(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122910
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】機械的負荷及び弾性又は非弾性変形を受けるケーブル及びケーブルアクセサリコンポーネントのレーザスキャン
(51)【国際特許分類】
G01B 11/16 20060101AFI20240902BHJP
G01N 21/952 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
G01B11/16 Z
G01N21/952
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026542
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】23305264.6
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501044725
【氏名又は名称】ネクサン
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドーデンス エスペン
【テーマコード(参考)】
2F065
2G051
【Fターム(参考)】
2F065AA65
2F065BB11
2F065CC00
2F065FF11
2F065GG04
2F065MM09
2F065MM16
2F065MM26
2F065PP22
2G051AA44
2G051AB02
2G051AB07
2G051BA10
2G051CA01
2G051CB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機械的負荷及び弾性又は非弾性変形を受けるケーブル及びケーブルアクセサリコンポーネントのレーザスキャンを提供する。
【解決手段】第一の時点において、ケーブル又はケーブルコンポーネントの表面の関心領域の3次元、3D、表面形状測定データの第一のセットを捕捉及び保存するステップ302と、第二の時点において、3D表面スキャナを関心領域にわたってケーブルの周囲で移動させることにより、ケーブル又はケーブルコンポーネントの表面の関心領域の3次元、3D、表面形状測定データの第二のセットを捕捉及び保存するステップ304と、捕捉された3D表面形状測定データの第一及び第二のセットを比較して、第一及び第二の時点間でケーブル又はケーブルコンポーネントに生じた変化を特定するステップ305であって、変化は、ケーブル又はケーブルコンポーネントの変形を示す、ステップ305とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧及び/又は中電圧ケーブル及び/又はケーブルコンポーネントの変形を検出する方法であって、
a)第一の時点において、前記ケーブル又はケーブルコンポーネントの表面の関心領域の3次元、3D、表面形状測定データの第一のセットを捕捉及び保存するステップ(302)、
b)第二の時点において、3D表面スキャナを前記関心領域にわたって前記ケーブルの周囲で移動させることにより、前記ケーブル又はケーブルコンポーネントの前記表面の前記関心領域の3次元、3D、表面形状測定データの第二のセットを捕捉及び保存するステップ(304)、
c)前記捕捉された3D表面形状測定データの第一及び第二のセットを比較して、前記第一及び第二の時点間で前記ケーブル又はケーブルコンポーネントに生じた変化を特定するステップ(305)であって、変化は、前記ケーブル又はケーブルコンポーネントの変形を示す、ステップ(305)
を含む方法。
【請求項2】
前記3D表面形状測定データの第一のセットは、3D表面スキャナを前記関心領域にわたって前記ケーブルの周囲で移動させることによって捕捉される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3D表面形状測定データの第一のセットは、前記関心領域における前記ケーブル又はケーブルコンポーネントの形状を表すデータファイルを検査することによって捕捉される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記3D表面形状測定データは、データポイントクラウドによって表され、前記データポイントクラウド内のデータポイントは、前記ケーブル又はケーブルコンポーネントの表現を提供するためにさらに処理され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第nの時点において、3D表面スキャナを前記関心領域にわたって前記ケーブルの周囲で移動させることにより、前記ケーブル又はケーブルコンポーネントの前記表面の前記関心領域の3次元、3D、表面形状測定データの第nのセットを捕捉及び保存するステップと、
前記捕捉された3D表面形状測定データのn個のセットを比較して、前記第一、第二及び第nの時点間で前記ケーブル又はケーブルコンポーネントに生じた変化を特定するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記関心領域に関する品質レポートを生成するステップ(307)をさらに含む、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記関心領域に関する品質レポートを生成するステップ(307)をさらに含み、前記品質レポート(307)は、前記第一の時点から前記第nの時点までの経時的な変化の表現を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記関心領域に関する品質レポートを生成するステップ(307)をさらに含み、前記品質レポート(307)は、前記第一の時点から前記第nの時点までの経時的な変化の表現及び/又は前記ケーブル若しくはケーブルコンポーネントが前記第二若しくは第nの時点での工程に進むことを許可するか若しくは許可しない続行/中止通知を含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧及び中電圧ケーブルに関し、特に高電圧及び/又は中電圧ケーブルコンポーネントの表面及び/又は界面を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧(HV)及び中電圧(MV)ケーブルは、中及び高電圧、例えば1000V超の電力伝送に使用される。このようなケーブルは、導体及び絶縁体を含む。絶縁体は、ポリマー又はポリエチレンからなり、これは、エチレンプロピレンゴム(EPR)及び架橋ポリエチレン(XLPE)を含む。絶縁体の内面及び外面で半導体層が絶縁体に融着される。半導体層は、小さい電気放電が生じて絶縁材料に損傷を与えることがあり得ないように、金属導体と誘電体との間の空気が充満した空洞を防止する。絶縁層は、通常、銅若しくはアルミニウムワイヤスクリーン又は鉛、若しくはアルミニウム、若しくは銅のジャケット或いはそれらの組合せで被覆される。この金属スクリーン又はジャケットに続いて、ポリマー(例えば、PE又はVPC)外側シースが形成される。
【0003】
陸上及び特に海底ケーブルのためのMV及びHVケーブル及びケーブルコンポーネントは、大きい機械的負荷を受け得る。金属又は複合材料部品は、機械的負荷の要求事項を満たすようにカスタム設計することができるものの、負荷がかかると、部品又は部品アセンブリは、一般に、永久的変形を経験し得、例えば1つの部品が弾性伸長限界を超えて変形し得、部品アセンブリの場合、その部品が互いに対してずれる場合があるか、又はそれらの嵌合面が永久的に変形しやすい場合がある。このような変形を3Dでマッピングすることは、困難であり得る。
【0004】
これまで、このような変形の追跡は、カメラ、フィルム及び写真を用いて、手作業での測定又は他の接触型測定を用いて行われていた。しかしながら、このような測定では、所望の多用途性が提供されない。
【0005】
(特許文献1)は、高電圧ケーブル端末の表面品質を、3Dスキャナを用いて特定するシステム及び方法を開示している。その方法は、非接触表面スキャナをケーブル端末の周囲で移動させることと、表面の領域にわたる表面までの距離を、その表面の領域の複数の小領域を逐次的に測定することによって測定することと、ケーブル端末の表面の連続3D表面形状測定結果を作成することと、連続3D表面形状測定結果を用いて、少なくとも1つの表面形状許容閾値と比較し、高電圧ケーブル端末の表面品質を特定することとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、MV及びHVケーブル及びケーブルコンポーネント、例えばケーブル及びケーブルコンポーネント内の部品又は部品アセンブリの変形を検出及び追跡/監視する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、特許請求の範囲で提示される特徴によって達成される。
【0009】
例示的な実施形態では、様々な特徴及び詳細が組み合わせて示される。幾つかの特徴が特定の例に関して説明されることは、これらの特徴が本発明の全ての実施形態に一緒に含まれなければならないことを示唆すると解釈されるべきではない。
【0010】
逆に、異なる実施形態に関して説明された特徴は、相互に排他的であると解釈されるべきではない。当業者であれば容易にわかるように、本明細書に記載され、明瞭に相互依存しない特徴の何れかの小集合を取り入れた実施形態が本発明者によって想定され、意図される本開示の一部である。しかしながら、このような実施形態の全ての明示的な特徴は、本発明の原理の理解に寄与せず、したがって簡潔にするために幾つかの組合せが省略される。
【0011】
高い機械的負荷及びしたがって一時的又は永久的変形を受け得るケーブル又はケーブルコンポーネント内の部品又は部品アセンブリの例は、以下の通りである:
・ピッチ、角度、半径方向、長さ方向の伸長等の位置のずれが生じ得るケーブルアーマ(金属又は複合材料)。
・ケーブルアーマの絶縁されたアーマワイヤ間又はアーマとフランジ、リング等との間の溶接部は、アセンブリ又は個々のストランド等の伸長の影響を受ける可能性がある。
・アーマワイヤが凹凸の表面に固定されるか、又はアーマ若しくは導体ワイヤが、締結され得るコーンに成形されるアーマ又は導体ロック。
・管、フランジ、ボルト等の付属部品。
・クリンプ、リング等を備える引張ヘッド。
・引張フランジ。
・圧縮方式によって製作可能な導体とフェルールとの間の導体接続部又はボルト接続部。
・導体又はアーマの溶接部。
・地震試験の対象となるコンポーネント又はフルアセンブリ。
・引張又は引張曲げ試験の対象となるフルジョイントアセンブリ。
・ケーブル又はケーブルアセンブリの曲率は、各種の曲げ試験又は圧縮試験中にケーブル又はアクセサリ形状に沿って変化する可能性がある。
・ケーブル又はアクセサリの直径は、引張試験中に変化する可能性がある。
・ケーブルの防水部(鉛、NiCu等)に亀裂が生じる可能性がある。
・各種の疲労試験中(試験前、試験中及び試験後)に導体が損傷する可能性がある。
【0012】
高電圧及び/又は中電圧ケーブル及び/又はケーブルコンポーネントの変形を検出する方法は、1つの実施形態では、
a)第一の時点において、ケーブル又はケーブルコンポーネントの表面の関心領域の3次元(3D)表面形状測定データの第一のセットを捕捉及び保存するステップと、
b)第二の時点において、3D表面スキャナを前記関心領域にわたってケーブルの周囲で移動させることにより、ケーブル又はケーブルコンポーネントの表面の前記関心領域の3次元(3D)表面形状測定データの第二のセットを捕捉及び保存するステップと、その後、
c)捕捉された3D表面形状測定データの第一及び第二のセットを比較して、第一及び第二の時点間でケーブル又はケーブルコンポーネントに生じた変化を特定するステップと
を含む。
【0013】
関心領域は、先に例を挙げた高電圧ケーブル、中電圧ケーブル及び/又はケーブル部品の表面又は表面の一部であり得る。
【0014】
3D表面形状測定データの第一のセットは、3D表面スキャナを関心領域にわたってケーブルの周囲で移動させることによって捕捉され得る。3D表面スキャナは、表面の3D表現を提供するために使用され得る3D表面の画像を捕捉するのに適した何れのスキャナ又は画像生成装置でもあり得る。3D表面スキャナは、例えば、レーザスキャナ、構造化光スキャナ、ライダスキャナ、3Dモデルに合成することができる幾つかの画像を捕捉する写真測量手段等であり得る。
【0015】
幾つかの実施形態では、3D表面形状測定データの第一のセットは、関心領域におけるケーブル又はケーブルコンポーネントの形状を表すデータファイルを検査することによって捕捉され得る。
【0016】
この方法を用いて、高電圧及び/又は中電圧ケーブル及び/又はケーブルコンポーネントをある期間にわたって監視するために、上述のステップb)を所望の期間にわたって繰り返すことができ、それにより、第nの時点において、3D表面スキャナを前記関心領域にわたってケーブルの周囲で移動させることにより、ケーブル又はケーブルコンポーネントの表面の前記関心領域の3次元(3D)表面形状測定データの第nのセットが捕捉及び保存され、捕捉された3D表面形状測定データのn個のセットを比較して、第一、第二及び第nの時点間でケーブル又はケーブルコンポーネントに生じた変化を特定する。
【0017】
3D表面形状測定データは、データポイントクラウドによって表され得、データポイントクラウド内のデータポイントは、ケーブル又はケーブルコンポーネントの表現を提供するためにさらに処理され得る。
【0018】
前述の実施形態の何れかによる方法は、関心領域に関する品質レポートを生成するステップをさらに含み得る。
【0019】
品質レポートは、第一の時点から第nの時点までに生じた変化の進展の表現を、対応する時点に関係する変化を表すことによって含み得る。
【0020】
品質レポートは、関心領域における変化を識別することができ、変化が閾値又は他の基準より大きい場合に警告又は通知を含み得る。基準は、スキャン対象のケーブル部品の種類、使用される非接触スキャナの種類及びスキャンの目的に応じて選択され得る。基準の例は、高さ変動の閾値、表面微分値の閾値、剥離による起伏の閾値並びに/又は切削部の面積、切削部の深さ及び切削部の傾斜の少なくとも1つである。
【0021】
1つ実施形態では、品質レポートは、第二以降の時点におけるケーブル/ケーブル部品/ケーブルコンポーネントの続行/中止を含み得る。続行/中止通知は、ケーブル又はケーブルコンポーネントが第二又は第nの時点での工程に進むことを許可されるべきであるか又は許可されないべきであるかの評価を表す。このようにして、オペレータは、スキャンが行われた後に続行又は中止を受け取り得、これは、オペレータがそのケーブル部品を先に進めることを許可するか若しくは許可しないか、又は修理若しくは交換についてケーブルにマーキングする。
【0022】
平滑な表面のスキャン中、スキャン中に表面上で3Dマーカ及び/又はタルクスプレイが使用され、これらは、それぞれ正確な位置決めを提供し、グレアを最小化する。3Dマーカは、スキャナが測定対象物体に関するその角度及び位置を保持するために使用され、これらは、特にスキャン対象物体が高電圧(HV)ケーブル、ケーブルジョイント又はケーブル端末等、幾何学的特徴を有しない場合に特に重要である。HVケーブルをスキャンする際、これらの3Dマーカが、これらの3Dマーカの下にある測定データを遮蔽し、それが不完全な表面検査につながる可能性があり、それによりマーカの下の欠陥/変動を見過ごすことになりかねない。さらに、HVケープル端末のスキャンに関して、3Dマーカ(ステッカ)によって表面上に接着剤の残留物が残る場合があり、これは、その後の装置の電気的性能を低下させる可能性がある。
【0023】
これは、理想的ではなく、したがってそれを回避するための方策が必要である。
【0024】
このような方策の例は、以下の通りである:
・タルクスプレイを必要としない青色レーザ技術を用いたスキャナの使用。
・その表面上の位置がプロセス中に半分移動されて、これらのマーカの下のデータを検査に含めることができるような粘着性又は磁気3Dマーカの使用。
・外部カメラ及びスキャナ自体に付された3Dマーカを使用して、表面に3Dマーカが付されていない試験対象物体に関するスキャナの位置を取得する3Dスキャナの使用。
・マーカを、表面付近の位置に、ただしそれと接触させずに取り付ける専用の3Dマーカジグの使用。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】高電圧及び/又は中電圧ケーブル及び/又はケーブルコンポーネントの変形を検出する方法のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、高電圧及び/又は中電圧ケーブルコンポーネント、この例ではケーブル端末1の表面5及び/又は界面をスキャンするためのシステムの概略図である。図の各種の物体の大きさは、正確な縮尺によらない。システムは、非接触型表面スキャナ40を含む。非接触型表面スキャナ40は、関心領域45に向けることができる。
【0027】
1つの実施形態では、非接触型表面スキャナ40は、3Dレーザスキャナであり得る。スキャナは、他の種類の非接触型表面スキャナ、例えば最大1,500,000回/秒及び/又は99の白色光スキャンラインを投射できる投射白線を使用する白線スキャナ又は他の種類の適当なスキャナでもあり得る。
【0028】
使用され得るスキャの他の例は、構造化光スキャナ、ライダスキャナ、3Dモデルに合成することができる幾つかの画像を捕捉する写真測量手段等である。
【0029】
非接触型表面スキャナ40は、関心領域の表面5までの距離を測定するように配置される。図の例では、非接触型表面スキャナの視野は、関心領域に対応するが、表面5上の関心領域45は、非接触型表面スキャナ40の視野又はスキャン領域より大きくても又は小さくてもよい。視野は、非接触型表面スキャナによって特定される円形、長方形、線形又は他の何れの形状でもあり得る。非接触型表面スキャナ40は、ケーブル1の周囲で移動可能であり、それにより、ケーブル1の表面5は、複数の小領域によってカバーされて、関心領域全体が確実にスキャンされることになる。複数の小領域の大きさは、例えば、非接触型表面スキャナ40とケーブル1との間の距離を変化させることによって変化し得る。1つの実施形態では、非接触型表面スキャナ40は、ハンドヘルド3Dレーザスキャナのように、ケーブルの周囲の何れの方向にも自由に移動可能である。
【0030】
非接触型表面スキャナ40は、例えば、表面5上に位置付けられた複数のマーカ(図示せず)を認識することにより、3D空間内のその位置及び方向がわかっているべきである。マーカは、その上に特定のパターン又はマーカが付されたステッカ又は滅菌クランプであり得る。マーカにより、それらの下に「NaN」(非数=空)の領域ができるが、スキャンを一時停止し、マーカ/クランプの位置を変更することができ、したがって、測定は、マーカの下の領域もスキャンすることができる。他の実施形態では、非接触型表面スキャナ40は、固定具又はジグに取り付けられ得、例えばHVケーブルに取り付け可能であり、それにより、非接触型表面スキャナ40は、上下に且つ表面5の周囲で始動されて、関心領域45を小領域で埋め尽くし得る。このようにして、マーカの使用が不要となり得る。他の実施形態では、非接触型表面スキャナ40は、固定具又はジグ内に配置され得、ケーブルをスキャナ40に対して移動させ得る。
【0031】
幾つかの実施形態では、スキャンされた表面自体の形状は、3D空間における非接触型表面スキャナ40自体の位置のための参照として使用され得る。
【0032】
図のシステムは、解析ユニット42も含む。解析ユニット42は、有線又は無線通信リンクによって非接触型表面スキャナ40と通信する。1つの実施形態では、解析ユニット42の少なくとも一部は、非接触型表面スキャナ40内にあり得る。解析ユニット42は、プロセッサ43を含み、これは、非接触型表面スキャナ40からの、複数の小領域の各々に関する測定データを処理して、関心領域45の、したがって評価対象表面の連続3D表面形状測定結果を作成するように適合される。連続3D表面形状測定結果は、これを処理して表面の特性を評価することができ、それにより評価のための及び後に参照するための表面の画像も作成することができる。
【0033】
1つの実施形態では、解析ユニット42は、連続3D表面形状測定結果を記憶装置44に関心領域45の3Dトポグラフィマップとして送信するように適合される。解析ユニット42は、有線又は無線通信リンクによって記憶装置44と通信する。記憶装置44は、オンプレミスサーバ又はクラウドサーバ上にあり得る。ユーザ及びクライアントは、ケーブルシステムの将来の参照のために、サーバ44上のケーブル1の表面5の3Dトポグラフィマップにアクセスすることができる。
【0034】
図2は、高電圧ケーブル端末の詳細図を示す。例示的な高電圧ケーブル端末1が示されている。外側シース9、鉛シース8、膨潤テープ7及び外側半導体スクリーン6が除去されており、導体2、内側半導体スクリーン3及び絶縁体4が残っている。絶縁体4の表面5は、高電圧ジョイント、ケーブル用端子、ゴムジョイント等の高電圧ケーブルアクセサリコンポーネントがその上にスライド式に取り付けられる前に、凹凸がないことを確認するために検査される。
【0035】
図3は、高電圧及び/又は中電圧ケーブル及び/又はケーブルコンポーネントの変形を検出する方法のある実施形態を示す。
【0036】
方法は、この例では、ケーブルの変形を検出するために使用されているが、前述のように、これは、異なる種類のケーブル、ケーブル部品、ケーブルアクセサリ、部品アセンブリ等にも使用され得る。
【0037】
第一のステップ301では、機械的負荷又は応力を受けると予想されるか又はそのように疑われる関心領域を有するケーブル、例えばケーブルアーマ、溶接部、アクセサリ部品、フランジ等が提供される。
【0038】
次に、ステップ302では、第一の時点において、ケーブル又はケーブルコンポーネントの関心領域の3次元(3D)表面形状測定データの第一のセットが捕捉され、このデータは、後に処理するためにメモリに保存される。3D表面形状測定データは、前述のように3D表面スキャナを関心領域にわたってケーブルの周囲で移動させることによって取得され得る。
【0039】
代替的又は追加的に、3D表面形状測定データは、関心領域におけるケーブル又はケーブルコンポーネントの形状を表すデータファイルを検査することによって取得され得る。このようなデータファイルは、例えば、製造業者によって提供されるケーブル又はケーブルコンポーネントの3D図面及び/又は仕様書、ケーブルを製造するために提供されたCADファイル等であり得る。
【0040】
3D表面形状測定データは、データポイントクラウドによって表現され得、データポイントクラウド内のデータポイントは、ケーブルの表現、例えば関心領域、ケーブル又はケーブルコンポーネントのトポグラフィマップを提供するためにさらに処理され得る。
【0041】
その後、ケーブル/ケーブルコンポーネントは、使用に供され、例えば、前述のように、海底ケーブルは、船舶から展開され、陸上用途等のために使用され、その場合、それは、1つ又は複数の機械的負荷にさらされ、これについては、
図3の306を参照されたい。期間303後、第二の時点において、ステップ304では、ケーブル又はケーブルコンポーネントの表面の同じ関心領域の3D表面形状測定データの第二のセットが、3D表面スキャナを関心領域においてケーブルの周囲で移動させることによって捕捉される。3D表面形状測定データの第二のセットもメモリに保存される。第一及び第二の時点間の期間は、ケーブルの関心領域の種類、ケーブルの用途、ケーブルの位置における環境要因等に応じて変更することができる。幾つかの例では、変化が生じたことを早期に発見することが重要であり、これらの例では、より短い期間が好ましい。
【0042】
測定データの第二のセットを捕捉した後、捕捉された3D表面形状測定データの第一及び第二のセットがステップ305で比較されて、第一及び第二の時点間でケーブル又はケーブルコンポーネントに生じた変化が特定される。この比較は、捕捉されたデータをオペレータが視覚的に精査することによって実行され得るか、又はこれは、コンピュータプロセッサによって実行され得る。捕捉されたデータは、何れの実施形態でも、表面の特性を評価するために処理され得、評価及び後の参照のために表面の画像を作成するためにも処理され得る。
【0043】
このプロセスは、第三及びその後の第nの時点において、ケーブル又はケーブルコンポーネントの表面の関心領域の3次元(3D)表面形状測定データの第三~第nのセットが、3D表面スキャナを関心領域にわたってケーブルの周囲で移動させることによって捕捉及び保存されるように繰り返され得る。
【0044】
したがって、捕捉された3D表面形状測定データの第三~第nのセットは、データの第一及び/又は全てのそれ以前のセットと比較され、第一、第二及び第nの時点間でケーブル又はケーブルコンポーネントに生じた変化が特定される。
【0045】
1つの実施形態では、解析ユニットは、第二以降の時点にスキャンされたケーブル/ケーブル部品の続行/中止評価を提供することができる。このようにして、オペレータは、スキャンが行われた後に続行又は中止を受け取り得、これは、オペレータがそのケーブル部品を進めることを許可するか若しくは許可しないか、又は修理若しくは交換についてケーブルにマーキングする。
【0046】
続行/中止を提供するための基準は、基準の選択に基づき得る。基準は、スキャン対象のケーブル部品の種類、使用される非接触型スキャナの種類及びスキャンの目的などに応じて選択され得る。基準の例は、高さ変動の閾値、表面微分値の閾値、剥離による起伏の閾値並びに/又は切削の面積、切削の深さ及び切削の傾斜の少なくとも1つである。
【0047】
3D表面形状測定データをさらに処理した後、さらなる基準が使用され得る。さらなる処理は、例えば、データのレベル調整及びソートであり得る。さらなる基準の例は、局所的微分値、局所的圧痕及びノイズレベルである。
【0048】
解析ユニットは、上記を使用して、関心領域の最も不良な領域、例えばより深い切削、欠け目、傷、段差等を例えば無限要素方式(FEM)によって識別することができる。方法は、局所的に計算されたFEF及び局所的に計算された部分放電開始電圧(PDIV)を計算することができる。
【0049】
比較及び解析の結果は、ステップ307において、品質レポート又は監視レポートを生成するために使用され得る。
【符号の説明】
【0050】
1 ケーブル
2 導体
3 内側半導体スクリーン
4 絶縁体
5 表面
6 外側半導体スクリーン
7 膨潤テープ
8 鉛シース
9 外側シース
40 非接触型表面スキャナ
42 解析ユニット
43 プロセッサ
44 記憶装置
45 関心領域