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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122840
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】固形毛髪洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20240902BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240902BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/46
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140912
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2023029823
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000147213
【氏名又は名称】株式会社成和化成
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正人
(72)【発明者】
【氏名】松井 勇磨
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC532
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC712
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD202
4C083AD412
4C083BB07
4C083BB44
4C083BB51
4C083CC38
4C083DD21
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE09
(57)【要約】
【課題】 毛髪に使用した際に、泡立ちに優れ、きしんだり、ごわついたりすることがなく使用性に優れ、弱酸性で、毛髪や頭皮に刺激の少ない固形毛髪洗浄剤を提供する。
【解決手段】 下記成分(A)~(E)を含有することを特徴とする固形毛髪洗浄剤。
(A)ココイルイセチオン酸塩(A1)及び/又はオレフィン(C14~16)スルホン酸ナトリウム(A2)を合計で20~50質量%
(B)両性界面活性剤を1~10質量%
(C)ポリクオタニウム-10を0.1~3.0質量%
(D)脂肪酸アミドアミンを0.03~0.3質量%
(E)ヒドロキシステアリン酸(E1)及び/又はステアリン酸(E2)を合計で10~25質量%

【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(E)を含むことを特徴とする固形毛髪洗浄剤。
(A)ココイルイセチオン酸塩(A1)及び/又はオレフィン(C14~16)スルホン酸ナトリウム(A2)を合計で20~50質量%
(B)両性界面活性剤を1~10質量%
(C)ポリクオタニウム-10を0.1~3.0質量%
(D)脂肪酸アミドアミンを0.03~0.3質量%
(E)ヒドロキシステアリン酸(E1)及び/又はステアリン酸(E2)を合計で10~25質量%
【請求項2】
成分(E1)と(E2)の配合比((E1)/(E2))が1.0~3.0であり、成分(E2)が8質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の固形毛髪洗浄剤。
【請求項3】
前記(D)成分が、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミンから選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の固形毛髪洗浄剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の固形毛髪洗浄剤において、(F)pH調整剤を含み、pHが4.5~6.0の弱酸性であることを特徴とする固形毛髪洗浄剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の固形毛髪洗浄剤において、(G)保湿剤を10~35質量%含有することを特徴とする固形毛髪洗浄剤。










【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形の毛髪洗浄剤に関し、特に使用感の向上と刺激性の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪の洗浄剤としては液状のものが多く、プラスチック容器に充填され、流通してきた。しかし、近年、SDGsの観点から、プラスチック容器の削減や輸送時のCO2排出量の軽減など環境負荷の低減のため、固形の毛髪洗浄剤の需要が増えてきている。
【0003】
固形洗浄剤としては、高級脂肪酸塩が主成分として用いられるものが多いが、特に毛髪に使用した場合には、すすぎ時のきしみ、ごわつきが感じられ、使用性に課題が残されている。また、高級脂肪酸塩からなる石鹸の場合は、アルカリ性のため、頭皮や毛髪への負担が大きく敏感な使用者には刺激が強いことがあった。
【0004】
このような背景のもと様々な固形洗浄剤が開発されてきたが(特許文献1、2)、上記要求を満たすためには、さらなる優れた使用感を有し、かつ、低刺激性である固形毛髪洗浄剤の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6328490号公報
【特許文献2】特許第6923977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、毛髪に使用した際に、泡立ちに優れ、きしんだり、ごわついたりすることがなく使用性に優れ、弱酸性で、毛髪や頭皮に刺激の少ない固形毛髪洗浄剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、アニオン性界面活性剤であるココイルイセチオン酸塩及び/又はオレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウムを主成分として、両性界面活性剤、ポリクオタニウム-10、および脂肪酸アミドアミンを加え、さらにヒドロキシステアリン酸及び/又はステアリン酸を加えて固形物の硬さを向上させることで、使用性の改善と適度な硬さの両方を備えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1は下記成分(A)~(E)を含む固形毛髪洗浄剤である。
(A)ココイルイセチオン酸塩(A1)及び/又はオレフィン(C14~16)スルホン酸ナトリウム(A2)を合計で20~50質量%
(B)両性界面活性剤を1~10質量%
(C)ポリクオタニウム-10を0.1~3.0質量%
(D)脂肪酸アミドアミンを0.03~0.3質量%
(E)ヒドロキシステアリン酸(E1)及び/又はステアリン酸(E2)を合計で10~25質量%
【0009】
本発明の第2は、前記固形毛髪洗浄剤において、成分(E1)と(E2)の配合比((E1)/(E2))が1.0~3.0であり、成分(E2)が8質量%未満であることを特徴とする。上記範囲であると、本発明の固形毛髪洗浄剤の硬さが向上することから、この好ましい様態に該当するものである。
【0010】
本発明の第3は、前記第1又は第2の固形毛髪洗浄剤において、成分(D)がステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミンから選ばれることを特徴とする。成分(D)としてステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミンを配合すると、洗い流し後のしっとり感が付与されることから、この好ましい様態に該当するものである。
【0011】
本発明の第4は、前記第1~第3のいずれかの固形毛髪洗浄剤において、成分(F)pH調整剤を含み、pHが4.5~6.0の弱酸性であることを特徴とする。pHが4.5~6.0の弱酸性であると、頭皮や毛髪への刺激が低減されることから、この好ましい様態に該当するものである。
【0012】
本発明の第5は、前記第1~第4のいずれかの固形毛髪洗浄剤において、成分(G)保湿剤を10~35質量%含有することを特徴とする。成分(G)保湿剤の配合量が10~35質量%であると、毛髪や頭皮になめらかな感触を与えることから、この好ましい様態に該当するものである。
【発明の効果】
【0013】
毛髪に使用した際に、泡立ちに優れ、きしんだり、ごわついたりすることがなく使用性に優れ、弱酸性で、毛髪や頭皮に刺激の少ない固形毛髪洗浄剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の固形毛髪洗浄剤を構成する成分(A)ココイルイセチオン酸塩(A1)及び/又はオレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム(A2)、成分(B)両性界面活性剤、成分(C)ポリクオタニウム-10、成分(D)脂肪酸アミドアミン、成分(E)ヒドロキシステアリン酸(E1)及び/又はステアリン酸(E2)について、さらには、本発明の固形毛髪洗浄剤の形態について、以下具体的に説明する。
【0015】
[成分(A):ココイルイセチオン酸塩(A1)及び/又はオレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム(A2)]
本発明に係わる固形毛髪洗浄剤の洗浄成分としては、ココイルイセチオン酸塩(A1)及び/又はオレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム(A2)を配合することを特徴とする。
【0016】
ココイルイセチオン酸塩(A1)は、固形毛髪洗浄剤の成型性、泡立ちに優れた特性を付与することができ、具体例としては、ココイルイセチオン酸ナトリウムが挙げられる。ココイルイセチオン酸ナトリウムとしては、市販品では、Jordapon CI LA Powder;BASFジャパン社製等が挙げられる。
【0017】
一方、オレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム(A2)は、固形毛髪洗浄剤の洗浄性と泡立ちに優れた特性を付与することができる。オレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウムとしては、市販品では、KリポランPJ-400CJ;ライオン社製等が挙げられる。
【0018】
本発明のココイルイセチオン酸ナトリウム(A1)とオレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム(A2)の合計配合量は20~50質量%とするのが好ましく、30~50質量%とするのがより好ましい。合計配合量が20質量%未満であると、成型性、泡立ち、洗浄性が悪くなるという点で好ましくない。また、50質量%を超えると、脱脂力が強くなりすぎる点で好ましくない。
【0019】
[成分(B):両性界面活性剤]
本発明の固形毛髪洗浄剤としては、成分(B)として両性界面活性剤を配合することを特徴とする。両性界面活性剤を配合することで、さらに泡立ちの向上が認められる。また、成分(A)のアニオン性界面活性剤である、ココイルイセチオン酸ナトリウム及び/又はオレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウムと、後述する成分(C)ポリクオタニウム-10とで、洗髪時及び髪のすすぎ時にコアセルベートを生成することにより、すすぎ時のきしみやごわつきを抑え、さらには優れた使用感や毛髪や頭皮への刺激を低下させる効果を引き出すことができる。
【0020】
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、ラウリルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸イミダゾリニウムベタイン等のアルキルイミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤が挙げられ、これらの両性界面活性剤を1種又は2種以上配合することができる。
これらのうち、泡立ちの向上や、洗髪時及び髪のすすぎ時のきしみやごわつきを抑える効果に優れる点で、ラウリルベタインを用いることが好ましい。
【0021】
ラウリルベタインとしては、市販品では、ニッサンアノンBL-SF;日油社製、オバゾリンLB-SF;東邦化学工業社製等が挙げられる。
本発明における(B)両性界面活性剤の配合量は、固形毛髪洗浄剤中の1~10質量%とするのが好ましく、1.5~5.0質量%とするのがより好ましい。1質量%未満であると泡立ちの向上が認められず、10質量%を超えると、髪のすすぎ時にべたつきがでてくることや、固化しなくなる場合がある。
【0022】
[成分(C):ポリクオタニウム-10]
本発明の固形毛髪洗浄剤としては、成分(C)としてカチオン性成分であるポリクオタニウム-10を配合することを特徴とする。
【0023】
ポリクオタニウム-10は、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースの構造を有し、市販品では、Ucare Polymer JR-400;ダウ・東レ社製が挙げられる。
本発明の固形毛髪洗浄剤における成分(C)の配合量は、0.1~3質量%とするのが好ましく、0.5~2質量%とするのがより好ましい。成分(C)の配合量が0.1質量%未満であると、すすぎ時のきしみや、ごわつきを生じることがある。一方、成分(C)の配合量が3質量%を超えると、髪のすすぎ時にべたつきを感じるようになることがある。
【0024】
[成分(D):脂肪酸アミドアミン]
本発明の固形毛髪洗浄剤としては、成分(D)として、脂肪酸アミドアミンを配合することを特徴とする。脂肪酸アミドアミンを配合することで、すすぎ時のきしみやごわつきを更に抑えることが可能で、すすぎ時の滑らかさを一層向上させる。本発明の脂肪酸アミドアミンの例としては、下記一般式(I)で示される。
【0025】
【化1】
【0026】
[式中、R1は、炭素数11~25の飽和若しくは不飽和の鎖式炭化水素又は炭素数11~25の飽和若しくは不飽和の環式炭化水素を表し、R2は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R3、R4はそれぞれ炭素数1~3のアルキル基を表す。]
【0027】
脂肪酸アミドアミンとしては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン等が挙げられ、これらの脂肪酸アミドアミンを1種又は2種以上組み合わせて配合することができる。なかでもすすぎ時の滑らかさを一層向上させることから、好ましくは、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミンであり、市販品としては、ステアラミドプロピルジメチルアミンはカチナールMPAS;東邦化学工業社製等、ベヘナミドプロピルジメチルアミンはカチナールBMPA(K);東邦化学工業社製等、ステアラミドエチルジエチルアミンはAyacol AMINEAMIDE 50E;成和化成社製等が挙げられる。
【0028】
本発明における、脂肪酸アミドアミンの配合量は、固形毛髪洗浄剤中の0.03~0.3質量%とするのが好ましく、0.1~0.3%とするのがより好ましい。0.03質量%未満であると、すすぎ時の滑らかさが得られない。0.3質量%を超えた場合、髪のすすぎ時にべたつきを感じるようになることがある。
【0029】
[成分(E):ヒドロキシステアリン酸(E1)及び/又はステアリン酸(E2)]
本発明の固形毛髪洗浄剤の成型性を向上させることから、(E)成分として、ヒドロキシステアリン酸(E1)及び/又はステアリン酸(E2)を配合することを特徴とする。
【0030】
ヒドロキシステアリン酸(E1)及び/又はステアリン酸(E2)の合計配合量は10~25質量%とするのが好ましく、10~20質量%とするのがより好ましい。合計配合量が10質量%未満であると、固形物の硬さや、成型性が悪くなるという点で好ましくなく、合計配合量が25質量%を超えると、泡立ちの低下やすすぎ時のきしみ、ごわつきが増して、好ましくない。また、(E1)/(E2)の比率が、1.0~3.0であり、ステアリン酸(E2)の配合量が8質量%未満であると固形物の硬さが向上する点で好ましい。(E1)/(E2)の比率が1.0~3.0の領域外の場合、固形物の硬さ、泡立ちやすすぎ時のきしみ、ごわつきが悪くなる点で好ましくなく、ステアリン酸(E2)の配合量が8質量%以上であると溶け崩れしやすくなり、好ましくない。
【0031】
ヒドロキシステアリン酸としては、市販品では、ヒドロキシステアリン;ケイエフ・トレーディング社製等が挙げられる。一方、ステアリン酸としては、市販品では、NAAー172;日油社製等が挙げられる。
【0032】
[成分(F):pH調整剤]
本発明の固形毛髪洗浄剤は、上記必須成分に加えて、頭皮、毛髪への刺激や損傷を低減するために、pH調整剤を配合し、固形毛髪洗浄剤のpHを4.5~6.0の弱酸性とすることが好ましい。
本発明の固形毛髪洗浄剤に配合されるpH調整剤としては、特に限定されないが好ましくは、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、及びこれらの塩などが例示される。pH調整剤はそれぞれ単独でも、または、2種以上を併用しても良い。また、具体的には、固形毛髪洗浄剤全量に対し、0.01~1.0質量%配合することが好ましい。
【0033】
[成分(G):保湿剤]
本発明の固形毛髪洗浄剤は、毛髪や頭皮になめらかな感触を与えることから成分(G)として、保湿剤を配合することが好ましい。保湿剤としては、グリセリン、ジグリセリン、エトキシジグリコール、砂糖、ソルビトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、デシルグルコシド、1,3-ブチレングリコール、乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グリコシルトレハロース等が挙げられる。これらの保湿剤は1種または、2種以上を組み合わせて用いることもできる。具体的には、固形毛髪洗浄剤全量に対し、10~35質量%とするのが好ましく、10~28質量%とするのがより好ましい。
【0034】
本発明の固形毛髪洗浄剤には、前記の成分(A)~(F)に加えて、洗浄剤としての効果や安定性等を損なわない限りにおいて、水を配合してもよいし、配合しなくてもよい。
【0035】
本発明の固形毛髪洗浄剤に配合される、前記外の添加剤として、上記した作用を損なわない範囲内で、次のような成分を任意に配合することができ、例えば、乳タンパク、カゼインタンパク、絹タンパク、小麦タンパク、米タンパク、エンドウマメタンパク、大豆タンパク、ゴマタンパク、コラーゲン、ケラチン、コンキオリン、海洋コラーゲン等のタンパク質、これらの加水分解物又はタンパク加水分解物のアシル化、グリセリル化、シリル化、カチオン化、サクシノイル化、アルキルエステル化誘導体等が挙げられる。
さらに、油性基剤(高級アルコール、エステル油、植物油、炭化水素油、シリコーン油等)、各種薬剤(抗菌剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、血行促進剤、清涼化剤等)、酸化防止剤、キレート剤、各種ヘアケア剤、植物エキス、パール剤、着色剤、顔料、香料、消臭剤、防腐剤等も挙げられる。
【実施例0036】
以下、具体的に実施例を挙げて、本発明について詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、下記表1または表2に記載の配合割合に従って固形毛髪洗浄剤を製造し、下記評価方法に従って評価した。
【0037】
[製造方法]
精製水に、キレート剤及び成分(B)~(D)、(F)、(G)を加え、均一に混合したところに、(A1)、(A2)を加え均一に混合する。溶解後、(E1)、(E2)を加え均一に混合溶解する。均一溶解後、型に流し込み冷却する。冷却後、型から取り出し、常温にて乾燥し、固形毛髪洗浄剤を得た。
【0038】
[ブリーチ毛束の作成]
処理用の毛髪として、毛髪の損傷度を一定にするためにブリーチ処理を行った損傷毛髪を作成した。即ち、健常黒髪毛束(長さ30cm、重さ10g)を、40℃に加温した2%のポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム中に浸漬し、30分間保温式浸透器で振とうした後、毛束を1分間水道水の流水中で洗浄し、ドライヤー乾燥した。次にブリーチ処理として、6%の過酸化水素水と2%のアンモニア水の1:1(重量比)の混合液に、40℃、60分間浸漬した後、40℃の水道水の流水中で洗浄した。タオルドライ後に酸リンスとして0.1Mクエン酸と0.2Mリン酸水素二ナトリウムの混合液に、室温で5分間浸漬した後、40℃の水道水の流水中で洗浄した。ついで、室温でイオン交換水に10分間浸漬した後、タオルドライ及びドライヤー乾燥を行った。得られたブリーチ毛束を固形毛髪洗浄剤の使用性評価に使用した。
【0039】
[使用性評価方法]
得られたブリーチ毛束(以降、毛束と呼ぶ)について、5名の専門パネルが評価した。
手順としては、毛束1本を約40℃のぬるま湯で濡らしてから、固形毛髪洗浄剤(長さ4.8cm、幅2.5cm、重さ12g)を毛束に当てて5回こすりつけ、1分間泡立てた際の「使用時の泡立ち」について評価した。続いて、水道水の水温を40℃に設定し、流水状態で、泡立てた毛束を1分間すすいだ。その際の「すすぎ時の指通り」及び「すすぎ時のきしみのなさ」について評価した。さらに、ドライヤーで3分間乾かした後の毛束のなめらかさを、「乾燥後のなめらかさ」として評価した。以上の評価項目は、下記の評価基準に基づいて評価を行った。
【0040】
[使用時の泡立ちの評価基準]
3:泡立ちが良いと感じた。
2:泡立ちがやや良いと感じた。
1:どちらともいえないと感じた。
0:泡立ちが悪いと感じた。
【0041】
[すすぎ時の指通りの評価基準]
3:指通りが良いと感じた。
2:指通りがやや良いと感じた。
1:どちらともいえないと感じた。
0:指通りが悪いと感じた。
【0042】
[すすぎ時のきしみのなさの評価基準]
3:毛髪のきしみを感じなかった。
2:毛髪のきしみをあまり感じなかった。
1:どちらともいえないと感じた。
0:毛髪のきしみを感じた。
【0043】
[乾燥後のなめらかさの評価基準」
3:乾燥後の毛髪が、なめらかと感じた。
2:乾燥後の毛髪が、ややなめらかと感じた。
1:どちらともいえないと感じた。
0:乾燥後の毛髪がなめらかでないと感じた。
【0044】
それぞれの評価結果を合計し下記のように分類した。結果を表1及び表2に示す。
◎:12~15点
○:8~11点
△:4~7点
×:0~3点
【0045】
さらに、以下の方法により溶け崩れ試験を実施した。結果を表1及び表2に示す。
[溶け崩れ試験]
水きり穴のついていないシリコン製容器(長さ7.9cm×幅5.4cm×高さ2.5cm)に水16mlを入れ、その中に固形毛髪洗浄剤(長さ4.8cm×幅2.5cm×高さ1.2cm)を浸し、25℃で24時間放置した後、溶け崩れ性を確認した。下記の評価基準に基づいて評価を行った。
【0046】
[溶け崩れ性の評価基準(N=3の平均)」
◎:完全に原形をとどめている
〇:ほぼ原形をとどめている
△:少し崩れている
×:完全に崩れている
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表1、表2における成分は、以下のものを使用した。
(A1):Jordapon CI LA Powder(BASFジャパン社製)
(A2):KリポランPJ-400CJ(ライオン社製)
(B):オバゾリンLB-SF(ラウリルベタイン35%含有、東邦化学株式会社製)
(C):Ucare Polymer JR-400(ダウ・ケミカル社製)
(D):カチナールMPAS(東邦化学社製)
(E1):ヒドロキシステアリン(ケイエフ・トレーディング社製)
(E2):NAA-172(日油社製)
(F):クエン酸(富士フィルム和光純薬社製)
【0050】
表1、表2の結果から明らかなように、本発明の固形毛髪洗浄剤は、配合量等が本発明の範囲外である比較例と比べて、「使用時の泡立ち」、「すすぎ時の指通り」、「すすぎ時のきしみのなさ」、「乾燥後のなめらかさ」のいずれにおいても同等もしくはそれ以上に優れた効果をもち、また、溶け崩れもしないことが確認された。
【0051】
その他の実施例について説明する。いずれの実施例も常法により製造した。なお、いずれも泡立ちが良く、すすぎ中の指通り、なめらかさに優れ、ドライ後もなめらかな仕上がりになる固形毛髪洗浄剤を得た。
【0052】
[実施例15]
(A1)ココイルイセチオン酸Na・・・35.0質量%
(B)ラウリルベタイン(35%)・・・5.0質量%
(C)ポリクオタニウム-10・・・0.8質量%
(D)ステアラミドプロピルジメチルアミン *1・・・0.12質量%
(E1)ヒドロキシステアリン酸・・・15.0質量%
(E2)ステアリン酸・・・5.0質量%
(F)クエン酸・・・0.05質量%
(G)ソルビトール・・・8.4質量%
(G)グリセリン・・・3.0質量%
EDTA-4Na・・・0.1質量%
PEG-90M・・・0.05質量%
フェノキシエタノール・・・0.5質量%
精製水・・・残余
*1 PhytoCuticle (ステアラミドプロピルジメチルアミン12%含有):成和化成社製として配合した。
【0053】
[実施例16]
(A1)ココイルイセチオン酸Na・・・40.0質量%
(B)ラウリルベタイン(35%)・・・5.0質量%
(C)ポリクオタニウム-10・・・0.8質量%
(D)ステアラミドプロピルジメチルアミン *1・・・0.12質量%
(E1)ヒドロキシステアリン酸・・・9.0質量%
(E2)ステアリン酸・・・5.0質量%
(F)クエン酸・・・0.05 質量%
(G)ソルビトール・・・8.4 質量%
(G)グリセリン・・・3.0 質量%
加水分解ダイズタンパク *2・・・1.0質量%
デシルグルコシド、水 *3・・・4.15質量%
ヤシアルコール、ヤシ油アルキルグルコシド *4・・・6.0質量%
(C14-22)アルコール、(C12-20)アルキルグルコシド *5・・・6.0質量%
EDTA-4Na・・・0.1質量%
PEG-90M・・・0.05質量%
フェノキシエタノール・・・0.5質量%
精製水・・・残余
*2 Promois WR-SP:成和化成社製
*3 ORAMIX NS 10:SEPPIC社製
*4 MONTANOV S:SEPPIC社製
*5 MONTANOV L:SEPPIC社製
【0054】
[実施例17]
(A1)ココイルイセチオン酸Na・・・45.0質量%
(B)ラウリルベタイン(35%)・・・5.0質量%
(C)ポリクオタニウム-10・・・0.8質量%
(D)ステアラミドプロピルジメチルアミン *1・・・0.12質量%
(E1)ヒドロキシステアリン酸・・・9.0質量%
(E2)ステアリン酸・・・4.0質量%
(F)クエン酸・・・0.05質量%
(G)ソルビトール・・・8.4質量%
(G)グリセリン・・・3.0質量%
加水分解エンドウタンパク *2・・・1.0質量%
デシルグルコシド、水 *3・・・4.15質量%
ヤシアルコール、ヤシ油アルキルグルコシド *4・・・5.0質量%
(C14-22)アルコール、(C12-20)アルキルグルコシド *5・・・4.0質量%
EDTA-4Na・・・0.1質量%
PEG-90M・・・0.05質量%
フェノキシエタノール・・・0.5質量%
精製水・・・残余