IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北越工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-防音型作業機の冷却風流路 図1
  • 特開-防音型作業機の冷却風流路 図2
  • 特開-防音型作業機の冷却風流路 図3
  • 特開-防音型作業機の冷却風流路 図4
  • 特開-防音型作業機の冷却風流路 図5
  • 特開-防音型作業機の冷却風流路 図6
  • 特開-防音型作業機の冷却風流路 図7
  • 特開-防音型作業機の冷却風流路 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122725
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】防音型作業機の冷却風流路
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/13 20060101AFI20240902BHJP
   F02B 63/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F02B77/13 M
F02B63/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030425
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊関 宙志
(57)【要約】
【課題】冷却風の排気を妨げることなく,防音箱内の熱交換器や,熱交換器の下方に配置されている冷却ファン等の機器に対する雨水の付着を防止する。
【解決手段】防音箱10の内部下方に設けた冷却ファン30で発生した冷却風を,前記防音箱10の天板(トップパネル)124に設けた排風口25を介して排出する排風ダクト24と,該排風ダクト24内に傾斜した姿勢で配置された熱交換器26を備えた防音型作業機1の冷却風流路20において,熱交換器26の二次側における排風ダクト24内に,前記熱交換器26の上面の傾斜に沿って複数枚の矩形状の整流板27(271,272)を異なる高さで階段状に設け,前記熱交換器26の前記上面を前記複数枚の前記整流板271,272によって覆った。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防音箱の内部下方に設けた冷却ファンと,前記防音箱の天板に設けた排風口と,該排風口と連通し,前記冷却ファンで発生した冷却風を,前記排風口を介して排出する排風ダクトと,前記冷却ファンの上方で前記排風ダクト内に前記防音箱の上下方向に対し傾斜した姿勢で配置された熱交換器を備えた防音型作業機の冷却風流路において,
前記熱交換器の二次側における前記排風ダクト内に,前記熱交換器の上面の傾斜に沿って複数枚の矩形状の整流板を異なる高さで階段状に配置し,
前記整流板のそれぞれを,前記熱交換器側に配置された一辺と,該一辺と対向する他辺を同一高さとした水平姿勢,又は,前記一辺に対し前記他辺を低くした傾斜姿勢で前記排風ダクト内に配置し,
平面視において,最下段の整流板を除く整流板を,該整流板の前記他辺が一段下に配置されている他の整流板と重なる位置まで延設すると共に,最下段の整流板を,該整流板の前記他辺が前記熱交換器の下端部を越える位置まで延設したことを特徴とする防音型作業機の冷却風流路。
【請求項2】
前記整流板のうち,最下段の整流板を除く整流板の他辺側を,該整流板と一段下に配置されている他の整流板間の間隔を介して前記排風口より前記熱交換器の上面を直接目視することができない位置まで延設すると共に,
最下段の整流板の前記他片側を,前記排風口を介して前記熱交換器の下端部を直接目視することができない位置まで延設したことを特徴とする請求項1記載の防音型作業機の冷却風流路。
【請求項3】
前記排風口の下方位置で,かつ,前記熱交換器のコアの部分よりも高い位置で前記排風ダクト内に立設された遮蔽板を設け,
該遮蔽板を,前記天板と最上段の前記整流板間の間隔を介して前記排風口より前記熱交換器の上面を遮蔽する位置に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の防音型作業機の冷却風流路。
【請求項4】
前記整流板のそれぞれに,前記他辺を除く三辺より上向きに突出する側壁を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の防音型作業機の冷却風流路。
【請求項5】
最下段に設けた前記整流板の前記他辺より落下した雨水を受けると共に排水する排水ガイドを,最下段の前記整流板の前記他辺の下方位置に設け,
該排水ガイドを前記防音箱のいずれかの側壁まで延設すると共に,前記側壁に,前記排水ガイド上の雨水を機外へと排水する水抜口を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の防音型作業機の冷却風流路。
【請求項6】
前記排水ガイドを,前記水抜口を設けた前記側壁に向かって下向きに傾斜させたことを特徴とする請求項5記載の防音型作業機の冷却風流路。
【請求項7】
前記整流板の下面に吸音材を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の防音型作業機の冷却風流路。
【請求項8】
前記排水ガイドの下面に吸音材を取り付けたことを特徴とする請求項5記載の防音型作業機の冷却風流路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防音型作業機の冷却風流路に関し,より詳細には,圧縮機本体や発電機本体等の作業機本体と,該作業機本体を駆動するモータやエンジン等の駆動源,及びその他の必要な機器を防音箱内に収容してパッケージ化した防音型作業機において,防音箱内に収容した空冷式の熱交換器に機外の空気を冷却風として導入すると共に熱交換後の冷却風を機外に排出するための冷却風流路の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機本体や発電機本体等の作業機本体と,該作業機本体を駆動するモータやエンジン等の駆動源を備えた作業機では,作動時の騒音が機外に漏出することを防止すると共に,運搬や設置の便を考慮して,駆動源や作業機本体,その他の構成機器を,鋼板などの金属板によって形成された箱体から成る防音箱内に一まとめに収容してパッケージ化した防音型作業機として構成するのが一般的である。
【0003】
このような防音型作業機の一例として,後掲の特許文献1には図8に示す構成の防音型作業機300が記載されている。
【0004】
図8に示す防音型作業機300は,防音箱310内にファン330を収容するファンカバー331と,該ファンカバー331上に載置された排気ダクト324を設けることで,ファンカバー331と排気ダクト324を境として防音箱310の内部空間を圧縮室310aと空冷室310bに仕切っており,このうちの圧縮室310a内に圧縮機本体340とその駆動源であるモータ350を収容する構成を採用する。
【0005】
また,前述の空冷室310bを画成する防音箱310の側壁上部に吸気口321を設けることにより空冷室310bを機外と連通させると共に,排気ダクト324の上端を防音箱310の天板に設けた排風口325と連通させることで排気ダクト324の上端を機外に向けて開放している。
【0006】
そして,ファンカバー331の側面に設けた吸入口332を空冷室310bに連通し,ファンカバー331に上向きに設けた吹出口333を排気ダクト324の下端に連通させると共に,圧縮機本体340が吐出した圧縮気体を冷却するための空冷式の熱交換器326を排気ダクト324内に収容している。
【0007】
このように構成することで,ファンカバー331内でファン330を回転させると,機外の空気が吸気口321を介して空冷室310b内に冷却風として導入され,この冷却風がファンカバー331内を通過して排気ダクト324に導入されると共に排気ダクト324を通過する際に熱交換器326の熱交換に使用され,熱交換後の冷却風が排風口325より機外に排出されるように構成されており,前述した吸気口321,空冷室310b,ファンカバー331,排気ダクト324,及び排風口325によって熱交換器326に対する冷却風の導入と排出を行うための冷却風流路が形成されている。
【0008】
特許文献1に記載の防音型作業機300では,ファンカバー331の吹出口333から防音箱310の天板に設けた排風口325間に上下方向に延びる排気ダクト324内に,前述の熱交換器326を,排風口325から冷却ファン330を直視できないように傾斜して配置する構成を採用する(特許文献1の図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2017-120025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前掲の特許文献1に記載の防音型作業機300では,上下方向に延びる排気ダクト324内に,排風口325から冷却ファン330を直視できないように空冷式の熱交換器326を傾斜して配置する構成を採用することで,冷却ファン330で発生した騒音は熱交換器326を通過する際に低減されて排風口325に到達することとなるため機外に漏出する騒音を低減させることができると共に,熱交換器326を傾斜して配置したことで,熱交換器326を水平に配置する場合に比較して排気ダクト324の幅を狭めることができ,これにより防音型作業機300の小型化を実現可能としている。
【0011】
しかしながら特許文献1に記載の防音型作業機300の構成では,排風口325が防音箱310の天板に設けられており,この排風口325の下方に熱交換器326と冷却ファン330やファンモータ336が配置されていることから,防音型作業機300を雨天の屋外で使用すると,排風口325を介して防音箱内に侵入した雨水が熱交換器や熱交換器の下方に配置されているファン330やファンモータ336等の機器を濡らすこととなる。
【0012】
その結果,これらの機器が早期に錆びる等して劣化が早まる原因となると共に,ファンモータ336等の電気機器に対する雨水の付着は漏電の発生原因ともなり得る。
【0013】
このような問題のうち錆の発生については,例えば雨水が付着するおそれのある機器に防錆剤の塗布やコーティング等の防錆処理を施すことも考えられる。
【0014】
しかしながら,このような防錆処理の実施は防音型作業機300の製造コストの上昇につながるだけでなく,塗布した防錆剤の剥離等に伴って防錆効果は経時と共に失われることから,定期的に防錆処理のやり直しを行う等のメンテナンス作業が必要となるためランニングコストも嵩む。
【0015】
そのため,排風口325からの雨水の浸入を防止し,及び/又は浸入した雨水が熱交換器326や冷却ファン330,ファンモータ336等の機器に付着しないような対策がなされていることが望ましい。
【0016】
その一方で,排風口325からの雨水の浸入や熱交換器326等の内部機器に対する雨水の付着が防止できる構造であったとしても,このような構造の採用によって排気ダクト324内の冷却風の流れや,排風口325を介した冷却風の排出が妨げられる構造となってしまったのでは,熱交換器326を通過する風量が減少して熱交換器326の冷却性能を低下させてしまい,冷却風流路の本来の機能が損なわれることから,排風口325を介した雨水の浸入や内部機器に対する雨水の付着防止は,冷却風流路の本来の機能を低下させることなく行われる必要がある。
【0017】
なお,上記の説明では防音型作業機の一例として,作業機本体が圧縮機本体であると共に該圧縮機本体の駆動源がモータである,モータ駆動式の防音型圧縮機を例に挙げて説明すると共に,冷却風流路に配置する熱交換器が,圧縮機本体が吐出した圧縮気体の冷却を行うための熱交換器である場合を例に挙げて説明した。
【0018】
しかしながら,排風口より浸入した雨水が熱交換器や冷却ファン,ファンモータ等の内部機器に付着するという問題は,モータ駆動式の圧縮機に特有に問題ではなく,前述したように防音箱の天板に排風口を設けると共に,その下方に熱交換器等を設けた冷却風流路の構成を採用する限り,エンジン駆動式の作業機や,圧縮機以外の作業機本体(例えば,発電機本体等)を備えた防音型作業機全般に生じるものであると共に,熱交換器として圧縮機本体が吐出した圧縮気体を冷却する前述の熱交換器に代え,又は該熱交換器と共に,例えばエンジンのラジエータ,過給器や多段式圧縮機のインタークーラ,各種潤滑油を冷却するオイルクーラ等を収容した場合であっても同様に生じ得る問題である。
【0019】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたもので,冷却風の排気を妨げることなく,防音箱内に収容されている空冷式の熱交換器や,この熱交換器の下方に配置されている冷却ファン,ファンモータ等の機器に対する雨水の付着を防止し得る,防音型作業機の冷却風流路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以下に課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と,発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0021】
上記目的を達成するために本発明の防音型作業機1の冷却風流路20は,
防音箱10の内部下方に設けた冷却ファン30と,前記防音箱10の天板(トップパネル)124に設けた排風口25と,該排風口25と連通し,前記冷却ファン30で発生した冷却風を,前記排風口25を介して排出する排風ダクト24と,前記冷却ファン30の上方で前記排風ダクト24内に前記防音箱10の上下方向に対し傾斜した姿勢で配置された熱交換器26を備えた防音型作業機1の冷却風流路20において,
前記熱交換器26の二次側における前記排風ダクト24内に,前記熱交換器26の上面の傾斜に沿って複数枚の矩形状の整流板27(271,272)を異なる高さで階段状に配置し,
前記整流板27(271,272)のそれぞれを,前記熱交換器26側に配置された一辺271a,272aと,該一辺271a,272aと対向する他辺271b,272bを同一高さとした水平姿勢,又は,前記一辺271a,272aに対し前記他辺271b,272bを低くした傾斜姿勢で前記排風ダクト24内に設け,
平面視において,最下段の整流板272を除く整流板271を,該整流板271の前記他辺271bが一段下に配置されている他の整流板272と重なる位置まで延設すると共に,最下段の整流板272を,該整流板272の前記他辺272bが前記熱交換器26の下端部を越える位置まで延設したことを特徴とする(請求項1)。
【0022】
最下段の整流板272を除く整流板271の他辺271b側は,該整流板271と一段下に配置されている他の整流板272間の間隔を介して前記排風口25より前記熱交換器26の上面を直接目視することができない位置まで延設されていることが好ましく,また,最下段の整流板272の前記他辺272b側は,前記排風口25を介して前記熱交換器26の下端部を直接目視することができない位置まで延設することが望ましい(請求項2)。
【0023】
更に,前記排風口25の下方位置で,かつ,前記熱交換器26のコア26aよりも高い位置で前記排風ダクト24内に立設された遮蔽板17,18を設け,
該遮蔽板17,18を,前記天板(トップパネル)124と最上段の前記整流板271間の間隔を介して前記排風口25より前記熱交換器26の上面空間を遮蔽する位置,言い換えれば,前記排風口25より熱交換器26の上面を直接目視できない位置,に設けることもできる(請求項3;図5)。
【0024】
前記整流板27(271,272)のそれぞれに,前記他辺271b,272bを除く三辺より上向きに突出する側壁271e,271f;272e,272fを設けることが好ましい(請求項4,図5及び図6参照)。
【0025】
最下段に設けた前記整流板272の前記他辺272bより落下した雨水を受けると共に排水する排水ガイド28を,最下段の前記整流板272の前記他辺272bの下方位置に設け,
該排水ガイド28を前記防音箱10のいずれかの側壁(実施形態においてリヤパネル123)まで延設すると共に,前記側壁(実施形態においてリヤパネル123)に,前記排水ガイド28上の雨水を機外へと排水する水抜口15を設けるものとしても良い(請求項5,図6参照)。
【0026】
前述の排水ガイド28は,前記水抜口15を設けた前記側壁(実施形態においてリヤパネル123)に向かって下向きに傾斜させることが好ましい(請求項6)。
【0027】
前述した整流板27(271,272)の下面には吸音材(図示せず)を取り付けるものとしても良く(請求項7),このような吸音材は,更に,前記排水ガイド28の下面にも取り付けるものとしても良い(請求項8)。
【発明の効果】
【0028】
以上で説明した本発明の構成により,本発明の冷却風流路20を備えた防音型作業機では,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0029】
熱交換器26の上面を,該熱交換器26の上面の傾斜に沿って複数枚の整流板27(271,272)を異なる高さに階段状に配置することにより覆ったことにより,排風口25より防音箱10内に雨水が浸入した場合であっても,この雨水は整流板27(271,272)上に落下することで,熱交換器に対する雨水の付着を防止することができた。
【0030】
しかも,平面視において最下段の整流板272を除く整流板271は,該整流板271の前記他辺271bが一段下に配置されている他の整流板272と重なる位置まで延設されており,これにより上段側の整流板271の他辺271b側と,下段側の整流板272の一辺272a側に所定幅の重なり部分OL(図5参照)が設けられていると共に,最下段の整流板272は,該整流板272の前記他辺272bが前記熱交換器26の下端部を越える位置まで延設していることで,真上から落下してくる雨水だけでなく,風等の影響によって斜めに吹き込んでくる雨水についても整流板27(271,272)上で受け止めることで熱交換器26に付着することを防止できた。
【0031】
特に,最下段の整流板272以外の整流板271の他辺271b側を,該整流板271と一段下の整流板272間の間隔を介して前記排風口25より前記熱交換器26の上面を直接目視することができない位置まで延設し,最下段の整流板272の他辺272b側を,排風口25を介して熱交換器26の下端部を直接目視することができない位置まで延設した構成,更には,遮蔽板17,18によって天板(トップパネル)124と最上段の前記整流板271間の間隔を介して前記排風口25より熱交換器26の上面を遮蔽し,直接目視できないように設けた構成では,排風口25に対し機外の如何なる方向より雨水が吹き込んだ場合であっても整流板27(271,272)や遮蔽板17,18を越えて雨水が更に内部に浸入して熱交換器26等を濡らすことを防止できた。
【0032】
しかも,整流板27(271,272)上に落下した雨水は,排風ダクト24内を流れる冷却風の流れや,整流板27(271,272)を傾斜させている場合にはこの傾斜によって各整流板271,272の他辺271b,272b側に向かって流れることで,整流板27(271,272)上に落下した雨水を,熱交換器26や,該熱交換器26の下方に配置されている冷却ファン30やファンモータ36の上方位置から遠ざける方向に移動させることができ,これにより熱交換器26や冷却ファン30,ファンモータ36に対する雨水の付着を防止することができた。
【0033】
この整流板27(271,272)は,防音箱10外からの雨水の浸入を防止するだけでなく,防音箱10内で発生した騒音,例えば冷却ファン30の風切り音が排風口25を介して防音箱10外に直接漏出しないように遮蔽する効果を有すると共に,整流板27(271,272)を設けることで排風ダクト24内の流路が長くなることによる騒音の減衰効果も発揮されることから,本発明の冷却風流路20を備えた防音型作業機1の静寂性をより一層高めることができた。
【0034】
しかも,各整流板271,272は熱交換器26の二次側に階段状にずらして配置されていることから,排風ダクト24内の流路や排風口25を塞ぐことなしに雨水の浸入を防止することができるだけでなく,傾斜して配置された熱交換器26を通過する際に乱れた冷却風の流れを整える作用を発揮すると共に,排風ダクト24内に均一な冷却風の流れを生じさせることで,排風ダクト24内を冷却風が円滑に通過することで通過風量を増加させると共に熱交換器26全体に均一に冷却風が当たるようになることで,熱交換器26の冷却性能を向上させることができた。
【0035】
各整流板271,272上に落下した雨水は,各整流板271,272を水平の姿勢で配置した場合であっても排風ダクト24内を流れる冷却風によって他辺271b,272b側に排水することができるが,各整流板271,272を他辺271b,272bに向かって下向きに傾斜させた姿勢で取り付けた構成では,排風ダクト24内に冷却風が発生していない状態においても雨水を他辺271b,272b側に移動させることができ,防音型作業機1の運転が停止している状態においても熱交換器26や冷却ファン30,及びファンモータ36に対する雨水の付着を防止することができた。
【0036】
特に,各整流板271,272に,他辺271b,272bを除く三辺より上向きに突出する側壁271e,271f;272e,272fを設けた構成では,整流板27(271,272)上に落下した雨水を確実に他辺271b,272b側,従って,熱交換器26より遠ざける方向に排水することができた。
【0037】
更に,最下段の整流板272の他辺272bの下方に排水ガイド28を設け,該排水ガイド28を防音箱10のいずれかの側壁(実施形態においてリヤパネル123)まで延設すると共に,該側壁に水抜口15を設けた構成では,整流板27(271,272)が捕集した雨水を,排水ガイド28を介して防音箱10外に排水させることができた。
【0038】
特にこの排水ガイド28を,水抜口15を設けた側壁(実施形態においてリヤパネル123)に向かって下向きに傾斜させた構成では,排水ガイド28が整流板27(271,272)より受け取った雨水を,より確実に水抜口15に向けて誘導することができた。
【0039】
更に,整流板27(271,272)の下面や排水ガイド28の下面に吸音材(図示せず)を取り付けた構成では,防音型作業機1の静寂性のより一層の向上を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の冷却風流路を備えた防音型作業機の全体斜視図。
図2】本発明の冷却風流路を備えた防音型作業機のサイドパネルを取り外した状態の全体斜視図。
図3】本発明の冷却風流路を備えた防音型作業機の側面透視図。
図4】冷却風流路のうち,(A)は吸気ダクト22の範囲,(B)は排風ダクト24の範囲の説明図。
図5】冷却風流路(排風ダクト)内に設けた整流板部分の説明図。
図6】トップパネルを取り外した状態の整流板部分の(A)は斜視図,(B)は部分拡大図,(C)は(A)のC-C線断面図。
図7】第二室(冷却風流路)内における(A)は雨水の流れの,(B)は冷却風の流れの説明図。
図8】従来の防音型作業機の側面透視図(特許文献1の図1に対応)。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に,添付図面を参照しながら本発明の冷却風流路20を備えた防音型作業機1の構成例について説明する。
【0042】
なお,以下の実施形態では,本発明の冷却風流路20を備える防音型作業機1を,モータ駆動式の圧縮機と成すと共に,冷却風流路に設ける熱交換器26を,圧縮機本体40が吐出した圧縮気体を冷却するための熱交換器26とした例について説明するが,本発明の冷却風流路20は,エンジン駆動式の防音型作業機や,圧縮機以外の作業機(例えば発電機等)を搭載した防音型作業機に対しても適用可能であると共に,冷却風流路に設ける熱交換器26として,圧縮機本体40が吐出した圧縮気体の熱交換を行う熱交換器26に代えて,又は該熱交換器26と共に,エンジンのラジエータ,過給器や多段式圧縮機のインタークーラ,各種潤滑油のオイルクーラ等の各種の熱交換器を配置するものとしても良く,その構成は以下に説明する実施形態に限定されない。
【0043】
〔防音型作業機の全体構成〕
図1図3中の符号1は,本発明の冷却風流路20を備える防音型作業機を示す。
【0044】
この防音型作業機1は,作業機本体である圧縮機本体40,該圧縮機本体40を駆動する駆動源であるモータ50,及び,その他の必要な構成機器を防音箱10内に一まとめに収容してパッケージ化したものであり,これにより防音箱10内で生じた騒音の漏出が低減されていると共に,運搬や設置を容易に行うことができるように構成されている。
【0045】
前述の防音箱10は,駆動源50や作業機本体40,その他の構成機器を載置する平面視矩形の基台11と,前記基台11上を覆う防音ケース12によって構成されている。
【0046】
このうちの防音ケース12は,フロントパネル121,サイドパネル122,及びリヤパネル123から成る側壁と,天板であるトップパネル124から成る下向きに開口した箱型のケースであり,この防音ケース12を基台11上に載置することで,基台11と防音ケース12とによって囲まれた内部空間13が形成されている。
【0047】
この内部空間13は,図3に示すように仕切板14によって防音箱10の長手方向の前後に二室に仕切られており,このうちのフロントパネル121側をモータ50や作業機本体40を収容する第一室13aと成すと共に,リヤパネル123側を後述する冷却風流路20が形成される第二室13bとしている。
【0048】
〔冷却風流路〕
防音箱10の内部空間13に形成された室13a,13bのうち,リヤパネル123側に形成された前述の第二室13b内には,空冷式の熱交換器26に対する冷却風の導入と排出を行うための冷却風流路20が形成される。
【0049】
この冷却風流路20は,第二室13b内の内部下方に設けた冷却ファン30で発生させた冷却風を,トップパネル(天板)124に設けた排風口25に導入する排風ダクト24と,前記冷却ファン30に対し機外の空気を冷却風として導入する吸気ダクト22を備え,このうちの排風ダクト24内に熱交換器26を配置することで,熱交換器26に対する冷却風の導入と,該熱交換器26で熱交換に使用された冷却風の排出を行うことができるように構成されている。
【0050】
図示の実施形態では,第二室13b内を以下のように構成することで冷却風流路20を形成している。
【0051】
図3に示すように,第二室13bの下端側の隅角部のうち第一室13aと隣接する側にファンケーシング31を設け,このファンケーシング31内に冷却ファン30を収容することにより,冷却ファン30を防音箱10の内部下方に配置している。
【0052】
このファンケーシング31は,リヤパネル123に向かって開口する吸入口32と,上向きに開口する吹出口33を備えており,このファンケーシング31内に収容された冷却ファン30を回転させることで,ファンケーシング31の吸入口32より吸い込んだ冷却風を吹出口33を介して上向きに吹き出すことができるように構成されている。
【0053】
このファンケーシング31のリヤパネル123側には,該ファンケーシング31に隣接して熱交換器26の下端部を載置するための架台34が設けられている。
【0054】
この架台34は,一対の脚部34aの上端間に架設された載置面34bを有する門型に形成されており,この載置面34b上に熱交換器26の下端部を載置することができるように構成されている。
【0055】
この架台34の載置面34bはファンケーシング31と連結されていると共に,リヤパネル123側の高さを高くした傾斜形状をしており,これにより傾斜した姿勢で配置される後述の熱交換器26の底部を安定して載置することができるように構成されている。
【0056】
また,この架台34の載置面34bのリヤパネル123側の端部上には,後述する整流板27(271,272)及び排水ガイド28を取り付けるための固定枠35が立設されており,この固定枠35の下端側の側面35aとリヤパネル123間に,板状の排水ガイド28が架設されている。
【0057】
これにより,第二室13bは,排水ガイド28,固定枠35の下端側の側面35a,及び,前記架台34の載置面34bによって上下に分割されており,第二室13bのうち,排水ガイド28と固定枠35の下端側の側面35a,及び,架台34の載置面34bによって仕切られた下側の部分〔図4(A)中で太線で囲った範囲〕に,ファンケーシング31の吸入口32と連通する前述の吸気ダクト22が形成されている。
【0058】
そして,排水ガイド28の架設位置よりも低い位置でリヤパネル123に吸気口21を設けることで吸気ダクト22を機外と連通させることにより,吸気ダクト22を介してファンケーシング31内に外気を吸入可能としている。
【0059】
本実施形態では,図1及び図2に示すようにこの吸気口21に機外側に向かって下向きに傾斜するルーバ29を取り付けることにより,吸気口21を介して吸気ダクト22内に雨水が浸入することを防止すると共に,吸気口21からの騒音の漏出を防止している。
【0060】
また,トップパネル(天板)124のうち第二室13bの上端を画成する部分には,冷却ファン30が吹き出した冷却風を機外に排出するための排風口25が設けられており,この排風口25を介して第二室13b内の上部側の空間を機外と連通させている。
【0061】
本実施形態では,図1及び図2に示すように排風口25の形成部分のトップパネル124を多数の矩形状の小孔が設けられたパンチングメタルによって形成することで,該パンチングメタルに設けた小孔の集合によって排風口25を形成することで,落ち葉等の大型の異物が排風口25を介して防音箱10内に入り込むことを防止している。
【0062】
このようにトップパネル124のうちの第二室13bの上端を画成する部分に排風口25を設けることで,第二室13b内の空間のうち,ファンケーシング31内,該ファンケーシング31の上部空間,及び,前述の排水ガイド28と架台34の載置面34bの上部側の空間から成る略逆L字状の空間〔図4(B)中で太線で囲った範囲〕が,冷却ファン30によって発生した冷却風を排風口25に導入する前述の排風ダクト24を構成する。
【0063】
この排風ダクト24には,圧縮機本体40が吐出した圧縮気体を冷却するための空冷式の熱交換器26が防音箱10の上下方向に対し傾斜した姿勢で取り付けられており,本実施形態では,前述した架台34の載置面34bに熱交換器26の下端部を,仕切板14の上端とトップパネル124との交点に形成された角部に熱交換器26の上端部をそれぞれ固定することにより,前述した排風ダクト24内に熱交換器26を傾斜した姿勢で,且つ,排風ダクト24内の流路が覆われるように取り付けている。
【0064】
図示の実施形態では,第二室13bの上端を画成する部分のトップパネル124のうち,排水ガイド28と架台34の載置面34bの真上にのみ排風口25を設け,ファンケーシング31の真上には排風口25を設けない構成としている。
【0065】
このように,本実施形態では第二室13bの上部のうちリヤパネル123側に偏った位置に排風口25を設けていることで,防音型作業機1を平面視した際に,熱交換器26の上面のうちの上側の約2/3はトップパネル124の下側に隠れた状態となっており,下側の約1/3が排風口25の下方(排風口25の形成範囲と重なる位置)に配置されるように構成されている。
【0066】
もっとも,排風口25と熱交換器26の位置関係は図示の構成に限定されず,例えば平面視において熱交換器26の表面全体が排風口25内に配置されるように構成するものとしても良く,又は,熱交換器26の表面全体がトップパネル124の下側に隠れた状態で配置されていても良く,図示の実施形態に対し熱交換器26のより多くの,又は少ない部分が排風口25と重なる位置に設けられていても良い。
【0067】
このように本発明の防音型作業機1では,熱交換器26が排風口25と連通された排風ダクト24内に配置されていると共に,この熱交換器26の下方には,ファンケーシング31内に収容された冷却ファン30やファンモータ36が配置されていることから,そのままでは,排風口25を介して防音箱10内に浸入した雨水が熱交換器26や冷却ファン30,ファンモータ36等に付着すると共に,基台11の上面を伝って第一室13a内にも浸入するおそれがある。
【0068】
そこで,排風口25より防音箱10内に浸入した雨水が熱交換器26や,熱交換器26の更に下方に配置された冷却ファン30やファンモータ36を濡らすことがないよう,図3図6に示すように,熱交換器26の二次側の排風ダクト24内に,熱交換器26の上面の傾斜に沿って複数枚の矩形状の整流板27(271,272)を異なる高さで階段状に取り付けている。
【0069】
図示の実施形態では,上段の整流板271と,下段の請求板272から成る,二段構成の整流板27を設けた場合を例に挙げて説明するが,整流板27の段数(枚数)は図示の実施形態に限定されず,3段以上の段数(枚数)としても良く,防音型作業機1のサイズ等に応じて適宜変更可能である。
【0070】
この整流板27のそれぞれ271,272は,熱交換器26側の一辺271a,272aと,該一辺271a,272aと対向する他辺271b,272bの高さを同一とした水平姿勢で固定枠35に取り付けるものとしても良いが,好ましくは,前記一辺271a,272aに対し他辺271b,272bを低くして僅かに傾斜(例えば10°以下の傾斜角で傾斜)させた姿勢で固定枠35に取り付けることが好ましく,本実施形態では,水平面に対し2°の傾斜角で傾斜させた姿勢で取り付けている。
【0071】
なお,図示の例では下段側の整流板272を二枚の金属板を連結することにより構成しているが,このような構成では,整流板272を成す金属板のうち,例えば一辺272a側の金属板を水平に,他辺272側の金属板を傾斜させて配置するものとしても良い。
【0072】
最下段に設けられている整流板272以外の整流板271は,平面視において前記他辺271bが一段下に設けられている整流板272と重なる位置まで延在されており,図5に示すように上下に隣接する整流板271,272間には重なり部分OLが生じるように構成されていると共に,最下段の整流板272が熱交換器26の下端位置を越えてリヤパネル123側に,図示の実施形態では固定枠35を超えてリヤパネル123側に延設されている。
【0073】
この整流板27(271,272)は,図示の実施形態では少なくとも前記排風口25と平面視において重なる部分の熱交換器26の上面が,前述した複数枚の整流板271,272によって全体として覆われるように取り付けられていることから,排風口25を介して防音箱10内に浸入した雨水を整流板27(271,272)上で受けることができる。
【0074】
しかも,上段の整流板271と,下段の整流板272との間に重なり部分OLを生じさせていることから,風などの影響で雨滴が斜めに吹き込んだ場合であっても,この雨滴は上下の整流板271,272間の間隔を介して内部に入り込み難い構造となっている。
【0075】
最下段の整流板271を除く整流板271の他辺271b側は,排風口25を介して該整流板271と一段下段の整流板272との間から熱交換器26の上面を直接目視することができない位置まで延設することが望ましく,また,最下段の整流板272の他片272b側は,排風口25を介して熱交換器26の下端部を直接目視することができない位置まで延設することが望ましい。
【0076】
なお,図示の実施形態では,熱交換器26の上端部をトップパネル124の下方に配置したことで,垂直方向に落下する雨水の熱交換器26の上端部に対する付着はトップパネル124によって防止されている。
【0077】
しかしながら,図示の実施形態では,風等によって雨水が図5中に破線で示した線L1とL2間を通って排風口25内に斜めに吹き込んだ場合,トップパネル124と整流板27(271,272)だけでは熱交換器26の上端側に対する雨水の付着を完全には防止し得ない。
【0078】
このような熱交換器26の上端部に対する雨水の付着は,図示の構成において最上段を成す整流板271の上方に更にもう一段,新たに整流板を設けることにより,又は,排風口25の形成範囲を狭めることにより防止することも可能であるが,図示の実施形態では,図5に示すように,排風口25の下方位置において排風ダクト24内に立設した遮蔽板17,18により,図5中に破線L1,L2間の範囲(遮蔽板17でL1-LM間の範囲,遮蔽板18によりLM-L2間の範囲)を遮蔽することにより,機外より排風口25を介して熱交換器26の上端部空間を直接目視できない構成とした。
【0079】
このように構成することで,排風口25に対し如何なる方向より,如何なる傾斜角で雨水が吹き込んだとしても,熱交換器26の上端部に対する雨水の付着を防止することができる。
【0080】
なお,このような遮蔽板17,18は,排風ダクト24内を流れる冷却風の流れを遮ることがないよう,前記熱交換器26のコア26aの部分よりも高い位置に設けることが好ましい。
【0081】
防音型作業機1の作動中,排風ダクト24内には冷却ファン30から排風口25に向かう冷却風の流れが生じているため,整流板27(271,272)上に落下した雨水は,この冷却風の流れによって図7(A)に示すように整流板27(271,272)上を他辺271b,272bに向かって移動すると共に,他辺271b,272bに到達する下方に落下する。
【0082】
上段側の整流板271の他辺271bは,下段側の整流板272と平面視において重なる位置まで延設されていることから,上段側の整流板271より落下した雨水は下段側の整流板272によって受け止められて,下段側の整流板272上を流れる雨水と共に下段側の整流板272の他辺272b側に移動される。
【0083】
また,下段側の整流板272(本実施形態における最下段の整流板)の他辺272bは,熱交換器26の下端部よりもリヤパネル123側にまで延設されていることから,下段側の整流板272上を他辺272bに至るまで移動させた雨水を,熱交換器26が存在しない位置にて落下させることができ,熱交換器26や該熱交換器26の下方に配置された冷却ファン30やファンモータ36に対する雨水の付着を防止することができる。
【0084】
このように整流板27(271,272)上に落下した雨水は,排風ダクト24内を流れる冷却風によって各整流板271,272を水平の姿勢で取り付けた場合であっても他辺271b,272bに向かって流動させることができるが,各整流板271,272を,他辺271b,272b側に向かって10°以下程度の僅かな傾斜角(本実施形態では2°の傾斜角)で傾斜させた構成では,防音型作業機1の停止時,従って,排風ダクト24内に冷却風が発生していない状態であっても,整流板27(271,272)上に落下した雨水を他辺271b,272b側に流動させることが可能である。
【0085】
整流板27(271,272)上に落下した雨水が各整流板271,272の他辺271b,272b側から排水されることを確実なものとするために,各整流板271,272の前記他辺271b,272bを除く3辺(271a,271c,271d;272a,272c,272d)には,図5及び図6に示すようにそれぞれ上向きに突出する側壁271e,271f;272e,272fを設けることが好ましい。
【0086】
この側壁271e,271f;272e,272fは,金属板等からなる整流板271,272の他辺271b,272bを除く3辺(271a,271c,271a;272a,272c,272d)を上向きに折り曲げる等して形成するものとしても良く,又は,図5及び図6中に拡大図で示すように各辺(図示の例では一辺271a,272a)にアングル材60を取り付けることにより形成するものとしても良い。
【0087】
更に,一辺271a,272a以外の他の二辺(271c,271d;272c,272d)に設ける側壁271f,272fは,これらの各辺(271c,271d;272c,272d)をサイドカバー122の内壁や,サイドカバー122の内側に平行に設けた板材等にシール材を介して突合させることにより,サイドカバー122の内壁や前述の板材を前述の側壁271f,272fとするものとしても良く,図6に,上段側の整流板271においてこの構成を採用した例を示す。
【0088】
また,各整流板271,272の他辺271b,272bには,該他辺271b,272bより下方に突出する水切り271g,272gを設け,この水切り271g,272gによって整流板271,272の裏面に雨水が回り込むことを防止できるようにしても良い(下段側の整流板272の他辺272bに水切り272gを設けた例につき図5の拡大図参照)。
【0089】
また,このような水切り271g,272gを設けることにより,上下の整流板271,272間の重なり部分OLを短くしても排風口25より熱交換器26を直視できなくなる場合,前述の重なり部分OLを短くするものとしても良い。
【0090】
以上のように構成された整流板27(271,272)によって捕集された雨水を機外に排出するために,最下段の整流板272の他辺272bの下方位置には排水ガイド28が設けられており,この排水ガイド28上に落下した雨水を,防音ケース12のいずれかの側壁,図示の実施形態ではリヤパネル123に設けた水抜口15に誘導して機外に排水できるようにすることが望ましい。
【0091】
本実施形態では,前述した固定枠35とリヤパネル123間に架設した板状の排水ガイド28を設けると共に,リヤパネル123に設けた水抜口15を介して整流板27(271,272)から排水ガイド28上に落下した雨水を機外に排水できるようにした。
【0092】
この排水ガイド28は水平な姿勢で取り付けるものとしても良いが,リヤパネル123に設けた水抜口15に雨水を確実に誘導するために本実施形態では,排水ガイド28を固定枠35からリヤパネル123側に向かって10°以下の僅かな傾斜角,本実施形態では2°の傾斜角で下向きに傾斜させることで,雨水を確実に水抜口15に誘導することができるようにしている。
【0093】
防音箱10の側壁,図示の例ではリヤパネル123に設ける水抜口15の構成については特に限定されず,機外に対する雨水の排水を可能とするものであればその構造は各種構造のものが採用可能であるが,図5に示す実施形態では,前述のリヤパネル123を上下二段に分割した構造とし,上段側のリヤパネル123aの下端縁に図6(C)に拡大断面図で示したように上向きに開口する断面コ字状の排水溝16を設け,この排水溝16内に排水ガイド28からの雨水を導入可能に構成した。
【0094】
そして,この排水溝16の底部に水抜口15を設けることで,該水抜口15を介して雨水を機外に排水できるようにした。
【0095】
排水ガイド28による雨水の排水を確実なものとするために,排水ガイド28の一辺28aと固定枠35との接合部分や,防音ケース12のサイドパネル122の内壁と排水ガイド28の各辺28c,28dとの接触部分は,いずれもシール材を介して水密に接合されており,リヤパネル123に設けた水抜口15以外の部分から雨水が下方に漏れ落ちないようにする。
【0096】
なお,図示の実施形態では,前述の水抜口15をリヤパネル123に設ける構成について説明したが,この構成に代えて水抜口15をサイドパネル122に設けるようにしても良く,その構成は,図示の実施形態に限定されない。
【0097】
以上のように構成された本発明の冷却風流路20に設けられた整流板27(271,272)は,図7(A)に示すように排風口25より防音箱10内に浸入した雨水を排水する作用を有するだけでなく,図7(B)に示すように傾斜して配置された熱交換器26のコアを通過する際に乱れた冷却風の流れを整流すると共に,排風ダクト24内の上部側に片寄った流れと成りやすい冷却風の流れを図7(B)に示すように上下方向に分散させて均一な流れとして排風口25に誘導する作用を有する。
【0098】
これにより冷却風を円滑に流動させることができ,排風ダクト24を通過する風量を増大させることができると共に,熱交換器26の全体に均一に冷却風を当てることができることで熱交換器26の冷却効率を向上させる効果が得られる。
【0099】
また,本発明の冷却風流路20の構成では,防音箱10内で発生した騒音,例えば冷却ファンの風切り音は,排風口25を介して機外に漏出する迄の間に,熱交換器26との衝突によって低減されるだけでなく,整流板27(271,272)や排水ガイド28との衝突によって遮蔽されることで,防音型作業機の静寂性のより一層の向上が得られるものとなっている。
【0100】
また,整流板27(271,272)を設けることにより図7(B)に示すように冷却ファン30から排風口25に至るまでの流路が長くなることで騒音が減衰されて小さくなる。
【0101】
このような防音効果を更に向上させるために,整流板27(271,272)の下面には,ウレタン等の吸音材を貼着するものとしても良い。
【0102】
また,このような吸音材の貼着は,整流板27(271,272)のみならず前述した排水ガイド28の下面に対しても同様に行うものとしても良い。
【符号の説明】
【0103】
1 防音型作業機
10 防音箱
11 基台
12 防音ケース
121 フロントパネル
121a 吸気口
122 サイドパネル
123 リヤパネル
123a 上段側リヤパネル
124 トップパネル(天板)
13 内部空間
13a 第一室
13b 第二室
14 仕切板
15 水抜口
16 排水溝
17,18 遮蔽板
20 冷却風流路
21 吸気口
22 吸気ダクト
23 ファンケーシング
24 排風ダクト
25 排風口
26 熱交換器
26a コア(熱交換器の)
27 整流板
271 整流板(上段側)
271a 一辺(上段側整流板の)
271b 他辺(上段側整流板の)
271c,271d 側辺(上段側整流板の)
271e,271f 側壁(上段側整流板の)
271g 水切り(上段側整流板の)
272 整流板(下段側)
272a 一辺(下段側整流板の)
272b 他辺(下段側整流板の)
272c,272d 側辺(下段側整流板の)
272e,272f 側壁(下段側整流板の)
272g 水切り(下段側整流板の)
28 排水ガイド
29 ルーバ
30 冷却ファン
31 ファンケーシング
32 吸入口
33 吹出口
34 架台
34a 脚部
34b 載置面
35 固定枠
35a 下端側の側面(固定枠の)
36 ファンモータ
40 作業機本体(圧縮機本体)
50 駆動源(モータ)
60 アングル材
OL 重なり部分(上段側整流板と下段側整流板の)
300 防音型作業機
310 防音箱
310a 圧縮室
310b 空冷室
321 吸気口
324 排気ダクト
325 排風口
326 熱交換器
330 ファン(冷却ファン)
331 ファンカバー
332 吸入口
333 吹出口
336 ファンモータ
340 圧縮機本体
350 駆動源(モータ)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8