(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122911
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】安全ゲート監視モジュール
(51)【国際特許分類】
E05C 19/04 20060101AFI20240902BHJP
E05C 1/12 20060101ALI20240902BHJP
E05C 19/06 20060101ALI20240902BHJP
H01H 27/00 20060101ALI20240902BHJP
F16P 3/08 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
E05C19/04
E05C1/12
E05C19/06 C
H01H27/00 Z
F16P3/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024026553
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】10 2023 104 853.8
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム リンク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーアス ファイト
(57)【要約】
【課題】より長い耐用年数および/または向上された信頼性を有する、安全ゲート(14)の状態を監視するための安全ゲート監視モジュール(16)を提供する。
【解決手段】アクチュエータ(36)を受け入れるためのアクチュエータ差し込み口(38)を備え、かつ、アクチュエータ(36)がアクチュエータ差し込み口(38)に挿入されたときに安全ゲート信号を生成するよう構成されており、アクチュエータ差し込み口(38)は、稼働状態においてアクチュエータ(36)をアクチュエータ差し込み口(38)内にしっかりと保持するよう構成されているガードロック装置(44)を備えており、ガードロック装置(44)は、軸受要素差し込み口(58)を有するボルト(50)と、軸受要素差し込み口(58)内に回転可能に取り付けられてボルト(50)の自由端(62)に配置されている軸受要素(54)とを備えており、この自由端の軸受要素(54)は、稼働状態において、アクチュエータ(36)に係合するよう構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全ゲート(14)の状態を監視するための安全ゲート監視モジュール(16)であって、
当該安全ゲート監視モジュール(16)は、アクチュエータ(36)を受け入れるためのアクチュエータ差し込み口(38)を備え、かつ、前記アクチュエータ(36)が前記アクチュエータ差し込み口(38)に挿入されたときに安全ゲート信号を生成するよう構成されており、
前記アクチュエータ差し込み口(38)は、稼働状態において前記アクチュエータ(36)を前記アクチュエータ差し込み口(38)内に保持するよう構成されているガードロック装置(44)を備えており、
前記ガードロック装置(44)は、軸受要素差し込み口(58)を有するボルト(50)と、前記軸受要素差し込み口(58)内に回転可能に取り付けられて前記ボルト(50)の自由端(62)に配置されている軸受要素(54)とを備えており、この自由端は、前記稼働状態において、前記アクチュエータ(36)に係合するよう構成されている、安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項2】
前記ボルト(50)は、当該ボルト(50)に係留された前記回転可能に取り付けられた軸受要素(54)を保持するよう構成された損失防止手段(78)を備えている、請求項1に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項3】
前記損失防止手段(78)は、前記軸受要素差し込み口(58)の断面締め付け体(80)により形成されている、請求項2に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項4】
前記断面締め付け体(80)の径は、前記軸受要素(54)の径よりも小さくされている、請求項3に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項5】
前記軸受要素(54)はボール(56)とされている、請求項1に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項6】
前記軸受要素差し込み口(58)は、円錐形で球形カップ形状または円筒状の第1の部分(64)と、円筒状の第2の部分(66)とを備えている、請求項1に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項7】
前記軸受要素(54)の半分よりも多くが、前記軸受要素差し込み口(58)内に配置されている、請求項1に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項8】
前記ボルト(50)は、バネ装置(52)によりあらかじめ負荷されている、請求項1に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項9】
前記ボルト(50)は、本体(60)と、その中に挿入され、かつ、前記軸受要素差し込み口(58)の少なくとも一部を形成する軸受シェル(70)とを備えている、請求項1に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項10】
前記ボルト(50)の前記本体(60)は第1の材料を備えており、前記軸受シェル(70)は、前記第1の材料と異なる第2の材料を備えている、請求項9に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項11】
前記ボルト(50)はスリーブ(86)を備えており、前記スリーブ(86)は、前記ボルト(50)の本体(60)に固定され、かつ、前記軸受要素差し込み口(58)の少なくとも一部を形成している、請求項1に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項12】
前記ボルト(50)はスリーブ(86)を備えており、前記スリーブ(86)は、前記ボルト(50)の本体(60)に固定され、かつ、前記軸受要素差し込み口(58)の少なくとも一部を形成しており、前記スリーブ(86)は、前記損失防止手段(78)の少なくとも一部を形成している、請求項2に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項13】
前記スリーブ(86)は前記本体(60)に、ネジ止めされ、リベット留めされ、ピン留めされ、および/または、物理的に接続されている、請求項11に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項14】
前記ボルト(50)は、前記軸受要素差し込み口(58)に配置された複数のベアリングボール(74)を備えている、請求項1に記載の安全ゲート監視モジュール(16)。
【請求項15】
安全区域へのアクセスとしての安全ゲート(14)と、
前記安全ゲート(14)の状態を監視するための、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の安全ゲート監視モジュール(16)と、
アクチュエータ(36)と、
前記安全ゲート信号を読み出すよう、かつ、前記安全区域に配置された機械またはシステム(12)を、前記安全ゲート信号に従って制御するよう構成されている、制御ユニット(26)とを備える、安全ゲート監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全ゲートの状態を監視するための安全ゲート監視モジュールに関する。
【0002】
本発明は、安全区域へのアクセスとしての安全ゲートと、上述した種類の安全ゲート監視モジュールと、アクチュエータと、安全ゲート信号を読み出すよう、かつ、安全区域に配置された機械またはシステムを安全ゲート信号に従って制御するよう構成されている制御ユニットとを有する、安全ゲート監視モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
上述した種類の安全ゲート監視モジュールはしばしば、安全スイッチとも呼ばれる。冒頭で言及した種類の例示的な安全ゲート監視モジュールすなわち安全スイッチが、下記特許文献1、下記特許文献2、下記特許文献3および下記特許文献4より公知である。
【0004】
話題にしている種類の安全ゲート監視モジュールは、安全ゲート、安全フラップ(safety flap)などに使用される。「安全ゲート監視モジュール」および「安全ゲート」という用語を本明細書で使用するが、本発明に係る安全ゲート監視モジュールは、いずれの種類の分離式の保護装置(separating protective device)にも使用できる。したがって、本発明の意味での「安全ゲート」という用語は幅広く解釈されねばならない。ゆえに、「分離式の保護装置」という一般的な用語の代わりに、「安全ゲート」という用語のみを以下で使用するが、このことに保護の範囲を限定する意図はない。
【0005】
安全ゲート監視モジュールが使用できる安全ゲートは例えば通常、自動運転する機械またはシステムが配置される安全区域へのアクセスとして機能する。機械またはシステムは例えば、ロボット、高速回転するスピンドルを有する工作機械、輸送もしくは運搬システム、プレス、または、その運転が上述した安全区域もしくは機械の作業区域にいる人間に危険をもたらす他の何らかの機械もしくはシステムであってもよい。安全ゲート監視モジュールは信号装置として機能してもよく、その助けにより、制御ユニットは安全ゲートの閉じた状態を検知できる。制御ユニットは、安全ゲート監視モジュールにより生成された安全ゲート信号を読み出すよう、かつ、安全ゲート信号に従って機械を制御するよう構成されている。例えば、機械は、安全ゲート信号が存在している場合にのみ運転できる。換言すれば、制御ユニットは、安全ゲート監視モジュールから安全ゲート信号を受信している場合(すなわち、安全ゲートが閉じている場合)にのみ、機械またはシステムの運転を可能にするよう構成されている。他方、(もし可能であるとして)運転中に安全ゲートが開いている場合、制御ユニットは機械またはシステムを、例えば機械またはシステムへの電力供給がオフにされるように、安全状態にしなければならない。
【0006】
例えば依然として徐々に停止しつつあるために、オフにされたのちであっても一定の期間、依然として危険をもたらす機械およびシステムが多数存在する。そのような用途向けに、機械またはシステムがその安全状態に達するまで安全ゲートが開くのを防止する、安全ゲート監視モジュールが必要とされている。この機能はガードロック機能と呼ばれる。
【0007】
従来、この種類の安全ゲート監視モジュールは、アクチュエータと呼ばれるものと、その相方として機能するアクチュエータ差し込み口とを有している。アクチュエータ差し込み口は基本ユニットの一部であって、そこには通常、さらなる電子部品が収容されており、かつ、そこから通常、安全ゲート監視モジュールを制御ユニットに接続する接続ケーブルが始まっている。したがって、アクチュエータ差し込み口を有する基本ユニットは好ましくは、安全ゲートの固定部分に(例えばドアのフレームに)配置されるが、アクチュエータは好ましくは、安全ゲートの可動部分に(例えば可動のドアの扉(door leaf)に)配置される。このことには、安全ゲートの可動部分に配置された安全ゲート監視モジュールの部分が、電力を供給される必要がないという利点がある。これは原則として、安全ゲート監視モジュールの基本ユニットのみが、電力を供給される必要があるためである。
【0008】
安全ゲートが閉じているとき、アクチュエータはアクチュエータ差し込み口に係合し、このことは1つまたはそれ以上のセンサの助けにより検知される。ガードロックシステムを有する安全ゲート監視モジュールの場合、アクチュエータも、格納に抗して、アクチュエータ差し込み口内で閉鎖またはロックされる。「ガードロックシステム」は、アクチュエータ差し込み口内でアクチュエータをロックするためのロック装置を備えている。
【0009】
後者の場合、安全ゲート監視モジュールは2つの機能を果たす。すなわち、一方は検知機能であって、これの助けにより安全ゲートの閉じた位置が検知される。他方はガードロック機能であって、これにより、アクチュエータがアクチュエータ差し込み口内でロックされている限り、安全ゲートが開くことが防止される。アクチュエータは、例えば電気モータアクチュエータにより解放することができ、電気モータアクチュエータは、監視される機械またはシステムがその安全状態を推定するとすぐに、制御ユニットにより始動される。
【0010】
この種の安全ゲート監視モジュールは、出願人によりPSENmlockという名称で販売されている。この安全ゲート監視モジュールは非常に多用途である。安全ゲート監視モジュールのアクチュエータは実質的に棒状またはピン状であってもよく、かつ、その相方として作動するアクチュエータ差し込み口は、棒状またはピン状のアクチュエータが係合する、貫通スロット、U字状の開口または止まり穴(blind hole)もしくは貫通孔を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2005 057 108 A1号明細書
【特許文献2】独国特許第103 05 704 B3号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2008 060 004 A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2020 120 817 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
安全ゲートの開閉過程を繰り返すと、意図した通りに使用したのち、アクチュエータおよびガードロック装置またはアクチュエータ差し込み口における材料摩耗につながることが明らかとなっている。この摩耗により、開閉過程について規定の回数を有する安全ゲート監視モジュールにつき、求められる耐用年数が実現できなくなる可能性がある。さらには、このことにより、安全上のリスクがもたらされる可能性がある。なぜなら、もはやガードロック機能を、十分な信頼性で保証することができなくなるからである。
【0013】
ゆえに、本発明の目的は、より長い耐用年数および/または向上された信頼性を有する安全ゲート監視モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記発明の目的は、冒頭で述べた種類の安全ゲート監視モジュールに基づいて、安全ゲートの状態を監視するために、当該安全ゲート監視モジュールは、アクチュエータを受け入れるためのアクチュエータ差し込み口を備え、かつ、前記アクチュエータが前記アクチュエータ差し込み口に挿入されたときに安全ゲート信号を生成するよう構成されており、前記アクチュエータ差し込み口は、稼働状態において前記アクチュエータを前記アクチュエータ差し込み口内にしっかりと保持するよう構成されているガードロック装置を備えており、前記ガードロック装置は、軸受要素差し込み口を有するボルトと、前記軸受要素差し込み口内に回転可能に取り付けられて前記ボルトの自由端に配置されている軸受要素とを備えており、この端は、前記稼働状態において、前記アクチュエータに係合するよう構成されているという事実により達成される。
【0015】
本発明に係るガードロック装置は特に、ボルトに回転可能に取り付けられた軸受要素であって、当該軸受要素がアクチュエータと接触できるような仕方で配置されている、軸受要素を備えている。
【0016】
ボルトがアクチュエータ上を摺動する従来のガードロック装置と異なり、本発明によれば、ボルトに取り付けられた軸受要素がアクチュエータ上を転がることが可能である。ゆえに、本発明により好適にも、ガードロック装置とアクチュエータとの間の摩擦接触における摩擦および/または摩耗を低減することが可能となり、かつそれゆえに、安全ゲート監視モジュールにおける開閉力を最小化することも可能となる。
【0017】
アクチュエータがアクチュエータ差し込み口に挿入されると、アクチュエータ差し込み口へのアクチュエータの挿入を単純化するため、ならびに/または、ガードロック装置とアクチュエータとの間の摩擦および/もしくは摩耗を低減するために、軸受要素はアクチュエータと接触できる。アクチュエータ差し込み口へのアクチュエータの挿入中に、軸受要素が、アクチュエータ上を摺動する代わりに、アクチュエータ上を転がる場合、摩擦接触は、摺動摩擦の代わりに、転がり摩擦が主たる特徴となる。ゆえに、摩擦接触における摩擦を低減できる。同じことが、安全ゲートについて、開く過程に当てはまる。開く過程中、アクチュエータはアクチュエータ差し込み口から引き抜かれる。
【0018】
ゆえに、ガードロック装置とアクチュエータとの間の摩耗を低減し、かつ、ガードロック装置の信頼性を向上させるための解決策が、簡単な設計の経済的なやり方でもたらされる。
【0019】
そのうえ、本発明は好適にも、より自由で、かつそれゆえに、より簡単なボルトの構成を可能にする。特にボルトの形状を、アクチュエータから、より大きく独立させて構成できる。同時に、軸受要素を、摩擦接触の特性を改善するために、例えば表面仕上げに関して、ボルトの残部から独立して処理できる。このことは、ガードロック装置およびアクチュエータの製造を簡略化する効果を持ち得る。
【0020】
そのうえ、本発明は、軸受要素をボルトの残部から独立して交換することを可能にする。本発明に係るガードロック装置において、従来のガードロック装置と比べて摩耗が低減されているのが必然的であるとしても、軸受要素はそれでも、継続的な使用により摩耗する場合がある。この場合、軸受要素だけを選択的に交換し、ボルトの他の部分を使用し続けることが可能となる。ゆえに、ガードロック装置の構成要素を、持続的に使用できる。
【0021】
摩擦接触の特性(例えば、摩擦接触の相方同士の間の摩擦係数)を必要に応じて調整するために、通常の処置では特に、摩擦接触の相方同士の材料を互いに調和させる。さらには、本発明は、ガードロック装置が異なる材料を備えることを可能にする。それにより、摩擦接触の相方同士の材料を、より良く互いに調和させることが可能とされている。
【0022】
本発明によれば、軸受要素は、ボルトの材料と異なる材料を備えていてもよい。ゆえに、軸受要素およびアクチュエータの選択された材料の組み合わせにより、摩擦接触の特性を規定することが可能となり、その際、同時に、ボルトの材料の選択をアクチュエータの材料から、さらに独立させることができる。
【0023】
ゆえに、上述した本発明の目的が十分に達成される。
【0024】
好ましい発明の態様によれば、前記ボルトは、当該ボルトに係留された前記回転可能に取り付けられた軸受要素を保持するよう構成されている、損失防止手段を備えている。
【0025】
損失防止手段により、軸受要素は、ボルトにおける所望の位置および/または並びに、恒久的に保持される。このような仕方で、安全ゲート監視モジュールの信頼性を向上できる。
【0026】
別の発明の態様によれば、前記損失防止手段は、前記軸受要素差し込み口の断面締め付け体により形成されている。
【0027】
ゆえに、この発明の態様によれば、軸受要素差し込み口は、ボルトにおける所望の位置および/または並びに軸受要素を保持するために、締め付けられる。断面締め付け体は、軸受要素用のラッチ要素として作動できる。これにより、ガードロック装置の簡単かつ経済的な製造が可能となる。
【0028】
別の発明の態様によれば、前記断面締め付け体の径は、前記軸受要素の径よりも小さくされている。
【0029】
これにより、回転可能に取り付けられた軸受要素が、軸受要素差し込み口から解放できなくなることが保証される。ゆえに、軸受要素は、ボルトにおける所望の位置および/または並びに、しっかりと保持される。
【0030】
好ましい発明の態様によれば、前記軸受要素は球(ボール)とされている。
【0031】
ボールには、その対称性ゆえに、多方向に動く軸受要素としてボールを使用できるという利点がある。ゆえに、アクチュエータを任意の方向からアクチュエータ差し込み口に挿入できる一方、ボールは軸受要素として、上述した摩擦および摩耗低減の機能を果たす。
【0032】
しかし、軸受要素はまた、他の何らかの適切な形状(例えば、円柱の形状)を有していてもよく、これは、アクチュエータでの回転または転がりに特に適している。
【0033】
一つの発明の態様によれば、前記軸受要素差し込み口は、円錐形状、球形のカップ形状 (spherical-cup-shaped ) または円筒状の第1の部分と、円筒状の第2の部分とを備えている。
【0034】
第1の部分は特に、軸受要素と少なくとも一部接触していても、および/または、軸受インサート用の差し込み口として作動してもよい。第2の部分は特に、軸受要素と少なくとも一部接触していても、および/または、(特に、異物の侵入に対抗するために)ケーシングもしくはハウジングとして作動してもよい。
【0035】
一つの発明の態様によれば、前記軸受要素の半分よりも多くが、前記軸受要素差し込み口内に配置されている。
【0036】
これは特に、軸受要素の容積の半分よりも多いことを意味する。ゆえに、軸受要素の大部分は、軸受要素差し込み口内で保護される。軸受要素の他の部分(すなわち、軸受要素の(容積の)半分未満)は、軸受要素差し込み口の外部に配置されて、アクチュエータと接触できる。
【0037】
別の発明の態様によれば、前記ボルトは、バネ装置(spring device) によりあらかじめ負荷されている。
【0038】
バネ装置は、ガードロック装置がアクチュエータをアクチュエータ差し込み口内にしっかりと保持するように、ガードロック装置を稼働させるよう構成されている。バネ装置は好ましくは、自由端からボルトの反対側に係合し、軸受要素を押してアクチュエータと係合させることができる。アクチュエータへのボルトの挿入およびアクチュエータからのボルトの引き抜き中に、ボルトはバネ力に対する抵抗力を生み出すことができる。
【0039】
好ましい発明の態様によれば、前記ボルトは、本体と、その中に挿入され、かつ、前記軸受要素差し込み口の少なくとも一部を形成する軸受シェルとを備えている。
【0040】
ゆえに、ボルトは、少なくとも2つまたは3つの部分でできた構成とされている。ボルトへと挿入される別体の構成要素としての軸受シェルにより、ボルトを簡単に保護することが可能となる。
【0041】
軸受要素は、(挿入された)軸受シェル内に、回転可能に配置される。軸受シェルは、軸受要素が軸受シェル上を転がることができるような仕方で軸受要素を受け入れるよう構成されていてもよい。ゆえに、好適にも、ボルトの構成および軸受要素差し込み口の構成に対する要求を低減することが可能となり、ボルトの生産を簡略化することが可能となる。くわえて、摩擦接触を潤滑できる。
【0042】
軸受要素差し込み口は好ましくは、軸受要素と反対の側で、円錐形の設計とされている。
【0043】
これにより好適にも、例えばボルトに穴を形成することにより、軸受要素差し込み口の比較的簡単な製造が可能となる。ボルトが軸受シェルを備えている場合、軸受シェルを挿入するために穴を1つだけ穿孔することが、好適にも可能となる。
【0044】
一つの発明の態様によれば、前記ボルトの前記本体は第1の材料を備えており、前記軸受シェルは、前記第1の材料と異なる第2の材料を備えている。
【0045】
この発明の態様により好適にも、挿入された軸受シェルが、ボルトの材料と異なる材料を備えることが可能となる。このようにして、軸受要素と軸受シェルとの間の摩擦接触の特性を、(特に、摩擦および摩耗の低減に関して)ボルトの材料から独立して、選択的に調整できる。
【0046】
別の発明の態様によれば、前記ボルトはスリーブを備えており、前記スリーブは、前記ボルトの本体に固定され、かつ、前記軸受要素差し込み口の少なくとも一部を形成している。
【0047】
ゆえに、この発明の態様によれば、軸受要素差し込み口は、少なくとも2つの部分でできた構成とされており、軸受要素差し込み口の少なくとも一部は、ボルトの本体と、それに固定されたスリーブとにより形成されている。ゆえに好適にも、生産に関してボルトの本体に対する要求を低減することが可能となり、それゆえに、ボルトの経済的かつ簡単な生産が可能となる。
【0048】
別の発明の態様によれば、スリーブは、損失防止手段の少なくとも一部を形成する。この場合、スリーブは好ましくは、軸受要素差し込み口の断面締め付け体の一部を形成する。ゆえに、スリーブは、軸受要素用のラッチ要素として作動できる。
【0049】
このようにして、軸受要素差し込み口の製造に関して、ボルトの本体に対し、好適にも要求をさらに低減でき、ボルトの生産を簡略化することが可能となる。そのうえ、軸受要素を好適にも、より容易に事前装着できるようになり、それゆえにスリーブを、例えば組み立て工程用に損失防止手段として使用することが可能となる。
【0050】
スリーブは、ボルトの本体に、取り外し可能または取り外し不可能に固定できる。特に、スリーブを、例えばネジ、リベットまたはピンによって、本体に対し、圧力嵌め(force-fitting)およびフォームフィット(form-fitting)により固定できる。スリーブを本体に物質的に接続する(特に、接着接合、ロウ付けおよび/または溶接する)ことが、同様にまたは付加的に可能である。例えば、スリーブを本体に対して焼き嵌めすることも可能である。本体に取り外し可能に固定されたスリーブは、(例えば、アクチュエータの一定数の開閉過程および/または所定の摩耗限度を超えたのちに)軸受要素を容易に交換できるゆえに、好適な効果を持ち得る。
【0051】
一つの発明の態様によれば、ボルトは、軸受要素差し込み口に配置できる、多数のベアリングボール(軸受球)を備えている。
【0052】
軸受要素およびベアリングボールは、互いに接触し、かつ互いに転がるように構成できる。ベアリングボールは好適には、ボルトの材料と異なる材料を備えていてもよい。それにより、軸受要素とベアリングボールとの間の摩擦接触の特性を、特にさらに容易に、ボルトから独立して(特に摩擦および摩耗の低減に関して)、選択的に調整できる。
【0053】
ベアリングボールは好ましくは、軸受要素の径よりも小さい径をそれぞれ有している。さらに好ましくは、ベアリングボールはそれぞれ、同じ径を有している。
【0054】
材料として、アクチュエータは好ましくは、クロムニッケルモリブデンステンレス鋼合金(chromium-nickel-molybdenum-stainless steel alloy)を少なくとも一部(特に、ガードロック装置の稼働状態における、ガードロック装置との接触領域において)備えており、および/または、軸受要素は転がり軸受鋼を備えており、および/または、ボルトは快削鋼もしくは表面硬化鋼(case-hardening steel)を備えている。
【0055】
すでに冒頭で言及したように、本発明のさらなる局面は、(本発明に係る安全ゲート監視モジュールを有する)上述した種類の安全ゲートと、アクチュエータと、制御ユニットとを備える安全ゲート監視システムに関する。
【0056】
基本ユニットが配置される安全ゲートの第1の部分は好ましくは、安全ゲートの固定部分(例えば、ドアのフレーム(door frame)または戸枠(door case))である。これと均等に、アクチュエータが配置される安全ゲートの第2の部分は好ましくは、可動のドア要素(例えばドアの扉)である。安全ゲートの固定部に基本ユニットを配置することには、安全ゲートの可動部分に取付けられた安全ゲート監視モジュールの部分の電力供給を割愛できるという利点がある。これは、通常は安全ゲート監視モジュールの基本ユニットのみが、電力の供給を必要とするからである。
【0057】
アクチュエータは好ましくは、稼働状態においてガードロック装置を受け入れるよう構成されている、差し込み口を備えている。さらに好ましくは、アクチュエータの差し込み口は、軸受要素に接触するよう構成されている。ゆえに、アクチュエータの差し込み口は好ましくは、軸受要素の形状に対応する噛み合い形状(特に、円錐形の球形カップ形状または円筒状の噛み合い形状)を有している。
【0058】
上述した特徴および以下に説明する特徴を、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ特定した組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせにおいても、または単独でも使用できることは、自明である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明の一つの実施の形態に係る安全ゲート監視システムを模式的に示す。
【
図2】本発明の一つの実施の形態に係るアクチュエータを有する安全ゲート監視モジュールの斜視図を示す。
【
図3A】アクチュエータを有する、
図2に示す安全ゲート監視モジュールの正面図を示す。
【
図3B】アクチュエータを有する、
図2に示す安全ゲート監視モジュールの断面図を示す。
【
図4】本発明の一つの実施の形態に係るアクチュエータの斜視図を示す。
【
図5】安全ゲート監視モジュールで使用される、本発明の第1の実施の形態に係るボルトの断面図を示す。
【
図6】
図5に示すボルトの生産に関する生産工程の模式図を提供することを意図した断面図を示す。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係るボルトの断面図を示す。
【
図8】本発明の第3の実施の形態に係るボルトの断面図を示す。
【
図9】本発明の第4の実施の形態に係るボルトの断面図を示す。
【
図10】本発明の第5の実施の形態に係るボルトの断面図を示す。
【
図11A】本発明の第6の実施の形態に係るボルトの断面図を示す。
【
図12】本発明の第7の実施の形態に係るボルトの分解図を示す。
【
図13】本発明の第8の実施の形態に係るボルトの斜視図を示す。
【
図14】本発明の第9の実施の形態に係るボルトの断面図を示す。
【
図15】本発明の第10の実施の形態に係るボルトの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の例示的な実施の形態(以下、単に「実施の形態」という)を図に示し、かつ、より詳細に以下の記述において説明する。
【0061】
図1は、本発明の一つの実施の形態にかかる安全ゲート監視システムを模式図で示す。図中、安全ゲート監視システム全体を、参照番号10により示している。
【0062】
ここで、安全ゲート監視システム10はロボット12を含んでおり、その作業区域は安全ゲート14の助けにより保護される。安全ゲート監視モジュール16が、安全ゲート14に配置されている。
【0063】
安全ゲート監視モジュール16は、安全ゲート14の可動のゲート要素(ゲートの扉)に配置されたゲート部分17と、安全ゲート14の固定の第2の部分20に配置されたフレーム部分18とを備えている。図示した実施の形態では、安全ゲート14の固定の第2の部分20はゲートのフレームまたはゲート枠とされている。他の実施の形態では、安全ゲート14のこの固定の第2の部分20はまた、2つの部分でできた安全ゲートの第2のゲートの扉であってもよい。
【0064】
安全ゲート監視モジュール16のフレーム部分18は、2つの回線22、24を介して、安全切替え装置26に接続されている。安全切替え装置26は例えば、本出願人が販売するPNOZ(登録商標)シリーズの安全切替え装置である。これは、マルチチャンネルの冗長な安全切替え装置であって、安全ゲート監視モジュール16などの信号装置の出力信号を評価するよう、かつ、それに従って電気負荷をオフにするよう構成されている。この場合、電気負荷はロボット12である。したがって、安全切替え装置26は接触器28、30を始動させ、その接点(make contact)は、電力源32とロボット12との間の接続部に配置されている。
【0065】
安全切替え装置26の代替として、安全ゲート監視モジュール16を、PSS(登録商標)という名称で本出願人が販売しているものなどのプログラマブルセーフティコントローラに接続することもできるであろう。ゆえに、安全切替え装置26は全体として、安全ゲート監視システム10の制御ユニット26と、以下で呼ばれるが、それによりこの制御ユニットが特定の実施の形態に限定されるわけではない。
【0066】
本発明に係る安全ゲート監視モジュール16の複数の実施の形態について、以下で説明する。ここで、同一または均等な構成要素は、同じ参照符号により示される。
【0067】
図2は、基本ユニット34と、基本ユニット34と相互作用するアクチュエータ36とを有する、安全ゲート監視モジュール16の斜視図を示している。基本ユニット34は好ましくは、1つまたはそれ以上のセンサ、および/または、さらなる電子部品を備えており、それゆえに、好ましくは電力源に接続されている。さらには、基本ユニット34は好ましくは、ここでのライン22、24などのマルチチャンネルの冗長性を有するラインを介して、制御ユニット26に接続されている。基本ユニット34は好ましくは、安全ゲート監視モジュール16の上述したフレーム部分18を形成する。
【0068】
基本ユニット34を安全ゲート監視モジュール16のドア部分17として使用することが同様に考えられるであろうが、これはあまり好ましくない。そのような場合、通常は制御ユニット26に固定される配線と、電力源とを、安全ゲート14の可動部分へと経由させる必要があるであろうし、かつ、これは通常、回線22、24および電力源を安全ゲート14の固定部分20につなぐよりも複雑である。
【0069】
アクチュエータ36は基本ユニット34の相方として作動し、かつ、基本ユニット34を始動させる働きをする。この目的のために、基本ユニット34は対応するアクチュエータ差し込み口38を備えており、そこへアクチュエータ36を挿入できる。
【0070】
基本ユニット34の1つの機能は、アクチュエータ36がアクチュエータ差し込み口38に挿入されているか否かを検知することである。この目的のために、アクチュエータ36は好ましくは、アクチュエータ差し込み口38に配置された検知器により読み取りできるRFIDチップを備えている。基本ユニット34は、アクチュエータ36がアクチュエータ差し込み口38に挿入されたときに、安全ゲート信号を生成するよう構成されている。この安全ゲート信号は好ましくは、電気信号として生成される。これは、デジタル、パルス、符号化および/または他の(好ましくは電気)信号であってもよい。
【0071】
制御ユニット26において安全ゲート信号を評価することにより、安全ゲート監視システム10は、安全ゲート14が閉じているか否かを、いつでも明確に判定できる。このことに依存して、ロボット12を、安全ゲート14が閉じているときにのみ運転できるような仕方で制御できる。
【0072】
図2、
図3A~
図3B、
図4は、安全ゲート14が閉じた状態でアクチュエータ差し込み口38に挿入されたアクチュエータ要素40を示している。
図2~
図4に示す実施の形態では、アクチュエータ36は、実質的に棒/ピン状のアクチュエータ要素40を備えており、これを、アクチュエータ差し込み口38に挿入できる。アクチュエータ差し込み口38に挿入されるその端面に、アクチュエータ要素40は、位置決め穴として設計された貫通孔42(
図3B、
図4参照)を備えており、ガードロック機能の稼働状態においてアクチュエータ36をアクチュエータ差し込み口38に保持するために、ガードロック装置44が貫通孔42へと係合する。
【0073】
基本ユニット34はさらには、安全ゲート監視モジュール16の状態を表示する、1つまたはそれ以上の光学監視インジケータ46を備えている。さらには、基本ユニット34はオペレータ制御装置48(
図2参照)を備えており、それにより、ユーザが、安全ゲート監視モジュール16の状態を変化させることができる。例えば、オペレータ制御装置48は、ガードロック装置44をロック解除することによる、「緊急時ロック解除機能」としての安全ゲート監視モジュール16のガードロック機能の手動の無効化用に設計されている。
【0074】
ガードロック装置44は、ボルト50、バネ素子52およびロック装置53を備えている。ボルト50は、自身に回転可能に取り付けられた軸受要素54を備えており、バネ素子52によりあらかじめ負荷を受けており、アクチュエータ36中の貫通孔42に係合するよう構成されている。アクチュエータ36がアクチュエータ差し込み口38へと挿入され、かつアクチュエータ差し込み口38から引き抜かれる際、バネのあらかじめ負荷により、ボルト50は、バネ素子52により生み出されたバネ力と反対の、下方に後退する。ロック装置53は、ガードロック装置44の稼働状態で、ボルト50をロックするよう構成されており、その結果、アクチュエータ36はアクチュエータ差し込み口38内にしっかりと保持される。
【0075】
ボルト50のロックは、(例えば、制御ユニット26もしくは安全ゲート監視モジュール16からの)信号の結果として自動で、または、オペレータ制御装置48により手動で実現してもよい。
【0076】
安全ゲート14が再び開かれることになる場合、まず第一にアクチュエータ36を再びアクチュエータ差し込み口38から引き抜かなければならない。この目的のために、ロック装置53は、対応する信号の結果として、または、オペレータ制御装置48による手動のロック解除の結果として、再び自動でボルト50を解放する。
【0077】
図5は、ガードロック装置44の一部を形成するボルト50の第1の実施の形態を、断面図で示している。ボルト50は、自身に回転可能に取り付けられた軸受要素54を備えており、それはここで球体(ボール)56として設計されている。ボール56は、ボルト50に形成された軸受要素差し込み口58内に回転可能に配置されており、軸受要素差し込み口58はボルト50の本体60に形成されている。この場合、ボールの容積の半分よりも多くが、軸受要素差し込み口58内に配置される。
【0078】
軸受要素54として使用されるボール56は、ボルト50の自由端62に配置されており、それゆえに、ボルト50がアクチュエータ要素40へと挿入されたときに、ボール56はアクチュエータ要素40に接触し、その上を転がることができる。ボール56は同様に、ボルトがアクチュエータ36から引き抜かれたときに、アクチュエータ要素40上を転がることができる。
【0079】
図5に示す軸受要素差し込み口58は、第1の部分64および第2の部分66を備えている。第1の部分64は円錐形状を有しているが、原則として円筒状、球形カップ形状などでもあってもよい。
【0080】
図5に示す実施の形態では、ボール56は、軸受要素差し込み口58におけるこの第1の部分64内を転がることができる。第2の部分66は円筒状とされているが、立方体状(cuboidal)などでもあってもよい。
図5に示す実施の形態では、ボール56は、第2の部分66により適切な位置に保持されており、その際、第2の部分66は同時にハウジングとして働く。
【0081】
ボルト50は、少なくとも一部が、円筒状の物体として構成されている。この場合、円筒状の物体とは、その断面積が長手方向軸に沿って一定である物体を指す。特に、ボルトは(例えば
図5に示すような)円柱であってもよいが、立方体状の物体または角柱などでもあってもよい。
【0082】
ボルト50はさらには、ボール56をボルト50上に保持するために、損失防止手段 (loss prevention means) 78を備えている。この目的のために、軸受要素差し込み口58は、ボルト50の自由端62に、断面締め付け体80を備えており、これは、ラッチ要素として、かつ、それゆえにボール56用の損失防止手段78として、作動する。断面締め付け体80は、ボール56の径よりも小さくされている。
【0083】
断面締め付け体80は、例えば刻印工程により生産されてもよい。
【0084】
図6は、
図5に示すボルト50に対する刻印工程を示している。例えば、ボルト50は逆さまの部品として設計されており、軸受要素差し込み口58は、穴を形成することにより製造されている。ボルト50の軸受要素差し込み口58へのボール56の挿入後、軸受要素差し込み口58の断面は、刻印パンチ82およびカウンターパンチ84により締め付けられる。
図6の矢印は、刻印パンチ82がカウンターパンチ84に対して押圧される方向を示している。ここで、刻印工程は、取り付けられたボール56の回転性(rotatability)を維持しなければならない、または損なってはならないことに留意されたい。
【0085】
図7は、ボルト50の第2の実施の形態を示しており、そこでは、
図5に示すボルト50と異なり、軸受要素54は、回転可能に取り付けられた円柱68(あるいは、「バレル」(barrel)、「ニードル」(needle)など)とされている。ボール56と同様に、円柱68は、アクチュエータ36上を転がることができる。しかし、軸受要素54がバレルまたは円柱として実施された場合、アクチュエータ36が、1つの方向からしかアクチュエータ差し込み口38へと挿入できず、別の方向からはできないことが理解されるであろう。このような実施の形態は、例えば摺動ドアの場合に使用できるであろう。
【0086】
図7に示す軸受要素差し込み口58の場合、第1の部分64は、円柱68に対応し、かつ円柱を適切な位置に保持する、噛み合い形状を有している。第2の部分66は立方体状とされている。
【0087】
図8および
図9は、ボルト50の2つのさらなる実施の形態を示しており、そこでは、軸受シェル70がボルト50の本体60へと挿入されて、軸受要素差し込み口58の一部を形成している。
【0088】
図8では、軸受要素差し込み口58の第1の部分64は、第2の部分66へと統合されており、または、第1の部分64および第2の部分66はともに円筒状とされていて、同じ径を有している。
図9では、第1の部分64は円錐形状とされており、第2の部分66は円筒形状とされている。円錐形に設計された第1の部分64は、従来の穴により設けることができる。
図8および
図9に示す実施の形態における軸受シェル70は、第1の部分64および第2の部分66にそれぞれ対応する噛み合い形状を有している。
【0089】
図8および
図9に示す実施の形態では、軸受シェル70は、ボルト50の軸受要素差し込み口58へと、自由端62から挿入されている。軸受シェル70および本体60は好適にも、別体に生産することができ、より簡単な生産を可能にする。本体60の材料は、例えば、比較的好適な快削鋼であってもよいのに対し、軸受シェル70の材料は、摩耗特性に関して最適化されていてもよい。
【0090】
図10は、ボルト50の別の実施の形態を示している。ここで、
図5に示す実施の形態に類似して、軸受要素差し込み口58は、ボルト50の本体60に直接形成されている。しかし、原則として、上記のように、軸受シェル70をここでも設けることができるであろう。
【0091】
その上をボール56が転がることのできる、多数のベアリングボール74が、軸受要素差し込み口58に配置されている。ベアリングボール74は、軸受要素差し込み口58内で、ボール56とボルト50の本体60との間に配置されている。
【0092】
ベアリングボール74は、ボール56の径よりも小さい径を有している。その結果、ボール56は、多数の接点76を持ちながら、多数のベアリングボール74上を同時に転がることができる。くわえて、ベアリングボール74は、軸受要素差し込み口58の輪郭に(特に第1の部分64に)全体として適合して、軸受要素差し込み口58内で自分自身を分散できる。ここで、軸受要素差し込み口58の第1の部分64は、構成が球形カップ形状とされている。
【0093】
図11Aは、ボルト50の別の実施の形態を示している。
図5~
図10に示す実施の形態と異なり、ここでボルト50は付加的なスリーブ86を備えており、そこに、ボール56用の損失防止手段78が形成されている。スリーブ86は、ボルト50の本体60に配置されており、かつ、軸受要素差し込み口58の一部を形成している。
【0094】
図5~
図10に示すボルト50の実施の形態と異なり、
図11Aの断面締め付け体80は、本体60にではなく、スリーブ86に形成されている。ボール56および軸受シェル70はスリーブ86に挿入されている。ゆえに、スリーブ86は、ボール56の一部と軸受シェル70とのためのハウジングを形成している。しかし、ボルト50がこのようなスリーブ86とともに設計されると、ここで別体の構成要素として設計されている軸受シェル70は必ずしも設けられなくてもよいことが理解されるであろう。ボルト50がスリーブ86とともに設計されるときにも、その代わりに軸受要素差し込み口58を、例えば
図5に示すボルト50を有する場合と同様に、ボルト50の本体60に直接一体化してもよい。
【0095】
図11Bおよび
図11Cは、
図11Aに示すボルト50の組み立て工程を模式的に示している。
図11Bに示す状態から始まり、まずボール56が、次いで軸受シェル70が、スリーブ86へと挿入される(
図11C)。次いで、ボルト50の本体60がスリーブ86へ挿入され、または、ボール56および軸受シェル70を有するスリーブ86が、ボルト50の本体60に配置される(
図11A)。スリーブ86により、製造ステップとして
図6に示す刻印工程を割愛することが可能となり、それゆえに、刻印パンチ82(およびカウンターパンチ84)が製造用の別体の工具として必要でなくなり、このことは組み立てを簡略化する効果を持つ。
【0096】
スリーブ86は、取り外し可能または取り外し不可能に、ボルト50の本体60に接続されていてもよい。
図12~
図15は、この点に関するさまざまな実施の形態を示している。例えば、スリーブ86は、ボルト50の本体60にネジ止めしても(
図12)、または、それに溶接もしくはロウ付けしてもよく(
図13)、または、ピン(
図14)もしくは刻印(
図15)により本体60に固定されていてもよい。
【0097】
図12は、雄ネジ88を有する本体60と、対応する雌ネジ90を有するスリーブ86とを示しており、雌ネジ90はスリーブ86の内面の一部に形成されている。ゆえに、ボルト50の本体60およびスリーブ86は、互いに取り外し可能にネジ止めされている。例えばガードロック装置44の一定数の開閉過程ののち、ボール56を交換するために、本体60からスリーブ86をネジ止め解除してもよい。
【0098】
図13は、スリーブ86を有するボルト50を示しており、スリーブ86は、多数の溶接線(weld seams)92により、本体60に固定されている。この実施の形態では、溶接線92は、本体60およびスリーブ86の周にわたって、均一に分散されている。
【0099】
図14は、スリーブ86とピン94とを有するボルト50を示しており、ピン94は、ボルト50の本体60とスリーブ86との中にある貫通孔96に配置されており、本体60をスリーブ86に固定している。本体60およびスリーブ86内の貫通孔96の中心軸が、互いに位置合わせされており、ボルト50の長手方向軸に、実質的に垂直に延びている。
【0100】
図15は、スリーブ86を有するボルト50を示しており、スリーブ86は、刻印された特徴(stamped feature)98により、本体60に固定されている。刻印された特徴98は、スリーブ86の押圧部により、本体60に可塑的に形成されており、それにより、スリーブ86が本体60に、圧力嵌めおよびフォームフィットによって接続される。例えば、刻印された特徴98をセンターポンチ(centre punch)により導入できる。
【0101】
図15に示す実施の形態では、本体60は2つの凹部100(あるいはソケット)を備えており、そこへとスリーブ86の一部が押圧される。ボルト50の本体60は同様に、尖った先端の形態をした1つまたはそれ以上の刻印用の凹部100を有していてもよく、外周の周りに連続的に延びていても、または、外周の一部に延びていてもよい。本体60が事前に設けられた凹部100を有さず、その結果、スリーブ86の一部が、刻印により、本体60の材料内へと可塑的に押圧されることも、同様に考え得る。
【0102】
図に示した実施の形態が、本発明に係る安全ゲート監視モジュールの利点を例証することを意図した、本発明に係る安全ゲート監視モジュールの実施の形態を示しているに過ぎないことは自明である。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施の形態にさまざまな修正を施すことができる。
【符号の説明】
【0103】
10 安全ゲート監視システム
12 ロボット
14 安全ゲート
16 安全ゲート監視モジュール
17 ゲート部分
18 フレーム部分
20 固定部分
22、24 ライン
26 制御ユニット
28、30 接触器
32 電力源
34 基本ユニット
36 アクチュエータ
38 アクチュエータ差し込み口
40 アクチュエータ要素
42 貫通孔
44 ガードロック装置
46 監視インジケータ
48 オペレータ制御装置
50 ボルト
52 バネ装置
54 軸受要素
56 ボール
58 軸受要素差し込み口
60 本体
62 自由端
64 第1の部分
66 第2の部分
68 円柱、バレル
70 軸受シェル
74 ベアリングボール
76 接点
78 損失防止手段
80 断面締め付け体
82 刻印パンチ
84 カウンターパンチ
86 スリーブ
88 雄ネジ
90 雌ネジ
92 溶接線
94 ピン
96 貫通孔
98 刻印された特徴
100 凹部
【外国語明細書】