(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122875
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】圧密木強制焼入れ装置
(51)【国際特許分類】
B27M 1/06 20060101AFI20240902BHJP
B27K 9/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B27M1/06
B27K9/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002947
(22)【出願日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】202310179762.1
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523471013
【氏名又は名称】広平凱王圧密科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】王 凱
(72)【発明者】
【氏名】王 正
(72)【発明者】
【氏名】張 枝栄
(72)【発明者】
【氏名】張 国勇
(72)【発明者】
【氏名】姜 宏涛
(72)【発明者】
【氏名】胡 暁松
(72)【発明者】
【氏名】宿 永鋒
(72)【発明者】
【氏名】陸 海燕
【テーマコード(参考)】
2B230
2B250
【Fターム(参考)】
2B230AA13
2B230BA01
2B250FA35
2B250FA37
2B250HA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生産ラインにおける圧密された木板の焼入れ冷凍効率を向上させる圧密木強制焼入れ装置を提供する。
【解決手段】トンネル式焼入れ通路が設けられた焼入れハウジングを含み、焼入れハウジング内の焼入れ通路の下方に水平に移動する搬送装置が設けられ、焼入れ通路の上方に噴霧装置及び送風装置が設けられ、噴霧装置は、均一に間隔して通路内に設置された複数の噴霧モジュールを含み、各噴霧モジュールは、径方向に配列されたいくつかの噴霧パイプ及び噴霧パイプの下方に設けられて均一に間隔して設置された複数の噴霧ノズルを含み、各前記噴霧パイプは、輸送配管、液抽出ポンプ及び圧力ポンプを介して焼入れハウジングの側辺に設けられた貯液タンクに接続され、送風装置は、隣接する噴霧モジュールの間に設けられた1~3個の径方向に分布する送風機を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の圧密木に冷却液を散布して冷却するために用いられ、前記装置は、トンネル式焼入れ通路が設けられた焼入れハウジングを含み、前記焼入れハウジング内の焼入れ通路の下方に水平に移動する搬送装置が設けられ、焼入れ通路の上方に噴霧装置及び送風装置が設けられ、
前記噴霧装置は、均一に間隔して焼入れ通路内の頂部に設置された複数の噴霧モジュールを含み、各前記噴霧モジュールは、径方向に配列されたいくつかの噴霧パイプ及び噴霧パイプの下方に設けられて均一に間隔して設置された複数の噴霧ノズルを含み、各前記噴霧パイプは、輸送配管、液抽出ポンプ及び圧力ポンプを介して焼入れハウジングの側辺に設けられた貯液タンクに接続され、前記送風装置は、隣接する噴霧モジュールの間に設けられた1~3個の径方向に分布する送風機を含む
ことを特徴とする圧密木強制焼入れ装置。
【請求項2】
各前記噴霧モジュールは、2本の径方向に設置された噴霧パイプを含み、各前記噴霧パイプの下方に6~12個の前記噴霧ノズルが設けられ、前記噴霧ノズルから前記搬送装置の搬送面までの距離は、25~40cmである
請求項1に記載の圧密木強制焼入れ装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、焼入れ通路の下方に設けられた搬送メッシュベルト、前記搬送メッシュベルトの移動を動かすローラモジュール及びローラモジュールに動力を提供する駆動機構を含み、前記焼入れ通路の両側に同一の鉛直面にある循環シュートが設けられ、前記搬送メッシュベルトの両側に前記循環シュートに嵌合するスライダが設けられ、前記搬送メッシュベルトは、複数の軸方向の支持ロッド及び支持ロッドに経編及び/又は緯編で形成された網体構造である
請求項1に記載の圧密木強制焼入れ装置。
【請求項4】
前記搬送メッシュベルトの支持ロッド及び網体は、低温金属材料で製造され、前記網体構造は、低温金属細線を編んで0.5~3cm厚さに形成された3次元立体構造であり、
前記ローラモジュールは、焼入れ通路の両端部に設けられた2つのローラを含み、前記搬送メッシュベルトの前端及び後端は、前記ローラを回ってリング体を形成し、前記駆動機構は、少なくとも1つの前記ローラに回転動力を提供する
請求項3に記載の圧密木強制焼入れ装置。
【請求項5】
前記焼入れ貫通ハウジングの前端面及び後端面の頂部にいずれも封止板が設けられ、前記封止板と搬送装置の搬送面との間に出入口が形成され、前記封止板に高さ調整可能なバッフル板が設けられ、前記バッフル板の内側に搬送装置の搬送面に向かって延在する防風シートが設けられる
請求項1に記載の圧密木強制焼入れ装置。
【請求項6】
前記防風板は、複数の平行に配列された薄型シートで構成され、前記封止板は、上から下へ内向きに傾斜する構造であり、それに貼り合わせるバッフル板と同期に傾斜して設置される
請求項5に記載の圧密木強制焼入れ装置。
【請求項7】
前記バッフル板に複数の縦方向調整貫通孔が設けられ、前記バッフル板は、縦方向調整貫通孔の外側から封止板に挿着されたロックスクリューにより固定され、
又は、前記バッフル板は、自動伸縮機構により前記封止板に接続される
請求項5に記載の圧密木強制焼入れ装置。
【請求項8】
前記封止板の底部位置に位置センサ及び距離センサが設けられ、前記焼入れハウジングの両側のハウジング壁面に軸方向に沿って分布する観察ドアが設けられ、前記観察ドアの内側枠にゴム製シールリングが設けられる
請求項5に記載の圧密木強制焼入れ装置。
【請求項9】
前記搬送メッシュベルトは、いくつかの搬送ユニットに分けられ、隣接する前記搬送ユニットの間に垂直冷却部が設けられ、
前記垂直冷却部は、トンネル走行前端及び後端に設置された縦方向に分布する支持ローラ群、前記支持ローラの側辺を回って設置されたリンク状運送レール、両側のリンク状運送レールの間に設けられた複数の支え機構及び支持ローラ群の回転を駆動する駆動機構を含み、前記支え機構は、前端又は後端の搬送ユニットに回転する時に、前記支え機構に設置された支え板は、対応端の搬送メッシュベルトに当接し、トンネル走行前端に対応する前記支え機構側には当接時に支え板における圧密木をプッシュするプッシュ機構が設けられ、2つの前記リンク状運送レールの間の中部に第1の横方向噴霧パイプが設けられ、前記第1の横方向噴霧パイプに少なくとも頂側向きの複数の噴霧ノズルが設けられる
請求項1に記載の圧密木強制焼入れ装置。
【請求項10】
前記支持ローラ群は、両側の複数の独立したローラ本体にそれぞれ設けられ、各側には走行前端が設けられた前上ローラと前下ローラ、走行後端に設けられた後上ローラと後下ローラ、前上ローラと後上ローラの上方中部に設けられた上中ローラ及び前下ローラと後下ローラの下方中部に設けられた下中ローラを含み、両側の前記下中ローラの間は、同一のローラ軸により接続され、少なくとも1つの前記下中ローラは、前記駆動機構に接続され、両側の前記リンク状運送レールの内側に対向する連接ロッドが均一に分布し、前記連接ロッドは、内側向きに伸び、且つ伸び端部は、対応側のローラ本体の内側から突出し、前記連接ロッドの内側端部に回転リングが回転可能に嵌着され、両側の前記回転リングの間は、前記支え板により接続され、
複数の前記第1の横方向噴霧パイプの噴霧ノズルは、前側、後側及び頂側に向かって設置され、前記リンク状運送レールの上方中部には底部に噴霧ノズル付きの第2の横方向噴霧パイプが設けられる
請求項9に記載の圧密木強制焼入れ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木板加工技術の分野に属し、特に圧密木強制焼入れ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧密木は、木板がホットプレス処理により製造された硬質で、密度が大きく、強度が高い強化処理材料である。木板は、圧縮されて緻密化された後、その組織構造、物理力学的性質がいずれも深刻に変化し-力学的強度が強くなり、木板の変形が小さくなり、耐摩耗性、耐久性に優れ、それにより木板の性能を効果的に改善し、木板の利用価値を向上させる。
【0003】
従来の圧密木の加工技術では、木板に対して、前処理、積層処理、加熱加圧処理、硬化処理、降温処理及び養生処理という具体的なステップを行い、そのうち降温処理は、水冷降温及び/又は空冷降温方式を採用することが多い。
【0004】
特許文献1:特許出願番号CN202020196506.5に開示された特許に水冷装置が配置されて圧縮木材に対して一次冷却を行い、その後に空冷装置が配置されて木材に対して二次冷却を行い、当該プロセスにおいて、冷却時効は可能な限り短縮する必要があり、温度の急減及び急速冷却すなわち焼入れプロセスにより圧密木の強度及び硬度の効果的な改善(増加)を果たし、しかも内部応力を減少して脆性を低下させ、それにより圧密木の機械的特性を向上させる。しかしながら、従来技術の空冷及び水冷プロセスは、水冷機器及び空冷機器の敷設回線を長くさせ、又は単位体積内の木材停留時間を向上させて降温を実現する必要があり、当該種類の水冷及び空冷方式は、熱交換効率が低く、冷却時間が長すぎ、圧密木が優れた機械的特性を呈することができないようにする。
【0005】
出願人は、同型の特許に冷凍液(例えば液体窒素)により急速な焼入れを実現することを言及し、しかし、従来技術では圧密木生産ラインに焼入れ冷却の関連機器を敷設することがなく、どのように流れ作業ラインにおける圧密木の急速な焼入れを実現することは製品自体に特に重要である。また、機器敷設及び占用空間のコストを節約するために、どのようにプロセス回線の敷設を短縮するとともに流れ作業ラインにおける圧密された木板の焼入れ効率を向上させるという技術的問題も同様に早急に解決する必要がある。
【0006】
また、高周波処理された圧密木は、厚さが厚く、一般的には3cm以上であり、実際の焼入れ操作過程において、焼入れ時間が短すぎて圧密木内の中心温度を予め設定された温度まで低下させることができなく、当該技術的問題を解決するために、圧密木の焼入れ装置における焼入れ時間を増加する必要はあるが、焼入れ時間の増加により木板の加工効率の低下に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許出願202020196506.5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、生産ラインにおける圧密された木板の焼入れ冷凍効率を向上させる圧密木強制焼入れ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の具体的な技術的解決手段は、以下のとおりである。
【0010】
本発明は、圧密木強制焼入れ装置を提供し、それは走行中の圧密木に冷却液を散布して冷却するために用いられ、前記装置は、トンネル式焼入れ通路が設けられた焼入れハウジングを含み、前記焼入れハウジング内の焼入れ通路の下方に水平に移動する搬送装置が設けられ、焼入れ通路の上方に噴霧装置及び送風装置が設けられ、
前記噴霧装置は、均一に間隔して焼入れ通路内の頂部に設置された複数の噴霧モジュールを含み、各前記噴霧モジュールは、径方向に配列されたいくつかの噴霧パイプ及び噴霧パイプの下方に設けられて均一に間隔して設置された複数の噴霧ノズルを含み、各前記噴霧パイプは、輸送配管、液抽出ポンプ及び圧力ポンプを介して焼入れハウジングの側辺に設けられた貯液タンクに接続され、前記送風装置は、隣接する噴霧モジュールの間に設けられた1~3個の径方向に分布する送風機を含む。
【0011】
1つの改良された技術的解決手段において、各前記噴霧モジュールは、2本の径方向に設置された噴霧パイプを含み、各前記噴霧パイプの下方に6~12個の前記噴霧ノズルが設けられ、前記噴霧ノズルから前記搬送装置の搬送面までの距離は、25~40cmである。
【0012】
本発明の第2の態様の改良において、前記搬送装置は、焼入れ通路の下方に設けられた搬送メッシュベルト、前記搬送メッシュベルトの移動を動かすローラモジュール及びローラモジュールに動力を提供する駆動機構を含み、前記焼入れ通路の両側に同一の鉛直面にある循環シュートが設けられ、前記搬送メッシュベルトの両側に前記循環シュートに嵌合するスライダが設けられ、前記搬送メッシュベルトは、複数の軸方向の支持ロッド及び支持ロッドに経編及び/又は緯編で形成された網体構造を採用する。
【0013】
1つの改良された技術的解決手段において、前記搬送メッシュベルトの支持ロッド及び網体は、低温金属材料で製造され、前記網体構造は、低温金属細線を編んで0.5~3cm厚さに形成された3次元立体構造であり、
前記ローラモジュールは、焼入れ通路の両端部に設けられた2つのローラを含み、前記搬送メッシュベルトの前端及び後端は、前記ローラを回ってリング体を形成し、前記駆動機構は、少なくとも1つの前記ローラに回転動力を提供する。
【0014】
本発明の第3の態様の改良において、前記焼入れ貫通ハウジングの前端面及び後端面の頂部にいずれも封止板が設けられ、前記封止板と搬送装置の搬送面との間に出入口が形成され、前記封止板に高さ調整可能なバッフル板が設けられ、前記バッフル板の内側に搬送装置の搬送面に向かって延在する防風シートが設けられる。
【0015】
1つの改良された技術的解決手段において、前記防風板は、複数の平行に配列された薄型シートで構成され、前記封止板は、上から下へ内向きに傾斜する構造であり、それに貼り合わせるバッフル板と同期に傾斜して設置される。
【0016】
さらに改良された技術的解決手段において、前記バッフル板に複数の縦方向調整貫通孔が設けられ、前記バッフル板は、縦方向調整貫通孔の外側から封止板に挿着されたロックスクリューにより固定され、又は、前記バッフル板は、自動伸縮機構により前記封止板に接続される。
【0017】
1つの改良された技術的解決手段において、前記封止板の底部位置に位置センサ及び距離センサが設けられ、前記焼入れハウジングの両側のハウジング壁面に軸方向に沿って分布する観察ドアが設けられ、前記観察ドアの内側枠にゴム製シールリングが設けられる。
【0018】
本発明の第4の態様の改良において、前記搬送メッシュベルトは、いくつかの搬送ユニットに分けられ、隣接する前記搬送ユニットの間に垂直冷却部が設けられ、前記垂直冷却部は、トンネル走行前端及び後端に設置された縦方向に分布する支持ローラ群、前記支持ローラの側辺を回って設置されたリンク状運送レール、両側のリンク状運送レールの間に設けられた複数の支え機構及び支持ローラ群の回転を駆動する駆動機構を含み、前記支え機構は、前端又は後端の搬送ユニットに回転する時に、前記支え機構に設置された支え板は、対応端の搬送メッシュベルトに当接し、トンネル走行前端に対応する前記支え機構側には当接時に支え板における圧密木をプッシュするプッシュ機構が設けられ、2つの前記リンク状運送レールの間の中部に第1の横方向噴霧パイプが設けられ、前記第1の横方向噴霧パイプに少なくとも頂側向きの複数の噴霧ノズルが設けられる。
【0019】
1つの改良された技術的解決手段において、前記支持ローラ群は、両側の複数の独立したローラ本体にそれぞれ設けられ、各側には走行前端が設けられた前上ローラと前下ローラ、走行後端に設けられた後上ローラと後下ローラ、前上ローラと後上ローラの上方中部に設けられた上中ローラ及び前下ローラと後下ローラの下方中部に設けられた下中ローラを含み、両側の前記下中ローラの間は、同一のローラ軸により接続され、少なくとも1つの前記下中ローラは、前記駆動機構に接続され、両側の前記リンク状運送レールの内側に対向する連接ロッドが均一に分布し、前記連接ロッドは、内側向きに伸び、且つ伸び端部は、対応側のローラ本体の内側から突出し、前記連接ロッドの内側端部に回転リングが回転可能に嵌着され、両側の前記回転リングの間は、前記支え板により接続され、複数の前記第1の横方向噴霧パイプの噴霧ノズルは、前側、後側及び頂側に向かって設置され、前記リンク状運送レールの上方中部に第2の横方向噴霧パイプが設けられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の圧密木強制焼入れ装置は、トンネル式の焼入れ通路を採用してホットプレスされた圧密木に対して焼入れ冷凍を行い、熱交換効率を向上させて冷凍時間を短縮させ、しかも焼入れプロセスにより圧密木の強度及び硬度を改善し、また内部応力を減少して脆性を低下させ、それにより圧密木の機械的特性を向上させる。
【0021】
本発明の圧密木強制焼入れ装置は、立体搬送網体を用いて圧密木板の各面を焼入れ液と十分に接触させ、熱交換効率を向上させて冷凍時間を短縮させる。また、当該装置は、トンネル内に縦方向移動を追加し及び十分な液体窒素噴霧方式で冷凍不完全の技術的問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】圧密木強制焼入れ装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図2】
図1の圧密木強制焼入れ装置の他の側面概略図である。
【
図3】
図1の圧密木強制焼入れ装置の平面概略図である。
【
図4】
図1の圧密木強制焼入れ装置の入口端面の概略図である。
【
図6】搬送装置の一実施形態の一部の構造概略図である。
【
図8】搬送装置の他の実施形態の一部の構造概略図である。
【
図10】垂直冷却部の通路走行方向の一部の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施例は、本発明の内容をさらに説明するが、本発明を制限するものではない。本発明の精神及び実質から逸脱しない場合、本発明の方法、ステップ又は条件に対して行われる修正又は置換は、いずれも本発明の範囲に属する。
【0024】
本発明は、流れ作業ラインにおける走行式の木板ブロックに対して冷却液を噴霧して冷却を実現するための圧密木強制焼入れ装置であり、当該装置は、トンネル式の焼入れ通路が配置され、運送ベルトにより高周波圧密された圧密木を一回で焼入れ通路に入れて噴霧焼入れを行う。
【0025】
図1~5に示すように、前記圧密木強制焼入れ装置は、トンネル式焼入れ通路2が設けられた焼入れハウジング1を含み、前記焼入れハウジング1内の焼入れ通路2の下方に水平に移動する搬送装置3が設けられ、焼入れ通路2の上方に噴霧装置及び送風装置が設けられる。前記焼入れハウジング1の前端及び後端にいずれも受けフレーム19が設けられ、前記搬送装置3の前端及び後端は、両端の受けフレーム19の上方までそれぞれ延在し、前の段階と次の段階の機器に当接するために用いられる。
【0026】
前記噴霧装置は、均一に間隔して焼入れ通路内の頂部に設置された複数の噴霧モジュールを含み、各前記噴霧モジュールは、径方向に配列されたいくつかの噴霧パイプ40及び噴霧パイプ40の下方に設けられて均一に間隔して設置された複数の噴霧ノズル41を含み、各前記噴霧パイプ41は、輸送配管42、液抽出ポンプ及び圧力ポンプを介して焼入れハウジング1の側辺に設けられた貯液タンク5に接続され、前記送風装置は、隣接する噴霧モジュールの間に設けられた1~3個の径方向に分布する送風機6を含み、前記送風機6の送風モータ60は、焼入れハウジング1の頂部から突出する。前記貯液タンク内に焼入れ液を積載し、例えば液体窒素を採用し、液体窒素の温度は、-190℃~-200℃であり、液体窒素は、噴霧ノズルから搬送ベルト表面の圧密木面板に噴霧され、液体窒素は、それと熱交換して気化する。木板表面が熱交換した後に熱い表面に液体窒素に一時的により多くの熱量を吸収できず、液体窒素の気化速度を遅くし、そのため、本発明は、送風装置を設置することによりガスを吹き飛ばして滴下液を木板表面に吹き、液体窒素の冷却効率を向上させることができる。
【0027】
噴霧装置及び送風装置の結合使用をより合理的に配置するために、
図5に示す具体例において、各前記噴霧モジュールは、2本の径方向に設置された噴霧パイプ40を含み、各前記噴霧パイプ40の下方に6~12個の前記噴霧ノズル41が設けられ、前記噴霧ノズル1から前記搬送装置の搬送面までの距離は、25~40cmである。
【0028】
1つの搬送装置の改良例において、
図6に示すように、前記搬送装置は、焼入れ通路2の下方に設けられた搬送メッシュベルト30、前記搬送メッシュベルト30の移動を動かすローラモジュール及び駆動機構を含み、前記駆動機構は、モータを採用して減速機35と組み合わせて搬送メッシュベルトの移動を安定的に駆動し、前記減速機35は、モータの取り付け位置に対応する焼入れハウジングの外側に設けられ、前記焼入れ通路2の両側に同一の鉛直面にある循環シュートが設けられ、前記搬送メッシュベルト30の両側に前記循環シュートに嵌合するスライダが設けられ、
図7に示すように、前記搬送メッシュベルト30は、複数の軸方向の支持ロッド31及び支持ロッド31に経編及び/又は緯編を採用して形成された網体32である。当該種類の編成網体32は、金属バーを採用して編成した後に3次元規則的な立体網体構造を形成し、ガス状と液状の窒素は、上方から下方へ搬送網体の内部と下方に入ることができ、木板底面が焼入れ液との十分な接触を実現し、さらに焼入れ冷却効率を向上させる。前記搬送メッシュベルト30の支持ロッド31及び網体32は、低温金属材料で製造され、前記低温金属材料とは、焼入れ液の温度で使用することに適用される材料であり、例えば焼入れ液が液体窒素である場合、オーステナイト系ステンレス鋼又はニッケル含有量の高いニッケル鋼材料で製造されることができる。ローラモジュールの設計において、搬送メッシュベルトの回型循環移動を実現すればよく、具体的には、前記ローラモジュールは、焼入れ通路2の両端部に設けられた2つのローラ33を含み、前記搬送メッシュベルト30の前端及び後端は、前記ローラ33を回ってリング体を形成し、前記駆動機構は、少なくとも1つの前記ローラ33に回転動力を提供する。
【0029】
1つの改良された技術的解決手段において、
図8に示すように、前記焼入れ貫通ハウジングの前端面及び後端面の頂部にいずれも封止板11が設けられ、前記封止板11と搬送装置の搬送面との間に出入口16が形成され、前記封止板11に高さ調整可能なバッフル板12が設けられ、前記バッフル板12の内側に搬送装置の搬送面に向かって延在する防風シート13が設けられる。焼入れトンネル内の冷気が過剰にオーバーフローすることを防止するために、封止板は、上から下に狭い出入口が形成され、バッフル板及び防風シートの設置により出入口の高さを木板の高さに相当するように調整し、木板がスムーズに出入りすると同時に壁面冷気がオーバーフローすることを保証する。
【0030】
そのうち、前記防風板13は、複数の平行に配列された薄型シートで構成され、前記薄型シートは、同様に低温金属シート材料で製造されることができ、それを複数の配列されたシートに設置してそれが圧密木板の出入りに対する遮断を回避することができ、高い木板であっても円滑に通過することができる。封止板11は、上から下へ内向きに傾斜する構造であり、それに貼り合わせるバッフル板12と同期に傾斜して設置される。
【0031】
前記バッフル板は、高さ調整可能なバッフル構造として設置することができ、1つの手動調整の技術的解決手段において、前記バッフル板12に複数の縦方向調整貫通孔14が設けられ、前記バッフル板12は、縦方向調整貫通孔14の外側から封止板に挿着されたロックスクリュー15により固定される。他の1つの自動調整の技術的解決手段において、前記バッフル板は、自動伸縮機構により前記封止板に接続される。
【0032】
前記封止板11の底部位置に位置センサ及び距離センサが設けられ、位置センサは、圧密木板が所定位置にあるか否かを検出することができ、距離センサは、検出木板からそれまでの距離に基づいて木板の厚さを算出し、木板の厚さに基づいてバッフル板の高さを自動的に調整することができる。
【0033】
1つの例において、前記焼入れハウジング1の両側のハウジング壁面に軸方向に沿って分布する観察ドア7が設けられ、前記観察ドア7の内側枠にゴム製シールリングが設けられ、当該観察ドアは、作業者が焼入れ冷却時の木板を観察し及び機器のメンテナンスを行いやすい。前記焼入れハウジング1のハウジング外側に電気制御箱70、操作箱71などの機器が設けられる。
【0034】
上記焼入れハウジングの長さ(すなわち焼入れトンネル)は、実際の使用状況に応じて設定され、例えば10~15mの長さの焼入れハウジングは、高周波圧密された後に90~100℃の圧密木が徐々に焼入れトンネルを通過して焼入れ冷却され、木材の急速冷凍時間が7~8分間であるが、木材の中心部が凍結しておらず、再び焼入れトンネルに入れて二次急速冷凍し又は搬送装置の移動速度を調整することにより木板の焼入れトンネル内における停留時間を増加する必要があり、前者の方法は、手動で再び急速冷凍に入れる必要があり、人力操作コストを増加させ、生産ラインの加工速度に影響を与え、後者も同様に生産ラインの焼入れ冷凍速度に影響する。より合理的な方法は、焼入れトンネルの長さを延長して木板の完全な急速冷凍を達成することであるが、生産場所に制限され、機器を延長することは間違いなく敷地コストを増加させるため、本発明は、トンネル内に縦方向移動を追加し及び十分な液体窒素噴霧方式で当該技術的問題を解決する。
【0035】
具体的な例において、前記搬送メッシュベルト30は、いくつかの搬送ユニットに分けられ、隣接する前記搬送ユニットの間に垂直冷却部が設けられる。
図9~10に示すように、前記垂直冷却部は、トンネル走行前端及び後端に設置された縦方向に分布する支持ローラ群、前記支持ローラの側辺を回って設置されたリンク状運送レール81、両側のリンク状運送レール81の間に設けられた複数の支え機構82及び支持ローラ群の回転を駆動する駆動機構を含み、前記支え機構82は、前端又は後端の搬送ユニットに回転する時に、前記支え機構82に設置された支え板83は、対応端の搬送メッシュベルト30に当接し、トンネル走行前端に対応する前記支え機構82側には当接時に支え板83における圧密木をプッシュするプッシュ機構84が設けられる、2つの前記リンク状運送レール81の間の中部に第1の横方向噴霧パイプ85が設けられ、前記第1の横方向噴霧パイプ85に少なくとも頂側向きの複数の噴霧ノズル86が設けられる。1つの改良例において、複数の前記第1の横方向噴霧パイプ85の噴霧ノズル86は、前側、後側及び頂側に向かって設置され、前記リンク状運送レールの上方中部に第2の横方向噴霧パイプ87が設けられ、第2の横方向噴霧パイプ87の底部に複数の噴霧ノズル86が設置される。当該技術的解決手段において、搬送メッシュベルトの縦方向運送により圧密木の焼入れ冷却時間を増加させ、しかも第1の横方向噴霧パイプ85及び第2の横方向噴霧パイプ87の対流噴霧操作により焼入れをより効果的に行い、圧密木が完全に冷凍して標準に達することを保証する場合に焼入れ時間を短縮させる。また、第1の横方向噴霧パイプ及び第2の横方向噴霧パイプを設置する時、横方向パイプの支え機構に対する遮断を回避するために、前記横方向パイプの給液管は、支持ローラ群の外側から接続される。
【0036】
上記技術的解決手段によれば、さらに具体的な実施形態において、前記支持ローラ群は、両側の複数のローラ本体にそれぞれ設けられ、各側は、具体的に走行前端が設けられた前上ローラ801と前下ローラ802、走行後端に設けられた後上ローラ803と後下ローラ804、前上ローラ801と後上ローラ803の上方中部に設けられた上中ローラ805及び前下ローラ802と後下ローラ804の下方中部に設けられた下中ローラ806を含み、各側の各前記ローラ本体は、いずれも独立したローラ本体で接続ブラケットを介して焼入れ通路の両側に固定され、そのうち前記両側の前記下中ローラ806の間は、同一のローラ軸807により接続され、少なくとも1つの前記下中ローラ806は、前記駆動機構に接続される。両側の前記リンク状運送レール81の内側に対向する連接ロッド810が均一に分布され、前記連接ロッド810は、内側に向かって伸び、且つ伸び端部は、対応側のローラ本体の内側から突出し、前記連接ロッド810の内側端部に回転リング811が回転可能に嵌着され、両側の前記回転リング811の間は、前記支え板83により接続される。前記支え板83は、格子板、グリッド板又は枠体構造などのいずれかであってもよい。前記支え板83は、搬送網体から圧密木を受けた後、前記リンク状運送レールを回って緩やかに移動し、移動中に、第1と第2の横方向噴霧パイプにより圧密木に対して全方位的に噴霧冷凍を行い、それが前端の搬送網体に回転すると、当該位置に対応する支え板83の内側に設置されたプッシュ機構84は、圧密木を前端の搬送網体にプッシュする。当該プッシュ機構84は、従来の軸方向移動装置例えば伸縮シリンダ構造を採用し、圧密木に対するプッシュを実現することができる。
【0037】
本発明の第1の態様において、トンネル式の焼入れ通路を採用してホットプレスされた圧密木に対して焼入れ冷凍を行い、熱交換効率を向上させて冷凍時間を短縮させ、しかも焼入れプロセスにより圧密木の強度及び硬度を改善し、また内部応力を減少して脆性を低下させ、それにより圧密木の機械的特性を向上させる。第2の態様において、立体搬送網体を用いて圧密木板の各面を焼入れ液と十分に接触させるように改良し、熱交換効率を向上させて冷凍時間を短縮させる。第3の態様において、トンネル内に縦方向移動を追加し及び十分な液体窒素噴霧方式で冷凍不完全の技術的問題を解決する。
【0038】
以下、圧密木板ブロックの焼入れ冷凍試験により本発明の機器効果をさらに試験して説明する。
【0039】
1.長さが100cm±1cmであり、幅が22cm±0.2cmである同一のプロセス条件で高周波圧密化された定尺のポプラ板条(コルク板条とも呼ばれる)を6つ選択し、平均的に2組に分けられ、各組のサンプル数は、3つであり、各組における3つの木板の状態は、第1のブロックの厚さが3cmであり、常温が35℃であり、第2のブロックの厚さが2cmであり、ホットプレスされた温度が90~100℃であり、第3のブロックの厚さが2.6cmであり、ホットプレスされた温度が90~100℃であることである。
【0040】
2.焼入れ過程は、以下のとおりである。
【0041】
2.1 焼入れプロセスを行う焼入れ通路(垂直冷却部なし)の長さが12mである本発明の前記焼入れ装置は、マシン温度が-130℃に設定され、第1組の3つの木板を焼入れ通路に入れて試験を行う。実験結果は、以下のとおりである。
第1のブロックについて、-3~-5℃程度まで急速冷凍する時間は、10分間程度であり、焼入れた中心に顕著な着霜がある。
第2のブロックにおいて、8分間急速冷凍した後に取り出し、中心部が凍結せず、再び通路に入れて6分間急速冷凍し、中心温度が-3℃程度であり、中心が氷冷して着霜を伴う。
第3のブロックにおいて、8分間急速冷凍した後に取り出し、中心部が凍結せず、再び通路に入れて7分間急速冷凍し、中心温度が-3℃程度であり、中心が氷冷して着霜を伴う。
【0042】
2.2 ステップ2.1の焼入れ通路の中部に垂直冷却部を設置し、前記垂直冷却部のレール垂直高さは、2mであり、それとともに対流の噴霧装置を設置し、それ以外、他のプロセス条件は、いずれもステップ2.1のプロセス条件と同じであり、マシン温度を-130℃に設定し、第2組の3つの木板を焼入れ通路に入れて試験を行う。実験結果は、以下のとおりである。
第1のブロックについて、-3~-5℃程度まで急速冷凍する時間は、8分間程度であり、焼入れて中心に顕著な着霜がある。
第2のブロックにおいて、10分間急速冷凍した後に取り出し、中心温度が-3℃程度であり、中心が氷冷して着霜を伴う。
第3のブロックにおいて、11分間急速冷凍した後に取り出し、中心温度が-3℃程度であり、中心が氷冷して着霜を伴う。
【0043】
試験結果から分かるように、第2組のサンプルの急速冷凍時間は、第1組のサンプルの急速冷凍時間よりも明らかに少ない。これは、縦方向移動を追加し及び十分な液体窒素噴霧方式で冷凍効率を向上させるためと考えられる。
【0044】
以上に記載の実施形態は、当該技術的解決手段の保護範囲を限定するものではない。上記実施形態の精神及び原則内で行われるいかなる修正、等価置換及び改良などは、いずれも当該技術的解決手段の保護範囲内に含まれる。