(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122835
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】他職種他機関連携システム、他職種他機関連携方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240902BHJP
G06Q 50/22 20240101ALI20240902BHJP
【FI】
G16H20/00
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134020
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2023030420
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MySQL
(71)【出願人】
【識別番号】523071215
【氏名又は名称】西本 真弓
(71)【出願人】
【識別番号】506057649
【氏名又は名称】前田 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】西本 真弓
(72)【発明者】
【氏名】前田 利之
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】患者に対する訪問診療や往診及び訪問看護において、医師の負担を軽減することができる他職種他機関連携システムを提供する。
【解決手段】他職種他機関連携システム100は、医師1が使用する第一端末10、及び、看護師2が使用する第二端末20と通信接続されたサーバ50を備え、サーバ50は、看護師2が患者4の訪問看護記録に入力した訪問看護記録情報と、医師1が患者4の診療録に入力した診療録情報とを取得する取得部54と、訪問看護記録情報及び診療録情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53aに保存する管理部55と、訪問看護記録情報に含まれる情報のうち診療録に入力される情報と項目が共通する共通情報を第一端末10へ出力する出力部56と、を備え、第一端末10は、共通情報を取得すると、共通情報が入力された診療録を表示し、医師1により診療録に入力された情報と共通情報とを診療録情報としてサーバ50へ送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を遠隔診療する医師が使用する第一端末、及び、前記患者の家に訪問して前記患者を看護する看護師が使用する第二端末と通信により接続されたサーバを備える他職種他機関連携システムであって、
前記サーバは、
前記看護師が前記患者の訪問看護記録に入力した訪問看護記録情報と、前記医師が前記患者の診療録に入力した診療録情報とを取得する取得部と、
前記訪問看護記録情報及び前記診療録情報を前記患者の識別情報に紐づけてデータベースに保存する管理部と、
前記訪問看護記録情報に含まれる情報のうち前記診療録に入力される情報と項目が共通する共通情報を前記第一端末へ出力する出力部と、
を備え、
前記第一端末は、
前記共通情報を取得すると、前記共通情報が入力された前記診療録を表示し、
前記医師により前記診療録に入力された情報と前記共通情報とを前記診療録情報として前記サーバへ送信する、
他職種他機関連携システム。
【請求項2】
前記第一端末は、前記医師により前記診療録情報が修正されると、修正された前記診療録情報を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記医師により修正された前記診療録情報を取得し、
前記管理部は、前記データベースに保存された前記診療録情報を、前記医師により修正された前記診療録情報に更新する、
請求項1に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項3】
前記第二端末は、前記看護師により前記訪問看護記録に前記訪問看護記録情報が入力されると、前記訪問看護記録情報を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記第二端末から送信された前記訪問看護記録情報を取得する、
請求項1又は2に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項4】
前記サーバは、さらに、薬局で使用される第三端末と通信接続されており、
前記第一端末は、前記医師により前記患者に処方する薬の処方箋が入力されると、前記処方箋を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記第一端末から送信された前記処方箋を取得し、
前記管理部は、前記処方箋を前記患者の前記識別情報に紐づけて前記データベースに保存し、前記データベースに保存された前記薬の配送方法を抽出し、
前記出力部は、前記処方箋及び前記薬の配送方法を前記第三端末へ出力する、
請求項1又は2に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項5】
前記第三端末は、前記処方箋に基づいて前記薬が準備されると、前記薬の準備が完了したことを知らせる通知を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記第三端末から送信された前記通知を取得し、
前記管理部は、前記薬の配送方法による前記患者の家への前記薬の到着時間を算出し、
前記出力部は、前記薬の配送方法、及び、前記到着時間を前記第二端末へ出力する、
請求項4に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項6】
前記薬の配送方法は、無人移動体を用いて前記薬を前記患者の家に配送する方法、又は、運送業者により前記薬を前記患者の家に配送する方法である、
請求項5に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項7】
前記診療録は、複数の項目を含んでおり、
前記第一端末は、(i)前記診療録の前記複数の項目のうち1以上の項目を、前記第一端末以外の他の端末との間で共有することを許可する共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された前記共有化項目を示す情報である共有化情報を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記第一端末から送信された前記共有化情報を取得し、
前記管理部は、前記共有化情報を前記患者の前記識別情報に紐づけて前記データベースに保存し、
前記出力部は、前記他の端末からの要求に応じて、前記医師により入力された前記診療録の前記複数の項目のうち前記共有化情報により示される前記共有化項目を前記他の端末へ出力する
請求項1に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項8】
前記訪問看護記録は、複数の項目を含んでおり、
前記第二端末は、(i)前記訪問看護記録の前記複数の項目のうち1以上の項目を、前記第二端末以外の他の端末との間で共有することを許可する共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された前記共有化項目を示す情報である共有化情報を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記第二端末から送信された前記共有化情報を取得し、
前記管理部は、前記共有化情報を前記患者の前記識別情報に紐づけて前記データベースに保存し、
前記出力部は、前記他の端末からの要求に応じて、前記看護師により入力された前記訪問看護記録の前記複数の項目のうち前記共有化情報により示される前記共有化項目を前記他の端末へ出力する
請求項1に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項9】
前記処方箋は、複数の項目を含んでおり、
前記第三端末は、(i)前記処方箋の前記複数の項目のうち1以上の項目を、前記第三端末以外の他の端末との間で共有することを許可する共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された前記共有化項目を示す情報である共有化情報を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記第三端末から送信された前記共有化情報を取得し、
前記管理部は、前記共有化情報を前記患者の前記識別情報に紐づけて前記データベースに管理し、
前記出力部は、前記他の端末からの要求に応じて、前記医師により入力された前記処方箋の前記複数の項目のうち前記共有化情報により示される前記共有化項目を前記他の端末へ出力する
請求項4に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項10】
前記診療録は、複数の項目を含んでおり、
前記第一端末は、(i)前記診療録の前記複数の項目のうち1以上の項目を、前記第一端末以外の他の端末との間で共有することを禁止する非共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された前記非共有化項目を示す情報である非共有化情報を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記第一端末から送信された前記非共有化情報を取得し、
前記管理部は、前記非共有化情報を前記患者の前記識別情報に紐づけて前記データベースに保存し、
前記出力部は、前記他の端末からの要求に応じて、前記医師により入力された前記診療録の前記複数の項目のうち前記非共有化情報により示される前記非共有化項目以外の他の1以上の項目を前記他の端末へ出力する
請求項1に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項11】
前記訪問看護記録は、複数の項目を含んでおり、
前記第二端末は、(i)前記訪問看護記録の前記複数の項目のうち1以上の項目を、前記第二端末以外の他の端末との間で共有することを禁止する非共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された前記非共有化項目を示す情報である非共有化情報を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記第二端末から送信された前記非共有化情報を取得し、
前記管理部は、前記非共有化情報を前記患者の前記識別情報に紐づけて前記データベースに保存し、
前記出力部は、前記他の端末からの要求に応じて、前記看護師により入力された前記訪問看護記録の前記複数の項目のうち前記非共有化情報により示される前記非共有化項目以外の他の1以上の項目を前記他の端末へ出力する
請求項1に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項12】
前記処方箋は、複数の項目を含んでおり、
前記第三端末は、(i)前記処方箋の前記複数の項目のうち1以上の項目を、前記第三端末以外の他の端末との間で共有することを禁止する非共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された前記非共有化項目を示す情報である非共有化情報を前記サーバへ送信し、
前記取得部は、前記第三端末から送信された前記非共有化情報を取得し、
前記管理部は、前記非共有化情報を前記患者の前記識別情報に紐づけて前記データベースに管理し、
前記出力部は、前記他の端末からの要求に応じて、前記医師により入力された前記処方箋の前記複数の項目のうち前記非共有化情報により示される前記非共有化項目以外の他の1以上の項目を前記他の端末へ出力する
請求項4に記載の他職種他機関連携システム。
【請求項13】
患者を遠隔診療する医師が使用する第一端末、及び、前記患者の家に訪問して前記患者を看護する看護師が使用する第二端末と通信により接続されたサーバを備える他職種他機関連携システムによる他職種他機関連携方法であって、
前記看護師が前記患者の訪問看護記録に入力した訪問看護記録情報と、前記医師が前記患者の診療録に入力した診療録情報とを取得する取得ステップと、
前記訪問看護記録情報及び前記診療録情報を前記患者の識別情報に紐づけてデータベースに保存する管理ステップと、
前記訪問看護記録情報に含まれる情報のうち前記診療録に入力される情報と項目が共通する共通情報を前記第一端末へ出力する出力ステップと、
を含み、
前記第一端末は、
前記共通情報を取得すると、前記共通情報が入力された前記診療録を表示し、
前記医師により前記診療録に入力された情報と前記共通情報とを前記診療録情報として前記サーバへ送信する、
他職種他機関連携方法。
【請求項14】
請求項13に記載の他職種他機関連携方法を1以上のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他職種他機関連携システム、他職種他機関連携方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
少子高齢化が進み、労働者人口が減少する一方で、高齢者数が増加している。それに伴い、今後、高齢者に対する訪問診療や往診及び訪問看護の需要がさらに増加することが予測されており、医療従事者が不足することが懸念されている。訪問診療や往診には、在宅療養支援診療所(在支診)や在宅療養支援病院(在支病)の他、訪問看護ステーション、訪問介護事業所、及び、薬局等の他職種他機関が関係している。
【0003】
これらの他職種他機関が連携して効率良く高齢者(以下、患者)に対する訪問診療や往診及び訪問看護を行うために、これらの他職種他機関の間で患者の診療情報及び看護情報を共有化できる仕組みが望まれている。
【0004】
例えば、特許文献1には、在宅で療養する患者の診療情報及び看護情報を複数の診療所の医師の間で共有化することで、訪問診療及び看取り等の診療を連携して行わせる診診連携方法等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、患者の主治医の不在時に、主治医に代わって連携医が患者の往診を行わなければならず、医師の負担が軽減されたとは言えない。
【0007】
そこで、本発明は、患者に対する訪問診療や往診及び訪問看護において、医師の負担を軽減することができる他職種他機関連携システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る他職種他機関連携システムは、患者を遠隔診療する医師が使用する第一端末、及び、前記患者の家に訪問して前記患者を看護する看護師が使用する第二端末と通信により接続されたサーバを備える他職種他機関連携システムであって、前記サーバは、前記看護師が前記患者の訪問看護記録に入力した訪問看護記録情報と、前記医師が前記患者の診療録に入力した診療録情報とを取得する取得部と、前記訪問看護記録情報及び前記診療録情報を前記患者の識別情報に紐づけてデータベースに保存する管理部と、前記訪問看護記録情報に含まれる情報のうち前記診療録に入力される情報と項目が共通する共通情報を前記第一端末へ出力する出力部と、を備え、前記第一端末は、前記共通情報を取得すると、前記共通情報が入力された前記診療録を表示し、前記医師により前記診療録に入力された情報と前記共通情報とを前記診療録情報として前記サーバへ送信する。
【0009】
また、本開示の一態様に係る他職種他機関連携方法は、患者を遠隔診療する医師が使用する第一端末、及び、前記患者の家に訪問して前記患者を看護する看護師が使用する第二端末と通信により接続されたサーバを備える他職種他機関連携システムによる他職種他機関連携方法であって、前記看護師が前記患者の訪問看護記録に入力した訪問看護記録情報と、前記医師が前記患者の診療録に入力した診療録情報とを取得する取得ステップと、前記訪問看護記録情報及び前記診療録情報を前記患者の識別情報に紐づけてデータベースに保存する管理ステップと、前記訪問看護記録情報に含まれる情報のうち前記診療録に入力される情報と項目が共通する共通情報を前記第一端末へ出力する出力ステップと、を含み、前記第一端末は、前記共通情報を取得すると、前記共通情報が入力された前記診療録を表示し、前記医師により前記診療録に入力された情報と前記共通情報とを前記診療録情報として前記サーバへ送信する。
【0010】
また、本開示の一態様に係るプログラムは、前記他職種他機関連携方法を1以上のコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係る他職種他機関連携システム等は、患者に対する訪問診療や往診及び訪問看護において、医療従事者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る他職種他機関連携システムの概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る他職種他機関連携システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る他職種他機関連携システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、第二端末による患者の診療情報の表示例を示す図である。
【
図5】
図5は、第二端末による訪問看護記録の入力画面の表示例を示す図である。
【
図6】
図6は、第二端末による訪問看護記録の入力画面の他の表示例を示す図である。
【
図7】
図7は、第一端末による患者の診療情報の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、共通情報が入力された診療録の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、患者の訪問看護記録の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2に係る他職種他機関連携システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第一端末のディスプレイに表示される診療録の共有化項目選択画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、他の端末のディスプレイに表示される診療録の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、他の端末のディスプレイに表示される診療録の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、第一端末のディスプレイに表示される診療録の個別共有化項目選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本開示に至った知見)
日本では、少子高齢化が進み労働者人口が減少している。例えば、1950年には、65歳以上の者1人に対して現役世代(15歳~64歳の者)が10人いたのに対して、2015年には65歳以上の者1人に対して現役世代2.1人である。今後も、高齢化率の上昇、現役世代の割合の低下は続き、2050年には、65歳以上の者に対して現役世代1.2人という比率になると推計されている。
【0014】
このように、日本は、この先、働き、税金を支払い、健康保険料も納めてくれる労働者人口が減少していき、2040年に向けて死亡者数が増加するため、終末期にかかる医療費及び介護費が増大することが予期される。そこで、国は、終末期にかかる医療費及び介護費を抑制するために、在宅医療の促進に舵を切り、病院の病床数の削減を行っている。
【0015】
しかしながら、診療所の医師数は病院の医師数より増加が穏やかであり、診療所の医師数の急増は見込めない。医師の勤務時間は長時間に及んでおり、一人一人の勤務時間をこれ以上増やすことができない現実もある。したがって、医師が今以上に働いて在宅医療を支えていくというのは現実的ではないことから、本願発明者らは、医療従事者、特に、医師の不足が在宅医療を推進する上での課題であると考えている。
【0016】
上記課題を解決するために、本願発明者らは、医師、訪問看護師、及び、薬局の連携が重要であると考え、連携を促すための他職種他機関連携システムを構築することを見出した。これにより、在宅医療の有効的で効率的な展開を目指すことが可能になる。
【0017】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0018】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
まず、実施の形態1に係る他職種他機関連携システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る他職種他機関連携システムの概要を説明するための図である。
図2は、実施の形態1に係る他職種他機関連携システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
他職種他機関連携システム100は、医師1が使用する第一端末10、看護師2が使用する第二端末20、及び、薬剤師3が使用する第三端末30が、インターネットなどの広域通信ネットワーク40を介してサーバ50と接続され、医師1、看護師2及び薬剤師3がそれぞれ患者4について必要な情報を共有するシステムである。医師1は、自宅で療養している患者4をオンラインで遠隔診療する医師であり、例えば、在宅療養支援診療所(在支診)に設置された第一端末10を使用する。また、看護師2は、患者4の家に訪問して患者4を看護する看護師であり、例えば、訪問看護ステーションから配布されたタブレット端末などの第二端末20を使用する。薬剤師3は、医師1が作成した処方箋を受け取ると、患者4の薬を準備し、患者4の家に薬を配送する。薬は、例えば、ドローン、若しくは、自律走行型ロボットなどの無人移動体5、又は、郵便業者もしくは宅配業者などの運送業者により患者4の家まで配送されてもよい。また、処方箋を受け取った薬局も他職種他機関連携システム100にオンラインで参加し、看護師が伴う形で服薬指導を行ってもよい。
【0021】
なお、
図1の例では、他職種他機関連携システム100は、医師1、看護師2及び薬剤師3の間で患者4について必要な情報を共有し、患者4に対する訪問診療や往診及び訪問看護を連携して行うが、この例に限られない。例えば、他職種他機関連携システム100は、さらに、ケアマネジャー、保健師、介護士、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、及び、主任介護支援専門員(いわゆる、主任ケアマネジャー)等とも患者4について必要な情報を共有し、患者4に対する訪問診療や往診及び訪問看護を連携して行ってもよい。
【0022】
続いて、他職種他機関連携システム100の構成について
図1及び
図2を参照しながら説明する。なお、
図1及び
図2では、他職種他機関連携システム100は、第一端末10、第二端末20及び第三端末30と広域通信ネットワーク40を介して接続しているサーバ50とを備える例を示しているが、他職種他機関連携システム100は、第一端末10、第二端末20及び第三端末30をシステムの構成として備えていなくてもよい。
【0023】
第一端末10は、患者4を遠隔診療する医師1が使用する情報端末であり、具体的には、パーソナルコンピュータ等である。
【0024】
第二端末20は、患者4の家を訪問して患者4を看護する看護師2が使用する情報端末であり、具体的には、タブレット端末等である。
【0025】
第三端末30は、薬局の薬剤師3が使用する情報端末であり、具体的には、タブレット端末又はパーソナルコンピュータ等である。
【0026】
サーバ50は、医師1により第一端末10に入力された患者4の診療録情報、及び、看護師2により第二端末20に入力された患者4の訪問看護記録情報などを含む患者4の診療情報を管理するサーバであり、例えば、クラウドサーバ等によって実現される。
【0027】
サーバ50は、例えば、通信部51と、制御部52と、記憶部53とを備える。
【0028】
通信部51は、サーバ50が、広域通信ネットワーク40を介して、第一端末10、第二端末20及び第三端末30と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部51によって行われる通信は、例えば、有線通信であるが、無線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0029】
制御部52は、サーバ50に関する情報処理などを行う。制御部52は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。制御部52は、具体的には、取得部54、管理部55、及び、出力部56を備える。取得部54、管理部55、及び、出力部56の機能は、例えば、制御部52を構成するマイクロコンピュータ又はプロセッサなどが記憶部53に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。取得部54、管理部55、及び、出力部56の機能の詳細については、後述する。
【0030】
記憶部53は、上記のような情報処理に必要な情報、及び、制御部52が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部53には、データベース53aが格納されている。記憶部53は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)によって実現されるが、半導体メモリなどによって実現されてもよい。
【0031】
例えば、記憶部53には、第一端末10、第二端末20及び第三端末30に搭載されたWebブラウザとHTTPプロトコルによる通信を行ってWebブラウザに各種Web画面を提供するWebサーバとしての機能を実現させるためのWebサーバプログラム、Webサーバ上で動作しWebブラウザを介して第一端末10、第二端末20及び第三端末30のユーザに他職種他機関連携サービスを提供するためのアプリケーションプログラム等が記憶されている。より具体的には、例えば、Ubuntu Server 20.04 LTS(on Amazon EC2)、Apache 2.4.41、MySQL 8.0.31、又は、django 3.1.1(with Bootstrap 4.0.0)などが挙げられる。
【0032】
データベース53aは、例えば、患者4ごとに、基本情報、医療機関情報、訪問看護計画情報、及び、診療情報などを患者4の識別情報に紐づけて保存している。患者4の識別情報は、例えば、ID(Identifier)番号である。
【0033】
患者4の基本情報は、例えば、患者4の氏名、年齢、生年月日、性別、住所、地域コード、健康保険事項、公費負担事項、市町村番号、家族関係、病歴、薬歴、現在の病状、及び、訪問回数などの情報である。
【0034】
患者4の診療情報は、例えば、患者4の身体状況、病状、治療等について、患者4の診療の過程で医療従事者(例えば、医師1、看護師2、薬剤師3、理学療法士、及び、作業療法士など)が知り得た情報をいう。
【0035】
患者4の診療記録は、例えば、診療録、処方箋、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真などの画像情報、紹介状、退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約その他の診療の過程で患者4の身体状況、病状、治療などについて作成、記録又は保存された書類及び画像等の記録をいう。
【0036】
医療機関情報は、患者4ごとに、当該患者4と、当該患者4に対する訪問診療や往診に関わる複数の職種を含む複数の医療従事者とが予め対応づけられている。複数の医療従事者は、例えば、医師1、看護師2、ケアマネジャー、訪問介護員、及び、薬剤師3などが含まれる。患者4に対応づけられている複数の医療従事者は、異なる職種の医療従事者が含まれるが、同じ職種の医療従事者が含まれていてもよい。
【0037】
訪問看護計画情報は、患者4ごとの、当該患者4に対する看護又は介護のスケジュールを示す情報である。訪問看護計画情報には、看護又は介護を行う医療従事者(行為者)と、看護又は介護を行う日時と、看護又は介護内容とが含まれる。
【0038】
[1-2.動作]
続いて、実施の形態1に係る他職種他機関連携システム100の動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る他職種他機関連携システム100の動作例を示すシーケンス図である。
図4は、第二端末20による患者4の診療情報の表示例を示す図である。
図5は、第二端末20による訪問看護記録の入力画面の表示例を示す図である。
図6は、第二端末20による訪問看護記録の入力画面の他の表示例を示す図である。
図7は、第一端末10による患者4の診療情報の表示例を示す図である。
図8は、共通情報が入力された診療録の一例を示す図である。
図9は、患者4の訪問看護記録の一例を示す図である。
図10は、診療録の一例を示す図である。
図11は、処方箋の一例を示す図である。
【0039】
看護師2は第二端末20を用いて他職種他機関連携システム100のアプリケーションを立ち上げて、自身のログインID(いわゆる、看護師2の識別情報)を第二端末20に入力する(
図3で不図示)。第二端末20は、看護師2の識別情報の入力を受け付けると(ステップS01)、看護師2の識別情報をサーバ50へ送信する(ステップS02)。
【0040】
サーバ50の取得部54が看護師2の識別情報を取得すると、認証部(
図2で不図示)は、取得した識別情報に基づいて、看護師2のユーザ認証を行う(
図3で不図示)。認証部が看護師2のユーザ認証を終了すると、管理部55は、看護師2が担当する患者4の診療情報をデータベース53aから読み出す(ステップS03)。出力部56は、データベース53aから読み出された患者4の診療情報を第二端末20へ出力する(ステップS04)。
【0041】
次に、第二端末20は、サーバ50から出力された患者4の診療情報を表示する(ステップS05)。例えば、
図4に示されるように、第二端末20は、看護師2が担当する複数の患者4の診療情報(診療記録ともいう)の一覧をディスプレイに表示する。例えば、看護師2が第二端末20のディスプレイに表示された「入力はこちらから」ボタンをタッチすると、第二端末20は、訪問看護記録の入力画面の表示指示を受け付け、訪問看護記録の入力画面を表示する(
図5参照)。なお、
図5の例では、第二端末20は、タブレット端末又はスマートフォンであるが、コンピュータ装置であってもよい。第二端末20がコンピュータ装置である場合、第二端末20は、
図6に示される入力画面をディスプレイに表示してもよい。
【0042】
次に、看護師2が訪問看護記録の入力画面に患者4の氏名、診察日、診察場所、診察方法、及び、バイタルデータなどの訪問看護記録情報を入力すると、第二端末20は、看護師2による訪問看護記録への訪問看護記録情報の入力を受け付け(ステップS06)、患者4の訪問看護記録情報をサーバ50へ送信する(ステップS07)。
【0043】
サーバ50の管理部55は、取得部54が第二端末20から送信された患者4の訪問看護記録情報を取得すると、訪問看護記録情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53aに保存する(ステップS08)。
【0044】
次に、出力部56は、データベース53aに保存された患者4の訪問看護記録情報のうち診療録に入力される情報と項目が共通する共通情報を第一端末10へ出力する(ステップS09)。このとき、出力部56は、例えば、患者4を担当する医師1に患者4の診療の開始を要請する通知も第一端末10へ出力する。
【0045】
次に、第一端末10は、サーバ50から出力された患者4の共通情報、及び、患者4の共通情報を取得したことを示す通知(又は、患者4の診察の開始を要請する通知)を取得すると、例えば、
図7の(a)~(d)に示されるように、患者4の診療情報(いわゆる、診療記録)の一覧をディスプレイに表示する(
図3で不図示)。
【0046】
例えば、
図7の(a)に示される表示例では、医師1が第一端末10のディスプレイに表示された「医師入力」ボタンをクリックすることにより、第一端末10は、医師1により入力された診療録の作成開始の指示を受け付けると(
図3で不図示)、共通情報が入力された診療録(
図8参照)をディスプレイに表示する(ステップS10)。なお、第一端末10による患者4の診療情報の表示例は、
図7の(a)に限られず、
図7の(b)~(d)に示されるように、それぞれ、他職種他機関連携システム100にログインする医師1、看護師2、薬剤師3ごとに異なる態様で表示されてもよい。つまり、第一端末10から他職種他機関連携システム100へのログインに関して、医師1、看護師2、薬剤師3について共通のアカウント(つまり、IDおよびパスワード)が設定されてもよいし、医師1、看護師2、薬剤師3のそれぞれごとに異なるアカウントが設定されてもよい。
【0047】
第一端末10は、医師1による患者4の診療録への情報の入力を受け付けると(ステップS11)、当該情報と共通情報とを診療録情報としてサーバ50へ送信する(ステップS12)。例えば、医師1が、第一端末10のディスプレイに表示された、患者4の診療情報(いわゆる、診療記録)の一覧の「詳細(看護師用)」ボタンをクリックすると、第一端末10は、看護師2が作成した患者4の訪問看護記録(
図9参照)を表示する。また、例えば、医師1が、「詳細(医師用)」ボタンをクリックすると、第一端末10は、医師1が作成した患者4の診療録(
図10参照)を表示する。
【0048】
サーバ50の管理部55は、取得部54が第一端末10から送信された診療録情報を取得すると(不図示)、取得した診療録情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53aに保存する(ステップS13)。
【0049】
第一端末10は、医師1による患者4に処方する薬の処方箋の入力を受け付けると(ステップS14)、処方箋をサーバへ送信する(ステップS15)。
【0050】
サーバ50の管理部55は、取得部54が第一端末10から送信された処方箋を取得すると(不図示)、取得した処方箋を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53aに保存し(ステップS16)、処方された薬の配送方法をデータベース53aから抽出する(ステップS17)。
【0051】
サーバ50の出力部56は、患者4に処方する薬の処方箋と、薬の配送方法とを第三端末30へ出力する(ステップS18)。薬の配送方法は、無人移動体5を用いて薬を患者4の家に配送する方法、又は、運送業者により薬を患者4の家に配送する方法である。無人移動体5は、例えば、ドローン、又は、自律走行型ロボットである。
【0052】
第三端末30は、サーバ50から出力された処方箋及び薬の配送方法を取得すると、取得した処方箋(
図11参照)及び薬の配送方法をディスプレイに表示する(ステップS19)。
【0053】
処方箋に基づいて薬が準備されると、第三端末30は、薬剤師3による薬の準備が完了したことを知らせる通知の送信指示を受け付け(ステップS20)、当該指示に従って、薬の準備が完了したことの通知(つまり、準備完了の通知)をサーバ50へ送信する(ステップS21)。このとき、例えば、薬剤師3は、薬の配送方法に従って薬の配送手続が完了すると、第三端末30に薬の配送手続が完了したことを入力する。具体的には、薬剤師3が第三端末30のディスプレイに表示された配送手続完了ボタンを指でタッチすると、第三端末30は薬の配送手続完了の通知の送信指示を受け付け、指定された配送方法で薬を患者4の家に配送する手続を開始する(不図示)。
【0054】
サーバ50の管理部55は、取得部54が第三端末30から送信された通知を取得すると(不図示)、薬の配送方法による患者4の家への薬の到着時間を算出し(ステップS22)、出力部56は、薬の配送方法、及び、到着時間を第二端末20へ出力する(ステップS23)。
【0055】
第二端末20は、サーバ50から出力された薬の配送方法、及び、薬の到着時間を取得すると(不図示)、薬の配送方法、及び、到着時間をディスプレイに表示する(ステップS24)。
【0056】
看護師2が薬を受け取ったことを第二端末20に入力すると、第二端末20は、第三端末30に薬が患者4の家に到着したことを通知する。薬剤師3は、第三端末30に当該通知が表示されると、第三端末30を介して、第二端末20に音声と画像とを表示して、患者4に薬の説明を開始する。なお、薬が到着した後に服薬指導が行われるケースだけでなく、服薬指導の後に薬が到着するケースがあってもよい。
【0057】
なお、第一端末10は、医師1により患者4の診療録情報が修正されると、修正された診療録情報をサーバ50へ送信する。サーバ50の取得部54は、医師1により修正された診療録情報を取得し、管理部55は、データベース53aに保存された患者4の診療録情報を、医師1により修正された診療録情報に更新する。
【0058】
[1-3.効果等]
以下、実施の形態1の開示内容から得られる技術を例示し、当該技術から得られる効果等について説明する。
【0059】
[技術1]
患者4を遠隔診療する医師1が使用する第一端末10、及び、患者4の家に訪問して患者4を看護する看護師2が使用する第二端末20と通信により接続されたサーバ50を備える他職種他機関連携システムであって、サーバ50は、看護師2が患者4の訪問看護記録に入力した訪問看護記録情報と、医師1が患者4の診療録に入力した診療録情報とを取得する取得部54と、訪問看護記録情報及び診療録情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53aに保存する管理部55と、訪問看護記録情報に含まれる情報のうち診療録に入力される情報と項目が共通する共通情報を第一端末10へ出力する出力部56と、を備え、第一端末10は、共通情報を取得すると、共通情報が入力された診療録を表示し、医師1により診療録に入力された情報と共通情報とを診療録情報としてサーバ50へ送信する、他職種他機関連携システム100である。
【0060】
[技術1の効果]
このような他職種他機関連携システム100は、看護師2が患者4の家を訪問して作成した訪問看護記録と、医師1が作成する診療録とで共通する共通情報が記載された診療録が第一端末10に表示される。そのため、他職種他機関連携システム100は、医師1が医師として診療録に入力する必要がある事項を記載することで、診療録を効率良く作成することができる。したがって、他職種他機関連携システム100は、患者4に対する訪問診療や往診及び訪問看護において、医師1の負担を軽減することができる。
【0061】
[技術2]
第一端末10は、医師1により診療録情報が修正されると、修正された診療録情報をサーバ50へ送信し、取得部54は、医師1により修正された診療録情報を取得し、管理部55は、データベース53aに保存された診療録情報を、医師1により修正された診療録情報に更新する、技術1に記載の他職種他機関連携システム100である。
【0062】
[技術2の効果]
このような他職種他機関連携システム100は、医師1が診療録に記載された診療録情報を修正して、診療録を更新することができる。
【0063】
[技術3]
第二端末20は、看護師2により訪問看護記録に訪問看護記録情報が入力されると、訪問看護記録情報をサーバ50へ送信し、取得部54は、第二端末20から送信された訪問看護記録情報を取得する、技術1又は2に記載の他職種他機関連携システム100である。
【0064】
[技術3の効果]
このような他職種他機関連携システム100は、看護師2が第二端末20を用いて作成した訪問看護記録に記載された患者4の訪問看護記録情報をサーバ50が取得してデータベース53aで保存することができる。そのため、他職種他機関連携システム100は、データベース53aに保存された患者4の訪問看護記録情報から共通情報を抽出して、共通情報が記載された患者4の診療録を第一端末10に表示させることができる。
【0065】
[技術4]
サーバ50は、さらに、薬局で使用される第三端末30と通信接続されており、第一端末10は、医師1により患者4に処方する薬の処方箋が入力されると、処方箋をサーバ50へ送信し、取得部54は、第一端末10から送信された処方箋を取得し、管理部55は、処方箋を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53aに保存し、データベース53aに保存された薬の配送方法を抽出し、出力部56は、処方箋及び薬の配送方法を第三端末30へ出力する、技術1~3のいずれかに記載の他職種他機関連携システム100である。
【0066】
[技術4の効果]
このような他職種他機関連携システム100は、サーバ50が薬局で薬剤師3が使用する第三端末30とも通信接続されているため、医師1が第一端末10を用いて作成した処方箋をサーバ50のデータベース53aに保存された患者4の家への薬の配送方法と共に第三端末30へ出力することができる。そのため、他職種他機関連携システム100は、薬局の薬剤師3が処方箋に基づいて薬を準備し、予め指定された配送方法で患者4の家へ薬を配送することができる。
【0067】
[技術5]
第三端末30は、処方箋に基づいて薬が準備されると、薬の準備が完了したことを知らせる通知をサーバ50へ送信し、取得部54は、第三端末30から送信された通知を取得し、管理部55は、薬の配送方法による患者4の家への薬の到着時間を算出し、出力部56は、薬の配送方法、及び、到着時間を第二端末20へ出力する、技術4に記載の他職種他機関連携システム100である。
【0068】
[技術5の効果]
このような他職種他機関連携システム100は、患者4の家への薬の到着時間をサーバ50が算出して第二端末20へ出力して、第二端末20に薬の到着時間を表示するため、看護師2は、患者4の家への薬の到着時間を容易に把握することができる。
【0069】
[技術6]
薬の配送方法は、無人移動体5を用いて薬を患者4の家に配送する方法、又は、運送業者により薬を患者4の家に配送する方法である、技術4又は5に記載の他職種他機関連携システム100である。
【0070】
[技術6の効果]
このような他職種他機関連携システム100は、ドローンもしくは自律走行型ロボットなどの無人移動体5、又は、運送業者を利用して患者4の家へ薬を配送することができる。そのため、患者4又は患者4を担当する看護師2が薬局に薬を取りに行く必要がないため、利便性が向上する。
【0071】
[技術7]
患者4を遠隔診療する医師1が使用する第一端末10、及び、患者4の家に訪問して患者4を看護する看護師2が使用する第二端末20と通信により接続されたサーバ50を備える他職種他機関連携システム100による他職種他機関連携方法であって、看護師2が患者4の訪問看護記録に入力した訪問看護記録情報と、医師1が患者4の診療録に入力した診療録情報とを取得する取得ステップと、訪問看護記録情報及び診療録情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53aに保存する管理ステップと、訪問看護記録情報に含まれる情報のうち診療録に入力される情報と項目が共通する共通情報を第一端末10へ出力する出力ステップと、を含み、第一端末10は、共通情報を取得すると、共通情報が入力された診療録を表示し、医師1により診療録に入力された情報と共通情報とを診療録情報としてサーバ50へ送信する、他職種他機関連携方法である。
【0072】
[技術7の効果]
このような他職種他機関連携方法は、看護師2が患者4の家を訪問して作成した訪問看護記録と、医師1が作成する診療録とで共通する共通情報が記載された診療録が第一端末10に表示される。そのため、他職種他機関連携方法は、医師1が医師として診療録に入力する必要がある事項を記載することで、診療録を効率良く作成することができる。したがって、他職種他機関連携方法は、患者4に対する訪問診療や往診及び訪問看護において、医師1の負担を軽減することができる。
【0073】
[技術8]
技術7に記載の他職種他機関連携方法を1以上のコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0074】
[技術8の効果]
このようなプログラムは、上記他職種他機関連携方法と同様の効果を奏する。
【0075】
(実施の形態2)
[2-1.構成]
図12~
図14を参照しながら、実施の形態2に係る他職種他機関連携システムの構成について説明する。
図12は、実施の形態2に係る他職種他機関連携システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図13は、第一端末のディスプレイに表示される診療録の共有化項目選択画面の一例を示す図である。
図14及び
図15は、他の端末のディスプレイに表示される診療録の一例を示す図である。なお、本実施の形態では、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0076】
図12に示すように、実施の形態2に係る他職種他機関連携システム100Aでは、第一端末10は、診療録の複数の項目のうち1以上の項目を、第一端末10以外の他の端末(第二端末20及び第三端末30を含む)との間で共有することを許可する共有化項目として選択する医師1(
図1参照)の操作を受け付ける。なお、他の端末は、例えば第一端末10が設置された在宅療養支援診療所以外の他の在宅療養支援診療所に設置された他の第一端末等、他の診療機関等の端末を含んでいてもよい。
【0077】
具体的には、
図13に示すように、医師1が第一端末10を操作することにより、第一端末10のディスプレイには、診療録の共有化項目選択画面が表示される。この診療録の共有化項目選択画面では、診療録の複数の項目(例えば、患者氏名、診察日、開始時刻及び終了時刻等)、及び、複数の項目にそれぞれ対応する複数のチェックボックスが表示されている。医師1は、自身が遠隔診療している全ての患者4(
図1参照)について、診療録の複数の項目のうち、他の端末との間で共有することを許可する項目に対応するチェックボックスにチェックを入れる。これにより、チェックボックスにチェックを入れた項目は、全ての患者4について共有化項目として選択される。すなわち、チェックボックスにチェックを入れる選択操作は、全ての患者4の診療録について一括適用される。
図13に示す例では、診療録の複数の項目のうち、「患者氏名」、「バイタルデータ:体温」、「血圧(上)」、「血圧(下)」及び「脈拍」が共有化項目として選択されている。なお、本実施の形態では、診療録の複数の項目の一部を共有化項目として選択したが、これに限定されず、診療録の全ての項目を共有化項目として選択してもよい。
【0078】
また、第一端末10は、選択された共有化項目を示す情報である共有化情報を、サーバ50Aへ送信する。
【0079】
さらに、実施の形態2に係る他職種他機関連携システム100Aでは、サーバ50Aの制御部52A及び記憶部53Aの各機能が上記実施の形態1と異なっている。
【0080】
具体的には、制御部52Aの取得部54Aは、第一端末10から送信された共有化情報を取得する。
【0081】
制御部52Aの管理部55Aは、共有化情報を各患者4の識別情報と紐づけて記憶部53Aのデータベース53Aaに保存する。
【0082】
制御部52Aの出力部56Aは、他の端末からの要求(例えば、患者4の診療録を検索する操作等)に応じて、医師1により入力された診療録の複数の項目のうち共有化情報により示される共有化項目のみを他の端末へ出力する。これにより、他の端末のディスプレイには、例えば
図14に示すような診療録が表示される。
図14に示す例では、診療録には、医師1が遠隔診療している全ての患者4(例えば、患者氏名「〇〇△△」、「□□××」及び「△△□□」の計3人の患者4)について、共有化項目のみ、すなわち、医師1により入力された「患者氏名」、「バイタルデータ:体温」、「血圧(上)」、「血圧(下)」及び「脈拍」の各項目のみが表示される。なお、このように全ての患者4についての共有化項目を表示させることも可能であるが、特定の患者4の診療録のみを閲覧したい場合には、特定の患者4(例えば、患者氏名「〇〇△△」の計1人の患者4)についての共有化項目のみを表示させてもよい。
【0083】
これにより、医師1により入力された診療録の複数の項目のうち共有化項目を示す共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することができる。その結果、例えば、1人の特定の患者4についての共有化項目が表示されるようにした場合には、複数の診療機関において、1人の患者4に対して同じ検査を重複して行ったり、同じ身体部位のレントゲン画像を重複して撮影したりすることを抑制することができる。
【0084】
また、他職種他機関連携システム100Aにより、医師1が単独で診療録として使用できる入力フォームも作成することができる。この場合、他職種他機関連携システム100Aを診療録として利用することにより、他の診療機関への情報共有を可能とし、且つ、他の診療機関からの情報も共有可能となる。例えば、患者4が内科の医師1に定期的に遠隔診療してもらっており、且つ、患者4が病院の皮膚科及び眼科にそれぞれ通院している場合に、内科と皮膚科と眼科との間で患者4に関する共有化情報を共有することができ、患者4に対して効率的な診察や薬の処方、検査、治療等を行うことができる。
【0085】
また、診療機関において診療録を閲覧する場合には、閲覧したい診療録の項目に対応するチェックボックスにチェックを入れることにより、チェックを入れた項目のみ閲覧することができる。その結果、膨大な情報の中から必要な情報を探し出す手間を省くことができる。例えば、最近、特定の患者4が他の診療機関でレントゲン画像を撮影したか否かを確認したい場合には、診療録の「レントゲン」の項目(図示せず)に対応するチェックボックスにチェックを入れ、期間を「1か月以内」のように指定することにより、直近の1か月以内にレントゲン画像が撮影されたか否かを示す診療録を表示させることができる。また、直近の1か月以内にレントゲン画像が撮影された場合には、その撮影結果を診療録で閲覧することができる。
【0086】
なお、第一端末10は、患者4ごとに、診療録の複数の項目のうち1以上の項目を共有化項目として選択する操作を受け付けてもよい。この場合、他の端末のディスプレイには、例えば
図15に示すような診療録が表示される。
図15に示す例では、診療録には、医師1が遠隔診療している特定の患者4(例えば、患者氏名「〇〇△△」の患者4)について、受診した診療機関別に、共有化項目として、医師1により入力された「診察日」、「バイタルデータ:体温」及び「処置内容:点滴」の各項目のみが表示される。
【0087】
[2-2.各種変形例]
[2-2-1.変形例1]
実施の形態2の変形例1に係る他職種他機関連携システム100Aでは、第二端末20は、訪問看護記録の複数の項目のうち1以上の項目を、第二端末20以外の他の端末(第一端末10及び第三端末30を含む)との間で共有することを許可する共有化項目として選択する看護師2(
図1参照)の操作を受け付ける。
【0088】
具体的には、看護師2が第二端末20を操作することにより、第二端末20のディスプレイには、訪問看護記録の共有化項目選択画面(図示せず)が表示される。この訪問看護記録の共有化項目選択画面では、訪問看護記録の複数の項目、及び、複数の項目にそれぞれ対応する複数のチェックボックスが表示されている。看護師2は、自身が訪問看護している全ての患者4について、訪問看護記録の複数の項目のうち、他の端末との間で共有することを許可する項目に対応するチェックボックスにチェックを入れる。これにより、チェックボックスにチェックを入れた項目は、全ての患者4について共有化項目として選択される。すなわち、チェックボックスにチェックを入れる選択操作は、全ての患者4の訪問看護記録について一括適用される。
【0089】
また、第二端末20は、選択された共有化項目を示す情報である共有化情報を、サーバ50Aへ送信する。
【0090】
制御部52Aの取得部54Aは、第二端末20から送信された共有化情報を取得する。
【0091】
制御部52Aの管理部55Aは、共有化情報を各患者4の識別情報と紐づけて記憶部53Aのデータベース53Aaに保存する。
【0092】
制御部52Aの出力部56Aは、他の端末からの要求(例えば、患者4の訪問看護記録を検索する操作等)に応じて、看護師2により入力された訪問看護記録の複数の項目のうち共有化情報により示される共有化項目のみを他の端末へ出力する。
【0093】
これにより、上記実施の形態2と同様に、看護師2により入力された訪問看護記録の複数の項目のうち共有化項目を示す共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することができる。
【0094】
[2-2-2.変形例2]
実施の形態2の変形例2に係る他職種他機関連携システム100Aでは、第三端末30は、処方箋の複数の項目のうち1以上の項目を、第三端末30以外の他の端末(第一端末10及び第二端末20を含む)との間で共有することを許可する共有化項目として選択する薬剤師3(
図1参照)の操作を受け付ける。
【0095】
具体的には、薬剤師3が第三端末30を操作することにより、第三端末30のディスプレイには、処方箋の共有化項目選択画面(図示せず)が表示される。この処方箋の共有化項目選択画面では、処方箋の複数の項目、及び、複数の項目にそれぞれ対応する複数のチェックボックスが表示されている。薬剤師3は、自身が調剤した全ての患者4について、処方箋の複数の項目のうち、他の端末との間で共有することを許可する項目に対応するチェックボックスにチェックを入れる。これにより、チェックボックスにチェックを入れた項目は、全ての患者4について共有化項目として選択される。すなわち、チェックボックスにチェックを入れる選択操作は、全ての患者4の処方箋について一括適用される。
【0096】
また、第三端末30は、選択された共有化項目を示す情報である共有化情報を、サーバ50Aへ送信する。
【0097】
制御部52Aの取得部54Aは、第三端末30から送信された共有化情報を取得する。
【0098】
制御部52Aの管理部55Aは、共有化情報を各患者4の識別情報と紐づけて記憶部53Aのデータベース53Aaに保存する。
【0099】
制御部52Aの出力部56Aは、他の端末からの要求(例えば、患者4の処方箋を検索する操作等)に応じて、医師1により入力された処方箋の複数の項目のうち共有化情報により示される共有化項目のみを他の端末へ出力する。
【0100】
これにより、上記実施の形態2と同様に、医師1により入力された処方箋の複数の項目のうち共有化項目を示す共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することができる。その結果、複数の診療機関において、1人の患者4に対して同じ薬が重複して処方されることを抑制することができる。
【0101】
[2-2-3.変形例3]
上述した実施の形態2に係る他職種他機関連携システム100Aでは、診療録の複数の項目のうち、チェックボックスにチェックを入れた項目は、全ての患者4について共有化項目として選択される。しかしながら、特定の患者4の診療録については、選択された共有化項目の一部を他の診療機関との間で共有したくない場合や、選択された共有化項目以外の項目を共有化項目として追加で選択したい場合がある。
【0102】
このような場合に、実施の形態2の変形例3に係る他職種他機関連携システム100Aでは、第一端末10は、特定の患者4の診療録の複数の項目のうち1以上の項目を、第一端末10以外の他の端末(第二端末20及び第三端末30を含む)との間で共有することを禁止する非共有化項目として選択する医師1の操作を受け付ける。また、第一端末10は、特定の患者4の診療録の複数の項目のうち1以上の項目を、共有化項目として追加で選択する医師1の操作を受け付ける。
【0103】
具体的には、医師1は、診療録の共有化項目選択画面(
図13参照)において、自身が遠隔診療している全ての患者4について、診療録の複数の項目のうち、他の端末との間で共有することを許可する項目(例えば、「患者氏名」、「バイタルデータ:体温」、「血圧(上)」、「血圧(下)」及び「脈拍」)に対応するチェックボックスにチェックを入れる。次いで、
図16に示すように、医師1が第一端末10を操作することにより、第一端末10のディスプレイにおいて、診療録の共有化項目選択画面から診療録の個別共有化項目選択画面に遷移する。
図16は、第一端末のディスプレイに表示される診療録の個別共有化項目選択画面の一例を示す図である。
【0104】
この診療録の個別共有化項目選択画面では、特定の患者4(例えば、患者氏名「〇〇△△」の患者4)の診療録の複数の項目、及び、複数の項目にそれぞれ対応する複数のチェックボックスが表示されている。そして、この診療録の個別共有化項目選択画面では、診療録の共有化項目選択画面(
図13参照)においてチェックボックスにチェックを入れた項目(例えば、「バイタルデータ:体温」、「血圧(上)」、「血圧(下)」及び「脈拍」)に予めチェックが入っている。
【0105】
医師1は、自身が遠隔診療している特定の患者4について、診療録の共有化項目として選択された1以上の項目(例えば、「バイタルデータ:体温」、「血圧(上)」、「血圧(下)」及び「脈拍」)のうち、他の端末との間で共有することを禁止する項目(例えば、「血圧(上)」、「血圧(下)」及び「脈拍」)に対応するチェックボックスからチェックを外す。これにより、チェックボックスからチェックを外した項目は、非共有化項目として選択される。
【0106】
また、医師1は、特定の患者4について、診療録の共有化項目選択画面で選択された共有化項目以外の1以上の項目(例えば、「開始時刻」、「終了時刻」、「診察方法」、「その他の処置」、「所見」及び「画像」)を共有化項目として追加したい場合は、これらの1以上の項目に対応する各チェックボックスにチェックを入れる。これにより、チェックボックスにチェックを入れた項目は、共有化項目として追加で選択される。
【0107】
また、第一端末10は、選択された非共有化項目を示す情報である非共有化情報、及び、追加で選択された共有化項目を示す情報である共有化情報を、サーバ50Aへ送信する。
【0108】
制御部52Aの取得部54Aは、第一端末10から送信された非共有化情報及び共有化情報を取得する。
【0109】
制御部52Aの管理部55Aは、非共有化情報及び共有化情報を特定の患者4の識別情報と紐づけて記憶部53Aのデータベース53Aaに保存する。
【0110】
制御部52Aの出力部56Aは、他の端末からの要求(例えば、特定の患者4の診療録を検索する操作等)に応じて、医師1により入力された特定の患者4の診療録の共有化項目のうち、非共有化情報により示される非共有化項目以外の他の1以上の項目のみを他の端末へ出力する。これにより、他の端末のディスプレイに表示される診療録には、例えば特定の患者4(例えば、患者氏名「〇〇△△」の患者4)について、共有化項目である「開始時刻」、「終了時刻」、「診察方法」、「バイタルデータ:体温」、「その他の処置」、「所見」及び「画像」のみが表示される。すなわち、全ての患者4について、「患者氏名」、「バイタルデータ:体温」、「血圧(上)」、「血圧(下)」及び「脈拍」が共有化項目として選択されたが、特定の患者4については、「患者氏名」、「開始時刻」、「終了時刻」、「診察方法」、「バイタルデータ:体温」、「その他の処置」、「所見」及び「画像」が共有化項目として表示される。
【0111】
これにより、医師1により入力された診療録の複数の項目のうち非共有化項目を示す非共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することを制限することができる。その結果、特定の患者4の診療に関するプライバシーを保護することができる。
【0112】
[2-2-4.変形例4]
上述した実施の形態2の変形例1に係る他職種他機関連携システム100Aでは、訪問看護記録の複数の項目のうち、チェックボックスにチェックを入れた項目は、全ての患者4について共有化項目として選択される。しかしながら、特定の患者4の訪問看護記録については、選択された共有化項目の一部を他の診療機関との間で共有したくない場合や、選択された共有化項目以外の項目を共有化項目として追加で選択したい場合がある。
【0113】
このような場合に、実施の形態2の変形例4に係る他職種他機関連携システム100Aでは、第二端末20は、特定の患者4の訪問看護記録の複数の項目のうち1以上の項目を、第二端末20以外の他の端末(第一端末10及び第三端末30を含む)との間で共有することを禁止する非共有化項目として選択する看護師2の操作を受け付ける。また、第二端末20は、特定の患者4の訪問看護記録の複数の項目のうち1以上の項目を、共有化項目として追加で選択する看護師2の操作を受け付ける。
【0114】
具体的には、看護師2は、訪問看護記録の共有化項目選択画面(図示せず)において、自身が訪問看護している全ての患者4について、訪問看護記録の複数の項目のうち、他の端末との間で共有することを許可する項目に対応するチェックボックスにチェックを入れる。次いで、看護師2が第二端末20を操作することにより、第二端末20のディスプレイにおいて、訪問看護記録の共有化項目選択画面から訪問看護記録の個別共有化項目選択画面(図示せず)に遷移する。この訪問看護記録の個別共有化項目選択画面では、特定の患者4の訪問看護記録の複数の項目、及び、複数の項目にそれぞれ対応する複数のチェックボックスが表示されている。そして、この訪問看護記録の個別共有化項目選択画面では、訪問看護記録の共有化項目選択画面においてチェックボックスにチェックを入れた項目に予めチェックが入っている。
【0115】
看護師2は、自身が訪問看護している特定の患者4について、訪問看護記録の共有化項目として選択された1以上の項目のうち、他の端末との間で共有することを禁止する項目に対応するチェックボックスからチェックを外す。これにより、チェックボックスからチェックを外した項目は、非共有化項目として選択される。
【0116】
また、看護師2は、特定の患者4について、訪問看護記録の共有化項目選択画面で選択された共有化項目以外の1以上の項目を共有化項目として追加したい場合は、これらの1以上の項目に対応する各チェックボックスにチェックを入れる。これにより、チェックボックスにチェックを入れた項目は、共有化項目として追加で選択される。
【0117】
また、第二端末20は、選択された非共有化項目を示す情報である非共有化情報、及び、追加で選択された共有化項目を示す情報である共有化情報を、サーバ50Aへ送信する。
【0118】
制御部52Aの取得部54Aは、第二端末20から送信された非共有化情報及び共有化情報を取得する。
【0119】
制御部52Aの管理部55Aは、非共有化情報及び共有化情報を特定の患者4の識別情報と紐づけて記憶部53Aのデータベース53Aaに保存する。
【0120】
制御部52Aの出力部56Aは、他の端末からの要求(例えば、特定の患者4の訪問看護記録を検索する操作等)に応じて、看護師2により入力された特定の患者4の訪問看護記録の共有化項目のうち、非共有化情報により示される非共有化項目以外の他の1以上の項目のみを他の端末へ出力する。
【0121】
これにより、看護師2により入力された訪問看護記録の複数の項目のうち非共有化項目を示す非共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することを制限することができる。その結果、特定の患者4の診療に関するプライバシーを保護することができる。
【0122】
[2-2-5.変形例5]
上述した実施の形態2の変形例2に係る他職種他機関連携システム100Aでは、処方箋の複数の項目のうち、チェックボックスにチェックを入れた項目は、全ての患者4について共有化項目として選択される。しかしながら、特定の患者4の処方箋については、選択された共有化項目の一部を他の診療機関との間で共有したくない場合や、選択された共有化項目以外の項目を共有化項目として追加で選択したい場合がある。
【0123】
このような場合に、実施の形態2の変形例5に係る他職種他機関連携システム100Aでは、第三端末30は、特定の患者4の処方箋の複数の項目のうち1以上の項目を、第三端末30以外の他の端末(第一端末10及び第二端末20を含む)との間で共有することを禁止する非共有化項目として選択する薬剤師3の操作を受け付ける。また、第三端末30は、特定の患者4の処方箋の複数の項目のうち1以上の項目を、共有化項目として追加で選択する薬剤師3の操作を受け付ける。
【0124】
具体的には、薬剤師3は、処方箋の共有化項目選択画面(図示せず)において、自身が調剤した全ての患者4について、処方箋の複数の項目のうち、他の端末との間で共有することを許可する項目に対応するチェックボックスにチェックを入れる。次いで、薬剤師3が第三端末30を操作することにより、第三端末30のディスプレイにおいて、処方箋の共有化項目選択画面から処方箋の個別共有化項目選択画面(図示せず)に遷移する。この処方箋の個別共有化項目選択画面では、特定の患者4の処方箋の複数の項目、及び、複数の項目にそれぞれ対応する複数のチェックボックスが表示されている。そして、この処方箋の個別共有化項目選択画面では、処方箋の共有化項目選択画面においてチェックボックスにチェックを入れた項目に予めチェックが入っている。
【0125】
薬剤師3は、自身が調剤した特定の患者4について、処方箋の共有化項目として選択された1以上の項目のうち、他の端末との間で共有することを禁止する項目に対応するチェックボックスからチェックを外す。これにより、チェックボックスからチェックを外した項目は、非共有化項目として選択される。
【0126】
また、薬剤師3は、特定の患者4について、処方箋の共有化項目選択画面で選択された共有化項目以外の1以上の項目を共有化項目として追加したい場合は、これらの1以上の項目に対応する各チェックボックスにチェックを入れる。これにより、チェックボックスにチェックを入れた項目は、共有化項目として追加で選択される。
【0127】
また、第三端末30は、選択された非共有化項目を示す情報である非共有化情報、及び、追加で選択された共有化項目を示す情報である共有化情報を、サーバ50Aへ送信する。
【0128】
制御部52Aの取得部54Aは、第三端末30から送信された非共有化情報及び共有化情報を取得する。
【0129】
制御部52Aの管理部55Aは、非共有化情報及び共有化情報を特定の患者4の識別情報と紐づけて記憶部53Aのデータベース53Aaに保存する。
【0130】
制御部52Aの出力部56Aは、他の端末からの要求(例えば、特定の患者4の処方箋を検索する操作等)に応じて、医師1により入力された特定の患者4の処方箋の共有化項目のうち、非共有化情報により示される非共有化項目以外の他の1以上の項目のみを他の端末へ出力する。
【0131】
これにより、医師1により入力された処方箋の複数の項目のうち非共有化項目を示す非共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することを制限することができる。その結果、特定の患者4の診療に関するプライバシーを保護することができる。
【0132】
[2-3.効果等]
以下、実施の形態2の開示内容から得られる技術を例示し、当該技術から得られる効果等について説明する。
【0133】
[技術9]
診療録は、複数の項目を含んでおり、第一端末10は、(i)診療録の複数の項目のうち1以上の項目を、第一端末10以外の他の端末との間で共有することを許可する共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された共有化項目を示す情報である共有化情報をサーバ50Aへ送信し、取得部54Aは、第一端末10から送信された共有化情報を取得し、管理部55Aは、共有化情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53Aaに保存し、出力部56Aは、他の端末からの要求に応じて、医師1により入力された診療録の複数の項目のうち共有化情報により示される共有化項目を他の端末へ出力する、技術1に記載の他職種他機関連携システム100Aである。
【0134】
[技術9の効果]
このような他職種他機関連携システム100Aでは、医師1により入力された診療録の複数の項目のうち共有化項目を示す共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することができる。
【0135】
[技術10]
訪問看護記録は、複数の項目を含んでおり、第二端末20は、(i)訪問看護記録の複数の項目のうち1以上の項目を、第二端末20以外の他の端末との間で共有することを許可する共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された共有化項目を示す情報である共有化情報をサーバ50Aへ送信し、取得部54Aは、第二端末20から送信された共有化情報を取得し、管理部55Aは、共有化情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53Aaに保存し、出力部56Aは、他の端末からの要求に応じて、看護師2により入力された訪問看護記録の複数の項目のうち共有化情報により示される共有化項目を他の端末へ出力する、技術1に記載の他職種他機関連携システム100Aである。
【0136】
[技術10の効果]
このような他職種他機関連携システム100Aでは、看護師2により入力された訪問看護記録の複数の項目のうち共有化項目を示す共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することができる。
【0137】
[技術11]
処方箋は、複数の項目を含んでおり、第三端末30は、(i)処方箋の複数の項目のうち1以上の項目を、第三端末30以外の他の端末との間で共有することを許可する共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された共有化項目を示す情報である共有化情報をサーバ50Aへ送信し、取得部54Aは、第三端末30から送信された共有化情報を取得し、管理部55Aは、共有化情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53Aaに管理し、出力部56Aは、他の端末からの要求に応じて、医師1により入力された処方箋の複数の項目のうち共有化情報により示される共有化項目を他の端末へ出力する、技術4~技術6のいずれか1つに記載の他職種他機関連携システム100Aである。
【0138】
[技術11の効果]
このような他職種他機関連携システム100Aでは、医師1により入力された処方箋の複数の項目のうち共有化項目を示す共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することができる。
【0139】
[技術12]
診療録は、複数の項目を含んでおり、第一端末10は、(i)診療録の複数の項目のうち1以上の項目を、第一端末10以外の他の端末との間で共有することを禁止する非共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された非共有化項目を示す情報である非共有化情報をサーバ50Aへ送信し、取得部54Aは、第一端末10から送信された非共有化情報を取得し、管理部55Aは、非共有化情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53Aaに保存し、出力部56Aは、他の端末からの要求に応じて、医師1により入力された診療録の複数の項目のうち非共有化情報により示される非共有化項目以外の他の1以上の項目を他の端末へ出力する、技術1に記載の他職種他機関連携システム100Aである。
【0140】
[技術12の効果]
このような他職種他機関連携システム100Aでは、医師1により入力された診療録の複数の項目のうち非共有化項目を示す非共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することを制限することができる。
【0141】
[技術13]
訪問看護記録は、複数の項目を含んでおり、第二端末20は、(i)訪問看護記録の複数の項目のうち1以上の項目を、第二端末20以外の他の端末との間で共有することを禁止する非共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された非共有化項目を示す情報である非共有化情報をサーバ50Aへ送信し、取得部54Aは、第二端末20から送信された非共有化情報を取得し、管理部55Aは、非共有化情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53Aaに保存し、出力部56Aは、他の端末からの要求に応じて、看護師2により入力された訪問看護記録の複数の項目のうち非共有化情報により示される非共有化項目以外の他の1以上の項目を他の端末へ出力する、技術1に記載の他職種他機関連携システム100Aである。
【0142】
[技術13の効果]
このような他職種他機関連携システム100Aでは、看護師2により入力された訪問看護記録の複数の項目のうち非共有化項目を示す非共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することを制限することができる。
【0143】
[技術14]
処方箋は、複数の項目を含んでおり、第三端末30は、(i)処方箋の複数の項目のうち1以上の項目を、第三端末30以外の他の端末との間で共有することを禁止する非共有化項目として選択する操作を受け付け、(ii)選択された非共有化項目を示す情報である非共有化情報をサーバ50Aへ送信し、取得部54Aは、第三端末30から送信された非共有化情報を取得し、管理部55Aは、非共有化情報を患者4の識別情報に紐づけてデータベース53Aaに管理し、出力部56Aは、他の端末からの要求に応じて、医師1により入力された処方箋の複数の項目のうち非共有化情報により示される非共有化項目以外の他の1以上の項目を他の端末へ出力する、技術4~技術6のいずれか1つに記載の他職種他機関連携システム100Aである。
【0144】
[技術14の効果]
このような他職種他機関連携システム100Aでは、医師1により入力された処方箋の複数の項目のうち非共有化項目を示す非共有化情報を、他職種・他機関の間で共有することを制限することができる。
【0145】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態1及び2について説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0146】
例えば、上記各実施の形態において、他職種他機関連携システムは、単一の装置によって実現されてもよいし、複数の装置によって実現されてもよい。例えば、他職種他機関連携システムは、サーバに相当する単一の装置として実現されてもよい。他職種他機関連携システムが複数の装置によって実現される場合、他職種他機関連携システムが備える構成要素(特に、機能的な構成要素)は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。例えば、上記実施の形態において、サーバが備える機能的な構成要素(管理部及び出力部)が第一端末によって備えられてもよい。
【0147】
また、上記各実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
【0148】
また、上記各実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0149】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0150】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0151】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0152】
例えば、本開示は、上記各実施の形態に係る第一端末、第二端末、または、サーバとして実現されてもよい。また、本開示は、他職種他機関連携システムなどのコンピュータが実行する他職種他機関連携方法として実現されてもよいし、このような他職種他機関連携方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0153】
その他、上記各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本開示に係る他職種他機関連携システムは、医療系の分野に限定されず、他職種他機関の連携が必要な他の分野でも広く適用可能である。
【符号の説明】
【0155】
1 医師
2 看護師
3 薬剤師
4 患者
5 無人移動体
10 第一端末
20 第二端末
30 第三端末
40 広域通信ネットワーク
50,50A サーバ
51 通信部
52,52A 制御部
53,53A 記憶部
53a,53Aa データベース
54,54A 取得部
55,55A 管理部
56,56A 出力部
100,100A 他職種他機関連携システム