作筒体の下端が前記ベース体の上端よりも下方に配置されているのが好ましい。
【0010】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記ケース体の外周面に、前記ストッパの上端に連なる環状凸部が設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記キャップが、前記ケース体の内周面に嵌合するシール筒部を備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、キャップの開閉と固形内容物の繰り出しを容易に行うことが可能な繰出し容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る繰出し容器の断面図である。
図2】初期状態における、ケース体に設けられたストッパと操作筒体に設けられた突起との位置関係を示す説明図である。
図3図1に示す繰出し容器の、キャップを開いた状態の断面図である。
図4図3におけるA-A線に沿う断面図である。
図5】キャップを開いた状態における、ケース体に設けられたストッパと操作筒体に設けられた突起との位置関係を示す説明図である。
図6図1に示す繰出し容器の、キャップを開いた後、固形内容物を繰り出した状態の断面図である。
図7】固形内容物を下降させる際の、ケース体に設けられたストッパと操作筒体に設けられた突起との位置関係を示す説明図である。
図8図1に示す繰出し容器の、固形内容物を収納した後、キャップを閉じた状態の断面図である。
図9図1に示す繰出し容器の、図8に示す状態からキャップを押し下げた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る繰出し容器1について詳細に例示説明する。
【0015】
なお、本明細書及び特許請求の範囲においては、上下方向は、図1に示すように繰出し容器1を正立姿勢とした状態における上下方向を意味するものとし、径方向は、繰出し容器1の軸線Oを通り、軸線Oに垂直な直線に沿う方向を意味し、周方向は軸線O周りの方向を意味するものとする。
【0016】
図1に示す繰出し容器1は、例えば、口紅、リップクリーム、スティックアイシャドー等の化粧料、薬剤、スティック糊などの、塗布対象物に塗布可能な棒状の固形内容物2を収納する用途に用いることができるものである。
【0017】
繰出し容器1は、ケース体10、内容物支持体20、ねじ軸30及びベース体40を有してる。ケース体10、内容物支持体20、ねじ軸30及びベース体40は、それぞれ合成樹脂材料を射出成形して形成されたものであってよい。
【0018】
ケース体10は円筒状となっており、その内部に棒状の固形内容物2を上下方向に相対移動自在に収納することができる。ケース体10の上端は、固形内容物2が繰り出される繰出し口11となっている。
【0019】
ケース体10の内周面には、上下方向に沿って延びる回り止め用の縦リブ12が一体に設けられている。本実施形態では、ケース体10の内周面には複数本の縦リブ12が周方向に間隔を空けて設けられているが、縦リブ12は少なくとも1本設けられていればよい。また、ケース体10の下端には、径方向内側に向けて延びるフランジ13が一体に設けられ、フランジ13の内周面には複数の係止爪14が一体に設けられている。
【0020】
内容物支持体20は、ケース体10の内部に回り止めされた状態で上下方向に移動自在に配置されている。本実施形態では、内容物支持体20は、円筒状の摺動筒部21と、摺動筒部21の内側に一体に連なる皿状の支持部22と、支持部22の軸心に設けられた円筒状の雌ねじ部23とを一体に有している。
【0021】
摺動筒部21は、その外周面においてケース体10の内周面に上下方向に摺動自在に接している。摺動筒部21の外周面には、上下方向に沿って延びる複数本の溝21aが設けられている。これらの溝21aは、それぞれケース体10に設けられた対応する縦リブ12に係合している。これにより、内容物支持体20は、ケース体10に対して周方向に回り止めされている。また、内容物支持体20は、摺動筒部21の下端がフランジ13に当接することで、下端位置が規制されている。
【0022】
支持部22は摺動筒部21と雌ねじ部23とを連結しており、固形内容物2の下端部分を支持する。雌ねじ部23は円筒状となっており、その軸心に設けられた孔はねじ孔23aとなっている。
【0023】
ねじ軸30は、ケース体10の内部に配置され、内容物支持体20に設けられたねじ孔23aにねじ結合している。ねじ軸30は、ケース体10の内部でケース体10に対して周方向に相対回転自在である。本実施形態では、ねじ軸30は、ケース体10の内部に軸線Oに沿って配置された棒軸部31を有しており、棒軸部31の外周面に一体に設けられた雄ねじ31aが内容物支持体20に設けられたねじ孔23aにねじ結合している。なお、棒軸部31のねじ孔23aよりも上側の部分は固形内容物2の内部に埋設されている。
【0024】
本実施形態では、ねじ軸30は、棒軸部31の下端に周方向に間隔を空けて並ぶ複数の抜け止め突起32を一体に備えている。複数の抜け止め突起32は、それぞれ棒軸部31の下端から径方向外側に向けて突出している。ねじ軸30は、複数の抜け止め突起32がケース体10に設けられた係止爪14に係合することで、ケース体10に対して周方向に回転自在であるとともにケース体10に対して抜け止め保持されている。また、ねじ軸30の下端には、平板状の固定部33が一体に設けられている。
【0025】
ベース体40は、ケース体10の下端側に装着されている。ベース体40は、ケース体10に対して周方向に相対回転可能である。本実施形態では、ベース体40はケース体10の下端側の部分すなわち下端側部分10aよりも大径の円筒状となっており、ケース体10の下端側部分10aの外側に、ケース体10の下端側部分10aの外周面に摺動するように同軸に装着されている。これにより、ケース体10の下端側の外周面すなわち下端側部分10aの外周面はベース体40により覆われている。なお、ケース体10の下端側部分10aは、ケース体10の上端側部分10bよりも小径となっており、ベース体40の外周面は、ケース体10の上端側部分10bの外周面と同一面状となっている。
【0026】
ベース体40の下端は、ねじ軸30に設けられた固定部33に回り止めされた状態で固定されている。これにより、ベース体40は、ねじ軸30とともにケース体10に対して相対回転自在となっている。すなわち、ベース体40は、ねじ軸30に固定されてねじ軸30と一体にケース体10に対して相対回転するようになっている。また、ベース体40は、その内周面から径方向内側に向けて突出する挟み部41を一体に有している。ベース体40は、挟み部41がケース体10のフランジ13とねじ軸30の固定部33との間に挟持されることで、ねじ軸30とともにケース体10に対して抜け止め保持されている。
【0027】
なお、本実施形態では、ベース体40を、ねじ軸30とは別体に形成されたものがねじ軸30に固定される構成としているが、ベース体40をねじ軸30と一体に形成された構成としてもよい。
【0028】
繰出し容器1は、上記構成を有することで、ケース体10がベース体40に対して緩み方向(ねじ軸30のねじを緩める方向)に相対回転すると、ベース体40とともにねじ軸30がケース体10の内部でケース体10に対して緩み方向に相対回転する。これにより、ケース体10の内部に回り止めされた状態で配置された内容物支持体20が、ねじ孔23aとねじ軸30との螺合の作用により上方に移動し、固形内容物2が繰出し口11から外部に繰出される。反対に、ケース体10がベース体40に対して締付け方向(ねじ軸30のねじを締め付ける方向)に相対回転すると、ベース体40とともにねじ軸30がケース体10の内部でケース体10に対して締付け方向に相対回転する。これにより、ケース体10の内部に回り止めされた状態で配置された内容物支持体20が、ねじ孔23aとねじ軸30との螺合の作用により下方に移動し、固形内容物2がケース体10の内部に向けて下降しケース体10に収納される。
【0029】
本実施形態の繰出し容器1は、キャップ50と、操作筒体60と、ストッパ70と、逆回し用凸部80と、をさらに有している。
【0030】
キャップ50は、ケース体10の外周面に設けられた雄ねじ15にねじ結合してケース体10に装着され、ケース体10の繰出し口11を閉塞している。より具体的には、キャップ50は、円筒状の周壁51と円板状の頂壁52とを有する有頂円筒状となっており、周壁51の内周面に一体に設けられた雌ねじ51aがケース体10の上端側部分10bの外周面に設けられた雄ねじ15にねじ結合している。キャップ50は、ケース体10に対して緩み方向に相対回転することでケース体10に対して上方に相対移動し、雄ねじ15に対する雌ねじ51aのねじ結合が解除されるとケース体10から離脱して繰出し口11を開くことができる。
【0031】
キャップ50は、ケース体10の内周面に嵌合するシール筒部53を備えた構成とすることもできる。この構成により、キャップ50が繰出し口11を閉塞した状態における密封性ないし気密性を高めて、ケース体10に収納されている固形内容物2の劣化ないし変質等を抑制することができる。
【0032】
操作筒体60は、キャップ50にヒンジ61を介して連結され、ケース体10の外側にキャップ50とともに相対回転自在に装着されている。より具体的には、操作筒体60は、円筒状となっており、ケース体10の外側に相対回転自在に装着されている。操作筒体60は、キャップ50にヒンジ61を介して連結されているので、ケース体10に対してキャップ50とともに一体的に相対回転する。すなわち、キャップ50がケース体10に対して緩み方向ないし締付け方向に相対回転すると、操作筒体60もキャップ50とともにケース体10に対して緩み方向ないし締付け方向に相対回転する。また、キャップ50がケース体10に対して緩み方向ないし締付け方向に相対回転してケース体10に対して上下方向に相対移動すると、操作筒体60もキャップ50とともにケース体10に対して上下方向に相対移動する。
【0033】
本実施形態では、操作筒体60は、その下端がベース体40の上端よりも下方に配置されている。すなわち、ケース体10の下端側部分10aはベース体40により覆われ、ケース体10のベース体40により覆われていない上端側部分10bは操作筒体60により覆われている。
【0034】
ストッパ70は、ケース体10の外周面に設けられている。ストッパ70は、キャップ50が雄ねじ15から離脱したときに操作筒体60の内周面に設けられた突起62に当接して操作筒体60の緩み方向への回転を規制する。
【0035】
図2図4に示すように、本実施形態では、ストッパ70は、ケース体10の外周面から突出するとともに周方向に垂直なストッパ面71を有する壁状となっている。ストッパ面71は、緩み方向とは反対側を向いており、操作筒体60がケース体10に対して緩み方向に相対回転し、キャップ50がケース体10から離脱すると、突起62はストッパ70のストッパ面71に当接する。
【0036】
図2に示すように、ケース体10の外周面に、ストッパ70の上端に連なる環状凸部16を設けた構成とすることもできる。環状凸部16は、ケース体10の外周面に全周に亘って延びて一体に設けられており、突起62がストッパ70のストッパ面71に当接したときに、突起62がストッパ70に対して上方に移動することを阻止することができる。
【0037】
また、ケース体10の外周面に、ストッパ70の下端に連なるとともに雄ねじ15と同様のピッチで締付け方向に向けて螺旋状に延びるガイド壁17を一体に設けた構成とすることもできる。ガイド壁17を設けることで、操作筒体60がケース体10に対して緩み方向に相対回転したときに、突起62をガイド壁17により案内してストッパ70のストッパ面71に確実に当接させることができる。
【0038】
さらに、ケース体10の雄ねじ15よりも上側の外周面に、周方向に延びるリブ18を設けた構成とすることもできる。リブ18は、周方向に間隔を空けて並ぶように複数本に分けて設けてもよい。リブ18は、キャップ50の内周面に設けられた雌ねじ51aが乗り越え可能な高さとなっている。
【0039】
逆回し用凸部80は、ストッパ70に対して締付け方向に間隔を空けてケース体10の外周面に設けられている。逆回し用凸部80は、突起62が乗越え可能な形状となっている。より具体的には、図4に示すように、逆回し用凸部80は、そのケース体10の外周面からの突出高さがストッパ70よりも低くなっており、ストッパ70とは反対側を向く部分が湾曲した湾曲部81となる形状となっている。これにより、突起62は、操作筒体60がケース体10に対して緩み方向に相対回転する際には、逆回し用凸部80を容易に乗り越えることができる。なお、突起62の緩み方向を向く端部に湾曲部62aを設けて、操作筒体60がケース体10に対して緩み方向に相対回転する際に、突起62がより容易に逆回し用凸部80を乗り越えることができるようにしてもよい。反対に、突起62は、操作筒体60がケース体10に対して締付け方向に相対回転する際には、逆回し用凸部80に係合して逆回し用凸部80とともに回転する。
【0040】
なお、突起62がストッパ70のストッパ面71に当接した状態においては、突起62はストッパ70と逆回し用凸部80との間に配置される。
【0041】
次に、上記構成を有する繰出し容器1の使用方法について説明する。
【0042】
固形内容物2を塗布する際には、まず、図1に示すように、固形内容物2がケース体10の内部に収納され、キャップ50によりケース体10の繰出し口11が閉塞された初期状態から、一方の手でベース体40を保持しつつ他方の手でキャップ50をベース体40に対して緩み方向に相対回転させる。このとき、ケース体10はベース体40に対して緩み方向には回転せず、キャップ50がケース体10及びベース体40に対して緩み方向に回転する。
【0043】
図3に示すように、ケース体10及びベース体40に対してキャップ50が緩み方向に相対回転して雄ねじ15に対する雌ねじ51aのねじ結合が解除されると、キャップ50はケース体10から離脱し、ヒンジ61を支点としてケース体10ないし操作筒体60に対して回動して開くことができる。キャップ50が開かれると、繰出し口11が外部に開放され、固形内容物2を繰出し口11から外部に繰り出すことができる状態となる。
【0044】
次いで、ベース体40に対して、キャップ50とともに操作筒体60をさらに緩み方向に回転させる。このとき、ケース体10及びベース体40に対してキャップ50が緩み方向に相対回転して雄ねじ15に対する雌ねじ51aのねじ結合が解除されると、図4図5に示すように、操作筒体60に設けられた突起62がケース体10に設けられたストッパ70のストッパ面71に当接するので、キャップ50とともに操作筒体60をさらに緩み方向に回転させると、ケース体10がキャップ50及び操作筒体60とともにベース体40に対して緩み方向に相対回転する。
【0045】
ケース体10がキャップ50及び操作筒体60とともにベース体40に対して緩み方向に相対回転すると、図6に示すように、ケース体10の内部に回り止めされた状態で配置された内容物支持体20が、ねじ軸30に対して緩み方向に相対回転することになるので、ねじ孔23aとねじ軸30との螺合の作用により内容物支持体20が上方に移動し、固形内容物2が繰出し口11から外部に繰出される。このようにして固形内容物2を繰出し口11から繰り出すことで、当該繰り出された固形内容物2を塗布対象に塗布することができる。固形内容物2の繰出し口11からの繰出し量は、ベース体40に対するキャップ50及び操作筒体60の回転量を調整することで、適宜調整すればよい。
【0046】
使用後には、ベース体40に対して、キャップ50とともに操作筒体60を締付け方向に回転させる。このとき、図7に示すように、突起62が逆回し用凸部80に係止されるので、ケース体10は、キャップ50及び操作筒体60とともにベース体40に対して締付け方向に相対回転する。これにより、ケース体10の内部に回り止めされた状態で配置された内容物支持体20が、ねじ軸30に対して締付け方向に相対回転し、ねじ孔23aとねじ軸30との螺合の作用により内容物支持体20が下降し、図8に示すように、固形内容物2はケース体10の内部に収納される。
【0047】
そして、この状態でキャップ50を閉じて繰出し口11を閉塞し、図9に示すように、キャップ50をケース体10に対して下方に真っ直ぐに押し下げる。これにより、キャップ50の雌ねじ51aがリブ18を乗り越えてリブ18と雄ねじ15との間に係止されるとともに、操作筒体60に設けられた突起62がガイド壁17を乗り越えてストッパ70及び逆回し用凸部80との係合が解除される。
【0048】
次に、さらにキャップ50をベース体40に対して締付け方向に回転させる。このとき、突起62はストッパ70及び逆回し用凸部80との係合が解除されているので、キャップ50はケース体10に対して締付け方向に相対回転することができる。そして、キャップ50をベース体40に対して締付け方向に回転させることで、雄ねじ15に雌ねじ51aをねじ結合させて、図1に示すように、キャップ50をケース体10に固定することができる。
【0049】
このように、本実施形態に係る繰出し容器1では、キャップ50ないし操作筒体60をベース体40に対して相対回転させるだけの簡単な操作で、キャップ50を開閉させることができるととともに固形内容物2をケース体10から繰り出すことができる。
【0050】
また、本実施形態に係る繰出し容器1では、キャップ50はケース体10にねじ結合によって閉じた状態に保持されるので、キャップ50が不意に開くことを防止することができるとともにケース体10の内部の密封性ないし気密性を高めることができる。これにより、ケース体10に収納されている固形内容物2の劣化ないし変質等を抑制することができる。
【0051】
特に、キャップ50に、ケース体10の内周面に嵌合するシール筒部53を設けた場合には、キャップ50を閉じた状態におけるケース体10の密封性ないし気密性をさらに高めて、ケース体10に収納されている固形内容物2の劣化ないし変質等をさらに効果的に抑制することができる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る繰出し容器1では、ケース体10の下端側部分10aの外周面がベース体40により覆われ、操作筒体60の下端がベース体40の上端よりも下方に配置されるようにしたので、キャップ50がケース体10から離脱して開かれた後に、キャップ50ないし操作筒体60をケース体10とともにベース体40に対して相対回転させる際に、誤ってケース体10が手で保持されてキャップ50ないし操作筒体60が回転できなくなることを防止することができる。
【0053】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0054】
例えば、前記実施形態では、ケース体10の下端側部分10aの外周面がベース体40により覆われ、操作筒体60の下端がベース体40の上端よりも下方に配置される構成としているが、ケース体10の下端側部分10aの外周面がベース体40により覆われず、操作筒体60の下端がベース体40の上端よりも上方に配置された構成としてもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、ケース体10の外周面に、ストッパ70の上端に連なる環状凸部16を設けるようにしているが、環状凸部16は設けられなくてもよい。
【0056】
さらに、前記実施形態では、キャップ50に、ケース体10の内周面に嵌合するシール筒部53を設けるようにしているが、シール筒部53は設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 繰出し容器
2 固形内容物
10 ケース体
10a 下端側部分
10b 上端側部分
11 繰出し口
12 縦リブ
13 フランジ
14 係止爪
15 雄ねじ
16 環状凸部
17 ガイド壁
18 リブ
20 内容物支持体
21 摺動筒部
21a 溝
22 支持部
23 雌ねじ部
23a 雌ねじ
30 ねじ軸
31 棒軸部
31a 雄ねじ
32 抜け止め突起
33 固定部
40 ベース体
41 挟み部
50 キャップ
51 周壁
51a 雌ねじ
52 頂壁
53 シール筒部
60 操作筒体
61 ヒンジ
62 突起
62a 湾曲部
70 ストッパ
71 ストッパ面
80 逆回し用凸部
81 湾曲部
O 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9