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特開2024-122887半自動遠隔操作システム及び半自動遠隔操作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122887
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】半自動遠隔操作システム及び半自動遠隔操作方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 3/00 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B25J3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016626
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2023030409
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】徳元 勇太
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩二
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS12
3C707AS13
3C707BS12
3C707JT05
3C707JU12
3C707JU15
3C707LV15
(57)【要約】
【課題】自動運転時の作業ツールの作業軌跡を精度よく生成できる半自動遠隔操作システム及び半自動遠隔操作方法を提供する。
【解決手段】半自動遠隔操作システム1は、ワーク7に対して所定の作業を実施する作業ツール5を動かす駆動装置20と、駆動装置20を制御する制御装置30と、作業者が作業ツール5を手動で遠隔操作する入力を受け付ける操作装置10とを備える。制御装置30は、操作装置10に入力された作業者の手動による作業ツール5の遠隔操作に応じて駆動装置20を制御する手動運転モードと、作業軌跡8に沿って作業ツール5を移動させるように駆動装置20を制御する自動運転モードとを切り替え可能であり、駆動装置20の一部又は作業ツール5の一部がワーク7に対して当接したときの駆動装置20の当接情報を取得し、駆動装置20の当接情報に基づいて作業軌跡8を生成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して所定の作業を実施する作業ツールを動かす駆動装置と、
前記駆動装置を制御する制御装置と、
作業者が前記作業ツールを手動で遠隔操作する入力を受け付ける操作装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記操作装置に入力された前記作業者の手動による前記作業ツールの遠隔操作に応じて前記駆動装置を制御する手動運転モードと、作業軌跡に沿って前記作業ツールを移動させるように前記駆動装置を制御する自動運転モードとを切り替え可能であり、
前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークに対して当接したときの前記駆動装置の当接情報を取得し、
前記駆動装置の当接情報に基づいて前記作業軌跡を生成する、
半自動遠隔操作システム。
【請求項2】
前記操作装置は、スレーブとしての前記駆動装置の動作と連動する操作部を有するマスタであり、
前記制御装置は、
前記手動運転モードにおいて、前記操作部の動作と前記駆動装置の動作とが連動するように前記操作装置を制御し、
前記自動運転モードにおいて、前記操作部の動作と前記駆動装置の動作とが連動しないように前記操作装置を制御する、
請求項1に記載の半自動遠隔操作システム。
【請求項3】
前記ワークは平面部を含み、
前記制御装置は、前記手動運転モードにおいて前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークの表面における前記平面部の上の異なる3箇所以上に当接したときのそれぞれの箇所の表面位置を、前記駆動装置の当接情報として検出する、請求項1又は2に記載の半自動遠隔操作システム。
【請求項4】
前記ワークは曲面部を含み、
前記制御装置は、前記手動運転モードにおいて前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークの表面における前記曲面部の上の異なる2箇所に当接したときのそれぞれの箇所の表面位置を、前記駆動装置の当接情報として検出するとともに、前記自動運転モードにおいて前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークの表面における前記2箇所の周囲の複数の箇所に当接したときのそれぞれの箇所の表面位置を、前記駆動装置の当接情報として検出する、請求項1又は2に記載の半自動遠隔操作システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークの表面に当接したことを、前記駆動装置からフィードバックされる情報に基づいて判定する、請求項1又は2に記載の半自動遠隔操作システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記自動運転モードにおいて、前記駆動装置のオフセット量、ピッチ長さ若しくは退避長さ、又は、前記作業ツールの傾き補正値のうち少なくとも1つを設定して前記作業軌跡を生成する、請求項1又は2に記載の半自動遠隔操作システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記自動運転モードにおいて、前記作業ツールの押し付け力を制御するように前記作業軌跡を生成する、請求項1又は2に記載の半自動遠隔操作システム。
【請求項8】
ワークに対して所定の作業を実施する作業ツールを動かす駆動装置を、作業者の手動による前記作業ツールの遠隔操作に応じて前記ワークの表面に前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が当接するように制御する手動運転工程と、
前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークに対して当接したときの前記駆動装置の当接情報を取得し、前記駆動装置の当接情報に基づいて前記作業ツールの作業軌跡を生成する生成工程と、
生成した前記作業軌跡に沿って前記作業ツールを移動させるように前記駆動装置を制御する自動運転工程と
を含む、半自動遠隔操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半自動遠隔操作システム及び半自動遠隔操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用ロボットのようなアームロボットを用いた保全作業は、高所でオペレータが近づけないため、直接教示してアームロボットを動作させるようなことはできない。また、作業対象物であるワークの形状又は距離が一定でないため、毎回教示し直す必要があり効率が悪い。そのため、例えば特許文献1に示すように、3Dカメラでワークをスキャニングしてワークの形状を認識し、認識したワークの形状に基づいてアームロボットの動作の軌跡を生成するシステムが提案されている。また、特許文献2に示すように、マスタスレーブ遠隔操作により、マスタ操作装置を直接手動操作してスレーブアームを遠隔操作する手動運転モードと、教示データまたは動作データによってスレーブアームを自動で操作する自動運転モードとを切り替え可能に構成された半自動遠隔操作装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-513076号公報
【特許文献2】特開昭63-283878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,特許文献1のシステムにおいて、異なる姿勢で何点かの位置を3Dカメラでスキャニングしてワークの形状を認識する必要がある。この場合、3Dカメラの影となる部分をスキャニングできないため軌跡を生成することができない。また、ワークの位置が多少ずれるため、ワークとツールとを接触させる作業において、ワークに接触させすぎてツールが破損したり、離れすぎてしまって作業できなかったりすることが発生する。
【0005】
また、特許文献2の装置において、半自動遠隔操作を概念化しているものの、自動運転モード時にあらかじめ記憶された教示データまたは動作データに基づいてスレーブアームを常に一定の対応で動作させる構成であるため、ワークの表面形状に沿った作業軌跡を生成することができない。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するため、手動運転から自動運転に切り替えるにあたって、自動運転時の作業ツールの作業軌跡を精度よく生成することができる半自動遠隔操作システム及び半自動遠隔操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の一実施形態に係る半自動遠隔操作システムは、ワークに対して所定の作業を実施する作業ツールを動かす駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御装置と、作業者が前記作業ツールを手動で遠隔操作する入力を受け付ける操作装置とを備える。前記制御装置は、前記操作装置に入力された前記作業者の手動による前記作業ツールの遠隔操作に応じて前記駆動装置を制御する手動運転モードと、作業軌跡に沿って前記作業ツールを移動させるように前記駆動装置を制御する自動運転モードとを切り替え可能であり、前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークに対して当接したときの前記駆動装置の当接情報を取得し、前記駆動装置の当接情報に基づいて前記作業軌跡を生成する。
【0008】
(2)上記(1)に記載の半自動遠隔操作システムにおいて、前記操作装置は、スレーブとしての前記駆動装置の動作と連動する操作部を有するマスタであってよい。前記制御装置は、前記手動運転モードにおいて、前記操作部の動作と前記駆動装置の動作とが連動するように前記操作装置を制御し、前記自動運転モードにおいて、前記操作部の動作と前記駆動装置の動作とが連動しないように前記操作装置を制御してよい。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載の半自動遠隔操作システムにおいて、前記ワークは平面部を含んでよい。前記制御装置は、前記手動運転モードにおいて前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークの表面における前記平面部の上の異なる3箇所以上に当接したときのそれぞれの箇所の表面位置を、前記駆動装置の当接情報として検出してよい。
【0010】
(4)上記(1)又は(2)に記載の半自動遠隔操作システムにおいて、前記ワークは曲面部を含んでよい。前記制御装置は、前記手動運転モードにおいて前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークの表面における前記曲面部の上の異なる2箇所に当接したときのそれぞれの箇所の表面位置を、前記駆動装置の当接情報として検出するとともに、前記自動運転モードにおいて前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークの表面における前記2箇所の周囲の複数の箇所に当接したときのそれぞれの箇所の表面位置を、前記駆動装置の当接情報として検出してよい。
【0011】
(5)上記(1)から(4)までのいずれか1つに記載の半自動遠隔操作システムにおいて、前記制御装置は、前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークの表面に当接したことを、前記駆動装置からフィードバックされる情報に基づいて判定してよい。
【0012】
(6)上記(1)から(5)までのいずれか1つに記載の半自動遠隔操作システムにおいて、前記制御装置は、前記自動運転モードにおいて、前記駆動装置のオフセット量、ピッチ長さ若しくは退避長さ、又は、前記作業ツールの傾き補正値のうち少なくとも1つを設定して前記作業軌跡を生成してよい。
【0013】
(7)上記(1)から(6)までのいずれか1つに記載の半自動遠隔操作システムにおいて、前記制御装置は、前記自動運転モードにおいて、前記作業ツールの押し付け力を制御するように前記作業軌跡を生成してよい。
【0014】
(8)本開示の一実施形態に係る半自動遠隔操作方法は、ワークに対して所定の作業を実施する作業ツールを動かす駆動装置を、作業者の手動による前記作業ツールの遠隔操作に応じて前記ワークの表面に前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が当接するように制御する手動運転工程と、前記駆動装置の一部又は前記作業ツールの一部が前記ワークに対して当接したときの前記駆動装置の当接情報を取得し、前記駆動装置の当接情報に基づいて前記作業ツールの作業軌跡を生成する生成工程と、生成した前記作業軌跡に沿って前記作業ツールを移動させるように前記駆動装置を制御する自動運転工程とを含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る半自動遠隔操作システム及び半自動遠隔操作方法によれば、正確に作業面を特定して作業軌跡が生成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の第1実施形態に係る半自動遠隔操作システムの構成例を示す図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る半自動遠隔操作方法の手順例を示すフローチャートである。
図3】駆動装置の土台座標系の原点とワークの作業平面との関係を示す図である。
図4】仮想作業平面において生成した作業軌跡の一例を示す図である。
図5】作業平面上の当接位置の座標の算出方法を説明する図である。
図6】作業軌跡に含まれる各点の座標の算出方法を説明する図である。
図7】本開示の第2実施形態に係る半自動遠隔操作システムの構成例を示す図である。
図8】本開示の第2実施形態に係る半自動遠隔操作方法の手順例を示すフローチャートである。
図9A】ワークの円筒座標系の算出方法を説明する図である。
図9B図9Aの円筒の切断面を示す図である。
図10A】円筒座標系から作業曲面を特定する方法を説明する斜視図である。
図10B図10Aの、円筒の中心軸に直交する断面図である。
図10C図10Aの正面図である。
図11A】作業曲面において生成した作業軌跡の一例を示す図である。
図11B図11Aの、円筒の中心軸に直交する断面図である。
図11C図11Aの正面図である。
図12A】押し付け力を設定した作業で作業平面上に描いた線の一例を示す図である。
図12B】押し付け力を設定しない作業で作業平面上に描いた線の一例を示す図である。
図13A】押し付け力を設定した作業で作業曲面上に描いた線の一例を示す図である。
図13B】押し付け力を設定しない作業で作業曲面上に描いた線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態が説明される。本開示は、高所若しくは難所、又は、高温環境若しくは粉塵環境等の、アクセスが困難な建築物又は構造物のエリアで保全作業を行うために、手動運転での遠隔操作と自動運転とを組み合わせることで、作業能率向上及び正確な作業の実施を可能にする。すなわち、上記のようなエリアの場合、作業対象物であるワークの形状又は距離が一定でないため、作業の全てを自動運転で行うことは困難である。一方で、手動運転で遠隔作業する場合、ワークの形状又は距離に合わせて作業を行うことができるが、カメラワーク又は通信遅延により手作業の感覚とは異なるため、相当な習熟が必要であるとともに細かい作業は難しい。このため、本開示は、必要に応じて手動運転と自動運転とを切り替え可能にする。なお、本開示において、「半自動」は、手動運転(手動運転モード)と自動運転(自動運転モード)とが切り替え可能となっていることを意味する。
【0018】
以下、本開示の第1実施形態に係る半自動遠隔操作システム1(図1等参照)及び半自動遠隔操作方法が図面に基づいて説明される。各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の第1実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための装置又は方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
<半自動遠隔操作システム1の構成例>
図1に示されるように、本開示の第1実施形態に係る半自動遠隔操作システム1は、操作装置10と、駆動装置20と、制御装置30とを備える。駆動装置20は、作業ツール5を取付可能に構成される。半自動遠隔操作システム1は、駆動装置20を遠隔操作して、ワーク7に対して作業ツール5を用いた所定の作業を実行できるように構成される。ワーク7は、例えば作業対象物としての構造物であってよい。第1実施形態において、ワーク7は平面部を含む。
【0020】
本開示に係る半自動遠隔操作システム1において、駆動装置20は、多軸ロボットとして構成される。駆動装置20としての多軸ロボットは、いわゆるバイラテラル制御によるマスタスレーブシステムとして構成されるとする。多軸ロボットは、マスタ操作装置としての操作装置10に入力された操作に応じて、操作装置10から離れて位置するスレーブ操作装置としての駆動装置20の動作を制御するように構成されることによって作業ツール5の遠隔操作を実現する。
【0021】
半自動遠隔操作システム1は、駆動装置20若しくは作業ツール5又はワーク7の位置を作業者が遠隔で監視するための遠隔カメラ等を更に備えてもよい。
【0022】
以下、半自動遠隔操作システム1の構成例及び動作例が説明される。
【0023】
駆動装置20は、ロボットアーム22を備える。ロボットアーム22は、多軸ロボットの少なくとも一部のアームであってよい。多軸ロボットは、一例として6つの軸(回転軸)を備え、6軸方向に自由度を有する垂直多関節型のアームロボットであってよい。回転軸は、多軸ロボットの先端から順番に、T軸、B軸、R軸、U軸、L軸及びS軸と称されてよい。多軸ロボットは、少なくとも3軸方向の移動自由度を有するように構成されてよい。多軸ロボットは、操作装置10によって遠隔操作されるように構成される装置である限り、アームに限られず、種々の構造又は形状を有する装置に置き換えられてよい。多軸ロボットは、垂直多関節型のアームロボットに限らず、任意の構造・形状であってよい。駆動装置20は、高所作業車のブームの先端にある移動台に搭載されていてもよい。
【0024】
駆動装置20に取り付けられている作業ツール5は、例えば高所作業で使われる加工用グラインダー、塗装用ノズル、塗装用ローラー、塗装用刷毛、洗浄用ノズル、又は検査用プローブ等を含んでよい。作業ツール5で実行する所定の作業は、加工、塗装、洗浄、又は検査等を含んでよい。ワーク7は、橋梁の桁下構造等の鋼構造物を含んでよい。
【0025】
操作装置10は、操作部12を備える。操作装置10がマスタ操作装置としての機能を有する場合、操作部12は、駆動装置20としての多軸ロボットのロボットアーム22を動かす軸と同じ軸で操作を入力できる操作軸として構成される。操作装置10は、一例として、駆動装置20と同じ垂直多関節型のアームロボットであってよい。操作軸は、一例として、駆動装置20のロボットアーム22と同じロボットアームであってよい。操作装置10の操作軸と駆動装置20のロボットアーム22とを同一形状とすることで、マスタスレーブシステムが比較的容易に構成される。しかし、操作装置10の操作軸と駆動装置20のロボットアーム22とは、必ずしも相似形でなくてもよいし、同じ自由度を有しなくてもよい。操作部12は、操作軸に限られず、ジョグシャトルのような回転型コントローラとして構成されてもよいし、他の種々の形態のコントローラとして構成されてもよい。操作部12は、これらの例に限られず種々の態様で構成されてよい。操作装置10は、駆動装置20から離れた高所作業車の操作室等に配置されてよい。操作装置10と駆動装置20とは、ケーブル又は無線で繋がっている。
【0026】
制御装置30は、手動運転モードと自動運転モードとを切り替え可能に構成される。手動運転モードは、操作装置10の操作部12に入力された操作に応じて駆動装置20を動作させるモードである。自動運転モードは、操作装置10に操作が入力されたかにかかわらず、所定の軌跡に沿って作業ツール5を移動させるように駆動装置20の動作を自動で制御するモードである。言い換えれば、制御装置30は、手動運転モードにおいて、操作装置10の操作部12の動作と駆動装置20の動作とが連動するように操作装置10及び駆動装置20を制御する。制御装置30は、自動運転モードにおいて、操作装置10の操作部12の動作と駆動装置20の動作とが連動しないように操作装置10及び駆動装置20を制御する。作業ツール5に作業を実施させるために動かす所定の軌跡は、作業軌跡とも称される。
【0027】
制御装置30は、手動運転モードにおいて、操作部12における操作入力に応じて駆動装置20のロボットアーム22を動作させる。制御装置30は、操作装置10及び駆動装置20と通信可能に接続される。制御装置30と、操作装置10又は駆動装置20とは、無線で通信可能に接続されてもよい。制御装置30は、操作部12に入力された操作に応じて駆動装置20の動作を制御するとともに、駆動装置20が受ける反力を操作部12にフィードバックする。言い換えれば、制御装置30は、操作装置10を制御するとともに、駆動装置20のロボットアーム22の位置又は角度とロボットアーム22に加わる反力とを操作装置10の操作軸へフィードバックする。具体的に、ロボットアーム22の角度から軌道計算されるロボットアーム22の各部の位置と、ロボットアーム22に作用する反力とを、バイラテラル制御で双方向に伝達可能となっている。ロボットアーム22の形式が多関節ロボットである場合、各関節に設けられた駆動モータのトルクが反力として操作装置10の操作軸に伝達されるように構成されてよい。
【0028】
制御装置30は、半自動遠隔操作システム1の各部を制御及び管理できるように、例えばCPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の少なくとも1つのプロセッサを含んで構成されてよい。制御装置30は、1つのプロセッサで構成されてよいし、複数のプロセッサで構成されてよい。制御装置30を構成するプロセッサは、後述する記憶部に格納されたプログラムを読み込んで実行することによって、半自動遠隔操作システム1の各構成部を制御及び管理してよい。
【0029】
制御装置30は、記憶部を備えてよい。記憶部は、各種の情報又はデータ等を格納する。記憶部は、例えば制御装置30において実行されるプログラム、又は、制御装置30において実行される処理で用いられるデータ若しくは処理の結果等を格納してよい。また、記憶部は、制御装置30のワークメモリとして機能してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等を含んで構成されてよいがこれに限定されない。例えば、記憶部は、制御装置30として用いられるプロセッサの内部メモリとして構成されてもよいし、制御装置30からアクセス可能なハードディスクドライブ(HDD)として構成されてもよい。記憶部は、非一時的な読み取り可能媒体として構成されてもよい。記憶部は、制御装置30と一体に構成されてもよいし、制御装置30と別体として構成されてもよい。
【0030】
制御装置30は、通信部を備えてよい。通信部は、有線又は無線によって半自動遠隔操作システム1の操作装置10又は駆動装置20等の各構成部と通信するための通信インタフェースを含んで構成されてよい。通信インタフェースは、ネットワークを介して他の装置と通信可能に構成されてよい。通信部は、半自動遠隔操作システム1の各構成部との間でデータを入出力する入出力ポートを含んで構成されてよい。通信部は、半自動遠隔操作システム1の各構成部との間で必要なデータ及び信号を送受信する。通信部は、有線通信規格に基づいて通信してよいし、無線通信規格に基づいて通信してもよい。例えば無線通信規格は3G、4G又は5G等のセルラーフォンの通信規格を含んでよい。また、例えば無線通信規格は、IEEE802.11及びBluetooth(登録商標)等を含んでよい。通信部は、これらの通信規格の1つ又は複数をサポートしてよい。通信部は、これらの例に限られず、種々の規格に基づいて他の装置と通信したりデータを入出力したりしてよい。
【0031】
<半自動遠隔操作システム1の動作例>
第1実施形態に係る半自動遠隔操作システム1において、制御装置30は、手動運転モードと自動運転モードとを切り替える半自動遠隔操作方法を実行することによって、駆動装置20に取り付けた作業ツール5を用いた所定の作業を自動で実施できる。制御装置30は、図2に例示されるフローチャートの手順を含む半自動遠隔操作方法を実行してよい。半自動遠隔操作方法は、制御装置30等に含まれるプロセッサに実行させる半自動遠隔操作プログラムとして実現されてもよい。半自動遠隔操作プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0032】
制御装置30は、手動運転モードとして、操作装置10の操作部12に対して作業者が入力した手動の遠隔操作に応じて駆動装置20を制御し、作業ツール5を移動させる(ステップS1)。具体的に、作業者は、操作装置10の操作軸の先端を操作する。制御装置30は、操作軸の先端の動きに応じて、駆動装置20のロボットアーム22の先端に取り付けられた作業ツール5を移動させる。
【0033】
制御装置30は、作業者による手動の遠隔操作に応じて、作業ツール5の一部又は駆動装置20のロボットアーム22の一部をワーク7の任意の位置に当接させる(ステップS2)。制御装置30は、作業ツール5の一部又は駆動装置20のロボットアーム22の一部がワーク7に当接した位置を、ワーク7の表面位置として記録する(ステップS3)。制御装置30は、作業ツール5の一部又はロボットアーム22の一部がワーク7の表面に当接したかを、駆動装置20から操作装置10へフィードバックされる反力に基づいて判定する。例えば、制御装置30は、駆動装置20の反力を操作装置10の操作軸で検知した作業者が手動にてスイッチを押したときの、ワークに当接した作業ツール5又はロボットアーム22の一部の位置をワーク7の表面位置として記録してよい。制御装置30は、駆動装置20からの反力に閾値を設け、反力が閾値以上になった場合にワークに当接した作業ツール5又はロボットアーム22の一部の位置をワーク7の表面位置として自動で記録してよい。制御装置30は、作業ツール5又はロボットアーム22の一部がワーク7に当接したときの位置を当接情報として記録してよい。つまり、当接情報は、作業ツール5又はロボットアーム22の一部がワーク7に当接した時の当接位置の情報を含んでよい。
【0034】
制御装置30は、記録したワーク7の表面位置によってワーク7の作業平面を特定可能であるか判定する(ステップS4)。具体的に、制御装置30は、ワーク7の表面位置を1箇所又は2箇所で記録し、かつ、その位置におけるワーク7の表面の法線方向を特定できる情報を取得した場合に、ワーク7の作業平面を特定できる。ワーク7の表面の法線方向を特定できる情報は、例えば、ワーク7に作業ツール5等が当接したときに受けた反力の方向を含んでよい。制御装置30は、ワーク7の表面位置を3箇所以上で記録した場合にワーク7の作業平面を特定できる。当接情報は、ワーク7の表面位置における法線方向を特定できる情報を含んでよい。
【0035】
制御装置30は、ワーク7の作業平面を特定できない場合(ステップS4:NO)、ステップS1の手順に戻って、ワーク7の他の位置に作業ツール5の一部又はロボットアーム22の一部を当接させてワーク7の表面位置を記録する動作を繰り返す。第1実施形態において、制御装置30は、図3に例示されるように、ワーク7の表面に位置する、点A、点B及び点Cの3か所の位置を、ワーク7の表面位置として記録する。図3において、点Pはワーク7の表面上の点ではなく、ワーク7の表面以外の任意の点である。点Pは、作業ツール5又はロボットアーム22が退避する位置に対応する。点Oは、駆動装置20がロボットアーム22を制御するときの土台座標系の原点を表す。
【0036】
制御装置30は、ワーク7の作業平面を特定可能である場合(ステップS4:YES)、ワーク7の作業平面を特定し、作業平面上の作業軌跡を生成する(ステップS5)。制御装置30は、図4に例示されるように、点A、点B及び点Cを通るワーク7の作業平面を特定し、ワーク7の作業平面に対してOFで表されるオフセット量だけ離れて位置する仮想作業平面7Vを算出してよい。制御装置30は、仮想作業平面7Vの上に、作業軌跡8を生成してよい。具体的に、制御装置30は、以下の手順で作業軌跡8を生成してよい。
【0037】
(0)制御装置30は、図3に示されるように、駆動装置20の土台座標系の原点Oと点Aとの間の任意の点を、点Pとして作成する。
【0038】
(1)制御装置30は、作業ツール5又はロボットアーム22の一部とワーク7との当接位置である点A、点B及び点Cの位置に基づいてワーク7の作業平面を算出する。
【0039】
(2)制御装置30は、算出した作業平面からオフセット量(OF)だけオフセットした仮想作業平面7Vを生成する。制御装置30は、点P、点A、点B及び点Cをそれぞれオフセット量(OF)だけオフセットした点P’、点A’、点B’及び点C’を生成する。制御装置30は、仮想作業平面7Vの中で点A’と点B’とを結ぶ線をX軸に設定し、仮想作業平面7Vの法線をZ軸に設定し、X軸及びZ軸に直交する線をY軸に設定する。
【0040】
(3)制御装置30は、点P’から点A’に移動する線を作業軌跡8の一部として生成する。
【0041】
(4)制御装置30は、点A’からX軸に沿って点C’のX座標まで延びる線を作業軌跡8の一部として生成する。
【0042】
(5)制御装置30は、Z軸に沿って退避長さ(H)だけ点P’側へ延びる線を作業軌跡8の一部として生成する。退避長さ(H)は、あらかじめ指定されている値であるとする。
【0043】
(6)制御装置30は、Y軸に沿ってピッチ長さ(L)だけ点C’側へ延びる線を作業軌跡8の一部として生成する。ピッチ長さ(L)は、あらかじめ指定されている値であるとする。
【0044】
(7)制御装置30は、Z軸に沿って退避長さ(H)だけ点A’側へ延びる線を作業軌跡8の一部として生成する。
【0045】
(8)制御装置30は、X軸に沿って点A’のX座標まで延びる線を作業軌跡8の一部として生成する。
【0046】
(9)制御装置30は、作業軌跡8のY座標が点C’のY座標を超えるまで、上述の(4)から(8)までの作業軌跡8の生成手順を繰り返し、作業軌跡8を生成する。
【0047】
(10)制御装置30は、点C’のY座標かつ点C’のX座標に作業軌跡8が到達したときに、点C’(到達点)から点Eへ延びる線を作業軌跡8の一部として生成する。点Eは、作業者が指定する任意の安全な退避位置であるとする。制御装置30は、作業軌跡8が点C’のY座標かつ点A’等の他点のX座標(点C’のX座標と異なるX座標)で終了した場合、作業軌跡8の到達点から点Eへ延びる線を作業軌跡8の一部として生成する。
【0048】
制御装置30は、以上述べてきた(0)から(10)までの手順例を実行することによって、作業軌跡8を生成できる。
【0049】
制御装置30は、上述した手順(1)においてワーク7の作業平面を算出する際に、具体的に以下の演算を行ってよい。制御装置30は、駆動装置20の土台座標系の原点Oから点A、点B及び点CのそれぞれのベクトルOA→、OB→、OC→を算出してよい。ここで、記号の後ろに付した「→」は、各記号がベクトルであることを表す。制御装置30は、OA→とOB→とに基づいて、AB→を算出する。制御装置30は、OA→とOC→とに基づいて、AC→を算出する。制御装置30は、点Aと点Bとを結ぶ線に沿ってX軸を設定し、X軸方向を示す単位ベクトルe→を、AB→を正規化した(AB→)/|AB→|として算出する。制御装置30は、AB→及びAC→の両方に直交する線に沿ってZ軸を設定し、Z軸方向を示す単位ベクトルe→を、AB→とAC→との外積を正規化した{(AB→)×(AC→)}/|(AB→)×(AC→)|として算出する。制御装置30は、X軸及びZ軸の両方に直交する線に沿ってY軸を設定し、Y軸方向を示す単位ベクトルe→を、e→とe→との外積を正規化した{(e→)×(e→)}/|(e→)×(e→)|として算出する。
【0050】
ワーク7の作業平面において、図5に例示されるように、点Aを原点として、点B及び点Cの座標が算出される。点A、点B及び点Cはワーク7の作業平面の上に位置する。したがって、点A、点B及び点CのZ座標は0である。直線ACとX軸との角度がθで表される場合、点CのX座標Cxは、|AC|×cosθで算出される。点CのY座標Cyは、|AC|×sinθで算出される。点BがX軸の上に位置する場合、点BのY座標Byは0である。点BのX座標Bxは、|AB|で算出される。制御装置30は、点Aと点Cとを対角線とする矩形の範囲で作業軌跡8を生成する。つまり、作業軌跡8が生成される範囲は、0≦X≦Cxかつ0≦Y≦Cyで特定される。
【0051】
上述した手順(4)から(8)までの動作で作業軌跡8を生成する動作が、図6を参照して、点Aから見た座標系で説明される。制御装置30は、仮想作業平面7Vに生成する作業軌跡8のうち、点A’側の始点となる点L1nを設定し、その座標を(0、L×(n-1)、OF)で算出する。nは自然数であり、作業軌跡8のうち点A’からX軸に沿って往復する線の組み合わせに対して付与される値であり、点A’に近い組み合わせから順番に点C’に近づくにつれて増加するように設定される。n=1のときに点L1nは点A’に一致する。
【0052】
制御装置30は、点L1nからX軸に沿って点C’のX座標に近づく方に延びる線の終点となる点L2nを設定し、その座標を(Cx、L×(n-1)、OF)で算出する。制御装置30は、点L2nからZ軸に沿って退避する線の終点となる点L3nを設定し、その座標を(Cx、L×(n-1)、OF+H)で算出する。制御装置30は、点L3nからY軸に沿って点C’のY座標に近づく方に延びる線の終点となる点L4nを設定し、その座標を(Cx、L×n、OF+H)で算出する。制御装置30は、点L4nからZ軸に沿って仮想作業平面7Vに戻る線の終点となる点L5nを設定し、その座標を(Cx、L×n、OF)で算出する。制御装置30は、点L5nからX軸に沿って点A’のX座標に近づく方に延びる線の終点となる点L6nを設定し、その座標を(0、L×n、OF)で算出する。制御装置30は、点L6nからZ軸に沿って退避する線の終点となる点L7nを設定し、その座標を(0、L×n、OF+H)で算出する。制御装置30は、点L7nからY軸に沿って点C’のY座標に近づく方に延びる線の終点となる点L8nを設定し、その座標を(0、L×(n+1)、OF+H)で算出する。
【0053】
図6を参照して説明したように、制御装置30は、ワーク7の作業平面から仮想作業平面7Vへのオフセット量(OF)と、ピッチ長さ(L)と、退避長さ(H)とを設定することによって、作業軌跡8に含まれる点L1n~L8nの座標を算出できる。このとき、作業平面のオフセット量(OF)と退避長さ(H)とによって点を移動させる方向は、点Aから点Pに向かう方向になるように設定される。具体的に、作業平面の法線ベクトルをN→で表した場合に、N→が点Aから点Pに向かう方向に設定される。オフセット量(OF)と退避長さ(H)の値は、移動する方向がN→の方向に一致する場合に正の値になり、移動する方向がN→の逆方向に一致する場合に負の値になる。
【0054】
制御装置30は、図5及び図6を参照して説明してきたように点Aから見た座標系において作業軌跡8を生成した後で、作業軌跡8に含まれる各点の座標を駆動装置20の土台座標系の座標で表した作業軌跡8に変換してよい。
【0055】
図2のフローチャートに戻り、制御装置30は、手動運転モードにおいて、作業者による手動の遠隔操作で作業ツール5を退避させる(ステップS6)。具体的に、制御装置30は、駆動装置20の自動運転を開始する前に、作業ツール5又はロボットアーム22を安全な位置まで退避させる。
【0056】
制御装置30は、作業ツール5が退避した状態で自動運転モードに切り替え、駆動装置20の自動運転を開始する(ステップS7)。具体的に、制御装置30は、ステップS5の手順で生成した作業軌跡8に沿って作業ツール5を動かすように駆動装置20を制御する。制御装置30は、駆動装置20の自動運転中において、作業ツール5の姿勢を、点Aに当接したときの姿勢のまま維持して、作業ツール5を作業軌跡8に沿って動かしてよい。
【0057】
制御装置30は、自動運転を終了したか判定する(ステップS8)。具体的に、制御装置30は、作業ツール5が作業軌跡8に沿って点Eまで動いたときに自動運転を終了したと判定する。制御装置30は、自動運転を終了していない場合(ステップS8:NO)、自動運転を継続する。制御装置30は、自動運転を終了した場合(ステップS8:YES)、手動運転モードに切り替え、作業者による手動の遠隔操作で作業ツール5を退避させる(ステップS9)。具体的に、制御装置30は、駆動装置20の自動運転の終了後に、作業ツール5又はロボットアーム22を安全な位置まで退避させる。制御装置30は、ステップS9の手順の終了後、図2のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0058】
<第1実施形態のまとめ>
以上述べてきたように、第1実施形態に係る半自動遠隔操作システム1は、駆動装置20を自動運転する際に、駆動装置20を手動で遠隔操作して作業ツール5又はロボットアーム22の一部をワーク7に当接させることによってワーク7の表面位置を検出し、ワーク7の表面上における作業軌跡8を作成できる。このようにすることで、正確に作業平面を特定して作業軌跡を生成することができる。また、作業ツール5又はロボットアーム22の一部をワーク7に当接させる際に作業者が遠隔カメラを通して操作している駆動装置20の作業ツール5の先端とワーク7の位置とを監視することによって、ワーク7の作業平面の幅方向又は高さ方向が正確に特定される。
【0059】
また、第1実施形態において、バイラテラル制御によるマスタスレーブシステムが利用される場合、手動操作時に作業ツール5の先端がワーク7に接触したときの反力を操作装置10で検知できる。反力を検知することによって、駆動装置20の作業ツール5又はロボットアーム22の一部がワーク7に当接したかを正確に判定できる。
【0060】
さらに、特定したワーク7の作業平面に対する作業を、手動運転ではなく、指定の作業軌跡に沿った自動運転によって実施することで、作業ツール5による自動作業を実施できる。自動作業によって、作業者が遠隔操作に習熟しているかにかかわらず誰でも作業を実施できる。特に第1実施形態において、自動運転中に操作装置10と駆動装置20が連動しないように制御されていることによって、自動運転中に操作装置10が動かない。したがって、自動運転中に作業者は駆動装置20の自動運転による作業の監視だけを行えばよい。その結果、安全に作業が実施される。
【0061】
(第2実施形態)
以下、本開示の第2実施形態が説明される。図7に示されるように、第2実施形態の半自動遠隔操作システム51は、作業対象物であるワーク57に対して所定の作業を行う際に用いられるものである。ここで、第2実施形態において、作業対象物であるワーク57は、曲面部を含む構造物である。すなわち、ワーク57は、表面の少なくとも一部が曲面形状となっている。図7に示す例では、ワーク57は円筒状の構造物である。
【0062】
<半自動遠隔操作システム51の構成例>
第2実施形態に係る半自動遠隔操作システム51の構成は、第1実施形態に係る半自動遠隔操作システム1と同様であり、操作装置10と、駆動装置20と、制御装置30とを備える。
【0063】
<半自動遠隔操作システム51の動作例>
第2実施形態に係る半自動遠隔操作システム51は、手動運転モードと自動運転モードとを切り替える。半自動遠隔操作システム51は、手動運転モードにおいて、マスタスレーブ遠隔操作にて、マスタ操作装置(操作装置10)の先端を操作してスレーブ操作装置(駆動装置20)を操作する。半自動遠隔操作システム51は、自動運転モードにおいて、手動運転モードで生成した作業軌跡に沿ってスレーブ操作装置を自動で移動させる。
【0064】
具体的な半自動遠隔操作フローが図8に示される。まず、半自動遠隔操作システム51は、作業者による手動の遠隔操作で作業ツール5を移動させる(ステップS11)。言い換えれば、半自動遠隔操作システム51は、手動運転モードにおいて、マスタ操作装置の操作軸(操作部12)によってスレーブ操作装置を遠隔操作する。
【0065】
次に、半自動遠隔操作システム51は、作業ツール5をワーク57の任意の位置に当接させる(ステップS12)。言い換えれば、半自動遠隔操作システム51は、スレーブ操作装置(作業ツール5)を任意の位置へと移動させ、ワーク57の表面における曲面部上の異なる2箇所にスレーブ操作装置を当接させる。
【0066】
そして、半自動遠隔操作システム51は、当接位置をワーク57の表面位置として記録する(ステップS13)。つまり、半自動遠隔操作システム51は、作業ツール5又はロボットアーム22の一部がワーク57に当接したときの位置を駆動装置20の当接情報として記録してよい。当接情報は、作業ツール5又はロボットアーム22の一部がワーク57に当接した時の当接位置の情報を含んでよい。具体的には、図9A及び図9Bに示されるように、半自動遠隔操作システム51は、まず、ワーク57の曲面部の任意の箇所(点A)にスレーブ操作装置(作業ツール5)の先端を当接させることによって、当接点(点A)の座標を記録する。半自動遠隔操作システム51は、次に、スレーブ操作装置(作業ツール5)を点Aとは高さが異なる任意の箇所に当接させ、当接点(点B)の座標を記録する。このように、第2実施形態において、半自動遠隔操作システム51は、高さの異なる2箇所の点(点A及び点B)からワーク57の作業曲面を特定する。半自動遠隔操作システム51は、当接位置を記録できたか判定する(ステップS14)。半自動遠隔操作システム51は、当接位置を記録できなかった場合(ステップS14:NO)、ステップS11の手順に戻って当接位置の記録を繰り返す。
【0067】
半自動遠隔操作システム51は、当接位置を記録できた場合(ステップS14:YES)、自動運転によって指定位置にスレーブ操作装置を当接させる(ステップS15)。具体的には、半自動遠隔操作システム51は、2箇所の点(点A及び点B)の座標の記録が完了した後で、安全な位置までスレーブ操作装置を退避させ、自動運転モードに切り替える。半自動遠隔操作システム51は、自動運転モードにおいて、スレーブ操作装置を指定位置(点A及び点Bの周囲の複数の箇所)に当接させる。
【0068】
そして、半自動遠隔操作システム51は、当接位置をワーク57の表面位置として記録する(ステップS16)。具体的には、図9A及び図9Bに示すように、半自動遠隔操作システム51は、まず、点Aと同じ高さで、かつ点Aから指定の水平方向距離(幅方向)だけ離れた位置にスレーブ操作装置を移動させ、その位置から水平方向(奥行方向)にスレーブ操作装置を移動させてワーク面に当接させ、当接点の座標を記録する。指定の水平方向距離は、図9BにおいてDで表されている。点Aから指定の水平方向距離だけ離れた位置は、図9A及び図9Bにおいて白抜きの円で表されている。半自動遠隔操作システム51は、次に、点Aと同じ高さで、かつ先ほどの当接点からさらに指定の水平方向距離(幅方向)だけ離れた位置にスレーブ操作装置を移動させ、その位置から水平方向(奥行方向)にスレーブ操作装置を移動させてワーク面に当接させ、当接点の座標を記録する。点Aから、さらに指定の水平方向距離だけ離れた位置は、白抜きの円で表されている。半自動遠隔操作システム51は、この作業を点Aから見て正の方向及び負の方向のそれぞれで実施し、白抜きの円で表されている合計4点の座標を記録する。
【0069】
半自動遠隔操作システム51は、上述の作業を点Bについても実施し、点Bと同じ高さで、白抜きの円で表されている4点のワーク曲面の座標系を追加で記録する。
【0070】
言い換えれば、半自動遠隔操作システム51は、ワーク57の表面における曲面部の上の異なる2箇所に当接したときのそれぞれの箇所の表面位置を、駆動装置20の当接情報として検出するとともに、自動運転モードにおいて駆動装置20の一部又は作業ツール5の一部がワーク57の表面における曲面部の上の異なる2箇所のそれぞれの周囲の複数の箇所(第2実施形態においては4箇所)に当接したときのそれぞれの箇所の表面位置を、駆動装置20の当接情報として検出してよい。
【0071】
半自動遠隔操作システム51は、点A及び点Bを含めた計10点の座標系の記録が完了した後で、作業曲面を特定可能であるか判定する(ステップS17)。半自動遠隔操作システム51は、作業曲面を特定できない場合(ステップS17:NO)、ステップS15の手順に戻って当接位置の記録を繰り返す。
【0072】
半自動遠隔操作システム51は、作業曲面を特定可能である場合(ステップS17:YES)、作業曲面上の作業軌跡を生成する(ステップS18)。具体的には、半自動遠隔操作システム51は、ステップS15及びS16の手順で記録した、点A及び点Bを含む10点からスレーブ操作装置の作業軌跡を生成する。作業軌跡の生成方法については後述する。
【0073】
半自動遠隔操作システム51は、手動運転モードにおいて、作業者による手動の遠隔操作で作業ツール5を退避させる(ステップS19)。具体的に、半自動遠隔操作システム51は、駆動装置20の自動運転を開始する前に、作業ツール5を安全な位置まで退避させる。
【0074】
半自動遠隔操作システム51は、作業ツール5が退避した状態で自動運転モードに切り替え、駆動装置20の自動運転を開始する(ステップS20)。
【0075】
そして、半自動遠隔操作システム51は、作業軌跡に沿って自動で作業ツール5を移動させ、ワーク57に対して所定の作業を行い、自動運転を終了したか判定する(ステップS21)。半自動遠隔操作システム51は、ワーク57に対する所定の作業が完了した場合に自動運転を終了したと判定する。半自動遠隔操作システム51は、ワーク57に対する所定の作業が完了していない場合に自動運転を終了していないと判定する。
【0076】
半自動遠隔操作システム51は、自動運転を終了していない場合(ステップS21:NO)、自動運転を継続する。
【0077】
半自動遠隔操作システム51は、自動運転を終了した場合(ステップS21:YES)、作業者による手動の遠隔操作で作業ツール5を退避させる(ステップS22)。具体的には、半自動遠隔操作システム51は、所定の作業が完了した後で(作業軌跡に沿った移動が終了した後で)、手動運転モードに切り替え、マスタ操作装置を用いて作業者が手動の遠隔操作を実行することによってスレーブ操作装置(作業ツール5)を安全な位置まで退避させる。半自動遠隔操作システム51は、ステップS22の手順の実行後、図8の手順の実行を終了する。
【0078】
<作業軌跡の生成方法例>
以下、図9A及び図9Bを参照して、記録した座標からの円筒座標系の算出方法が詳細に説明される。円筒状構造物に対して所定の作業(例えばケレン)を行うための作業軌跡を生成するためには、円筒座標系である円筒の軸及び外径の2つの情報が必要である。作業軌跡は、斜めに延びる円筒状構造物の地面と垂直な断面は楕円になるといった特徴から以下の方法で算出可能である。
【0079】
(1):地面から同じ高さの指定の距離の5点の座標を取得する。5点は、中実の円で表されている点Aと、白抜きの円で表されている4点とを含む。5点の高さは、点Aと同じ高さである。
(2):上記(1)で算出した5点から作業対象である円筒の断面の楕円EL1の式を計算する。楕円EL1の中心は円筒の中心軸CAの上に位置する。楕円EL1の長軸LA1は円筒面を両端とする線分である。
(3):再度地面から同じ高さの任意の5点の座標を取得する。5点は、中実の円で表されている点Bと、白抜きの円で表されている4点とを含む。5点の高さは、点Bと同じ高さである。
(4):上記(3)で算出した5点から作業対象である円筒の断面の楕円EL2の式を計算する。楕円EL2の中心は円筒の中心軸CAの上に位置する。楕円EL2の長軸LA2は円筒面を両端とする線分である。
(5):楕円EL1の中心と楕円EL2の中心とから円筒の中心軸CAの式を算出し、楕円EL1の端と楕円EL2の端とから円筒の母線BLの式を算出する。
(6):円筒の中心軸と円筒の母線との距離から円筒の半径Rを算出する。
【0080】
上記(1)から(6)までの手順が実行されることによって、ワーク57の円筒座標系が算出できる。
【0081】
次に、図10A図10B及び図10Cを参照して、算出した円筒座標系から作業曲面(半径方向、周方向、高さ方向)を特定する方法が説明される。図10Aに示されるように、原点Oからの作業曲面の高さ方向の最大高さZ1は点Aの位置であるとする。原点Oからの作業曲面の最小高さZ2は点Bの位置であるとする。図10Bに示されるように、作業曲面の周方向の最大角度θ1は、点Aの位置の角度を原点として、点Aの高さの接点で負の方向(時計回り方向)に点Aから最も離れた位置にある接点までの角度であるとする。作業曲面の周方向の最小角度θ2は、点Aの位置の角度を原点として、点Aの高さの接点で正の方向(反時計回り方向)に点Aから最も離れた位置にある接点までの角度であるとする。作業曲面の半径方向の距離は、前述したように円筒の半径Rとして算出したワーク57の外径に、図10A図10B及び図10Cにおいて作業曲面オフセット量として示されている指定のオフセット量を加算したものである。ワーク57の外面から指定のオフセット量だけ離れた曲面は、仮想作業曲面57Vとして算出されてもよい。作業曲面は、仮想作業曲面57Vの上に設定されてよい。以上のように、ワーク57の円筒座標系から作業曲面を定義できる。
【0082】
最後に、図11A図11B及び図11Cを参照して、作業曲面から作業曲面上の作業軌跡58を生成する方法及び軌跡58に沿ったアームの動作方法が説明される。
(1)ワーク57から離れた任意の位置に点Pを作成する。例えば原点Oが設定されている場合、原点Oとワーク57との間に点Pを作成する。
(2)点Pから開始位置(作業曲面における最大高さかつ周方向の最大角度の位置)にスレーブ操作装置を移動させる。
(3)開始位置から円筒の中心軸CAに平行に1パス終了位置(作業曲面における最小高さかつ周方向の最大角度の位置)まで直線でスレーブ操作装置を移動させる。
(4)指定した退避長さ分だけ半径方向に平行にスレーブ操作装置を移動させる。
(5)ピッチ長さ分だけ周方向に終了位置側(作業曲面における最大高さもしくは最小高さかつ周方向の最小角度の位置)へスレーブ操作装置を移動させる。
(6)退避長さ分だけ半径方向に平行に開始位置側へスレーブ操作装置を移動させる。
(7)円筒の中心軸CAに平行に開始位置の高さまで直線でスレーブ操作装置を移動させる。
(8)総ピッチ長さが終了位置の角度を超えるまでスレーブ操作装置の移動を繰り返す。
(9)終了位置(作業曲面における最大高さ又は最小高さ、かつ周方向の最小角度の位置)にスレーブ操作装置を移動した後、点Eへスレーブ操作装置を移動させる。点Eは作業者が指定する任意の安全な退避位置であるとする。
【0083】
<第2実施形態のまとめ>
以上述べてきた第2実施形態に係る半自動遠隔操作システム51は、手動運転モードにおいて、作業者が実際に遠隔カメラを通して操作しているスレーブ操作装置の作業ツール5の先端とワーク57の位置をモニタリングするため、正確に作業曲面(半径方向、周方向、高さ方向)を指定することができる。また、半自動遠隔操作システム51は、バイラテラル制御によるマスタスレーブシステムを利用することで、作業ツール5の先端が接触したときの反力もしくは電気信号を遠隔操作時に感じることができ、正確に作業曲面(半径方向)を指定することができる。
【0084】
さらに、半自動遠隔操作システム51は、作成した作業曲面を用いることによって、手動運転モードによる遠隔操作ではなく、自動運転モードによって指定の作業軌跡で自動動作させることができる。このようにできることによって、自動で作業ツール5による作業をすることができ、遠隔操作の習熟なしで誰でも作業が可能である。半自動遠隔操作システム51の自動動作中において、マスタ操作装置とスレーブ操作装置の位置関係の同一性が切れている。したがって、マスタ操作装置は動くことはなく、作業者はスレーブアームによる作業のモニタリングのみの作業となり、安全に作業ができる。
【0085】
(他の実施形態)
以下、他の実施形態が説明される。
【0086】
上述してきた第1実施形態又は第2実施形態において、半自動遠隔操作システム1、51は、スレーブとしての駆動装置20がマスタとしての操作装置10によって制御されるマスタスレーブシステムとして構成された。しかし、駆動装置20の制御方式はマスタスレーブ方式に限られない。例えば駆動装置20は、操作装置10として機能するPC(Personal Computer)に駆動装置20の動作を入力することによって駆動装置20を遠隔操作するように構成されてもよい。この場合、操作装置10の操作部12は、操作軸でなくてもよい。操作部12は、作業ツール5の移動方向の入力を受け付けるカーソル又はジョイスティック等を備えてもよい。
【0087】
また、操作装置10に駆動装置20が受ける反力をフィードバックしない場合、作業者は、操作装置10で反力を検知できない。半自動遠隔操作システム1、51は、操作装置10に反力をフィードバックする代わりに、駆動装置20に力覚センサ又は接触センサ等を設置し、センサの検出結果を電気信号として操作装置10に出力してよい。作業者は、操作装置10が取得した検出結果に基づいて反力を認識し、作業ツール5又はロボットアーム22の一部がワーク7、57に当接したかを判定してよい。
【0088】
また、上述してきた第1実施形態において、制御装置30は、ワーク7の表面上の異なる3箇所に駆動装置20の作業ツール5又はロボットアーム22の一部を当接させてワーク7の表面位置を検出していた。制御装置30は、1箇所のみに作業ツール5又はロボットアーム22の一部を当接させ、1箇所の当接位置の座標と、その1箇所に当接したときの作業ツール5又はロボットアーム22の一部の角度等からワーク7の作業平面を算出したり推定したりしてもよい。制御装置30は、4か所以上に作業ツール5又はロボットアーム22の一部を当接させてもよい。当接位置として記録する点の数が多いほど、ワーク7の表面位置の検出精度が高められる。また、制御装置30は、作業軌跡8を生成する際に作業者に設定させるパラメータの数を少なくできる。
【0089】
また、制御装置30は、作業軌跡8を生成する際に、ワーク7の作業平面からのオフセット量(OF)、ピッチ長さ(L)、作業平面からの退避長さ(H)、又は作業ツールの傾き補正値をパラメータとして作業者に設定させ、これらのパラメータを考慮して作業軌跡8を生成してよい。作業ツールの傾き補正値は、ワーク7の作業平面のX軸、Y軸又はZ軸に対して、作業ツール5をX軸周り、Y軸周り又はZ軸周りに任意に回転させる補正を行う際の補正値である。
【0090】
また、制御装置30は、作業軌跡8を生成する際に、ワーク7に対する作業ツール5の押し付け力をパラメータとして設定してよい。制御装置30は、作業ツール5又はロボットアーム22の一部がワーク7に当接したときに当接位置を変化させずにロボットアーム22のトルク等を変化させることによって、作業ツール5の押し付け力を制御できる。したがって、制御装置30は、作業軌跡8の情報として、作業ツール5の先端等の駆動装置20の一部の座標に加えて、作業ツール5又はロボットアーム22の一部がワーク7に当接したときのロボットアーム22のトルク等の制御情報を生成してよい。
【0091】
作業軌跡8が各種のパラメータを考慮して生成されることによって、作業ツール5が様々なツールに置き換えられた場合であっても、作業が適切に実施されるように、駆動装置20が制御される。
【0092】
(実施例)
第1実施形態に係る半自動遠隔操作システム1の実施例として、作業ツール5としてペンを取り付けた駆動装置20を制御して、ポリカーボネート板をワーク7としてワーク7に線を描く作業が実施された。制御装置30は、作業ツール5の押し付け力をパラメータとして設定して作業軌跡を生成して駆動装置20を制御した場合、図12Aに示されるように、作業軌跡に沿った線81をかすれずにワーク7に描くことができた。一方で、制御装置30が作業ツール5の押し付け力をパラメータとして設定せずに作業軌跡を生成して駆動装置20を制御した場合、図12Bに示されるように、作業ツール5によって作業軌跡に沿って描いた線は、かすれずに描かれた線81とかすれながら描かれた線82とを含む。
【0093】
また、第2実施形態に係る半自動遠隔操作システム51の実施例として、作業ツール5としてペンを取り付けた駆動装置20を制御して、円筒のポリカーボネート板をワーク57としてワーク57に線を描く作業が実施された。制御装置30は、作業ツール5の押し付け力をパラメータとして設定して作業軌跡を生成して駆動装置20を制御した場合、図13Aに示されるように、作業軌跡に沿った線81をかすれずにワーク57に描くことができた。一方で、制御装置30が作業ツール5の押し付け力をパラメータとして設定せずに作業軌跡を生成して駆動装置20を制御した場合、図13Bに示されるように、作業ツール5によって作業軌跡に沿って描いた線は、かすれずに描かれた線81とかすれながら描かれた線82とを含む。
【0094】
以上の実施例によれば、作業ツール5を押し付けて実施する作業において、押し付け力をパラメータとして設定することが、作業の精度を向上するために有効である。
【0095】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラム又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0096】
1 半自動遠隔操作システム
5 作業ツール
7 ワーク
7V 仮想作業平面
8 作業軌跡
10 操作装置(12:操作部)
20 駆動装置(22:ロボットアーム)
30 制御装置
51 半自動遠隔操作システム
57 ワーク
57V 仮想作業曲面
58 作業軌跡
81、82 線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B