(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122707
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】フィルム加熱延伸装置およびフィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 55/06 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B29C55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030389
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】増田 友昭
【テーマコード(参考)】
4F210
【Fターム(参考)】
4F210AJ08
4F210AJ13
4F210AK04
4F210AK14
4F210AR12
4F210QA03
4F210QC02
4F210QD36
4F210QG01
4F210QG18
4F210QM11
4F210QM15
4F210QM20
(57)【要約】
【課題】短時間で昇温でき、かつ、外観不良および破断を抑制し得る、フィルムの加熱延伸技術を提供する。
【解決手段】フィルム加熱延伸装置(100)は、フィルム(F)を搬送する第1搬送ローラ(R1)および第2搬送ローラ(R2)、フィルム(F)を加熱する加熱部(10)、フィルム(F)を延伸する延伸部(20)、ならびに、フィルム(F)の第2領域(A2)の一部を被覆する第2遮蔽部(32)を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に搬送されるフィルムをガイドする第1搬送ローラ、
前記第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において前記フィルムをガイドする第2搬送ローラ、
前記フィルムの、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域を加熱するように配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部、
前記加熱領域において、前記加熱されたフィルムに対して、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸部、および、
前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する第2領域の少なくとも一部を被覆するように配置された、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する第2遮蔽部、を備える、フィルム加熱延伸装置。
【請求項2】
さらに、前記フィルムの、前記第1搬送ローラ上に位置する領域である第1領域の少なくとも一部を被覆するように配置された、前記第1領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する第1遮蔽部、を備える、請求項1に記載のフィルム加熱延伸装置。
【請求項3】
前記第2遮蔽部が、前記第2領域において、前記フィルムと前記第2搬送ローラとが接触している領域である、第2接触領域へ照射される赤外線を遮蔽するように配置されている、請求項1または2に記載のフィルム加熱延伸装置。
【請求項4】
前記第1遮蔽部が、前記第1領域において、前記フィルムと前記第1搬送ローラとが接触している領域である、第1接触領域へ照射される赤外線を遮蔽するように配置されている、請求項1または2に記載のフィルム加熱延伸装置。
【請求項5】
前記第2遮蔽部の前記加熱部側の端部が、前記第2領域の前記加熱部側の端部よりも前記搬送方向の上流側に位置する、請求項1または2に記載のフィルム加熱延伸装置。
【請求項6】
前記第1遮蔽部における前記加熱部側の端部が、前記第1領域の、前記加熱部側の端部よりも前記搬送方向の下流側に位置する、請求項1または2に記載のフィルム加熱延伸装置。
【請求項7】
前記第2遮蔽部における前記加熱部側の端部が、前記第2接触領域の前記加熱部側の端部と、前記第2領域の前記加熱部側の端部と、の間に位置する、請求項1または2に記載のフィルム加熱延伸装置。
【請求項8】
前記第1遮蔽部における前記加熱部側の端部が、前記第1接触領域の前記加熱部側の端部と、前記第1領域の前記加熱部側の端部と、の間に位置する、請求項1または2に記載のフィルム加熱延伸装置。
【請求項9】
前記フィルムの、前記加熱領域の幅方向の両端から5~20mmの範囲を被覆するように配置された、前記加熱領域の幅方向の両端から5~20mmの範囲へ照射される赤外線を遮蔽する第3遮蔽部を備える、請求項1または2に記載のフィルム加熱延伸装置。
【請求項10】
搬送方向に搬送されるフィルムを第1搬送ローラでガイドする工程(I)、
前記(I)にてガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において第2搬送ローラでガイドする工程(II)、
前記(I)および(II)でガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域に配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部にて加熱する工程(III)、
前記(III)における加熱領域において、加熱されたフィルムを、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸工程(IV)、を含み、
前記(III)の工程において、前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する領域である第2領域の少なくとも一部を被覆するように第2遮蔽部を配置し、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する工程を含む、フィルムの加熱延伸方法。
【請求項11】
搬送方向に搬送されるフィルムを第1搬送ローラでガイドする工程(I)、
前記(I)にてガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において第2搬送ローラでガイドする工程(II)、
前記(I)および(II)にてガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域に配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部にて加熱する工程(III)、
前記(III)における加熱領域において加熱されたフィルムを、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸工程(IV)、を含み、
前記(III)の工程において、前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する領域である第2領域の少なくとも一部を被覆するように第2遮蔽部を配置し、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する工程を含む、フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム加熱延伸装置およびフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムを加熱延伸する技術が知られている(例えば、特許文献1~3)。このようなフィルムの加熱延伸においては、フィルムの昇温に長時間の加熱を要しており、この加熱時間がフィルムの生産効率を向上する上でのボトルネックとなっていた。このため、フィルムの生産効率を向上するためには、このフィルムの加熱時間を短縮する必要があり、フィルムを短時間で加熱(昇温)可能な加熱手段として、赤外線ヒータを用いてフィルムを加熱する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2012/127917号公報
【特許文献2】特開2015-066679号公報
【特許文献3】特開2016-215393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した赤外線ヒータを用いてフィルムを加熱する場合、短時間でフィルムを昇温できる一方、フィルム皺等の外観不良が発生する、あるいは、フィルムが破断するといった問題が生じることを、本発明者らは見出した。
【0005】
上記のような状況にあって、本発明の一態様は、短時間でフィルムの温度を昇温させることができ、かつ、外観不良の発生およびフィルムの破断を抑制し得る、フィルムの加熱延伸技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフィルム加熱延伸装置は、搬送方向に搬送されるフィルムをガイドする第1搬送ローラ、前記第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において前記フィルムをガイドする第2搬送ローラ、前記フィルムの、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域を加熱するように配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部、前記加熱領域において、前記加熱されたフィルムに対して、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸部、および、前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する第2領域の少なくとも一部を被覆するように配置された、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する第2遮蔽部、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフィルムの加熱延伸方法は、搬送方向に搬送されるフィルムを第1搬送ローラでガイドする工程、前記フィルムを、第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において第2搬送ローラでガイドする工程、前記フィルムを、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域に配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部にて加熱する工程、前記加熱領域において、前記加熱されたフィルムを、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸工程、を含み、前記加熱工程において、前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する領域である第2領域の少なくとも一部を被覆するように第2遮蔽部を配置し、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する、方法である。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフィルムの製造方法は、搬送方向に搬送されるフィルムを第1搬送ローラでガイドする工程、前記フィルムを、第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において第2搬送ローラでガイドする工程、前記フィルムを、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域に配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部にて加熱する工程、および、前記加熱領域において、前記加熱されたフィルムを、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸工程、を含み、前記加熱工程において、前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する領域である第2領域の少なくとも一部を被覆するように第2遮蔽部を配置し、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する、方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、短時間でフィルムの温度を昇温させることができ、かつ、外観不良の発生およびフィルムの破断を抑制し得る、フィルムの加熱延伸技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に平行な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に垂直な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るフィルムの加熱延伸方法およびフィルムの製造方法の一例を示すフロー図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に平行な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に垂直な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施形態3に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に平行な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施形態3に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に垂直な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図8】本発明の実施形態4に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に平行な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図9】本発明の実施形態4に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に垂直な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図10】本発明の実施形態5に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に平行な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図11】本発明の実施形態5に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に垂直な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【
図12】本発明の実施形態6に係るフィルム加熱延伸装置をフィルムの長さ方向に垂直な方向から見た概略構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
(本発明の技術的思想)
フィルムの加熱延伸プロセスにおいて、赤外線ヒータを用いてフィルムを加熱する場合、短時間でフィルムを昇温でき、省スペースで加熱延伸が可能である。一方で、赤外線ヒータを用いた加熱延伸プロセスは、フィルム皺等の外観不良が発生する、あるいは、フィルムが破断するといった問題が生じる場合がある。
【0012】
本発明者らは、フィルムの加熱延伸プロセスにおいて、特に搬送方向の下流側の領域でのフィルムの加熱に伴い当該フィルムの延伸挙動が急速に変化すること、および、当該延伸挙動の急速な変化が、フィルムの外観不良および破断の主要因となっていることを見出した。
【0013】
本発明の一実施形態に係るフィルム加熱延伸装置の構成は、上記の本発明者らが見出した独自の知見に基づき、赤外線ヒータを用いたフィルムの加熱延伸プロセスにおいて、搬送方向の下流側の領域でのフィルムの加熱に伴う当該フィルムの延伸挙動の急速な変化を抑制すべく鋭意検討した結果、完成されたものである。
【0014】
(フィルム加熱延伸装置)
以下、本発明の実施形態1に係るフィルム加熱延伸装置について、
図1および2を参照して、説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態1に係るフィルム加熱延伸装置の概略構成の一例を示す模式図である。
図1は、フィルムFの長さ方向に平行な方向から見た図であり、フィルムFの搬送方向の上流側を左側に、下流側を右側に示す。また、
図1において、搬送方向はフィルムFの長さ方向である。
【0016】
図1に示すように、フィルム加熱延伸装置100は、フィルムFを搬送方向に搬送するものであって、少なくとも、第1搬送ローラR1、第2搬送ローラR2、加熱部10、延伸部20、および、第2遮蔽部32を備える。第1搬送ローラR1は、フィルムFを加熱部10に向かってガイドするものである。第2搬送ローラR2は、第1搬送ローラR1よりも搬送方向の下流側においてフィルムFをガイドする。加熱部10は、少なくとも1つの赤外線ヒータを含み、フィルムFの第1搬送ローラR1と第2搬送ローラR2との間に位置する加熱領域H1においてフィルムFを加熱するように配置されている。延伸部20は、加熱領域H1において、搬送方向に延伸させる張力をフィルムFに付与する。第2遮蔽部32は、フィルムFの、第2搬送ローラR2上に位置する第2領域A2の少なくとも一部を被覆するように配置され、第2領域A2においてフィルムFへ照射される赤外線Iの少なくとも一部を遮蔽するものである。
【0017】
上述のとおり、フィルム加熱延伸装置100は、第2遮蔽部32により、フィルムFの搬送方向の下流側の領域である、第2領域A2へ照射される赤外線Iが遮断される。これにより、フィルム加熱延伸装置100により実施される加熱延伸プロセスにおいては、フィルムFの下流側の領域(第2領域A2)でのフィルムFの加熱が抑制され、その結果、フィルムFの延伸挙動の急速な変化を抑制することができる。このように、フィルム加熱延伸装置100においては、赤外線ヒータを用いてフィルムを加熱するため、短時間でフィルムの温度を昇温させることができ、また、第2遮蔽部32が存在することにより、所望の延伸状態となった後、直ちに延伸を止めることができ、フィルムFの外観不良および破断の原因となるフィルムFの延伸挙動の急速な変化を抑制できる。このため、外観不良の発生およびフィルムFの破断を抑制することができる。また、かかる加熱延伸プロセスによれば、弾性率等のフィルムFの機械物性をも向上し得る。
【0018】
フィルム加熱延伸装置100により加熱延伸可能なフィルムFとしては、例えば、熱可塑性樹脂フィルムが挙げられる。かかる熱可塑性樹脂フィルムの具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアクリル系樹脂およびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂等が挙げられる。フィルムFは、これらの熱可塑性樹脂からなる透明フィルムであることが好ましい。
【0019】
フィルム加熱延伸装置100において、第1搬送ローラR1は、加熱部10の搬送方向の上流側に位置し、第2搬送ローラR2は、加熱部10の搬送方向の下流側に位置する。第1搬送ローラR1と第2搬送ローラR2との間の搬送経路には、別の搬送ローラが設けられておらず、フィルムFの加熱領域H1は宙に浮いている。フィルムFは、第1搬送ローラR1に接した後、宙に浮いた状態で加熱され、次に、第2搬送ローラR2に接する。また、フィルム加熱延伸装置100は、第1搬送ローラR1よりも搬送方向の上流側に位置する搬送ローラR3、および/または、第2搬送ローラR2よりも搬送方向の下流側に位置する搬送ローラR4を備えている。各搬送ローラ(R1~R4)としては、クラウンローラ、コンケイブローラ、または、ストレートローラ等の公知のローラを採用することができる。フィルムFをより均一に延伸し得ることから、第1搬送ローラR1がクラウンローラであり、第2搬送ローラR2がコンケイブローラであることが好ましい。
【0020】
フィルム加熱延伸装置100において、加熱部10は、少なくとも1つの赤外線ヒータを含む。加熱部10は1つの赤外線ヒータのみを含んでもよく、2つ以上の赤外線ヒータを含んでいてもよい。加熱部10が2つ以上の赤外線ヒータを含む場合、それぞれの赤外線ヒータの温度は同じであってもよく、異なる温度であってもよい。フィルムFの過度に急速な加熱を抑制できることから、加熱部10が2つ以上の赤外線ヒータを含む場合、搬送方向の上流側の赤外線ヒータの温度が、フィルムFのガラス転移温度よりも低い温度であり、搬送方向の下流側の赤外線ヒータの温度が、フィルムFのガラス転移温度よりも高い温度であることが好ましい。
【0021】
加熱部10が含む赤外線ヒータは、近赤外線ヒータであってもよく、遠赤外線ヒータであってもよいが、遠赤外線ヒータが好ましい。遠赤外線ヒータは、近赤外線ヒータと比較して、フィルムFの昇温に要する加熱時間をより短縮することができる。これは特に、フィルムFがポリイミドフィルム等のガラス転移温度(Tg)が比較的高い熱可塑性樹脂を含む場合に有益である。
【0022】
フィルム加熱延伸装置100は、その間にフィルムFを挟むように、加熱部10と対向する反射板(不図示)を備えてもよい。
【0023】
延伸部20は少なくとも、第1駆動ローラ21と第2駆動ローラ22とを備える。第1駆動ローラ21および第2駆動ローラ22は各々、フィルムFの搬送を駆動する。第1駆動ローラ21は、第1搬送ローラR1よりも搬送方向の上流側に配置される。第2駆動ローラ22は、第2搬送ローラR2よりも搬送方向の下流側に配置される。延伸部20は、ニップローラ23,24を備える。ニップローラ23,24は各々、第1駆動ローラ21および第2駆動ローラ22へフィルムFを押し付けるように配置される。
【0024】
フィルム加熱延伸装置100において、第2遮蔽部32は、フィルムFと、加熱部10との間に配置され、第2領域A2へ照射される赤外線Iの少なくとも一部を遮蔽する。
【0025】
第2遮蔽部32の形状は、第2領域A2へ照射される赤外線Iの少なくとも一部を遮蔽できる限り特に限定されないが、例えば、板状、トタン状、パンチングメタル等の形状であり得る。
【0026】
第2遮蔽部32の材質は、赤外線を遮断可能な材料であれば特に限定されず、各種の炭素鋼、ステンレス、セラミック、または、ポリイミドフィルムなどの高分子フィルム等であり得る。中でも、形状の変更が容易であり、また、発塵の虞がないことから、ステンレスが好ましい。
【0027】
図2は、
図1に示した第2遮蔽部32をフィルムFの長さ方向に垂直な方向から見た概略図であり、フィルムFの搬送方向の上流側を上側に、下流側を下側に示す。
図2においては、第2領域A2の全体が、第2遮蔽部32により被覆されている。換言すれば、第2領域A2の全体への赤外線Iの照射が遮断されている。なお、
図2においては、搬送されるフィルムFの一部が波線にて省略されている。この波線による省略については、他の図面についても同様である。
【0028】
図1および
図2においては、第2領域A2の全体が第2遮蔽部32により被覆される態様を示している。しかしながら、本発明の実施形態1においては、必ずしも第2領域A2の全体が第2遮蔽部32により被覆される必要は無く、第2領域A2の少なくとも一部が第2遮蔽部32により被覆されていればよい。また、第2領域A2の少なくとも一部が第2遮蔽部32により被覆されてさえいれば、フィルムFの第2領域A2以外の領域が、第2遮蔽部32により被覆されていてもよい。
【0029】
(フィルムの加熱延伸方法およびフィルムの製造方法)
以下、本発明の一実施形態に係るフィルムの加熱延伸方法およびフィルムの製造方法について、
図3を参照して、説明する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係るフィルムの加熱延伸方法およびフィルムの製造方法の一例を示すフロー図である。本発明の一実施形態に係るフィルムFの加熱延伸方法および製造方法は、搬送方向に搬送されるフィルムを第1搬送ローラでガイドする工程(I)、前記(I)にてガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において第2搬送ローラでガイドする工程(II)、前記(I)および(II)にてガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域に配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部にて加熱する工程(III)、前記(III)における加熱領域において加熱されたフィルムを、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸工程(IV)、を含み、前記(III)の工程において、前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する領域である第2領域の少なくとも一部を被覆するように第2遮蔽部を配置し、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する工程を含む。
【0031】
例えば、
図3に示すように、フィルムFを第1搬送ローラR1でガイドする工程(ステップS1。上記工程(I)に対応)と、フィルムFの加熱領域H1を加熱部10にて加熱する工程と(ステップS2。上記工程(III)に対応。)と、フィルムFを第2搬送ローラR2でガイドする工程(ステップS3。上記工程(II)に対応。)と、を含み、ステップS2においては、前記フィルムFの前記第2搬送ローラR2上に位置する第2領域A2の少なくとも一部を被覆するように第2遮蔽部32が配置される。本発明の一実施形態に係るフィルムFの加熱延伸方法および製造方法においては、ステップS1~S3と同時に、フィルムFを搬送方向に搬送すると共に、加熱領域H1を延伸させる張力をフィルムFに印加する(ステップS4。上記工程(IV)に対応。)。これらが連続的に行われて、長尺のフィルムFが、効率的、かつ、外観不良およびフィルムの破断を発生させることなく、連続的に生産される。
【0032】
本発明の一実施形態に係るフィルムFの加熱延伸方法および製造方法は、上述したフィルム加熱延伸装置100を用いて好適に実施し得る。
【0033】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0034】
図4は、本発明の実施形態2に係るフィルム加熱延伸装置の概略構成の一例を示す模式図である。
図4に示すように、本発明の実施形態2に係るフィルム加熱延伸装置101は、第1遮蔽部31を備える点を除いて、前述の実施形態1に係るフィルム加熱延伸装置100と同様の構成を有する。実施形態2に係るフィルム加熱延伸装置101は、第1遮蔽部31は、フィルムFの、第1搬送ローラR1上に位置する第1領域A1の少なくとも一部を被覆するように配置され、第1領域A1においてフィルムFへ照射される赤外線Iの少なくとも一部を遮蔽するものである。
【0035】
フィルムFには、通常、厚みや形状にムラがあり、加熱部10から照射された赤外線の一部が第1領域A1、特に、第1搬送ローラR1からフィルムFが離脱する領域に照射されると、上記のムラの影響により、フォルムFの加熱時間にもムラが生じる場合がある。このような加熱時間のムラは、フィルムFの外観不良およびフィルムの破断の原因となりうる。フィルム加熱延伸装置101が第1遮蔽部31を備えることにより、加熱時間のムラが発生しやすい第1領域A1への赤外線照射を遮蔽できる。その結果、フィルムFの加熱時間を正確に制御することができ、加熱時間のムラならびにそれにより生じるフィルムFの外観不良およびフィルムの破断を抑制することができる。
【0036】
第1遮蔽部31の形状および材質としては、上記の第2遮蔽部32と同様のものを採用することができる。
【0037】
図5は、
図4に示した第1遮蔽部31および第2遮蔽部32をフィルムFの長さ方向に垂直な方向から見た概略図であり、フィルムFの搬送方向の上流側を上側に、下流側を下側に示す。
図5においては、第1領域A1の全体が第1遮蔽部31によって、第2領域A2の全体が第2遮蔽部32によって、それぞれ被覆されている。換言すれば、第1領域A1の全体および第2領域A2の全体への赤外線Iの照射が遮断されている。本構成によれば、フィルムFの加熱時間、換言すると、フィルムFの延伸時間(および延伸領域)を正確にコントロールすることができる。
【0038】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0039】
図6は、本発明の実施形態3に係るフィルム加熱延伸装置の概略構成の一例を示す模式図である。
図7は、
図6に示した第1遮蔽部31aおよび第2遮蔽部32aをフィルムFの長さ方向に垂直な方向から見た概略図であり、フィルムFの搬送方向の上流側を上側に、下流側を下側に示す。実施形態3に係るフィルム加熱延伸装置102は、第1遮蔽部31aおよび/または第2遮蔽部32aに係る構成を除いて、前述の実施形態1に係るフィルム加熱延伸装置100と同様の構成を有する。
【0040】
図6および
図7において、第2遮蔽部32aは、第2領域A2において、フィルムFと第2搬送ローラR2とが接触している領域である、第2接触領域C2へ照射される赤外線Iを遮蔽するように配置されており、第1遮蔽部31aは、第1領域A1において、フィルムFと第1搬送ローラR1とが接触している領域である、第1接触領域C1へ照射される赤外線Iを遮蔽するように配置されている。すなわち、第1領域A1の中の第1接触領域C1と、第2領域A2の中の第2接触領域C2への赤外線Iの照射が遮断されている。
【0041】
第1接触領域C1および第2接触領域C2は、フィルムFの長さ方向の端部に位置する領域であり、当該領域においては、加熱に伴いフィルムFの延伸挙動が特に急速に変化する傾向がある。このため、本構成によれば、第1接触領域C1および/または第2接触領域C2を対応する遮蔽部で被覆することにより、フィルムFの長さ方向の端部における延伸挙動の急速な変化を抑制できるため、外観不良の発生およびフィルムの破断を効率的に抑制することができる。
【0042】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0043】
図8は、本発明の実施形態4に係るフィルム加熱延伸装置の概略構成の一例を示す模式図である。
図9は、
図8に示した第1遮蔽部31bおよび第2遮蔽部32bをフィルムFの長さ方向に垂直な方向から見た概略図であり、フィルムFの搬送方向の上流側を上側に、下流側を下側に示す。実施形態4に係るフィルム加熱延伸装置103は、第1遮蔽部31bおよび/または第2遮蔽部32bの端部の位置に係る構成を除いて、前述の実施形態1に係るフィルム加熱延伸装置100と同様の構成を有する。
【0044】
図8および
図9において、第2遮蔽部32bの加熱部10側の端部SE2は、第2接触領域A2の加熱部10側の端部AE2よりも搬送方向の上流側に位置する。また、第1遮蔽部31bの加熱部10側の端部SE1は、第1接触領域A1の加熱部10側の端部AE1よりも搬送方向の下流側に位置する。すなわち、実施形態4においては、第1領域A1に加えて、フィルムFの第1接触領域A1の下流側に位置する領域の一部が第1遮蔽部31bにより被覆されている。また、第2領域A2に加えて、フィルムFの第2接触領域A2の上流側に位置する領域の一部が第2遮蔽部32bにより被覆されている。
【0045】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0046】
図10は、本発明の実施形態5に係るフィルム加熱延伸装置の概略構成の一例を示す模式図である。
図11は、
図10に示した第1遮蔽部31cおよび第2遮蔽部32cをフィルムFの長さ方向に垂直な方向から見た概略図であり、フィルムFの搬送方向の上流側を上側に、下流側を下側に示す。実施形態5に係るフィルム加熱延伸装置104は、第1遮蔽部31cおよび/または第2遮蔽部32cに係る構成を除いて、前述の実施形態1に係るフィルム加熱延伸装置100と同様の構成を有する。
【0047】
図10および
図11において、第2遮蔽部32cの加熱部10側の端部SE2は、第2接触領域C2の加熱部10側の端部CE2と、第2領域A2の加熱部10側の端部AE2と、の間に位置する。また、第1遮蔽部31cの加熱部10側の端部SE1は、第1接触領域C1の加熱部10側の端部CE1と、第1領域A1の加熱部10側の端部AE1と、の間に位置する。すなわち、第1領域A1においては、第1接触領域C1と、第1接触領域C1以外の領域の一部と、が第1遮蔽部31cにより被覆されている。また、第2領域A2においては、第2接触領域C2と、第2接触領域C2以外の領域の一部と、が第2遮蔽部32cにより被覆されている。
【0048】
なお、
図10および
図11においては、端部SE1が、端部CE1と、端部AE1との間に位置し、かつ、端部SE2が、端部CE2と、端部AE2と、の間に位置する態様を示している。しかしながら、本発明の実施形態5の態様は係る態様に限定されるものではなく、端部SE1または端部SE2の何れか一方のみが上記の構成を有する態様も含まれる。
【0049】
本発明の一実施形態には、上記の各実施形態を組み合わせた態様も含まれる。例えば、端部SE1が端部CE1と、端部AE1との間に位置し、かつ、端部SE2が端部AE2よりも搬送方向の上流側に位置する態様等も本発明の範囲に含まれる。
【0050】
〔実施形態6〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0051】
図12は、本発明の実施形態6に係るフィルム加熱延伸装置における、第1遮蔽部31および第2遮蔽部32をフィルムFの長さ方向に垂直な方向から見た概略図である。
図12において、フィルムFの搬送方向の上流側を上側に、下流側を下側に示す。実施形態6に係るフィルム加熱延伸装置105は、第3遮蔽部33を備える点を除いて、前述の実施形態1に係るフィルム加熱延伸装置100と同様の構成を有する。
【0052】
図12においては、第1遮蔽部31により第1領域A1が、第2遮蔽部32により第2領域A2が、それぞれ被覆されており、さらに、第3遮蔽部33により、加熱領域H1の幅方向の両端から5~20mm、好ましくは10~15mmの領域が被覆されている。第3遮蔽部33は、加熱領域H1の幅方向の両端から5~20mm(好ましくは10~15mm)の範囲(第3遮蔽部33により被覆される領域)へ照射される赤外線Iを遮蔽する。
【0053】
フィルムFの加熱領域H1の幅方向の両端から5~20mmの領域は、フィルムFの幅方向の端部に位置する領域である。当該領域は、フィルムFの中心部と比較して、加熱の影響を受けやすい傾向がある。そのため、上記の領域においては、フィルムの形状および物性等の不良が発生しやすい傾向がある。本発明の実施形態6においては、フィルムFの幅方向の端部に当たる領域を第3遮蔽部33で被覆することにより、フィルムFの幅方向の端部に照射される赤外線Iを制限することができる。その結果、フィルムFの幅方向の端部への過剰な加熱を抑制でき、過剰な加熱に起因するフィルムの形状および物性等の不良の発生ならびにフィルムの破断を抑制することができる。
【0054】
図12に示すように、第3遮蔽部33は、第1遮蔽部31および/または第2遮蔽部32と一体化されていてもよい。この場合、第3遮蔽部33の材質としては、上記の第2遮蔽部32と同様のものを採用することができる。
【0055】
〔その他〕
本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものであってもよい。
〔1〕搬送方向に搬送されるフィルムをガイドする第1搬送ローラ、前記第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において前記フィルムをガイドする第2搬送ローラ、前記フィルムの、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域を加熱するように配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部、前記加熱領域において、前記加熱されたフィルムに対して、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸部、および、前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する第2領域の少なくとも一部を被覆するように配置された、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する第2遮蔽部、を備える、フィルム加熱延伸装置。
〔2〕さらに、前記フィルムの、前記第1搬送ローラ上に位置する領域である第1領域の少なくとも一部を被覆するように配置された、前記第1領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する第1遮蔽部、を備える、〔1〕に記載のフィルム加熱延伸装置。
〔3〕前記第2遮蔽部が、前記第2領域において、前記フィルムと前記第2搬送ローラとが接触している領域である、第2接触領域へ照射される赤外線を遮蔽するように配置されている、〔1〕または〔2〕に記載のフィルム加熱延伸装置。
〔4〕前記第1遮蔽部が、前記第1領域において、前記フィルムと前記第1搬送ローラとが接触している領域である、第1接触領域へ照射される赤外線を遮蔽するように配置されている、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のフィルム加熱延伸装置。
〔5〕前記第2遮蔽部の前記加熱部側の端部が、前記第2領域の前記加熱部側の端部よりも前記搬送方向の上流側に位置する、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載のフィルム加熱延伸装置。
〔6〕前記第1遮蔽部における前記加熱部側の端部が、前記第1領域の、前記加熱部側の端部よりも前記搬送方向の下流側に位置する、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のフィルム加熱延伸装置。
〔7〕前記第2遮蔽部における前記加熱部側の端部が、前記第2接触領域の前記加熱部側の端部と、前記第2領域の前記加熱部側の端部と、の間に位置する、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載のフィルム加熱延伸装置。
〔8〕前記第1遮蔽部における前記加熱部側の端部が、前記第1接触領域の前記加熱部側の端部と、前記第1領域の前記加熱部側の端部と、の間に位置する、〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載のフィルム加熱延伸装置。
〔9〕前記フィルムの、前記加熱領域の幅方向の両端から5~20mmの範囲を被覆するように配置された、前記加熱領域の幅方向の両端から5~20mmの範囲へ照射される赤外線を遮蔽する第3遮蔽部を備える、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載のフィルム加熱延伸装置。
〔10〕搬送方向に搬送されるフィルムを第1搬送ローラでガイドする工程(I)、前記(I)にてガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において第2搬送ローラでガイドする工程(II)、前記(I)および(II)でガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域に配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部にて加熱する工程(III)、前記(III)における加熱領域において、加熱されたフィルムを、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸工程(IV)、を含み、前記(III)の工程において、前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する領域である第2領域の少なくとも一部を被覆するように第2遮蔽部を配置し、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する工程を含む、フィルムの加熱延伸方法。
〔11〕搬送方向に搬送されるフィルムを第1搬送ローラでガイドする工程(I)、前記(I)にてガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラよりも前記搬送方向の下流側において第2搬送ローラでガイドする工程(II)、前記(I)および(II)にてガイドされたフィルムを、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置する加熱領域に配置された少なくとも1つの赤外線ヒータを含む加熱部にて加熱する工程(III)、前記(III)における加熱領域において加熱されたフィルムを、前記搬送方向に延伸させる張力を付与する延伸工程(IV)、を含み、前記(III)の工程において、前記フィルムの、前記第2搬送ローラ上に位置する領域である第2領域の少なくとも一部を被覆するように第2遮蔽部を配置し、前記第2領域へ照射される赤外線の少なくとも一部を遮蔽する工程を含む、フィルムの製造方法。
【0056】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
10 加熱部
20 延伸部
21 第1駆動ローラ
22 第2駆動ローラ
31、31a~c 第1遮蔽部
32、32a~c 第2遮蔽部
33 第3遮蔽部
100~105 フィルム加熱延伸装置
A2 第2領域
F フィルム
H1 加熱領域
I 赤外線
R1 第1搬送ローラ
R2 第2搬送ローラ