IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-定着装置 図1
  • 特開-定着装置 図2
  • 特開-定着装置 図3
  • 特開-定着装置 図4
  • 特開-定着装置 図5
  • 特開-定着装置 図6
  • 特開-定着装置 図7
  • 特開-定着装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122773
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240902BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G03G15/20 515
G03G15/20 535
G03G21/16 185
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030502
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】池野 雄一
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA35
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA13
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA30
2H033BA32
2H033BA34
2H033BB12
2H033BB18
2H033BB21
2H033BB22
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H033BE03
2H171FA05
2H171FA15
2H171GA40
2H171KA13
2H171MA05
2H171QC36
(57)【要約】
【課題】加熱ユニットと加圧ローラが互いに移動しても加熱ユニットと加圧ローラの両方を安定して接地できる。
【解決手段】定着装置1は、加圧ローラ3と、加熱ユニット2と、軸受と、第1アース部材110と、第2アース部材120と、ニップ圧変更機構とを備える。第1アース部材110は、軸受と接触して加圧ローラ3を接地する。第2アース部材120は、ステイと接触してステイを接地する。ニップ圧変更機構は、加圧ローラ3と加熱ユニット2の少なくとも一方を、軸方向と交差する移動方向に移動させてニップ圧を変更可能である。第1アース部材110は、第1方向に延びる第1摺接部113Aを有する。第2アース部材120は、第1方向と交差する第2方向に延びる。第2摺接部123Aは、加圧ローラ3および加熱ユニット2の少なくとも一方が移動方向に移動する場合に、第1摺接部113Aと摺動可能である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる回転軸について回転可能な加圧ローラであって、前記軸方向に延びるシャフトと、前記シャフトの外周面を覆う弾性層と、を有する加圧ローラと、
加熱ユニットであって、
前記加圧ローラとの間でニップ部を形成する無端状のベルトと、
抵抗発熱体が設けられた基板を有し、前記ベルトの内周面に摺接するヒータと、
前記ヒータを支持するホルダと、
前記ホルダに対して、前記ヒータとは反対側から前記ホルダと接触する導電性のステイと、を有する加熱ユニットと、
前記シャフトを回転可能に支持する、導電性を有する軸受と、
前記軸受と接触して前記加圧ローラを接地するための第1アース部材と、
前記ステイと接触して、前記ステイを接地するための第2アース部材と、
前記加圧ローラと前記加熱ユニットの少なくとも一方を、前記軸方向と交差する方向である移動方向に移動させることで、前記ニップ部におけるニップ圧を変更可能なニップ圧変更機構と、を備え、
前記第1アース部材は、第1方向に延びる第1摺接部を有し、
前記第2アース部材は、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2摺接部であって、前記加圧ローラおよび前記加熱ユニットの少なくとも一方が前記移動方向に移動する場合に、前記第1摺接部と摺動可能な第2摺接部を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記ニップ圧変更機構は、前記加熱ユニットを前記加圧ローラに対して移動可能であり、
前記第1方向は、前記移動方向であることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
電気的に接地可能な接地端子を有する安全対策回路をさらに備え、
前記第1アース部材は、
第1コイル部と、
前記第1コイル部から延び、前記軸受の外周面と接触する第1アームと、
前記第1コイル部から延び、前記接地端子に接続された第2アームであって、前記第1摺接部を有する第2アームと、を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記安全対策回路は、
直列に接続されたキャパシタおよび第1抵抗と、前記キャパシタおよび前記第1抵抗と並列接続される第2抵抗と、を有する回路と、
前記接地端子と前記回路の間に位置するダイオードであって、前記回路から前記接地端子への電流の流れを抑制するダイオードと、を有することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記軸受を支持するフレームをさらに備え、
前記フレームは、軸方向に突出する第1突起を有し、
前記第1突起は、前記第1コイル部に入ることで前記第1アース部材を保持することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第2アース部材は、
第2コイル部と、
前記第2コイル部から延び、前記ステイと接触する第3アームと、
前記第2コイル部から延び、前記第2摺接部を有する第4アームと、を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項7】
前記ホルダは、前記移動方向に突出する第2突起を有し、
前記第2突起は、前記第2コイル部に入ることで前記第2アース部材を保持することを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記加熱ユニットの温度を検知する温度センサと、前記温度センサに接続されたケーブルであって、前記ヒータに電力を供給するためのケーブルと、をさらに備え、
前記ホルダは、前記第2アース部材と前記ケーブルを隔てる壁部を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項9】
前記軸受は、転がり軸受であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項10】
前記軸受は、内部に導電性を有するグリスを有することを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
【請求項11】
前記ヒータに電力を供給するためのケーブルと、前記ケーブルに接続されたコネクタであって、前記ホルダの前記軸方向の一端に配置されたコネクタをさらに備え、
前記第2アース部材は、前記ホルダの前記軸方向の前記一端に位置することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナー像を定着させる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートにトナー像を定着させる定着装置が知られている(特許文献1参照)。この定着装置は、加圧ローラと、加圧ローラに対して移動可能な加熱ユニットとを有する。加熱ユニットは、アース部材によって加圧ローラのボールベアリングと電気的に接続されている。加圧ローラは、加熱部材と加圧ローラを電気的に接続する部材とは別のアース部材によって、ボールベアリングを介して接地されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-252063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加熱ユニットと加圧ローラを移動すると、アース部材も移動するため、加熱ユニットと加圧ユニットの両方を安定して接地できないおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、加熱ユニットと加圧ローラが互いに移動しても加熱ユニットと加圧ローラの両方を安定して接地できる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、加圧ローラと、加熱ユニットと、軸受と、第1アース部材と、第2アース部材と、ニップ圧変更機構と、を備える。
加圧ローラは、軸方向に延びる回転軸について回転可能である。加圧ローラは、軸方向に延びるシャフトと、シャフトの外周面を覆う弾性層と、を有する。加熱ユニットは、無端状のベルトと、ヒータと、ステイと、を有する。無端状のベルトは、加圧ローラとの間でニップ部を形成する。ヒータは、抵抗発熱体が設けられた基板を有する。ヒータは、ベルトの内周面に摺接する。ホルダは、ヒータを支持する。ステイは、ホルダに対して、ヒータとは反対側からホルダと接触し、導電性である。軸受は、シャフトを回転可能に支持する。軸受は、導電性を有する。第1アース部材は、軸受と接触して加圧ローラを接地する。第2アース部材は、ステイと接触して、ステイを接地する。ニップ圧変更機構は、加圧ローラと加熱ユニットの少なくとも一方を、軸方向と交差する方向である移動方向に移動させることで、ニップ部におけるニップ圧を変更可能である。第1アース部材は、第1方向に延びる第1摺接部を有する。第2アース部材は、第1方向と交差する第2方向に延びる。第2摺接部は、加圧ローラおよび加熱ユニットの少なくとも一方が移動方向に移動する場合に、第1摺接部と摺動可能である。
【0007】
加圧ローラを接地する第1アース部材が、加熱ユニットを接地する第2アース部材に摺動可能に接触するので、加圧ローラと加熱ユニットが移動しても、第1アース部材と第2アース部材との電気的接触が安定して維持される。このため、加熱ユニットと加圧ローラが互いに移動しても加熱ユニットと加圧ローラの両方を安定して接地することができる。
【0008】
また、ニップ圧変更機構は、加熱ユニットを加圧ローラに対して移動可能であってもよい。そして、第1方向は移動方向であってもよい。
【0009】
また、電気的に接地可能な接地端子を有する安全対策回路をさらに備え、第1アース部材は、第1コイル部と、第1コイル部から延び軸受の外周面と接触する第1アームと、第1コイル部から延び接地端子に接続され、第1摺接部を有する第2アームと、を有してもよい。
【0010】
第1アース部材の第2アームが設置端子を有する安全対策回路と接続されているため、安定した接地が可能となる。
【0011】
また、安全対策回路は、直列に接続されたキャパシタおよび第1抵抗と、キャパシタおよび第1抵抗と並列接続される第2抵抗とを有する回路を有してもよい。そして、安全対策回路は、接地端子と回路の間に位置するダイオードであって、回路から接地端子への電流の流れを抑制するダイオードと、を有してもよい。
【0012】
また、軸受を支持するフレームをさらに備え、フレームは、軸方向に突出する第1突起を有してもよい。そして、第1突起は、第1コイル部に入ることで第1アース部材を保持してもよい。
【0013】
フレームの第1突起が第1アース部材を保持することで、第1アース部材の第2アース部材に対する位置ずれを抑制できる。
【0014】
また、第2アース部材は、第2コイル部と、第2コイル部から延びステイと接触する第3アームと、第2コイル部から延び第2摺接部を有する第4アームと、を有してもよい。
【0015】
また、ホルダは、移動方向に突出する第2突起を有し、第2突起は、第2コイル部に入ることで第2アース部材を保持してもよい。
【0016】
ホルダの第2突起が第2アース部材を保持することで、第2アース部材の第1アース部材に対する位置ずれを抑制できる。
【0017】
また、加熱ユニットの温度を検知する温度センサと、温度センサに接続されたケーブルであって、ヒータに電力を供給するためのケーブルと、をさらに備え、ホルダは、第2アース部材とケーブルを隔てる壁部を有してもよい。
【0018】
ホルダが第2アース部材とケーブルを隔てる壁部を有するため、第2アース部材とケーブルを安定して絶縁できる。
【0019】
また、軸受は、転がり軸受であってもよい。
【0020】
また、軸受は、内部に導電性を有するグリスを有してもよい。
【0021】
また、ヒータに電力を供給するためのケーブルと、ケーブルに接続されたコネクタであって、ホルダの軸方向の一端に配置されたコネクタをさらに備え、第2アース部材は、ホルダの軸方向の一端に位置してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、加熱ユニットと加圧ローラが互いに移動しても加熱ユニットと加圧ローラの両方を安定して接地できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る定着装置を示す断面図(a)と、ヒータ周りを拡大して示す断面図(b)である。
図2】フレームとニップ圧変更機構を分解して示す斜視図である。
図3】ニップ圧変更機構を示す断面図であり、ニップ圧が第1ニップ圧となる状態を示す断面図である。
図4】ニップ圧変更機構を示す断面図であり、ニップ圧が第2ニップ圧となる状態を示す断面図である。
図5】第1アース部材、加圧ローラおよび安全対策回路を示す斜視図である。
図6】第2アース部材を保持するホルダの部分拡大図である。
図7】第1アース部材と第2アース部材の電気的接続を示すブロック図である。
図8】第1アース部材と第2アース部材の電気的接続を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a),(b)に示すように、定着装置1は、シートSにトナー像を定着させる装置である。定着装置1は、プリンタなどの画像形成装置に設置される。定着装置1は、加熱ユニット2と、加圧ローラ3と、フレーム4と、除電ブラシ5と、を備える。
【0025】
加圧ローラ3は、軸方向に延びる回転軸の一例である第3軸X3を中心に回転可能である。加圧ローラ3は、ニップ部NPにおいて加熱ユニット2との間でシートSを挟んで搬送する。加圧ローラ3は、シャフト3Aと、弾性層3Bと、を有する。シャフト3Aは、軸方向に延びる。弾性層3Bは、シャフト3Aの外周面を覆う。なお、以下の説明では、加圧ローラ3の軸方向を、単に「軸方向」と称する。また、ニップ部NPでのシートSの搬送方向を、単に「搬送方向」と称する。また、図において、方向を示す矢印は、一方側を指すこととする。
【0026】
加熱ユニット2は、ヒータ10と、ホルダ20と、ステイSTと、ベルトBLとを有する。ヒータ10は、ベルトBLを介してシートSを加熱する。
【0027】
図1(b)に示すように、ヒータ10は、ベルトBLの内周面に摺接する。ヒータ10は、いわゆるセラミックヒータである。ヒータ10は、基板11と、抵抗発熱体12と、カバー13と、を有する。基板11は、酸化アルミニウムを材料とするセラミックの細長い長方形の板からなる。抵抗発熱体12は、基板11の一方の面に設けられ、印刷により形成されている。カバー13は、抵抗発熱体12を覆っている。カバー13は、例えば、ガラスからなる。
【0028】
図1(a)に示すように、ホルダ20は、ヒータ10を支持するとともに、ベルトBLを案内する機能を有する。ホルダ20は、例えば、樹脂からなる。
【0029】
ステイSTは、ホルダ20を支持する。具体的には、ステイSTは、ホルダ20に対して、ヒータ10とは反対側からホルダ20と接触する。ステイSTは、導電性である。ステイSTは、例えば金属からなる。
【0030】
ベルトBLは、無端状である。ベルトBLは、金属または樹脂などからなる。ベルトBLは、ホルダ20に案内されながら、ヒータ10の周りを回転する。ベルトBLは、外周面と内周面を有する。外周面は、加圧ローラ3または加熱対象となるシートSと接触する。内周面は、ヒータ10と接触する。ベルトBLは、加圧ローラ3との間でニップ部NPを形成する。
【0031】
フレーム4は、第1フレーム41と、第2フレーム42とを有する。第1フレーム41は、加熱ユニット2および加圧ローラ3を支持する。第2フレーム42は、加熱ユニット2を加圧ローラ3の反対側から覆うように、第1フレーム41に取り付けられている。
【0032】
除電ブラシ5は、第2フレーム42に取り付けられている。除電ブラシ5は、ベルトBLを除電するための部材である。除電ブラシ5は、導電性を有する繊維からなる。
【0033】
図2に示すように、加熱ユニット2は、コネクタCNと、温度センサTHと、ケーブルCBと、をさらに有する。コネクタCNは、ホルダ20の軸方向の一端に配置され、ヒータ10に接続されている。温度センサTHは、加熱ユニット2の温度を検知する。詳しくは、温度センサTHは、サーモスタットであり。温度センサTHは、ベルトBLの内側に配置され、ヒータ10に接触して配置されている。ケーブルCBは、温度センサTHおよびコネクタCNに接続されている。ケーブルCBは、ヒータ10と温度センサTHを直列に接続しており、ヒータ10に電力を供給可能である。温度センサTHは、ヒータ10の温度が所定以上になると、ヒータ10への電力の供給を遮断する。
【0034】
加圧ローラ3のシャフト3Aの両端部には、軸受BRが設けられている。軸受BRは、加圧ローラ3のシャフト3Aを回転可能に支持する。軸受BRは、転がり軸受である。図3に示すように、本実施形態では、軸受BRは、ボールベアリングである。軸受BRは、シャフト3Aが嵌合した内輪BR1と、内輪BR1の径方向外側に位置する外輪BR2とを有している。軸受BRは、内部に、ボールBR3と、導電性を有するグリスを有している。これにより、軸受BRは、シャフト3Aと接する内輪BR1の内周面と、外輪BR2の外周面との間で電気的に接続している。
【0035】
図2に戻り、第1フレーム41は、基部41Aと、レール41Bとを有する。基部41Aは、凹部A1を有する。凹部A1は、加圧ローラ3の軸受BRを支持する。凹部A1は、加圧ローラ3の軸方向における基部41Aの一端部と他端部のそれぞれに配置されている。
【0036】
レール41Bは、加熱ユニット2を第1方向に移動可能に支持する。本実施形態では、第1方向は、加熱ユニット2と加圧ローラ3が並ぶ方向である。第1方向は、軸方向と直交することが望ましい。また、軸方向および第1方向と交差する方向を第2方向という。本実施形態では、第2方向は、軸方向および第1方向と直交する方向であり、搬送方向と同じ方向である。
【0037】
レール41Bは、軸方向における基部41Aの一端部と他端部のそれぞれに配置されている。レール41Bは、第1延在部B1と、第2延在部B2とを有する。第1延在部B1は、基部41Aから第1方向の一方側に延びる。第2延在部B2は、基部41Aから第1方向の一方側に延びる。第2延在部B2は、第2方向において、第1延在部B1から離れている。凹部A1は、搬送方向において、第1延在部B1と第2延在部B2の間に位置する。
【0038】
定着装置1は、ニップ圧変更機構NMと、第1アース部材110と、第2アース部材120と、をさらに備えている。
【0039】
ニップ圧変更機構NMは、加熱ユニット2と加圧ローラ3の間のニップ圧を変更する機構である。ニップ圧変更機構NMは、加熱ユニット2と加圧ローラ3の少なくとも一方を、移動させることで、ニップ部NPにおけるニップ圧を変更可能である。本実施形態では、ニップ圧変更機構NMは、加圧ローラ3に対して、加熱ユニット2を第1方向に移動させることで、ニップ圧を変更する。ニップ圧変更機構NMは、シャフトSFと、加圧アーム60と、加圧バネ70と、カムCAと、を備えている。第1フレーム41は、加圧バネ70を支持するとともに、加圧アーム60およびカムCAを回動可能に支持する。
【0040】
加圧アーム60とカムCAは、軸方向における第1フレーム41の一端部と他端部のそれぞれに配置されている。加圧バネ70も、軸方向における第1フレーム41の一端部と他端部のそれぞれに配置されている。ニップ圧変更機構NMの軸方向の一方側の構造と、他方側の構造は、略同一であるため、以下、主に軸方向の一方側の構造を代表して説明する。
【0041】
シャフトSFは、軸方向に延びている。シャフトSFは、例えば金属からなる。シャフトSFの軸方向の各端部には、カムCAが固定されている。第1フレーム41は、シャフトSFを回動可能に支持する第2支持部41Cを有する。
【0042】
図3に示すように、カムCAは、第2軸X2まわりに回動可能である。
【0043】
加圧アーム60は、加熱ユニット2を加圧ローラ3に向けて押圧するアームである。第1フレーム41は、加圧アーム60を第1軸X1まわりに回動可能に支持する第1支持部41Dを有する。第1支持部41Dは、略円柱状の突起である。第1軸X1、第2軸X2および第3軸X3は、それぞれ異なる位置に位置する。第1軸X1、第2軸X2および第3軸X3は、互いに平行である。
【0044】
加圧バネ70は、加圧アーム60を加圧ローラ3に向けて付勢する引張コイルバネである。加圧バネ70の付勢方向は、第1方向と略平行である。第1フレーム41は、加圧バネ70の一端が引っ掛かる第1バネ掛け41Eを有する。
【0045】
カムCAは、加圧バネ70の付勢力に抗して加圧アーム60を押圧可能となっている。具体的に、カムCAは、図3に示す第1位置と、図4に示す第2位置との間で回動可能となっている。
【0046】
カムCAが第1位置に位置するとき、ニップ圧は第1ニップ圧となる。カムCAが第2位置に位置するとき、ニップ圧は、第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧となる。
【0047】
加圧アーム60は、本体部61と、被支持部62と、第1先端部63と、第2先端部64と、を有する。第1先端部63は、金属からなるベース部63Aと、樹脂からなるカムフォロア63B(図2も参照)とを有する。本体部61、被支持部62、ベース部63Aおよび第2先端部64は、金属からなり、一体に形成されている。カムフォロア63Bは、ベース部63Aに嵌め込まれている。
【0048】
本体部61は、第1端E1および第2端E2を有する。本体部61は、第1端E1と第2端E2の間に、加熱ユニット2を加圧ローラ3に向けて押圧する加圧面F1を有する。
【0049】
ここで、加熱ユニット2は、軸方向の各端部に、サイドガイドSGを有している(図2も参照)。サイドガイドSGは、ステイSTの軸方向の端部を支持する。サイドガイドSGは、レール41Bに移動可能に係合する。加圧面F1は、サイドガイドSGを加圧ローラ3に向けて押圧する。
【0050】
被支持部62は、本体部61の第1端E1に位置する。被支持部62は、第1フレーム41の第1支持部41Dで支持されている。
【0051】
第1先端部63は、本体部61の第2端E2に位置する。第1先端部63は、カムCAによって押圧される被押圧面F2を有する。詳しくは、ベース部63Aは、本体部61の第2端E2から第2方向の一方側に向かうにつれて第1方向の一方側に位置するように、搬送方向に対して傾斜した方向に延びている。ベース部63Aに取り付けられたカムフォロア63Bは、被押圧面F2を有している。
【0052】
第2先端部64は、本体部61の第2端E2に位置する。第2先端部64は、第1先端部63とは異なる方向に延びる。第2先端部64は、加圧バネ70の他端が引っ掛かる第2バネ掛け64Aを有する。
【0053】
図2に戻り、第1アース部材110は、軸受BRと接触して加圧ローラ3を接地する部材である。第1アース部材110は、トーションバネである。第1アース部材110は、第1コイル部111と、第1アーム112と、第2アーム113と、を有する。
【0054】
図5に示すように、第1アーム112は、第1コイル部111から第2方向に延びている。第1アーム112は、先端部112Aを有する。先端部112Aは、第1アーム112の先端から軸方向の一方側に90°折り曲げられて形成されている。
【0055】
第2アーム113は、第1摺接部113Aと、第1部分113Bと、第2部分113Cと、第3部分113Dと、第4部分113Eと、第5部分113Fとを有する。
【0056】
第1摺接部113Aは、第1コイル部111から第1方向に延びている。第1部分113Bは、第1摺接部113Aの第1方向の一方側の端から斜めに延びている。第1部分113Bは、第1方向の一方側に向かうにつれて、軸方向の一方側に向けて延びている。第2部分113Cは、第1部分113Bの第1方向の一方側の端から第1方向の一方側に延びている。第3部分113Dは、第2部分113Cの第1方向における一方側の端から軸方向の一方側に延びている。第4部分113Eは、第3部分113Dから軸方向の一方側に延び、フック形状を有する。第5部分113Fは、第4部分113Eの端から第1方向の他方側に延びる。
【0057】
図2に戻り、第2アース部材120は、ステイSTと接触して、ステイSTを接地する部材である。第2アース部材120は、トーションバネである。第2アース部材120は、第2コイル部121と、第3アーム122と、第4アーム123と、を有する。
【0058】
第3アーム122は、第2コイル部121から延びている。第3アーム122は、先端部122Aを有する。先端部122Aは、第3アーム122の先端から軸方向の一方側に90°折り曲げられて形成されている。
【0059】
第4アーム123は、第2コイル部121から第2方向の他方側に向けて延びている。第4アーム123は、第2摺接部123A(図8参照)と、先端部123Bと、を有する。第2摺接部123Aは、第4アーム123の一部であり、加熱ユニット2が移動する場合に、第1摺接部113Aと摺動可能な部分である。先端部123Bは、丸く曲げられた形状を有している。
【0060】
図5に示すように、定着装置1は、安全対策回路90をさらに備えている。安全対策回路90は、第2フレーム42に取り付けられている。安全対策回路90は、電気的に接地可能な接地端子92を有する回路である。安全対策回路90は、除電ブラシ5および加圧ローラ3を接地する回路である。安全対策回路90は、接地端子92の他、回路80と、アース板金91と、ダイオード93と、を備えている。回路80は、キャパシタ81と、第1板金82と、第1抵抗83と、第2板金84と、第2抵抗85とを有する。
【0061】
アース板金91は、除電ブラシ5が取り付けられた板金である。アース板金91は、除電ブラシ5、ダイオード93、キャパシタ81および第2抵抗85を電気的に接続する。
【0062】
接地端子92は、第1アース部材110とダイオード93を電気的に接続する。接地端子92は、ネジ取付穴92Aと、バネ係合穴92Bとを有する。
【0063】
第1板金82は、キャパシタ81と第1抵抗83を電気的に接続する。
【0064】
第2板金84は、第1抵抗83および第2抵抗85を電気的に接続する。これにより、キャパシタ81および第1抵抗83は、直列接続されている。また、第2抵抗85は、キャパシタ81および第1抵抗83と並列接続されている。なお、第2板金84は、図示しない接地された金属シャフトに接触する端子GTを有している。
【0065】
ダイオード93は、接地端子92と回路80の間に位置する。ダイオード93は、回路80から接地端子92への電流の流れを抑制する。
【0066】
第1アース部材110は、第1アーム112の先端部112Aが、軸受BRの外周面と接触し、第2アーム113の第4部分113Eが接地端子92に接触している。具体的には、第1アーム112は、第1アース部材110のバネの付勢力によって軸受BRの外輪BR2の外周面に押し付けられている。第2アーム113は、先端の第5部分113Fがバネ係合穴92Bに入っている。そして、ネジN(図8参照)が接地端子92のネジ取付穴92Aを通り、ネジNによって、接地端子92と第4部分113Eが第2フレーム42に共締めされている。図8に示すように、第1コイル部111は、第1フレーム41に保持される。ここで、第1フレーム41は、軸方向に突出する第1突起41Tを有する。第1突起41Tは、掛止突起41Uを有する。掛止突起41Uは、第1突起41Tの周面から第2方向の他方側に突出している。第1突起41Tは、第1コイル部111に入ることで第1アース部材110を保持する。第1コイル部111が第1突起41Tに入ると、第1コイル部111が掛止突起41Uに掛止されて容易に外れないようになっている。
【0067】
図6に示すように、ホルダ20は、第2突起20Tと、壁部20Wと、を有する。第2突起20Tおよび壁部20Wは、ホルダ20の軸方向における他方側の端部に位置する。第2突起20Tは、第1方向に突出する突起である。壁部20Wは、第2突起20Tの第2方向における一方側に位置する。壁部20Wは、第2アース部材120とケーブルCBを隔てる(図8参照)。
【0068】
第2アース部材120は、加熱ユニット2のホルダ20に保持されている。第2突起20Tは、第2コイル部121に入ることで第2アース部材120を保持する。第2アース部材120の第3アーム122は、ステイSTと接触している。具体的には、第3アーム122は、第2アース部材120のバネの付勢力によってステイSTに押し付けられ、第3アーム122の先端部122Aは、先端が軸方向の一方側を向いており、ステイSTから第3アーム122が容易には外れないようになっている。
【0069】
図8に示すように、第4アーム123は、第2アース部材120の第2アーム113の軸方向の一方側に係合している。第4アーム123は、第1アース部材110のバネの付勢力によって、第2アーム113の第1摺接部113Aに押し付けられている。すなわち、第2アース部材120は、ステイSTと第1アース部材110との両方に接触する。
【0070】
以上のような構成により、図7に示すように、加圧ローラ3は、第1アース部材110を介して接地されている。詳細には、加圧ローラ3は、第1アース部材110、ダイオード93および回路80を介して接地されている。また、ステイSTは、第2アース部材120および第1アース部材110を介して接地されている。詳細には、ステイSTは、第2アース部材120、第1アース部材110、ダイオード93および回路80を介して接地されている。
【0071】
図8では、第1ニップ圧となる状態における第2アース部材120の位置を実線で示し、第2ニップ圧となる状態における第2アース部材120の位置を二点鎖線で示す。
加熱ユニット2が第1ニップ圧となる状態から第2ニップ圧となる状態に移動する場合、第2アース部材120は、実線で示す位置から二点鎖線で示す位置に移動する。逆に、加熱ユニット2が第2ニップ圧となる状態から第1ニップ圧となる状態に移動する場合、第2アース部材120は、二点鎖線で示す位置から実線で示す位置に移動する。これらの移動の際、第2アース部材120は、第4アーム123がバネの付勢力により第1アース部材110の第2アーム113に一定の力で押し付けられた状態が維持されるので、第1アース部材110と第2アース部材120の電気的接触が確実に維持される。
【0072】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
従来は、ニップ圧を変更するために、加熱ユニットと加圧ローラを移動させた場合、アース部材も移動するため、加熱ユニットと加圧ユニットの両方を安定して接地できないことがあった。
しかし、図8に示すように、本実施形態の定着装置1では、加圧ローラ3を接地する第1アース部材110が、加熱ユニット2を接地する第2アース部材120に摺動可能に接触する。このため、加熱ユニット2が移動することで、第2アース部材120が実線で示す位置と二点鎖線で示す位置に移動しても、第1アース部材110と第2アース部材120との電気的接触は同じ状態を保つことができる。このように、加圧ローラ3と加熱ユニット2が移動しても、第1アース部材110と第2アース部材120との電気的接触が安定して維持される。この結果、加熱ユニット2と加圧ローラ3が互いに移動しても加熱ユニット2と加圧ローラ3の両方を安定して接地することができる。
【0073】
第1アース部材110の第2アーム113が接地端子92を有する安全対策回路90と接続されているため、安定した接地が可能となる。
【0074】
フレーム4の第1フレーム41が有する第1突起41Tが第1アース部材110を保持することで、第1アース部材110の第2アース部材120に対する位置ずれを抑制できる。
【0075】
ホルダ20の第2突起20Tが第2アース部材120を保持することで、第2アース部材120の第1アース部材110に対する位置ずれを抑制できる。
【0076】
ホルダ20が第2アース部材120とケーブルCBを隔てる壁部20Wを有するため、第2アース部材120とケーブルCBを安定して絶縁できる。
【0077】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0078】
上述した実施形態では、軸受BRがボールベアリングであったが、軸受はローラベアリングであってもよい。
【0079】
上述した実施形態では、第1アース部材110および第2アース部材120がトーションバネであったが、第1アース部材および第2アース部材は、板バネであってもよい。
【0080】
上述した実施形態では、ニップ圧変更機構NMは、加圧ローラ3に対して、加圧ユニット2を第1方向に移動させることでニップ圧を変更していたがこの形態に限定されない。例えば、ニップ圧変更機構NMは、加熱ユニット2に対して、加圧ローラ3を第1方向に移動させることでニップ圧を変更してもよい。
【0081】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 定着装置
2 加熱ユニット
3 加圧ローラ
4 フレーム
10 ヒータ
11 基板
12 抵抗発熱体
20 ホルダ
80 回路
90 安全対策回路
110 第1アース部材
113A 第1摺接部
120 第2アース部材
123A 第2摺接部
BL ベルト
BR 軸受
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8