(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122804
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】超音波流量センサ
(51)【国際特許分類】
G01F 1/667 20220101AFI20240902BHJP
【FI】
G01F1/667 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030570
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(72)【発明者】
【氏名】大津 信一郎
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035DA07
2F035DA08
2F035DA14
2F035DA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】超音波流量センサの小型化を実現しつつ、信号線による超音波素子への機械的影響を低減することにある。
【解決手段】超音波流量センサ1は、超音波信号を送受信する第1の超音波素子11と、第1の超音波素子11が取り付けられ、第1の超音波素子11からの超音波信号を配管13に向けて伝達する素子ベース14と、素子ベース14に取り付けられた第1素子ベース14を収容するヘッド筐体52と、ヘッド筐体52とケーブル53を介して接続されるアンプ筐体60と、ヘッド筐体52の中に固定され、ケーブル53と、第1の超音波素子11との間を中継する回路パターンが形成された中継基板40と、第1の超音波素子11と中継基板40に形成された回路パターンとをヘッド筐体52の中で電気的に接続する、金属細線44を備えることができる。ここで、金属細線44は、絶縁材料にエナメルを用いることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を流れる流体の流量を超音波信号により測定する超音波流量センサであって、
超音波信号を送受信する第1の超音波素子と、
前記第1の超音波素子が取り付けられ、当該第1の超音波素子からの超音波信号を配管に向けて伝達する第1素子ベースと、
前記第1素子ベースに取り付けられた前記第1の超音波素子を収容するヘッド筐体と、
前記ヘッド筐体とケーブルを介して接続されるアンプ筐体と、
前記ヘッド筐体の中に固定され、前記ケーブルと前記第1の超音波素子との間を中継する回路パターンが形成された中継基板と、
前記第1の超音波素子と前記中継基板に形成された回路パターンとを前記ヘッド筐体の中で電気的に接続する、絶縁材料にエナメルを用いた金属細線と、
超音波信号を送受信する第2の超音波素子と、
前記第2の超音波素子が取り付けられ、当該第2の超音波素子からの超音波信号を配管に向けて伝達する第2素子ベースと、
を備える超音波流量センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波流量センサにおいて、
前記ヘッド筐体に、前記金属細線が収容される空間を囲むノイズシールドが収容される超音波流量センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波流量センサにおいて、
前記アンプ筐体に収容され、前記第1の超音波素子と前記第2の超音波素子との間で送受信する超音波信号に基づいて配管の流量を測定する制御部をさらに備える超音波流量センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波流量センサにおいて、
前記アンプ筐体に収容され、前記第1の超音波素子を駆動する駆動回路をさらに備える超音波流量センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波流量センサにおいて、
前記アンプ筐体は、第二ケーブルを介して接続される中継筐体と本体筐体とを有し、前記制御部は前記本体筐体に収容され、前記第1の駆動回路は前記中継筐体に収容される超音波流量センサ。
【請求項6】
請求項3に記載の超音波流量センサにおいて、
前記アンプ筐体に第二ケーブルを介して接続されるとともに、前記第2素子ベースに取り付けられた前記第2の超音波素子を収容する第2ヘッド筐体を更に備え、前記第1ヘッド筐体と前記第2ヘッド筐体とが前記配管を挟んで、それぞれ前記配管の外壁に取り付けられるクランプオン型である超音波流量センサ。
【請求項7】
請求項1に記載の超音波流量センサにおいて、
前記第1の金属細線は、断面積が0.1平方ミリメートル以下である、超音波流量センサ。
【請求項8】
請求項7に記載の超音波流量センサにおいて、
前記第1の金属細線は、エナメルを用いた金属細線を複数本のより合わせた電線である、超音波流量センサ。
【請求項9】
請求項1に記載の超音波流量センサにおいて、
前記第1の超音波素子と前記第2の超音波素子との間で送受信する超音波信号に基づいて配管の流量を測定するとともに、測定した流量と所定のしきい値との比較結果を求める制御部をさらに備え、
前記中継基板に、表示灯光源が実装され、
前記ヘッド筐体に、前記制御部が求めた前記比較結果に基づいて前記表示灯光源からの光を受けて点灯する表示灯が形成される、超音波流量センサ。
【請求項10】
請求項1に記載の超音波流量センサにおいて、
前記中継基板に、前記ヘッド筐体を識別するヘッド識別素子が実装され、前記アンプ筐体は、起動時に前記ヘッド識別素子に基づいて前記ヘッド筐体の種別を判別する制御回路を収容する、超音波流量センサ。
【請求項11】
請求項1に記載の超音波流量センサにおいて、
前記流路を規定し、超音波信号を減衰するダンピング配管をさらに備える超音波流路センサ。
【請求項12】
請求項11に記載の超音波流量センサにおいて、
前記ヘッド筐体はさらに、前記第2素子ベースに取り付けられた前記第2の超音波素子と前記ダンピング配管とを収容し、
前記第2の超音波素子と前記中継基板に形成された回路パターンとを前記ヘッド筐体の中で電気的に接続する、絶縁材料にエナメルを用いた第2の金属細線をさらに備える超音波流量センサ。
【請求項13】
請求項12に記載の超音波流量センサにおいて、
前記ヘッド筐体に収容され、前記ダンピング配管を流れる流体の圧力を測定する圧力素子と、
前記アンプ筐体に収容され、前記第1の超音波素子と前記第2の超音波素子との間で送受信する超音波信号と前記圧力素子が測定する圧力とに基づいて配管の流量と圧力とを測定する制御部をさらに備える超音波流量センサ。
【請求項14】
請求項11に記載の超音波流量センサにおいて、
前記中継基板に、前記ヘッド筐体を識別するヘッド識別素子が実装され、
前記ヘッド識別素子は不揮発性メモリであり、
前記不揮発性メモリは、前記ヘッド筐体を識別するヘッド識別情報と、前記ダンピング配管に関する補正値を記憶する、超音波流量センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流路を流れる流体の流量を超音波信号により測定する超音波流量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
流路を流れる流体の流量を超音波信号によって測定する測定機器として、超音波流量センサが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の超音波流量センサは、配管の外壁に対して着脱自在に取り付けられ、配管の外から流体の流量を測定するクランプオン型超音波流量センサである。特許文献1のクランプオン型超音波流量センサの測定原理は、いわゆる伝搬時間差式であり、配管内を流れる流体に対して斜めに超音波信号を通過させ、流れに沿った方向と流れに逆らった方向とで超音波信号の伝播時間差を測定し、この伝搬時間差から気体の流速・流量を算出する。特許文献1では、配管に取り付けられるヘッド部と、ヘッド部にケーブルを介して接続されるヘッド部以外の中継部や本体部とに分離して、ヘッド部を小型化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、配管が多く配置されるような狭小なスペースで超音波流量センサを取り付けたいという要求もあり、超音波流量センサのさらなる小型化が望まれている。
しかしながら、さらなる小型化により、ヘッド部筐体内において超音波素子に対する信号線の機械的影響が相対的に大きくなる。たとえば、信号線を介して応力が印加されることにより、たとえば、信号線が超音波素子から剥離して、超音波素子との間の導通不良を生じたり、超音波素子自体が素子ベースから剥離して、超音波素子と素子ベース間に空気の層が生じることにより、伝播する超音波信号の強度が下がるおそれがある。
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超音波流量センサの小型化を実現しつつ、信号線による超音波素子への機械的影響を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、流路を流れる流体の流量を超音波信号により測定する超音波流量センサを前提とすることができる。
超音波流量センサは、超音波信号を送受信する第1の超音波素子と、前記第1の超音波素子が取り付けられ、当該第1の超音波素子からの超音波信号を配管に向けて伝達する素子ベースと、前記素子ベースに取り付けられた前記第1素子ベースを収容するヘッド筐体と、前記ヘッド筐体とケーブルを介して接続されるアンプ筐体と、前記ヘッド筐体の中に固定され、前記ケーブルと、前記第1の超音波素子との間を中継する回路パターンが形成された中継基板と、前記第1の超音波素子と前記中継基板に形成された回路パターンとを前記ヘッド筐体の中で電気的に接続する、金属細線を備えることができる。ここで、金属細線は、絶縁材料にエナメルを用いることができる。また、超音波流量センサは、上記構成に加えて、超音波信号を送受信する第2の超音波素子と、前記第2の超音波素子が取り付けられ、当該第2の超音波素子からの超音波素子を配管に向けて伝達する第2素子ベースを備えることができる。
【0006】
このように、小型化された超音波流量センサにおいて、筐体内の配線としてエナメルを用いた金属細線を用いることで、例えば、信号線の曲げによる被覆の反力を含む機械的影響を小さくすることができ、超音波素子及び中継基板を含む部品のヘッド筐体内の収容時あるいは組み立て時の金属細線の曲率を小さくすることで、筐体内の配線をコンパクトな構成とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、第1の超音波素子と中継基板に形成された回路パターンとを、絶縁材料にエナメルを用いた金属細線で電気的に接続する構成により、超音波流量センサの小型化を実現しつつ、信号線による超音波素子への機械的影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る超音波流量センサの断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る超音波流量センサの機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る超音波流量センサのシールドを省略した外観に係る側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る超音波流量センサのシールドを省略した外観に係る斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る超音波流量センサの筐体を省略した外観に係る斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態の変形例1に係る超音波流量センサの断面図である。
【
図7】本発明の実施形態の変形例1に係る超音波流量センサの超音波素子周辺部の外観図である。
【
図8】本発明の実施形態の変形例1に係る超音波流量センサの超音波素子周辺を説明する外観図である。
【
図9】本発明の実施形態の変形例1に係る超音波流量センサの機能ブロック図である。
【
図10】本発明の実施形態の変形例2に係る超音波流量センサの外観図である。
【
図11】本発明の実施形態の変形例2に係る超音波流量センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る超音波流量センサ1の断面図である。超音波流量センサ1は、例えば圧縮空気をはじめとした各種気体の流量測定が可能に構成されている。超音波流量センサ1は、図示しないが空気圧システムに組み込んで利用することができる。本実施形態では、空気圧システムの配管の途中に超音波流量センサ1を設け、この超音波流量センサ1により、流路を流れる流体の流量を超音波信号により測定することで、空気圧システムの動作管理を流量に基づいて行えるようにしている。尚、超音波流量センサ1は、圧縮空気以外にも例えば窒素やアルゴン等の流量を測定することもできる。超音波流量センサ1が流量を測定する流体を、例えば対象流体、被測定流体と呼ぶこともできる。
以下、超音波流量センサ1の具体的な構造について説明する。超音波流量センサ1は、
図1左側の(図示しない)上流側外部配管と、
図1右側の(図示しない)下流側外部配管との間に設けられる。上流側外部配管は、超音波流量センサ1よりも上流側に位置する外部配管であり、また、下流側外部配管は、超音波流量センサ1よりも下流側に位置する外部配管である。尚、上流、下流は、説明の便宜を図るために定義するだけであり、実際の使用状態を限定するものではない。
【0011】
上流側外部配管及び下流側外部配管は、空気圧システムに設けられている配管の一部であり、圧縮空気は上流側外部配管から下流側外部配管へ流れるようになっている。超音波流量センサ1を空気圧システムに取り付ける際には、既存の配管の一部を切断した後、切断部よりも上流側を上流側外部配管とし、切断部よりも下流側を下流側外部配管として超音波流量センサ1を上流側外部配管と下流側外部配管との間に設置することが可能である。つまり、超音波流量センサ1は既存の配管を切断して設置することが可能である。尚、超音波流量センサ1は、空気圧システムの新設時に当該空気圧システムに組み込むこともできる。
【0012】
超音波流量センサ1は、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12と、ダンピング配管13と、第1の素子ベース14及び第2の素子ベース15とを備えている。第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、共に超音波信号を送受信するものであり、例えば圧電素子等で構成されていて全体として板状をなしている。ダンピング配管13は、対象流体が流れる流路を規定するとともに、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12から送信された超音波信号を減衰する部材からなる。具体的には、ダンピング配管13は、超音波信号の減衰能を有する材料として、例えばナイロン、テフロン(登録商標)、ポリウレタン等からなり、第1の素子ベース14及び第2の素子ベース15を構成する材料よりも軟質な材料で構成されている。
【0013】
ダンピング配管13における超音波信号が通過する部分の内面及び外面は、凹凸の無い、滑らかな面で構成されている。本実施形態では、ダンピング配管13の長さ方向全体にわたり、内面及び外面が滑らかな面となっているので、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12から送信された超音波信号が狙い通りに伝達される。また、ダンピング配管13の流路には、流体の流れ方向と交差する方向に存在する部材(例えばメッシュ、フィルタ等)が設けられていない。つまり、ダンピング配管13は、上流端から下流端まで完全に貫通した流路を有する円管材で構成されている。また、ダンピング配管13の内面が滑らかな面で構成されていることから、ダンピング配管13の内面に汚れが溜まりにくくなる。
【0014】
第1の超音波素子11は、ダンピング配管13の外側において径方向一方(
図1の上側)に位置している。第1の素子ベース14は、第1の超音波素子11とダンピング配管13との間で超音波信号を伝播するものであり、ダンピング配管13の外側において第1の超音波素子11とダンピング配管13との間に配置されている。第1の素子ベース14におけるダンピング配管13側の配管側面14aは、当該ダンピング配管13の管軸線Xと平行に延びる面で構成されている。第1の素子ベース14における第1の超音波素子11側の素子側面14bは、上流側へ行くほどダンピング配管13の管軸線Xから離れるように、当該管軸線Xに対して所定角度だけ傾斜している。
したがって、第1の素子ベース14の配管側面14aと素子側面14bとの管軸線Xに対する角度が相違することになり、これにより、第1の素子ベース14は上流側へ行くほど厚み寸法が厚くなるくさび型となる。よって、第1の素子ベース14を第1のクサビと呼ぶこともできる。
【0015】
第1の超音波素子11における超音波信号を送受信する送受信面11aは、平面で構成されている。第1の素子ベース14の素子側面14bには、第1の超音波素子11の送受信面11aが当接されている。このため、第1の超音波素子11の送受信面11aもダンピング配管13の管軸線Xに対して所定角度だけ傾斜することになる。
【0016】
ダンピング配管13と第1の素子ベース14との間には、音響結合材13cが介在している。ダンピング配管13の外面が音響結合材13cに接触し、さらに第1の素子ベース14の配管側面14aが音響結合材13cに接触している。音響結合材13cはダンピング配管13の一部を構成する部材であってもよいし、第1の素子ベース14の一部を構成する部材であってもよい。音響結合材13cは、例えばゴムやグリス等からなる粘弾性体で構成されている。また、音響結合材13cをゴム製とする場合、予めシート状に成形されたものを用いることができる。
【0017】
第2の超音波素子12は、ダンピング配管13の外側において径方向他方(
図1の下側)に位置しており、第1の超音波素子11と第2の超音波素子12とはダンピング配管13を径方向に挟むように配置されている。第2の素子ベース15は、第2の超音波素子12とダンピング配管13との間で超音波信号を伝播するものであり、ダンピング配管13の外側において第2の超音波素子12とダンピング配管13との間に配置されている。したがって、対象流体の流量は、ダンピング配管13の流路を流れている時に測定される。ダンピング配管13と第2の素子ベース15との間にも、音響結合材13cが介在している。第2の素子ベース15は、第1の素子ベース14と同様な樹脂材で構成することができる。
【0018】
第2の素子ベース15におけるダンピング配管13側の配管側面15aは、当該ダンピング配管13の管軸線Xと平行に延びる面で構成されている。第2の素子ベース15における第2の超音波素子12側の素子側面15bは、下流側へ行くほどダンピング配管13の管軸線Xから離れるように、当該管軸線Xに対して所定角度だけ傾斜している。第2の素子ベース15の配管側面15aと、第1の素子ベース14の配管側面14aとは、互いに平行であり、また、第2の素子ベース15の素子側面15bと、第1の素子ベース14の素子側面14bとは、互いに平行である。
【0019】
したがって、第2の素子ベース15の配管側面15aと素子側面15bとの管軸線Xに対する角度が相違することになり、これにより、第1の素子ベース14とは反対に、第2の素子ベース15は下流側へ行くほど厚み寸法が厚くなるくさび型となる。よって、第2の素子ベース15を第2のクサビと呼ぶこともできる。
【0020】
第2の超音波素子12における超音波信号を送受信する送受信面12aは、第1の超音波素子11と同様に、平面で構成されている。第2の素子ベース15の素子側面15bには、第2の超音波素子12の送受信面12aが当接されている。このため、第2の超音波素子12の送受信面12aもダンピング配管13の管軸線Xに対して所定角度だけ傾斜することになる。
【0021】
超音波流量センサ1は、対象流体の流れ方向に長い形状のセンタブロック2をさらに備えている。センタブロック2は、例えば金属や硬質樹脂等の高剛性な部材からなるものである。したがって、ダンピング配管13は、センタブロック2を構成する材料よりも軟質な材料で構成されていて、センタブロック2を構成する材料よりも超音波信号の減衰能が高くなっている。
【0022】
センタブロック2には、ダンピング配管13が差し込まれる差込孔20が流体の流れ方向に貫通するように形成されている。ダンピング配管13の上流側部分及び下流側部分は、差込孔20に差し込まれた状態でセンタブロック2に固定される。つまり、ダンピング配管13は超音波流量センサ1に内蔵された内蔵配管と呼ぶこともできる。
【0023】
また、第1の素子ベース14及び第2の素子ベース15も、センタブロック2に固定されている。そして、第1の超音波素子11は、第1の素子ベース14に固定され、第2の超音波素子12は、第2の素子ベース15に固定されている。
【0024】
具体的には、センタブロック2には、第1の素子ベース14のダンピング配管13側が差し込まれる第1開口部25が形成されている。
図3に示すように、第1の素子ベース14には、センタブロック2の外面に重ね合わされる第1フランジ部14cが形成されている。第1フランジ部14cには、第1ホルダ16が重ね合わされている。第1ホルダ16には、固定用のネジ(図示せず)が挿通するネジ挿通孔16aが形成されている。ネジ挿通孔16aに挿通されたネジは、第1の素子ベース14の第1フランジ部14cを貫通してセンタブロック2にねじ込まれる。これにより、第1の素子ベース14がセンタブロック2に締結固定される。また、
図1に示すように、第1の超音波素子11は第1ホルダ16により第1の素子ベース14に押さえ付けられている。
【0025】
また、センタブロック2には、第2の素子ベース15のダンピング配管13側が差し込まれる第2開口部26が形成されている。
図3に示すように、第2の素子ベース15には、センタブロック2の外面に重ね合わされる第2フランジ部15cが形成されている。第2フランジ部15cには、第2ホルダ17が重ね合わされている。第2ホルダ17には、固定用のネジ(図示せず)が挿通するネジ挿通孔18a(図示せず)が形成されている。従って、第1の素子ベース14と同様に、第2の素子ベース15をセンタブロック2に締結固定できる。また、
図1に示すように、第2の超音波素子12は第2ホルダ17により第2の素子ベース15に押さえ付けられている。
【0026】
超音波流量センサ1は、上流側接続部30及び下流側接続部31と、上流側管路部材32及び下流側管路部材33とをさらに備えている。流体の流れ方向上流側から下流側に向かって、上流側接続部30、上流側管路部材32、ダンピング配管13、下流側管路部材33及び下流側接続部31が順に同一直線上に位置するように配置されている。この直線は、ダンピング配管13の管軸線X及びその延長線からなる直線である。尚、上流側管路部材32及び下流側管路部材33は必要に応じて設けられるものであり、省略してもよい。
【0027】
ダンピング配管13の上流側部分及び下流側部分の外面には、それぞれOリングからなる上流側配管シール材13a及び下流側配管シール材13bが密着するように設けられている。上流側配管シール材13aは、差込孔20の上流側の内面に密着するようになっており、上流側配管シール材13aによってダンピング配管13の上流側部分と差込孔20との間がシールされるようになっている。また、下流側配管シール材13bは、差込孔20の下流側の内面に密着するようになっており、下流側配管シール材13bによってダンピング配管13の下流側部分と差込孔20との間がシールされるようになっている。
【0028】
図3に示すように、センタブロック2の両側面には、側面開口部2bが形成されている。側面開口部2bにより、差込孔20が側方に開放されることになる。したがって、ダンピング配管13の一部が側面開口部2bから見える状態になる。側面開口部2bからグリス13dを塗布することができる。グリス13dは、超音波信号を減衰させるグリスであり、センタブロック2とダンピング配管13との間に介在するように塗布する。これにより、センタブロック2に伝播する音波が減少し、ダンピング配管13内で音波をより一層減衰させることができる。
【0029】
上流側接続部30は、上流側外部配管101の流路とダンピング配管13の流路とが連通するように、上流側外部配管101を接続するための部材である。上流側接続部30の下流側の外周面には、例えばネジ山30aが形成されており、このネジ山30aをセンタブロック2の差込孔20の上流側の内周面に形成されているネジ溝20aに螺合させることで、上流側接続部30がセンタブロック2に対して気密に接続される。
【0030】
上流側接続部30は、いわゆるワンタッチフィッティング、チューブフィッティング等と呼ばれている接続構造を構成する部材であり、上流側外部配管101をワンタッチ操作、即ち、工具等を用いることなく、接続したり、その接続を解除することが可能なものである。上流側接続部30の構成は、上述した構成に限られるものではなく、各種フィッティング構造を採用することができる。また、上流側接続部30の形状も任意に設定することができる。
【0031】
下流側接続部31は、下流側外部配管102の流路とダンピング配管13の流路の下流側とが連通するように、下流側外部配管102を接続するための部材である。下流側接続部31は、上流側接続部30と同様に構成されており、下流側の外周面に形成されているネジ山31aをセンタブロック2の差込孔20の下流側の内周面に形成されているネジ溝20bに螺合させることで、下流側接続部31がセンタブロック2に対して気密に接続されるようになっている。つまり、本実施形態の接続部は、上流側接続部30と下流側接続部31とを含んでおり、センタブロック2の上流側部分及び下流側部分には、上流側接続部30及び下流側接続部31がそれぞれ固定されている。尚、上流側接続部30及び下流側接続部31は、ネジ以外の固定構造を用いてセンタブロック2に固定することも可能である。
【0032】
上流側管路部材32は、ダンピング配管13と上流側接続部30との間に設けられ、ダンピング配管13の流路と上流側外部配管101の流路とを連通させるための部材である。具体的には、上流側管路部材32は、円筒状をなしており、センタブロック2の差込孔20の上流側に差し込まれた状態で保持されている。上流側管路部材32の流路の上流側は、上流側接続部30の流路と連通し、また、上流側管路部材32の流路の下流側は、ダンピング配管13の流路と連通している。
【0033】
ここで、ダンピング配管13の内径は、上流側外部配管101の内径よりも大きく設定されている。これにより、上流側外部配管101からダンピング配管13に流入した流体の流速が低下するので、上流側外部配管101を高速で流れている流体であってもダンピング配管13内での流量の測定が可能になる。尚、図示しないが、ダンピング配管13の内径と、上流側外部配管101の内径とは同じであってもよいし、ダンピング配管13の内径が上流側外部配管101の内径より小さくてもよい。
【0034】
本実施形態では、ダンピング配管13の内径が上流側外部配管101の内径よりも大きく設定されているので、上流側管路部材32内の流路を、ダンピング配管13に近づくほど内径が拡大する拡大流路32aとしている。この拡大流路32aの上流端の内径は、上流側外部配管101の内径及び上流側接続部30の下流端の内径と略等しく設定されている。一方、拡大流路32aの下流端の内径は、ダンピング配管13の内径と略等しく設定されている。これにより、流体が上流側外部配管101からダンピング配管13に流入する際に、乱流の発生が抑制されるので、測定精度が向上する。
【0035】
下流側管路部材33は、ダンピング配管13と下流側接続部31との間に設けられ、ダンピング配管13の流路と下流側外部配管102の流路とを連通させるための部材である。具体的には、下流側管路部材33は、円筒状をなしており、センタブロック2の差込孔20の下流側に差し込まれた状態で保持されている。下流側管路部材33の流路の下流側は、下流側接続部31の流路と連通し、また、下流側管路部材32の流路の上流側は、ダンピング配管13の流路と連通している。
【0036】
下流側外部配管102と上流側外部配管101とは同じ部材であるため、ダンピング配管13の内径は、下流側外部配管102の内径よりも大きなものとなる。このことに対応するように、下流側管路部材33内の流路を、下流側管路部材32に近づくほど内径が縮小する縮小流路33aとしている。この縮小流路33aの上流端の内径は、ダンピング配管13の内径と略等しく設定される一方、縮小流路33aの下流端の内径は、下流側外部配管102の内径及び下流側接続部31の上流端の内径と略等しく設定されている。これにより、流体がダンピング配管13から下流側接続部31に流入する際に、乱流の発生が抑制される。
【0037】
超音波流量センサ1は、中継基板40を更に備えている。中継基板40は、第1の超音波素子11を覆うように配置されており、ダンピング配管13の管軸線Xと略平行に延びている。ヘッド筐体52内には、ダンピング配管13に対して中継基板40を支持するフレーム55が配置される。中継基板40は、固定ネジ54によりフレーム55に固定される。中継基板40には回路パターンが形成されており、この回路パターンと第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12とは、信号線44を介して接続されている。また、中継基板40には、回路パターンの一部として端子56が形成される。ケーブル53は、中継基板40の端子56と電気的に接続する。中継基板40は、ヘッド筐体52内に固定されるとともに、信号線44に接続される第1の超音波素子11とケーブル53とを電気的に中継する。中継基板40は、硬質基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。さらに、中継基板40には、ヘッド識別素子41が実装され、ヘッド識別素子41は抵抗または不揮発性のメモリで構成することができる。不揮発性メモリは、ヘッドの種別を識別するヘッド識別情報と、ダンピング配管に関する補正値を記憶することができる。中継基板40は、ケーブル53を介してヘッド筐体52と着脱自在の構成されるアンプ筐体60に接続し、
図2に示すように、アンプ筐体60内にはヘッドの種別を識別し、また、超音波素子710、720を駆動する駆動回路部61が収容される。駆動回路部61は、制御部62、記憶部63、表示部64、接続部65、操作部66および表示ランプ67を含む。駆動回路部61の制御部62、は、例えばCPU(中央演算処理装置)を含む。記憶部63は、例えば揮発性メモリまたはハードディスクを含む。制御部、記憶部63及び表示部64は駆動回路61の制御基板に実装される。 表示部64は、例えばセグメント表示器を含む。表示部64は、ドットマトリクス表示器を含んでもよい。記憶部63には、流量センサ1を動作させるための種々のデータおよびプログラムが記憶される。制御部62は、記憶部63に記憶されたデータおよびプログラムに基づいて、超音波素子11、12、表示部64および表示ランプ67の動作を制御する。なお、中継基板に、表示灯光源を実装し、ヘッド筐体52に、表示灯光源により発行する表示灯を形成することもできる。また、制御部62は、接続部66および(図示しない)ケーブルを通して(図示しない)電源装置等の外部装置に接続される。また、制御部62は、内蔵配管の流路を流れる気体の圧力を測定する機能を備えることもできる。圧力を測定する機能として、流体の圧力を電気信号に変換して出力するように構成された、具体的には、ひずみゲージ等の圧力センサ46を用いることができる。圧力センサ46の配設構造として、センタブロック2の上流側部分には、圧力センサ46の受圧部46aが嵌合する筒状部47がダンピング配管13の管軸線Xに対して直交する方向へ突出するように設けられているこのように、中継基板40に実装する機能を簡素化し、超音波流量素子11、12の制御等の機能を、中継基板40からケーブル等を介して接続される、ヘッド筐体52の外部のアンプ筐体60に実装させることで、ヘッド筐体52に、設計レイアウト上必要な最低限の部品要素を収容することができるので、筐体の小型化を実現することができる。また、中継基板40に実装する機能を簡素化することで、超音波流量素子から中継基板に接続する信号線44の構成を簡素化することもできる。
【0038】
制御部62は、算出された流量Qを記憶部に記憶されたしきい値と比較し、比較結果に基づいてオンオフ信号を出力する。オンオフ信号は、接続部に接続された、中継基板40のヘッド識別素子41や外部装置のオン状態とオフ状態とを切り替えるための信号である。表示ランプ67は、ヘッド識別素子41を識別した状態や外部装置のオン状態とオフ状態とを識別可能に点灯する。表示部64は、アンプ筐体60の窓部に近接する位置に配置される。表示部64には、上記算出された流体の速度Vf及び流量Qまたは記憶部に記憶されたしきい値等の種々の情報を表示することができる。
【0039】
第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12で受信された超音波信号は、ケーブル53を介して制御部62に送信される。
【0040】
制御部62は、第1の超音波素子11と第2の超音波素子12との間で送受信する超音波信号に基づいてダンピング配管13で規定される流路の流量を測定する部分である。すなわち、制御部62は、伝搬時間差式の測定部である。第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は制御部62に接続されており、第1の超音波素子11と第2の超音波素子12との間で送受信する超音波信号は、制御部62に入力される。
【0041】
より具体的には、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、ダンピング配管13の管軸線Xに対して傾斜しているので、ダンピング配管13内を流れる流体に超音波が斜めに通ることになる。第1の超音波素子11は、流れに逆らった方向に超音波信号を送信し、第2の超音波素子12は、流体の流れに沿った方向に超音波信号を送信する。このように、流体の流れに沿った方向と流れに逆らった方向とに超音波信号を送信してそれぞれ検出することで、流体の流れに沿った方向と流れに逆らった方向と超音波信号の伝播時間に差が生じることになる。
【0042】
第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は例えば制御部62や外部のアンプ等によって制御されると、例えば間欠的にバースト波超音波信号(数MHzオーダの超音波パルスが例えば10個程度の塊となっている信号)を出射し、受信波形を制御部62のA/Dコンバータで高速サンプリングする。制御部は、往路受信波形と復路受信波形とをそれぞれの出射時点の時刻を原点として位置合わせし、その状態から時間方向に相対的にずらしながら波形形状のマッチングを行い、マッチング度が極大となる時間シフト量を伝搬時間差として決定する。制御部62は、決定した伝搬時間差から流速・流量を算出する。制御部62が算出する流量は、瞬時流量であってもよく、積算流量であってもよい。
【0043】
図6に示すように、超音波流量センサ1はシールド50を備えている。シールド50は、外来電気的ノイズによる測定精度の低下を抑制するための部材であり、例えば銅箔等で構成されている。第1の超音波素子11、第2の超音波素子12、ダンピング配管13、第1の素子ベース14、第2の素子ベース15、中継基板40等はシールド50によって覆われている。
【0044】
図1に示すように、超音波流量センサ1は、ヘッド筐体52を備えている。ヘッド筐体52は、少なくとも、第1の超音波素子11と、第1の素子ベース14と、ダンピング配管13と、第2の超音波素子12と、第2の素子ベース15とを収容する部材であり、本実施形態では、中継基板40、センタブロック2等も筐体52に収容されている。ヘッド筐体52は、流体の流れ方向に分割されており、第1筐体構成部52aと第2筐体構成部52bとを有している。第1筐体構成部52aは上流側に位置しており、第2筐体構成部52bは下流側に位置している。第1筐体構成部52aには、上流側接続部30を覆う筒状の上流側カバー部52cが形成されている。第2筐体構成部52bには、下流側接続部31を覆う筒状の下流側カバー部52dが形成されている。筐体52の構成は上述した構成に限られるものではなく、例えばダンピング配管13の径方向に分割可能に構成されていてもよい。
【0045】
超音波素子11は、筐体ヘッド52内に配置される中継基板40と信号線44によって電気的に接続され、超音波素子11と信号線44とは接続部45によって接続される。特に、小型化された流量センサのヘッド筐体内において、超音波素子11と中継基板40とを接続する信号線44の引き回しをできる限り最短距離とする必要がある中で、信号線44が硬い材料であると、信号線44を基板40に接続する際に大きな応力が印加され、超音波素子11の位置がずれたり、信号線44が超音波素子11から剥離したりするリスクが生じる。
【0046】
特に、配管内を流れる流体中を伝搬しない信号を低減するために超音波素子11の周囲をシールドで覆う必要があるような場合、狭小化されたスペースにおいて、従来の太いコシの強い信号線をシールドにより折り畳むように収容しようとすると、信号線44に対する反力が大きくなる傾向がある。特に、超音波素子11が、(圧電材料からなる)バルク材、または、(圧電材料を細かく分割し、樹脂で固めた)コンポジット材からなり、信号線44と超音波素子11とが、超音波素子11の表面に金属を蒸着することで形成された電極を介してはんだ付けすることで固定されているため、上記反力により、信号線44が破断する等の要因で電極剥離が起こり、導通不良が生じてしまう可能性が生じる。
そこで、本実施形態においては、信号線44をコンパクトに折り曲げることで小型化された筐体内に収容可能とし、その際に大きな反力が生じないようにするために、信号線44に、縦弾性係数が小さな材料で、かつ、断面二次モーメントが小さい断面形状の導体を選定することを特徴とする。
【0047】
具体的には、信号線44に対する反力を小さくするために必要荷重(W)を小さくしたいという要求と、信号線44を小さく組み込むために、変形量(δ)を大きくし、曲げ支点間長さ(L)を小さくしたい、という要求との相反する要求を満たすために、下記数式において、 信号線44のE(縦弾性係数)を小さくし、I(断面二次モーメント)を小さくすることが求められる。
【0048】
【0049】
したがって、信号線44として、縦弾性係数を小さくするために、柔らかい特性の金属を選定し、また、断面二次モーメントを小さくするために外径Φ0.15以下で被覆のないエナメル線の金属細線を用いることが好ましい。ここで、エナメル線とは、絶縁材料にエナメルを用いた電線をいい、一般に、直径0.025ミリメートル乃至0.35ミリメートルの軟銅線に暑さ0.003乃至0.035ミリメートル程度の高分子化合物を溶かしたワニスの絶縁被膜を焼き付けたものをさす。被膜には、ポリビニルホルマール、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリエステル、ナイロン等が用いられる。金属細線を絶縁被膜で覆うことにより、金属配管周辺の反射信号と回り込み信号等を含むノイズの影響をさらに小さくすることができる。
【0050】
その他、信号線44の構成として、外径Φ0.4以下のリッツ線、外径Φ0.17のエナメル線、Φ0.18のエナメル線等を採用することが考えられる。または、曲げRが小さくなりすぎないために芯線径を細くするたけでも効果が得られる。例えば、断面積が0.1ミリメートル以下(Φ0.35程度)の芯線を選定することで、信号線44を同じ領域に収納する際にも、径の大きな芯線に比べて曲げR(変数L)を大きくすることができ、負荷を小さくすることもできる。ここで、電気的ノイズの低減を測るため、金属細線はシールド線とせず、シールド機能を金属細線から分離し、ノイズシールドとしてシールド50を金属細線が収容される空間を囲むように収容させることを特徴とする。金属細線をシールド線とすると、シールド線の曲げ反力が大きくなるため、金属細線をシールド線の分だけ細くしつつ、反力を抑えるように折り畳みながら、ノイズシールドとしてシールド50が金属細線の周囲を囲みこむことで、電気的ノイズ耐性の向上とが反力の低減を実現することができる。
【0051】
図6は、本発明の実施形態の変形例1に係る超音波流量センサの断面図である。
【0052】
本例の超音波流量センサ100は、配管に対して着脱可能に取り付けられるクランプオン型の流量センサであり、
図6に示すように、互いに分離可能な第1分割体110と第2分割体120とを備えている。
【0053】
図6に示すように、超音波流量センサ100は、第1の超音波素子111及び第2の超音波素子112と、第1の素子ベース114及び第2の素子ベース115とを備えている。第1の超音波素子111及び第2の超音波素子112は、共に超音波信号を送受信するものであり、例えば圧電素子等で構成されていて全体として板状をなしている。第1の超音波素子111は、配管160の外側において径方向一方(
図6の上側)に位置しており、超音波信号を送受信する送受信面111aを有している。また、第2の超音波素子112は、配管160の外側において径方向他方(
図6の下側)に位置しており、超音波信号を送受信する送受信面112aを有している。
【0054】
第1の素子ベース114は、第1の超音波素子111と配管160との間で超音波信号を伝播するものであり、配管160の外側において第1の超音波素子111と配管160との間に配置されている。第1の素子ベース114は、配管160の外面に対向する配管側面114aと、第1の超音波素子111の送受信面111aに対向する素子側面114bとを有している。第1の超音波素子111は、第1の素子ベース114に設けられている。
【0055】
第1の素子ベース114の配管側面114aは、配管100の管軸線Xと平行に延びる面で構成されている。第1の素子ベースの素子側面114bは、上流側へ行くほど配管160の管軸線Xから離れるように、当該管軸線Xに対して所定角度だけ傾斜している。したがって、第1の素子ベース14の配管側面114aと素子側面114bとの管軸線Xに対する角度が相違することになり、これにより、第1の素子ベース114は上流側へ行くほど厚み寸法が厚くなる形状となる。第1の素子ベース114は、例えばポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等で構成することができる。
【0056】
第1の素子ベース114の素子側面114bが第1の面であり、第1の素子ベース114の配管側面114aが第2の面である。素子側面114bと配管側面114aとは、第1の角度α1をなしている。また、第1の素子ベース114の素子側面114bは、第1の超音波素子111の送受信面111aに沿っており、また、第1の素子ベース114の配管側面114aは、配管160の外面に沿っているので、配管160の側方から見たときに送受信面111aと配管160の外面とのなす角度は、第1の角度α1となる。第1の角度α1の詳細については後述する。
【0057】
第1の素子ベース114の配管側面114aと、配管160の外面との間には、音響結合材113cが介在している。配管100の外面が音響結合材113cに接触し、さらに第1の素子ベース114の配管側面114aが音響結合材113cに接触している。音響結合材113cは第1の素子ベース114の一部を構成する部材であってもよいし、配管160の一部を構成する部材であってもよい。音響結合材113cは、例えばゴムやグリス等からなる粘弾性体で構成されている。また、音響結合材113cをゴム製とする場合、予めシート状に成形されたものを用いることができる。
【0058】
第2の素子ベース115は、第2の超音波素子112と配管160との間で超音波信号を伝播するものであり、配管160の外側において第2の超音波素子112と配管160との間に配置されている。つまり、第1の素子ベース114及び第2の素子ベース115は、配管160を径方向両側から挟むように配置されている。
【0059】
第2の素子ベース115は、配管160の外面に対向する配管側面115aと、第2の超音波素子112の送受信面112aに対向する素子側面115bとを有している。第2の超音波素子112は、第2の素子ベース115に設けられている。
【0060】
第2の素子ベース115の配管側面115aは、配管160の管軸線Xと平行に延びる面で構成されている。第2の素子ベース115の素子側面115bは、上流側へ行くほど配管160の管軸線Xから離れるように、当該管軸線Xに対して所定角度だけ傾斜している。したがって、第2の素子ベース115の配管側面115aと素子側面115bとの管軸線Xに対する角度が相違することになり、これにより、第2の素子ベース115は下流側へ行くほど厚み寸法が厚くなる形状となる。第2の素子ベース115は、第1の素子ベース114と同様な材料で構成されている。
【0061】
第2の素子ベース115の素子側面115bが第3の面であり、第2の素子ベース115の配管側面115aが第4の面である。素子側面15bと配管側面115aとは、第2の角度α2をなしている。また、第2の素子ベース15の素子側面115bは、第2の超音波素子112の送受信面112aに沿っており、また、第2の素子ベース115の配管側面115aは、配管160の外面に沿っているので、配管100の側方から見たときに送受信面12aと配管160の外面とのなす角度は、第2の角度α2となる。第2の角度α2の詳細については後述する。
【0062】
第2の素子ベース115の配管側面115aと、配管160の外面との間には、音響結合材113cが介在している。配管160の外面が音響結合材113cに接触し、さらに第2の素子ベース115の配管側面115aが音響結合材113cに接触している。音響結合材113cは第2の素子ベース115の一部を構成する部材であってもよい。
【0063】
第1分割体110は、第1の超音波素子111と、第1の素子ベース114と、第1の超音波素子111及び第1の素子ベース114を収容する第1ヘッド筐体130とを備えている。第1ヘッド筐体130は、第1箱状部131と、第1ベース部132とを有している。第1箱状部131は、下方に開放するとともに、配管160の長さ方向に長く形成されており、第1の超音波素子111及び第1の素子ベース114は第1箱状部131内に配置されている。第1の素子ベース114の周縁部には、第1取付板部114cが設けられている。第1取付板部114cは第1箱状部131ないし第1ベース部132に固定されている。
【0064】
第1ベース部132は、第1箱状部131の下方に配置されて当該第1箱状部131に一体化されている。第1ベース部132の中央部には、第1開放口132aが形成されており、第1開放口132aは配管160の長さ方向に長い形状となっている。第1の素子ベース114の配管側面114aは、第1開放口132aから下方に臨むように配置される。配管側面114aに音響結合材113cが付着している場合には、音響結合材113cが第1開放口132aから下方に臨むように配置される。
【0065】
第2分割体120は、第2の超音波素子112と、第2の素子ベース115と、第2の超音波素子112及び第2の素子ベース115を収容する第2ヘッド筐体140とを備えている。本実施形態では、筐体が第1ヘッド筐体30と第2ヘッド筐体140とを含んでいる。第2ヘッド筐体140は、第2箱状部141と、第2ベース部142とを有している。第2箱状部141は、上方に開放するとともに、配管160の長さ方向に長く形成されており、第2の超音波素子112及び第2の素子ベース115は第2箱状部141内に配置されている。第2の素子ベース115の周縁部には、第2取付板部115cが設けられている。第2取付板部115cは第2箱状部141ないし第2ベース部142に固定されている。
【0066】
第2ベース部142は、第2箱状部141の上方に配置されて当該第2箱状部141に一体化されている。第2ベース部142の中央部には、第2開放口142aが形成されており、第2開放口142aは配管160の長さ方向に長い形状となっている。第2の素子ベース15の配管側面115aは、第2開放口142aから上方に臨むように配置される。配管側面115aに音響結合材113cが付着している場合には、音響結合材113cが第2開放口142aから上方に臨むように配置される。
【0067】
超音波流量センサ100は、第1ヘッド筐体130に収容される第1中継基板151及び第2ヘッド筐体140に収容される第2中継基板152を更に備えている。第1中継基板151は、第1の超音波素子111を覆うように配置されており、第1の超音波素子111と接続されている。第1ヘッド筐体130内には、
図7に示すように、第1の素子ベース114に対して中継基板151を支持するフレーム165が配置される。第1中継基板151は、固定ネジ154によりフレーム165に固定される。第2中継基板152は、第2の超音波素子112を覆うように配置されており、第2の超音波素子112と接続されている。
【0068】
中継基板151、152の各々には回路パターンが形成されており、この回路パターンと第1の超音波素子111及び第2の超音波素子112とは、各々、信号線153、154を介して接続されている。中継基板151の回路パターンは、ケーブル163と電気的に接続する。中継基板151は、第1ヘッド筐体130内に固定されるとともに、信号線153に接続される第1の超音波素子111とケーブル163とを電気的に中継する。
図8に示すように、第1の超音波素子111は、第1ヘッド筐体ヘッド130内に配置される中継基板151と信号線153によって電気的に接続され、超音波素子111と信号線153とは接続部164によって接続される。また、超音波素子111周辺には、中継基板151をフレーム165に固定する固定ネジ154と嵌合する雌ネジ164が配置される。ここで、中継基板151は、硬質基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。さらに、中継基板151、152の各々には、ヘッド識別素子155、156が実装され、ヘッド識別素子155、156は抵抗または不揮発性のメモリで構成することができる。不揮発性メモリは、ヘッド筐体を識別するヘッド識別情報と、ダンピング配管に関する補正値を記憶することができる。中継基板151、152は、ケーブル163を介してヘッド筐体と着脱自在の構成されるアンプ筐体170に接続し、
図9に示すように、アンプ筐体内にはヘッドの種別を識別し、また、超音波素子110、120を駆動する駆動回路部171が収容される。駆動回路部171は、制御部172、記憶部173、表示部174、接続部175、操作部176および表示ランプ177を含む。駆動回路部の制御部172、は、例えばCPU(中央演算処理装置)を含む。記憶部173は、例えば揮発性メモリまたはハードディスクを含む。制御部172、記憶部173及び表示部174は駆動回路171の制御基板に実装される。 表示部174は、例えばセグメント表示器を含む。表示部174は、ドットマトリクス表示器を含んでもよい。記憶部173には、流量センサ100を動作させるための種々のデータおよびプログラムが記憶される。制御部172は、記憶部173に記憶されたデータおよびプログラムに基づいて、超音波素子111、112、表示部174および表示ランプ177の動作を制御する。なお、中継基板に、表示灯光源を実装し、ヘッド筐体に、表示灯光源により発行する表示灯を形成することもできる。また、制御部172は、接続部175およびケーブルを通して図示しない電源装置等の外部装置に接続される。また、制御部172は、内蔵配管の流路を流れる気体の圧力を測定する機能を備えることもできる。このように、中継基板151、152に実装する機能を簡素化し、超音波流量素子100の制御等の機能を、中継基板151、152からケーブル163等を介して接続される、ヘッド筐体130、140の外部のアンプ筐体に実装させることで、ヘッド筐体130、140に、設計レイアウト上必要な最低限の部品要素を収容することができるので、筐体の小型化を実現することができる。また、中継基板151、152に実装する機能を簡素化することで、超音波流量素子111、112から中継基板151、152に接続する信号線153、154の構成を簡素化することもできる。
【0069】
制御部172は、算出された流量Qを記憶部に記憶されたしきい値と比較し、比較結果に基づいてオンオフ信号を出力する。オンオフ信号は、接続部に接続された、中継基板151、152のヘッド識別素子155、156や外部装置のオン状態とオフ状態とを切り替えるための信号である。表示ランプ177は、ヘッド識別素子を識別した状態や外部装置のオン状態とオフ状態とを識別可能に点灯する。表示部は、アンプ筐体部170の窓部に近接する位置に配置される。表示部174には、上記算出された流体の速度Vf及び流量Qまたは記憶部に記憶されたしきい値等の種々の情報を表示することができる。第1の超音波素子111及び第2の超音波素子112で受信された超音波信号は、ケーブル163を介して制御部に送信される。
【0070】
制御部172は、第1の超音波素子111と第2の超音波素子112との間で送受信する超音波信号に基づいて配管160で規定される流路の流量を測定する部分である。すなわち、制御部172は、伝搬時間差式の測定部である。第1の超音波素子111及び第2の超音波素子112は中継基板151、152を介して制御部172に接続されており、第1の超音波素子111と第2の超音波素子112との間で送受信する超音波信号は、制御部172に入力される。
【0071】
より具体的には、第1の超音波素子111及び第2の超音波素子112は、配管160の管軸線Xに対して傾斜しているので、配管160内を流れる流体に超音波が斜めに通ることになる。第1の超音波素子111は、流れに逆らった方向に超音波信号を送信し、第2の超音波素子112は、流体の流れに沿った方向に超音波信号を送信する。このように、流体の流れに沿った方向と流れに逆らった方向とに超音波信号を送信してそれぞれ検出することで、流体の流れに沿った方向と流れに逆らった方向と超音波信号の伝播時間に差が生じることになる。
【0072】
第1の超音波素子111及び第2の超音波素子112は例えば制御部172や外部のアンプ等によって制御されると、例えば間欠的にバースト波超音波信号(数MHzオーダの超音波パルスが例えば10個程度の塊となっている信号)を出射し、受信波形を制御部172のA/Dコンバータで高速サンプリングする。制御部172は、往路受信波形と復路受信波形とをそれぞれの出射時点の時刻を原点として位置合わせし、その状態から時間方向に相対的にずらしながら波形形状のマッチングを行い、マッチング度が極大となる時間シフト量を伝搬時間差として決定する。制御部172は、決定した伝搬時間差から流速・流量を算出する。制御部172が算出する流量は、瞬時流量であってもよく、積算流量であってもよい。
【0073】
また、図示しないが、超音波流量センサ100はシールドを備えている。シールドは、外来電気的ノイズによる測定精度の低下を抑制するための部材であり、例えば銅箔等で構成されている。第1の超音波素子111、第2の超音波素子112、第1の素子ベース114、第2の素子ベース115、中継基板151、152等はシールドによって覆われている。
【0074】
なお、本例においては、超音波流量センサの第1ヘッド筐体及び第2ヘッド筐体各々に中継基板を備える構成を例示しているが、
図1に示す実施形態の超音波流量センサの構成と同様に、例えば、第1ヘッド筐体にのみ中継基板を備える構成とすることができる。これにより、本例の超音波流量センサをさらに小型化する構成とすることができる。
【0075】
図10は、本発明の実施形態の変形例2に係る超音波流量センサの外観に係る斜視図である。
【0076】
本変形例の超音波流量センサ200は、配管に対して着脱可能に取り付けられるクランプオン型の流量センサであり、クランプ部210およびセンサ部220により構成される。クランプ部210は、上クランプ部材211および下クランプ部材212を含む。クランプ部は、上クランプ部材および下クランプ部材により配管を挟み込むように配置される。これにより、クランプ部が配管220の外周面に取り付けられる。
図10及び
図11の例では、配管2の内径はdである。本実施の形態においては、センサ部は、2個のセンサ固定ねじによりクランプ部210の上クランプ部材211に固定される。
【0077】
図11に示すように、センサ部220は、筐体部250、結合部260、超音波制御機構270および駆動回路部280を含む。筐体部250は、アンプ筐体部251、ヘッド筐体部252および素子ベース253を含む。アンプ筐体部251は、透明部材により形成された窓部254を上面に有する。ヘッド筐体部252の上部にアンプ筐体部251が取り付けられるとともに、ヘッド筐体部252の下部に素子ベース253が取り付けられる。これにより、筐体部250の内部に水および油等の液体が浸入不可能な空間が形成される。
【0078】
結合部260は、固体形状の音響結合材261を含む。音響結合材261は、筐体部250の素子ベース253と配管220との間に配置される。ここで、本実施形態において、超音波流量センサ200は、配管220に対して同じ側に、超音波素子271、272が相互に近接して配置される、「V型」の構成を適用している。
【0079】
筐体部250の内部に超音波制御機構270が収容される。超音波制御機構270は、2個の超音波素子271、272、超音波遮蔽板273および2個のシールド274、275を含む。超音波素子271は、配管220に対して所定の角度を成すように配置され、音響接合剤716により素子ベース253に接合される。同様に、超音波素子272は、配管220に対して所定の角度を成すように配置され、音響接合剤727により素子ベース253に接合される。超音波素子は、例えば圧電素子等で構成されていて全体として板状をなしている。
【0080】
超音波遮蔽板273は、素子ベース253を貫通するように超音波素子271、272間に配置される。シールド274、275は互いに異なる部材により形成される。シールド274は、超音波素子271、272の周囲を取り囲むように配置される。シールド275は、シールド274の上方に配置される。
【0081】
シールド274は、素子ベース253の特性インピーダンスに近い値の特性インピーダンスを有し、かつ超音波を減衰(分散)させる特性が大きい材料により形成される。例えば 、シールドは、異なる特性インピーダンス値を有する複数の部材が分散された材料により形成される。本実施の形態においては、シールドは、充填材として酸化アルミニウムが分散されたシリコーンにより形成される。
【0082】
シールド274は、超音波素子271、272の周囲を部分的に覆うように配置される 。この場合、配管220内を流れる流体中を伝播せずに超音波素子271、272から周囲に送信された超音波は、シールド274により減衰される。これにより、超音波素子271から周囲に送信された超音波が迷信号として超音波素子272により受信されることが防止される。同様に、超音波素子272から周囲に送信された超音波が迷信号として超音波素子271により受信されることが防止される。
【0083】
シールド275は、断熱材料により形成される。シールド部材は、シールド部材の上方でかつ後述する駆動回路部280の中継基板281の下方に配置される。この配置によれば、配管220内に低温の流体が流れる場合でも、配管220から中継基板281に放射される熱(冷気)は、シールド275により遮断される。これにより、中継基板281が結露することが防止される。また、結露を防止するために中継基板281を樹脂等により充填する必要がないので、センサ部240の組立および分解を容易に行うことができる。
【0084】
上記の配置においては、超音波素子271により送信された超音波は、素子ベース2530よび音響結合材261を通して入射角θで配管220内の流体に入射される。流体を通過した超音波は、反射角θで配管220の内面で反射され、音響結合材261および素子ベース253を通して超音波素子272により受信される。
【0085】
同様に、超音波素子272により送信された超音波は、素子ベース253および音響結合材261を通して入射角θで配管220内の流体に入射される。流体を通過した超音波は、反射角θで配管220の内面で反射され、音響結合材261および素子ベース253を通して超音波素子271により受信される。
【0086】
中継基板281は、超音波素子271、272に近接するように超音波素子271、272の上方に配置される。中継基板281には回路パターンが形成されており、この回路パターンと第1の超音波素子271及び第2の超音波素子272とは、各々、信号線276、277を介して接続されている。これにより、超音波素子271、272と中継基板281とを接続する信号線276、277が最短となり、超音波素子271、272からの放射ノイズを抑制することができる。中継基板281には、ヘッド識別素子291が実装され、ヘッド識別素子291は抵抗または不揮発性のメモリで構成することができる。不揮発性メモリは、ヘッド筐体を識別するヘッド識別情報と、ダンピング配管に関する補正値を記憶することができる。
【0087】
中継基板281は、ケーブルを介してヘッド筐体252と着脱自在の構成されるアンプ筐体251に接続し、アンプ筐体251内にはヘッドの種別を識別し、また、超音波素子271、272を駆動する駆動回路部280が収容される。駆動回路部280は、制御部282、記憶部283、制御基板284、表示部285、接続部286、操作部287および表示ランプ288を含む。接続部286、操作部287および表示ランプ288は、筐体部250のアンプ筐体部251の上面に設けられる。制御部282、は、例えばCPU(中央演算処理装置)を含む。記憶部283は、例えば揮発性メモリまたはハードディスクを含む。制御部282および記憶部283は制御基板284に実装される。 表示部285は、例えばセグメント表示器を含む。表示部285は、ドットマトリクス表示器を含んでもよい。表示部285は制御基板284に実装される。記憶部283には、流量センサ200を動作させるための種々のデータおよびプログラムが記憶される。制御部282は、記憶部283に記憶されたデータおよびプログラムに基づいて、超音波素子271、272、表示部285および表示ランプ288の動作を制御する。なお、中継基板に、表示灯光源を実装し、ヘッド筐体に、表示灯光源により発行する表示灯を形成することもできる。また、制御部282は、接続部287およびケーブル290を通して図示しない電源装置等の外部装置に接続される。
【0088】
本例おいては、制御部282は時間差Δtを測定する。時間差Δtは、超音波素子271により送信された超音波が超音波素子272により受信されるまでの時間と超音波素子272により送信された超音波が超音波素子271により受信されるまでの時間との差である。測定された時間差Δtに基づいて、制御部282は、配管220内を流れる流体の速度Vf及び配管2内を流れる流体の流量Qを所定の計算式により算出する。使用者は、操作部287を操作することにより、流量のしきい値を記憶部283に記憶させることができる。
【0089】
制御部282は、算出された流量Qを記憶部283に記憶されたしきい値と比較し、比較結果に基づいてオンオフ信号を出力する。オンオフ信号は、接続部286に接続された、中継基板281のヘッド識別素子291や外部装置のオン状態とオフ状態とを切り替えるための信号である。表示ランプ288は、ヘッド識別素子291や外部装置のオン状態とオフ状態とを識別可能に点灯する。
【0090】
表示部285は、アンプ筐体部251の窓部254に近接する位置に配置される。表示部285には、上記算出された流体の速度Vf及び流量Qまたは記憶部283に記憶されたしきい値等の種々の情報を表示することができる。
【0091】
このように、中継基板281に実装する機能を簡素化し、超音波流量素子の制御等の機能を、中継基板281からケーブル等を介して接続される、ヘッド筐体252の外部のアンプ筐体251に実装させることで、ヘッド筐体252に、設計レイアウト上必要な最低限の部品要素を収容することができるので、筐体の小型化を実現することができる。また、中継基板281に実装する機能を簡素化することで、超音波流量素子271、272から中継基板281に接続する信号線276、277の構成を簡素化することもできる。特に、本例のように、「V型」の超音波流量センサの場合、その構成上、2つの超音波流量素子が配管に対して中継基板に近い側に配置されるため、超音波流量素子の各々と中継基板281とを信号線276、277で接続するための距離を短くできるので、小型化された超音波流量センサを組み立てる際に作業性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明に係る超音波流量センサは、例えば空気圧システム等に組み込んで利用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 超音波流量センサ
11 第1の超音波素子
12 第2の超音波素子
13 ダンピング配管
14 第1の素子ベース
15 第2の素子ベース
40 中継基板
41 ヘッド識別素子
44 信号線
52 ヘッド筐体
60 アンプ筐体
61 駆動回路部
62 制御部
63 記憶部
64 表示部
65 接続部
66 操作部
67 表示ランプ