(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012277
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】多軸工作機械及びこれを制御する方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/046 20140101AFI20240123BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20240123BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20240123BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20240123BHJP
【FI】
B23K26/046
B23K26/082
G02B26/10 104Z
B23K26/064 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145653
(22)【出願日】2023-09-07
(62)【分割の表示】P 2021033119の分割
【原出願日】2016-06-21
(31)【優先権主張番号】62/281,967
(32)【優先日】2016-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/183,009
(32)【優先日】2015-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
2.BLUETOOTH
3.VISUAL BASIC
4.JAVA
5.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】593141632
【氏名又は名称】エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ルー,グアン
(72)【発明者】
【氏名】アルペイ,メメット
(72)【発明者】
【氏名】タイラー,マイク
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,チェン
(72)【発明者】
【氏名】クライネルト,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ジィビン
(72)【発明者】
【氏名】ブルックハイザー,ジム
(72)【発明者】
【氏名】ロー,ホー,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】イートン,カート,エム
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】予備ロータリアクチュエータコマンドを取得し、予備ロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、ロータリアクチュエータの帯域幅内の周波数成分を有する処理済みロータリアクチュエータコマンドを生成し、処理済みロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、第1のリニアアクチュエータコマンド及び第2のリニアアクチュエータコマンドを生成することを含む多軸工作機械を制御するための方法として特徴付けることができる。
【効果】処理済みロータリアクチュエータコマンドは、ロータリアクチュエータに出力することができ、第1のリニアアクチュエータコマンドは、第1のリニアアクチュエータに出力することができ、第2のリニアアクチュエータコマンドは、第2のリニアアクチュエータに出力することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールを用いてワークピースを加工するように構成された多軸工作機械を制御するための方法であって、前記多軸工作機械は、第1の軸を中心として前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成されたロータリアクチュエータと、前記第1の軸に沿って前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第1のリニアアクチュエータと、第2の軸に沿って前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第2のリニアアクチュエータとを含み、
前記ロータリアクチュエータの帯域幅を超える周波数成分を有する予備ロータリアクチュエータコマンドを取得し、
前記予備ロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、前記ロータリアクチュエータの帯域幅内の周波数成分を有する処理済みロータリアクチュエータコマンドを生成し、
前記処理済みロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、第1のリニアアクチュエータコマンド及び第2のリニアアクチュエータコマンドを生成し、
前記処理済みロータリアクチュエータコマンドを前記ロータリアクチュエータに出力し、
前記第1のリニアアクチュエータコマンドを前記第1のリニアアクチュエータに出力し、
前記第2のリニアアクチュエータコマンドを前記第2のリニアアクチュエータに出力する、
方法。
【請求項2】
前記第2の軸は前記第1の軸に直交する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記処理済みロータリアクチュエータコマンドを生成する際に、前記予備ロータリアクチュエータコマンドをフィルタリングする、請求項1の方法。
【請求項4】
前記第1のリニアアクチュエータコマンド及び前記第2のリニアアクチュエータコマンドを生成する際に、
前記予備ロータリアクチュエータコマンド及び少なくとも1つの予備リニアアクチュエータコマンドに基づいて、1組の中間リニアアクチュエータコマンドを生成し、
前記処理済みロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、前記1組の中間リニアアクチュエータコマンドを処理する、
請求項1の方法。
【請求項5】
さらに、前記第1の軸を中心とした相対移動を生じさせつつ、前記ツールを用いて前記ワークピースを処理する、請求項1の方法。
【請求項6】
前記ツールを用いて前記ワークピースを処理する際に、レーザ光を前記ワークピースに照射する、請求項5の方法。
【請求項7】
ツールを用いてワークピースを加工するように構成された多軸工作機械を制御するためのコントローラであって、前記多軸工作機械は、第1の軸を中心として前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成されたロータリアクチュエータと、前記第1の軸に沿って前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第1のリニアアクチュエータと、第2の軸に沿って前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第2のリニアアクチュエータとを含み、
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサにアクセス可能なコンピュータメモリとを備え、前記コンピュータメモリには命令が格納され、該命令は、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行された際に前記コントローラに、
前記ロータリアクチュエータの帯域幅を超える周波数成分を有する予備ロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、前記ロータリアクチュエータの帯域幅内の周波数成分を有する処理済みロータリアクチュエータコマンドを生成させ、
前記処理済みロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、第1のリニアアクチュエータコマンド及び第2のリニアアクチュエータコマンドを生成させ、
前記処理済みロータリアクチュエータコマンド、前記第1のリニアアクチュエータコマンド、及び前記第2のリニアアクチュエータコマンドを出力させる、
コントローラ。
【請求項8】
ワークピースを処理するように構成されたツールと、
第1の軸を中心として前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第1のロータリアクチュエータと、
前記第1の軸に沿って前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第1のリニアアクチュエータと、
第2の軸に沿って前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第2のリニアアクチュエータと、
前記ロータリアクチュエータ、前記第1のリニアアクチュエータ、及び前記第2のリニアアクチュエータと動作可能に連結されたコントローラであって、
前記ロータリアクチュエータの帯域幅を超える周波数成分を有する予備ロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、前記ロータリアクチュエータの帯域幅内の周波数成分を有する処理済みロータリアクチュエータコマンドを生成し、
前記処理済みロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、第1のリニアアクチュエータコマンド及び第2のリニアアクチュエータコマンドを生成し、
前記処理済みロータリアクチュエータコマンドを前記ロータリアクチュエータに出力し、
前記第1のリニアアクチュエータコマンドを前記第1のリニアアクチュエータに出力し、
前記第2のリニアアクチュエータコマンドを前記第2のリニアアクチュエータに出力する
ように構成されたコントローラと
を備える、多軸工作機械。
【請求項9】
前記第1の軸を中心として前記ツールと前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第2のロータリアクチュエータをさらに備え、前記第2のロータリアクチュエータの帯域幅は、前記第1のロータリアクチュエータの帯域幅よりも高い、請求項8の多軸工作機械。
【請求項10】
レーザ源をさらに備え、前記ツールはレーザ光を含む、請求項8の多軸工作機械。
【請求項11】
前記ツールはウォータジェットを含む、請求項8の多軸工作機械。
【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本出願は、2015年6月22日に提出された米国仮特許出願第62/183,009号及び2016年1月22日に提出された米国仮特許出願第62/281,967号の利益を主張するものであり、これらの出願はその全体が参照により組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明の実施形態は、概して、多軸工作機械内のツールの位置及び移動が1以上のアクチュエータを用いて制御される自動運動制御を可能とするためのシステム及び方法に関するものである。
【背景】
【0003】
運動制御は、(例えば、多関節座標ロボット構成、直交座標ロボット構成、円筒座標ロボット構成、極座標ロボット構成、デルタ座標ロボット構成など、又はこれらを組み合わせたものを伴う)ロボットシステム、数値制御(NC)機械、コンピュータNC(CNC)機械など(本明細書においては総称して包括的に「工作機械」といい、これはワークピースを処理するように適合され得る)において重要な一面となっている。これらの工作機械は、典型的には、1以上のコントローラと、1以上のアクチュエータと、1以上のセンサと(いずれも単体のデバイスであるか、アクチュエータに内蔵される)、ツールホルダ又はツールヘッドと、種々のデータ通信サブシステムと、オペレータ用インタフェイスと、これに類するものとを含んでいる。含まれるアクチュエータの種類と数に応じて、工作機械は、独立して制御可能な複数の運動軸を有する「多軸」工作機械として提供され得る。
【0004】
加工用途及び他の自動化用途において生産性を上げたいという市場の需要が続いていることから、工作機械を種々のタイプのアクチュエータ、センサ及び関連するコントローラとともに利用することが多くなっている。場合によっては、多軸工作機械(本明細書においては「ハイブリッド多軸工作機械」ともいう)が、異なる帯域幅ではあるが同一の方向に沿って移動させることができる複数のアクチュエータを備えていることがある。一般的に、あるアクチュエータ(例えば第1のアクチュエータ)は、この第1のアクチュエータが、所定のスペクトル成分又は周波数成分を有するコマンド信号に対して、他のアクチュエータ(例えば第2のアクチュエータ)が同じコマンド信号に対して移動させることができるよりも正確に移動させることができる場合に、第2のアクチュエータよりも高い帯域幅を有するものとして特徴付けることができる。しかしながら、第1のアクチュエータが移動させることができる運動範囲が、第2のアクチュエータが移動させることができる運動範囲よりも小さいことが多い。
【0005】
ハイブリッド多軸工作機械の比較的高い帯域幅のアクチュエータと比較的低い帯域幅のアクチュエータとの間でどの運動要素を割り当てるかを決定することは簡単な作業ではない。通常の方策は、1以上の比較的低い帯域幅のアクチュエータを動作させて、処理されるワークピースを移動し、さらに/あるいは1以上の比較的高い帯域幅のアクチュエータをワークピースが処理される所望の位置又は「ゾーン」に移動し、その後、ワークピースの処理中に比較的高い帯域幅のアクチュエータを動作させつつ、比較的低い帯域幅のアクチュエータの位置を一定に維持することを含んでいる。その後、比較的低い帯域幅のアクチュエータを動作させてワークピース及び/又は比較的高い帯域幅のアクチュエータをワークピースが処理される他の「ゾーン」に移動させる。この運動制御に対する「ゾーンバイゾーン」アプローチ(「ステップアンドリピート」アプローチともいう)は、ハイブリッド多軸工作機械のスループットと柔軟性を大きく制限するので、望ましいものではない。また、比較的高い帯域幅のアクチュエータが動作可能なワークピースの様々な「ゾーン」を適切に又は有利に規定することは、困難である場合がある。
【0006】
米国特許第8,392,002号は、部品記述プログラムを処理して、この部品記述プログラムにおいて定義された(周波数に基づく)ツール先端軌跡を、ハイブリッド多軸工作機械の比較的低い帯域幅のアクチュエータと比較的高い帯域幅のアクチュエータに対する適切な位置制御データの異なるセットに分解することによって、「ゾーンバイゾーン」アプローチを実施することに関連した上記問題を解決することに取り組むものであると理解される。この米国特許の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、米国特許第8,392,002号において認められているように、ハイブリッド多軸工作機械が、2つの回転軸が3軸直交座標ステージ上にある5軸CNCマニピュレータを使ってワークピースを保持するように構成され、3つの直交座標軸においてツール先端を移動させる比較的高い帯域幅のアクチュエータを含んでいる場合には、周波数に基づいた分解アプローチを用いると、回転軸に関連する角度に誤差が生じ得る。
【概要】
【0007】
本発明の一実施形態は、ツールを用いてワークピースを加工するように構成された多軸工作機械を制御するための方法として特徴付けることができる。この多軸工作機械は、第1の軸を中心として上記ツールと上記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成されたロータリアクチュエータと、上記第1の軸を中心として上記ツールと上記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第1のリニアアクチュエータと、第2の軸を中心として上記ツールと上記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第2のリニアアクチュエータとを含み得る。この方法は、予備ロータリアクチュエータコマンドを取得し(ロータリアクチュエータコマンドは、上記ロータリアクチュエータの帯域幅を超える周波数成分を有する)、上記予備ロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、上記ロータリアクチュエータの帯域幅内の周波数成分を有する処理済みロータリアクチュエータコマンドを生成し、上記処理済みロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、第1のリニアアクチュエータコマンド及び第2のリニアアクチュエータコマンドを生成することを含み得る。上記処理済みロータリアクチュエータコマンドを上記ロータリアクチュエータに出力することができ、上記第1のリニアアクチュエータコマンドを上記第1のリニアアクチュエータに出力することができ、上記第2のリニアアクチュエータコマンドを上記第2のリニアアクチュエータに出力することができる。
【0008】
本発明の他の実施形態は、(例えば、上記で例示的に述べられた)多軸工作機械を制御するためのコントローラとして特徴付けることができる。上記コントローラは、少なくとも1つのプロセッサと、上記少なくとも1つのプロセッサにアクセス可能なコンピュータメモリとを含み得る。上記コンピュータメモリには命令が格納され、該命令は、上記少なくとも1つのプロセッサにより実行された際に上記コントローラに、上記ロータリアクチュエータの帯域幅を超える周波数成分を有する予備ロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、処理済みロータリアクチュエータコマンド(上記処理済みロータリアクチュエータコマンドは、上記ロータリアクチュエータの帯域幅内の周波数成分を有する)を生成させ、上記処理済みロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、第1のリニアアクチュエータコマンド及び第2のリニアアクチュエータコマンドを生成させ、上記処理済みロータリアクチュエータコマンド、上記第1のリニアアクチュエータコマンド、及び上記第2のリニアアクチュエータコマンドを出力させることができる。
【0009】
本発明の他の実施形態は、ワークピースを処理するように構成されたツールと、第1の軸を中心として上記ツールと上記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第1のロータリアクチュエータと、上記第1の軸に沿って上記ツールと上記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第1のリニアアクチュエータと、第2の軸に沿って上記ツールと上記ワークピースとの間で相対移動を生じさせるように構成された第2のリニアアクチュエータと、上記ロータリアクチュエータ、上記第1のリニアアクチュエータ、及び上記第2のリニアアクチュエータと動作可能に連結されたコントローラとを含む多軸工作機械として特徴付けることができる。上記コントローラは、上記ロータリアクチュエータの帯域幅を超える周波数成分を有する予備ロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、処理済みロータリアクチュエータコマンド(上記処理済みロータリアクチュエータコマンドは、上記ロータリアクチュエータの帯域幅内の周波数成分を有する)を生成し、上記処理済みロータリアクチュエータコマンドに少なくとも部分的に基づいて、第1のリニアアクチュエータコマンド及び第2のリニアアクチュエータコマンドを生成し、上記処理済みロータリアクチュエータコマンドを上記ロータリアクチュエータに出力し、上記第1のリニアアクチュエータコマンドを上記第1のリニアアクチュエータに出力し、上記第2のリニアアクチュエータコマンドを上記第2のリニアアクチュエータに出力するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態による多軸工作機械を制御するための制御システムを模式的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態によるワークピース位置決めアセンブリを模式的に示すものである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態によるツールチップ位置決めアセンブリを模式的に示すものである。
【
図4】
図4は、他の実施形態による多軸工作機械を制御するための制御システムを模式的に示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態によるツールチップ位置決めアセンブリの一部を模式的に示すものである。
【詳細な説明】
【0011】
ここで、実施形態の例を添付した図面を参照しつつ述べる。明示的に述べている場合を除き、図面においては、コンポーネント、特徴部、要素などのサイズや位置などやそれらの間の距離は、必ずしも縮尺通りではなく、また理解しやすいように誇張されている。
【0012】
明細書において使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図しているものではない。本明細書で使用される場合には、内容が明確にそうではないことを示している場合を除き、単数形は複数形を含むことを意図している。さらに、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用されている場合には、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことも理解されよう。特に示している場合を除き、値の範囲が記載されているときは、その範囲は、その範囲の上限と下限の間にあるサブレンジだけではなく、その上限及び下限を含むものである。別に示している場合を除き、「第1」や「第2」などの用語は、要素を互いに区別するために使用されているだけである。例えば、あるアクチュエータを「第1のアクチュエータ」と呼ぶことができ、別のノードを「第2のアクチュエータ」と呼ぶことができ、あるいはこれと逆にすることもできる。本明細書において使用されているセクション見出しは、整理のためだけのものであり、述べられた主題を限定するものと解釈すべきではない。
【0013】
別に示されている場合を除き、「約」や「およそ」などは、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の数量及び特徴が、正確ではなく、また正確である必要がなく、必要に応じて、あるいは許容誤差、換算係数、端数計算、測定誤差など、及び当業者に知られている他のファクターを反映して、概数であってもよく、さらに/あるいは大きくても小さくてもよいことを意味している。
【0014】
本明細書において、「下方」、「下」、「下側」、「上方」、及び「上側」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるような、ある要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を述べる際に説明を容易にするために使用され得るものである。空間的に相対的な用語は、図において示されている方向に加えて異なる方向を含むことを意図するものであることは理解すべきである。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」にあるとして説明される要素は、図中の対象物が反転した場合には、他の要素又は特徴の「上方」を向くことになる。このように、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の方向の双方を含み得るものである。対象物が他の方向を向く場合(例えば90度回転される場合や他の方向にある場合)には、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子はこれに応じて解釈され得る。
【0015】
全体を通して同様の数字は同様の要素を意味している。このため、同一又は類似の番号は、対応する図面で言及又は説明されていない場合であっても、他の図面を参照して述べられることがある。また、参照番号の付されていない要素であっても、他の図面を参照して述べられることがある。
【0016】
本開示の精神及び教示を逸脱することのない多くの異なる形態及び実施形態が考えられ、本開示を本明細書で述べた実施形態例に限定して解釈すべきではない。むしろ、これらの例及び実施形態は、本開示が完全かつすべてを含むものであって、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるものである。
【0017】
I.概要
概して、本明細書において述べられる実施形態は、ワークピースを加工するように構成された多軸工作機械を制御するための方法に関するものとして特徴付けることができる。本明細書において述べられる実施形態に従い制御され得る多軸工作機械の例としては、くり抜き機、フライス盤、プラズマ加工機、放電加工(EDM)システム、レーザ加工機、レーザマーキング装置、レーザドリリング装置、レーザエングレービング装置、遠隔レーザ溶接ロボット、3Dプリンタ、水噴射高圧ジェットカッタ、アブレーシブジェットカッタなどが挙げられる。このように、ルータビット、ドリルビット、ツールビット、研削ビット、ブレード等の機械的構造をワークピースに物理的に接触させて、ワークピースを構成する1以上の材料を除去したり、切断したり、研磨したり、粗くしたりなどするように構成されるものとして特徴付けることができる。これに加えて、あるいはこれに代えて、多軸工作機械は、エネルギー(例えば、レーザ源により生成されたレーザ光やトーチにより生成された熱、イオン源又は電子源から生成されたイオンビーン又は電子ビームなど、あるいはこれらを任意に組み合わせた形態で)を方向付けて、あるいは物質(例えば、水、空気、砂又は他の研磨粒子、塗料、金属粉など又はこれらの任意の組み合わせ)の流れ又はジェットを方向付けて、ワークピースを構成する1以上の材料の1以上の特性又は特質(例えば、化学的組成、結晶構造、電子構造、マイクロ構造、ナノ構造、濃度、粘度、屈折率、透磁率、比誘電率など)を除去したり、切断したり、穿孔したり、研磨したり、粗くしたり、加熱したり、溶融させたり、気化させたり、アブレートしたり、割ったり、変色させたり、発泡させたり、あるいは改質又は変化させたりするように構成されるものとして特徴付けることができる。このような材料は、ワークピース加工の前又は加工中にワークピースの外表面に存在し得るか、あるいは、ワークピース加工の前又は加工中にワークピース内部に位置し得る(すなわち、ワークピースの外表面に存在していない場合がある)。
【0018】
どのようにワークピースが加工されるかにかかわらず、ワークピースの加工を行うために用いられる機構(例えば、上述した機械的構造のいずれか、方向性を有するエネルギー、方向性を有する物質の流れ又はジェットなど、又はこれらの任意の組み合わせ)は、本明細書において「ツール」と呼ばれる。ワークピースに物理的に接触するツールの1以上の部分あるいは(例えば、ワークピース内の熱又は電磁放射の吸収を介して、あるいはワークピース内に入射した電子又はイオンの運動エネルギーを熱に変換することにより、あるいはワークピース腐食などにより)ワークピースと相互作用するツールの1以上の部分は、本明細書において、個々にかつ包括的に「ツールチップ」と呼ばれ、(例えばツールチップで)ツールにより最終的に加工されるワークピースの領域は、本明細書において「ツーリング領域」と呼ばれる。ツールが、(例えば、ルータビット、ドリルビットなどと同様に)ワークピースと交差する軸を中心として回転可能な機械的構造である実施形態、あるいはツールが、ワークピースと交差する軸に沿ってワークピースに向けて方向付けられたエネルギー又物質の流れ又はジェットである実施形態においては、軸が交差するワークピースの表面の部分に対する軸の角度は、本明細書において「ツーリング角度」と呼ばれる。
【0019】
多軸工作機械は、ツールチップを位置決めし、あるいはワークピースを位置決めし、あるいはワークピースに対してツールチップを移動させ、あるいはツールチップに対してワークピースを移動させ、あるいはこれらを任意に組み合わせて行う1以上のアクチュエータを含んでいる。このように、ツールチップとワークピースとの間で相対移動を生じさせる際に、ワークピース上又はワークピース内でのツーリング領域の位置決めを変更することができる。それぞれのアクチュエータは、少なくとも1つの線形軸に沿って、あるいは少なくとも1つの回転軸に沿って、あるいはこれらを任意に組み合わせて、ツーリング領域を位置決めするか、あるいはツーリング領域とワークピースとの間で相対移動を生じさせるように配置又は構成されていてもよい。当該分野において知られているように、線形軸の例としては、X軸、(X軸に直交する)Y軸、及び(X軸及びY軸に直交する)Z軸が挙げられ、回転軸の例としては、A軸(すなわち、X軸に平行な軸を中心とする回転を規定する)、B軸(すなわち、Y軸に平行な軸を中心とする回転を規定する)、及びC軸(すなわち、Z軸に平行な軸を中心とする回転を規定する)が挙げられる。
【0020】
線形軸に沿ってツーリング領域を位置決めするか、あるいはツーリング領域とワークピースとの間で相対移動を生じさせるように配置又は構成されるアクチュエータは、一般的に「リニアアクチュエータ」と呼ばれる。回転軸に沿ってツーリング領域を位置決めするか、あるいはツーリング領域とワークピースとの間で相対移動を生じさせるように配置又は構成されるアクチュエータは、一般的に「ロータリアクチュエータ」と呼ばれる。多軸工作機械の内部に含められることがあるリニアアクチュエータの例としては、1以上のX軸アクチュエータ(すなわち、X軸に沿った運動を生じさせるように配置又は構成されたアクチュエータ)、1以上のY軸アクチュエータ(すなわち、Y軸に沿った運動を生じさせるように配置又は構成されたアクチュエータ)、1以上のZ軸アクチュエータ(すなわち、Z軸に沿った運動を生じさせるように配置又は構成されたアクチュエータ)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。多軸工作機械の内部に含められることがあるロータリアクチュエータの例としては、1以上のA軸アクチュエータ(すなわち、A軸に沿った運動を生じさせるように配置又は構成されたアクチュエータ)、1以上のB軸アクチュエータ(すなわち、B軸に沿った運動を生じさせるように配置又は構成されたアクチュエータ)、1以上のC軸アクチュエータ(すなわち、C軸に沿った運動を生じさせるように配置又は構成されたアクチュエータ)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0021】
多軸機械は、「スペクトル相補的」多軸工作機械として、あるいは「非スペクトル相補的」多軸工作機械として特徴付けることができる。スペクトル相補的多軸工作機械は、異なる帯域幅で同一軸に沿った移動を生じさせることができる1組以上の冗長アクチュエータを含んでいる。非スペクトル相補的多軸工作機械は、冗長アクチュエータの組を含んでいない。
【0022】
多軸工作機械は、「軸方向相補的」多軸工作機械として、あるいは「非軸方向相補的」多軸工作機械として特徴付けることができる。軸方向相補的多軸工作機械は、少なくとも1つの回転軸に沿って、ツールチップ及び/又はワークピースを位置決めする又はツールチップ及び/又はワークピースに対して移動を生じさせるように構成された少なくとも1つのロータリアクチュエータと、少なくとも1つの線形軸に沿って、ツールチップ及び/又はワークピースを位置決めする又はツールチップ及び/又はワークピースに対して移動を生じさせるように構成された少なくとも1つのリニアアクチュエータとを含む1組の軸方向相補的アクチュエータを有している。軸方向相補的多軸工作機械においては、ツール及び/又はワークピースがそれを中心として回転できる少なくとも1つの回転軸は、ツール及び/又はワークピースがそれに沿って並進運動できる少なくとも1つの線形軸と平行ではない。例えば、1組の軸方向相補的アクチュエータは、B軸に沿った運動を生じさせるように構成されたロータリアクチュエータと、X軸に沿った、あるいはZ軸に沿った、あるいはX軸及びZ軸に沿った運動を生じさせるように構成された少なくとも1つのリニアアクチュエータとを含み得る。他の例においては、1組の軸方向相補的アクチュエータは、B軸に沿った運動を生じさせるように構成されたロータリアクチュエータと、C軸に沿った運動を生じさせるように構成された少なくとも1つのロータリアクチュエータと、X軸に沿った、あるいはZ軸に沿った、あるいはX軸及びZ軸に沿った運動を生じさせるように構成された少なくとも1つのリニアアクチュエータとを含み得る。しかしながら、一般的に、1組の軸方向相補的アクチュエータは、互いに非冗長的であるものとして特徴付けることができる。非軸方向相補的多軸工作機械は、1組の軸方向相補的アクチュエータを含んでいない。スペクトル相補的多軸工作機械又は非スペクトル相補的多軸工作機械のいずれも、軸方向相補的多軸工作機械として、あるいは非軸方向相補的多軸工作機械として構成され得ることは理解すべきである。
【0023】
一般的に、多軸工作機械のアクチュエータは、コンピュータファイル又はコンピュータプログラムから得られる、あるいは取得されるアクチュエータコマンドに応答して駆動される。アクチュエータコマンドがコンピュータファイル又はコンピュータプログラムから取得される実施形態においては、そのようなアクチュエータコマンドは、コンピュータファイル内又はコンピュータプログラムにより定義される軌跡(又は軌跡の成分)から補間されてもよい。この軌跡は、ワークピースの加工中に多軸工作機械によりツーリング領域を位置決めする方法、方向付ける方法、移動させる方法などを記述した、ツールチップ及び/又はワークピースの一連の位置及び/又は(例えば1以上の空間軸に沿った)移動を定義し得る。
【0024】
一般に、異なるアクチュエータコマンドは、異なる軸方向位置又は移動に対応することがあり、このため、「リニアアクチュエータコマンド」は、位置又は移動の線形成分に対応するアクチュエータコマンドであり、「ロータリアクチュエータコマンド」は、位置又は移動の回転成分に対応するアクチュエータコマンドである。特に、「X軸アクチュエータコマンド」は、X軸に沿った位置又は移動の線形成分に対応することがあり、「Y軸アクチュエータコマンド」は、Y軸(Y軸はX軸に直交する)に沿った位置又は移動の線形成分に対応することがあり、「Z軸アクチュエータコマンド」は、Z軸(Z軸はY軸に直交する)に沿った位置又は移動の線形成分に対応することがある。「A軸アクチュエータコマンド」は、「A軸」(A軸回転運動は、X軸に平行な軸を中心とする回転の特徴を表している)に沿った位置又は移動の回転成分に対応することがあり、「B軸アクチュエータコマンド」は、「B軸」(B軸回転運動は、Y軸に平行な軸を中心とする回転の特徴を表している)に沿った位置又は移動の回転成分に対応することがあり、「C軸アクチュエータコマンド」は、「C軸」(C軸回転運動は、Z軸に平行な軸を中心とする回転の特徴を表している)に沿った位置又は移動の回転成分に対応することがある。
【0025】
本明細書において使用される場合には、「アクチュエータコマンド」という用語は、経時的に変化する振幅により特徴付けられる電気信号を意味し、このため、当該分野において「周波数成分」という表現で特徴付けられることもある。典型的には、多軸工作機械のアクチュエータは、アクチュエータの帯域幅を制限する1以上の制約条件(例えば、速度条件、加速度条件、ジャーク条件など)によって特徴付けられる。本明細書において使用される場合には、アクチュエータの「帯域幅」は、アクチュエータがアクチュエータに関連付けられた閾値周波数を超える周波数成分を有するアクチュエータコマンド(又はアクチュエータコマンドの一部)に正確かつ確実に反応又は応答することのできる能力を意味している。任意の特定のアクチュエータの閾値周波数は、その特定のアクチュエータの種類、その特定のアクチュエータの特定の構成、その特定のアクチュエータの質量、その特定のアクチュエータに取り付けられる又はその特定のアクチュエータにより移動される物の質量などによって変化し得ることは理解すべきである。例えば、サーボモータ、ステッピングモータ、油圧シリンダなどの種類のアクチュエータに対する閾値周波数は、(当該分野において知られているように)互いに同一であっても異なっていてもよいが、一般的には、ガルバノメータ、ボイスコイルモータ、圧電アクチュエータ、電子ビーム磁気偏向器、磁気歪みアクチュエータなどの種類のアクチュエータに対する閾値周波数(これらは当該分野において知られているように互いに同一であっても異なっていてもよい)よりも低い。アクチュエータがどのように構成されるかによっては、ロータリアクチュエータは、リニアアクチュエータの閾値周波数よりも低い閾値周波数を有し得る。
【0026】
最終的には、アクチュエータコマンドは、多軸工作機械の対応するアクチュエータに出力される。それぞれのアクチュエータは、受信したアクチュエータコマンドに関連付けられた位置又は移動の成分に対応する軸に沿ってツールチップ及び/又はワークピースを位置決め又は移動することができる。例えば、X軸アクチュエータコマンドは、最終的に、X軸に沿ってツールチップ及び/又はワークピースを位置決め又は移動するように配置又は構成されたリニアアクチュエータに出力され、B軸アクチュエータコマンドは、最終的に、B軸に沿ってツールチップ及び/又はワークピースを位置決め又は移動するように(すなわち、Y軸を中心としてツールチップ及び/又はワークピースを回転するように)配置又は構成されたロータリアクチュエータに出力されるなどされる。軌跡が、2以上の移動成分に分解可能な移動(例えば、X軸、Y軸、Z軸、A軸、B軸又はC軸のうち2つ以上における並行運動)を記述している場合には、そのような運動成分は、互いに「関連付け」られているものとして特徴付けることができる。軌跡により記述された運動の関連付けられた成分に対応するアクチュエータコマンドは、同様に、互いに「関連付け」られているものとして特徴付けることができる。アクチュエータコマンドが同期されて又は協調されてアクチュエータに出力される際に、所望の軌跡に一致する又は対応する経路に沿ってツーリング領域を移動するようにツールチップとワークピースとの間で相対移動を生じさせることによりアクチュエータが本質的に反応又は応答する。
【0027】
いくつかの組のアクチュエータコマンド(すなわち、「スペクトル相補的アクチュエータコマンド」及び「軸方向相補的アクチュエータコマンド」)の生成と使用に関する、ある一般的な実施形態を以下のセクションで述べる。2組のアクチュエータコマンドが別個に生成及び使用されるものとして一般的に述べられるが、2組のアクチュエータコマンドを組み合わせて一緒に生成及び使用できることは理解すべきである。
図1から
図4に関連して、2組のアクチュエータコマンドを組み合わせて生成及び使用する例を詳細に説明する。
【0028】
A.総じてスペクトル相補的多軸工作機械のアクチュエータコマンドに関する実施形態
多軸工作機械がハイブリッド多軸工作機械である実施形態においては、1組のスペクトル相補的アクチュエータコマンドが、対応する1組の冗長アクチュエータに出力され得る。1組のスペクトル相補的アクチュエータコマンドにおいては、アクチュエータコマンドのうちの1つのコマンド(例えば第1のアクチュエータコマンド)の周波数成分は、アクチュエータコマンドのうちの他のコマンド(例えば第2のアクチュエータコマンド)の周波数成分よりも高く、第1のアクチュエータコマンドは、最終的に、(例えば、第1のスペクトル相補的アクチュエータコマンドに対して正確に又は確実に反応又は応答することができる)上記1組の冗長アクチュエータ内の比較的高い帯域幅のアクチュエータに出力され、第2のアクチュエータコマンドは、最終的に、(例えば、第1の周波数コマンドよりも第2の周波数コマンドに対してより正確に又はより確実に反応又は応答することができる)冗長アクチュエータの組における比較的低い帯域幅のアクチュエータに出力される。
【0029】
スペクトル相補的アクチュエータコマンドの組は任意の好適な方法により生成することができる。例えば、スペクトル相補的アクチュエータコマンドの組は、上述したように、コンピュータファイル又はコンピュータプログラムから得られる、あるいは取得されるアクチュエータコマンド(例えば、X軸、Y軸、Z軸、A軸、B軸又はC軸などの単一の軸に沿った位置又は移動を記述したもの)を処理することにより生成することができる。この場合において、そのようなアクチュエータコマンドは、「予備アクチュエータコマンド」とも呼ばれ、予備周波数範囲にわたる周波数成分を有している。予備周波数範囲は、冗長アクチュエータの組における少なくとも1つのアクチュエータの閾値周波数を超える1以上の周波数で無視できない周波数成分を含み得る。この予備アクチュエータコマンドは、1組のスペクトル相補的アクチュエータコマンドを生成するために処理され得る。
【0030】
一般的に、それぞれのスペクトル相補的アクチュエータコマンドは、予備範囲内で予備範囲よりも狭い周波数サブレンジにわたる周波数成分を有している。具体的には、スペクトル相補的アクチュエータコマンドの組におけるそれぞれのアクチュエータコマンドの周波数成分は、冗長アクチュエータの組における対応するアクチュエータの閾値周波数を超えない1以上の周波数において無視できない周波数成分を含んでいる。例えば、1組のスペクトル相補的アクチュエータコマンドの中で、スペクトル相補的アクチュエータコマンドのうちの1つのコマンド(例えば、冗長アクチュエータの組における第1のアクチュエータに最終的に出力される第1のスペクトル相補的アクチュエータコマンド)の周波数成分が第1の周波数サブレンジにわたり、スペクトル相補的アクチュエータコマンドのうちの他のコマンド(例えば、冗長アクチュエータの組における第2のアクチュエータに最終的に出力される第2のスペクトル相補的アクチュエータコマンド)の周波数成分が第2の周波数サブレンジにわたる。一実施形態においては、第1のサブレンジの平均周波数は、第2のサブレンジの平均周波数よりも低くてもよく、あるいは高くてもよく、あるいはこれと同じであってもよい。第1のサブレンジの範囲は、第2のサブレンジの範囲よりも大きくてもよく、あるいは小さくてもよく、あるいはこれと同じであってもよい。第1のサブレンジは、第2のサブレンジと重なっていてもよく、あるいは第2のサブレンジに隣接していてもよく、あるいは第2のサブレンジから離間していてもよい。
【0031】
ある実施形態では、予備アクチュエータコマンドの処理は、予備アクチュエータコマンド(又は予備アクチュエータコマンドから取得された他のコマンド)を1以上の好適なアルゴリズムに従って修正することにより、あるいは、予備アクチュエータコマンド(又は予備アクチュエータコマンドから取得された他のコマンド)を減らすことにより、予備アクチュエータコマンド(又は予備アクチュエータコマンドから取得された他のコマンド)に対して1以上の好適なフィルタを適用すること、又は予備アクチュエータコマンド(又は予備アクチュエータコマンドから取得された他のコマンド)に対して1以上の低次補間を適用すること、又はこれに類するもの、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。好適なフィルタの例としては、デジタルフィルタ、ローパスフィルタ、バッタワースフィルタなど、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適なアルゴリズムの例としては、自己回帰移動平均アルゴリズムなどが挙げられる。ある実施形態では、米国特許第5,751,585号、第6,706,999号、及び第8,392,002号のうち1以上の米国特許に述べられているようにしてスペクトル相補的アクチュエータコマンドの組を生成することができる。これらの米国特許のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、米国特許第5,638,267号、第5,988,411号、第9,261,872号のうち1以上の米国特許において、あるいは、米国特許出願公開公報第2014/0330424号、第2015/0158121号、第2015/0241865号のうち1以上の米国特許出願公開公報において述べられている手法により、スペクトル相補的アクチュエータコマンドの組を生成することができることを理解すべきである。これらの米国特許及び米国特許出願公開公報のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
処理されたスペクトル相補的アクチュエータコマンドの組は、2つのスペクトル相補的アクチュエータコマンドだけを含むように述べられているが、スペクトル相補的アクチュエータコマンドの組は、任意の個数(例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個など)のスペクトル相補的アクチュエータコマンドを含んでいてもよいことを理解すべきである。共通軸に対応する1組のスペクトル相補的アクチュエータコマンドにおけるスペクトル相補的アクチュエータコマンドの個数は、共通軸に沿って位置決め又は移動を行うことができる冗長アクチュエータの組における冗長アクチュエータの個数と等しくすることができる。
【0033】
B.総じて軸方向相補的多軸工作機械用のアクチュエータコマンドに関する実施形態
時として、ロータリアクチュエータ(例えばB軸アクチュエータ)に送られるロータリアクチュエータコマンド(例えばB軸アクチュエータコマンド)は、ロータリアクチュエータの閾値周波数を超える無視できないような周波数成分を含んでいる。したがって、多軸工作機械が軸方向相補的多軸工作機械である実施形態においては、1組の軸方向相補的アクチュエータコマンドを、ロータリアクチュエータを含む1組の軸方向相補的アクチュエータを出力して、ロータリアクチュエータの限られた帯域幅性能を補償するようにしてもよい。例えば、1組の軸方向相補的アクチュエータコマンドは、ロータリアクチュエータの閾値周波数を超えない周波数成分を有する軸方向相補的ロータリアクチュエータコマンドと、少なくとも1つの軸方向相補的リニアアクチュエータコマンドとを含み得る。軸方向相補的ロータリアクチュエータコマンドをロータリアクチュエータに出力してもよく、少なくとも1つの軸方向相補的リニアアクチュエータコマンドを1以上の対応するリニアアクチュエータ(すなわち、ロータリアクチュエータと同じ組の軸方向相補的アクチュエータ内にあるもの)に出力してもよい。
【0034】
任意の好適な方法により軸方向相補的アクチュエータコマンドの組を生成することができる。例えば、上述したようにコンピュータファイル又はコンピュータプログラムから得られる、あるいは取得されるロータリアクチュエータコマンド(例えば、B軸のような単一の回転軸に沿った位置又は移動を記述したもの)を処理することにより軸方向相補的アクチュエータコマンドの組を生成することができる。この場合において、そのようなロータリアクチュエータコマンドは、「ロータリアクチュエータコマンド」とも呼ばれ、予備周波数範囲にわたる周波数成分を有している。予備周波数範囲は、ロータリアクチュエータの閾値周波数を超える1以上の周波数において無視できない周波数成分を含み得る。予備ロータリアクチュエータコマンドが処理され、少なくとも1つの軸方向相補的ロータリアクチュエータコマンド及び少なくとも1つの軸方向相補的リニアアクチュエータコマンドを含む1組の軸方向相補的アクチュエータコマンドが生成されてもよい。
【0035】
ある実施形態では、予備ロータリアクチュエータコマンドの処理は、予備ロータリアクチュエータコマンド(又は予備ロータリアクチュエータコマンドから取得された他のコマンド)を1以上の好適なアルゴリズムに従って修正することにより、あるいは、予備ロータリアクチュエータコマンド(又は予備ロータリアクチュエータコマンドから取得された他のコマンド)を減らすことにより、予備ロータリアクチュエータコマンド(又は予備ロータリアクチュエータコマンドから取得された他のコマンド)に対して1以上の好適なフィルタを適用すること、又は予備ロータリアクチュエータコマンド(又は予備ロータリアクチュエータコマンドから取得された他のコマンド)に対して1以上の低次補間を適用すること、又はこれに類するもの、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。好適なフィルタの例としては、デジタルフィルタ、ローパスフィルタ、バッタワースフィルタなど、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適なアルゴリズムの例としては、自己回帰移動平均アルゴリズムなどが挙げられる。
【0036】
II.軸方向相補的アクチュエータ及び冗長リニアアクチュエータを有する多軸工作機械の制御
図1は、多軸工作機械を制御するための制御システム100を模式的に示すブロック図であり、多軸工作機械は、一実施形態によれば、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102と、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104と、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106と、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108と、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110と、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112と、B軸アクチュエータ114と、C軸アクチュエータ116とを含んでいる。本明細書で述べられる軸間の空間的関係を示す凡例は118で示されている。
【0037】
それぞれ比較的低い帯域幅と比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ102及び108は、1組の冗長アクチュエータ(すなわち1組の冗長X軸アクチュエータ)を構成する。同様に、1組の冗長アクチュエータが、それぞれ比較的低い帯域幅と比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ104及び110の組(すなわち1組の冗長Y軸アクチュエータ)と、それぞれ比較的低い帯域幅と比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ106及び112の組(すなわち1組の冗長Z軸アクチュエータ)とにより構成される。図示された実施形態は、2個のリニアアクチュエータだけから構成される1組の冗長リニアアクチュエータを有する多軸工作機械について述べるが、多軸工作機械は、X軸、Y軸及びZ軸のいずれかに沿った移動を生じさせるように配置又は構成された1以上の付加的なリニアアクチュエータをさらに備えていてもよく、いずれの組の冗長アクチュエータも、3個以上のリニアアクチュエータを含んでいてもよいことは理解されよう。
【0038】
一実施形態においては、いずれの組の冗長アクチュエータにおけるアクチュエータも、同じ組の冗長アクチュエータにおける他のアクチュエータに取り付けられることはなく、また他のアクチュエータにより移動されることもない。例えば、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108は、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102に取り付けられておらず、このアクチュエータ102により移動されることもない。しかしながら、他の実施形態では、1組の冗長アクチュエータ内の少なくとも1つのアクチュエータが、同じ組の冗長アクチュエータにおける他のアクチュエータに取り付けられていてもよく、他のアクチュエータにより移動されてもよい。そのような実施形態においては、1組の冗長アクチュエータにおける比較的低い帯域幅のアクチュエータが、同じ組の冗長アクチュエータにおける比較的高い帯域幅のアクチュエータを移動させてもよく、あるいは比較的高い帯域幅のアクチュエータにより移動されてもよい。
【0039】
一実施形態においては、冗長X軸アクチュエータの組の中の1以上のアクチュエータ及び/又は冗長Z軸アクチュエータの組の中の1以上のアクチュエータとともに考えると、B軸アクチュエータ114が1組の軸方向相補的アクチュエータを構成する。他の実施形態では、冗長X軸アクチュエータの組の中の1以上のアクチュエータ及び/又は冗長Y軸アクチュエータの組の中の1以上のアクチュエータとともに考えると、C軸アクチュエータ116が1組の軸方向相補的アクチュエータを構成する。さらに他の実施形態においては、冗長X軸アクチュエータの組の中の1以上のアクチュエータ、冗長Y軸アクチュエータの組の中の1以上のアクチュエータ、及び/又は冗長Z軸アクチュエータの組の中の1以上のアクチュエータとともに考えると、B軸アクチュエータ114及びC軸アクチュエータ116が1組の軸方向相補的アクチュエータを構成する。
【0040】
図示された実施形態では、多軸工作機械はA軸アクチュエータを含んでいない。しかしながら、多軸工作機械はA軸アクチュエータを含んでいてもよく、本明細書で述べられているようにA軸アクチュエータを制御するように本明細書で述べられる実施形態を適応させてもよいことは理解すべきである。
【0041】
A.ワークピース位置決めアセンブリに関する実施形態
一実施形態においては、X軸、Y軸、Z軸、B軸、C軸、又はこれらを任意に組み合わせた軸に沿って同時的に又は非同時的にワークピースを位置決め又は移動させるように構成された「ワークピース位置決めアセンブリ」の一部として、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102と比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104と比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106とB軸アクチュエータ114とC軸アクチュエータ116とを統合してもよい。例えば、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106、B軸アクチュエータ114、及びC軸アクチュエータ116のそれぞれは、それらのアクチュエータのうち1以上のアクチュエータを互いに装着又は機械的に結合できるようにする1以上の要素(例えば、ステージ、固定具、チャック、レール、軸受、ブラケット、クランプ、ストラップ、ボルト、ネジ、ピン、保持リング、繋ぎ部材など(図示せず))を含んでいてもよい。この場合において、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106を(例えば、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102によって移動可能となるように)比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102上に載置してもよく、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104を(例えば、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102、又はこれらの組み合わせにより移動可能となるように)比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106上に載置してもよく、B軸アクチュエータ114を(例えば、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102、又はこれらの任意の組み合わせにより移動可能となるように)比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104上に載置してもよく、C軸アクチュエータ116を(例えば、B軸アクチュエータ114、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102、又はこれらの任意の組み合わせにより移動可能となるように)B軸アクチュエータ114上に載置してもよい。
図2は、上述したワークピース位置決めアセンブリ(例えばワークピース位置決めアセンブリ200)におけるアクチュエータの例示的な構成を模式的に示すものである。しかしながら、他の実施形態では、ワークピース位置決めアセンブリ内のアクチュエータのうち1以上のアクチュエータが、他の任意の好適な方法又は所望の方法で違ったように配置されていてもよい。また、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106、B軸アクチュエータ114、及びC軸アクチュエータ116のうち1以上のアクチュエータを適切な場合にあるいは必要に応じてワークピース位置決めアセンブリから省略してもよいことを理解すべきである。
【0042】
上記の観点から、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106、B軸アクチュエータ114、及びC軸アクチュエータ116のそれぞれは、それぞれ1以上の油圧シリンダ、1以上の空気圧シリンダ、1以上のサーボモータ、1以上のボイスコイルアクチュエータ、1以上の圧電アクチュエータ、1以上の電歪素子など、又はこれらの任意の組み合わせにより駆動される1以上のステージ(例えば、ダイレクトドライブステージ、親ネジステージ、ボールネジステージ、ベルト駆動ステージなど)であってもよいことは理解すべきである。さらに、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106、B軸アクチュエータ114、及びC軸アクチュエータ116のうちいずれかは、連続運動又はステップ状(増分)運動を提供するように構成されていてもよい。
【0043】
任意の好適な方法又は所望の方法でワークピースを維持、保持、移送などするために、ワークピース固定具(図示せず)が(例えば、比較的低い帯域幅のC軸アクチュエータ116において)ワークピース位置決めアセンブリに機械的に連結されていてもよい。したがって、固定具によってワークピースをワークピース位置決めアセンブリに連結することができる。ワークピース固定具は、ワークピースをクランプ可能、固定可能、保持可能、固着可能又は支持可能な1以上のチャック又は他のクランプ、クリップ、又は他の固定装置(例えば、ボルト、ネジ、保持リング、ストラップ、繋ぎ部材など)であってもよい。
【0044】
B.ツールチップ位置決めアセンブリに関する実施形態
一実施形態においては、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112は、多軸工作機械に関連付けられたツールチップをX軸、Y軸、Z軸、又はこれらを任意に組み合わせた軸に沿って同時的に又は非同時的に位置決め又は移動させるように構成された「ツールチップ位置決めアセンブリ」内に組み込まれていてもよい。しかしながら、適切な場合にあるいは必要に応じてツールチップ位置決めアセンブリから比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112を省略してもよいことは理解すべきである。一般的に、ワークピースの処理を行うために使用されるメカニズム(すなわち、使用される「ツール」)に応じて、ツールチップ位置決めアセンブリは、「シリアルツールチップ位置決めアセンブリ」として、又は「パラレルツールチップ位置決めアセンブリ」又は(例えば、シリアルツールチップ位置決めアセンブリとパラレルツールチップ位置決めアセンブリに特有の特徴を組み合わせた)「ハイブリッドツールチップ位置決めアセンブリ」として特徴付けることができる。
【0045】
i.シリアルツールチップ位置決めアセンブリに関する実施形態
一実施形態においては、使用されるツールが機械的構造(例えば、ルータビット、ドリルビット、ツールビット、研削ビット、ブレードなど)である場合に、シリアルツールチップ位置決めアセンブリを用いることができる。シリアルツールチップ位置決めアセンブリ内において、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112のそれぞれは、そのようなアクチュエータのうち1以上のアクチュエータを互いに装着又は機械的に結合できるようにする1以上の要素(例えば、ステージ、固定具、チャック、レール、軸受、ブラケット、クランプ、ストラップ、ボルト、ネジ、ピン、保持リング、繋ぎ部材など(図示せず))を含んでいてもよい。この場合において、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110は、(例えば、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108によって移動可能となるように)比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108上に装着されていてもよく、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112は、(例えば、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、又はこれらの任意の組み合わせにより移動可能となるように)比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110上に装着されていてもよい。しかしながら、他の実施形態では、シリアルツールチップ位置決めアセンブリ内のアクチュエータのうち1以上のアクチュエータは、他の任意の好適な方法又は所望の方法で違ったように配置されていてもよい。典型的には、シリアルツールチップ位置決めアセンブリは、使用されるツールが機械的構造(例えば、ルータビット、ドリルビット、ツールビット、研削ビット、ブレードなど)を含んでいる場合に用いられる。また、シリアルツールチップ位置決めアセンブリは、使用されるツールが、例えばノズルやヘッドなどから噴出される物質(例えば、水、空気、砂又は他の研磨粒子、塗料、金属粉など又はこれらの任意の組み合わせ)の流れ又はジェットを含む場合にも用いることができる。
【0046】
上記の観点から、シリアルツールチップ位置決めアセンブリ内の比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112のそれぞれは、それぞれ1以上の油圧シリンダ、1以上の空気圧シリンダ、1以上のサーボモータ、1以上のボイスコイルアクチュエータ、1以上の圧電アクチュエータ、1以上の電歪素子など、又はこれらの任意の組み合わせにより駆動される1以上のリニアステージ(例えば、ダイレクトドライブステージ、親ネジステージ、ボールネジステージ、ベルト駆動ステージなど)であってもよいことは理解すべきである。さらに、シリアルツールチップ位置決めアセンブリ内の比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112のうちいずれかは、連続運動又はステップ状(増分)運動を提供するように構成されていてもよい。
【0047】
任意の好適な方法又は所望の方法で機械的構造(例えば、ルータビット、ドリルビット、ツールビット、研削ビット、ブレードなど)を維持、保持、移送などするために、ツール固定具(図示せず)が(例えば、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112において)シリアルツールチップ位置決めアセンブリに機械的に連結されていてもよい。したがって、ツール固定具によって機械的構造をシリアルツールチップ位置決めアセンブリに連結することができる。ツール固定具は、1以上のチャック又は他のクランプ、クリップ、又は他の固定装置(例えば、ボルト、ネジ、保持リング、ストラップ、繋ぎ部材など)であってもよい。使用されるツールが物質(例えば、水、空気、砂又は他の研磨粒子、塗料、金属粉など又はこれらの任意の組み合わせであって、当該分野において知られているように、水、空気、砂、粒子、塗料、粉体など、又はこれらの組み合わせのソースにより供給されるもの)の流れ又はジェットを含む場合には、その流れやジェットが噴出するノズルやヘッドなどがツール固定具として特徴付けられる。
【0048】
ii.パラレルツールチップ位置決めアセンブリに関する実施形態
一実施形態においては、使用されるツールが、方向付けられたエネルギービームなどである場合には、パラレルツールチップ位置決めアセンブリを用いることができる。パラレルツールチップ位置決めアセンブリ内では、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112のうち1つ以上の性質及び構成が、使用されるツールに依存する。
【0049】
例えば、使用されるツールが(例えば、当該分野において知られているような電子源又はイオン源から生成される)電子又はイオンのビームである場合には、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112は、1以上の磁気レンズ、円柱レンズ、アインツェルレンズ、四重極レンズ、多極レンズなど、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0050】
他の例においては、使用されるツールがレーザ光(例えば、当該分野において知られているような1以上のレーザ源から生成される、一連のパルスとして、又は連続又は準連続レーザ光ビームとして、又はこれらを任意に組み合わせたものとして現れる)である場合には、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108及び比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110のそれぞれは、ガルバノメータ駆動ミラーシステム、ファーストステアリングミラーシステム(例えば、ボイスコイルモータ、圧電アクチュエータ、電歪アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータにより駆動されるミラーなど)、微小電気機械システム(MEMS)ミラーシステム、適応制御光学(AO)システム、電気光学偏向器(EOD)システム、音響光学偏向器(AOD)システム(例えば、印加RF信号に応答して、X軸又はY軸のような軸に沿ってレーザ光を回折させるように配置及び構成される)など、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。ツールがレーザ光の集束ビームとして提供される場合(この場合には、「ツールチップ」は、ワークピースを加工するのに十分に高いフルエンスを有する集束ビームの領域である)には、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112は、1以上のAODシステム(例えば、1以上のチャーピングされた印加RF信号に応答して、X軸及びY軸のような2つの軸に沿ってレーザ光を回折させるように配置及び構成される)、レーザ光が伝搬する経路(すなわち「伝搬経路」)に配置された固定焦点距離レンズであって、伝搬経路に沿ってレンズを移動させるように構成されたアクチュエータ(例えばボイスコイル)に連結された固定焦点距離レンズ、伝搬経路に配置された可変焦点距離レンズ(例えば、ズームレンズ、又は現在COGNEX、VARIOPTICなどにより提供される技術を組み込んだ、いわゆる「液体レンズ」)など、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0051】
図3は、レーザ光の集束ビームに関連付けられたツールチップを位置決め又は移動するように構成されたパラレルツールチップ位置決めアセンブリの一実施形態を模式的に示している。
図3を参照すると、パラレルツールチップ位置決めアセンブリ300は、第1のガルバノメータ駆動ミラーシステム(ここでは比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108である)及び第2のガルバノメータ駆動ミラーシステム(ここでは比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110である)によって偏向された伝搬経路304に沿って伝搬するレーザ光ビームを集光するように構成されるスキャンレンズ302(例えば、fシータレンズ、テレセントリックレンズ、アキシコンレンズなど)を必要に応じて含んでいる。図示されているように、第1のガルバノメータ駆動ミラーシステムは、(例えばシャフトを介して)モータ308aに連結されるミラー306aを含んでおり、このモータ308aは、(例えば、X軸に沿ったレーザ光ビームの偏向を可能とするように)Y軸周りにミラー306aを回転させるように構成されている。同様に、第2のガルバノメータ駆動ミラーシステムは、(例えばシャフトを介して)モータ308bに連結されるミラー306bを含んでおり、このモータ308bは、(例えば、Y軸に沿ったレーザ光ビームの偏向を可能とするように)X軸周りにミラー306bを回転させるように構成されている。比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112として、パラレルツールチップ位置決めアセンブリ300は、アクチュエータ(例えば、ボイスコイル(図示せず))に連結されたレンズを含んでいてもよく、このアクチュエータは、両側矢印310により示される方向にレンズを伝搬経路304に沿って移動するように構成されている。
【0052】
ある場合においては、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112のうちの2つ以上により提供される機能を同一のシステムにより提供することができる。例えば、ファーストステアリングミラーシステム、MEMSミラーシステム、AOシステムなどのシステムを駆動してX軸及びY軸に沿ってレーザ光を偏向することができる。MEMSミラーシステム、AOシステム、及び1対のAODシステム(例えば、X軸に沿ってレーザ光を偏向するように配置及び構成されたAODシステムとY軸に沿ってレーザ光を偏向するように配置及び構成された他のAODシステム)のようなシステムを駆動してX軸及びY軸に沿ってレーザ光を偏向し、ツーリング領域でレーザ光に照射されるスポットのサイズを変更することができる(これにより、Z軸に沿った加工中にワークピースに伝達される集束レーザ光のビームウェストの位置を効果的に変更することができる)。したがって、そのようなシステムは、アクチュエータが提供及び駆動される形態に応じて、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112、又はこれらの任意の組み合わせとして特徴付けることができる。
【0053】
iii.ハイブリッドツールチップ位置決めアセンブリに関する実施形態
一実施形態においては、使用されるツールが方向づけられたエネルギービームなどである場合には、ハイブリッドツールチップ位置決めアセンブリを用いることができる。例えば、ガルバノメータ駆動ミラーシステム、ファーストステアリングミラーシステム(例えば、ボイスコイルモータ、圧電アクチュエータ、電歪アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータにより駆動されるミラーなど)、MEMSミラーシステム、AOシステム、EODシステム、AODシステムなどのようなシステムとして提供される場合には、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108及び/又は比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110は、(例えば、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112によって移動可能となるように)比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112に装着又は機械的に連結されていてもよい。この例では、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112が、それぞれ1以上の油圧シリンダ、1以上の空気圧シリンダ、1以上のサーボモータ、1以上のボイスコイルアクチュエータ、1以上の圧電アクチュエータ、1以上の電歪素子など、又はこれらの任意の組み合わせにより駆動される1以上のステージ(例えば、ダイレクトドライブステージ、親ネジステージ、ボールネジステージ、ベルト駆動ステージなど)であってもよい。
【0054】
他の例においては、MEMSミラーシステム、AOシステム、1対のAODシステムなどのシステムとして提供される場合には、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112は、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108及び比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110のうちの一方に装着又は機械的に連結されていてもよく、その一方のアクチュエータは順番に比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108及び比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110のうちの他方に装着又は機械的に連結されていてもよい。この例では、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108及び比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110のそれぞれが、それぞれ1以上の油圧シリンダ、1以上の空気圧シリンダ、1以上のサーボモータ、1以上のボイスコイルアクチュエータ、1以上の圧電アクチュエータ、1以上の電歪素子など、又はこれらの任意の組み合わせにより駆動される1以上のステージ(例えば、ダイレクトドライブステージ、親ネジステージ、ボールネジステージ、ベルト駆動ステージなど)であってもよい。
【0055】
C.ワークピース位置決めアセンブリ及びツールチップ位置決めアセンブリに関する追記
上記にかかわらず、(例えば、ワークピースを位置決め及び/又は移動するための)ワークピース位置決めアセンブリ内に組み込まれているものとして上記で述べられた比較的低い帯域幅のアクチュエータのいずれも、(例えば、ツールチップを位置決め及び/又は移動するための)ツールチップ位置決めアセンブリの一部として付加的に又は代替的に組み込まれていてもよいことは理解すべきである。さらに、上記にかかわらず、ある実施形態では、ワークピース位置決めアセンブリが、GF MACHINING SOLUTIONS MANAGEMENT社により提供されるAGIECHARMILLESレーザ製品ラインやMICROLUTION社により提供されるMICROLUTION ML-D、DMG MORI AKIENGESELLSHAFT/DMG森精機株式会社により提供されるLASERTEC製品ラインなど、現在当該分野において入手可能な任意の5軸ワークピース位置決め/移動アセンブリであってもよいことは理解すべきである。一実施形態においては、ワークピース位置決めアセンブリは、上述した米国特許第8,392,002号の
図4A~
図4Cに述べられているようなものであってもよい。同様に、上記にかかわらず、ある実施形態では、ツールチップ位置決めアセンブリは、CAMBRIDGE TECHNOLOGY社により提供される3軸スキャンシステム、RAYLASE社により提供されるMINISCAN、SUPERSCAN、AXIALSCAN、及びFOCUSSHIFER製品ライン、株式会社キーエンスにより提供されるMDシリーズ3軸ハイブリッドレーザマーカ製品ライン、ARGES社により提供されるスキャンヘッドのシリーズWOMBAT、ANTEATER、ELEPHANT、PRECESSION ELEPHANT、及びPRECESSION ELEPHANT 2、DMG MORI AKIENGESELLSHAFT/DMG森精機株式会社により提供されるLASERTEC製品ラインなど、現在当該分野において入手可能な任意のレーザスキャン又は集束アセンブリであってもよいことは理解すべきである。さらに、上記にかかわらず、ある実施形態では、ツールチップ位置決めアセンブリが、米国特許第8,121,717号に述べられているようなもの、又は国際公開公報第WO 2014/009150 A1号に述べられているようなもの(この米国特許及び国際公開公報のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)、又は上述した米国特許第8,392,002号の
図5A~
図5Cに述べられているようなものであってもよいことは理解すべきである。
【0056】
上記では、多軸工作機械の一実施形態のある構成要素について例示的に述べてきたが、次に、制御システム100により実現される、多軸工作機械を制御するためのアクチュエータコマンドを処理及び生成するためのアルゴリズムについて
図1を参照してより詳細に述べる。
【0057】
D.アクチュエータコマンドの処理に関する実施形態
図1を参照すると、制御システム100は、(例えば、上述したように、コンピュータファイル又はコンピュータプログラムから得られる、あるいは取得される)予備アクチュエータコマンドを受信する。図示されるように、予備アクチュエータコマンドは、予備X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_prelim.)、予備Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_prelim.)、及び予備Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_prelim.)を含む予備リニアアクチュエータコマンドと、予備B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_prelim.)及び予備C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_prelim.)を含む予備ロータリアクチュエータコマンドとを含んでいる。一実施形態においては、予備アクチュエータコマンドの少なくとも1つは、対応する比較的低い帯域幅のアクチュエータの閾値周波数を超える無視できない周波数成分を有している。例えば、予備X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_prelim.)が、対応する比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102の閾値周波数を超える無視できない周波数成分を有していてもよく、予備Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_prelim.)が、対応する比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104の閾値周波数を超える無視できない周波数成分を有していてもよく、予備Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_prelim.)が、対応する比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106の閾値周波数を超える無視できない周波数成分を有していてもよく、予備B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_prelim.)が、対応する比較的低い帯域幅のB軸アクチュエータ114の閾値周波数を超える無視できない周波数成分を有していてもよく、予備C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_prelim.)が、対応する比較的低い帯域幅のC軸アクチュエータ116の閾値周波数を超える無視できない周波数成分を有していてもよく、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであってもよい。しかしながら、上述した予備アクチュエータコマンドのいずれか又はすべてが、対応する比較的低い帯域幅のアクチュエータの閾値周波数の無視できない周波数成分又はこれより低い無視できない周波数成分を有していてもよいことは理解すべきである。
【0058】
予備アクチュエータコマンドが処理され、中間リニアアクチュエータコマンドの第1のセットが生成される。例えば、逆運動変換118が予備X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_prelim.)、予備Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_prelim.)、予備Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_prelim.)、予備B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_prelim.)、及び予備C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_prelim.)に適用され、中間リニアアクチュエータコマンドの第1のセットが生成される。中間リニアアクチュエータコマンドの第1のセットは、第1の中間X軸アクチュエータコマンド(すなわちX0)、第1の中間Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY0)、及び第1の中間Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ0)を含んでいる。逆運動変換は、次の等式により適用することができる。
【数1】
上記式に示されるように、逆運動変換は、固定された回転基準位置での中間リニアアクチュエータコマンドの第1のセットを算出する。上記の例では、固定された回転基準位置は0度である。
【0059】
予備ロータリアクチュエータコマンド(例えば、予備B軸アクチュエータコマンドB_prelim.及び予備C軸アクチュエータコマンドC_prelim.)が処理ステージ120に入れられ、1以上の処理済みロータリアクチュエータコマンドが生成される。図示された実施形態では、B_lowは処理済みB軸アクチュエータコマンドを意味し、C_lowは処理済みC軸アクチュエータコマンドを意味している。両者とも処理ステージ120で生成される。処理ステージ120では、例えば、予備ロータリアクチュエータコマンドに1以上の好適なフィルタを適用すること、1以上の好適なアルゴリズムによって予備ロータリアクチュエータコマンドを修正すること、予備ロータリアクチュエータコマンドを減らすこと、予備ロータリアクチュエータコマンドに1以上の低次補間を適用することなど、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む1以上のプロセスを予備ロータリアクチュエータコマンドに対して行うことができる。好適なフィルタの例としては、デジタルフィルタ、ローパスフィルタ、バッタワースフィルタなど、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適なアルゴリズムの例としては、自己回帰移動平均アルゴリズムなどが挙げられる。処理済みロータリアクチュエータコマンドは、予備ロータリアクチュエータコマンドに対応しているが、対応するロータリアクチュエータの閾値周波数を超える周波数成分を有していない(あるいは無視し得る量のみを有している)。このように、処理済みB軸アクチュエータコマンド(すなわちB_low)は、比較的低い帯域幅のB軸アクチュエータ114の閾値周波数を超える周波数成分を有しておらず(あるいは無視し得る量のみを有しており)、処理済みC軸アクチュエータコマンド(すなわちC_low)は、比較的低い帯域幅のC軸アクチュエータ116の閾値周波数を超える周波数成分を有していない(あるいは無視し得る量のみを有している)といった具合である。本明細書において使用される場合には、上述した処理済みロータリアクチュエータコマンドのそれぞれは、本明細書において「低周波数成分ロータリアクチュエータコマンド」又はより一般的に「低周波数成分アクチュエータコマンド」と呼ばれる。
【0060】
中間リニアアクチュエータコマンドの第1のセットと処理済みロータリコマンドとが処理されて、中間リニアアクチュエータコマンドの第2のセットが生成される。例えば、順運動変換122が第1の中間X軸アクチュエータコマンド(すなわちX0)、第1の中間Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY0)、第1の中間Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ0)、処理済みB軸アクチュエータコマンド(すなわちB_low)、及び処理済みC軸アクチュエータコマンド(すなわちC_low)に適用され、中間リニアアクチュエータコマンドの第2のセットが生成される。中間リニアアクチュエータコマンドの第2のセットは、第2の中間X軸アクチュエータコマンド(すなわちX1)、第2の中間Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY1)、及び第2の中間Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ1)を含んでいる。順運動変換は、次の等式により適用することができる。
【数2】
【0061】
中間リニアアクチュエータコマンドの第2のセット(例えば、第2の中間X軸アクチュエータコマンドX1、第2の中間Y軸アクチュエータコマンドY1、及び第2の中間Z軸アクチュエータコマンドZ1)は処理ステージ124に入れられ、処理済みリニアアクチュエータコマンドの第1のセットが生成される。処理済みリニアアクチュエータコマンドの第1のセットは、低周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_low)、低周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_low)、及び低周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_low)を含むことができる。処理ステージ124では、例えば、第2の中間リニアアクチュエータコマンドに1以上の好適なフィルタを適用すること、1以上の好適なアルゴリズムによって第2の中間リニアアクチュエータコマンドを修正すること、第2の中間リニアアクチュエータコマンドを減らすこと、第2の中間リニアアクチュエータコマンドに1以上の低次補間を適用することなど、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む1以上のプロセスを第2の中間リニアアクチュエータコマンドに対して行うことができる。好適なフィルタの例としては、デジタルフィルタ、ローパスフィルタ、バッタワースフィルタなど、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適なアルゴリズムの例としては、自己回帰移動平均アルゴリズムなどが挙げられる。処理済みリニアアクチュエータコマンドは、予備リニアアクチュエータコマンドに対応しているが、対応するリニアアクチュエータの閾値周波数を超える周波数成分を有していない(あるいは無視し得る量のみを有している)。このように、低周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_low)は、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102の閾値周波数を超える周波数成分を有しておらず(あるいは無視し得る量のみを有しており)、低周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_low)は、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104の閾値周波数を超える周波数成分を有しておらず(あるいは無視し得る量のみを有しており)、低周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_low)は、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106の閾値周波数を超える周波数成分を有していない(あるいは無視し得る量のみを有している)。
【0062】
低周波数成分リニアアクチュエータコマンド(例えば、X_low、Y_low、及びZ_low)が、中間リニアアクチュエータコマンドの第2のセット中の対応するアクチュエータコマンドから減算され、処理済みリニアアクチュエータコマンドの第2のセットが生成される。処理済みリニアアクチュエータコマンドの第2のセットは、高周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_high)、高周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_high)、及び高周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_high)を含むことができる。例えば、低周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_low)を第2の中間X軸アクチュエータコマンド(すなわちX1)から減算して、高周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_high)を得ることができ、低周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_low)を第2の中間Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY1)から減算して、高周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_high)を得ることができ、低周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_low)を第2の中間Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ1)から減算して高周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_high)を得ることができる。上述した減算は加算器126で行うことができ、この加算器126は、当該分野で知られている好適な又は所望の方法により実現することができる。典型的には、高周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_high)は、比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102の閾値周波数を超えるが、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108の閾値周波数以下である周波数成分を有している。同様に、高周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_high)は、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104の閾値周波数を超えるが、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110の閾値周波数以下である周波数成分を有しており、高周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_high)は、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106の閾値周波数を超えるが、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112の閾値周波数以下である周波数成分を有している。
【0063】
最後に、図示されているように、低周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_low)、低周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_low)、低周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_low)、高周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_high)、高周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_high)、高周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_high)、低周波数成分B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_low)、及び低周波数成分C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_low)がそれぞれ比較的低い帯域幅のX軸アクチュエータ102、比較的低い帯域幅のY軸アクチュエータ104、比較的低い帯域幅のZ軸アクチュエータ106、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112、B軸アクチュエータ114、及びC軸アクチュエータ116に出力される。
【0064】
図示されていないが、制御システム100は、低周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_low)、低周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_low)、低周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_low)、高周波数成分X軸アクチュエータコマンド(すなわちX_high)、高周波数成分Y軸アクチュエータコマンド(すなわちY_high)、高周波数成分Z軸アクチュエータコマンド(すなわちZ_high)、低周波数成分B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_low)、及び低周波数成分C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_low)を生成する際及び/又はこれらのアクチュエータコマンドのいずれかをそれぞれのアクチュエータに出力する際に生じる処理遅延又は伝達遅延を補償するための1以上の遅延バッファを含み得る。この結果、アクチュエータコマンドを同期させてあるいは協調させて出力することができる。アクチュエータコマンドを同期させてあるいは協調させて出力する際に、アクチュエータは、本質的に、同様に同期してあるいは協調して反応又は応答し、所望の軌跡に一致あるいは対応する経路に沿ってツーリング領域を移動させるようにツールチップとワークピースとの間に相対移動を生じさせる。
【0065】
一般的に、制御システム100は、多軸工作機械の1以上の構成要素(例えば、上述したアクチュエータのうちの1つ以上のアクチュエータ、ツールの動作を制御し、あるいは作動させる1以上の構成要素など、又はこれらの任意の組み合わせ)と(例えば、USB、イーサネット、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fiなど又はこれらの任意の組み合わせといった1以上の有線通信リンク又は無線通信リンクによって)通信可能に連結された1以上のコントローラにより実現され得る。一般的に、コントローラは、命令を実行して上述したアクチュエータコマンドを処理及び生成するように構成された1以上のプロセッサを含むものとして特徴付けられる。プロセッサは、命令を実行するように構成された(例えば、1以上の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなど又はこれらの任意の組み合わせを含む)プログラマブルプロセッサであってもよい。プロセッサにより実行可能な命令は、ソフトウェア、ファームウェアなど、あるいは、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、フィールドプログラマブルオブジェクトアレイ(FPOA)、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む(デジタル回路、アナログ回路、アナログ/デジタル混合回路を含む)回路など又はこれらを任意に組み合わせた好適な形態により実現され得る。命令の実行は、1つのプロセッサ上で行ってもよく、複数のプロセッサに分散させてもよく、1つのデバイス内又はデバイスのネットワークにわたる複数のプロセッサにわたって並行に行っても、あるいはこれらを任意に組み合わせて行ってもよい。一実施形態においては、コントローラは、プロセッサにより(例えば、1以上の有線通信リンク又は無線通信リンクを介して)アクセス可能なコンピュータメモリのような有形媒体を含んでいる。本明細書において使用される場合には、「コンピュータメモリ」は、磁気媒体(例えば、磁気テープ、ハードディスクドライブなど)、光学ディスク、揮発性又は不揮発性半導体メモリ(例えば、RAM、ROM、NAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリ、SONOSメモリなど)などを含んでおり、ローカルアクセス可能なもの、又は(例えばネットワークを通じて)遠隔アクセス可能なもの、又はこれらを組み合わせたものであってもよい。一般的に、命令は、コンピュータソフトウェア(例えば、実行可能コード、ファイル、命令など、ライブラリファイルなど)として記憶され得る。このコンピュータソフトウェアは、例えば、C、C++、Visual Basic、Java、Python、Tel、Perl、Scheme、Rubyなどによって書かれ、当業者によって本明細書で述べられた説明から簡単に作成することができる。コンピュータソフトウェアは、一般的に、コンピュータメモリにより伝達された1以上のデータ構造内に格納される。
【0066】
図示されていないが、1以上のドライバ(例えば、RFドライバ、サーボドライバ、ラインドライバ、電源など)が、上述したアクチュエータのうち1以上のアクチュエータ、ツールの動作を制御し、あるいは作動させる1以上の構成要素など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの入力と通信可能に連結されている。典型的には、それぞれのドライバは、コントローラが通信可能に連結されている入力を含んでいる。このように、コントローラは、多軸工作機械の1以上の構成要素に関連付けられた1以上のドライバの入力に伝達可能な1以上の制御信号(例えば、アクチュエータコマンド、ツール制御コマンドなど)を生成することが可能である。制御信号を受信すると、ドライバは、典型的には、連結された構成要素(例えば、アクチュエータ、ツールなど)を動作させ、コマンド信号に対応する効果を生じさせるために、この構成要素に電流を供給する。このように、上述したアクチュエータ、ツールなどの構成要素は、コントローラにより生成され出力されるコマンド信号(例えば、アクチュエータコマンド、ツール制御コマンドなど)に応答するようになっている。
【0067】
上記の観点から、多軸工作機械の(例えば比較的大きな運動範囲を有する)比較的低い帯域幅のアクチュエータ及び(例えば比較的小さな運動範囲を有する)比較的高い帯域幅のアクチュエータの動作を連続的に同期及び協調させて(例えば、所望の軌跡に正確かつ確実に対応するように)ワークピースに対してツーリング領域を位置決め又は移動するために制御システム100を利用できることは理解できよう。制御システム100は、(例えば、所望の軌跡に従って)ワークピースに対してツーリング領域を正確に位置決めすることができるが、ワークピース加工中の任意の時点で最終的に現れたツーリング角度は(例えば、軌跡により明示的又は黙示的に特定される)基準ツーリング角度からずれることがある。一般的に、高周波数成分リニアアクチュエータコマンドが、1組の冗長ロータリアクチュエータの一部ではないロータリアクチュエータの閾値周波数を超える周波数成分を有する場合に、ツーリング角度のずれが生じる。しかしながら、そのようなツーリング角度のずれは、(例えば、多軸工作機械内のアクチュエータの特性に基づいて、あるいは所望の軌跡に基づいてなど)事前に計算することができ、ワークピース加工中に(例えば、ワークピースに対するツーリング領域の移動速度を調整することによって、あるいは処理ステージ120及び124のうち1つ以上の処理ステージでの加工を調整することによって)(完全に又は部分的に)補償することができる。
【0068】
III.軸方向相補的アクチュエータ及び冗長ロータリアクチュエータを有する多軸工作機械の制御
図4は、一実施形態によれば、
図1から
図3に関して上記で例示的に述べたようなアクチュエータを含む多軸工作機械を制御するための制御システム400を模式的に示すブロック図である。しかしながら、本実施形態においては、多軸工作機械は、B軸アクチュエータ402、C軸アクチュエータ404、又はB軸アクチュエータ402及びC軸アクチュエータ404を付加的に含んでいてもよい。B軸アクチュエータ402の閾値周波数は、B軸アクチュエータ114の閾値周波数よりも高い。したがって、本明細書においては、B軸アクチュエータ114を「比較的低い帯域幅のB軸アクチュエータ」とも呼ぶことができ、本明細書においては、B軸アクチュエータ402を「比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ」とも呼ぶことができる。同様に、C軸アクチュエータ404の閾値周波数は、C軸アクチュエータ116の閾値周波数よりも高い。したがって、本明細書においては、C軸アクチュエータ116を「比較的低い帯域幅のC軸アクチュエータ」とも呼ぶことができ、本明細書においては、C軸アクチュエータ404を「比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ」とも呼ぶことができる。
【0069】
比較的低い帯域幅のB軸アクチュエータ114及び比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ114はそれぞれ1組の冗長アクチュエータ(すなわち1組の冗長B軸アクチュエータ)を構成する。同様に、比較的低い帯域幅のC軸アクチュエータ116及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404のそれぞれの対(すなわち1組の冗長C軸アクチュエータ)により1組の冗長アクチュエータが構成される。図示された実施形態は、2つのロータリアクチュエータのみによって構成される1組の冗長アクチュエータを有する多軸工作機械について述べているが、多軸工作機械は、B軸又はC軸のいずれかの軸に沿って移動を生じさせるように配置又は構成された1以上の付加的なロータリアクチュエータをさらに備えていてもよく、冗長アクチュエータのいずれの組も3つ以上のロータリアクチュエータを含んでもよいことは理解できよう。
【0070】
一実施形態においては、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402は、冗長X軸アクチュエータの組における1以上のアクチュエータ及び/又は冗長Z軸アクチュエータの組における1以上のアクチュエータとともに考えると、1組の軸方向相補的アクチュエータを構成する。他の実施形態では、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404は、冗長X軸アクチュエータの組における1以上のアクチュエータ及び/又は冗長Y軸アクチュエータの組における1以上のアクチュエータとともに考えると、1組の軸方向相補的アクチュエータを構成する。さらに他の実施形態においては、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及びC軸アクチュエータ404は、それぞれ、冗長X軸アクチュエータの組における1以上のアクチュエータ、冗長Y軸アクチュエータの組における1以上のアクチュエータ、及び/又は冗長Z軸アクチュエータの組における1以上のアクチュエータとともに考えると、1組の軸方向相補的アクチュエータを構成する。
【0071】
A.ツールチップ位置決めアセンブリに関する実施形態
一実施形態においては、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404の一方又は双方を上記で例示的に説明したツールチップ位置決めアセンブリ内に組み込んでもよい。その結果、多軸工作機械に関連付けられたツールチップをX軸、Y軸、Z軸、又はこれらの任意の組み合わせに加えてB軸及び/又はC軸に沿って同時的に又は非同時的に位置決め又は移動するようにツールチップ位置決めアセンブリを構成することができる。しかしながら、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402、及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404のうちの1つ以上のアクチュエータを適切な場合にあるいは必要に応じてツールチップ位置決めアセンブリから省略してもよいことは理解すべきである。上述したように、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404のうち一方又は双方を含むツールチップ位置決めアセンブリは、「シリアルツールチップ位置決めアセンブリ」として、「パラレルツールチップ位置決めアセンブリ」として、又は(例えば、シリアルツールチップ位置決めアセンブリとパラレルツールチップ位置決めアセンブリに特有の特性を組み合わせた)「ハイブリッドツールチップ位置決めアセンブリ」として特徴付けることができる。
【0072】
i.シリアルツールチップ位置決めアセンブリに関する実施形態
(例えば上述したような)シリアルツールチップ位置決めアセンブリ内において、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404のいずれかが、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404を互いに、あるいはシリアルツールチップ内に含まれる上述したアクチュエータのいずれかに装着又は機械的に結合できるようにする1以上の要素(例えば、ステージ、固定具、チャック、レール、軸受、ブラケット、クランプ、ストラップ、ボルト、ネジ、ピン、保持リング、繋ぎ部材など(図示せず))を含んでいてもよい。
【0073】
シリアルツールチップ位置決めアセンブリ内の比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及び比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ404のそれぞれは、それぞれ1以上の油圧シリンダ、1以上の空気圧シリンダ、1以上のサーボモータ、1以上のボイスコイルアクチュエータ、1以上の圧電アクチュエータ、1以上の電歪素子など、又はこれらの任意の組み合わせにより駆動される1以上の回転ステージ(例えば、ダイレクトドライブステージ、親ネジステージ、ボールネジステージ、ベルト駆動ステージなど)であってもよい。また、シリアルツールチップ位置決めアセンブリ内の比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404のうちいずれかは、連続運動又はステップ状(増分)運動を提供するように構成されていてもよい。
【0074】
機械的構造(例えば、ルータビット、ドリルビット、ツールビット、研削ビット、ブレードなど)、流れやジェットが噴出する他の構造(例えば、ノズル、ヘッドなど)を任意の好適な方法又は所望の方法により維持、保持、移送などするために、ツール固定具(図示せず)が、(上述した)比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112で、あるいは比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402で、あるいは比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404でシリアルツールチップ位置決めアセンブリに機械的に連結されていてもよい。
【0075】
ii.パラレルツールチップ位置決めアセンブリに関する実施形態
一実施形態においては、パラレルツールチップ位置決めアセンブリは、上記で例示的に述べた比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112のうち1つ以上のアクチュエータに加えて、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404を含んでいる。この場合において、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404の構成は、使用されるツールに依存する。以下に述べる実施形態の例は、使用されるツールがレーザ光(例えば、当該分野において知られているような1以上のレーザ源から生成される、一連のパルスとして、又は連続又は準連続レーザ光ビームとして、又はこれらを任意に組み合わせたものとして現れる)を含む例に関連している。
【0076】
使用されるツールがレーザ光である場合、ツーリング領域又はこの近傍のワークピースの部分を照射するように(例えば上述した伝搬経路に沿って)レーザ光を方向付けることができる。ワークピースの表面上を見ると、あるいはツーリング領域でワークピースと交差する伝搬経路の部分に直交する平面で見ると、照射された部分(「スポット」とも呼ばれる)でのレーザ光の空間強度分布は、円形状又は非円形状を有するものとして特徴付けることができる。非円形状の例としては、楕円形状、三角形状、正方形形状、矩形状、不規則形状などが挙げられる。円形状又は非円形状のスポット形状は、1以上のビームクロッピング開口、回折光学素子、AODシステム、プリズム、レンズなど(これらは多軸工作機械の一部として含めることができ、伝搬経路内に配置することができる)を用いて当該分野において知られている好適な方法により生成することができ、あるいは、非平坦であるか、又はツーリング領域でワークピースに交差する伝搬経路の部分に対して直交しないツーリング領域において、あるいはこれらの組み合わせにおいて、ワークピースの表面を照射するレーザ光ビームの結果として生成することができる。
【0077】
上記の観点から、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404を、伝搬経路内において、パラレルツールチップ位置決めアセンブリ(例えばパラレルツールチップ位置決めアセンブリ300)内の比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108又は比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110のいずれかの必要に応じて「上流」又は必要に応じて「下流」にある任意の好適な位置又は所望の位置に配置することができる。一実施形態において、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404は、微小電気機械システム(MEMS)ミラーシステム、適応制御光学(AO)システム、又はこれらを任意に組み合わせたものとすることができ、入射レーザ光ビームの空間強度分布の配向を効果的に変更する方法によって、伝搬経路に対して空間強度分布の形状を変更するように構成することができる。他の実施形態では、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404は、1以上のプリズムとすることができ、このプリズムをアクチュエータによって(例えば、伝搬経路が沿って延びる軸を中心として)回転させるか、あるいは移動させて伝搬経路に対して空間エネルギー分布の配向を変更してもよい。一実施形態においては、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404は、米国特許第6,362,454号において述べられているようなものであってもよい。この特許は参照により本明細書に組み込まれる。さらに他の実施形態においては、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404は、1以上のAODシステム(例えば、1以上のチャーピングされた印加RF信号に応答して、X軸及びY軸のような2つの軸に沿ってレーザ光を回折させるように配置及び構成される)とすることができる。
【0078】
場合によっては、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404と、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、及び比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112のうちの1以上のアクチュエータとにより提供される機能を同一システムによって提供することができる。例えば、MEMSミラーシステム、AOシステム、及び1対のAODシステム(例えば、X軸に沿ってレーザ光を回折させるように配置及び構成されたあるAODシステムと、Y軸に沿ってレーザ光を回折させるように配置及び構成された別のAODシステム)のようなシステムを駆動して、X軸及びY軸に沿ってレーザ光を回折させ、ツーリング領域においてレーザ光により照射されるスポットのサイズを変更し(これにより、Z軸に沿った処理中にワークピースに照射される集束レーザ光のビームウェストの位置を効果的に変更し)、伝搬経路に対してレーザ光ビームの空間的エネルギー分布の配向を変更することができる。したがって、このようなシステムは、設置方法及び駆動方法に応じて、比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404、又はこれらを任意に組み合わせたものとして特徴付けることができる。
【0079】
iii.ハイブリッドツールチップ位置決めアセンブリに関する実施形態
一実施形態においては、ハイブリッドツールチップ位置決めアセンブリは、上記でシリアルツールチップ位置決めアセンブリに関連して例示的に述べた比較的高い帯域幅のX軸アクチュエータ108、比較的高い帯域幅のY軸アクチュエータ110、比較的高い帯域幅のZ軸アクチュエータ112、及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404のうちの1以上のアクチュエータに加えて、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402を含んでいる。この場合において、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402は、X軸、Y軸、Z軸、C軸、又はこれらを任意に組み合わせた軸に沿って同時的又は非同時的に移動可能となるように、上述したアクチュエータのうちの1以上のアクチュエータに取り付けられ、これにより移動可能とされる。比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402の構成は、使用するツールに依存することは理解できよう。以下に述べる実施形態の例は、使用されるツールがレーザ光(例えば、当該分野において知られているような1以上のレーザ源から生成される、一連のパルスとして、又は連続又は準連続レーザ光ビームとして、又はこれらを任意に組み合わせたものとして現れる)を含む場合に関連するものである。使用されるツールがレーザ光である場合には、ツーリング領域上又はツーリング領域の近傍のワークピースの部分を照射するように(例えば、上述した伝搬経路に沿って)レーザ光を方向付けることができる。
【0080】
次に、
図5を参照すると、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402は、印加RF信号に応答して、ある軸に沿って(例えばX軸に沿って)レーザ光を回折させるように配置及び構成された第1のAODシステム500と、必要に応じて第2のAODシステム502の「下流側」に配置及び設置され、印加RF信号に応答して、別の軸に沿って(例えばY軸に沿って)レーザ光を回折させるように構成された第2のAODシステム502とを含むことができる。比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402は、半波長板501及び503、偏光ビームスプリッタ505などの付加的な構成要素を含むことができる。駆動されると、第1のAODシステム500及び第2のAODシステム502は、第1のAODシステム500及び第2のAODシステム502に関連付けられたスキャン範囲内で(例えば、偏向ビーム512及び514により示されているように)レーザ光510の入射ビームを偏向又は任意の個数の位置に移動させることができる。偏向ビーム512及び514のような偏向ビームは、レーザ光510の入射ビームに対して測定される偏向角によって特徴付けることができる。
【0081】
また、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402は、必要に応じて第2のAODシステム502の下流側に配置される1組のレンズ(例えば、リレーレンズ504及びスキャンレンズ506)を含むことができる。リレーレンズ504は、偏向ビーム(例えば、偏向ビーム512及び514)の偏向角をスキャンレンズ506上で横方向にずらされたビーム(例えば、横方向にずらされたビーム512’及び514’)に変換するために使用される。そして、スキャンレンズ506は、横方向にずらされたビーム(例えば、横方向にずらされたビーム512’及び514’)を(ここでは508で図示される)ワークピースに伝達される入射ビーム(例えば、入射ビーム512”及び514”)に変換する。図示されているように、入射ビーム512”及び514”は、同一のスポット(又は少なくとも実質的に同一のスポット又はツーリング領域)において異なるツーリング角度でワークピースを照射する。
【0082】
上述した比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402の構成に基づくと、レーザ光の入射ビームのツーリング角度を変更できる速度は、第1のAODシステム500及び第2のAODシステム502のリフレッシュレートに対応することは理解すべきである。最大ツーリング角度は、AOD偏向範囲及びリレーレンズ504の焦点距離に比例し、スキャンレンズ506の焦点距離に反比例する。リレーレンズ504とスキャンレンズ506との間の距離を調整して、異なる入射ビームをワークピース508上の同一のツーリング領域に確実に照射することができる。
【0083】
B.ツールチップ位置決めアセンブリに関する追記
上記にかかわらず、(例えば、ワークピースを位置決め及び/又は移動するために)ワークピース位置決めアセンブリ内に組み込まれているものとして上記で述べられた比較的低い帯域幅のアクチュエータのいずれも、(例えば、ツールチップを位置決め及び/又は移動するための)比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402又は比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404を含むツールチップ位置決めアセンブリの一部として付加的に又は代替的に組み込まれていてもよいことは理解すべきである。さらに、上記にかかわらず、ある実施形態では、ツールチップ位置決めアセンブリは、ARGES社により提供されるPRECESSION ELEPHANT及びPRECESSION ELEPHANT 2シリーズのスキャンヘッドなど、現在当該分野において入手可能な任意のレーザスキャニング又は集束アセンブリであってもよいことは理解すべきである。さらに、上記にかかわらず、ある実施形態では、ツールチップ位置決めアセンブリは、国際公開公報第WO 2014/009150 A1号において述べられているようなものであってもよいことは理解すべきである。この公報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0084】
C.アクチュエータコマンドの処理に関する実施形態
一般的に、制御システム400は、制御システム100に関して例示的に述べられた1以上のコントローラにより実現することができ、制御システム400の動作は、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404、又はこれらの組み合わせがあるために付加的なプロセス及び動作が導入されている点を除き、
図1に関して上記で述べた制御システム100の動作と同じである。以下、これらの付加的なプロセス及び動作について述べる。
【0085】
低周波数成分ロータリアクチュエータコマンド(例えば、B_low及びC_low)は、1以上のさらに処理されたロータリアクチュエータコマンドを生成するために予備ロータリアクチュエータコマンド(例えば、予備B軸アクチュエータコマンドB_prelim.及び予備C軸アクチュエータコマンドC_prelim.)において減算された対応アクチュエータコマンドである。例えば、低周波数成分のB軸アクチュエータコマンド(すなわちB_low)を予備B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_prelim.)から減算して、さらに処理されたロータリアクチュエータコマンドとして高周波数成分B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_high)を得ることができる。同様に、低周波数成分C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_low)を予備C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_prelim.)から減算して、さらに処理されたロータリアクチュエータコマンドとして高周波数成分C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_high)を得ることができる。上述した減算は、加算器406で行うことができ、この加算器406は、当該分野で知られている好適な又は所望の方法により実現することができる。典型的には、高周波数成分B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_high)は、比較的低い帯域幅のB軸アクチュエータ114の閾値周波数を超えるが、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402の閾値周波数以下である周波数成分を有している。同様に、高周波数成分C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_high)は、比較的低い帯域幅のC軸アクチュエータ116の閾値周波数を超えるが、比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404の閾値周波数以下である周波数成分を有している。
【0086】
最後に、図示されているように、高周波数成分B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_high)、高周波数成分C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_high)、又はこれらを任意に組み合わせたものが、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404のそれぞれに出力される。図示していないが、制御システム400は、高周波数成分B軸アクチュエータコマンド(すなわちB_high)、高周波数成分C軸アクチュエータコマンド(すなわちC_high)を生成する際及び/又はこれらのアクチュエータコマンドのいずれかをそれぞれのアクチュエータに出力する際に生じる処理遅延又は伝達遅延を補償するための1以上の遅延バッファを含み得る。この結果、図示されたアクチュエータコマンドを同期させてあるいは協調させて出力することができる。アクチュエータコマンドを同期させてあるいは協調させて出力する際に、アクチュエータは、本質的に、同様に同期してあるいは協調して反応又は応答し、所望の軌跡に一致あるいは対応する経路に沿ってツーリング領域を移動させるようにツールチップとワークピースとの間に相対移動を生じさせる。
【0087】
上記は、本発明の実施形態を説明したものであって、これに限定するものとして解釈されるものではない。いくつかの特定の実施形態及び例が図面を参照して述べられたが、当業者は、本発明の新規な教示や利点から大きく逸脱することなく、開示された実施形態及び例と他の実施形態に対して多くの改良が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、そのような改良はすべて、特許請求の範囲において規定される発明の範囲に含まれることを意図している。例えば、当業者は、そのような組み合わせが互いに排他的になる場合を除いて、いずれかの文や段落、例又は実施形態の主題を他の文や段落、例又は実施形態の一部又は全部の主題と組み合わせることができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とこれに含まれるべき請求項の均等物とによって決定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光ビームを集束することにより、ビーム軸に沿って伝搬し、ビームウェストを有する集束レーザ光ビームを生成するように配置及び構成されるスキャンレンズと、
前記ビーム軸に沿って前記スキャンレンズを移動可能なリニアアクチュエータと、
レーザ源と前記スキャンレンズとの間に配置され、前記ビームウェストを前記ビーム軸に沿って移動可能な少なくとも1つのポジショナであって、前記少なくとも1つのポジショナの帯域幅は、前記リニアアクチュエータの帯域幅よりも高く、音響光学偏向器(AOD)システム、微小電気機械システム(MEMS)ミラーシステム及び適応制御工学(AO)システムからなる群から選択される少なくとも1つを含む少なくとも1つのポジショナと、
前記リニアアクチュエータ及び前記少なくとも1つのポジショナに動作可能に連結されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
入力リニアアクチュエータコマンド、第1の出力リニア出力コマンド、第2の出力リニア出力コマンドに少なくとも部分的に基づいて、低周波数成分リニアアクチュエータコマンド及び高周波数成分リニアアクチュエータコマンドを生成し、前記低周波数成分リニアアクチュエータコマンドは、前記リニアアクチュエータの前記帯域幅内にある周波数成分を有し、前記高周波数成分リニアアクチュエータコマンドは、前記少なくとも1つのポジショナの前記帯域幅内にある周波数成分を有し、
前記低周波数成分リニアアクチュエータコマンドを前記リニアアクチュエータに出力し、
前記高周波数成分リニアアクチュエータコマンドを前記少なくとも1つのポジショナに出力する
ことが可能である、
装置。
【請求項2】
前記高周波数成分リニアアクチュエータコマンドは、前記リニアアクチュエータの前記帯域幅を超える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スキャンレンズと前記少なくとも1つのポジショナとの間に配置された少なくとも1つのガルバノメータ駆動ミラーシステムをさらに備える、請求項1又は2に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
シリアルツールチップ位置決めアセンブリ内の比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404のそれぞれは、それぞれ1以上の油圧シリンダ、1以上の空気圧シリンダ、1以上のサーボモータ、1以上のボイスコイルアクチュエータ、1以上の圧電アクチュエータ、1以上の電歪素子など、又はこれらの任意の組み合わせにより駆動される1以上の回転ステージ(例えば、ダイレクトドライブステージ、親ネジステージ、ボールネジステージ、ベルト駆動ステージなど)であってもよい。また、シリアルツールチップ位置決めアセンブリ内の比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402及び比較的高い帯域幅のC軸アクチュエータ404のうちいずれかは、連続運動又はステップ状(増分)運動を提供するように構成されていてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
次に、
図5を参照すると、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402は、印加RF信号に応答して、ある軸に沿って(例えばX軸に沿って)レーザ光を回折させるように配置及び構成された第1のAODシステム500と、必要に応じて第
1のAODシステム
500の「下流側」に配置及び設置され、印加RF信号に応答して、別の軸に沿って(例えばY軸に沿って)レーザ光を回折させるように構成された第2のAODシステム502とを含むことができる。比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402は、半波長板501及び503、偏光ビームスプリッタ505などの付加的な構成要素を含むことができる。駆動されると、第1のAODシステム500及び第2のAODシステム502は、第1のAODシステム500及び第2のAODシステム502に関連付けられたスキャン範囲内で(例えば、偏向ビーム512及び514により示されているように)レーザ光510の入射ビームを偏向又は任意の個数の位置に移動させることができる。偏向ビーム512及び514のような偏向ビームは、レーザ光510の入射ビームに対して測定される偏向角によって特徴付けることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
また、比較的高い帯域幅のB軸アクチュエータ402は、必要に応じて第2のAODシステム502の下流側に配置される1組のレンズ(例えば、リレーレンズ504及びスキャンレンズ506)を含むことができる。リレーレンズ504は、偏向ビーム(例えば、偏向ビーム512及び514)の偏向角をスキャンレンズ506上で横方向にずらされたビーム(例えば、横方向にずらされたビーム512’及び514’)に変換するために使用される。そして、スキャンレンズ506は、横方向にずらされたビーム(例えば、横方向にずらされたビーム512’及び514’)を(ここでは508で図示される)ワークピースに伝達される入射ビーム(例えば、入射ビーム512”及び514”)に変換する。図示されているように、入射ビーム512”及び514”は、同一の(又は少なくとも実質的に同一の)スポット又はツーリング領域において異なるツーリング角度でワークピースを照射する。
【外国語明細書】