IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルケマ フランスの特許一覧

特開2024-12291ブロックコポリマーベースの伸縮性、可撓性、防水性、及び通気性フィルム
<>
  • 特開-ブロックコポリマーベースの伸縮性、可撓性、防水性、及び通気性フィルム 図1
  • 特開-ブロックコポリマーベースの伸縮性、可撓性、防水性、及び通気性フィルム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012291
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ブロックコポリマーベースの伸縮性、可撓性、防水性、及び通気性フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08G 81/00 20060101AFI20240123BHJP
   C08G 69/48 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C08G81/00
C08G69/48
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023171039
(22)【出願日】2023-10-02
(62)【分割の表示】P 2020526528の分割
【原出願日】2018-11-16
(31)【優先権主張番号】1760883
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コケト, クリオ
(72)【発明者】
【氏名】ピノー, クエンタン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可撓性で伸縮性のある防水通気性フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの硬質ポリアミドPAブロック及び少なくとも1つの可撓性ブロックを含むブロックコポリマーに基づく、可撓性で伸縮性のある防水通気性フィルムであって、前記コポリマーが、ポリカルボジイミドでブロックされた少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含むことを特徴とする、フィルムを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの硬質ポリアミドPAブロック及び少なくとも1つの可撓性ブロックを含むブロックコポリマーに基づく、可撓性で伸縮性のある防水通気性フィルムであって、前記コポリマーが、ポリカルボジイミドでブロックされた少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含むことを特徴とする、フィルム。
【請求項2】
ポリカルボジイミドの重量平均分子量が、10000g/molを超える、好ましくは10000から40000g/molの範囲内、好ましくは15000から30000g/molである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
ポリカルボジイミドの重量含有量が、コポリマーの総重量に対して0.5から10重量%、好ましくは0.5から7重量%、好ましくは0.5から3重量%、好ましくは0.5から2.5重量%、好ましくは0.5から2重量%を占める、請求項1及び2のいずれかに記載のフィルム。
【請求項4】
前記カルボン酸が、前記ポリカルボジイミドのカルボジイミドとの反応により尿素結合を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記コポリマーが非架橋線状形態であり、その分散度Mw/Mnが3未満であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記可撓性ブロックが、ポリエーテル、ポリエステル、ポリジメチルシロキサン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、及びそれらの混合物又はコポリマーから選択される少なくとも1つのブロックを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記可撓性ブロックが、好ましくはPTMG、PPG、PO3G及び/又はPEGから選択される少なくとも1つのポリエーテルPEを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
前記可撓性ブロックが、好ましくはポリエステルジオール、ポリ(カプロラクトン)及び脂肪酸ダイマーに基づくポリエステルから選択される少なくとも1つのポリエステルPESを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコポリマーが、コポリマーの総重量に対して、45重量%から75重量%の可撓性ポリエチレングリコール(PEG)ブロック、好ましくは50重量%から70重量%のPEGブロックを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
前記ポリアミドPAブロックが、以下のポリアミド単位:6、66、610、612、PA1010、PA1012、PA11、PA12、PA6/12、PA6/66の少なくとも1つ、及びそれらの混合物又はコポリアミドを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのコポリマーが、硬質ポリアミドブロック及び可撓性ポリエーテル(PEBA)ブロックを含むコポリマーを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのコポリマーが、以下のPEBA:PA6-PEG、PA1010-PEG、PA1012-PEG、PA11-PEG、PA12-PEG、PA6/12-PEG、PA66-PEG、PA6/66-PEG、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項13】
可撓性ブロックに対するPAブロックの重量比が、0.3から10、好ましくは0.3から6、好ましくは0.3から3、好ましくは0.3から2の範囲内である、請求項1から9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項14】
組成物の総重量に対して、
- 51重量%から99.9重量%の前記ブロックコポリマー、
- 0.1重量%から49重量%の、ポリアミド、官能性ポリオレフィン、コポリエーテルエステル、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、エチレンとアクリレートとのコポリマー、及びエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーから選択される少なくとも1つの他の成分、
及び/又は
- 0.1重量%から10重量%の、核形成剤、充填剤、特にタルクなどの無機充填剤、強化繊維、特にガラス繊維又は炭素繊維、染料、UV吸収剤、酸化防止剤、特にフェノール系又はリン系又は硫黄系の酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、及びそれらの混合物から選択される添加剤
を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のコポリマーベースのフィルム。
【請求項15】
不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、ビニルモノマー、アクリルモノマー、及びそれらの混合物を含む群から選択されるモノマーとのグラフト化を含む官能性ポリオレフィンを含むことを特徴とする、請求項14に記載のフィルム。
【請求項16】
官能性ポリオレフィンが、エチレン-アクリル酸エステルコポリマー、エチレン-アクリル酸エステル-マレイン酸無水物コポリマー、及びエチレン-アクリル酸エステル-グリシジルメタクリレートコポリマーを含む群から選択される、請求項15に記載のフィルム。
【請求項17】
フィルムが、25μm以下、好ましくは5から25μmの範囲内の厚さを有する、請求項1から16のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項18】
フィルム形態のコポリマーの押出性及び/又は延伸性を改善するための、及び/又は前記コポリマーの押出速度を改善するための、少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含む、ポリアミドブロック及び可撓性ブロックを含むコポリマーに基づくフィルムを製造するための方法におけるポリカルボジイミドの使用であって、ここでコポリマーの少なくとも1つのカルボン酸鎖末端が、ポリカルボジイミドのカルボジイミド官能基でブロックされている、ポリカルボジイミドの使用。
【請求項19】
フィルムの延伸性、フィルムの可撓性、その耐摩耗性及びその引裂強度を改善するための、少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含む、ポリアミドブロック及び可撓性ブロックを含むコポリマーに基づくフィルムにおけるポリカルボジイミドの使用であって、ここでコポリマーの少なくとも1つのカルボン酸鎖末端がポリカルボジイミドのカルボジイミド官能基でブロックされている、ポリカルボジイミドの使用。
【請求項20】
ポリカルボジイミドが、10000g/molを超える、好ましくは10000から40000g/molの範囲内、好ましくは15000から30000g/molの重量平均分子量を有する、請求項14又は15に記載の使用。
【請求項21】
a)ポリカルボジイミドでブロックされた少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含むコポリマーを、任意で請求項1から20のいずれか一項に記載のフィルムの他の成分との混合物として提供する工程、
b)工程a)からコポリマー又は前記混合物を押し出す工程、
c)コポリマー又は前記混合物を延伸してフィルムを形成する工程
を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載のフィルムを製造するための方法。
【請求項22】
工程a)の前に、少なくとも1つの硬質ポリアミドPAブロック及び少なくとも1つの可撓性ブロックを含むブロックコポリマーとポリカルボジイミドとの混合を含み、その結果、ブロックコポリマーの少なくとも1つのカルボン酸鎖末端が、ポリカルボジイミドのカルボジイミド官能基と反応する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
混合が、単軸又は二軸押出機を使用して行われるか、又はブロックコポリマーの合成中にポリカルボジイミドを添加することによって行われることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
延伸工程c)が、押出ブロー成形、インフレーションフィルム成形、引抜成形、オーバージャケット押出、押出カレンダ成形、フラットダイ押出成形、押出コーティング、ラミネーション及び/又は共押出によって行われる、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工程b)が、100℃から300℃、好ましくは150℃から250℃の範囲内の温度で行われる、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記フィルムが、0.5から50N、好ましくは0.5から10Nの範囲内の剥離力で織物材料の少なくとも1つの表面に接着している、少なくとも1つの織物材料と請求項1から17のいずれか一項に記載の少なくとも1つのフィルムとを含む積層製品。
【請求項27】
前記少なくとも1つの織物材料が、多孔質膜、織布又は不織布地の形態である、請求項26に記載の積層体。
【請求項28】
前記少なくとも1つの織物材料が、合成繊維、特に生物を原料とした原料から得られた合成繊維、天然繊維、天然原料から製造された人工繊維、鉱物繊維及び/又は金属繊維を含む、請求項26又は27に記載の積層体。
【請求項29】
前記少なくとも1つの織物材料が、フェルト、フィルター、フィルム、ガーゼ、布、包帯、層、生地、メリヤス地、衣料品、衣類のアイテム、寝具、家具、カーテン、客室カバー、機能的な工業用繊維品、ジオテキスタイル及び/又はアグロテキスタイルを構成する、請求項26から28のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項30】
以下の部門:医療、衛生、手荷物、製造、衣類、家庭用(domestic)又は住宅用(household)の設備、家具、カーペット、自動車、産業、特に産業用濾過、農業及び/又は建設における、請求項1から17のいずれか一項に記載のフィルムの使用。
【請求項31】
前記フィルムが、包装コンポーネント、特に農業食品部門における、食品包装フィルム、調理及び/又はスモーキング用、特にソーセージ用の包装フィルム、防水通気性フィルム、特に、建築、織物成分、スポーツ用品、靴、スポーツシューズ、靴底、装飾品、手荷物、眼鏡、家具、視聴覚機器、情報技術、自動車又は航空機器コンポーネント、及び/又は医療機器コンポーネントにおいて使用される防水通気性フィルムである、請求項1から17のいずれか一項に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、水蒸気に対して透過性であり、水に対して不透過性である、ブロックコポリマーに基づく防水通気性フィルムに関する。これらのフィルムは、特に食品、包装、又はスポーツ用品の部門で、又は建設において、特に建物の屋根の下の断熱材として、及び壁の断熱材として使用され得る。
【0002】
これらの部門では、同時に、可撓性があり、伸縮性があり、強力で、すなわち引裂き抵抗性、耐摩耗性、及びリサイクル可能であって、水蒸気に対して十分な透過性を有するフィルムを利用できることが重要である。
【0003】
水蒸気に対する透過性は、MVTRパラメータ(水分蒸気透過率)によって評価される。特に、防水通気性フィルムについては、ASTM規格 E96で測定したMVTR値が、相対湿度率50%、試料厚さ30μmで、23℃で24時間当たり少なくとも100g/m2であることが望ましい。特定のブロックコポリマーでは、ポリエーテル基の含有量を増加させることによって、これらのコポリマーの水蒸気に対する透過性を増加させることが可能になる。
【0004】
本発明の目的は、水蒸気に対する透過性を改変することなく、これらのフィルムの可撓性、伸縮性及び強度、並びにそれらの耐摩耗性を改善することである。
【0005】
可撓性は、次の係数:ISO規格 527 1A:2012に準拠した引張係数、及びISO規格 178:2010に準拠した23℃での曲げ弾性率によって評価される。これらの弾性率の値が減少すると、フィルムの可撓性が向上する傾向がある。
【0006】
伸縮性は、本特許出願の実施例において以下に定義されるように、伸長レオロジー試験によって評価される。
【0007】
耐摩耗性は、ISO規格 527-1A:2012に従って質量の損失によって評価される:材料の質量の損失が少ないほど、この材料から作成されたフィルムの耐摩耗性は向上する。
【0008】
引裂強度は、その部分について、ISO規格34-1:2015に従って評価される。
【0009】
防水通気性フィルムの製造で知られているブロックコポリマーの中で、ポリアミドブロックとポリエーテルブロック(PEBA)を含むコポリマーを挙げることができる。これらのPEBAは、反応性カルボキシル末端を有するポリアミドブロックと、反応性末端を有するポリエーテルブロック(ポリエーテルポリオール(ポリエーテルジオール)との共縮合から生じる場合、ポリアミドブロックと可撓性ポリエーテルブロックとの間の結合がエステル結合であり、特定の種類のポリエーテルエステルアミドに属す。
【0010】
PEBAは、それらの可撓性、その衝撃強度、及び射出成形による実施の容易さなどの物理的性質で知られている。しかしながら、これらのコポリマーは、特に低溶融粘度とそれに起因する低溶融強度のために、押出成形によってフィルム形態に変換することが困難である。
【0011】
ポリマーの溶融粘度を調節するためのさまざまな手段が存在する。
【0012】
したがって、粘度を増加させる傾向を有するポリアミド含有量を増加させることが想定され得る。さらに、押出成形可能なポリマー組成物は、ブロックコポリマーを他のポリマー、特にポリオレフィンと配合することによって得ることができる。しかしながら、どちらの場合も、これはポリマー組成物中に存在するPEGの全体的な含有量の減少を引き起こし、その結果、水蒸気に対するその透過性を低下させる。
【0013】
また、ポリマー鎖を長くすることにより、例えば、重合を延長することにより、溶融粘度を増加させることも可能である。このアプローチは、ISO規格1621-10:2015に従って測定され、少なくとも300Pa.sの所望のレベルの溶融粘度を達成することができずに、材料の黄変も引き起こすPEGブロックの劣化のため、期待はずれであった。
【0014】
最後に、ポリマーのさまざまなブロック、例えば、PEBAの場合は、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックのサイズを同時に増加させることによって、溶融粘度を増加させることが考えられ得る。例えば、PEBA PA6-PEGについては、1500ー1500から2000ー2000に移行すると、水蒸気の透過性の観点から特性を劣化させることなく、同程度の重合度の溶融粘度を増加させることが可能であるはずである。しかしながら、これらのラインに沿って実施された試験は決定的ではなかった:PAブロックとPEGブロックの間の反応性は大幅に低下する。
【0015】
したがって、本発明の目的は、押出成形が容易になり、達成可能な最大押出速度が増加する、ブロックコポリマーに基づく伸縮性及び可撓性のある防水通気性フィルムを製造するための改善された方法を提供することでもある。
【0016】
本出願人は、少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含む、ポリアミドブロックと可撓性ブロックを含むコポリマーに基づくフィルムを製造する方法における、特定の条件下での、ポリカルボジイミドの使用が、フィルム形態の前記コポリマーの延伸性を有意に改善し、及び/又は前記コポリマーの押出速度を増加させることを可能にし、同時にこうして得られたフィルムの伸縮性、フィルムの可撓性、その耐摩耗性及びその引裂強度を、得られたフィルムの水蒸気に対する透過性、又はそのリサイクル性を犠牲にすることなく改善することが可能となることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1はPEBA 3(下曲線)及びCopo 3(上曲線)の180℃での伸長レオロジー測定の結果を表している。
図2図2はPEBA 4(下曲線)及びCopo 4(上曲線)の150℃での伸長レオロジー測定の結果を表している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施態様の説明
本明細書では、範囲に言及する場合、「・・・から・・・の範囲」又は「・・・から・・・を含む(including)/含む(comprising)」のタイプの表現には、範囲の限界が含まれることが指摘される。逆に、「・・・と・・・の間」のタイプの表現は、範囲の限界を除外する。
【0019】
特に言及しない限り、表示されるパーセンテージは質量パーセンテージである。特に記載のない限り、参考とするパラメータは、大気圧下で、室温(20-25℃、通常23℃)で測定される。
【0020】
本発明は、以下の記載において、詳細かつ非限定的な方法で記載される。
【0021】
したがって、本発明の1つの主題は、少なくとも1つの硬質ポリアミドPAブロック及び少なくとも1つの可撓性ブロックを含むブロックコポリマーに基づく、可撓性で伸縮性のある防水通気性フィルムであり、前記コポリマーは、ポリカルボジイミドでブロックされた少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含むことを特徴とする。
【0022】
本明細書において、「コポリマーベースの」フィルムは、フィルムがフィルムの総重量に対して少なくとも51重量%のコポリマーを含むことを意味することが指摘される。
【0023】
好ましくは、本発明によるフィルムは、本発明により定義される前記コポリマーを少なくとも60重量%含む。好ましくは、それは、フィルムの総重量に対して、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、さらには少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%の本発明によって以下に定義されるコポリマーを含む。
【0024】
本発明に従ってこのように定義された硬質ポリアミドPAブロック及び可撓性ブロックを含むコポリマーは、熱可塑性エラストマーポリマーの中に入る。用語「熱可塑性エラストマーポリマー」は、「TPE」と略称され、少なくとも2つの転移、すなわち温度T1での第1の転移(一般的にこれはガラス転移温度である)及びT1より上の温度T2での第2の転移(一般的にこれは融点である)を有する多相性材料を構成するポリマーを表す。T1未満の温度では、材料は硬質であり、T1とT2の間で弾性挙動を示し、T2を超えると溶融する。このようなポリマーは、ゴムタイプの材料の弾性挙動と熱可塑性の変形性とを組み合わせたものである。
【0025】
PEBAなど、本発明の目的のためのポリアミドベースの熱可塑性エラストマー(TPE-A)は、以下の一般式に従って、硬質又はハードブロック(HB)及び可撓性又はソフトブロック(SB)の交互配列を含むブロックコポリマーである:
-[HB-SB]n-
式中:
・ HB又はハードブロック又は硬質ブロック:ポリアミド(ホモポリアミド又はコポリアミド)を含むブロック、又はポリアミド(ホモポリアミド又はコポリアミド)を含むブロックの混合物を表し、以下に独立してPA又はHBブロックと略す;
・ SB又はソフトブロック又は可撓性ブロック:交互、統計又はブロックコポリマーの形態の、ポリエーテル(PEブロック)、ポリエステル(PESブロック)、ポリジメチルシロキサン(PDMSブロック)、ポリオレフィン(POブロック)、ポリカーボネート(PCブロック)及び/又は低ガラス転移温度を有する他の任意のポリマーに基づくブロック、又はそれらの混合物を表す。好ましくは、SBは、アルキレンオキシド単位を含むポリエーテルに完全に又は部分的に基づくブロックである。
・ nは、前記コポリマーの単位-HB-SB-内の反復単位の数を表す。nは、1から60、好ましくは5から30、又はさらに好ましくは6から20に及ぶ範囲内である。
【0026】
本発明の目的のために、SBの組成物に含まれるポリマーについての表現「低ガラス転移温度」は、15℃未満、好ましくは0℃未満、好ましくは-15℃未満、より好ましくは-30℃未満のガラス転移温度Tgを意味する。一例を挙げると、前記ソフトブロックは、1500g/molに等しい数平均分子量及び-35℃程度のTgを有するPEGに基づくことができる。前記ガラス転移温度Tgは、特に前記ソフトブロックがPTMGに基づく場合には、-50℃未満であってもよい。
【0027】
「PEBA」と略される、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロックを含むコポリマーとしても知られるコポリエーテルブロックアミドは、特に以下のような、反応性末端を有するポリアミドブロックと、反応性末端を有するポリエーテルブロックとの重縮合から生じる:
1)ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックと、ジカルボキシル鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロック;
2)ジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドブロックと、ポリエーテルジオールとして知られる、α、ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノエチル化及び水素化によって得られる、ジアミン鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロック;
3)ジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドブロックとポリエーテルジオール(特にこの場合に得られる生成物はポリエーテルエステルアミドである)。
【0028】
ジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドブロックは、例えば鎖制限ジカルボン酸の存在下でのポリアミド前駆体の縮合から生じる。ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックは、例えば鎖制限ジアミンの存在下でのポリアミド前駆体の縮合から生じる。
【0029】
ポリアミドブロックの数モル質量Mnは、400g/molと20000g/molの間であり、好ましくは500g/molと10000g/molの間である。
【0030】
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むポリマーはまた、ランダムに分布した単位を含み得る。
【0031】
3つの型のポリアミドブロックが有利に使用され得る。
【0032】
第一の型によると、ポリアミドブロックは、ジカルボン酸、特に4から20個の炭素原子を含むもの、好ましくは6から18個の炭素原子を含むものと、脂肪族又は芳香族ジアミン、特に2から20個の炭素原子を含むもの、好ましくは6から14個の炭素原子を含むものとの縮合から得られる。
【0033】
ジカルボン酸の例としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸が挙げられるが、二量体化脂肪酸も挙げられる。
【0034】
ジアミンの例として、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)及び2-2-ビス-(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)の異性体、及びパラ-アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、及びイソホロンジアミン(IPDA)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)、及びピペラジン(Pip)を挙げることができる。
【0035】
ポリアミド硬質ブロックに関しては、規格NF EN ISO 1874-1:2011がポリアミドの命名法を定義している。本明細書では、用語「モノマー」は「繰り返し単位」を意味すると解釈されるべきである。ポリアミドの繰り返し単位が二酸とジアミンとの組み合わせからなる場合は特別である。それは、ジアミンと二酸の組み合せ、すなわちモノマーに相当する、ジアミン二酸(等モル量の「XY」対とも呼ばれる)であると考えられる。これは、個々に、二酸又はジアミンが単なる構造単位であり、それ自体では重合するのに十分ではないという事実によって説明される。
【0036】
その例は、ブロックPA412、PA414、PA418、PA610、PA612、PA614、PA618、PA912、PA1010、PA1012、PA1014及びPA1018である。
【0037】
第二の型によると、ポリアミドブロックは、ジアミン又は4から12個の炭素原子を含むジカルボン酸の存在下で、6から12個の炭素原子を含む1つ若しくは複数のラクタム及び/又は1つ若しくは複数のα,ω-アミノカルボン酸の縮合から生じる。ラクタムの例として、カプロラクタム、オエナントラクタム(oenantholactam)及びラウリルラクタムを挙げることができる。α,ω-アミノカルボン酸の例としては、アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノデカン酸を挙げることができる。
【0038】
有利には、第二の型のポリアミドブロックは、ポリアミド-11、ポリアミド-12又はポリアミド-6から作られる。
【0039】
第三の型によると、ポリアミドブロックは、少なくとも1つのα,ω-アミノカルボン酸(又はラクタム)と、少なくとも1つのジアミンと、少なくとも1つのジカルボン酸との縮合から生じる。
【0040】
この場合、ポリアミドPAブロックは、
- X個の炭素原子を含む直鎖脂肪族又は芳香族ジアミン(複数可)と、
- Y個の炭素原子を含むジカルボン酸(複数可)と、
- Z個の炭素原子を含むα,ω-アミノカルボン酸及びラクタム、並びにX1個の炭素原子を含む少なくとも1つのジアミンとY1個の炭素原子を含む少なくとも1つのジカルボン酸(ここで、(X1、Y1)は(X、Y)とは異なる)との等モル混合物から選択されるコモノマー{Z}(複数可)
との重縮合であって;
- 前記コモノマー{Z}(複数可)が、ポリアミド-前駆体モノマーの総量に対して50%まで、好ましくは20%まで、より有利には10%までの範囲の重量割合で導入され;
- 上記重縮合が、ジカルボン酸から選択される鎖制限剤の存在下における
重縮合により調製される。
【0041】
有利には、Y個の炭素原子を含むジカルボン酸は、鎖制限剤として使用され、ジアミン(複数可)の化学量論に対して過剰に導入される。
【0042】
この第三の型の一変形例によれば、ポリアミドブロックは、必要に応じて鎖制限剤の存在下で、6から12個の炭素原子を含む少なくとも2つのα,ω-アミノカルボン酸又は少なくとも2つのラクタムの縮合、又は同一数の炭素原子を有しない1つのラクタムと1つのアミノカルボン酸の縮合から生じる。脂肪族α,ω-アミノカルボン酸の例としては、アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノデカン酸を挙げることができる。ラクタムの例として、カプロラクタム、オエナントラクタム(oenantholactam)及びラウリルラクタムを挙げることができる。脂肪族ジアミンの例として、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン及びトリメチルヘキサメチレンジアミンを挙げることができる。挙げることができる脂環式二酸の例は、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸である。脂肪族二酸の例としては、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、二量体化脂肪酸(これらの二量体化脂肪酸は、好ましくは少なくとも98%のダイマー含有量を有し;それらは好ましくは水素付加されており;それらはUniqema社から商標名Pripol(登録商標)で、又はHenkel社から商標名Empol(登録商標)で市販されている)、及びα,ω-二酸ポリオキシアルキレンを挙げることができる。芳香族二酸の例としては、テレフタル酸(T)及びイソフタル酸(I)を挙げることができる。脂環式ジアミンの例として、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、2-2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)及びパラ-アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)の異性体を挙げることができる。一般的に使用される他のジアミンは、イソホロンジアミン(IPDA)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)及びピペラジンである。
【0043】
本発明によるPEBAのPAブロックが、「コモノマー」と呼ばれる少なくとも2つの異なるモノマー、すなわち少なくとも1つのモノマー及び少なくとも1つのコモノマー(第1のモノマー以外のモノマー)を含む場合、それらはCoPAと略称されるコポリアミドのようなコポリマーを含む。
【0044】
第3の型のポリアミドブロックの例として、以下のものを挙げることができる:
- 66/6(66はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を表し、6はカプロラクタムの縮合から生じる単位を表す。)
- 66/610/11/12(66はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを表す。610はセバシン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを表す。11はアミノウンデカノン酸の縮合から生じる単位を表す。12はラウリルラクタムの縮合から生じる単位を表す。)
【0045】
可撓性ブロックの質量Mnは100と6000g/molの間、好ましくは200から3000g/molの間である。
【0046】
好ましくは、ポリマーは、1質量%から80質量%の可撓性ブロック及び20質量%から99質量%のポリアミドブロック、好ましくは4質量%から80質量%の可撓性ブロック及び20質量%から96質量%のポリアミドブロックを含む。
【0047】
好ましい実施態様によれば、本発明による硬質PAブロック及び可撓性ブロックを含むコポリマー中の硬質ポリアミドブロックは、以下のポリアミド単位:11、12、6、610、612、1010、1012の少なくとも1つ、及びそれらの混合物又はコポリアミドを含む。
【0048】
ポリエーテルブロックPEは、アルキレンオキサイド単位から形成される。これらの単位は、例えば、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位又はテトラヒドロフラン(ポリテトラメチレングリコール配列となる)であり得る。ゆえに、PEG(ポリエチレングリコール)ブロック、すなわちエチレンオキシド単位から形成されるブロック、PPG(プロピレングリコール)ブロック、すなわちプロピレンオキシド単位から形成されるブロック、PO3G(ポリトリメチレングリコール)ブロック、すなわちポリトリメチレングリコールエーテル単位から形成されるブロック(ポリトリメチレンエーテルブロックを有するこのようなコポリマーは、米国特許第6590065号に記載されている)、及びPTMGブロック、すなわちポリテトラヒドロフランとしても知られるテトラメチレングリコール単位から形成されるブロックが使用される。PEBAコポリマーは、それらの鎖中にいくつかの型のポリエーテルを含み得、コポリエーテルは、ブロック形態又は統計的形態である可能性がある。
【0049】
ビスフェノール、例えばビスフェノールAのオキシエチル化によって得られるブロックを使用することもできる。後者の製品は特許EP613919に記載されている。
【0050】
ポリエーテルブロックはまた、エトキシル化第一級アミンから形成され得る。エトキシル化第一級アミンの例として、以下の式の生成物を挙げることができる:
(式中、m及びnは1と20の間であり、xは8と18の間である。)これらの製品は、CECA社から商標名Noramox(登録商標)で、Clariant社から商標名Genamin(登録商標)で市販されている。
【0051】
可撓性ポリエーテルブロックは、NH鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックを含むことができ、このようなブロックは、ポリエーテルジオールと呼ばれるα,ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノアセチル化によって得ることができる。より詳細には、Jeffamine製品(例えば、Jeffamine(登録商標)D400、D2000、ED 2003、XTJ 542、これらは、特許JP2004346274、JP2004352794及びEP1482011にも記載されている、Huntsman社からの商業製品である)を使用することができる。
【0052】
ポリエーテルジオールブロックは、修飾されていない形で使用され、カルボキシル末端基を有するポリアミドブロックと共重縮合されるか、又はそれらがアミノ化されてポリエーテルジアミンに変換され、カルボキシル末端基を有するポリアミドブロックと縮合される。PAブロックとPEブロックとの間にエステル結合を含むPEBAコポリマーの2段階調製のための一般的な方法は公知であり、例えばフランス特許FR2846332に記載されている。PAブロックとPEブロックとの間にアミド結合を含む本発明のPEBAコポリマーの一般的な調製方法は公知であり、例えば欧州特許(EP)第1482011号に記載されている。ポリエーテルブロックは、ポリアミド前駆体及び鎖制限二酸と混合して、ランダムに分布した単位を有するポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含むポリマーを作製することもできる(1工程法)。
【0053】
本発明の本明細書における「PEBA」という名称は、言うまでもなく、Arkema社が販売するPebax(登録商標)製品、Evonik社が販売するVestamid(登録商標)製品、及びEMS社が販売するGrilamid(登録商標)製品だけでなく、DSM社が販売するKellaflex(登録商標)製品、又は他の供給業者からの他の任意のPEBAにも関する。
【0054】
有利には、PEBAコポリマーは、PAブロックを、PA 6として、PA 11として、PA 12として、PA 612として、PA 66/6として、PA 1010として、及び/又はPA 614として、好ましくはPA 11及び/又はPA 12ブロックとして含み;並びにPEブロックを、PTMGとして、PPGとして、及び/又はPO3Gとして含む。主にPEGからなるPEブロックに基づくPEBAは、親水性PEBAの範囲内に分類される。主にPTMGからなるPEブロックに基づくPEBAは、疎水性PEBAの範囲内に分類される。
【0055】
有利には、本発明の組成物に使用される前記PEBAは、生物を原料とした原料から少なくとも部分的に得られる。
【0056】
用語「再生可能起源からの原料」又は「生物を原料とした原料」は、生物を原料とした炭素又は再生可能起源の炭素を含む材料を意味する。具体的には、化石原料由来の材料とは異なり、再生可能な出発原料からなる材料は14Cを含む。「再生可能起源の炭素の含有量」又は「生物を原料とした炭素の含有量」は、ASTM規格D 6866(ASTM D 6866-06)及びASTM規格 D 7026(ASTM D 7026-04)の適用により決定される。一例を挙げると、ポリアミド11に基づくPEBAは、少なくとも部分的には生物を原料とした原料に由来し、少なくとも1%の生物を原料とした炭素の含有量を有し、これは少なくとも1.2×10-1412C/14C同位体比に相当する。好ましくは、本発明によるPEBAは、炭素の総質量に対して少なくとも50質量%の生物を原料とした炭素を含み、これは少なくとも0.6×10-1212C/14C同位体比に相当する。再生可能起源からの出発材料から生じる、PA11ブロック並びにPO3G、PTMG及び/又はPPGを含むPEブロックを含むPEBAの場合、この含有量は有利に高く、特に最大100%であり、これは1.2×10-1212C/14C同位体比に相当する。
【0057】
ポリエステルブロックPESは、通常、ジカルボン酸とジオールとの間の重縮合により製造される。適切なカルボン酸は、テレフタル酸及びイソフタル酸を除いて、ポリアミドブロックを形成するために使用される上記のものを含む。適切なジオールは、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコールのような直鎖脂肪族ジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタングリコール、1,2-プロピレングリコールのような分枝ジオール、並びに1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,4-シクロヘキサンジメタノールのような環状ジオールを含む。
【0058】
用語「ポリエステル」はまた、脂肪酸ダイマーに基づくポリ(カプロラクトン)及びPES、特にCroda又はUniqema社のPriplast(登録商標)の製品を意味する。
【0059】
上記の少なくとも2つの型のPESの配列を含む、交互、統計又はブロック「コポリエステル」型のPESブロックを想定することも可能である。
【0060】
本発明の目的のために、ポリシロキサンブロック(以下PSiと略す)という用語は、官能化シランの重合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子を介して連結される主単位の繰り返し(シロキサン結合-Si-O-Si-)から本質的になり、任意に置換された炭化水素ベースのラジカルが炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接連結される、直鎖状又は環状、分枝状又は架橋構造の有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーを意味する。最も一般的な炭化水素ベースのラジカルは、特にC1-C10のアルキルラジカル、特にメチル、フルオロアルキルラジカル、アリールラジカル、及び特にフェニル、及びアルケニルラジカル、及び特にビニルであり;直接又は炭化水素ベースのラジカルを介して、シロキサン鎖に結合できる他の型のラジカルは、特に水素、ハロゲン、特に塩素、臭素又はフッ素、チオール、アルコキシラジカル、ポリオキシアルキレン(又はポリエーテル)ラジカル、特にポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキルラジカル、置換又は非置換アミン基、アミド基、アシルオキシ又はアシルオキシアルキルラジカル、ヒドロキシアルキルアミノ又はアミノアルキルラジカル、四級アンモニウム基、両性又はベタイン基、アニオン性基、例えば、カルボン酸塩、チオグリコール酸塩、スルホコハク酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩及び硫酸塩など、及びそれらの混合物である。このリストは明らかに限定的なものではない(「有機修飾された」シリコーン)。
【0061】
好ましくは、前記ポリシロキサンブロックは、ポリジメチルシロキサン(PDMSブロックとして以下に略す)、ポリメチルフェニルシロキサン及び/又はポリビニルシロキサンを含む。
【0062】
本発明の目的のために、ポリオレフィンブロック(以下POブロックと略す)という用語は、モノマーとしてα-オレフィンを含む任意のポリマー、すなわち、オレフィンのホモポリマー又は少なくとも1つのα-オレフィンと少なくとも1つの他の共重合可能なモノマーのコポリマーを意味し、α-オレフィンは有利には2から30個の炭素原子を含む。
【0063】
α-オレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン、1-ヘキサコセン、1-オクタコセン及び1-トリアコンテンが挙げられる。これらのα-オレフィンは、単独で、又は2種類又はそれ以上の混合物として、使用され得る。
【0064】
言及され得る例としては、以下が挙げられる:
- エチレンホモポリマー及びコポリマー、特に低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、及びメタロセン触媒により得られるポリエチレン、
- プロピレンホモポリマー及びコポリマー、
- 本質的にアモルファス又はアタクチックなポリ-α-オレフィン(APAO)、
- エチレン/α-オレフィンコポリマー、例えば、エチレン/プロピレン、EPR(エチレン-プロピレン-ゴム)エラストマー及びEPDM(エチレン-プロピレン-ジエン)エラストマーなど、並びにポリエチレンとEPR又はEPDMとの混合物、
- スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)及びスチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー;
- エチレンと、不飽和カルボン酸の塩又はエステル、例えばアルキル(メタ)アクリレート、おそらく最大24個の炭素原子を含むアルキル、飽和カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル又はプロピオン酸、及びジエン、例えば1,4-ヘキサジエン又はポリブタジエンから選択される少なくとも1つの生成物とのコポリマー。
【0065】
本発明の有利な実施態様によれば、前記少なくとも1つのポリオレフィンブロックは、ポリイソブチレン及び/又はポリブタジエンを含む。
【0066】
特に有利な実施態様によれば、本発明によるブロックコポリマーは、少なくとも1つの可撓性ポリオレフィンブロック(POブロック)と、ポリエーテルアミドブロック、ポリエーテルエステルアミドブロック及び/又はポリエーテルアミドイミドブロックなどの、ポリアミド及びポリエーテルの両方を含む少なくとも1つのハード親水性ブロック(以下、hHBと略す)とを含む。前記POブロックは、好ましくは、酸、アルコール又はアミン末端基を含むポリオレフィンを含む。好ましくは、POブロックは、高分子量ポリオレフィンを熱分解して、より低質量で官能化されたポリオレフィンを形成することにより得られる(参考方法:特開平03-62804)。hHBブロックに関しては、それはまた、以下から選択される少なくとも1つのポリマーを含んでもよい:第四級アミン型のカチオン性ポリマー及び/又はリン誘導体;及び/又はスルホン酸基を含み、ポリオールと反応することができる、修飾された二酸型のアニオン性ポリマー。次いで、有機塩の添加が、hHBブロックの調製において、又はPOブロックとhHBブロックとの間の反応中において想定され得る。米国特許第6552131号は、POブロック及びhHBブロックを含むコポリマーの合成及びさまざまな可能な構造を記載しており、後者が本発明による方法において想定されることは言うまでもなく可能である。
【0067】
本発明の目的のために、用語ポリカーボネートブロック(以下、PCブロックと略す)は、より詳細には、任意の脂肪族ポリカーボネートを意味する。脂肪族ポリカーボネートは、例えばDE2546534及びJP1009225に記載されている。このようなポリカーボネートホモポリマー又はコポリマーは、米国特許第471203号にも記載されている。特許出願国際公開第92/22600号及び国際公開第95/12629号は、ポリカーボネートブロックを含むコポリマー及びその合成方法を記載している。前記文書に記載されたブロック(及びそれらの合成)は、本発明によるPCブロックコポリマーの合成のために完全に想定され得る。好ましくは、本発明によるコポリマーのポリカーボネートブロックは、以下の式を有する:
式中、aは2から300の整数であり;R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、2から18個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖の、脂肪族又は脂環式鎖を表し、又はポリオキシアルキレン基を表し、又はポリエステル基を表す。
【0068】
R1及びR2がヘキシレン、デシレン、ドデシレン、1,4-シクロヘキシレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、2,5-ジメチル-2,5-ヘキシレン又はポリオキシエチレン基から選択されるポリカーボネートが好ましい。
【0069】
上記のブロックコポリマーが一般に、少なくとも1つの硬質ポリアミドブロック及び少なくとも1つの可撓性ブロックを含む場合、これらのブロックの少なくとも1つがポリアミドブロックであることを条件として、本発明が実際に、本明細書に記載されたものから選択される2、3、4(又はそれ以上)の異なるブロックを含むすべてのコポリマーを網羅することは明らかである。
【0070】
有利には、本発明によるコポリマーは、上記のいくつかのブロックの縮合から生じる、3つの異なる型のブロック(本発明の本明細書において「トリブロック」と呼ばれる)を含むブロックセグメント化コポリマーを含む。前記トリブロックは、好ましくは、コポリエーテルエステルアミド及びコポリエーテルアミドウレタンから選択され、ここでトリブロックの総質量に対して、
- 硬質ポリアミドブロックの質量パーセンテージが10%を超える;
- 可撓性ブロックの質量パーセンテージが20%を超える。
【0071】
好ましい実施態様によれば、本発明による硬質PAブロック及び可撓性ブロックを含むコポリマーに基づくフィルムにおける可撓性ブロックは、好ましくはPTMG、PPG、PO3G及び/又はPEGから選択されるポリエーテルPEブロックを含む(好ましくはポリエーテルPEブロックである)。
【0072】
別の有利な実施態様によれば、本発明によるフィルムの硬質PAブロック及び可撓性ブロックを含むコポリマー中の可撓性ブロックは、ポリエステルジオール、ポリ(カプロラクトン)及び脂肪酸ダイマーに基づくポリエステルから選択されるポリエステルPESブロックを含む(好ましくは、ポリエステルPESブロックである)。
【0073】
有利には、本発明によるコポリマーにおいて、可撓性ブロックに対するPAブロックの重量比は、0.3から10、好ましくは0.3から6、好ましくは0.3から3、好ましくは0.3から2の範囲内である。
【0074】
好ましくは、本発明によるフィルムに基づく前記コポリマーは、コポリマーの総重量に対して、45重量%から75重量%の可撓性ポリエチレングリコール(PEG)ブロック、好ましくは50重量%から70重量%のPEGブロックを含む。
【0075】
好ましくは、本発明のフィルムに使用されるコポリマーの前記硬質ポリアミドPAブロックは、以下のポリアミド単位:6、66、610、612、PA1010、PA1012、PA11、PA12、PA6/12、PA6/66の少なくとも1つ、及びそれらの混合物又はコポリアミドを含む。
【0076】
有利には、コポリマーは、好ましくは以下のPEBA:PA6-PEG、PA1010-PEG、PA1012-PEG、PA11-PEG、PA12-PEG、PA6/12-PEG、PA66-PEG、PA6/66-PEGから選択される、硬質ポリアミドブロック及び可撓性ポリエーテルブロック(PEBA)、及びそれらの混合物を含むコポリマーを含む。
【0077】
本発明に適したポリカルボジイミドは、以下の一般式で表される:
R-[-N=C=N-R’]
式中、Rは一価であり、R’は二価であり、nは2から50、好ましくは2から45、好ましくは2から20、好ましくは5から20である。
【0078】
Rは、例えば、C1-C20アルキル又はC3-C10シクロアルキル又はC1-C20アルケニル基であってよく、環状であっても分岐していてもよく、又はC8-C16芳香族核を含んでいてもよく、官能基で置換されていてもよい。
【0079】
R’は、前述のすべてに対応する二価の基、例えば、C1-C20アルキレン、C3-C10シクロアルキレン等であってもよい。官能基の例は、これに限定されるものではないが、シアナト及びイソシアナト、ハロ、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノ、シリルなどを含む。これらのリストは、単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを目的としたものではない。
【0080】
本発明により使用され得るポリカルボジイミドの例としては、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、N、N’-ジフェニルカルボジイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド(芳香族カルボジイミド)、N,N-ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、2,2’,6,6’-テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド(芳香族カルボジイミド)の繰り返し単位、1,3,5-トリイソプロピル-2,4-ジイソシアナトベンゼンの芳香族ホモポリマー、1,3,5-トリイソプロピル-2,4-ジイソシアナトベンゼンの芳香族ヘテロポリマー及び2,6-ジイソプロピルフェニルイソシアネート、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0081】
R’の具体例は、これらに限定されないが、2,6-ジイソプロピルベンゼン、ナフタレン、3,5-ジエチルトルエン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチレンフェニル)、4,4’-メチレンビス(2-エチル-6-メチルフェニル)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)、4,4’-メチレンビス(2-エチル-5-メチルシクロヘキシル)、2,4,6-トリイソプロピルフェニル、n-ヘキサン、シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン及びメチルシクロヘキサンに由来する二価のラジカル、及び類似体を含む。
【0082】
特許米国特許第5130360号、米国特許第5859166号、米国特許第368493号、米国特許第7456137号、米国特許出願公開第2007/0278452号、米国特許出願公開第2009/0176938号、特に米国特許第5360888号は、ポリカルボジイミドのより多くの例を記載している。
【0083】
適切なポリカルボジイミドは、例えば、Rhein ChemieからのStabaxol Pシリーズ、RaschigからのStabilizerシリーズ、及び、例えば、Ziko又はTeijinからの他のもののような市販の供給源から得ることができる。
【0084】
有利には、ポリカルボジイミドは、Stabilizer製品、特にポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニレン-2,4-カルボジイミド)に対応するStabilizer(登録商標)9000、Stabaxol(登録商標)製品、特にStabaxol(登録商標)P製品、特にStabaxol(登録商標)P100若しくはStabaxol(登録商標)P400、又はそれらの混合物から選択される。
【0085】
好ましくは、ポリカルボジイミドは、10000g/molを超える重量平均分子量を有する。
【0086】
有利には、ポリカルボジイミドの重量平均分子量は10000から40000g/mol、好ましくは15000から30000g/molの範囲内である。
【0087】
ポリカルボジイミドの重量含有量は、有利には、本発明によるコポリマーの総重量に対して、0.5から10重量%、好ましくは0.5から7重量%、好ましくは0.5から3重量%、好ましくは0.5から2.5重量%、好ましくは0.5から2重量%を占める。
【0088】
本発明の有利な実施態様によれば、本発明によるフィルムにおいて、コポリマーの前記カルボン酸は、ポリカルボジイミドのカルボジイミドとの反応によって尿素結合を形成する。
【0089】
本発明のフィルムに基づく、ブロックされた酸鎖末端を有するブロックコポリマーの利点の1つは、それが非架橋線状形態のままであり、コポリマーの分散度Mw/Mnが3未満であることである。これは、先行技術において、カルボジイミドが、特にそれらを架橋することによって、ポリアミドの粘度を高めるために(例えば、特許FR3027907を参照)、及び米国特許第5360888号に記載されているように、加水分解に対するそれらの耐性を改善するために、むしろ使用される限り、驚くべきことである。
【0090】
本発明の主題はまた、フィルム形態のコポリマーの押出性及び/又は延伸性を改善するための、及び/又は前記コポリマーの押出速度を改善するための、少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含む、ポリアミドブロック及び可撓性ブロックを含むコポリマーに基づくフィルムを製造するための方法におけるポリカルボジイミドの使用であり、ここでコポリマーの少なくとも1つのカルボン酸鎖末端は、ポリカルボジイミドのカルボジイミド官能基でブロックされている、ポリカルボジイミドの使用である。
【0091】
本発明の主題はまた、フィルムの延伸性、フィルムの可撓性、その耐摩耗性及びその引裂強度を改善するための、少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含む、ポリアミドブロック及び可撓性ブロックを含むコポリマーに基づくフィルムにおけるポリカルボジイミドの使用であって、ここでコポリマーの少なくとも1つのカルボン酸鎖末端がポリカルボジイミドのカルボジイミド官能基でブロックされている、ポリカルボジイミドの使用である。
【0092】
好ましくは、本発明による使用のために、ポリカルボジイミドは、10000g/molを超える、好ましくは10000から40000g/molの範囲内、好ましくは15000から30000g/molの重量平均分子量を有する。
【0093】
好ましくは、本発明で使用されるポリカルボジイミドの重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される
【0094】
有利には、コポリマーの少なくとも1つのカルボン酸鎖末端は、ポリカルボジイミドとの反応によって形成される尿素官能基でブロックされる。
【0095】
本発明の主題はまた、以下を含むことを特徴とする、本発明によるコポリマーベースのフィルム組成物である:
組成物の総重量に対して、
- 51重量%から99.9重量%の、上記で定義された前記ブロックコポリマー、
- 0.1重量%から49重量%の、ポリアミド、官能性ポリオレフィン、コポリエーテルエステル、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、エチレンとアクリレートとのコポリマー、及びエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーから選択される少なくとも1つの他の成分、
及び/又は
- 0.1重量%から10重量%の、核形成剤、充填剤、特にタルクなどの無機充填剤、強化繊維、特にガラス繊維又は炭素繊維、染料、UV吸収剤、酸化防止剤、特にフェノール系又はリン系又は硫黄系の酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、及びそれらの混合物から選択される添加剤。
【0096】
有利には、本発明によるフィルムは、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、ビニルモノマー、アクリルモノマー、及びそれらの混合物を含む群から選択されるモノマーとのグラフト化を含む官能性ポリオレフィンを含む。
【0097】
好ましくは、官能性ポリオレフィンは、エチレン-アクリル酸エステルコポリマー、エチレン-アクリル酸エステル-マレイン酸無水物コポリマー、及びエチレン-アクリル酸エステル-グリシジルメタクリレートコポリマーを含む群から選択される。
【0098】
有利には、本発明によるフィルムは、100μm以下、好ましくは50μm以下、好ましくは30μm以下、好ましくは25μm以下、好ましくは5から25μmの範囲内の厚さを有する。
【0099】
本発明の主題はまた、本発明によるフィルムを製造するための方法であって、以下の工程を含む:
a)ポリカルボジイミドでブロックされた少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含むコポリマーを、任意で上記のようなフィルムの他の成分との混合物として提供する工程、
b)工程a)からコポリマー又は前記混合物を押し出す工程、
c)コポリマー又は前記混合物を延伸してフィルムを形成する工程。
【0100】
特定の実施態様によれば、本発明の方法は、工程a)の前に、少なくとも1つの硬質ポリアミドPAブロック及び少なくとも1つの可撓性ブロックを含むブロックコポリマーとポリカルボジイミドとの混合を含み、その結果、ブロックコポリマーの少なくとも1つのカルボン酸鎖末端は、ポリカルボジイミドのカルボジイミド官能基と反応する。好ましくは、混合は、単軸又は二軸押出機を使用して行われるか、又はブロックコポリマーの合成中にポリカルボジイミドを添加することによって行われる。
【0101】
有利には、延伸工程c)は、押出ブロー成形、インフレーションフィルム成形、引抜成形、オーバージャケット押出、押出カレンダ成形、フラットダイ押出成形、押出コーティング、ラミネーション及び/又は共押出によって行われる。
【0102】
有利には、工程b)は、80から350℃、好ましくは100℃から300℃、好ましくは150から250℃の範囲の温度で行われる。
【0103】
本発明によるポリカルボジイミドでブロックされたコポリマーの使用は、特に温度の点で加工性のより大きなウィンドウを可能にし、対応する非ブロック化コポリマーよりも少ない押出不安定性が観察され、またより高い達成可能な最大押出速度も観察される。
【0104】
本発明の主題はまた、少なくとも1つの織物材料と本発明による少なくとも1つのフィルムとを含む積層製品であり、前記フィルムは、ISO規格11339に従って測定された、0.5から50N、好ましくは0.5から10Nの範囲内の剥離力で織物材料の少なくとも1つの表面に接着している。
【0105】
好ましくは、前記少なくとも1つの織物材料は、多孔質膜、織布又は不織布地の形態である。
【0106】
好ましくは、前記少なくとも1つの織物材料は、合成繊維、特に生物を原料とした原料から得られた合成繊維、天然繊維、天然原料から製造された人工繊維、鉱物繊維及び/又は金属繊維を含む。
【0107】
有利には、前記少なくとも1つの織物材料は、フェルト、フィルター、フィルム、ガーゼ、布、包帯、層、生地、メリヤス地、衣料品、衣類のアイテム、寝具、家具、カーテン、客室カバー、機能的な工業用繊維品、ジオテキスタイル及び/又はアグロテキスタイルを構成する。
【0108】
本発明の主題はまた、以下の部門における本発明のフィルムの使用である:医療、衛生、手荷物、製造、衣類、家庭用(domestic)又は住宅用(household)の設備、家具、カーペット、自動車、産業、特に産業用濾過、農業及び/又は建設。
【0109】
本発明による前記フィルムは、有利には、包装コンポーネント、特に農業食品部門における、食品包装フィルム、調理及び/又はスモーキング用、特にソーセージ用の包装フィルム、防水通気性フィルム、特に、建築、織物、スポーツ用品、靴、スポーツシューズ、靴底、装飾品、手荷物、眼鏡、家具、視聴覚機器、情報技術、自動車又は航空機器コンポーネント、及び/又は医療機器コンポーネントにおいて使用される防水通気性フィルムを構成する。
【実施例0110】
実施例
以下の実施例は、本発明を限定することなく例示する。実施例で使用される規格は、本明細書又は特許請求の範囲において本発明を特徴付けるためにより一般的に用いられるものにも対応する。
【0111】
使用される材料:
以下の実施例では、
PEBA 1:PA 12-PTMG(Mn:600-2000)
PEBA 1はPA 12ブロックとPTMGブロックを含むコポリマーであり、それぞれの数平均分子量(Mn)は600-2000である。
Copo 1:98.5% PEBA 1 + 1.5% PCDI
PEBA 2:PA 12-PTMG(Mn:850-2000)
PEBA 2は、本発明によるコポリマーであり、PA 12ブロック及びPTMGブロックを含み、それぞれの数平均分子量(Mn)は850-2000である。
Copo 2:98% PEBA 2 + 2% PCDI
PEBA 3:PA 12-PTMG(Mn:2000-1000)
PEBA 3は、本発明によるコポリマーであり、PA 12ブロック及びPTMGブロックを含み、それぞれの数平均分子量(Mn)は2000-1000である。
Copo 3:98.5% PEBA 3 + 1.5% PCDI
PEBA 4:PA11-PTMG(600-1000)
PEBA 4はPA 11ブロックとPTMGブロックを含むコポリマーであり、それぞれの数平均分子量(Mn)は600-1000である。
Copo 4:98% PEBA 4 + 2% PCDI
PCDI:実施例で使用されるポリカルボジイミド:ポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニレン-2,4-カルボジイミド)
【0112】
上記の材料から防水通気性フィルムを作製した。
上記の材料(PEBA及びCopo)のさまざまなフィルムの透湿性(又はMVTR)が測定される。すべての場合について、PEBAフィルムのMVTRと対応するCopoフィルムのMVTRは実質的に同一である:測定された透湿性(MVTR)は、ASTM規格 E 96Bに従って測定され、相対湿度率50%及び試料厚さ30μmに対して、23℃で24時間当たり100g/m2を超える。
【0113】
フィルムの接着性は剥離力の値に直接結びついている。剥離試験は、好ましくは、接着剤25μmのPEBA又はCopoフィルムを含む積層体を、不織ポリプロピレン織物上に押出コーティングによって製造した後、2時間から48時間の期間内に行われる。剥離試験が、(ISO規格11339に従って)各試験の積層体について行われ、積層体の15mmストリップで開始され、その後200mm/分の速度で引っ張られた。
【0114】
すべての積層体について、PEBAフィルムと対応するCopoフィルムの剥離力は実質的に同じままであり;いずれの場合も、測定値は0.5Nより大きい。
【0115】
実施例1:PEBA及びCopo材料の押出性の測定
以下の表1は、ISO規格6721-10:2015に準拠した角周波数(rad/s)の関数として、220℃での溶融粘度測定eta(Pa.s単位)の結果を示す。
【0116】
本発明によるCopo材料は、比較のPEBAよりも高い溶融粘度を有することが観察される。
【0117】
したがって、本発明によるCopo材料は、比較のPEBA材料よりも容易にフィルムに押出可能である。
【0118】
実施例2:RheotensによるPEBAとCopoの延伸性の測定
【0119】
伸長レオロジー試験の説明:
原理:ロッドは、毛管レオメータのダイを通して押し出され;それが可変速モータによって駆動される2対の車輪によって、溶融形態で把持される。第1の一対の車輪及びモータは、復元力を表す、センサに直接接続された支持体の自由で偏向可能な端部に取り付けられている。
【0120】
第2の一対の車輪(第1の一対に連結されている)は、上部車輪の周りのロッドの巻き付けを導き、制限することを可能にする。車輪を冷却し、それにより粘着効果を制限するために、界面活性剤液(水、エタノール、界面活性剤の混合物)を浸した小さなパッドも車輪に適用される。
【0121】
図1及び2の溶融強度曲線は、x軸上の伸長係数の関数としてy軸上の伸長応力を表す。
式中
【0122】
動作条件:
- 毛管レオメータ:
装置:Gottfert Rheotester 2000毛管レオメータ
ダイ:30mm×1mmのダイ L/d=30/1
センサ:0-1400 bar(リファレンス131055)
予熱時間:300秒(5分)
試験温度グレードに応じて150℃又は180℃
せん断速度:50s-1
- Rheotens:
車輪:ノッチ付きステンレス鋼
巻き上げ高さ:105mm
ギャップ:約≒0.6mm
Vo(初速度)≒6mm/s
加速:a t,a=2.4mm/s
潤滑剤:水+界面活性剤の混合物
ピストン径:12mm
ピストン速度:0.043mm/s
【0123】
図1はPEBA 3(下曲線)及びCopo 3(上曲線)の180℃での伸長レオロジー測定の結果を表している。
【0124】
図2はPEBA 4(下曲線)及びCopo 4(上曲線)の150℃での伸長レオロジー測定の結果を表している。
【0125】
本発明によるフィルムに使用されるコポリマーCopo 3及びCopo 4は、それぞれの対照PEBA 3及びPEBA 4のそれと比較して改善された延伸性を有する。
【0126】
ポリカルボジイミドでブロックされた少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含むブロックコポリマーに基づく本発明によるフィルムは、同じそれぞれの非ブロック化コポリマーに基づくフィルムのものと比較して改善された伸縮性を有する。
【0127】
実施例3 - 各種PEBAとCopoの引張係数と曲げ弾性率の値の比較
これらの試験の結果を以下の表2に示す。
【0128】
本発明による織物材料に使用されるコポリマーCopo 1及びCopo 4は、それぞれの対照PEBA 1から4のものよりも低い引張係数及び曲げ弾性率の値を有する。
【0129】
ポリカルボジイミドでブロックされた少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含むブロックコポリマーに基づく本発明によるフィルムは、同じそれぞれの非ブロック化コポリマーに基づくフィルムのものと比較して改善された可撓性を有する。
【0130】
実施例4 - 各種PEBAとCopoの耐摩耗性と引裂強度の比較
これらの試験の結果を以下の表3に示す。
【0131】
本発明によるコポリマーの場合、質量の損失はより小さく、本発明によるコポリマーベースのフィルムは、したがって、それぞれの対照PEBAベースのフィルムよりも優れた耐摩耗性を有する。
同様に、本発明によるコポリマーに基づくフィルムは、それぞれの対照のPEBAベースのフィルムよりも良好な引裂強度を有する。
【0132】
実施例5 - 各種PEBA及びCopoの分散度の測定
測定された重量平均分子量及び数平均分子量のMw及びMnは、PEBAから本発明によるフィルムで使用される対応するCopoに移行すると、それぞれ増加し、これは、ポリカルボジイミドのカルボジイミド官能基とPEBAの酸官能基との間で反応が起こり、本発明に従って使用されるブロックされた酸鎖末端を有するCopoを形成したことを示している。
【0133】
分散度は、重量平均分子量と数平均分子量との比Mw/Mnに等しいと判断される。測定精度は5%以内である。
【0134】
数平均分子量(又はモル質量)は、鎖制限剤の含有量によって設定される。それは次の式に従って計算することができる:
Mn=(nモノマー/n制限剤繰り返し単位+M制限剤
モノマー=モノマーのモル数
制限剤=過剰な二酸のモル数
繰り返し単位=繰り返し単位のモル質量
制限剤=過剰な二酸のモル質量
【0135】
さらに、分散度Mw/Mnは、対応する初期PEBAと比較して、本発明による各Copoにおいて保存され、測定値は、すべてのコポリマーにおいて3未満であり、このことは、本発明によるコポリマーが非架橋線状形態のままであったことを証明する。したがって、これらのコポリマーに基づくフィルムは完全にリサイクル可能なままである。
【0136】
以上をまとめると、本発明によるフィルムにこのようにして使用されるポリカルボジイミドは、フィルムの押出性、伸縮性、可撓性、耐摩耗性及び引裂強度特性を改善すると同時に、その透湿性、その接着性及びそのリサイクル性を保存することを可能にする。
【0137】
これらの有利な特性は、モノマーのカルボジイミドでは観察できなかった。なぜなら、それらの揮発性のために、本発明のフィルムに使用されるブロックコポリマーの前記カルボン酸を反応させたり、効果的にブロックしたりすることができなかったからである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの硬質ポリアミドPAブロック及び少なくとも1つの可撓性ブロックを含むブロックコポリマーに基づく、可撓性で伸縮性のある防水通気性フィルムであって、前記コポリマーが、ポリカルボジイミドでブロックされた少なくとも1つのカルボン酸鎖末端を含むことを特徴とする、フィルム。
【外国語明細書】