(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122903
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】水性被覆材
(51)【国際特許分類】
C09D 5/02 20060101AFI20240902BHJP
C09D 201/02 20060101ALI20240902BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240902BHJP
【FI】
C09D5/02
C09D201/02
C09D7/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025068
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2023029034
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】599071496
【氏名又は名称】ベック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】太田 奈津紀
(72)【発明者】
【氏名】堀口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】松浦 耕司
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CH071
4J038JB14
4J038KA03
4J038KA08
4J038KA12
4J038MA10
4J038NA03
4J038NA05
4J038NA19
4J038PA18
4J038PB05
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC04
4J038PC06
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】本発明は、耐候性、耐汚染性に優れる水性被覆材を提供する。
【解決手段】本発明の水性被覆材は、シクロアルキル基含有単量体を含む単量体群から得られる合成樹脂エマルションと、シュウ酸アニリドまたはその誘導体を含む紫外線吸収剤と、粒子径0.05~10mmの着色粒子を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂エマルション、紫外線吸収剤、及び粒子径0.05~10mmの着色粒子を含有する水性被覆材であって、
該合成樹脂エマルションは、シクロアルキル基含有単量体を含む単量体群から得られるものであり、
該紫外線吸収剤は、シュウ酸アニリドまたはその誘導体を含む、
ことを特徴とする水性被覆材。
【請求項2】
前記合成樹脂エマルションに含まれるシクロアルキル基含有単量体の含有量は、単量体全量の5質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の水性被覆材。
【請求項3】
前記合成樹脂エマルションの固形分100質量部に対し、前記シュウ酸アニリドまたはその誘導体が0.1質量部以上10質量部以下含まれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水性被覆材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性、耐汚染性に優れる水性被覆材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物、土木構造物には、通常被覆材による表面仕上げが施されており、風雨や直射日光等から躯体を保護するとともに、美観性を維持する役割も果たしている。
また近年では、表面仕上げとして、自然石特有の美観性、質感、高級感、重厚感等を有する装飾仕上げが望まれるケースが増えてきている。このような装飾仕上げとして、例えば、バインダーとともに着色粒子を配合した被覆材により装飾仕上げを施すことが可能となる。
このような被覆材は、風雨や直射日光等に対する耐候性や耐汚染性が要求される。
一方近年では、無公害性や安全性を考慮し、合成樹脂エマルションをバインダーとする水性被覆材の使用が多くなっている。
【0003】
耐候性を高める方法の一つとして、被覆材中に紫外線吸収剤、光安定剤等を導入する方法が有効とされている。
例えば、特許文献1では、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を用いて、耐候性を高めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、耐汚染性に劣る場合があり、美観性を維持することが困難な場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、優れた耐候性、耐汚染性を実現させるために鋭意検討を行った結果、紫外線吸収剤として、シュウ酸アニリドまたはその誘導体を使用し、さらに合成樹脂エマルションとして、シクロアルキル基含有単量体を含む合成樹脂エマルションを使用することで、優れた耐候性、耐汚染性が発揮できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.合成樹脂エマルション、紫外線吸収剤、及び粒子径0.05~10mmの着色粒子を含有する水性被覆材であって、
該合成樹脂エマルションは、シクロアルキル基含有単量体を含む単量体群から得られるものであり、
該紫外線吸収剤は、シュウ酸アニリドまたはその誘導体を含む、
ことを特徴とする水性被覆材。
2.前記合成樹脂エマルションに含まれるシクロアルキル基含有単量体の含有量は、単量体全量の5質量%以上80質量%以下であることを特徴とする1.に記載の水性被覆材。
3.前記合成樹脂エマルションの固形分100質量部に対し、前記シュウ酸アニリドまたはその誘導体が0.1質量部以上10質量部以下含まれることを特徴とする1.または2.に記載の水性被覆材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性被覆材は、優れた耐候性、耐汚染性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
本願発明は、合成樹脂エマルション、紫外線吸収剤、及び粒子径0.05~10mmの着色粒子を含有する水性被覆材であって、該合成樹脂エマルションは、シクロアルキル基含有単量体を含む単量体群から得られるものであり、該紫外線吸収剤は、シュウ酸アニリドまたはその誘導体を含む、ことを特徴とする。
本発明は、シクロアルキル基含有単量体を含む単量体群から得られる合成樹脂エマルションと、シュウ酸アニリドまたはその誘導体を組み合わせることで優れた耐候性、耐汚染性が発揮できることを見出したものである。
【0011】
本発明で用いるシュウ酸アニリドまたはその誘導体は、下記式(1)で示される化合物である。
式(1)
(Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1から24のアルキル基、アルコキシ基、またはアルキルチオ基を示す。)
【0012】
シュウ酸アニリドまたはその誘導体は、具体的には、2-メチル-2’-エトキシオキサルアニリド、2-エチル-2’-エトキシオキサルアニリド、4,4’-ジメトキシオキサルアニリド、4,4’-ジオクチルオキシオキサルアニリド、2,2’-ジエトキシオキサルアニリド、2,2’-ジオクチルオキシ-5,5’-ジ-第三ブトキサルアニリド、2,2’-ジドデシルオキシ-5,5’-ジ-第三ブトキサルアニリド、N,N’-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサルアミド、2-エトキシ-5-第三ブチル-2’-エトキサルアニリド及びその2-エトキシ-2’-エチル-5,4’-ジ-第三ブトキサルアニリドとの混合物、o-及びp-メトキシ-二置換オキサルアニリドの混合物及びo-及びp-エトキシ-二置換オキサルアニリドの混合物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明では特に、2-エチル-2’-エトキシオキサルアニリドを用いることが好ましい。
【0013】
また、本願発明では、上記シュウ酸アニリドまたはその誘導体以外に、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系等の紫外線吸収剤、また、ヒンダードアミン系等の光安定剤等を本発明の効果を損なわない程度に混合することもできる。
【0014】
本発明で用いる合成樹脂エマルションは、シクロアルキル基含有単量体を含む単量体群から得られるものである。
【0015】
シクロアルキル基を有する単量体としては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。
【0016】
また本発明では、シクロアルキル基を有する単量体の他、その他の単量体を混合して合成樹脂エマルションを得ることができる。
その他の単量体として、例えば、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有単量体、
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1-メチル-4-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1-メチル-4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7-ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-メチル-8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、7-メチル-8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、9-ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体、
3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシシシラン、ビニルトリエトキシシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体、
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクロイルピロリジン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、アクリルアミドグリコール酸、アクリルアミドグリコール酸メチル、ジメトキシヒドロキシエチルアクリルアミド等のアミド基含有単量体、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、t-アミル(メタ)アクリレート、オキチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ドデセニル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、トリプロピルメチル(メタ)アクリレート、トリイソプロピルメチル(メタ)アクリレート、トリブチルメチル(メタ)アクリレート、トリイソブチルメチル(メタ)アクリレート、トリt-ブチルメチル(メタ)アクリレート等のアルキル基含有単量体、
(メトキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコールアリルエーテル、(メトキシ)ポリプロピレングリコールアリルエーテル、(メトキシ)ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル等のアルキレングリコール鎖含有単量体、
ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p-アミノスチレン、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N-〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N-〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N-〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4-〔N,N-ジメチルアミノ〕スチレン、4-〔N,N-ジエチルアミノ〕スチレン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体、
グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジルフマレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、ε-カプロラクトン変性グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体、
ジアセトン(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル(イソ)ブチルケトン、アセトニルアクリレート、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、2-ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、タンジオールアクリレートアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等のカルボニル基含有単量体、
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有単量体、
メタクリロイルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体、
ビニルオキサゾリン、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-プロペニル2-オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体、
プロピレン-1,3-ジヒドラジン及びブチレン-1,4-ジヒドラジンなどのヒドラジノ基含有単量体、
アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等のアセトアセトキシル基含有単量体、
N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有単量体、
4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1-メチルカルバモイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4-クロトニルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等のピペリジル基含有単量体、
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体、
スチレン、2-メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系単量体、
スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有単量体、
2-ヒドロキシ-4-(メタ)アクリロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-5-(メタ)アクリロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-{(メタ)アクリロキシ-エトキシ}ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-{(メタ)アクリロキシ-ジエトキシ}ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-{(メタ)アクリロキシ-トリエトキシ}ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系単量体、
2-{2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロキシエチルフェニル}-2H-ベンゾトリアゾール、2-{2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロキシエチル-3-t-ブチルフェニル}-2H-ベンゾトリアゾール、3-(メタ)アクリロイル-2-ヒドロキシプロピル-3-{3’-(2’’-ベンゾトリアゾール)-4-ヒドロキシ-5-t-ブチル}フェニルプロピオネート等のベンゾトリアゾール系単量体、
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン等のその他の単量体、
等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。
本発明では、特に、シクロアルキル基を有する単量体とともに、アルコキシシリル基含有単量体を用いることによって、耐汚染性の向上を図ることでき、好ましい。
【0017】
本発明で用いる合成樹脂エマルションの重合方法としては、特に限定されないが、上記各種単量体(モノマー)と、必要に応じ各種添加剤を混合し、通常知られる重合法(乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等)で重合し、合成樹脂エマルションを製造すればよい。また、1段階にて重合しても良いし、2段階、3段階以上の多段階で重合することもできる。
また、製造された合成樹脂エマルションは、単一相構造型合成樹脂エマルションでもよいし、コア相及びシェル相を有する2相構造型合成樹脂エマルション、または、コア相、中間相及びシェル相を有する3相構造型合成樹脂エマルション、あるいは、コア相、2相以上の中間相及びシェル相を有する多相構造型合成樹脂エマルションであってもよい。
例えば、2段階重合で製造される2相構造型合成樹脂エマルション、3段階重合で製造される3相構造型合成樹脂エマルションは、各種物性(例えば耐候性、耐汚染性等)等を設計、製造しやすいため好ましい。
【0018】
添加剤としては、例えば、水、乳化剤、開始剤、溶剤、分散剤、乳化安定化剤、重合禁止剤、重合抑制剤、緩衝剤、架橋剤、pH調整剤、連鎖移動剤、触媒等が挙げられ、各種重合法、目的に応じ、必要量添加すればよい。
【0019】
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両イオン性乳化剤、反応性乳化剤等特に限定されず、用いることができる。
例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ラウリン酸アンモニウム塩、ステアリン酸ナトリウム塩等の脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)スルホン酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、
ラウリルトリアルキルアンモニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、第1級~第3級アミン塩、ラウリルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ラウリルアミンアセテート等のカチオン性界面活性剤、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤、
カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリン誘導体型等の両性界面活性剤、
また、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアリルアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリルアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリルアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンプロペニルアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンプロペニルアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルプロペニルアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルプロペニルアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアリルオキシアルキルアルコキシアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリルオキシアルキルアルコキシアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリルオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリルオキシアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル、アルキルアリルスルホコハク酸エステル塩、アルキルプロペニルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンスルホン酸塩等の反応性乳化剤、具体的には、エレミノールJS-20(三洋化成工業株式会社製)、エレミノールRS-30(三洋化成工業株式会社製)、アクアロンKH-05(第一工業製薬株式会社製)、アクアロンKH-10(第一工業製薬株式会社製)、アクアロンAR-10(第一工業製薬株式会社製)、アクアロンAR-20(第一工業製薬株式会社製)、アクアロンAR-30(第一工業製薬株式会社製)、アクアロンBC-10(第一工業製薬株式会社製)、アクアロンBC-20(第一工業製薬株式会社製)、アクアロンBC-3025(第一工業製薬株式会社製)、アデカリアソープSR-10(株式会社ADEKA製)、アデカリアソープSR-20(株式会社ADEKA製)、アデカリアソープSR-3025(株式会社ADEKA製)、アデカリアソープSE-10N(株式会社ADEKA製)、アントックスMS-60(日本乳化剤株式会社製)、ラテムルPD-104(花王株式会社製)、ラテムルPD-105(花王株式会社製)、アクアロンKN-10(第一工業製薬株式会社製)アクアロンKN-20(第一工業製薬株式会社製)アクアロンKN-30(第一工業製薬株式会社製)アクアロンKN-5065(第一工業製薬株式会社製)アクアロンAN-10(第一工業製薬株式会社製)アクアロンAN-20(第一工業製薬株式会社製)アクアロンAN-30(第一工業製薬株式会社製)アクアロンAN-5065(第一工業製薬株式会社製)アクアロンRN-20(第一工業製薬株式会社製)、アクアロンRN-30(第一工業製薬株式会社製)、アクアロンRN-50(第一工業製薬株式会社製)、アデカリアソープER-10(株式会社ADEKA製)、アデカリアソープER-20(株式会社ADEKA製)、アデカリアソープER-30(株式会社ADEKA製)、アデカリアソープER-40(株式会社ADEKA製)、アデカリアソープNE-10(株式会社ADEKA製)、アデカリアソープNE-20(株式会社ADEKA製)、アデカリアソープNE-30(株式会社ADEKA製)、ラテムルPD-420(花王株式会社製)、ラテムルPD-430(花王株式会社製)、ラテムルPD-450(花王株式会社製)等の反応性乳化剤等が挙げられる。
本発明では、特に耐候性、耐水性等の面から反応性乳化剤の使用が好ましい。
【0020】
開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩開始剤、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4’-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド等の過酸化系開始剤、レドックス開始剤、光重合開始剤、反応性開始剤等を用いることができる。
【0021】
重合温度は、特に限定されないが、20℃から90℃程度であればよい。
【0022】
合成樹脂エマルションのガラス転移温度は、特に限定されないが、-10℃以上60℃以下、さらには0℃以上50℃以下であることが好ましい。
通常ガラス転移温度が低いと、耐汚染性に劣る傾向があるが、本発明では、ガラス転移温度が低くても、優れた耐汚染性、さらに優れた耐候性を得ることができる。具体的に本発明では、ガラス転移温度が、-10℃以上40℃以下であっても、優れた耐汚染性、さらに優れた耐候性を得ることができる。
また合成樹脂エマルションが、コア相、及びシェル相を有する2相構造型合成樹脂エマルション、あるいは、コア相、少なくとも1相以上の中間相、及びシェル相を有する多相構造型合成樹脂エマルションである場合、コア相とシェル相(さらに中間相)のトータルのガラス転移温度が-10℃以上60℃以下、さらには0℃以上50℃以下であることが好ましく、またトータルのガラス転移温度が-10℃以上40℃以下であっても、優れた耐汚染性、さらに優れた耐候性を得ることができる。
また、特に限定されないが、コア相のガラス転移温度は35℃超120℃以下(好ましくは40℃以上110℃以下、より好ましくは45℃以上100℃以下)、シェル相のガラス転移温度は-45℃以上10℃以下(好ましくは-40℃以上5℃以下、より好ましくは-35℃以上0℃以下)、さらに中間相のガラス転移温度は-10℃超45℃以下(好ましくは-5℃以上35℃以下、より好ましくは0℃以上25℃以下)であることが好ましい。
本発明では、特に、シェル相のガラス転移温度が低く、コア相のガラス転移温度は高い場合であっても、優れた耐汚染性、さらに優れた耐候性を得ることができ、密着性、耐割れ性にも優れている。
なお、ガラス転移温度は、FOXの計算式より求められる値である。
【0023】
合成樹脂エマルションの平均粒子径は、特に限定されないが、50nm~1000nm、さらには60nm~400nmであることが好ましい。
なお、平均粒子径は、動的光散乱法により測定した値である。具体的には、動的光散乱式粒径分布測定装置(LB-550、株式会社堀場製作所)を用いて測定した値であり、測定温度は25℃である。
【0024】
シクロアルキル基を有する単量体の含有量としては、単量体全量に対し、5質量%以上80質量%以下、さらには10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
このような範囲であることによって、優れた耐候性、耐汚染性を有する水性被覆材を得ることができる。
また、2相構造型合成樹脂エマルション、あるいは、3相以上の多相構造型合成樹脂エマルションである場合は、コア相とシェル相(さらに中間相)の単量体全量に対し、5質量%以上80質量%以下、さらには10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
【0025】
シュウ酸アニリドまたはその誘導体の含有量は、合成樹脂エマルションの固形分100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下、さらには0.5質量部以上8質量部以下、さらには1.2質量部以上6質量部以下であることが好ましい。
シュウ酸アニリドまたはその誘導体は、合成樹脂エマルション重合中に混合することもできるし、合成樹脂エマルション重合後に添加することもできる。
本発明では、特に、合成樹脂エマルション重合中にシュウ酸アニリドまたはその誘導体を混合することが好ましい。合成樹脂エマルション重合中に混合することにより、いっそう優れた耐候性、耐汚染性を有する水性被覆材を得ることができる。また、2段階、3段階以上の多段階で重合する場合、どの段階でシュウ酸アニリドまたはその誘導体を混合してもよいが、本発明では、特に、少なくとも最終段階の重合で混合、あるいは、全段階で混合することが好ましい。
【0026】
本発明で用いる着色粒子は、美観性を付与するものであり、例えば、着色骨材、着色ゲル粒子等が挙げられ、その粒子径は0.05mm以上10mm以下(好ましくは0.06mm以上8mm以下)である。
【0027】
着色骨材としては、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂等の粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、金属粒、雲母、タルク、クレー、珪藻土、貝殻片、珊瑚片、植物片、木材片等の各種骨材、また、このような各種骨材の表面を、例えば顔料、染料、釉薬等で着色コーティングしたもの等も挙げられる。
【0028】
着色ゲル粒子は、例えば、着色材と合成樹脂等を含むものである。
合成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂・酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等の水分散型、水可溶型、溶剤分散型、溶剤可溶型等特に限定されない。
着色材としては、特に限定されず、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪石粉、珪藻土、アルミニウム顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、メタリック顔料等が挙げられる。
着色ゲル粒子は、このような合成樹脂に着色材を混合して得られる粒子のことであり、着色ゲル粒子中には、この他に、架橋剤、分散安定剤、ゲル形成物質、体質顔料、骨材、染料、繊維、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、造膜助剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消泡剤、香料、光安定剤、紫外線吸収剤、光触媒、架橋剤、難燃剤、溶剤、水等が含まれていてもよい。
【0029】
このような着色粒子の配合量は、合成樹脂エマルションの固形分100質量部に対し、好ましくは5質量部以上2000質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上1500質量部以下である。
また、着色粒子は、1種または2種以上を用いることができ、また、1色または2色以上を組み合わせて用いることができる。また、着色骨材と着色ゲル粒子とが混合されたものでもよい。
【0030】
本発明水性被覆材には、上述の成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加剤を配合することも可能である。このような添加剤としては、例えば、水、溶剤等の分散媒、分散剤、ゲル化剤、架橋剤、顔料、造膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、増粘剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、表面調整剤、湿潤剤、pH調整剤、繊維類、架橋剤、酸化防止剤、硬化触媒、艶消し剤、香料、光安定剤、紫外線吸収剤、光触媒、難燃剤等が挙げられる。
【0031】
顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、酸化第二鉄(べんがら)、モリブデートオレンジ、黄色酸化鉄、チタンイエロー、群青、紺青、コバルトブルー、コバルトグリーン、鉄クロム複合酸化物、マンガンビスマス複合酸化物、マンガンイットリウム複合酸化物、マンガン鉄コバルト複合酸化物等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンツイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、メタリック顔料等の機能性顔料、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪石粉、珪藻土等の体質顔料、また、パール顔料、アルミニウム顔料、メタリック顔料、蓄光顔料、蛍光顔料等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
【0032】
本発明における水性被覆材は、上塗材、仕上材、保護材等として好適に使用することができ、1回または2回以上の塗り重ねによって仕上げることができ、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、ALC、石膏ボード、パーライト板、タイル、ガラス板、木質板、プラスチック板、金属板等の各種基材に適用することができる。
また、これら基材は、何らかの表面処理(フィラー処理、パテ処理、サーフェーサー処理、シーラー処理等)、あるいは、下塗材、中塗材が施されたものや、既に塗膜が形成された既存塗膜にも適用することができる。
【0033】
塗装方法としては、例えば、刷毛塗装、コテ塗装、ローラー塗装、スプレー塗装、ガン塗装等、種々の方法を採用することができる。塗装時の塗付け量は、1回の塗装当たり、好ましくは0.03から8.0kg/m2、より好ましくは0.05から6.0kg/m2である。また、一旦塗装を行い、その塗膜が乾燥した後に、次の塗装(重ね塗り)を行うことができる。乾燥温度は、好ましくは-10~50℃、より好ましくは-5~40℃である。
【実施例0034】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。なお、本発明は、ここでの実施例に制限されるものではない。
【0035】
(実施例1)
表1に示す配合にて、合成樹脂エマルション1(固形分50質量%、ガラス転移温度20℃)、着色粒子1、着色粒子2、紫外線吸収剤1(2-エチル-2’-エトキシオキサルアニリド)、添加剤(造膜助剤、消泡剤、分散剤)を混合し、水性被覆材1を得た。
得られた水性被覆材1に対し、次の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション1は、モノマーとして、メチルメタクリレート(75質量部)、nブチルアクリレート(85質量部)、メタクリル酸(5質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(35質量部)を用い、さらに乳化剤1(ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステルアンモニウム塩)、開始剤(過硫酸アンモニウム)、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
なお着色粒子1は、アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、二酸化チタンを主成分とする着色塗料の着色ゲル粒子(粒子径5~6mm、褐色)である。
なお着色粒子2は、アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄を主成分とする着色塗料の粒状ゲル物(粒子径約4~5mm、黒色)である。
【0036】
(耐候性試験)
予めアクリル樹脂系下塗り塗料(黒色)が塗装されたスレート板に対し、得られた水性被覆材1を吹付け塗装し、24時間乾燥させて乾燥膜厚が0.1mmの被膜を形成し、試験体を得た。
得られた試験体について、促進耐候性試験機としてアイスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用い、光照射6時間・結露2時間(計8時間)を1サイクルとして80サイクル促進試験を行った後、被膜外観を確認し、不具合(膨れ、剥れ、割れ、変色等)の発生の状態を評価した。評価は、不具合発生が認められなかったものを「◎」、明らかに不具合発生が認められたものを「×」とする4段階(優:◎>○>△>×:劣)で行った。
【0037】
(耐汚染性試験)
予めアクリル樹脂系下塗り塗料(白色)が塗装されたスレート板に対し、得られた水性被覆材1を吹付け塗装し、24時間乾燥させて乾燥膜厚が0.1mmの被膜を形成し、試験体を得た。
得られた試験体について、大阪府茨木市で南面向きに、垂直に静置し、屋外暴露を6か月間実施した。6か月後、試験体表面の汚染状態について、目視にて評価した。
評価は、汚染が発生しなかったものを「◎」、著しい汚染が認められたものを「×」とする4段階(優:◎>○>△>×:劣)で行った。
【0038】
【0039】
(実施例2)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材2を得た。
得られた水性被覆材2に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション2(固形分50質量%、ガラス転移温度28℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(70質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(65質量部)、メタクリル酸(5質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(60質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(2-エチル-2’-エトキシオキサルアニリド)(2質量部)を加え、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0040】
(実施例3)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材3を得た。
得られた水性被覆材3に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション3(固形分50質量%、ガラス転移温度28℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(30質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(43質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(15質量部)を第1段目、メチルメタクリレート(61質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(6質量部)、メタクリル酸(3質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(20質量部)を第2段目として用い、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
なお着色粒子3は、白色珪砂と灰色珪砂の混合物(粒子径0.5~0.8mm)である。
なお着色粒子4は、薄灰色マイカ(粒子径(長径)0.5~2mm)である。
【0041】
(実施例4)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材4を得た。
得られた水性被覆材4に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション4(固形分50質量%、ガラス転移温度28℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(24質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(40質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(24質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(1質量部)を加えたものを第1段目、メチルメタクリレート(40質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(7質量部)、メタクリル酸(3質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(40質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(1質量部)を加えたものを第2段目として用い、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0042】
(実施例5)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材5を得た。
得られた水性被覆材5に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション5(固形分50質量%、ガラス転移温度28℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(6質量部)、nブチルアクリレート(5質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(42質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(35質量部)、シクロヘキシルアクリレート(10質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(2質量部)を加えたものを第1段目、メチルメタクリレート(6質量部)、nブチルアクリレート(5質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(1質量部)、メタクリル酸(3質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(75質量部)、シクロヘキシルアクリレート(10質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(2質量部)を加えたものを第2段目として用い、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0043】
(実施例6)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材6を得た。
得られた水性被覆材6に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション6(固形分50質量%、ガラス転移温度28℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(24質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(39質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(24質量部)、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(1質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(1質量部)を加えたものを第1段目、メチルメタクリレート(39質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(8質量部)、メタクリル酸(3質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(40質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(1質量部)を加えたものを第2段目として用い、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0044】
(実施例7)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材7を得た。
得られた水性被覆材7に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション7(固形分50質量%、ガラス転移温度28℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(24質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(40質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(24質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(1質量部)を加えたものを第1段目、メチルメタクリレート(40質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(7質量部)、メタクリル酸(3質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(40質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(1質量部)を加えたものを第2段目として用い、さらに乳化剤2(ポリオキシエチレンアリルオキシアルキルアルコキシアルキルエーテル硫酸エステル塩)、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0045】
(実施例8)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材8を得た。
得られた水性被覆材8に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション8(固形分50質量%、ガラス転移温度28℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(24質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(40質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(24質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(1質量部)を加えたものを第1段目、メチルメタクリレート(40質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(7質量部)、メタクリル酸(3質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(40質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(1質量部)を加えたものを第2段目として用い、さらに乳化剤1、乳化剤2、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0046】
(実施例9)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材9を得た。
得られた水性被覆材9に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション9(固形分50質量%、ガラス転移温度28℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(29質量部)、nブチルアクリレート(1質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(6質量部)、メタクリル酸(1質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(29質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.6質量部)を加えたものを第1段目、メチルメタクリレート(14質量部)、nブチルアクリレート(9質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(29質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(14質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.8質量部)を加えたものを第2段目、メチルメタクリレート(21質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(12質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(21質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.6質量部)を加えたものを第3段目として用い、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0047】
(実施例10)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材10を得た。
得られた水性被覆材10に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション10(固形分50質量%、ガラス転移温度23℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(39質量部)、nブチルアクリレート(2質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(4質量部)、メタクリル酸(1質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(20質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.6質量部)を加えたものを第1段目、メチルメタクリレート(19質量部)、nブチルアクリレート(8質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(21質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(18質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.8質量部)を加えたものを第2段目、メチルメタクリレート(10質量部)、nブチルアクリレート(19質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(20質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(15量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.6質量部)を加えたものを第3段目として用い、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0048】
(実施例11)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材11を得た。
得られた水性被覆材11に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション11(固形分50質量%、ガラス転移温度23℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(39質量部)、nブチルアクリレート(2質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(4質量部)、メタクリル酸(1質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(20質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.6質量部)を加えたものを第1段目、メチルメタクリレート(19質量部)、nブチルアクリレート(8質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(21質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(18質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.8質量部)を加えたものを第2段目、メチルメタクリレート(10質量部)、nブチルアクリレート(19質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(20質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(15質量部)、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(1質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.6質量部)を加えたものを第3段目として用い、さらに乳化剤1、乳化剤2、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0049】
(実施例12)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材12を得た。
得られた水性被覆材12に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション12(固形分50質量%、ガラス転移温度21℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(43質量部)、nブチルアクリレート(2質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(3質量部)、メタクリル酸(1質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(17質量部)を用いたものを第1段目、メチルメタクリレート(17質量部)、nブチルアクリレート(10質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(21質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(18質量部)を用いたものを第2段目、メチルメタクリレート(8質量部)、nブチルアクリレート(21質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(20質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(15量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.6質量部)を加えたものを第3段目として用い、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0050】
(実施例13)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材13を得た。
得られた水性被覆材13に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション13(固形分50質量%、ガラス転移温度24℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(50質量部)、nブチルアクリレート(3質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(6質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(5質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.6質量部)を加えたものを第1段目、メチルメタクリレート(30質量部)、nブチルアクリレート(12質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(18質量部)、メタクリル酸(3質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(5質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.8質量部)を加えたものを第2段目、メチルメタクリレート(20質量部)、nブチルアクリレート(17質量部)、2エチルヘキシルアクリレート(21質量部)、メタクリル酸(2質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(6質量部)を用い、これに紫外線吸収剤1(0.6質量部)を加えたものを第3段目として用い、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0051】
(実施例14)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材14を得た。
得られた水性被覆材14に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
【0052】
(比較例1)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材15を得た。
得られた水性被覆材15に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
【0053】
(比較例2)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材16を得た。
得られた水性被覆材16に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお、合成樹脂エマルション14(固形分50質量%、ガラス転移温度20℃)は、モノマーとして、メチルメタクリレート(106質量部)、nブチルアクリレート(89質量部)、メタクリル酸(5質量部)を用い、さらに乳化剤1、開始剤、水を用いて、常法により重合を行ったものである。
【0054】
(比較例3)
表1に示す配合にて、実施例1と同様に、水性被覆材17を得た。
得られた水性被覆材17に対し、実施例1と同様の耐候性試験、耐汚染性試験を行った。評価結果は表1に示す。
なお紫外線吸収剤2は、トリアジン系紫外線吸収剤である。