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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122847
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】作業支援システムおよび表示器
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B65G1/137 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180963
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2023029677
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】594057842
【氏名又は名称】株式会社アイオイ・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】江川 孝義
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522AA03
3F522BB01
3F522CC01
3F522CC05
3F522CC06
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD38
3F522EE13
3F522FF12
3F522FF35
3F522GG02
3F522GG03
3F522GG18
3F522GG47
3F522HH02
3F522HH03
3F522HH05
3F522HH13
3F522HH19
3F522HH30
3F522HH33
3F522KK02
3F522LL58
(57)【要約】
【課題】入庫作業および/または出庫作業において作業者の人為的ミスを抑制する作業支援システムおよび表示器を提供する。
【解決手段】作業支援システム(1)は、管理装置(2)と、表示器(5)と、を備える。管理装置(2)は、所定の場所(4)に対応付けられた所定の物品(7)を対象とする作業を指示する作業指示信号を生成する。表示器は、場所に配置され、作業指示信号に基づいて作業の内容を表示する。表示器(5)は、第1通信装置(54)と、表示装置(502、56)と、第2通信装置(503、55)と、演算装置(52)と、を備える。第1通信装置は、作業指示信号を受信する。表示装置は、作業の内容を表示する。第2通信装置は、内容を表示した後に所定の距離まで接近したRF-IDタグ(8)からタグ情報を受信する。演算装置は、タグ情報に基づく所定の条件が満たされるとき、タグ情報の受信を管理装置に報告する報告信号を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の場所に対応付けられた所定の物品を対象とする作業を指示する作業指示信号を生成する管理装置と、
前記場所に配置され、前記作業指示信号に基づいて前記作業の内容を表示する表示器と、
を備え、
前記表示器は、
前記作業指示信号を受信する第1通信装置と、
前記指示の前記内容を表示する表示装置と、
前記内容を表示した後に所定の距離まで接近したRF-ID(Radio Frequency Identification:無線認識)タグから、前記RF-IDタグに格納されているタグ情報を受信する第2通信装置と、
前記タグ情報に基づく所定の条件が満たされるとき、前記タグ情報の受信を前記管理装置に報告する報告信号を生成する演算装置と、
を備える
作業支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業支援システムにおいて、
前記条件は、
前記タグ情報を受信したこと
を含み、
前記第1通信装置は、前記タグ情報を含む前記報告信号を前記管理装置へ送信する
作業支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の作業支援システムにおいて、
前記条件は、
前記タグ情報に含まれる部分タグ情報が、前記作業指示信号に含まれる所望タグ情報に一致すること
を含み、
前記第1通信装置は、前記作業の完了を表す作業完了信号を前記報告信号として前記管理装置へ送信する
作業支援システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の作業支援システムにおいて、
作業者によって操作可能に構成された入力装置
をさらに備え、
前記演算装置は、前記タグ情報を受信した後に、前記入力装置の操作を受け入れ、
前記条件は、
前記入力装置の前記操作が受け入れられたこと
をさらに含む
作業支援システム。
【請求項5】
請求項2に記載の作業支援システムにおいて、
作業者によって操作可能に構成された入力装置
をさらに備え、
前記表示装置は、前記タグ情報を受信した後に、前記指示の前記内容の強調表示を行い、
前記演算装置は、前記強調表示の後に、前記入力装置の操作を受け入れ、
前記条件は、
前記入力装置の前記操作が受け入れられたこと
をさらに含む
作業支援システム。
【請求項6】
請求項3に記載の作業支援システムにおいて、
前記タグ情報が受信され、かつ、前記条件が満たされないとき、エラーを警告する出力装置
をさらに備える
作業支援システム。
【請求項7】
請求項1に記載の作業支援システムにおいて、
前記RF-IDタグは、前記作業を行う作業者の身体のうち、前記作業を行う部位に装着可能に構成され、
前記タグ情報は、前記作業者を識別する作業者識別情報を含む
作業支援システム。
【請求項8】
請求項1に記載の作業支援システムにおいて、
前記RF-IDタグは、前記物品に取り付け可能に構成され、
前記タグ情報は、前記物品を識別する物品識別情報を含み、
前記作業指示信号は、前記作業の対象としての前記物品を指定する指定物品識別情報を含み、
前記条件は、前記指定物品識別情報と前記物品識別情報とが一致することを含む
作業支援システム。
【請求項9】
請求項1に記載の作業支援システムにおいて、
前記RF-IDタグは、前記物品を格納して前記場所に配置される物品箱に取り付け可能に構成され、
前記タグ情報は、前記物品箱を識別する物品箱識別情報を含み、
前記作業指示信号は、前記作業の対象としての前記物品箱を指定する指定物品箱識別情報を含み、
前記条件は、前記指定物品箱識別情報と前記物品箱識別情報とが一致することを含む
作業支援システム。
【請求項10】
請求項1に記載の作業支援システムにおいて、
前記距離を設定する操作を受け入れるように構成された補助入力装置
をさらに備える
作業支援システム。
【請求項11】
請求項1に記載の作業支援システムにおいて、
前記第2通信装置は、
前記RF-IDタグに無線で電力を供給する無線給電装置
を備える
作業支援システム。
【請求項12】
請求項1に記載の作業支援システムにおいて、
前記管理装置は、第1の場所としての前記場所とは異なる第2の場所に対応付けられた、第1の物品としての前記物品とは異なる第2の物品を対象とする、第1の作業としての前記作業とは異なる第2の作業を指示する、第1の作業指示信号としての前記作業指示信号とは異なる第2の作業指示信号をさらに生成し、
第1の表示器としての前記表示器とは異なり、前記第2の場所に配置され、前記第2の作業指示信号に基づいて前記第2の作業の内容を表示する第2の表示器と、
前記第1の作業指示信号と、前記第2の作業指示信号とを、前記第1の表示器と、前記第2の表示器とにそれぞれ転送するコントローラと、
をさらに備える
作業支援システム。
【請求項13】
請求項3に記載の作業支援システムにおいて、
前記作業指示信号は、
前記作業の対象となる前記物品の数量としての指定数量を表す指定数量情報
をさらに含み、
前記条件は、
前記所望タグ情報に一致する前記タグ情報の総数と、前記指定数量とが一致すること
をさらに含む
作業支援システム。
【請求項14】
請求項13に記載の作業支援システムにおいて、
前記タグ情報が受信され、かつ、前記総数が、前記指定数量を上回るとき、エラーを警告する出力装置
をさらに備える
作業支援システム。
【請求項15】
請求項14に記載の作業支援システムにおいて、
作業者によって操作可能に構成された入力装置と
をさらに備え、
前記表示器の動作モードは、
前記出力装置が前記指示の前記内容を表示した後に、前記所望タグ情報に一致する前記タグ情報の前記総数を、前記作業者が前記作業を行った前記物品の総数として、前記第2通信装置が前記タグ情報を受信した回数に基づいてカウントするカウントモードと、
前記出力装置が前記エラーを警告した後に、前記作業者が前記作業を行った前記物品の前記総数を、前記第2通信装置が前記タグ情報を受信した回数に基づいて前記物品の前記総数を修正するミス修正モードと、
を含み、
前記演算装置は、
前記出力装置が前記エラーを警告しているときに、前記入力装置の操作を受け入れて、前記動作モードを前記カウントモードから前記ミス修正モードに切り替え、
前記作業者が前記作業を行った前記物品の前記総数と、前記指定数量とが一致しているときに、前記入力装置の操作を受け入れて、前記作業完了信号を前記報告信号として前記管理装置へ送信する
作業支援システム。
【請求項16】
請求項1に記載の作業支援システムにおいて、
前記条件は、
前記タグ情報に含まれる部分タグ情報が、前記作業指示信号に含まれる所望タグ情報に一致すること
を含み、
前記第1通信装置は、前記所望タグ情報に一致する前記タグ情報の総数を表す在庫報告信号を前記報告信号として前記管理装置へ送信する
作業支援システム。
【請求項17】
所定の場所に配置され、
前記場所に対応付けられた所定の物品を対象とする作業の指示を表す作業指示信号を、外部から受信する第1通信装置と、
前記指示の内容を表示する表示装置と、
前記内容を表示した後に所定の距離まで接近したRF-IDタグから、前記RF-IDタグに格納されているタグ情報を受信する第2通信装置と、
前記タグ情報に基づく所定の条件が満たされるとき、前記タグ情報の受信を報告する報告信号を生成する演算装置と、
を備える
表示器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業支援システムおよび表示器に関し、例えば、物品棚から物品を取り出すピッキング作業や、物品を物品棚に格納する入庫作業などの支援に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
物流倉庫や生産工場などでは、商品や部品などの物品を入庫および/または出庫する作業が行われる。一例として、入庫作業には、複数の物品を、物品の種類ごとに対応する場所に格納する仕分け作業が含まれる。また、出庫作業には、種類ごとに対応する場所に格納された複数の物品のうち、指定された種類の物品を取り出すピッキング作業が含まれる。
【0003】
作業者による物品の入庫作業および/または出庫作業を支援するために、ネットワークシステムに接続された複数の表示器が利用される場合がある。それぞれの表示器は、指示ランプやブザーなどで作業者の注意を誘導し、作業の対象となる物品やその数量などの作業情報を表示し、スイッチやセンサなどの入力装置を作業者によって操作されることで作業の確認を行う。
【0004】
上記に関連して、特許文献1(特許第6843906号公報)には、表示器、作業支援システムおよび作業支援方法の発明に係る記載がある。特許文献1の表示器は、インタフェースと、第1演算装置と、記憶装置と、非接触受電部と、第2演算装置と、アンテナとを具備する。インタフェースは、所定の通信網に接続する。第1演算装置は、通信網を介して外部のホストコントローラとの間で通信を行う。記憶装置は、第1演算装置が通信を行うために設定される情報を含むデータを記憶する。非接触受電部は、外部の端末から非接触給電を受けるためのものである。第2演算装置は、非接触給電によって動作する。アンテナは、端末との間で近距離無線通信を行う。第2演算装置は、端末からの要求に応じてデータを端末に送信する。第2演算装置は、端末からの別の要求に応じて、通信網を介した通信を行うために設定される別の情報を含む別のデータを端末から受信して記憶装置に格納する。
【0005】
しかし、上記のような表示器を用いても、指定とは別の種類の物品を作業者が入庫または出庫するという人為的ミスが発生する場合があった。
【0006】
その一方で、入庫作業および/出庫作業をRF-ID(Radio Frequency Identification:無線認識)技術で支援する手法が知られている。一例として、作業者および/または物品のそれぞれに固有の認識情報を対応付け、対応する認識情報を格納するRF-IDタグを作業者および/または物品に取り付けることで、作業者および/または物品を管理することができる。
【0007】
しかし、RF-ID技術だけでは作業の指示を作業者に伝えることが困難である。また、DASシステムおよび/またはDPSシステムに用いる表示器と、RF-ID技術に用いるRF-IDタグおよびRF-IDリーダとを個別に用意して運用しても、表示器、RF-IDタグおよびRF-IDリーダの個別の管理は煩雑になりやすく、作業者の作業を効率的に支援することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6843906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記状況に鑑み、本開示は、入庫作業および/または出庫作業において作業者の人為的ミスを抑制する作業支援システムおよび表示器を提供することを目的の1つとする。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0011】
一実施の形態によれば、作業支援システム(1)は、管理装置(2)と、表示器(5)と、を備える。管理装置(2)は、所定の場所(4)に対応付けられた所定の物品(7)を対象とする作業を指示する作業指示信号を生成する。表示器(5)は、場所(4)に配置され、作業指示信号に基づいて作業の内容を表示する。表示器(5)は、第1通信装置(54)と、表示装置(502、56)と、第2通信装置(503、55)と、演算装置(52)と、を備える。第1通信装置(54)は、作業指示信号を受信する。表示装置(502、56)は、作業の内容を表示する。第2通信装置(503、55)は、内容を表示した後に所定の距離まで接近したRF-IDタグ(8)から、RF-IDタグ(8)に格納されているタグ情報を受信する。演算装置(52)は、タグ情報に基づく所定の条件が満たされるとき、タグ情報の受信を管理装置(2)に報告する報告信号を生成する。
【0012】
一実施の形態によれば、表示器(5)は、所定の場所(4)に配置されている。表示器(5)は、第1通信装置(54)と、表示装置(502、57)と、第2通信装置(503、55)と、演算装置(52)とを備える。第1通信装置(54)は、場所(4)に対応付けられた所定の物品(7)を対象とする作業の指示を表す作業指示信号を外部から受信する。表示装置(502、57)は、作業の内容を表示する。第2通信装置(503、55)は、内容を表示した後に所定の距離まで接近したRF-IDタグから、RF-IDタグに格納されているタグ情報を受信する。演算装置(52)は、タグ情報に基づく所定の条件が満たされるとき、タグ情報の受信を報告する報告信号を生成する。
【発明の効果】
【0013】
一実施の形態によれば、入庫作業および/または出庫作業において作業者の人為的ミスを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態による作業支援システムの一構成例を表す図である。
図2A図2Aは、一実施形態による表示器の一構成例を表す図である。
図2B図2Bは、一実施形態による表示器の一構成例を表すブロック回路図である。
図3A図3Aは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すシーケンス図の一部である。
図3B図3Bは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すシーケンス図の一部である。
図4A図4Aは、一実施形態による表示器の動作の一例を表すフローチャートの一部である。
図4B図4Bは、一実施形態による表示器の動作の一例を表すフローチャートの一部である。
図5A図5Aは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すシーケンス図の一部である。
図5B図5Bは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すシーケンス図の一部である。
図6A図6Aは、一実施形態による表示器の動作の一例を表すフローチャートの一部である。
図6B図6Bは、一実施形態による表示器の動作の一例を表すフローチャートの一部である
図7A図7Aは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すシーケンス図の一部である。
図7B図7Bは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すシーケンス図の一部である。
図8A図8Aは、一実施形態による表示器の動作の一例を表すフローチャートの一部である。
図8B図8Bは、一実施形態による表示器の動作の一例を表すフローチャートの一部である。
図9A図9Aは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すシーケンス図の一部である。
図9B図9Bは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すシーケンス図の一部である。
図10A図10Aは、一実施形態による表示器の動作の一例を表すフローチャートの一部である。
図10B図10Bは、一実施形態による表示器の動作の一例を表すフローチャートの一部である。
図11図11は、一実施形態による作業支援システムの一構成例を表す図である。
図12図12は、一実施形態による表示器の一構成例を表す図である。
図13A図13Aは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すフローチャートの一部である。
図13B図13Bは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すフローチャートの一部である。
図13C図13Cは、一実施形態による作業支援方法の処理の一例を表すフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本開示による作業支援システムおよび表示器を実施するための形態を以下に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1に示すように、一実施形態による作業支援システム1は、管理装置としてのホストコンピュータ2と、コントローラ3と、表示器5とを備える。作業支援システム1は、さらに、物品7を格納する物品箱6と、物品箱6を所定の場所に配置するための物品棚4と、RF-ID(Radio Frequency Identification:無線認識)タグ8とのうち、一部またはすべてを含んでもよい。
【0017】
一例として、図1の作業支援システム1が、作業者9によるピッキング作業を支援する場合について説明する。物品棚4には複数の物品箱6が配置されており、それぞれの物品箱6には一種類の物品7が格納されている。1つの物品箱6には、複数の物品7が格納されていてもよい。物品棚4には、複数の物品箱6にそれぞれ対応する位置に、複数の表示器5が配置されている。
【0018】
ホストコンピュータ2は、物品棚4に格納されている物品7を対象に、作業者9が行うピッキング作業の内容を表す作業指示信号を生成する。コントローラ3は、作業指示信号を表示器5へ転送する。表示器5は、作業指示信号が表す作業の内容を表示するとともに、作業者9の注意を誘導するための合図を送る。作業者9は、合図を送る表示器5に表示された内容に応じて、該表示器5が配置されている場所に格納されている物品7のピッキング作業を行う。
【0019】
作業者9が物品7を物品箱6から取り出すとき、表示器5は、作業者9が自身の身体のいずれかの部位に、例えば手首などに装着しているRF-IDタグ8から、該RF-IDタグ8に格納されている固有のタグ情報を読み出す。また、作業者9が物品7のピッキング作業を完了したとき、表示器5を操作する。表示器5は、所定の距離まで接近したRF-IDタグ8からタグ情報を読み出し、かつ、作業者9による操作を受け付けると、作業の完了を表す報告信号を生成する。コントローラ3は、報告信号をホストコンピュータ2へ転送する。ホストコンピュータ2は、報告信号を受信し、作業指示信号が表す作業の完了を確認する。
【0020】
図2Aおよび図2Bを参照して、一実施形態による表示器5の一構成例について説明する。図2Aに示すように、表示器5は、本体50と、補助入力装置501と、表示装置502と、RF-IDリーダ部503と、発光ボタン504とを備える。発光ボタン504は、作業者9の注意を誘導するために発光する。また、発光ボタン504は、表示器5のうち、作業者9がピッキング作業を完了したときに操作する部分として機能する。表示装置502は、作業指示信号の内容を、作業者9が目視で確認できるように表示する。RF-IDリーダ部503は、作業者9が装着しているRF-IDタグ8が所定の距離まで接近したときに、該RF-IDタグ8からタグ情報を読み出す。補助入力装置501は、RF-IDリーダ部503とRF-IDタグ8とが無線通信を開始する閾値距離を設定するための操作する部分として機能する。補助入力装置501は、複数のボタンを含んでもよい。
【0021】
図2Bに示すように、表示器5は、いわゆるコンピュータとして構成されてもよい。図2Bの例において、表示器5は、バス51と、演算装置52と、記憶装置53と、第1通信装置54と、第2通信装置55と、出力装置56と、入力装置57とを備える。バス51は、演算装置52、記憶装置53、第1通信装置54、第2通信装置55、出力装置56および入力装置57の間の通信を実現するように構成されてもよい。
【0022】
演算装置52は、作業指示信号受信部521と、タグ情報受信部522と、作業完了報告部523とを備える。記憶装置53は、プログラム記憶部531と、指示記憶部532とを備える。プログラム記憶部531は、表示器5が動作するためのプログラムやファームウェアなどを記憶する。
【0023】
演算装置52は、プログラムおよび/またはファームウェアを実行することによって、作業指示信号受信部521、タグ情報受信部522および作業完了報告部523のそれぞれの機能を実現する。作業指示信号受信部521、タグ情報受信部522および作業完了報告部523のそれぞれは、演算装置52および記憶装置53が協働して実現する処理を実行する仮想的な機能ブロックである。作業指示信号受信部521は、ホストコンピュータ2が生成した作業指示信号を、コントローラ3を経由するなどして受信する。タグ情報受信部522は、RF-IDタグ8からタグ情報を受信する。作業完了報告部523は、作業指示信号が表す作業の完了を報告するための報告信号を生成して、コントローラ3を経由するなどしてホストコンピュータ2へ送信する。これらの機能ブロックのより具体的な処理については、後述する。
【0024】
プログラムおよび/またはファームウェアは、外部の記録媒体530から読み出されてプログラム記憶部531に格納されてもよい。記録媒体530は、非一時的で有形の媒体(non-transitory and tangible media)であってもよい。
【0025】
第1通信装置54は、図1に示した外部のコントローラ3との間で無線通信を行う。第2通信装置55は、図2AのRF-IDリーダ部503を含み、図1に示した外部のRF-IDタグ8との間で無線通信を行う。
【0026】
出力装置56は、図2Aの表示装置502と、発光ボタン504のうちの発光装置とを含み、光を発するなどして作業者9の注意を誘導するように構成されている。表示装置502は、例えば、7セグメント型の液晶表示装置を含んでもよい。出力装置56は、さらに、音声を発することによって作業者9の注意を誘導するブザーなどの音響装置を含んでもよい。
【0027】
入力装置57は、図2Aの補助入力装置501と、発光ボタン504のうちの押しボタンとを含み、作業者9などによる操作を受け入れるように構成されている。
【0028】
図3Aおよび図3Bのシーケンス図を参照して、一実施形態による作業支援システム1の動作の一例について説明する。ホストコンピュータ2、コントローラ3、表示器5およびRF-IDタグ8のそれぞれは、起動したときに、図3Aおよび図3Bのシーケンス図に示した動作を開始する。
【0029】
ホストコンピュータ2は、ステップS21において、作業者9に指示する作業の内容を表す作業指示信号を生成する。ここで、作業指示信号は、作業者9がピッキング作業を行う対象である物品7の種類を表す指定物品識別情報と、該物品7の数量を表す指定数量情報とを含む。ホストコンピュータ2は、有線通信および/または無線通信で、作業指示信号をコントローラ3へ送信する。コントローラ3は、作業指示信号を受信する。
【0030】
コントローラ3は、作業指示信号を受信すると、ステップS31において、作業指示信号を表示器5に転送する。より詳細には、コントローラ3は、ホストコンピュータ2から受信した作業指示信号を、無線通信で表示器5へ送信する。表示器5は、作業指示信号を受信する。
【0031】
表示器5は、作業指示信号を受信すると、ステップS52において、作業指示信号が表す指示の内容を表示する。より詳細には、表示器5は、まず、受信した作業指示信号の一部またはすべてを、図2Bの指示記憶部532に格納する。表示器5は、次に、作業指示信号が表す指示の内容に基づいて、表示装置502に表示する表示情報を生成する。該表示情報は、例えば、作業者9がピッキング作業を行う対象である物品7の数量を表す数量情報を含む。表示器5は、次に、生成した表示情報を、所定のフォーマットを用いて、表示装置502に表示する。このとき、表示器5は、発光ボタン504を発光させるなどして作業者9の注意を誘導する。
【0032】
作業者9は、発光ボタン504が発光している表示器5に近づき、図1の物品棚4のうち、該表示器5が配置されている場所に配置されている物品箱6に手を伸ばし、該物品箱6に格納されている物品7を、表示器5の表示装置502に表示されている数量だけ取り出し、ピッキングカートなどの指定された場所へ格納する。このピッキング作業の間に、作業者9が装着しているRF-IDタグ8が表示器5に接近する。より詳細には、RF-IDタグ8と、表示器5のRF-IDリーダ部503との距離が、予め設定されている閾値距離より短くなる。
【0033】
このとき、RF-IDタグ8は、ステップS81において、表示器5のRF-IDリーダ部503へ、タグ情報を送信する。より詳細には、まず、表示器5が、タグ情報を要求する要求信号を、RF-IDタグ8へ送信する。RF-IDタグ8は、該要求信号に応じて、タグ情報を送信する。タグ情報は、例えば、RF-IDタグ8を装着している作業者9を表す作業者識別情報を含む。表示器5は、RF-IDリーダ部503を用いて、RF-IDタグ8からタグ情報を受信する。
【0034】
また、作業者9は、物品7のピッキング作業を完了したことを報告するために、表示器5の入力装置57としての発光ボタン504を操作する。このとき、表示器5は、ステップS55において、入力装置57の操作を受け入れる。より詳細には、表示器5は、タグ情報を受信するまでは、たとえ入力装置57としての発光ボタン504が操作されたとしても、該操作を受け入れずに無視してもよい。表示器5は、タグ情報を受信した後に入力装置57としての発光ボタン504が操作された場合に限って、該操作を受け入れてもよい。
【0035】
表示器5は、入力装置57の操作を受け入れた後、ステップS56において、RF-IDタグ8から受信したタグ情報を、コントローラ3へ転送する。より詳細には、表示器5は、タグ情報を含む報告信号をコントローラ3へ送信してもよい。該報告信号は、さらに、表示器5に固有の表示器識別情報、表示器5が受信した作業指示信号が表す作業の作業識別情報、表示器5がタグ情報を受信した時刻または表示器5の入力装置57が操作された時刻を表す作業時刻情報、などを含んでもよい。コントローラ3は、転送されたタグ情報を含む報告信号を受信する。
【0036】
コントローラ3は、ステップS32において、受信したタグ情報をホストコンピュータ2へ転送する。ここで、コントローラ3は、表示器5から受信した報告信号をホストコンピュータ2に転送してもよい。ホストコンピュータ2は、ステップS22において、受信したタグ情報に基づいて作業の完了を確認する。このとき、ホストコンピュータ2は、タグ情報から作業者9の作業者識別情報を読み出し、作業指示信号で指示した作業の作業識別情報に対応付けて記録してもよい。ホストコンピュータ2は、さらに、作業時刻情報を作業識別情報に対応付けて記憶してもよい。
【0037】
図4Aおよび図4Bのフローチャートを参照して、一実施形態による表示器5の動作の一例について説明する。表示器5は、起動したときに、図4Aおよび図4Bのフローチャートに示した動作を開始する。
【0038】
図4AのステップS01において、図2Bの作業指示信号受信部521が、作業指示信号を受信したか否かを判定する。ここで、作業指示信号とは、図3AのステップS21でホストコンピュータ2が生成し、ステップS31でコントローラ3が表示器5へ転送する作業指示信号である。ステップS01における判定の結果、作業指示信号を受信していない場合(No)、処理はステップS01へ戻る。言い換えれば、作業指示信号を受信するまで、ステップS01の処理が繰り返される。作業指示信号を受信している場合(Yes)、処理はステップS03へ進む。
【0039】
図4AのステップS03において、図2Bの作業指示信号受信部521が図2Aの表示装置502を制御して、作業指示信号が表す指示の内容を表示する。ステップS03の処理として、図3AのステップS52の処理が行われる。
【0040】
図4AのステップS03の後、図4BのステップS04が実行される。ステップS04において、図2Bのタグ情報受信部522が、タグ情報を受信したか否かを判定する。ここで、タグ情報とは、図3AのステップS81でRF-IDタグ8が表示器5へ送信するタグ情報である。ステップS04における判定の結果、タグ情報を受信していない場合(No)、処理はステップS04へ戻る。言い換えれば、タグ情報を受信するまで、ステップS04の処理が繰り返される。タグ情報を受信している場合(Yes)、処理はステップS06へ進む。
【0041】
図4BのステップS06において、図2Bの作業完了報告部523が、入力装置57を操作されたか否かを判定する。ここで、入力装置57とは、図2Aの発光ボタン504であってもよい。ステップS06における判定の結果、入力装置57が操作されていない場合(No)、処理はステップS06へ戻る。言い換えれば、入力装置57が操作されるまで、ステップS06の処理が繰り返される。入力装置57が操作されている場合(Yes)、処理はステップS08へ進む。
【0042】
図4BのステップS08において、図2Bの作業完了報告部523が第1通信装置54を制御して、コントローラ3へタグ情報を転送する。ステップS08の処理として、図3BのステップS56の処理が行われる。図4BのステップS08の後、処理は図4AのステップS01へ戻る。
【0043】
以上に説明したように、一実施形態による作業支援システム1は、ピッキング作業などの作業ごとに、図3Aおよび図3Bに示したシーケンス図のステップS21からステップS22までの動作を繰り返すことによって、どの作業者9がいつどこで作業を行ったのかを、ホストコンピュータ2が自動的に記録することができる。その結果、たとえ作業者9による人為的なミスが発生したとしても、記録に基づいて該ミスを発見することや、発見した該ミスをリカバリーして正しい状態へ回復することや、したがってミスを抑制することなどができる。また、RF-IDのタグ情報を読み出す機能を表示器5に設けることによって、作業者9がピッキング作業を行うたびにタグ情報の読み出しが自動的に行われるので、作業者9が行う作業が煩雑化することもない。
【0044】
(変形例:無線給電)
図1に示したRF-IDタグ8は、無線給電装置から電力を供給されることによって、タグ情報の送信を含む動作の一部または全てを行ってもよい。この場合、図2Aに示したRF-IDリーダ部503、すなわち、図2Bに示した第2通信装置55は、所定の距離まで接近したRF-IDタグ8に無線で電力を供給する無線給電装置を備える。
【0045】
(変形例:複数のコントローラ)
図1に示した作業支援システム1は、接続された複数のコントローラ3を備えてもよい。この場合、該複数のコントローラ3はホストコンピュータ2に接続されている。また、複数の表示器5のそれぞれは、該複数のコントローラ3のいずれか1つに対応付けられて、それぞれの表示器5は対応するいずれか1つのコントローラ3との間で無線通信を行う。図3AのステップS21において、ホストコンピュータ2は、生成した作業指示信号を該複数のコントローラ3へ送信し、それぞれのコントローラ3は作業指示信号を受信する。ステップS31において、それぞれのコントローラ3は、受信した作業指示信号を、該それぞれのコントローラ3に対応付けられた表示器5へ転送する。図3BのステップS56において、それぞれのコントローラ3は、該それぞれのコントローラ3に対応付けられた表示器5からタグ情報を受信する。ステップS32において、それぞれのコントローラ3は、受信したタグ情報をホストコンピュータ2へ転送する。
【0046】
(変形例:物品のタグ情報)
図1に示した作業支援システム1では、RF-IDタグ8を、作業を担当する作業者9の作業者識別情報を表示器5で取得する目的で使用する。この構成の変形例として、RF-IDタグ8を、物品7のそれぞれに1つずつ取り付けてもよい。この変形例において、RF-IDタグ8のタグ情報は、対応する物品7に固有の物品識別情報を含んでもよい。この場合、作業指示信号はピッキング作業の対象となる物品7の種類を表す種類情報を含んでもよい。また、図3AのステップS52および図4AのステップS03において表示器5の表示装置502が表示する表示情報には、物品7の種類を表す種類情報が含まれてもよい。作業者9が物品7を物品棚4から取り出すたびに、取り出された物品7のRF-IDタグ8は、表示器5から閾値距離以内の間口を通過して、すなわち表示器5に十分に接近して、図3BのステップS81において、タグ情報を表示器5へ送信する。このタグ情報は、ステップS56およびステップS32を経てホストコンピュータ2に届けられて、作業に係る情報として記録される。
【0047】
また、上述した構成のさらなる変形例として、ピッキング作業のたびに、作業者9が装着するRF-IDタグ8と、物品7に取り付けられたRF-IDタグ8との両方が、図3BのステップS81において、それぞれのタグ情報を表示器5へ送信してもよい。この場合は、作業者9の作業者識別情報と、物品7の物品識別情報とがホストコンピュータ2に届けられて、作業に係る情報として記録される。
【0048】
(変形例:入庫作業と物品箱のタグ情報)
上述した第1の実施形態では、作業者9がピッキングなどの出庫作業を行う場合の構成について説明した。この構成の変形例として、作業者9が物品7や物品7を格納した物品箱6を物品棚4に配置する入庫作業を行う場合の構成例について説明する。この変形例において、RF-IDタグ8を物品箱6に取り付けてもよい。この場合、RF-IDタグ8のタグ情報は、物品箱6に固有の物品箱識別情報を含んでもよい。また、図3AのステップS21においてホストコンピュータ2が生成する作業指示信号に、入庫作業の対象となる物品箱6の指定物品箱識別情報を含んでもよい。このとき、図3AのステップS52および図4AのステップS03において表示器5の表示装置502が表示する表示情報には、物品箱6の物品箱識別情報が含まれてもよい。作業者9は、発光ボタン504が発光している表示器5の表示装置502を目視して入庫作業の対象となる物品箱6を特定し、該物品箱6を、物品棚4のうち、表示器5の位置に対応する位置に配置する。このとき、物品箱6に取り付けられたRF-IDタグ8は、表示器5のRF-IDリーダ部503に接近するので、ステップS81においてタグ情報を表示器5へ送信する。このタグ情報は、ステップS56およびステップS32を経てホストコンピュータ2に届けられて、作業に係る情報として記録される。
【0049】
また、上述した構成のさらなる変形例として、入庫作業のたびに、作業者9が装着するRF-IDタグ8と、物品箱6に取り付けられたRF-IDタグ8との両方が、図3BのステップS81において、それぞれのタグ情報を表示器5へ送信してもよい。この場合は、作業者9の作業者識別情報と、物品箱6の物品箱識別情報とがホストコンピュータ2に届けられて、作業に係る情報として記録される。
【0050】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、RF-IDタグ8から表示器5が読み取ったタグ情報を含む報告信号を、コントローラ3を経由してホストコンピュータ2へ転送し、ホストコンピュータ2がタグ情報を用いて作業の完了を確認する場合の構成について説明した。本実施形態では、表示器5がタグ情報を解析して、指示された作業を作業者9が正しく完了したか否かを確認する。作業が正しく完了した場合、表示器5は作業の完了を表す作業完了信号を、コントローラ3を介してホストコンピュータ2へ送信する。反対に、作業が正しく完了していない場合、表示器5は作業者9にエラーを警告する。本実施形態による作業支援システム1は、このように動作することによって、作業者9が行った作業にミスがあった場合に、表示器5は比較的短いタイムラグで警告を発することができ、作業者9は警告に応じてミスの修正を試みることができる。
【0051】
図5Aおよび図5Bに示したシーケンス図を参照して、本実施形態による作業支援システム1の動作の一例について説明する。ここで、図5Aおよび図5Bに示したシーケンス図は、図3Aおよび図3Bに示した第1の実施形態におけるシーケンス図に、以下の変更を加えることで得られる。図5Aおよび図5Bに示したシーケンス図に含まれるステップのうち、図3Aおよび図3Bに示したステップと共通するステップについては、同じ符号で示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0052】
ステップS21において、ホストコンピュータ2は、作業指示信号を生成する。ここで、作業指示信号は、RF-IDタグ8から読み出すタグ情報をスクリーニング機能によって選別するために用いる所望タグ情報を含む。所望タグ情報は、例えば、ピッキング作業の対象となる物品7の種類を表す種類情報である。
【0053】
コントローラ3は、図5AのステップS31において、図3AのステップS31と同様に、ホストコンピュータ2から受信した作業指示信号を表示器5へ転送する。表示器5は、図5AのステップS51において、コントローラ3から受信した作業指示信号に基づいて、タグ情報の判定条件を設定する。一例として、タグ情報の判定条件は、RF-IDタグ8から読み出したタグ情報が、作業指示信号に含まれる所望タグ情報に一致することを含む。表示器5は、判定条件を含む作業指示信号を、図2Bの指示記憶部532に格納してもよい。
【0054】
表示器5は、図5AのステップS51の後、ステップS52において、図3AのステップS52と同様に、作業指示信号が表す指示の内容を表示する。表示器5は、図5AのステップS52の後、図5BのステップS53において、RF-IDタグ8から受信したタグ情報が判定条件を満たすか否かを判定する。ステップS53の判定の結果、タグ情報が判定条件を満たさない場合(No)、表示器5は、タグ情報の受信と、ステップS53の処理とを繰り返す。言い換えれば、表示器5は、判定条件を満たすタグ情報を受信するまで、タグ情報の受信と、ステップS53の処理とを繰り返す。なお、判定条件を満たさないタグ情報を受信した場合は、作業者9がミスをしている可能性があるので、表示器5はエラーを警告してもよい。エラーの警告については、後述する。ステップS53の判定の結果、タグ情報が判定条件を満たす場合(Yes)、表示器5は、入力装置57としての発光ボタン504の操作を受け入れる状態に遷移し、処理はステップS55へ進む。
【0055】
表示器5は、図5BのステップS55において、図3BのステップS55と同様に、入力装置57の操作を受け入れる。表示器5は、図5BのステップS55の後、ステップS57において、報告信号としての作業完了信号を生成する。ここで、作業完了信号は、RF-IDタグ8から受信したタグ情報が判定条件を満たしていることを表す情報を含む。したがって、作業完了信号は、タグ情報を含まなくてもよい。表示器5は、生成した作業完了信号を、コントローラ3へ送信する。
【0056】
コントローラ3は、図5BのステップS33において、表示器5から受信した作業完了信号を、ホストコンピュータ2へ転送する。ホストコンピュータ2は、図5BのステップS22において、図3BのステップS22と同様に、コントローラ3から受信した報告信号としての作業完了信号に基づいて、作業の完了を確認する。
【0057】
図6Aおよび図6Bに示したフローチャートを参照して、一実施形態による表示器5の動作の一例について説明する。ここで、図6Aおよび図6Bに示したフローチャートは、図4Aおよび図4Bに示した第1の実施形態におけるフローチャートに、以下の変更を加えることで得られる。図6Aおよび図6Bに示したフローチャートに含まれるステップのうち、図4Aおよび図4Bに示したステップと共通するステップについては、同じ符号で示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0058】
図6AのステップS01で作業指示信号を受信した場合(Yes)、処理はステップS02へ進む。図6AのステップS02において、図2Bの作業指示信号受信部521が、図5AのステップS51と同様に、タグ情報の条件を設定する。
【0059】
図6BのステップS06で入力装置57が操作された場合(Yes)、処理はステップS07へ進む。図6BのステップS07において、図2Bのタグ情報受信部522が、図5BのステップS53と同様に、タグ情報が判定条件を満たすか否かを判定する。図6BのステップS07における判定の結果、タグ情報が判定条件を満たす場合(Yes)、処理はステップS09へ進む。タグ情報が判定条件を満たさない場合(No)、処理はステップS10へ進む。
【0060】
図6BのステップS09において、図2Bの作業完了報告部523が、図5BのステップS57と同様に、作業完了信号を生成する。図6BのステップS09の後、処理は図6AのステップS01へ戻り、図2Bの作業指示信号受信部521が次の作業指示信号を受信する。
【0061】
図6BのステップS10において、図2Bのタグ情報受信部522が、図5BのステップS53について説明したように、作業者9がミスをしている可能性があるので、作業者9にエラーを警告する。より詳細には、タグ情報受信部522が、出力装置56としての発光ボタン504やブザーなどを用いてエラーの警告を行う。作業者9は、エラーの警告に応じて、ミスの修正を試みる。一例として、作業者9は、別の物品7を対象として作業をやり直す。ステップS10の後、処理は図6BのステップS04に戻る。
【0062】
以上に説明したように、一実施形態による作業支援システム1によれば、作業者9が物品7を対象に入庫作業または出庫作業を行うだけで、物品7に取り付けられたRF-IDタグ8のタグ情報と、作業指示信号に含まれる所望タグ情報とを比較するスクリーニング処理が行われて、物品7が正しい作業対象であるか否かが自動的に確認される。また、物品7が正しい作業対象でない場合にはエラーの警告を行うことで、作業者9のミスの抑制や、作業者9によるミスのリカバリーなどできる。また、本実施形態と、第1の実施形態の変形例との組み合わせの一例として、RF-IDタグ8を取り付けた物品箱6に物品7を格納して、物品箱6ごと物品7を物品棚4の、表示器5が設置された指定の場所に投入する入庫作業を行ってもよい。このとき、作業者9が、表示器5の表示で指定された物品箱6を、物品棚4の、表示器5の表示で指定された場所投入する作業を行うことによって、該作業のミスが抑制される。さらに、ピッキング作業の後、空になった物品箱6を物品棚4から取り出すときに、物品箱6に取り付けられたRF-IDタグ8のタグ情報を表示器5で読み取ることによって、物品棚4に格納されている物品箱6の残数をホストコンピュータ2で管理することができる。
【0063】
(変形例:タグ情報と所望タグ情報の部分一致判定)
上述した第2の実施形態では、タグ情報と所望タグ情報が一致するときに判定条件が満たされる場合の構成について説明した。この構成の変形例として、タグ情報と所望タグ情報が部分的に一致するときに判定条件が満たされる場合について説明する。一例として、タグ情報に含まれる96ビットのEPC(Electronic Product Code:電子プロダクトコード)データのうち、所定の範囲に含まれる部分が、所望タグ情報に一致するときに判定条件が満たされてもよい。この場合、作業指示信号には、所望タグ情報に加えて、判定条件に用いるEPCデータの範囲を表す範囲情報が含まれてもよい。もしくは、別の一例として、判定条件に用いるEPCデータの範囲を表す範囲情報は、予め表示器5が記憶装置53に記憶していてもよい。さらに別の一例として、コントローラ3が予め範囲情報を記憶していて、コントローラ3が作業指示信号とを表示器5に転送するときに、範囲情報を表示器5に送信してもよい。表示器5は、範囲情報に基づいて、タグ情報と所望タグ情報との部分一致を判定してもよい。
【0064】
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態による作業支援システム1の変形例として、作業者9が二重チェックを行うことで、ミスの抑制を強化する場合の構成について説明する。
【0065】
図7Aおよび図7Bに示したシーケンス図を参照して、本実施形態による作業支援システム1の動作の一例について説明する。ここで、図7Aおよび図7Bに示したシーケンス図は、図3Aおよび図3Bに示した第1の実施形態におけるシーケンス図に、以下の変更を加えることで得られる。図7Aおよび図7Bに示したシーケンス図に含まれるステップのうち、図3Aおよび図3Bに示したステップと共通するステップについては、同じ符号で示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0066】
表示器5は、図7AのステップS52で指示の内容を表示し、RF-IDタグ8からタグ情報を受信した後、図7BのステップS54において、指示の内容を強調表示する。より詳細には、表示器5の表示装置502に表示していた指示の内容を所定の回数だけ点滅させるなどの強調表示を行う。ステップS54の後、ステップS55が実行される。
【0067】
図8Aおよび図8Bに示したフローチャートを参照して、本実施形態による表示器5の動作の一例について説明する。ここで、図8Aおよび図8Bに示したフローチャートは、図4Aおよび図4Bに示した第1の実施形態におけるフローチャートに、以下の変更を加えることで得られる。図8Aおよび図8Bに示したフローチャートに含まれるステップのうち、図4Aおよび図4Bに示したステップと共通するステップについては、同じ符号で示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0068】
図8BのステップS04における判定の結果、タグ情報を受信している場合(Yes)、処理はステップS05に進む。ステップS05において、図2Bのタグ情報受信部522が、図7BのステップS54と同様に、指示の内容を強調表示する。より詳細には、タグ情報受信部522が、出力装置56としての表示装置502を制御して、指示の内容を所定の回数だけ点滅させるなどの強調表示を行う。
【0069】
以上に説明したように、一実施形態による作業支援システム1によれば、作業者9が、RF-IDタグ8を表示器5のRF-IDリーダ部503に接近させた後、表示器5の強調表示で作業対象である物品7の数量を確認してから、入力装置57としての発光ボタン504を操作する。その結果、作業者9は自身が行った作業について二重チェックを行うことができ、ミスの発生が抑制される。
【0070】
(第4の実施形態)
上述した第2の実施形態による作業支援システム1の変形例として、作業者9による発光ボタン504の操作を省略することで、作業を高速化する場合の構成について説明する。
【0071】
図9Aおよび図9Bに示したシーケンス図を参照して、本実施形態による作業支援システム1の動作の一例について説明する。ここで、図9Aおよび図9Bに示したシーケンス図は、図5Aおよび図5Bに示した第1の実施形態におけるシーケンス図に、以下の変更を加えることで得られる。図9Aおよび図9Bに示したシーケンス図に含まれるステップのうち、図5Aおよび図5Bに示したステップと共通するステップについては、同じ符号で示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0072】
表示器5は、図9BのステップS53における判定の結果、タグ情報が条件を満たす場合(Yes)、処理は図5BのステップS55を省略して図9BのステップS57に進む。
【0073】
図10Aおよび図10Bに示したフローチャートを参照して、本実施形態による表示器5の動作の一例について説明する。ここで、図10Aおよび図10Bに示したフローチャートは、図6Aおよび図6Bに示した第1の実施形態におけるフローチャートに、以下の変更を加えることで得られる。図10Aおよび図10Bに示したフローチャートに含まれるステップのうち、図6Aおよび図6Bに示したステップと共通するステップについては、同じ符号で示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0074】
図10BのステップS07における判定の結果、タグ情報が条件を満たす場合(Yes)、処理は図6BのステップS06を省略して図10BのステップS07へ進む。
【0075】
以上に説明したように、一実施形態による作業支援システム1によれば、物品7が正しい作業対象であった場合、作業者9が発光ボタン504を操作することなく、報告信号としての作業完了信号が生成されてホストコンピュータ2へ送信される。その結果、作業を高速化することができる。
【0076】
(変形例:ピッキングカート)
上述した各実施形態では、作業者9がRF-IDタグ8を装着する場合の構成について説明した。これらの構成の変形例として、図11に示すように、一実施形態による作業支援システム1Aは、ピッキングカート9Aを備えてもよい。ピッキングカート9Aは、作業者9がピッキング作業を行うときに、物品棚4から取り出した物品7を配置するために使用される。ピッキングカート9Aには、RF-IDタグ8が取り付けられていてもよい。ピッキングカート9AのRF-IDタグ8のタグ情報は、ピッキングカート9Aに固有のピッキングカート識別情報を含んでいてもよい。また、物品棚4には、ピッキングカート9AのRF-IDタグ8のタグ情報を読み取るために用いられるスタート表示器5Aが設けられている。作業者9は、ピッキング作業を開始するときに、ピッキングカート9Aを物品棚4の付近に配置する。このとき、ピッキングカート9Aはスタート表示器5Aに接近して、スタート表示器5Aはピッキングカート9AのRF-IDタグ8からタグ情報を読み出す。スタート表示器5Aは該タグ情報をコントローラ3へ転送し、コントローラ3は該タグ情報をホストコンピュータ2へ転送し、ホストコンピュータ2は、受信した該タグ情報からピッキングカート9Aのピッキングカート識別情報を抽出して、作業に係る情報として記憶してもよい。その結果、本変形例による作業支援システム1では、ピッキング作業の開始時にピッキングカート9Aのタグ情報を読み出して確認し、さらに、物品7または物品箱6を対象に作業を行うたびに物品7または物品箱6のタグ情報を読み出して確認することで、作業者9によるミスをさらに抑制することができる。
【0077】
(第5の実施形態)
上述した第2の実施形態による作業支援システム1の変形例として、表示器5が、数量カウント機能および数量チェック機能をさらに備える場合の構成について説明する。ここで、数量カウント機能とは、作業者9によってピッキングされて表示器5のRF-IDリーダ部503から閾値距離まで接近した物品7の数量を検出する機能である。また、数量チェック機能とは、数量カウント機能で検出した物品7の総数と、ホストコンピュータ2が送信した作業指示信号が示す作業対象としての物品7の数量とを比較して、一致するか否かを確認する機能である。本実施形態によれば、数量カウント機能および数量チェック機能を用いることによって、作業者9がピッキングした物品7の総数が、指示された数量に一致しないとき、表示器5がエラーを警告し、作業者9にミスの修正を促すことができる。
【0078】
図12に示すように、本実施形態では、表示器5の表示装置502を第1表示領域502Aおよび第2表示領域502Bに分割して使用する。一例として、第1表示領域502Aには、作業対象となる物品7についてピッキングが指示された指示数量を表示し、第2表示領域502Bには、作業者9が作業対象となる物品7を実際にピッキングした実績数量を表示する。実績数量が指示数量を超えるなどの異常が発生したとき、第2表示領域502Bは、実績数量を強調表示してもよい。強調表示の例として、表示の色を変えてもよいし、点滅表示を行ってもよい。
【0079】
図13A図13Bおよび図13Cに示したフローチャートを参照して、本実施形態による表示器5の動作の一例について説明する。図13A図13Bおよび図13Cに示したフローチャートは、図6Aおよび図6Bに示した第2の実施形態におけるフローチャートに、以下の変更を加えることで得られる。なお、図13A図13Bおよび図13Cに示したフローチャートのうち、図6Aおよび図6Bに示したステップと共通するステップについては、同じ符号で示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0080】
図13BのステップS04において、図2Bのタグ情報受信部522が、タグ情報を受信したか否かを判定する。判定の結果、タグ情報を受信していない場合(No)、処理はステップS04へ戻る。言い換えれば、タグ情報を受信するまで、ステップS04の処理が繰り返される。タグ情報を受信している場合(Yes)、処理はステップS11へ進む。ここで、複数の物品7にそれぞれ取り付けられた複数のRF-IDタグ8から複数のタグ情報が一度に受信されてもよい。
【0081】
図13BのステップS11において、図2Bのタグ情報受信部522が、タグ情報が所望タグ情報に一致するか否かを判定する。判定の結果、タグ情報が所望タグ情報に一致する場合(Yes)、処理はステップS12へ進む。判定の結果、タグ情報が所望タグ情報に一致しない場合(No)、処理は図13CのステップS10へ進む。ここで、複数のタグ情報が一度に受信されているとき、該複数のタグ情報に、所望タグ情報とは異なるタグ情報が1つだけでも含まれている場合、図2Bのタグ情報受信部522は、タグ情報が所望タグ情報に一致しないと判定する。
【0082】
図13BのステップS12において、図2Bのタグ情報受信部522が、物品7の実績数量をカウントする。より詳細には、予め、例えば、図13AのステップS02において、作業対象として指示された物品7のうち、作業者9が作業を行った数量のカウントをゼロに初期化する。そして、現在実行中のステップS12から見て直近に実行されたステップS04で一度に受信された、所望のタグ情報に一致するタグ情報の総数を、該カウントに加算する。その後、ステップS12が実行されるたびに、直近に実行されたステップS04で受信されたタグ情報の総数を加算する。図13BのステップS12の後、ステップS13が実行される。
【0083】
図13BのステップS13において、図2Bのタグ情報受信部522が、実績数量が指示数量を上回ったか否かを判定する。判定の結果、実績数量が指示数量を上回った場合(Yes)、処理は図13CのステップS10へ進む。判定の結果、実績数量が指示数量を上回っていない場合(No)、処理は図13BのステップS14へ進む。
【0084】
図13BのステップS14において、図2Bのタグ情報受信部522が、実績数量が指示数量に一致するか否かを判定する。判定の結果、実績数量が指示数量に一致する場合(Yes)、処理はステップS06へ進む。判定の結果、実績数量が指示数量に一致しない場合(No)、処理はステップS04へ戻り、実績数量が指示数量に到達するまで図13BのステップS04、S11、S12、S13およびS14が繰り返される。
【0085】
図13BのステップS06において、図2Bの作業完了報告部523が、入力装置57を操作されたか否かを判定する。判定の結果、入力装置57が操作されていない場合(No)、処理はステップS06へ戻る。言い換えれば、入力装置57が操作されるまで、ステップS06の処理が繰り返される。入力装置57が操作されている場合(Yes)、処理はステップS09へ進む。
【0086】
図13BのステップS09において、図2Bの作業完了報告部523が作業完了信号を生成する。図13BのステップS09の後、処理は図13AのステップS01へ戻り、図2Bの作業指示信号受信部521が次の作業指示信号を受信する。
【0087】
図13CのステップS10において、図2Bのタグ情報受信部522が作業者9にエラーを警告する。図13のステップS10の後、ステップS15が実行される。
【0088】
図13CのステップS15において、図2Bの作業完了報告部523が、入力装置57を操作されたか否かを判定する。判定の結果、入力装置57が操作されていない場合(No)、処理はステップS06へ戻る。言い換えれば、入力装置57が操作されるまで、ステップS15の処理が繰り返される。入力装置57が操作されている場合(Yes)、処理はステップS16へ進む。このようにすることで、作業者9がエラーの警告を認識したことを確認することができる。以降、作業者9は、物品7に対して行った作業を元に戻す動作を行うなどして、ミスの修正を行う。
【0089】
図13CのステップS16において、図2Bのタグ情報受信部522が、タグ情報を受信したか否かを判定する。判定の結果、タグ情報を受信していない場合(No)、処理は図13CのステップS16へ戻る。言い換えれば、タグ情報を受信するまで、ステップS16の処理が繰り返される。タグ情報を受信している場合(Yes)、処理はステップS17へ進む。
【0090】
図13CのステップS17において、図2Bのタグ情報受信部522が、タグ情報が所望タグ情報に一致するか否かを判定する。判定の結果、タグ情報が所望タグ情報に一致する場合(Yes)、処理はステップS18へ進む。判定の結果、タグ情報が所望タグ情報に一致しない場合(No)、作業者9が戻す対象ではない物品7を戻したと推定されて、処理は図13CのステップS10へ進む。
【0091】
図13CのステップS18において、図2Bのタグ情報受信部522が、物品7の実績数量を修正する。より詳細には、実行中のステップS18から見て直近に実行されたステップS16において受信されたタグ情報のうち、所望タグ情報に一致するタグ情報の総数を、物品7の実績数量から減算する。また、ステップS16において受信されたタグ情報のうち、所望タグ情報に一致しないタグ情報に基づいて、当該タグ情報を有するRF-IDタグ8を取り付けられた物品7が排除されたと推定する。図13CのステップS18の後、ステップS19が実行される。
【0092】
図13CのステップS19において、図2Bのタグ情報受信部522が、実績数量が指示数量を下回ったか否かを判定する。判定の結果、実績数量が指示数量を下回った場合(Yes)、作業者9が物品7を戻しすぎたと推定されて、処理は図13CのステップS10へ進む。判定の結果、実績数量が指示数量を下回っていない場合(No)、処理は図13BのステップS20へ進む。
【0093】
図13CのステップS20において、図2Bのタグ情報受信部522が、実績数量が指示数量に一致するか否かを判定する。判定の結果、実績数量が指示数量に一致する場合(Yes)、ミスの修正が完了したと推定されて、処理はステップS06へ進む。判定の結果、実績数量が指示数量に一致しない場合(No)、ミスの修正はまだ完了していないと推定されて、処理はステップS16へ戻り、実績数量が指示数量に到達するまで図13CのステップS16、S17、S18、S19およびS20が繰り返される。
【0094】
このように、本実施形態による表示器5は2つの動作モードを切り替え可能に有している。該2つの動作モードのうち、第1の動作モードは、作業者9が作業を行った物品7の総数を実績数量としてカウントするためのカウントモードであり、第2の動作モードは、作業者9の作業中に発生したミスの修正を行うためのミス修正モードである。カウントモードにおいて、実績数量が指示数量を上回った、作業を行った物品7にタグ情報が所望タグ情報とは異なる物品7が含まれていた、などのミスが発生した場合は、図2Bの出力装置56がエラーを警告した後、作業者9による入力装置57の操作を受け入れて、動作モードをミス修正モードに切り替える。また、ミス修正モードにおいて、実績数量を指示数量に一致させた、所望タグ情報とは異なるタグ情報を有する物品7を排除した、などによってミスが修正された後、作業者9による入力装置57の操作を受け入れて、動作モードをカウントモードに切り替える。図13A図13Bおよび図13Cに示したフローチャートのうち、図13Aおよび図13Bに示した各ステップはカウントモードで実行され、図13Cに示した各ステップはミス修正モードで実行される。
【0095】
(変形例:第1表示領域および第2表示領域)
上述した第5の実施形態では、第1表示領域502Aには指示数量を表示し、第2表示領域502Bには実績数量を表示する場合の構成について説明した。この構成の変形例として、第1表示領域502Aには指示数量を表示し、第2表示領域502Bには指示数量から実績数量を減算した差分数量を表示してもよい。このとき、作業者9は、差分数量がゼロになるまで物品7のピッキングを行う。また、作業者9は、差分数量がマイナスの値になったとき、ピッキングした物品7を物品棚4の物品箱6に戻す作業を、差分数量がゼロになるまで行う。
【0096】
(変形例:仕分け作業への応用)
上述した第5の実施形態では、表示器5が、作業対象となる物品7を作業者9がピッキングした実績数量を検出することによって、作業者9によるピッキング作業における数量のミスを抑制したり、数量のミスが発生した場合にはピッキングした物品7のうちの適宜な数量を物品棚4に戻すように促すことによって数量のミスの修正を促したりする場合の構成について説明した。この構成の変形例として、物品箱6から物品7を取り出すピッキング作業の代わりに、物品箱6に物品7を供給する仕分け作業にも、本実施形態による作業支援システム1および表示器5は適用可能である。この場合、指示数量は作業者9が物品箱6へ供給するように指示される物品7の総数を表し、実績数量は作業者9が物品箱6へ供給した物品7の総数を表す。
【0097】
(変形例:棚卸作業への応用)
上述した第5の実施形態では、表示器5が、作業者9が物品箱6からピッキングした物品7が表示器5のRF-IDリーダ部503から所定の距離まで接近したとき、該物品7に取り付けられたRF-IDタグ8から該物品7の識別情報を読み出して、作業者9によってピッキングされた該物品7の数量を検出する場合の構成について説明した。この構成の変形例として、作業者9が物品7を物品箱6ごと物品棚4から表示器5のRF-IDリーダ部503に移動することによって、表示器5は物品箱6に入っている物品7の総数を検出することができる。このとき、作業者9が物品棚4に配置されている全ての物品箱6を移動するだけで、物品棚4に配置されている物品7の総数を、物品箱6ごとに自動的に取得することが可能となる。つまり、本実施形態による作業支援システム1および表示器5は、棚卸の作業にも適用可能である。一例として、この変形例では、図5Aおよび図5Bに示したシーケンス図の処理と、図6Aおよび図6Bに示したフローチャートの処理とが行われる。ただし、図6BのステップS07において、図2Bのタグ情報受信部522が、所望タグ情報に一致するタグ情報の総数を検出する。また、図6BのステップS09において、作業完了信号には、ステップS07において検出されたタグ情報の総数を表す在庫報告信号を含む作業完了信号を生成する。このようにすることで、本変形による表示器5は、物品棚4に入っている物品7のうち、取り付けられたRF-IDタグ8のタグ情報が所望タグ情報に一致する物品7の総数を検出して、コントローラ3を介してホストコンピュータ2に送信することができる。
【0098】
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、実施形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1、1A 作業支援システム
2 ホストコンピュータ(管理装置)
3 コントローラ
4 物品棚(所定の場所)
5 表示器
5A スタート表示器
50 本体
501 補助入力装置
502 表示装置
502A、502B 表示領域
503 RF-IDリーダ部
504 発光ボタン
51 バス
52 演算装置
521 作業指示信号受信部
522 タグ情報受信部
523 作業完了報告部
53 記憶装置
530 記録媒体
531 プログラム記憶部
532 条件記憶部
54 第1通信装置
55 第2通信装置
56 出力装置
57 入力装置
6 物品箱
7 物品
8 RF-IDタグ
9 作業者
9A ピッキングカート
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図13C