(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122738
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】演算装置、演算方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 13/02 20060101AFI20240902BHJP
G05B 13/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G05B13/02 B
G05B13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030449
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】西條 史雄
(72)【発明者】
【氏名】石井 英二
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA21
5H004GA30
5H004GB01
5H004GB02
5H004GB04
5H004GB06
5H004GB08
5H004HA01
5H004HA02
5H004HA03
5H004HA04
5H004HA16
5H004HB01
5H004HB02
5H004HB03
5H004HB04
5H004KB02
5H004KB04
5H004KB06
5H004KC32
5H004KC33
5H004KC34
5H004KD62
(57)【要約】
【課題】制御対象機器のフィードバック制御に関する作業負荷を軽減可能な演算装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る演算装置10は、制御対象機器21について測定された測定値PVに応じた機能出力値FVを、学習用データを用いて学習したモデルMを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により測定値PVに応じた制御対象機器21への制御出力値MVを制御対象機器21に出力する第2制御に用いる制御パラメータCPを、測定値PVと測定値PVに対する目標値SVとに基づいて算出する演算部13、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器について測定された測定値に応じた機能出力値を、学習用データを用いて学習したモデルを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により前記測定値に応じた前記制御対象機器への制御出力値を前記制御対象機器に出力する第2制御に用いる制御パラメータを、前記測定値と前記測定値に対する目標値とに基づいて算出する演算部、
を備える、
演算装置。
【請求項2】
請求項1に記載の演算装置であって、
前記機能出力値を第2制御部に出力して前記第1制御を実行する第1制御部と、
前記制御パラメータを前記演算部から取得して前記第2制御を実行する前記第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部又は前記第2制御部により前記制御対象機器を制御する、
演算装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の演算装置であって、
前記演算部は、前記第1制御に基づく前記機能出力値を取得し、取得された前記機能出力値の変化量が閾値を超えたときを前記制御パラメータの算出の起点として前記測定値の取得を開始する、
演算装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の演算装置であって、
前記演算部は、前記測定値の単位時間当たりの変化量に基づいて、前記制御パラメータを算出するための複数のパラメータを算出する、
演算装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の演算装置であって、
前記制御パラメータは、比例制御、積分制御、又は微分制御の少なくとも1つに対応するパラメータを含む、
演算装置。
【請求項6】
制御対象機器について測定された測定値に応じた機能出力値を、学習用データを用いて学習したモデルを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により前記測定値に応じた前記制御対象機器への制御出力値を前記制御対象機器に出力する第2制御に用いる制御パラメータを、前記測定値と前記測定値に対する目標値とに基づいて算出するステップを含む、
演算方法。
【請求項7】
演算装置に、
制御対象機器について測定された測定値に応じた機能出力値を、学習用データを用いて学習したモデルを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により前記測定値に応じた前記制御対象機器への制御出力値を前記制御対象機器に出力する第2制御に用いる制御パラメータを、前記測定値と前記測定値に対する目標値とに基づいて算出するステップを含む動作を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、演算装置、演算方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器の制御に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、第1制御部及び第2制御部のいずれによって制御対象機器を制御するかの切り替えを行う制御装置が開示されている。第1制御部は、フィードバック制御又はフィードフォワード制御の少なくとも一方により、測定値に応じた制御対象機器の操作量を出力する。第2制御部は、学習用データを用いて学習したモデルを用いて、測定値に応じた制御対象機器の操作量を出力する。
【0003】
特許文献1には、AI(Artificial Intelligence)コントロール機能とPID(Proportional-Integral-Differential)コントロール機能とを状況に応じて切り替えながら利用できるハイブリッド型の制御装置が一例として開示されている。このような制御装置は、目的とする制御性に応じて、AIコントロール機能とPIDコントロール機能とを切り替えて制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のハイブリッド型の制御装置では、AIコントロール機能とPIDコントロール機能とを切り替えて制御を実行可能であるが、PIDコントロール機能の制御パラメータを事前に調べて、設定する必要がある。制御パラメータは、有識者による手動調整又は限界感度法及びステップ応答法などの方法で行う自動調整により得ることが可能である。しかしながら、これらの調整に要する時間が長く、調整に関する作業負荷が大きかった。
【0006】
本開示は、制御対象機器のフィードバック制御に関する作業負荷を軽減可能な演算装置、演算方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る演算装置は、制御対象機器について測定された測定値に応じた機能出力値を、学習用データを用いて学習したモデルを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により前記測定値に応じた前記制御対象機器への制御出力値を前記制御対象機器に出力する第2制御に用いる制御パラメータを、前記測定値と前記測定値に対する目標値とに基づいて算出する演算部、を備える。
【0008】
これにより、演算装置は、制御対象機器のフィードバック制御に関する作業負荷を軽減可能である。演算装置は、第1制御が実行されているときに、第2制御に用いる制御パラメータを、測定値と測定値に対する目標値とに基づいて算出する。これにより、演算装置は、ハイブリッド型の制御装置として、第1制御中に制御パラメータを自動算出可能である。したがって、ユーザは、第2制御に用いる制御パラメータを事前に設定する必要がない。
【0009】
一実施形態における演算装置は、前記機能出力値を第2制御部に出力して前記第1制御を実行する第1制御部と、前記制御パラメータを前記演算部から取得して前記第2制御を実行する前記第2制御部と、を備え、前記第1制御部又は前記第2制御部により前記制御対象機器を制御してもよい。
【0010】
これにより、演算装置は、制御パラメータの算出に関連する各種演算処理及び制御対象機器を制御するための各種処理を、演算装置単体で実行することが可能である。したがって、演算装置を用いるユーザの利便性が向上する。
【0011】
一実施形態における演算装置では、前記演算部は、前記第1制御に基づく前記機能出力値を取得し、取得された前記機能出力値の変化量が閾値を超えたときを前記制御パラメータの算出の起点として前記測定値の取得を開始してもよい。
【0012】
これにより、演算装置は、機能出力値が大きく変動し、測定値が目標値に向けて漸近する適切なタイミングで、制御パラメータの算出に関連する各種演算処理を実行可能である。したがって、演算装置は、不必要なタイミングでの演算処理を抑制し、演算負荷を軽減可能である。
【0013】
一実施形態における演算装置では、前記演算部は、前記測定値の単位時間当たりの変化量に基づいて、前記制御パラメータを算出するための複数のパラメータを算出してもよい。
【0014】
これにより、演算装置は、制御パラメータをより精度良く算出可能である。例えば、演算装置は、測定値が目標値に向けて単調に漸近する
図3に示されるようなケースで、制御パラメータをより精度良く算出可能である。
【0015】
一実施形態における演算装置では、前記制御パラメータは、比例制御、積分制御、又は微分制御の少なくとも1つに対応するパラメータを含んでもよい。これにより、演算装置は、第2制御部によるフィードバック制御をPID制御として実行可能である。演算装置は、第2制御部によるPID制御によって、目標値と現在の測定値との差分を低減するように制御対象機器を制御可能である。
【0016】
幾つかの実施形態に係る演算方法は、制御対象機器について測定された測定値に応じた機能出力値を、学習用データを用いて学習したモデルを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により前記測定値に応じた前記制御対象機器への制御出力値を前記制御対象機器に出力する第2制御に用いる制御パラメータを、前記測定値と前記測定値に対する目標値とに基づいて算出するステップを含む。
【0017】
これにより、当該演算方法を実行する演算装置は、制御対象機器のフィードバック制御に関する作業負荷を軽減可能である。演算装置は、第1制御が実行されているときに、第2制御に用いる制御パラメータを、測定値と測定値に対する目標値とに基づいて算出する。これにより、演算装置は、ハイブリッド型の制御装置として、第1制御中に制御パラメータを自動算出可能である。したがって、ユーザは、第2制御に用いる制御パラメータを事前に設定する必要がない。
【0018】
幾つかの実施形態に係るプログラムは、演算装置に、制御対象機器について測定された測定値に応じた機能出力値を、学習用データを用いて学習したモデルを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により前記測定値に応じた前記制御対象機器への制御出力値を前記制御対象機器に出力する第2制御に用いる制御パラメータを、前記測定値と前記測定値に対する目標値とに基づいて算出するステップを含む動作を実行させる。
【0019】
これにより、演算装置は、制御対象機器のフィードバック制御に関する作業負荷を軽減可能である。演算装置は、第1制御が実行されているときに、第2制御に用いる制御パラメータを、測定値と測定値に対する目標値とに基づいて算出する。これにより、演算装置は、ハイブリッド型の制御装置として、第1制御中に制御パラメータを自動算出可能である。したがって、ユーザは、第2制御に用いる制御パラメータを事前に設定する必要がない。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、制御対象機器のフィードバック制御に関する作業負荷を軽減可能な演算装置、演算方法、及びプログラムを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の一実施形態に係る演算装置を含むシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の演算部の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図1の演算部による算出処理の一例を説明するための模式図である。
【
図4】
図1の演算装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0023】
図1は、本開示の一実施形態に係る演算装置10を含むシステム1の構成の一例を示すブロック図である。
図1を参照しながら、一実施形態に係る演算装置10を含むシステム1の構成の一例について主に説明する。システム1は、演算装置10に加えて、設備20を有する。設備20は、少なくとも1つの制御対象機器21と、少なくとも1つのセンサ22と、を有する。
【0024】
設備20は、少なくとも1つの制御対象機器21を含む機器を備え付けたものである。例えば、設備20は、プラントであってもよいし、複数の機器を複合させた複合装置であってもよい。本開示において、「プラント」は、例えば化学及びバイオなどの工業プラントの他、ガス田及び油田などを含む井戸元、並びにその周辺を管理制御するプラントを含む。その他にも、プラントは、水力、火力、及び原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光及び風力などの環境発電を管理制御するプラント、並びに上下水及びダムなどを管理制御するプラントなどを含んでもよい。
【0025】
制御対象機器21は、器具、機械、又は装置であり、例えば、設備20のプロセスにおける少なくとも1つの物理量を制御する。制御対象機器21は、例えば、バルブ、ポンプ、ヒータ、ファン、モータ、及びスイッチなどのアクチュエータなどを含む。本開示において、「物理量」は、例えば制御対象機器21が配置されている設備20において発生した気体及び液体などを含む流体の温度、圧力、流量、及びPH、並びに設備20の腐食度及び振動量などを含む。これに限定されず、物理量は、バルブ、モータ、及びスイッチなどを含むアクチュエータに関連する、温度及び圧力などを含む状態パラメータを含んでもよい。
【0026】
一実施形態において、一例として、設備20には複数の制御対象機器21が配置されている。各制御対象機器21は、互いに異種であってもよいし、少なくとも一部の2以上の機器が同種であってもよい。
【0027】
制御対象機器21は、図示しないネットワークを介して外部から有線又は無線で制御されてもよいし、手動で制御されてもよい。制御対象機器21は、後述する制御装置として機能する演算装置10により制御される。システム1に複数の制御対象機器21が具備される場合、複数の制御対象機器21は、連動して制御される関係を有してもよい。例えば、当該関係は、主従関係及び独立には制御されない他の関係などを含む。
【0028】
制御対象機器21は、演算装置10から出力される制御出力値MVを取得して、上記物理量の現在値が、設定値として予め設定された目標値SVに漸近するように演算装置10による制御を受ける。例えば、制御対象機器21は、目標値SVと現在値との差分を低減するようなフィードバック制御を受けてもよい。設定される目標値SVは、固定値であってもよいし、適宜、変更されてもよい。
【0029】
センサ22は、設備20の内外の物理量を測定可能なモジュールを含む。より具体的には、センサ22は、被測定対象となる物理量に対する測定処理を実行して測定値PVを取得するモジュールを含む。センサ22は、測定によって得られた測定値PVを含む測定データを演算装置10に提供する。
【0030】
測定データは、演算装置10が制御対象機器21を制御するための物理量を含む。測定データは、制御対象機器21について測定された物理量の測定値PVを示してよく、例えば制御対象機器21による出力値を示してもよいし、出力値によって変化する値を示してもよい。
【0031】
演算装置10は、PC(Personal Computer)又はスマートフォンなどの任意の汎用の電子機器であってもよいし、システム1に専用の他の電子機器であってもよい。これらに限定されず、演算装置10は、1つ又は互いに通信可能な複数のサーバ装置であってもよい。
【0032】
演算装置10は、後述する各種演算処理を実行する他に、制御対象機器21を制御する制御装置としても機能する。演算装置10は、第1制御と第2制御とのいずれによって制御対象機器21を制御するかの切り替えを行う。本開示において、「第1制御」は、例えば、制御対象機器21について測定された測定値PVに応じた機能出力値FVを、学習用データを用いて学習したモデルMを用いて出力する制御を含む。機能出力値FVは、制御対象機器21を制御するための操作量として演算装置10から最終的に出力される制御出力値MVに対応する。「第2制御」は、例えば、制御対象機器21について測定された測定値PVに応じた制御対象機器21への制御出力値MVを、フィードバック制御により制御対象機器21に出力する制御を含む。
【0033】
演算装置10は、第1制御部11と、第2制御部12と、演算部13と、記憶部14と、を有する。
【0034】
第1制御部11は、1つ以上のプロセッサを含む。本開示において、「プロセッサ」は、例えば、汎用のプロセッサ又は特定の処理に特化した専用のプロセッサを含む。第1制御部11は、機能出力値FVを第2制御部12に出力して第1制御を実行する。より具体的には、第1制御部11は、制御対象機器21について測定された測定値PVを設備20のセンサ22から取得する。第1制御部11は、測定値PVに対する制御の目標値SVを、例えばユーザからの入力などにより取得する。第1制御部11は、学習用データを用いて学習されたモデルMを取得する。
【0035】
モデルMは、例えば、演算装置10において生成されたものであってもよいし、演算装置10とは異なる他の装置において生成されたものであってもよい。モデルMは、センサ22により得られた測定値PVを含む測定データと、第2制御部12から出力される制御出力値MVと、を含む学習データを用いて実行される学習処理により生成される。生成されたモデルMは、測定値PVを入力して、機能出力値FVを出力する。
【0036】
第1制御部11は、取得された測定値PV及び目標値SVに応じた機能出力値FVを、モデルMを用いて第2制御部12に出力する。第1制御部11は、第2制御部12を介して機能出力値FVを制御出力値MVとして制御対象機器21に出力することで、制御対象機器21に対するAIコントロール機能を提供する。第1制御部11は、複数の制御対象機器21の各々についての測定値PVに応じた制御出力値MVを出力し、複数の制御対象機器21の各々に対するAIコントロール機能を提供してもよい。
【0037】
第1制御部11は、第2制御部12のオートモードでの動作及びマニュアルモードでの動作を切り替えるための信号Sを第2制御部12に出力する。本開示において、「オートモード」は、例えば、第2制御部12に測定値PVが入力されることに応じて、当該測定値PVに応じた制御対象機器21への制御出力値MVを第2制御部12が算出して出力するモードを含む。オードモードは、第2制御に対応する。「マニュアルモード」は、例えば、第2制御部12が出力するべき制御出力値MVに対応する機能出力値FVが第1制御部11から第2制御部12に入力されることに応じて、当該制御出力値MVを第2制御部12が出力するモードを含む。マニュアルモードは、第1制御に対応する。
【0038】
第2制御部12は、1つ以上のプロセッサを含む。第2制御部12は、制御パラメータCPを演算部13から取得して第2制御を実行する。本開示において、制御パラメータCPは、比例制御(P制御)、積分制御(I制御)、又は微分制御(D制御)の少なくとも1つに対応するパラメータを含む。
【0039】
第2制御部12は、例えば、演算部13により算出された制御パラメータCPに基づくPID制御により、測定値PVに応じた制御対象機器21への制御出力値MVを制御対象機器21に出力する。これにより、第2制御部12は、制御対象機器21を制御出力値MVで駆動させる。第2制御部12は、制御対象機器21に対するPIDコントロール機能を提供する。第2制御部12は、複数の制御対象機器21の各々についての測定値PVに応じた制御出力値MVを出力し、複数の制御対象機器21の各々に対するPIDコントロール機能を提供してもよい。第2制御部12は、第1制御部11から取得された信号Sに基づくオートモードでの動作で、このようなPIDコントロール機能を提供する。
【0040】
第2制御部12は、オートモードにおいてフィードバック制御を実行するべく、制御対象機器21について測定された測定値PVを設備20のセンサ22から取得する。同様に、第2制御部12は、測定値PVに対する制御の目標値SVを、例えばユーザからの入力などにより取得する。第2制御部12は、演算部13により算出された制御パラメータCPを、演算部13から取得する。
【0041】
第2制御部12は、取得された測定値PV及び目標値SVと、演算部13により算出された制御パラメータCPとに基づいて制御出力値MVを算出する。第2制御部12は、例えばユーザなどにより設定された目標値SVと現在の測定値PVとの差分を低減するような制御出力値MVを算出する。
【0042】
一方で、第2制御部12は、マニュアルモードでの動作に切り替える信号Sを第1制御部11から取得すると、当該マニュアルモードでの動作で、第1制御部11によるAIコントロール機能の提供に寄与する。第2制御部12は、マニュアルモードにおいて、第2制御部12が出力するべき制御出力値MVに対応する機能出力値FVを第1制御部11から取得する。第2制御部12は、取得された機能出力値FVに基づいて、対応する制御出力値MVを出力する。結果的に、第2制御部12は、目標値SVと現在の測定値PVとの差分を低減するように制御出力値MVを制御対象機器21に出力する。
【0043】
演算装置10は、第1制御部11又は第2制御部12により制御対象機器21を制御するかの切り替えを実行する制御装置として機能する。演算装置10は、例えば、第1制御部11によるAIコントロール機能と第2制御部12によるPIDコントロール機能とを状況に応じて切り替えながら利用できるハイブリッド型の制御装置として機能する。演算装置10は、目的とする制御性に応じて、AIコントロール機能とPIDコントロール機能とを切り替えて制御を実行する。
【0044】
例えば、第1制御部11は、第2制御部12の動作モードをオートモード又はマニュアルモードに切り替えることで、このような切り替え制御を実行してもよい。第1制御部11は、第2制御部12をオートモードにすることで、第2制御部12にPIDコントロール機能を発揮させて制御対象機器21を制御させる。第1制御部11は、第2制御部12をマニュアルモードにすることで、第1制御部11自体でAIコントロール機能を発揮し、制御対象機器21を制御する。
【0045】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などの任意の記憶装置を含む。記憶部14は、演算装置10の動作を実現するために必要な情報を記憶する。記憶部14は、演算装置10の動作によって得られた情報を記憶する。例えば、記憶部14は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信などの任意の手段で取得される各種データなどを記憶する。
【0046】
記憶部14は、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部14は、演算装置10に内蔵されているものに限定されず、USB(Universal Serial Bus)などのデジタル入出力ポートなどによって接続されている外付け型の記憶装置であってもよい。
【0047】
演算部13は、1つ以上のプロセッサを含む。第1制御部11、第2制御部12、及び演算部13に含まれるプロセッサは、互いに異なるものであってもよいし、少なくとも一部で共通のものであってもよい。
【0048】
演算部13は、第1制御部11により第1制御が実行されているときに、第1制御部11による第1制御に基づく機能出力値FVを第1制御部11から取得する。演算部13は、第1制御部11から取得された機能出力値FVの変化量が閾値を超えると測定値PVの取得を開始する。
【0049】
演算部13は、制御対象機器21について測定された測定値PVを設備20のセンサ22から取得する。同様に、演算部13は、測定値PVに対する制御の目標値SVを、例えばユーザからの入力などにより取得する。
【0050】
演算部13は、第1制御部11により第1制御が実行されているときに、第2制御に用いる制御パラメータCPを、測定値PVと測定値PVに対する目標値SVとに基づいて算出する。演算部13は、例えば、立ち上げ時及び目標値SVの変更時なども含むAIコントロール機能の動作中に制御パラメータCPを算出する。演算部13は、算出された制御パラメータCPを、第2制御部12により第2制御が実行されるときの制御パラメータCPとして第2制御部12に出力し反映させる。
【0051】
図2は、
図1の演算部13の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3は、
図1の演算部13による算出処理の一例を説明するための模式図である。
図3の上半部のグラフは、第1制御部11により第1制御が実行されて目標値SVに向けて測定値PVが漸近していくときの、測定値PVの時間変化を示す。
図3の下半部のグラフは、第1制御部11により第1制御が実行されているときに第1制御部11から出力される機能出力値FVの時間変化を示す。演算部13は、当該グラフに示されるように機能出力値FVが急激に立ち上がり、その変化量が閾値を超えると測定値PVの取得を開始する。
【0052】
図2に示されるように、演算部13は、第1算出部131と、第2算出部132と、第3算出部133と、第4算出部134と、制御パラメータ算出部135と、を有する。
図3に示されるように、演算部13は、測定値PVの単位時間当たりの変化量に基づいて、制御パラメータCPを算出するための複数のパラメータを算出する。本開示において、「複数のパラメータ」は、例えば、測定値PVの単位時間当たりの変化量に対応する傾きRの最大値、整定値K、無駄時間L、及び時定数Tなどを含む。
【0053】
図2に示されるように、演算部13への入力は、例えば、目標値SV、機能出力値FV、及びAIコントロール機能によって制御された測定値PVを含む。演算部13からの出力は、例えば、P制御、I制御、及びD制御のそれぞれに対応する3つのパラメータを制御パラメータCPとして含む。
【0054】
演算部13では、上記の入力に基づいて、第1算出部131、第2算出部132、第3算出部133、及び第4算出部134の4つのブロックで複数のパラメータがそれぞれ算出される。第1算出部131は、測定値PVの単位時間当たりの変化量に対応する傾きRの最大値を算出する。第2算出部132は、整定値Kを算出する。第3算出部133は、無駄時間Lを算出する。第4算出部134は、時定数Tを算出する。
【0055】
図3も参照すると、第1算出部131は、取得された現在の測定値PVと前回の単位時間前の測定値PVとから単位時間当たりの傾きRを算出する。本開示において、「単位時間」は、例えば1sなどを含む。傾きRは、例えば、以下の式(1)により表される。
R=(現在の測定値PV-前回の測定値PV)/1 (1)
【0056】
後述する
図4のフローチャートに基づいて第1算出部131により傾きRの最大値が算出されると、第2算出部132、第3算出部133、及び第4算出部134は、整定値K、無駄時間L、及び時定数Tをそれぞれ算出する。
【0057】
第2算出部132は、第1算出部131により傾きRの最大値が算出されると、予め設定されている目標値SVを整定値Kとして算出する。第2算出部132は、後述する
図4のフローチャートに従って傾きRの最大値の更新が止まったときに、目標値SVを整定値Kとして算出する。すなわち、第2算出部132は、以下の式(2)により整定値Kを算出する。
整定値K=目標値SV (2)
【0058】
第3算出部133は、第1算出部131により算出された傾きRの最大値に基づいて、以下の式(3)により無駄時間Lを算出する。
L=(R×TR-PVR+PV0)/R (3)
ここで、TRは、傾きRの最大値が得られたときの時刻を表す。PVRは、傾きRの最大値が得られたときの測定値PVを表す。PV0は、演算部13が測定値PVの取得を開始したときの測定値PVを表す。
【0059】
第4算出部134は、第1算出部131により算出された傾きRの最大値に基づいて、以下の式(4)により時定数Tを算出する。
T=K/R (4)
ここで、Kは、第2算出部132により算出された整定値Kである。
【0060】
制御パラメータ算出部135は、第1算出部131により算出された傾きRの最大値、第2算出部132により算出された整定値K、第3算出部133により算出された無駄時間L、及び第4算出部134により算出された時定数Tを取得する。制御パラメータ算出部135は、取得された複数のパラメータに基づいて制御パラメータCPを算出する。例えば、制御パラメータ算出部135は、PID制御に関わる3つのパラメータを含む制御パラメータCPを、Ziegler-Nicholsのステップ応答法、又はCHR(Chien-Hrones-Reswick)法を用いて算出する。
【0061】
制御パラメータ算出部135は、算出された制御パラメータCPを第2制御部12に出力し、第2制御部12でのPID制御などのフィードバック制御に反映させ、第1制御から第2制御への切り替えに備える。その後、第2制御に切り替わると、第2制御部12は、制御パラメータ算出部135により算出された制御パラメータCPを用いて、例えばPID制御を実行する。第1制御から第2制御に切り替わるタイミングは、例えば、
図3の測定値PVの時間変化を示すグラフにおいて、時刻T
Rを過ぎ制御パラメータCPの出力にかかる時間が経過した後であって、測定値PVが目標値SVに一致する前の間の任意の時刻を含む。
【0062】
図4は、
図1の演算装置10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図4に加えて、
図3も適宜参照しながら、演算装置10の演算部13により実現される動作の一例について主に説明する。
【0063】
ステップS100では、演算部13は、第1制御部11により第1制御が実行されているときに、第1制御部11による第1制御に基づく機能出力値FVを第1制御部11から取得する。
【0064】
ステップS101では、演算部13は、ステップS100において取得された機能出力値FVの変化量が閾値を超えたか否かを判定する。演算部13は、機能出力値FVの変化量が閾値を超えたと判定すると、ステップS102の処理を実行する。演算部13は、機能出力値FVの変化量が閾値を超えていないと判定すると、ステップS100の処理を再度実行する。
【0065】
ステップS102では、演算部13は、ステップS101において機能出力値FVの変化量が閾値を超えたと判定すると、機能出力値FVの変化量が閾値を超えたときを制御パラメータCPの算出の起点として測定値PVの取得を開始する。このとき、演算部13は、測定値PVの取得を開始したときの測定値PV0を記憶部14に情報として格納する。
【0066】
ステップS103では、演算部13の第1算出部131は、制御対象機器21について測定された現在の測定値PVを設備20のセンサ22から取得する。
【0067】
ステップS104では、演算部13の第1算出部131は、ステップS103において取得された現在の測定値PVと前回の単位時間前の測定値PVとから単位時間当たりの傾きRを式(1)により算出する。
【0068】
ステップS105では、演算部13の第1算出部131は、ステップS104において算出された傾きRが、ステップS107からステップS103を介してステップS104が繰り返される中で1つ前に同様に算出された傾きRに対して増加したか否かを判定する。例えば、第1算出部131は、ステップS104において算出された傾きRが1つ前の過去に同様に算出された傾きRの最大値よりも大きいか否かを判定する。第1算出部131は、傾きRが増加したと判定すると、ステップS106の処理を実行する。第1算出部131は、傾きRが増加していないと判定すると、ステップS108の処理を実行する。
【0069】
ステップS106では、演算部13の第1算出部131は、ステップS105において傾きRが増加したと判定すると、1つ前の過去の傾きRを増加した現在の値に更新する。
【0070】
ステップS107では、演算部13の第1算出部131は、ステップS106において傾きRを更新したときの、測定値PV及び時刻と傾きRとを記憶部14に情報として格納する。
【0071】
ステップS108では、演算部13の第2算出部132、第3算出部133、及び第4算出部134は、ステップS105において傾きRが増加していないと判定すると、複数のパラメータのうち、整定値K、無駄時間L、及び時定数Tを、上記の式(2)乃至(4)に基づいてそれぞれ算出する。例えば、
図3の上半部に示されるような、目標値SVに向けて単調に増加する測定値PVのグラフにおいて傾きRが増加していないことは、グラフの変曲点である時刻T
Rにおいて傾きRの最大値が得られていることを意味する。
【0072】
演算部13は、ステップS107において記憶部14に格納された傾きRの最大値、時刻TR、及び測定値PVRと、ステップS102において記憶部14に格納された測定値PV0と、に基づいて上記の複数のパラメータのうち無駄時間Lを式(3)に基づいて算出する。演算部13は、予め設定されている目標値SVを整定値Kとして式(2)により算出する。演算部13は、ステップS107において記憶部14に格納された傾きRの最大値と算出された整定値Kとを用いて式(4)により時定数Tを算出する。
【0073】
ステップS109では、演算部13は、ステップS108までに得られた複数のパラメータに基づいて制御パラメータCPを算出する。演算部13は、第1制御が実行されているときに、第2制御に用いる制御パラメータCPを、測定値PVと測定値PVに対する目標値SVとに基づいて算出する。
【0074】
ステップS110では、演算部13は、ステップS109において算出された制御パラメータCPを第2制御部12に出力する。
【0075】
以上のような一実施形態に係る演算装置10によれば、制御対象機器21のフィードバック制御に関する作業負荷を軽減可能である。演算装置10は、第1制御が実行されているときに、第2制御に用いる制御パラメータCPを、測定値PVと測定値PVに対する目標値SVとに基づいて算出する。これにより、演算装置10は、ハイブリッド型の制御装置として、第1制御中に制御パラメータCPを自動算出可能である。したがって、ユーザは、第2制御に用いる制御パラメータCPを事前に設定する必要がない。
【0076】
以上により、ユーザは、フィードバック制御に関する作業を容易に行うことができる。ユーザが、制御パラメータCPを事前に試行錯誤しながら調整せずとも、例えばAIコントロール機能で演算装置10が立ち上げ制御中に制御パラメータCPを算出し、目標値SV付近でPIDコントロール機能に切り替えることで、安定的な制御が実現可能となる。ユーザは、ハイブリッド型の制御装置において、経験及び時間を要するPID制御の制御パラメータCPの調整を短時間で、かつ小さい作業負荷で行うことができる。
【0077】
演算装置10は、第1制御部11と第2制御部12とを有し、第1制御部11又は第2制御部12により制御対象機器21を制御するかの切り替えを実行する制御装置として機能する。これにより、演算装置10は、制御パラメータCPの算出に関連する各種演算処理及び制御対象機器21を制御するための各種処理を、演算装置10単体で実行することが可能である。したがって、演算装置10を用いるユーザの利便性が向上する。
【0078】
演算装置10は、第1制御に基づく機能出力値FVを取得し、取得された機能出力値FVの変化量が閾値を超えると測定値PVの取得を開始する。これにより、演算装置10は、機能出力値FVが大きく変動し、測定値PVが目標値SVに向けて漸近する適切なタイミングで、制御パラメータCPの算出に関連する各種演算処理を実行可能である。したがって、演算装置10は、不必要なタイミングでの演算処理を抑制し、演算負荷を軽減可能である。
【0079】
演算装置10は、測定値PVの単位時間当たりの変化量に基づいて、制御パラメータCPを算出するための複数のパラメータを算出する。これにより、演算装置10は、制御パラメータCPをより精度良く算出可能である。例えば、演算装置10は、測定値PVが目標値SVに向けて単調に漸近する
図3に示されるようなケースで、制御パラメータCPをより精度良く算出可能である。
【0080】
制御パラメータCPが、比例制御、積分制御、又は微分制御の少なくとも1つに対応するパラメータを含むことで、演算装置10は、第2制御部12によるフィードバック制御をPID制御として実行可能である。演算装置10は、第2制御部12によるPID制御によって、目標値SVと現在の測定値PVとの差分を低減するように制御対象機器21を制御可能である。
【0081】
システム1は、演算装置10の第1制御部11又は第2制御部12によって制御対象機器21を制御するかの切り替えを実行する。これにより、システム1は、第1制御部11及び第2制御部12のいずれか一方によって良好に制御を実行できない場合に、他方によって良好に制御を実行することも可能である。加えて、システム1は、第1制御部11のみによって制御対象機器21を制御する場合と異なり、制御の一部を第2制御部12に分担することができる。したがって、システム1は、第1制御部11において用いられるモデルMの学習を簡略化することも可能である。
【0082】
演算装置10は、例えば、既存のPIDコントローラに上記のAIコントロール機能と制御パラメータCPに関する演算機能とを備え付けて構成することも可能である。これにより、演算装置10は、既存のPIDコントローラに対して、測定値PVの立ち上がりに関する制御特性の大きな改善と、定常状態におけるPID制御での安定性との両立を容易に実現可能である。
【0083】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0084】
例えば、スマートフォン又はコンピュータなどの汎用の電子機器を、上述した一実施形態に係る演算装置10として機能させることも可能である。具体的には、一実施形態に係る演算装置10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、電子機器のメモリに格納し、電子機器のプロセッサにより当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0085】
又は、本開示は、一実施形態に係る演算装置10などに各機能を実行させるために1つ又は複数のプロセッサにより実行可能なプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読取可能な媒体としても実現し得る。本開示の範囲には、これらも包含されると理解されたい。
【0086】
上記実施形態では、演算装置10は、第1制御部11又は第2制御部12により制御対象機器21を制御するかの切り替えを実行する制御装置として機能すると説明したが、これに限定されない。演算装置10は、第1制御を実行する第1制御部11と、制御パラメータCPを演算部13から取得して第2制御を実行する第2制御部12と、を有し、第1制御部11又は第2制御部12により制御対象機器21を制御するかの切り替えを実行する制御装置と通信可能に接続されているサーバ装置として機能してもよい。
【0087】
演算装置10は、上述した第1制御部11及び第2制御部12を有するハイブリッド型の制御装置とは異なる他の装置として構成されてもよい。演算装置10は、演算部13による各種演算処理を主に実行する装置として、ハイブリッド型の制御装置とは切り分けて構成されてもよい。
【0088】
これにより、演算装置10では、ハイブリッド型の制御装置としての処理に関する負荷が省略され、演算部13による各種演算処理に基づく演算負荷のみが生じる。したがって、演算装置10は、その動作に関連する負荷を軽減可能である。
【0089】
上記実施形態では、演算装置10は、取得された機能出力値FVの変化量が閾値を超えると測定値PVの取得を開始すると説明したが、これに限定されない。演算装置10は、機能出力値FVの変化量に基づく条件とは異なる他の条件に基づいて、測定値PVの取得を開始してもよい。例えば、演算装置10は、取得された機能出力値FVの絶対値が閾値を超えると測定値PVの取得を開始してもよい。演算装置10は、特定のタイミングで測定値PVの取得を開始するのではなく、測定値PVを常時取得してもよい。
【0090】
上記実施形態では、演算装置10は、測定値PVの単位時間当たりの変化量に基づいて、制御パラメータCPを算出するための複数のパラメータを算出すると説明したが、これに限定されない。演算装置10は、測定値PVの単位時間当たりの変化量に基づく方法とは異なる他の演算方法に基づいて、複数のパラメータを算出してもよい。演算装置10は、複数のパラメータに基づく方法とは異なる他の演算方法に基づいて、制御パラメータCPを算出してもよい。
【0091】
上記実施形態では、制御パラメータCPは、比例制御、積分制御、又は微分制御の少なくとも1つに対応するパラメータを含むと説明したが、これに限定されない。演算装置10の第2制御部12により実行されるフィードバック制御は、PID制御とは異なる他の制御であってもよい。
【0092】
上記実施形態では、第1制御部11が、第2制御部12の動作モードをオートモード又はマニュアルモードに切り替えることで、AIコントロール機能とPIDコントロール機能とを切り替えると説明したが、これに限定されない。演算装置10は、第1制御部11及び第2制御部12に加えて、このような切り替え制御を実行する切替部などの他の構成部を有してもよい。このような切り替え制御は、第1制御部11に代えて、当該切替部により実行されてもよい。
【0093】
上記実施形態では、
図3に示されるように、第1制御下における測定値PVは、目標値SVに向けて単調に増加しながら漸近すると説明したが、これに限定されない。第1制御下における測定値PVは、目標値SVに向けて単調に減少しながら漸近してもよいし、そもそも単調に変化しなくてもよい。
【0094】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
制御対象機器について測定された測定値に応じた機能出力値を、学習用データを用いて学習したモデルを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により前記測定値に応じた前記制御対象機器への制御出力値を前記制御対象機器に出力する第2制御に用いる制御パラメータを、前記測定値と前記測定値に対する目標値とに基づいて算出する演算部、
を備える、
演算装置。
[付記2]
付記1に記載の演算装置であって、
前記機能出力値を第2制御部に出力して前記第1制御を実行する第1制御部と、
前記制御パラメータを前記演算部から取得して前記第2制御を実行する前記第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部又は前記第2制御部により前記制御対象機器を制御する、
演算装置。
[付記3]
付記1又は2に記載の演算装置であって、
前記演算部は、前記第1制御に基づく前記機能出力値を取得し、取得された前記機能出力値の変化量が閾値を超えたときを前記制御パラメータの算出の起点として前記測定値の取得を開始する、
演算装置。
[付記4]
付記1乃至3のいずれか1つに記載の演算装置であって、
前記演算部は、前記測定値の単位時間当たりの変化量に基づいて、前記制御パラメータを算出するための複数のパラメータを算出する、
演算装置。
[付記5]
付記1乃至4のいずれか1つに記載の演算装置であって、
前記制御パラメータは、比例制御、積分制御、又は微分制御の少なくとも1つに対応するパラメータを含む、
演算装置。
[付記6]
制御対象機器について測定された測定値に応じた機能出力値を、学習用データを用いて学習したモデルを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により前記測定値に応じた前記制御対象機器への制御出力値を前記制御対象機器に出力する第2制御に用いる制御パラメータを、前記測定値と前記測定値に対する目標値とに基づいて算出するステップを含む、
演算方法。
[付記7]
演算装置に、
制御対象機器について測定された測定値に応じた機能出力値を、学習用データを用いて学習したモデルを用いて出力する第1制御が実行されているときに、フィードバック制御により前記測定値に応じた前記制御対象機器への制御出力値を前記制御対象機器に出力する第2制御に用いる制御パラメータを、前記測定値と前記測定値に対する目標値とに基づいて算出するステップを含む動作を実行させる、
プログラム。
【符号の説明】
【0095】
1 システム
10 演算装置
11 第1制御部
12 第2制御部
13 演算部
131 第1算出部
132 第2算出部
133 第3算出部
134 第4算出部
135 制御パラメータ算出部
14 記憶部
20 設備
21 制御対象機器
22 センサ
CP 制御パラメータ
FV 機能出力値
K 整定値
L 無駄時間
M モデル
MV 制御出力値
PV 測定値
R 傾き
S 信号
SV 目標値
T 時定数